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【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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↓↓【第303夜】 リバーフィッシュ  ジャンル:友情 ↓↓
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ボクは幸せが何かを知っているよ。君は知らないのかい?


    *


水の流れる音がする。
その流れに身を任せながら、僕はある場所へ向かうんだ。

「やあ、君はまた川の流れに乗って、ここに来てくれたのかい?」

のんびりやのそいつはいつも川で魚釣りをしながら僕を迎えてくれる。そこを大きな蓮の葉にのった僕が流れ行くんだ。

「魚が釣れなくて、とても退屈をしていたんだ。君が来てくれて良かったよ、フィッシュ」
「僕はまた釣れない魚の代わりなのかい?君が僕に付けてくれた名前はイカしてると思うけど、意味が魚ってどうなんだろう」
「どうしたんだい、フィッシュ?」

こいつには、僕の不満が聞こえなかったらしい。無垢な目を向けられ、僕は困ったように笑った。

「なんでもないよ。久しぶり、リバー。本物の魚じゃなくて悪いけど、また僕の蓮の葉を君の竿で釣ってくれるかい?」

僕が手を振ると、リバーは朗らかに笑った。

「いいだろう。こいつは大物だ!」

彼はリバー、向こう岸に住まう者。僕はフィッシュ、川を流れ行く旅人だ。


    *


彼のルアーが僕の蓮の葉をとらえると、僕をのせていたそれはようやくとまった。

「またしばらくここにいられるんだろう?君の旅の話を聞かせてくれないかい、フィッシュ?」
「出たな、ねだりやリバーめ!」

彼は僕の旅の話を小さな子供のようにせがむんだ。

「いいじゃないか、フィッシュ。ボクは君の話が好きなんだ。君の話は実に面白いよ」

そんなことを言われてノーとは言えない。僕はのせられやすいタチなんだ。

「いいだろう。今回は実に危険な旅だったんだ。驚くなよ、リバー?」

僕は彼に聞かせてやった。世界がどぎつい紫色に染まっていったこと。あちこちに火の手があがり、あたりをごうごうと焼きつくしていったこと。人々は罵り合い、殺し合い、僕は見ていて、とてもつらくなったことを―。

「きっと、あれが戦争というやつだったんだろうな」

そして、ついにおかしな閃光が放たれたこと。それから、大きな大きなきのこ雲を見たこと。僕は泣きたくても泣けなくなったこと…。

「フィッシュ、君は巻き込まれなかったのかい?」
「巻き込まれたよ。でも気づいたら、またこの川を蓮の葉にのって流れていた。きっと川辺のどこかにいて、蓮の葉に守られたんだろうな」

僕がそう言うと、リバーが少し哀しげに微笑んだ。

「そうか。それはとても危険な旅だったな。ここで少し休むといい。ボクがいっぱい魚を釣ろうじゃないか。なに、おいしいからって驚くなよ、フィッシュ?」
「それはいい!…でも、君は僕の蓮の葉をとめているせいで、竿もルアーも使えないぞ?」

僕らは顔を見合わせた。

「…そうだった」
「これだからな、リバーは。ぬけてて、実に面白い!」

僕らは笑った。会えなかった時間を埋めるように、たくさんたくさん笑った。


    *


僕はしばらくこの川で過ごした。

向こう岸にいるリバー。川の中を大きな蓮の葉にのっている僕。不思議なことに、僕はそこから動くことができなかった。そこから出ることができなかった。どうしても向こう岸にいくことができなかったんだ。僕は彼の姿を見ることはできても、触れることはできない。声をきくことができても、隣りで囁き合うことはできない。なぜだろうといつも思う。でも、こういうものなんだろうともいつも思う。

「きっとリバーと僕では、住む世界が違うんだね」
「そうだね、フィッシュ。でも、ボクはこの状況をそんなに悪く思ってないよ。こうして君と、ときどき会えるじゃないか?」
「そうだけど…」

君と過ごすこの川の時間はとても心地いいんだ。僕は君と離れたくないんだよ。君は 違うの?

「フィッシュ、ボクは幸せが何かを知っているよ。君は知らないのかい?」

僕がさびしそうな顔をしていたんだろう。リバーが朗らかに笑った。

「何も誰かとずっと一緒にいることが幸せじゃない。たとえ遠く離れていても、誰かをずっと想えることがボクの幸せなんだよ、フィッシュ」

僕は目をこすった。目が真っ赤になるまで強くこすった。

「……僕もそうだよ、リバー」
「ボクはここで一人で暮らしているけど、さびしくないよ。君がときどき会いにきてくれるからね!」

リバーが竿に手を伸ばした。

「行っておいで、フィッシュ。ボクは待っているから。川を流れて、またここに遊びにおいで。君の旅の話をボクに聞かせてくれないか?」

ルアーが離れ、蓮の葉がゆっくりと動き出した。

「リバー、僕はまたここに来るよ!絶対絶対、君に会いに来るよ!」

僕は彼が見えなくなるまで、大きく大きく手を振った。

「「また会おう!」」


   *


水の流れる音がする。
その流れに身を任せながら、僕はある場所へ向かうんだ。忘れられない君に会いに行くんだ。

「大物がきたな!」

僕が手を振ると、リバーは朗らかに笑った。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 白鳥マイカ『線』 × 誰かが作った「ムーミン」MAD 

