=お知らせ=
★最終更新(2015/07/03)
予約投稿の関係でアルファポリス様の方が若干更新が早くなっています(一日ほど)。お急ぎの方はアルファポリス様をチェックしてみて下さいね。申し訳ありません。
※パスワード入力が必要と表示されるものはアルファポリス様限定公開作品ですので、ここでは閲覧できません。お手数ですが、アルファポリス様(無料)をご利用ください。予約投稿中の作品もあり。詳細は下記。
【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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【第247夜】 今夜はブギー・バック  ジャンル:サスペンス/ショートショート 
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いつもと同じ。変わらない仕事帰り。窮屈なスーツにも、東京暮らしに、もう慣れた。就職して3年。サラリーマン街道まっしぐらの満員電車にのっていた。

「助けてくれてありがとうございます」

そこで痴漢にあっていた女子高生を助けた。

「お礼をさせて下さい。駅を出て、すぐそこだから」

「100円マックでも奢ります」くらいの軽いノリだったから、警戒心なんて、これっぽっちももたなかった。かわいい女の子に浮ついたのが運のツキ。

着いたのは学校だった。どっしりとした門構え。夜目にもわかる、大きくて綺麗な校舎。お嬢様学校だった。

「なんで女子高に…?」

さすがに不審がる僕に彼女は言った。

「一緒に来て」

それから悪戯っぽく笑って、僕の腕に自分の腕をからめてきた。

「お兄さんに教えてあげる」

誘惑は、甘い香りがした。 

「私たちの秘密」

甘すぎて、腕を振り払えなかった。

   *

彼女に案内され、講堂の扉を開けると、そこは照明をいい感じにおとした洒落こんだクラブのようだった。たくさんの人がいて驚く。女子高生だけじゃない。僕のようにスーツを着たいい年した大人が、彼女たちと一緒にソファーに座り、楽しそうに酒を飲んでいる。

「すごいでしょう?夜はここ、クラブになるの」
「…………」

クラブというより、これは秘密クラブの域では…?気のせいか、みんな仮面みたいなものをつけてますよね…?

「知ってる?今、私立の学校って経営難なの。だから、うちの高校はこうやって資金集めしてるんだ。お嬢様学校なんていって中身はこんななの。笑えるでしょう?保護者や卒業生の寄付金なんて微々たるもの。でも学校がなくなるのは嫌だから、友達と離れたくないから、こうやってみんなで頑張ってる」
「…そうなんだ。すごいな」

って何を感心しているんだ、僕は。

「もし顔を隠したかったら、これをつけて。」

そう言われて渡されたのは、ひげ付きメガネ…。まあ、本格的に仮面とか渡されるよりは、いいのかもしれない。僕もだいぶ理性が麻痺してる。

「かわいいでしょう?ド○キで購入したの」

素直にそれを受け取って装着した。かわいいかどうかは正直よくわからない…っていうか、お嬢様も行くのか、ド○キ。

「お兄さんも空いてるところにテキトーに座って。何か飲み物、持ってくる。何がいい?」
「じゃあ、ビール」

うっかり調子にのって酒を注文してしまった。彼女たちはまだ未成年だろう!と慌てる僕に女子高生は笑った。

「お兄さん、かわいい。そのめがねも似合ってる。了解!ちょっと待っててね」

そんなことを言われて浮かれる自分が恥ずかしい。僕もだいぶ理性が麻痺してる。

   *

テーブルに並べてくれた料理は手作りだというマルゲリータのピザ、それに焼いたチキン…。驚いた。見た目も味もなかなかだった。

「料理は家庭科部のみんなが作ったの。けっこういけるでしょう?講堂内の内装は美術部と演劇部の美術係が…。あ、ここの運営は生徒会ね」

気になって聞いて見た。

「…先生たちは何も言わないの?」
「さあ?知ってて見て見ぬふりしてるんだか。ここに紛れて楽しんでいる人もいるみたいだし…」

なんだ、そりゃ。

「世も末だな」
「世も末よね」

でもそう言いながら、シャーリー・テンプル(ノンアルコールカクテル)を飲む彼女に少しだけ安心したりする。

「ここのクラブ、理事長が推奨してるからね。うちの理事長、人気者なの。まだ若くて…」
「もしやイケメンとか?」
「う~ん。イケメンかもしれないなあ、お兄さんみたいに」

