『ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅ…』

限りなく昼に近い朝、私は自分のお腹の音で目が覚めた。

女子としてその目覚め方はどうよ?と思ったけど、人間生理現象には逆らえない。私は苦笑しながら、自分のお腹をよしよしこらこら、と軽く撫でた。

いけない。こんなことをしている場合じゃなかった。会社にいかないと…。

そう思い、起き上がろうとしてふと気づく。
そうだ。私はもう会社には行かなくていいんだ。だって、辞めたんだから…。

もう無理してあそこにいかなくていい。満員電車に押しつぶされなくていい。セイセイしたような、ホッとしたような、どこか後ろめたいような、なんとも言えない気持ちに一瞬とらわれてしまった。

いかん、いかん!と首を振る。

今は何も考える必要はなし!そうだ、そうだ!むしろ考えるな!(感じろ?)この点に関しましては、また改めて討議しましょう。そうしましょう。

人生の猶予期間。貯金はある。しばらくはなんとかなる。大丈夫さ。

少し開いた窓から、一人暮らしの部屋に気持ちのいい風が吹き込んだ。目の前の通りを歩く人々の笑い声が耳に優しい。私の住んでいる街、吉祥寺の穏やかな朝。カーテンの隙間から差し込む陽の光りにウトウトとまどろむ。

『ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅ…』

それを邪魔するかのように、またお腹が鳴ってくれた。うむ、君はなかなかしぶといですな。

『 しぶといですなじゃなくて、いい加減に起きてくれる?限りなく遅い朝っていうか、もう昼だよね。…ワタシ、腹ペコなんだけど… 』

誰かが私に訴えた。うつらうつら「あなたは誰?」と閉じた瞼ごしに問いかける。

『 ワタシは天使のような、悪魔のような…まあそれ系の人なんだけど…っていうか、覚えてないの?あんたがワタシを呼んだんじゃない?誘ったんじゃない!? 』

…私が呼んだ?…誘った…?

そーっと目を開けて、一人暮らしの1K部屋を見渡す。誰もいない。どうやら、頭の中で謎の得体のしれない人物と会話をしているようだ。

『 覚えてないの!?あんたが言ったのよ。頭の中をシェアさせてくれるって! 』

頭の中をシェア!?…え?シェアって、ルームシェアとかのシェア!?

天使のような、悪魔のような…まあそれ系のよくわからない人の台詞に私は目を瞬いた。全然記憶にない。ちなみに、そんな知り合いはいないし。知り合いたくもないし。お迎えが来たとか、新興宗教の勧誘とか、変な壺を買わされるとか、それがらみの人って普段から警戒しているくらいなんだけどな。

『 まあ、いいや。あとでゆっくりがっつり思い出してよ。んで、今日はどうすんの?あんた、どうせやることないんでしょう!?ここでお腹を空かして泣(鳴)いてることしかできないんでしょう? 』

…やることは、確かにない。けど、なんか失礼な言い方だな。

『間違ってないでしょう?なら、暇ってことよね?うふふ!しめしめ!』

謎の得体のしれない人物がニヤリと笑う気配がした。何、なんなの…?っていうか、あなた本当に私の頭の中に住み着いてるの?私の質問を無視して、天使のような、悪魔のような…まあそれ系の人はオカマのようなダミ声で私にささやいた。

『 それなら、ワタシにつきあって。一緒にこの街を、吉祥寺を食べてみない? 』



は?


吉祥寺を食べる……とな!?



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  菊池亜希子『みちくさ』 × RADWIMPS『セプテンバーさん』 ★

アルファさんにUPしていたものをこちらにもどしました。(理由は『1001夜ショートショート』が過疎ってたから)…といっても、『1001夜ショートショート』では、初お目見えになるのでしょうか。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

① 菊池亜希子『みちくさ』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%BF%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%95-%E8%8F%8A%E6%B1%A0-%E4%BA%9C%E5%B8%8C%E5%AD%90/dp/4093423822
好きなモデルさんの東京おすすめお散歩MAPです。一時期、これをもって東京めっちゃ歩いて、めっちゃパンばかり食べてました。菊池亜希子さんの私服もイラストも素敵なんです。

② RADWIMPS『セプテンバーさん』
https://www.youtube.com/watch?v=R_X9B0WlPic
途中からこの物語を書く時は、いつもこれを聞いていた気がする。もしかしたら、RADWIMPSで一番好きかもしれないな。



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最終更新
★「1001夜ショートショート」はいつの間にか開設4周年。なんだかんだと続けられているのがすごいです。これもみなさまのおかげ。本当にありがとうございます!今年はこちらで色々書きたいなあ。なんか声に自分が追いつけなくて、ひょこひょこ新しい物語は生まれてるのにみんなコールドスリープ状態。書き途中の物語もいっぱいあるのに中途半端で申し訳ないです。とりあえず、今日UPしたこの物語は絶対書き切らねば!私が今、一番書きたい物語なので。

