いらっしゃい。

あなたの名前は?あなた、自分の名前を覚えてないの?そう。でも、気にすることはないわ。私も同じ。私も自分の名前なんて知らない。そんなのあるだけむなしいだけよ。

ここ?…ここを説明するのは難しいわね。とにかく、ここは話をするところなの。そして、話を聞くところ。私もそれしか言えないわ。ここに来る人はみんな話をしたくてたまらないし、誰かの話を聞きたくてたまらないという人ばかり。あなたもそうでしょ?わからないって?あなた、面白い人ね。大丈夫。そのうちそうなるから。

ほら、あそこに満月がみえるでしょう?

月の満ちる夜だけ、ここに人が集まるのよ。私が一番のり。あなたは二番のりね。でも、順番なんて本当は関係ないのよ。ここではただ、好きな時に思ったことを口にすればいいだけ。好きなように、言葉を並べればいいだけなのよ。

まだ他の人たちが来るまで時間がかかりそうね。なら、私が何か話をしましょうか?どんな話がいいかしら?こんな夜だもの。素敵な話がいいわね。そうね。じゃあ、『星つくりのコック』なんてどう?あなたなら、きっと気に入ってくれると思うわ。

この夜空に輝きを放つあの星が、どうやってできるかをあなたは知ってる?

実はね、あれは『星つくりのコック』と呼ばれる者たちがつくっているのよ。彼らはね、決して姿をあかしたりはしない。もしかしたら姿すらないのかもしれないけど。彼らはただひっそりと作業を行うの。誰にも気づかれないようにね。

星ができる源は幸せのちからと言われているわ。私たちの幸せが星を作るなんて、とても素敵でしょう?だから、あんなに尊くて、輝きに満ちているんだわ。でも、だからこそ、私たちの幸せは長くは続かない。

それは『星つくりのコック』が知らぬ間に、私たちの幸せを横取りしているから…。

不思議な話よね?私たちを生んだ星に今度は私たちが犠牲をはらっているなんて。そのことを知った時、私もあなたと同じ顔をしていたわ。素直に喜べないのよね。

でも、彼らも悪気があってしているんじゃない。それが彼らにかせられた使命だから。しょうがないことなのよ。あなたもしょうがないと言って、何かをあきらめたことがあるでしょう?

ほら、また一つの星が生まれた。生まれたての星の産声を聞いてみて。泣いている声があなたにも聞こえるでしょう?

まだあんなにも幼い。かわいい赤ん坊なの。自分がなんて貴重な存在かも知らない無力な子供。こうやって星は生まれるのよ。

どう気に入ってくれたかしら?

たぶんあなたなら気に入ってくれると思ったんだけど。そう、良かったわ。気に入ってくれて。話を聞いてくれてありがとう。

でも、浮かない顔をしているわ。どうしたの?

そういえば、随分時間がたったのに、まだ誰も来ない?そうね。…でも、私はあなたがいてくれればそれでいいの。私はあなたが来てくれたことが、とても嬉しいのよ。喉から手が出るほど。

…だって、これでようやく成長できるから。

実はあの話、まだ終わってないの。まだ、ただの始まりに過ぎないわ。

生まれたての赤ん坊にはミルクが必要。赤ん坊には成長するための、とびきりの力が必要なの。それは幸せの力よりも尊いものなのかもしれない。『星つくりのコック』は星をつくるだけで、その後のことを忘れているバカなやつら…。

だから、赤ん坊の星は人の元へ自ら降り立つしかない。月の満ちる夜にだけ、星は人の姿をかりて、自分で生きる力を手に入れるしかないのよ。

顔色が悪いみたいだけど大丈夫。少しずつ楽になっていくから。だって、あなたと私は一つになる。同じきれいな美しい星になるのよ。

そう言えば、あなたの話をまだ聞いていなかったけど、あなたの話は私の中でゆっくり聞かせてもらうわ。時間はたっぷりあるから。

さあ、私と一緒に素敵な星になりましょう。


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コメント

うお。星つくりのコック、罪つくりですねえ。
ここ、やばい? 出たほうが・・・な感がします。

きれいで素敵な星になれるとしても・・・
ご一緒は遠慮させていただきたいかも(^^;)
けい│URL│08/13 20:09│編集
タイトルなし
>けいさん

いつも本当にありがとうございます!