そう意味ありげに笑う。それが艶っぽくみえるのは、きっとクラブの雰囲気のせいだなと自分に言い聞かせる。カモン、理性!プラスモー、理性!

「だからって学生にこんなことをさせちゃいけないよな」
「そう?みんな楽しそうよ」

確かに。本来、手本になるべきはずの大人たちのあの醜態…。何を言っても説得力がないかもしれない。

「心配しないで、お兄さん。大丈夫。ここ、きわどいことは基本なしだから。これでも私たち、大人を厳選してるの」
「厳選?」
「はめをはずさない大人。正義感にとらわれ過ぎない、ちょっと臆病な大人。そうねえ、典型的ないい人を選んでるの」
「選ぶって…どうやって?」

彼女はくすっと笑った。

「例えば、満員電車で痴漢にあってる女子高生を助けてくれたりとか。その後、その子に簡単についていっちゃうようなね…」

わーお。それ、誰だよ?ダメじゃんそいつ。っていうか、まあ僕なんですけどね。ということは…?

「…わざと君は痴漢にあってるの?」

彼女は俯いた。ノンアルコールカクテルに沈みこんだレモンを細いストローでいじる。

「イケメン理事長が自ら体をはって頑張ってる。だから、みんなついてきてくれるのよ」

それをすくい上げて指でつまみ、僕の口の中に優しく押し込んだ。残されたレモンの酸っぱさが、かすかに広がる。

「頑張ってるんだな、イケメン理事長は」
「死んだ親が残してくれたのはこの学校だけだった。イケメン理事長にも思い入れがあるのかもしれない」

ふとクラブで流れる音楽が変わった。

〝ダンスフロア―に華やかな光  僕をそっと包むようなハーモニー〟

「ずいぶん懐かしい曲も流すんだな」
「…これ、いろんな人がカバーしてるから、けっこう有名じゃない?私の〝心のベスト10 第1位〟の曲なんだ」
「僕としてはカバーじゃなくてnice vocalのが好きだけど…」

〝ブギー・バック  シェイク・イット・アップ 神様がくれた〟

「あー、ヘタウマな感じのか。私も好き。今度はそれを流そうかな」

〝甘い甘いミルク&ハニー〟

「だから、お兄さん。良かったら、また来て」

不意にレモンの味が変わる。その危険な甘さに、ただ酔いしれていた。

   *

それからそのクラブに行くことはなかったし、満員電車で彼女に会うこともなかった。きっとあれは僕が見た不思議な夢だったんだろう。いくらなんでも女子高生が運営する秘密クラブって…そんな夢を見た僕もだいぶ理性が麻痺してる。

仕事帰りの満員電車の中で、誰かのイヤホンから音漏れするメロディが聞こえてきた。

〝ダンスフロア―に華やかな光  僕をそっと包むようなハーモニー〟

あの曲だ。でも、またnice vocalのじゃない。

〝ブギー・バック  シェイク・イット・アップ 神様がくれた〟

― 良かったら、また来て ―

〝甘い甘いミルク&ハニー〟

足は勝手にそこに向かっていた。一度しか行ったことがないのに、よく覚えていたもんだ。駅の近くというのも良かったのかもしれない。女子高につくと、驚いたことに守衛に案内された。

あの子は守衛まで懐柔したのか…。おーい!教育的指導が必要なのは子供なのか、大人なのか、いったいどっちなんだ!?わからなくて困るのは、僕も懐柔された側だからかもしれない。講堂の扉を開けると、ここのクラブのオーナーでもあるだろう彼女がいた。