いつか書こうと思って忘れられていた物語。この音楽を聞いて思い出しました。この物語のタイトルは最初『線』(まんまでした)だったのですが、私は『~フィッシュ』ってタイトル作品がけっこう好きで、(吉田秋生『BANANA FISH』とか洋画『BigFish』『ソードフィッシュ』とか)それらにあやかって(?)こんなタイトルになりました。あと、全然関係ないかもしれないけど、リバー・フェニックスも好きだし。

① 白鳥マイカ『線』 × 誰かが作った「ムーミン」MAD 
http://nicotter.net/watch/sm8936337
ムーミンにハマっていた時に出会ったMADです。音楽も映像もいい感じで、この物語が生まれました。このMADも素敵ですが、音楽にあう映像をのせてPVやMADつくる人って本当すごいなあ。そのセンス、どうなってんの!?私は物語が書けるとかより、こういうのがデキるようになりたかったなあ。あと、映画の予告編つくりとか!


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コメント

rurubuさん、お久しぶりです~^^

ああなんか、物質というより精神的なお話ですね。
放たれるそして帰る、また放たれるまた帰る、そんなことが長く長く繰り返されているよう。

フィッシュが話す旅の話をリバーはすでに知っている。
知っているけれども、うんうんと聞いている。
そしてまた行っておいでと送り出す、おかえりと迎え入れる、みたいな。
「僕」は一人じゃなくてたくさんる。そんな気も。

やっぱりrurubuさんのお話は良いわぁ。浸れる~^^
けい│URL│06/26 14:02│編集
けいさんへ
> rurubuさん、お久しぶりです~^^

けいさん、お久しぶりです~!いつもコメントありがとうございます!^^
>
> ああなんか、物質というより精神的なお話ですね。放たれるそして帰る、また放たれるまた帰る、そんなことが長く長く繰り返されているよう。

ああ、ありがとうございます。そんなふうに読み取って頂いて、とても嬉しいです^^


> フィッシュが話す旅の話をリバーはすでに知っている。 知っているけれども、うんうんと聞いている。そしてまた行っておいでと送り出す、おかえりと迎え入れる、みたいな。「僕」は一人じゃなくてたくさんる。そんな気も。やっぱりrurubuさんのお話は良いわぁ。浸れる~^^

ややや、そんなそんな!浸れるなんて言って頂けるとは。とても恐縮&光栄です><そうなんですよね。リバーは実は何もかも知っているふうで。なんとなく最初書いていた時、この二人はムーミンとスナフキンのイメージだったのですが、書き終えると、案外そうでもないかも…。僕は一人じゃなくてたくさんいるとか、けいさんの感想はいつも深いわ~。きっとそうかもしれません。色々な人がここに来ているのかもしれない!
rurubu1001│URL│06/26 19:11│編集

お久しぶりです、こんばんは。

とても素敵なお話でした!
共に居られる時間が短いからこそ、彼らは心の底から笑いあえるのですね。
何度も出会いと別れを繰り返してきたのでしょうか。

そして、こちらのMADも素敵ですね。
MADやPVを作る方は、本当にセンスがありますよね。
この曲は、このお話にも合う気がします…
スカイ│URL│06/27 23:50│編集
スカイさんへ
スカイさん、お久しぶりです。

コメントありがとうございます!

> とても素敵なお話でした。 共に居られる時間が短いからこそ、彼らは心の底から笑いあえるのですね。何度も出会いと別れを繰り返してきたのでしょうか。

そんなふうに読み取って頂けて、とても嬉しいです^^心の底から笑いあえる友達(仲間?)というのはとても大切ですよね。出会いと別れを繰り返しながら、何度もそういった人たちと出会えるといいな。

> そして、こちらのMADも素敵ですね。MADやPVを作る方は、本当にセンスがありますよね。この曲は、このお話にも合う気がします…

おお、MAD見て頂けましたか。そうなんですよ、とても素敵なMADで。こういうの作れる人に憧れているんです、昔から。この話にも合うと言って頂けて感謝感激です><。
rurubu1001│URL│06/28 19:14│編集
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
││09/01 12:37│編集
ネリム さんへ
ネリムさん、お久しぶりです!

コメントありがとうございます。

> お久しぶりです二人の繋がりが素敵だなと思いました。


ありがとうございます。とてもうれしです。人の繋がりってありがたいものですよね。
rurubu1001│URL│09/02 00:09│編集
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