前回UPしたおバカなノリの話は一体どこへ…ってかんじですよね。
(ここ最近の自分はどうも軽いノリの物語が好みらしいです)

昔書いたこれはホラー風味だったから、自分でもビックリ>< もうぜひ全力で逃げて下さい!
書いててなんですが、私も逃げますし。昔の自分、ごめん!みたいな(苦笑)。

色々ヘンテコなところ、訂正中ですが、私のPCの更新って
ちょっと遅れているようで、未だにさっき訂正したのが直ってなく…。
みなさんも更新速度ってけっこう時間かかったりしてるのかな?まあ、気長にやろう。。。
rurubu1001│URL│08/13 23:55│編集

このテイスト、結構好きですねw

あと、上手く言えないですが、深さやエロさも感じました

色々とw
blackout│URL│08/14 00:08│編集
Re: タイトルなし
>blackoutさん

いつも本当にありがとうございます!

好きな方がいてくれて良かったです~。

>あと、上手く言えないですが、深さやエロさも感じました 色々とw

まさか、そんな要素が…!言われるまで、全然気づきませんでした(汗)
でも、そうやって考えるとようやくこの話も面白味が出てきたかもと大発見!
さすがblackoutさん!エロ男爵の称号を差し上げたい(笑)。いつもありがとうございます^^
rurubu1001│URL│08/14 22:40│編集
=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Cocco 「強く儚い者たち」× 小花美穂「水の館」 ★

高校生の頃に書いた物語。昔書いた自分には申し訳ないけど、そんなに需要ないだろうなあと思ってました。だから、コメントや拍手を頂けてびっくり&無意味な物語なんてないのかな?と勇気づけられたというか。ありがたいことです、本当に。

① Cocco 「強く儚い者たち」
http://www.youtube.com/watch?v=vyF5VwEsARY
たぶん、この曲の世界観に影響を受けた気がします。Coccoの声は私の中で「甘露」というイメージ。優しくて甘いけど、とても哀しい声。あと勝手に「巫女」のイメージも。全然関係ないことも言っていいのなら、彼女を見るとなぜかアンジェリーナ・ジョリーさんがちらつくんですよね(笑)。なんだでろう、心に秘めた凶器を持ってそうな感じだからかな?どちらも魅力的で大好きです。ちなみに個人的に好きな曲も。
「ポロメリア」
http://www.youtube.com/watch?v=D95ruvdmZNE
「Raining」
http://www.youtube.com/watch?v=9FAIOjdeO8E
探してたMステライブ映像も!「焼け野が原」
http://video.fc2.com/content/200911236WCJMXpd/

② 小花美穂「水の館」
http://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E3%81%AE%E9%A4%A8-%E3%82%8A%E3%81%BC%E3%82%93%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E5%B0%8F%E8%8A%B1-%E7%BE%8E%E7%A9%82/dp/4088561686
私の好きなヒロインの一人に小花美穂「こどものおもちゃ」の紗南ちゃんがいます。とにかく元気で大好きでした。演技派子役の彼女が作中、演じた怖い幽霊の役がありまして、初登場シーンの凄味のある「いらっしゃい」は衝撃的で忘れられないものに。「いらっしゃい」といえば、私の中で三枝さんより、どうも彼女になってしまったんですよね…。もしかして、「こどものおもちゃ」の方の絵かもしれませんが…。「こどものおもちゃ」は前半のエピソードが大好きで、いつも倉田サムで爆笑しちゃうんですよね。
rurubu1001│URL│08/16 02:25│編集

