※良ければ、先にこちらをどうぞ。
【目次】 淑玲『宮廷浪漫』シリーズ 【作品紹介】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-253.html
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「…なかなか面白い子じゃないか。でも、今日は野菜を売りに来たわけじゃないんだろう?淑玲、あんたの話を聞こうじゃないか」

私は説明した。俊楽堂で学びたいこと。そのためには、二日で生徒みんなに自分を認めさせないといけないこと。そこで思いついた『淑玲食堂はじめました(仮)』計画に、料理上手なお蔵さんにご協力願いたいことも。全部話し終える頃には、お蔵さんは大笑いをしていた。

「この富黄楼のお蔵にそんな頼みごとしてくるなんざー、あんたぐらいなものだよ。どっかのえらい貴族のお嬢さんかと思ったじゃないか!」
「ただのしがない八百屋の娘です。何の力もありません。でも、女の子が学びたいという気持ち、富黄楼のお蔵さんだったら、わかってくれると思ったんです、ここの妓女のみなさんに教育を施しているお蔵さんですもの」
「なら、富黄楼(ここ)においで。ここで働けばいい。男にも負けない教育を受けさせてやれるよ」

わーお、そうきたか!うまいな。ちゃっかり勧誘もしてるし!…でもだからって私は妓女になりたいわけじゃない。でも、それをそのまま伝えるのはよくない気がした。妓女を侮辱する発言に聞こえてしまう可能性もある。私にそのつもりがなくても…。

「どうだい、淑玲?」

下手に攻めて、私からいっぱい話さないほうがいいかもしれない。お蔵さんは私の発言のアラを探している。そして、全てを論破する気満々なのだ。なら逆の手を使おうじゃない。私は話し手から聞き手に回ることにした。でも、話の舵取りは譲らないわ。さあ、問いで切り返せ!

「お蔵さんはどうして珠露(しゅろ)を俊楽堂に通わせてるんですか?」
「?」

話が少しそれたので、お蔵さんがきょとんとする。

「ここでも立派な教育を受けさせることができるなら、ここで珠露も充分なはずですよね?」

― 僕は富黄楼の跡取りっていうのが重荷だったのかもしれない。花街じゃないところに行きたくてね、俊楽堂の話を店に来ていた人から聞いたんだ ―

珠露が前に出てまたそう言いかけるのを私はあえて止めた。目で訴える。待って珠露、ここはあなたも聞いといた方がいい。お蔵さんの考えていることをあなたも知っておいた方がいいと思う。お蔵さんは面白そうに私たちを見やった。

「珠露が、ここにいるのがつらいことを私も知っていたよ。花街一の妓楼とは言っても妓楼は妓楼さ。変な目でみる輩も多い。でも、この子は優しい子だからそんなこと口にも出さなかった。そのかわり、人と接するのが嫌になったのか、外にあまり出ない子になっちまってね…」

ん?それって…。

「ええ!?珠露、あなた、ひきこもりだったの?」

私が思わず声を上げると、元ひきもり少年・珠露は恥ずかしそうに言った。

「…ほんのちょっとだよ」

珠露がひきこもりだったなんて全然そんなふうに見えなかった。(っていうか、ほんのちょっとのひきこもりって何…?)お蔵さんは続けた。

「友達がいればよかったかもしれないが、どうも花街の子と反りが合わないようだったからね」

聞き手に回れ。相手の話をよく聞け。共感できるところを探すんだ。

「広い世界を見せたくなったのさ。商店街の無料の学問塾なら色々な子たちがくる。同世代の仲間もできるだろう?」

見つけたら迷わずそこを強く押せ。そしてうまいこと、こっちの共感を得る流れに持っていくんだ!

「私もそうです、お蔵さん。お蔵さんが珠露にそうさせたかったように、私も広い世界を見たかった。気の合う仲間も欲しかった。そして何より…!」

一瞬の間(ま)をあける。彼女がまっすぐ私を見つめるのがわかった。さあ、もうひと押し。ここが勝負どころだ!きっとあなたも私と似たようなことを感じでいたんじゃないかしら?

「学問なんて女には無理だ。そんな偏見をぶち壊したかったから!」

私は視線をそらさず、お蔵さんを見つめ返した。

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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

しばらく影響を受けた作品紹介を省略します。

★ YUKI ★
『鳴いてる怪獣』
https://www.youtube.com/watch?v=RKhOk-Ym-yg
『ランデヴー』
https://www.youtube.com/watch?v=r55074Ici6c

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次回更新まで、しばらくお待ちください。待たれている間に、こちらの物語なんぞどうでしょうか?
【第51夜】 少年の夢(中華風のお話。1話完結です)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-54.html
【第57夜】 笠森お仙騒動記
(淑玲に似た気が強いヒロインが登場します。ちなみに舞台は江戸。1話完結です)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-61.html
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コメント

相手の手に乗らず、聞き手に回ってこちらが主導権を握る、か。
いいやり方ですね。実生活でも使えそうだ……。
淑玲すごいです。カッコいい!
椿│URL│05/20 12:34│編集
椿さんへ
いつも本当にありがとうございます!

> 相手の手に乗らず、聞き手に回ってこちらが主導権を握る、か。いいやり方ですね。実生活でも使えそうだ……。淑玲すごいです。カッコいい!

そう言って頂けてとても嬉しいです~。(ここ盛り上がりの部分なんですが、自分じゃう読めるように書けたかとーっても不安だったんです。もし、「おや?」という部分があったら、気にせず言って下さいね^^)淑玲VS.お蔵さんの行方はこの後また違った展開が待ってるかと思います。花街に来たら、やっとかないと!みたいなノリで書いてしまったと思うのですが…お楽しみにー^^;
rurubu1001│URL│05/21 02:41│編集

淑玲ちゃん、うまいこと行きましたね。
人の話を聞くのって、実はとっても難しいもの。
相手の目線で、って、交渉ごとにはすごく大事だと思います。

ついでに、珠露のもとひきこもり情報もゲット(?)
え、そうだったの?
けい│URL│05/26 18:16│編集
けいさんへ
いつも本当にありがとうございます!

返信が遅くなってしまい、すみません><!

> 淑玲ちゃん、うまいこと行きましたね。人の話を聞くのって、実はとっても難しいもの。相手の目線で、って、交渉ごとにはすごく大事だと思います。

ここのところ、うまく書けているか不安だったのですが大丈夫でしょうか…^^;変に墓穴をほるよりも、相手意見・考えに沿っていく淑玲の作戦でした。女傑の珠露に対する考えもわかる場面でもあるのですが。こういうシーンって難しいですよね。むむむ。

> ついでに、珠露のもとひきこもり情報もゲット(?)え、そうだったの?

何気に珠露はそうだったみたいです。ほんのちょっぴりね^^
rurubu1001│URL│05/28 03:12│編集
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