「待ってたよ」

その笑顔にやられる。カモン、理性!プラスモー、理性!そう心の中で叫んでも、もう遅い。観念したように僕は笑った。

「君と僕の〝心のベスト10 第1位〟の曲を聞きにきたんだ」


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★小沢健二 featuring スチャダラパー『今夜はブギー・バック(nice vocal)』×霜月かよ子『真夜中のアリアドネ』★

ある作品を読んでから、秘密クラブを舞台にした物語を書きたーい!と思っていました。書こうと思った時に頭に流れて来たメロディは「今夜はブギー・バック(nice vocal)」でした。う~ん、全然サスペンスっぽくならなかったな。

① 小沢健二 featuring スチャダラパー『今夜はブギー・バック(nice vocal)』
https://www.youtube.com/watch?v=ZHAcWyAzPJM
これ、好きなんですよね。小沢健二さんの。色々な人がカバーしてるから、どうせならまとめて「みんなの今夜はブギー・バック集」をだしてくれないかな。

色々な人の「今夜はブギー・バック」カバーを見つけました。宇多田ヒカルも歌ってたんだ。
https://www.youtube.com/watch?v=O0vDFBtyFsA&list=PL_f2Fq5ErlR7956n8Cx7FbdJYG6oOxdkA&index=13

② 霜月かよ子『真夜中のアリアドネ』
秘密クラブでわけあって働く同級生を女子高生がすくう話。この漫画を読んでそういう舞台の物語を書いて見たくなりました。他にも、この作者さんのサスペンス系作品を只今追っているところ。
http://booklive.jp/product/index/title_id/26290/vol_no/001

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コメント

カモン、お兄さん~^^
良い人なのは、才能なのか罪なのか・・・
甘いのは女の子なのか、お兄さんなのか・・・

夢を見せてくれるような世界に入っちゃっても良いかもね。
秘密のクラブ活動に参加してみたいわぁ^^
マスク選びからわくわくしそう。
おっと、理性!^^
けい│URL│07/03 19:39│編集
けいさんへ
いつも本当にありがとうございます!

> カモン、お兄さん~^^良い人なのは、才能なのか罪なのか・・・甘いのは女の子なのか、お兄さんなのか・・・夢を見せてくれるような世界に入っちゃっても良いかもね。秘密のクラブ活動に参加してみたいわぁ^^マスク選びからわくわくしそう。おっと、理性!^^

お兄さん、未知なる世界へカモンされちゃいましたねえ。いい人は才能…なるほど!そうかも。甘過ぎちゃうのも、もしかしたら。おお、けいさんも秘密クラブ参加してみたいですか?私も身の危険がなければチラッとのぞき見したいかも!マスク選び、わくわくですよね。これは一緒にレッツド○キですね!おおっと、私も理性!^^
rurubu1001│URL│07/04 06:43│編集

お久しぶりです。
世も末と言われ続けてここまできましたからね。
行き着くところまでいってほしいですけどね。
女子高も最近は共学する昨今ですからね~。
色々大変ですよね。経営も。
LandM│URL│07/04 16:15│編集
LandM さんへ
コメントありがとうございます!

> お久しぶりです。世も末と言われ続けてここまできましたからね。行き着くところまでいってほしいですけどね。女子高も最近は共学する昨今ですからね~。色々大変ですよね。経営も。

ご無沙汰しております。私があしあとを残してしまったから、こちらまで来て頂けたんですよね。すみません。わざわざありがとうございます!

確かに女子高も共学になっているところが多いですよね。たぶん私の母校もそうかと思います。色々大変みたいですよね。どこの経営も。世も末と言われ続けましたが、行きついた先になにがあるか興味があったり、なかったりします~^^

またLandM さんのブログにお邪魔させて下さいね!
rurubu1001│URL│07/04 16:37│編集
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