【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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       おやっさん、問題に直面する? (時をかけるおやっさん4)
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名探偵のマネをして、ふざけてお兄さんを指差す。お兄さんは可笑しそうに腹を抱えて笑っていた。俺が憎めないのを知ってるからって笑いすぎだぞ、お兄さん。しばらくしてから、お兄さんは俺に向き直った。

「おやっさんは勘違いしているなあ。だから、一つ教えてあげないとね」
「ん?」
「僕はいらない本を積んで、淑河くんに『欲しかったら、好きな本を持って行っていいよ~』って言っただけなんだ」

…うむ、それのどこが『勘違い』になるんだ?俺の考えを読んだのかお兄さんはくすくすと笑った。

「毎回けっこうな量の本を積んでいるんだけどね。でも、そこから淑玲ちゃんにあげる本を選ぶのは僕じゃないんだよ」
「え?」
「僕じゃなくて、おやっさんの息子が選んでるんだ」

…は?今なんて…?俺の息子って、まさか…?

「もちろん淑河くんに決まってるじゃないか、おやっさん!」

…いやいやいや!「もちろん」って言われても信じられないよ、お兄さん。一体どういうことなんだ…!?

「淑河くんは熱心に本を選んでたよ。淑河くん、妹の淑玲ちゃんが大好きだからね。良いものを淑玲ちゃんに読ませたくて、一冊一冊きちんと開いて自分の目で中身を確認してるぽかったな」
「…一冊一冊きちんと開いて自分の目で中身を確認してる…?」

俺はオウム返しもいいところだった。そんなまさか…。特技→うっかり。持ち味→天然。極めつけ→ドジっ子の淑河だぞ!?そんなの、ありえーん!認めーん!許せーん!

「僕は思うんだけど、本を選ぶってことは、ある程度その本を読んで、内容を理解してなくちゃいけないよね。淑玲ちゃんのレベルに合うものを選ぶ力も必要だし。そうそう。たくさん数があったから、速読力もありそうだよね。淑玲ちゃんの手元に渡ってない分もチェックしていただろうから、彼女以上に本に触れていたとも言える。ねえ、おやっさんはどう思う?」

俺は驚きのあまり声がでなかった。

俺の息子がそんなに優秀なわけがない。

「能ある鷹は爪を隠しているのか、淑玲ちゃんに関わることだけ不思議と能力を発揮するのか、そのへんはまだよくわからないけど…」
「…………」
「う~ん、淑河くんも面白いよね。育て方次第だね」

さらっと息子(淑河)を分析、評価するお兄さんに戸惑う俺だった…。っていうか、お兄さん、もしや教育関係者か何かですか?タスケテ、先生!もう!うちの子たち、ワケワカンナイッ!!

育て方次第なんて同時に『おやっさん次第だよ』とも言われているような気がして困るんだが…!やめてくれ、お兄さん。俺自身、そんなデキのいい方じゃないんだ。並大抵。中の中。優良可なら限りなく可に近い良!かなしいかな、そこそこレベルの男なんだよ!俺はお兄さんにしがみついた。

「そこそこ親父を苛めないでくれよ、お兄さん…!」
「え、そこそこ親父…?(って何!?なんかのキャラクター?)」

「俺は別に淑河や淑玲にデキのよさなんて求めてねーんだ!デキが悪くても困るけど、うちを継げるだけのそこそこの器量があれば、それでもう充分なんだよー!!そこそこ万歳!!俺万歳なんだー!!(?)」
「うんうん、それがおやっさんの望みなんだよね。大丈夫だよ。大丈夫だよ。おやっさんの望みは(たぶん)叶うよ~」

半泣き状態の俺を「よーしよーし」と慰めてくれたのは、もちろんその場にいたお兄さんだった。(ついでに、「わしゃしゃしゃしゃ」と楽しそうに俺の頭を撫でていた)

「ううううう…!別に俺は高望みなんてしてねーんだ。器のちっちぇえ俺には平凡な幸せで満足なんだよ。それでお腹いっぱいのはずなんだ!……そ、そりゃ、淑玲の前に金持ちの坊ちゃんが現れたと聞いた時にゃ、目が眩んだりしたけども…!!」
「え?」
「でもでも、たいていの父親だったら娘がいいところに嫁いで苦労せずにやっていけると思ったら、気持ちが傾くだろう?欲張りになるだろう?悪魔の囁きにのっちゃうだろう!(?)」
「……金持ちの坊ちゃん……?」

この時、お兄さんの眉がぴくっと動いたのは、俺の気のせいだったのだろうか?

