旅先で見たある夢。
 
ある日、私の恋人が突然いなくなってしまった。

なぜ彼がいなくなったのかはわからないのだが、とにかく私は彼を探すため旅にでなくてはならない。そういうわけのわからなさが、まさに夢。ともかく、そういうわけで、私は旅に出ることになったのだ。

気付いたときには、身も心ボロボロになっていた。正直、すぐにでもぶっ倒れそうだった。
太陽は背中を焦がす勢いで私に迫り、喉はもうカラカラ。脳みそは、完全にとけはじめていたに違いない。でも、何かにかり立てられるように、私は歩き続けたのだ。

やがて、どこかの農村にたどり着いた。もう駄目だ…、と思ったその時、ふと誰かの声がした。

「お前さ、いったい何してるのぉ?」

中年の女の人の声だろうか。確認しようと目をしばたいたが、視界はなぜか真っ白で何も映し出さなかった。
彼女は私のやばさに気づいたのか、

「こりゃ、大変だわぁ!」

と、慌てて私に肩を貸してくれた。そして、どこか涼しげな木陰のような所へ連れて行き、私をその下へ寝かせると、頭に冷たいタオルか何かを敷いてくれた。

「おぉーい、誰かぁ!あれさ、もって来ぉい!」

私はお礼を言いたかったが、声は掠れていて、変な音が出るばかりだった。
そんな私の様子を察してか、彼女は気にすんなぁ、とにかく今は休めぇ、と何度も言ってくれた。私は彼女に出会えた事に感謝して、ようやくホッとすると、静かに目を閉じた。

しばらくすると、誰かの足音が近づいてきた。それと一緒に何か懐かしい甘い匂いが、私の元へ届けられた。

目を開けた。極上の西瓜だった。

真っ赤に程よく熟れた甘い雫。それが今にも滴り落ちそうで、私をたまらなくさせた。

喉が、ゴクリと大きく鳴っていた。そして次の瞬間、我慢ができず、西瓜に飛び付き、むさぼるようにそれをすすっていた。それから、今までに襲われたことがない強烈な歓喜が私の心を突き上げたのだ。

おいしい!今まで食べたどの西瓜よりも、最高においしい!こんな西瓜、食べた事がないわ!

とにかく私は、その西瓜を存分に味わっていた。ますます食べる勢いを増す私に、彼女は思い切り笑ってこう言った。

「そうかぁ。お前は、これを探してたのねぇ」

そこで、目が覚めた。


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コメント

スイカぁ~。その甘さは恋人にも匹敵する、かな。
今日のおやつはスイカ、みたいな正夢だと良いなあ。
けい│URL│08/27 19:39│編集
Re: タイトルなし
>けいさん

コメントありがとうございます!

> スイカぁ~。その甘さは恋人にも匹敵する、かな。今日のおやつはスイカ、みたいな正夢だと良いなあ。

これ実話なんですけど、なんかちょっとトラウマ的な夢に(苦笑)。
西瓜を見る度に、「ひー!」ってなるんですよね。西瓜おいしくて大好きなのに><
rurubu1001│URL│08/27 20:19│編集
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