良ければ、先にこちらをどうぞ
【目次】 『姫巫女と風使いの少年(仮)』シリーズ 【作品紹介】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-299.html
=================================

ずっとこの人の背中を追いかけていくものとばかり思っていた。尊敬する兄、凪(なぎ)の背中を…。

    *

隼(はやて)は今年で十六になり、ようやく忍びの里の長(おさ)に仕事を任されるようになった。はじめての仕事、しかも遠出だということに、彼はとてもはしゃいでいた。だが、理由はそれだけではなかった…。

「隼(はやて)、もう少し低く飛べ」

忍びの里で一番優秀である自慢の兄、凪(なぎ)と一緒だったからだ。兄弟と言っても彼らは少しも似ておらず、まったく異なった外見をしていた。隼は日に焼けた肌に太い眉、鋭い目をしているが、兄の凪は白い肌に細い眉、穏やかで優しい目をしている。

「凪、俺は高く飛ぶことくらいしか能がないのに、そいつは無理な話だよ!」

少年の隼は歯を見せてにんまり笑うが、青年の凪は静かに声を立てて笑う。

「でも、隼は一番里で跳躍力(ちょうやくりょく)があるだろう。滞空(たいくう)時間も長い。それは大きな武器だ」

兄に褒められ、隼は少し照れた。同い年の仲間には「ガキは高いところが好きだっていうもんな」とよく馬鹿にされるが、兄はそうではない。きちんと自分を評価してくれる。自信を与えてくれる。それがとても嬉しかった。

「俺は凪みたいに全てが勝(まさ)ってる方がいいけどな」

隼は羨ましそうにぼやいた。凪は一見痩せ型ではあるが、身体能力がとてもすぐれている。

「頭が良くて里長とも一対一で話せるし、若衆(わかしゅう)もまとめられるだろう?あ、それに飯炊(めした)きもできる。優秀だよ!」
「…誉められるのはいいが、飯炊きはちょっと余計かな」
「里の女衆(おんなしゅう)が言ってた。『凪のあとの飯炊きは比べられるから嫌だ』って。女泣かせだね」
「…お前、それ女泣かせの使い方、違ってるから…」

ふたりは笑った。里にいる時は少し年が離れているせいで別行動が多かった。彼らの忍びの里では血の繋がりは関係なく、年齢別にわかれて共同生活をしている。だから、今回のような仕事でもないと一緒に過ごすことができなかった。隼がようやく一人前になり、兄弟水入らずで祝福させてやろうという里長の配慮だったのかもしれない。

密書(みっしょ)を届けるという遠出の仕事も無事に済み、彼らは里への帰路(きろ)の途中だった。

「隼、そろそろ日が暮れる。野宿の準備だ」
「え?まだ俺、飛べるし、走れるよ」
「山の中は暗くなる前に寝床の確保って習ったろ?」
「えー」
「それに、明日には里につく。最後の夜くらいのんびりやろうぜ」

兄のそんな心遣いが弟はとても嬉しかった。山肌に出ると夕日は大きくてこぼれるように眩しかった。まるで目に痛いほどだ。一日が終わるのはとても早く、どこか惜しい気持ちになる。

充実している証拠だった。

=====================================


=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

うわ、これ一年半ぶりに書くんだ…。実はこの物語のシリーズ名をずーっといまだに悩んでおりまして。「鬼舞」って気に入ってたんですけど、すでにその名の本があるみたいなんですよね。なんてこったい。たぶん私の書く物語はこれからアクションがあると思うので、テキトーに語尾に「戦記」とかつけてみたりしたんですけど、う~ん。しっくりこない。もう今回きいていた音楽のタイトル「時空の風」を借りちゃおうかな。この音楽、すごいです。聞いたら、一気に物語の声が襲ってきたんですよ。和音楽、いいな。ハマりそう。


★ 荻原規子『白鳥異伝』
★ 藤田和日郎『からくりの君』
★ 明日香(from天地雅楽)『時空の風』

① 荻原規子『白鳥異伝』
http://www.amazon.co.jp/%E7%99%BD%E9%B3%A5%E7%95%B0%E4%BC%9D-%E8%8D%BB%E5%8E%9F-%E8%A6%8F%E5%AD%90/dp/4198605408
私を本好きにさせてくれた児童文学です。三部作で一番好きな本がこれ。ヤマトタケル伝説をモチーフにした和風ファンタジー。物語展開もそうですが、ここに出てくる登場人物みんなが好きでした。特にお気に入りは菅流(スガル)という男の子で、最初主人公の一人である少年の名前も字を変えて清琉(すがる)にしたくらい。でも、兄弟の凪の名前に合わせて変えました。風に関する名前で一文字の漢字を見つけて。活躍してくれるといいな。

② 藤田和日郎『からくりの君』
たぶん一番好きな時代モノ短編少年漫画です。お姫様と忍者のふたりが織り成す信頼関係もいいし、最後のネタ証しも圧巻です。

③ 明日香(from天地雅楽)『時空の風』
一気に和の世界が広がりました。何コレ。日本人の血が騒ぐ!というか踊る!
http://nicoviewer.net/sm11517920

□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

スポンサーサイト
  
コメント

ということで、戦記になったのですね。うん。良いですね。
いあ、私も忘れちゃっていたので、1にいってからまた戻ってきました(^^;)

兄弟もの、良いですね。
似ていないと言われてもそこは兄弟で、きっと似ているのでしょう。
仲が良いのが良いですね。
女泣かせの使い方、違うし。ぷぷ。

夜の山中でなんかあるのかな・・・
けい│URL│05/05 17:47│編集
けいさんへ
いつも本当にありがとうございます!

> ということで、戦記になったのですね。うん。良いですね。いあ、私も忘れちゃっていたので、1にいってからまた戻ってきました(^^;)

私もすっかり忘れていて、音楽を聞いて思い出しましたよ。そう言えば、和の感じの物語があったなと思い出しましたよ^^;

> 兄弟もの、良いですね。似ていないと言われてもそこは兄弟で、きっと似ているのでしょう。仲が良いのが良いですね。女泣かせの使い方、違うし。ぷぷ。夜の山中でなんかあるのかな・・・

そうなんです。この物語は兄弟もので。ですが、すでに微妙に仄暗い予感が…。山中でもしかしたら何かが起こるかもしれません。これから本当に女泣かせ(?)な男の子たちになるかどうかは、私の腕次第かも。う~ん、うまく書けるといいなあ。ご指導よろしくお願いいたします^^
rurubu1001│URL│05/06 01:59│編集
コメントする












 管理者にだけ表示を許可する?