初めまして
ネリムと申します。

ロマンチックな話だなと思いました。
ネリム│URL│08/16 09:40│編集

新大陸の発見からずいぶんとたった

ゴールドラッシュで一山当てようと

ヨーロッパより山師たちが次々と移住してきた

その後を追うようにその山師達に食料品やら酒類

果ては女まで売りつけるために商売人達も大波の後のさざ波の如く

小刻みではあるが入植を始めた

夏が過ぎ、荒野の暑い時間帯も短くなり

日の光も夏至の日に比べれば、随分と短くなったある夕方

ウィレムは一頭の馬にまたがって、ようやっと木賃宿を見つけた。

この行商ルートを通る者達は、日の沈んだ後に外を歩き回ることを好まない

旅人達が恐れている盗賊でさえも、夜の獣や原住民達に夜を遠慮しているぐらいだ

ウィレムは冷えた両手を擦り合わせながら

木賃宿のドアを開けた

「うちは前金だよ」とその主人が言うので

かじかんだ手で巾着から必要なだけの金貨を出した。

暖炉の前はすでに多くの先客達によって陣取られていた。

座り順を見る限り、誰が先にこの宿のドアを開けたのか、想像にやさしいものだった。

暖炉の前の旅人達は寒さと疲れで、噂話や自慢話をするにはいくばくかの癒やしの時間を必要としていたらしかった。

ウィレムは「どこにいっても、こんなこと言うのは随分と気の引ける話だがね」

と主人に話しかけた。

「なんですかい。」

「いやな。俺の馬なんだが、まあ生憎と今日は一頭だけなんだがな。俺の親父は故郷では牧場主でな貴族さん達に馬を売っているんだがね。」

「ほう、そんなやつはここには五万といるよ。旦那みたいな奴に会うのは今日が初めてじゃあないですぜ。」

「さあ、そこだ。まあ,身の上を会ったばかりのあんたに話すのも妙なもんだが、分かってもらわなくちゃ、あんたは納得して俺の希望を叶えちゃくれないよ。」

「ま、金と場合次第ってモンですがね。」

「俺は親父に勘当されてね。この荒野と獣と原住民ばかりの辺境の大陸に追い出されたわけなんだがね。船代と馬だけもたされてここに来た。」

「そら、お気の毒さま」

「そうさ。しかもこの馬。俺が不便な思いをしないようにという親心だと思ったが大間違いだ。
こいつはエサが半端じゃねえ金が掛かり過ぎるんだよ。」

「大食らいの馬を旦那に押しつけたってこってすかい?」

「大食らいは違うが、押しつけたってのは当たってる。奴さんは草を食わねえんだ。」

「馬が草を食わねえで一体、何を食うんですかい?」

「牡蠣だとか貝なんだよ。奴さんはいつもバケツで3杯はぺろっと食っちまう。それと根っからの煙草呑みなんだよ。」

「冗談」

「みんなそう言いやがる。だが困ったことに奴さん腹が減ると闘牛なみに機嫌が悪くなるんだよ。この宿を壊しちゃすまねえからな。3杯とはいわねえよ。バケツで1杯でいから貝と煙草を数本、奴さんにやってくれねえかな?その分の金は出すから」

「ばかばかしいが、金をちゃんとくれるなら、そんなことはお安いご用ってなもんだ」

主人はバケツに貝を詰め込み、ポケットに煙草を数本いれて馬小屋へと行った。

暖炉の周りの旅人達もそんな主人の背中を見て、これは本当なら大変な見物だとついていった。

だが、馬は貝を食わなければ煙草も呑まず、他の馬と同じく干し草を食むばかりだった。

「旦那、一行に貝も食わなければ、煙草もやらねえですぜ。どうします?」

ウィレムは暖炉の一番前に座りながら、

「じゃあ貝は俺が食うから焼いて持ってきてくれ。その間、煙草でも吸って待ってるからさ」
manx mozreo│URL│08/16 13:50│編集
Re: タイトルなし
> ネリムさん

初めまして。コメントありがとうございます!

> ロマンチックな話だなと思いました。

おお、そんな要素もあったのかとビックリ&感激しております^^
rurubu1001│URL│08/16 20:20│編集
Re: タイトルなし
>manx mozreoさん

コメントありがとうございます!

せっかくの長文なので、後でゆっくり&じっくり読ませて頂きますね^^
rurubu1001│URL│08/16 20:26│編集
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