その墓前で、男は膝をついて泣き崩れた。

古い知り合い、愛した女、笑いあった家族、誰をおもっていたのだろう。
声を殺すこともできず、嗚咽がもれた。

「…俺は、死んだのか…死んじまったのか…」

ふと気配を感じ、顔を上げた。

「泣いてても無駄だよ」

一羽の烏(からす)だった。

「魂なんて、簡単に手放せるんだ。それを忘れたらいけなかったのさ」
「お前に言われたくない!」

男の返答に、烏は笑った。

「へえ、俺を覚えててくれたんだ。そうだよね。そう簡単に忘れられても困るよ」
「何しに来た!」

男は声を上げた。烏は羽をばたつかせ、おかしそうに笑って言った。

「決まってるだろう。奪いに来たんだよ。お前に奪われた俺の魂をね」

男は烏を見据えた。

「…お前のだと?笑わせるな!もとは俺の魂だったのをお前が奪ったんだろう?」
「相変わらず、だね」

烏は冷めた目で男を見た。

「墓の名前を見てみろよ。そこに真実がある」

男は墓に視線を戻した。
そこに記された名前を、男は知らなかった。自分の名前を思い出そうとするが、とうに忘れていた。

「魂なんて…自分なんて、簡単に手放せるんだ。それを忘れたらいけなかったのさ」



=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ オノ・ナツメ「さらい屋五葉」× 穂積「10月の箱庭」★

昨夜、なんとなく書いたものなのですが、因縁めいた不思議な物語になってました。輪廻転生も書いてみたいSFの一つです。まだぼんやりですが、そのうちこの二人(一人と一羽)の因縁話の続きも書けたらいいな。

① オノ・ナツメ「さらい屋五葉」
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=4091883265
http://www.nicozon.net/watch/sm10158309
前回UPした「笠森~」をきっかけに今、江戸を舞台にした物語にハマってます。オノさんは絵が独特ですが、私は大好き。彼女が江戸を描くと、お洒落な江戸になるのが凄い。こんな江戸の物語を書けたらいいなあ。この漫画で墓前で泣き崩れる哀しい男の姿があって、それを見ていたら今回の物語が生まれました。おこがましいとは思うのですが、私の頭の中で、今回の物語はオノさんの絵のイメージになってます。「さらい屋~」の漫画の試し読み&PV映像(TVアニメをやっていたようです。コメント書き込みでいっぱいなので、右下の吹き出しを押すとそれが消えるかと)をここに。雰囲気だけでも良ければ。

② 穂積「10月の箱庭」(「式の前日」に収録)
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=9784091345851
最近気になってる漫画家さん。まだ新人さんだそうですが、表題の「式の前日」のどんでん返しはびっくりしました。「式の前日」は短編集なのですが、その中で烏が出てくる少し不気味な話があって、たぶんそれの影響を受けてたのかもしれません。収録されている全作品のクオリティがかなり高くてオススメです(こちらも少し試し読みができるみたい)

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コメント

意味深ですねぇ。
この二人は何世にも渡り、奪い合ってきた歴史でもあるような。
そしてその歴史を忘れ、何度も同じことを繰り返す・・・

どこかで気付かなくてはならない、そんな時期に来ている?
けい│URL│09/26 19:28│編集

深い…。
これがストーリーの展開の序章みたいですね。
過去に何か深い因縁があるようです。

>古い知り合い、愛した女、笑いあった家族、誰をおもっていたのだろう。

ここで、第3者(男とカラス以外)が見ていたのかと思ったんですが、そういうわけではないんですね。
Sha-La│URL│09/26 23:24│編集
Re: タイトルなし
けいさん

いつも本当にありがとうございます!

> 意味深ですねぇ。この二人は何世にも渡り、奪い合ってきた歴史でもあるような。そしてその歴史を忘れ、何度も同じことを繰り返す・・・どこかで気付かなくてはならない、そんな時期に来ている?

昨夜、思いついたのをそのまま書いてしまって…。たぶん後でヘンテコなところ、訂正をするかもしれませんが。なんだか不思議な話になってましたね。因縁とか輪廻転生とか書きたいSFの一つなんですけど、それが無意識に出ていたのかな。

この二人はずっと繰り返しているみたいなので、きっとどこかで気づかないといけないかもしれないですよね。決着をつけないと…。
rurubu1001│URL│09/27 00:35│編集
Re: タイトルなし
Sha-Laさん

いつもありがとうございます!

> 深い…。これがストーリーの展開の序章みたいですね。過去に何か深い因縁があるようです。

なんか因縁めいてる不思議な話になってましたよね。確かに序章っぽいかも^^

>古い知り合い、愛した女、笑いあった家族、誰をおもっていたのだろう。
ここで、第3者(男とカラス以外)が見ていたのかと思ったんですが、そういうわけではないんですね。

私も最初書いた時、生きてる第3者が死んだ人を思って泣いているのかなと思ったのですか、すぐさま「俺は死んだのか…」というセリフが出てきたので、どうやら死んだ本人が幽霊か魂か何かで眺めている…?ってなって。でも、読み返してみると、この部分はありだったのかな?と今思っていて。他のところも、個人的に引っかかってるところがあるので、後で訂正をするかもですが><
rurubu1001│URL│09/27 00:50│編集
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