=お知らせ=
最終更新
★「1001夜ショートショート」はいつの間にか開設4周年。なんだかんだと続けられているのがすごいです。これもみなさまのおかげ。本当にありがとうございます!今年はこちらで色々書きたいなあ。なんか声に自分が追いつけなくて、ひょこひょこ新しい物語は生まれてるのにみんなコールドスリープ状態。書き途中の物語もいっぱいあるのに中途半端で申し訳ないです。とりあえず、今日UPしたこの物語は絶対書き切らねば!私が今、一番書きたい物語なので。

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↓↓【第310夜】 AF ARMY ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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ぼやけていた。 世界はいつもぼやけていた。
俺はなぜか世界の輪郭をうまくとらえることができなかった。どうしてだろう。

でも、戦場で銃をかまえている時だけは違った。

目の前は一瞬にしてクリアになり、俺ははっきりと世界の輪郭をとらえることができた。銃をかまえれば、楽に照準を定め、敵の命を難なく奪うことができたのだ。傭兵として生きることができてよかったと思う。きっとこれが俺の天職だったのだろう。…でも、真っ当な人間がそんなことを聞いたら、嫌悪感や不快感をあらわにするんだろうな。俺を好き勝手に罵ったり、軽蔑したりするのだろう。

『 あなたはまだ自分がどんな人間なのかを知らない 』

いつか誰かにそんなことを言われた。 俺は思わず笑っちまったね。

なら、教えてくれよ。俺が本当はどんな人間なのかをさ。


    *


「こちらの民間軍事会社でアフガン戦闘区域を取材をすることになりました。戦場カメラマンのサワダ クミコです」

俺は笑顔を作ったまま、横にいた同僚の胸ぐらをつかんだ。

「…女が来るなんて聞いてないんだが?」

両手を上げつつも、米国人のケリーの態度はひらきなおっていた。

「言ったよ、俺は。お前と同じ日本人が取材に来るってさ。だから、お前にそいつの護衛をまかせるって。…アソー、お前こそ聞いてなかったのか?」

俺は怒気を強めた。

「それは聞いたが、女とは言ってなかった!」

だるそうに耳の穴に小指を突っ込んで、ケリーはため息をついた。

「言ったら、アソー、絶対断るだろう?女なんて気をつかって面倒くさいとかって」
「当たり前じゃないか!俺じゃなくても、みんな断る!」
「じゃあ、誰が彼女を見んの?お前、こんな戦場にひとり置き去りにするつもりか?」

今度は俺がため息をつく番だった。

「取材自体を最初から断ればよかっただろう!?」
「そうはいかない事情があるんだ。民間軍事会社なんて名ばかりのフリーの傭兵をただ預かってるうちみたいな組織は金がねえ。それに新聞社に貸しを作っといて損はないからな。話を聞いたら、来るやつは平和ボケした日本人でしかも女だっていうじゃないか。戦場なんか見せてみろ。怯んで速攻帰るだろうさ。短い期間でたんまりもらえる金はもらっとこうぜ。うちにはちょうどよく日本人がいるし、そいつにでも押し付けとけばいい。あ、これは俺の考えじゃないからな。上からの意見、お達しね」

がっくりと俺は肩を落とした。胸ぐらをつかんでいた手をケリーがはらう。

「まあ、お前が故郷を嫌ってるのは知ってるよ。でもさ、それがアソーの乱視の原因でもあるんじゃないの?」
「乱視じゃねえよ」

ケリーはひらひらと手を振った。

「そうだな。お前、銃の腕はハンパないもんな。百発百中。いや、千発千中もいいところだ」
「誉めてくれてどうも、ケリー」
「視覚を補うためにめちゃくちゃ体を鍛えたのも知ってる。肉弾戦もいけるしな」
「はいはい、どうも」
「なんなの、その研ぎ澄まされたカンは。野生動物か!?ってな。お前、どんだけ傭兵向きなんだよ。まあ、何よりもここが一番重要で肝心なんだが…」
「だから、誉めてくれてどう…」
「顔がこわくない!」
「は?」

俺は間の抜けた声を上げた。ケリーは俺の肩を強くつかむ。まるで獲物を逃がさないように―。

「俺らって見た目がおっかないやつ勢ぞろいだが、奇跡的にお前だけは別だ。喜べ、アソー!人あたりのよさには定評がある!いや、さすがNOとは言えない日本人!ウン、やっぱりお前が適任だ!!」
「全然誉めてねえー!しかもテキトーに納得して押し付けるな!!」

その時、話にひとり置き去りにされていた彼女の笑い声が響いた。


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 樹なつみ『OZ』
★ 開口健『輝ける闇』
★ Fightstar『Mono (Album Version)』

いつか予告した物語です。本当はきちんと書き切ってショートショートとしてあげたかったんですけど、このままだと三か月以上ずっと「1001夜ショートショート」が未更新になってしまう。今あまり時間がなくてしっかりかけないのがかなしいな。この物語、少しずつ続きをUPしていきますね。もしかしたら、続きは新着ではなく、このままここにどんどん書いていくかもしれません。良ければ、チェックしてみて下さいませ。

最近タイトルは見たら話の内容を思い出せるものにしようと思ってます。そうしないと、私自身が以前書いた物語の内容を思い出せないということに気づき…。今回のこれは写真の用語らしいAF(オートフォーカスの略)と傭兵の意味がありそうなARMY(アーミー)と言う単語をただ並べただけです。カメラマンと傭兵が出てくるから、もうこれでいいや。でも、なんとかアーミーってタイトル、好きなんですよね。どうしてそう感じるんだろうと思ったら、たぶん浦沢直樹「パイナップルアーミー」の影響だと気付きました。

① 樹なつみ『OZ』 
https://www.amazon.co.jp/OZ-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E5%8F%8E%E9%8C%B2%E7%89%881-%E6%A8%B9-%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF/dp/4592188829/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1468722940&sr=1-3&keywords=oz+%E6%A8%B9%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF
ミリタリー系の物語を書きたいと思わせてくれたSF少女漫画。こちらは漫画夜話(漫画を批評するTV番組)で「完璧すぎてつっこむところがない!」と言われた名作だそう。男も女も人外も?惚れる傭兵・ムトー(主人公)のカッコ良さがハンパない!それにあやかれるように私の物語の主人公も今回アソーと語尾の長めな似た名前になったんだと思います。樹なつみ作品はまだ全制覇してないのですが、全部読もうかな。

② 開口健『輝ける闇』
https://www.amazon.co.jp/%E8%BC%9D%E3%81%91%E3%82%8B%E9%97%87-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%96%8B%E9%AB%98-%E5%81%A5/dp/410112809X
これは小説なのか、ノンフィックションなのか…。ずいぶん昔に読みましたが、この本のラストの一文が強烈過ぎて忘れられません。なんか本当に闇が落ちてきた。

③ Fightstar『Mono (Album Version)』
https://www.youtube.com/watch?v=Le_sCwlQkcQ
この音楽がなかったら、生まれなかった物語。いやはや、この音楽の物語を引き寄せる吸引力は凄まじかった。ラストのシャウト、ヤバイな!洋楽なので歌詞の意味はよくわかりませんが(英語苦手なので)…。もし歌詞の意味を知っていたら、また私の物語の内容も違っていたのかもしれません。
Fightstar『Mono (EP Version) 』
https://www.youtube.com/watch?v=3FzgPdTbvAs
メロディ的にはAlbum Versionの方がすきですが、画像こちらの方が気に入ってます。



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