「…お兄さん…?」
「…そっかー。淑玲ちゃんにお金持ちの坊ちゃんかー」
「あ、あー…」
「それは、おめでたいネ!」

お兄さんは俺にニッコリと微笑んだ。そして、パチパチと祝福の拍手までしてくれた。さっきのはやっぱり俺の気のせいだったのだろうか?

「オメデタイ!オメデタイ!ねえ、おやっさん?」
「お、おう…」

でも、なんだろう。そのキレイな笑顔に少し凄味を感じるような…?お兄さんの後ろに何か不穏な空気が見え隠れしているような…?俺の野性的な勘が「オニイサン、チョット怒ッテルネ!コレ、モシカシテ、ヤキモチヨ。ヤキモチ、ヤイテルネ!」とそう告げている。

「いやいやいや、そんなお兄さん、まだその坊ちゃんとうちの淑玲がどうなるかなんてわからねえんだからさ」
「…ふうん。わからないんだ?」

お兄さんは変わらぬ笑顔で、俺に「で?」と話の続きを促す。あれ、お兄さん?今までの俺への優しさはどこへ行っちゃったんだい…?

とりあえず、知っていることは全部話した方がよさそう(身のため)だな…。俺はお兄さんの顔色をうかがいながら、自分の知っていることを話した。

「昨日さ、淑玲がその坊ちゃん家に行ったみたいなんだよ。かなりいい車で送り迎えしてもらったようでさ。まあ、それで俺はどこかの金持ちじゃないかと思ったわけなんだ」
「…で?(どんなやつだったの?)」

無言の圧力って言うのは聞いたことがあるが、もしかしたら、笑顔もそういう力があるんじゃないだろうか。笑顔の圧力…いや、脅迫か…?

「…そのー、俺は坊ちゃんの顔を見てないんだけど。えっと、淑河の話じゃ、けっこうカワイイ顔…」
「ふうん。淑玲ちゃんって意外と面食いなんだ(僕の顔には興味をしめさないのに…)」

しまった!

「いやいやいやいや!カワイイ顔って童顔って意味だよ、お兄さん!嫌だなあ。そんなお兄さんに顔で勝てるやつなんているわけないよ!」
「…そうかな?」
「ソウダヨ!」
「うん、実は僕もそう思ってるんだ!」

お兄さんは満面の笑みでこたえる。相変わらず、自分の見た目に関して、スゲー自信だな、オイ。

っていうか、危ねー危ねー。お兄さんのご立腹、なんとか回避だぜ!俺は汗を拭き拭き、大きく息を吐いてから続けた。

「今朝、淑玲にその坊ちゃんについて聞き出そうとしたんだが、無理だったんだ。あいつは『違う!』の一点張りで、さっさと野菜を積んだ大きな荷車を持って逃走しちまうしさ。だから、詳しいことは俺にもよくわからいんだよ!」

お兄さんはチラッと俺を見る。俺は選手宣誓をするようなスポーツマンの面持ちで、裁判の証言台で宣誓書を読み上げるような証人の気持ちで、お兄さんに「俺の知っていることは全部話しました!嘘なんてついてません!(正々堂々と誓うぞ、この野郎!)」と猛アピールした。

「ナルホドネー」

お兄さんは腕を組んで、何やら考えをめぐらせている。あれ、納得して頂けなかったのかな。後半、お兄さんの顔を誉めて持ち直したと思ったんだが…。

っていうか、お兄さんって本当にその坊ちゃんに対して、ヤキモチをやいているんだろうか?そんなに淑玲のことを思ってくれているのだろうか?

さっきも言ったかもしれないが、お兄さんが淑玲を大事にしてくれていることを俺は知っている。

女好きで遊び人のお兄さんはあいつ(淑玲)をからかいはしても、簡単に手を出さないでいてくれることを。見えないところで、あいつのために色々と手を貸してやっていたり、行動派のあいつがしでかした騒動(事件?)をフォローしてくれていたり…。

それが好意でも家族愛でも俺はどっちでもいいと思っていたんだが…。

実のところ、家族愛よりも、やや好意がまさっていたりするのかい?そのへん、ちょっと教えてくれよ、お兄さん。


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