良ければ、先にこちらをどうぞ。
【目次】 『箱庭に眠る』シリーズ 【作品紹介】
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母親とクマ先生が話している間、私は外で遊んでいた。

動物のクマによく似ているから、先生はみんなからクマ先生と呼ばれ、慕われている。でも、私は主治医のクマ先生が苦手だった。先生の完璧な笑顔を見ていると、どこか気後れしてしまう。先生の前で自分の笑顔を探さなくてはいけないから、なおさらそう思ってしまうのかもしれない。

昨夜降った雨のせいでぬかるんだ地面には、いくつかの水たまりができていた。それに飛び込んで、水しぶきを豪快にあげる。長靴を履いているから、そこまで服を汚す心配はないだろう。母は少し眉をひそめる程度で、決して怒ることはない。怒る気力がまだない、と言う方が正しいのかもしれない。

「さあ、行きましょう」

母の呼ぶ声に不意をつかれた。足を滑らせ、水たまりの中に尻餅をつきそうになる。その時だ。

「大丈夫か?」

誰かに二の腕をしっかりとつかまれた。水たまりに落ちずにすんで、ほっとして顔を上げる。男の人だった。その人は軽々と幼い私を持ち上げ、安全な地面の上にたたせる。そして口元で微笑んだ。

私は「ありがとう」も言えず、ただじっと彼の顔を見つめた。人前でうまくしゃべれず、笑顔もつくれない私の様子は、生意気に見えたかもしれない。でも、彼は笑って私の頭を撫でてくれた。

「元気がいいな」

とても大きな手。それと、

「いい瞳をしてる」

お互い同じことを思っていたらしい。

やがて彼の手のひらが離れていった。それを名残惜しく思う自分に驚く。不思議と彼には嫌悪感を抱かなかった。あの瞳のせいだろうか。母が慌てて駆け寄り、その人に何度も頭を下げた。彼はまた笑い、その場をにこやかに立ち去る。クマ先生のところを訪ねて行くようだった。

「先生のお知り合いかしらね?」

母がひとり言のように、ポツリと呟いた。私は首をかしげるそぶりをすると、彼の背中をじっと見つめた。


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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Kyte『Sunlight』 ★
https://www.youtube.com/watch?v=TodLrdg4is4


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コメント

おおお。誰?誰? 気になるぅ~~
どこかでまた登場する? かと期待しています。

クマ先生は再登場w
笑わない・笑えない、のは問題ですねぇ。

心が動くのはほんの些細なきっかけが必要なだけなのかも知れないのですが、そのきっかけがね、どこにあるのやら。
この子の笑顔が戻りますように。
けい│URL│09/21 12:38│編集
Re: タイトルなし
>けいさん

いつも本当にありがとうございます!返信が遅くなってしまい、すみません!

> おおお。誰?誰? 気になるぅ~~ どこかでまた登場する? かと期待しています。クマ先生は再登場w 心が動くのはほんの些細なきっかけが必要なだけなのかも知れないのですが、そのきっかけがね、どこにあるのやら。

はい、たぶんまた近々再登場予定です。
なんか最近1話完結じゃなくなってるような気がしないでもないんですが(汗)
ささいなきっかけって本人にはとても大きなものだったりしますよね。

> この子の笑顔が戻りますように。

ぜひ応援していてあげて下さい^^
rurubu1001│URL│09/21 21:30│編集
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