良ければ、先にこちらをどうぞ。
【目次】 『箱庭に眠る』シリーズ 【作品紹介】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-305.html
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それは水色の変な箱だった。

まだ幼い私の広げた両手よりも大きな箱で、中にはさらさらとした白くて細かい砂が入っている。とてもきれいだけど、私にはなんだか冷たく儚ないものに思えた。風が吹けば、すぐさま飛び散ってしまいそうだ。箱の隣には人形や置物が整然と並べてある。子供が遊ぶにしては、やけに可愛げのないものばかりだった。見るからに不釣合いでどこかぎこちない。アンバランスで、よけい無機質なものに見えてしまう。それらをぼんやりと眺めていた私に、みんなからクマ先生と呼ばれている、クマによく似たおじさんが言った。

「これは箱庭といってね、箱の中にただ砂が入っているだけのものなんだ。置いてある人形や置物を使って、この中に好きなものを作ってごらん」

クマ先生の口調は仕事柄とても優しい。でもだからといって、私が笑うことはない。クマ先生のことが別に嫌いというわけではなくて、私が単に笑うことを知らないからだ。

「なんでもいいんだよ」

クマ先生はお手本になるような非の打ちどころがない笑顔を向けた。私は目をそらし、しばらく視線を宙に彷徨わせた。先生にしてみれば、目の前の人形や置物よりも私の方が無機質なものに見えたかもしれない。

「ゆっくりでいいからね」

クマ先生はそれでも笑顔で語りかける。それでしっかり私を押さえつけようとする。コンクリートの壁に囲まれたこの部屋で。閉め切られた小さい窓一つしかないこの部屋で。か細い太陽の光りに蛍光灯のまっすぐな明かりが嫌らしく重なるこの部屋で。

ドアは一つで私の遠く向こうにあった。

テーブルの上の水色の変な箱の先、向かい合う先生の先。子どもの力では開けるのに時間のかかる、きつくて重いドアだった。

逃げ場のない私は頷くしかない。また今日もこの部屋で、自分の笑顔を探すのだ。観念した私は、ゆっくりと箱に手を伸ばした。先生が自然と本物の笑顔になるのが気配でわかった。

それを見ないように、箱の中にある砂をじっと見つめた。


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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Kyte『Sunlight』 ★
https://www.youtube.com/watch?v=TodLrdg4is4


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コメント

むむ。
淡々とした空間の中に何となく漂う不安感はなんでしょう。

クマ先生が良い人なのか怪しい人なのか?
箱庭つくりはテストっぽい?
白い壁に水色が浮きたっているようです?
けい│URL│09/16 19:30│編集
Re: タイトルなし
> けいさん

いつも本当にありがとうございます!

> 淡々とした空間の中に何となく漂う不安感はなんでしょう。箱庭つくりはテストっぽい?白い壁に水色が浮きたっているようです?

不安感が漂うときいて安心しました。そんなふうに書けているか心配だったので^^

> クマ先生が良い人なのか怪しい人なのか?

近々また出てくると思います、クマ先生。たぶんいい先生だと思うんですけど、はて、どうだろう?
私もまだ謎なんです。乞うご期待!(って言ってて、もう出ないかもしれませんが・苦笑)
rurubu1001│URL│09/17 00:10│編集
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