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↓↓【第310夜】 AF ARMY ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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ぼやけていた。 世界はいつもぼやけていた。
俺はなぜか世界の輪郭をうまくとらえることができなかった。どうしてだろう。

でも、戦場で銃をかまえている時だけは違った。

目の前は一瞬にしてクリアになり、俺ははっきりと世界の輪郭をとらえることができた。銃をかまえれば、楽に照準を定め、敵の命を難なく奪うことができたのだ。傭兵として生きることができてよかったと思う。きっとこれが俺の天職だったのだろう。…でも、真っ当な人間がそんなことを聞いたら、嫌悪感や不快感をあらわにするんだろうな。俺を好き勝手に罵ったり、軽蔑したりするのだろう。

『 あなたはまだ自分がどんな人間なのかを知らない 』

いつか誰かにそんなことを言われた。 俺は思わず笑っちまったね。

なら、教えてくれよ。俺が本当はどんな人間なのかをさ。


    *


「こちらの民間軍事会社でアフガン戦闘区域を取材をすることになりました。戦場カメラマンのサワダ クミコです」

俺は笑顔を作ったまま、横にいた同僚の胸ぐらをつかんだ。

「…女が来るなんて聞いてないんだが?」

両手を上げつつも、米国人のケリーの態度はひらきなおっていた。

「言ったよ、俺は。お前と同じ日本人が取材に来るってさ。だから、お前にそいつの護衛をまかせるって。…アソー、お前こそ聞いてなかったのか?」

俺は怒気を強めた。

「それは聞いたが、女とは言ってなかった!」

だるそうに耳の穴に小指を突っ込んで、ケリーはため息をついた。

「言ったら、アソー、絶対断るだろう?女なんて気をつかって面倒くさいとかって」
「当たり前じゃないか!俺じゃなくても、みんな断る!」
「じゃあ、誰が彼女を見んの?お前、こんな戦場にひとり置き去りにするつもりか?」

今度は俺がため息をつく番だった。

「取材自体を最初から断ればよかっただろう!?」
「そうはいかない事情があるんだ。民間軍事会社なんて名ばかりのフリーの傭兵をただ預かってるうちみたいな組織は金がねえ。それに新聞社に貸しを作っといて損はないからな。話を聞いたら、来るやつは平和ボケした日本人でしかも女だっていうじゃないか。戦場なんか見せてみろ。怯んで速攻帰るだろうさ。短い期間でたんまりもらえる金はもらっとこうぜ。うちにはちょうどよく日本人がいるし、そいつにでも押し付けとけばいい。あ、これは俺の考えじゃないからな。上からの意見、お達しね」

がっくりと俺は肩を落とした。胸ぐらをつかんでいた手をケリーがはらう。

「まあ、お前が故郷を嫌ってるのは知ってるよ。でもさ、それがアソーの乱視の原因でもあるんじゃないの?」
「乱視じゃねえよ」

ケリーはひらひらと手を振った。

「そうだな。お前、銃の腕はハンパないもんな。百発百中。いや、千発千中もいいところだ」
「誉めてくれてどうも、ケリー」
「視覚を補うためにめちゃくちゃ体を鍛えたのも知ってる。肉弾戦もいけるしな」
「はいはい、どうも」
「なんなの、その研ぎ澄まされたカンは。野生動物か!?ってな。お前、どんだけ傭兵向きなんだよ。まあ、何よりもここが一番重要で肝心なんだが…」
「だから、誉めてくれてどう…」
「顔がこわくない!」
「は?」

俺は間の抜けた声を上げた。ケリーは俺の肩を強くつかむ。まるで獲物を逃がさないように―。

「俺らって見た目がおっかないやつ勢ぞろいだが、奇跡的にお前だけは別だ。喜べ、アソー!人あたりのよさには定評がある!いや、さすがNOとは言えない日本人!ウン、やっぱりお前が適任だ!!」
「全然誉めてねえー!しかもテキトーに納得して押し付けるな!!」

その時、話にひとり置き去りにされていた彼女の笑い声が響いた。


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 樹なつみ『OZ』
★ 開口健『輝ける闇』
★ Fightstar『Mono (Album Version)』

いつか予告した物語です。本当はきちんと書き切ってショートショートとしてあげたかったんですけど、このままだと三か月以上ずっと「1001夜ショートショート」が未更新になってしまう。今あまり時間がなくてしっかりかけないのがかなしいな。この物語、少しずつ続きをUPしていきますね。もしかしたら、続きは新着ではなく、このままここにどんどん書いていくかもしれません。良ければ、チェックしてみて下さいませ。

最近タイトルは見たら話の内容を思い出せるものにしようと思ってます。そうしないと、私自身が以前書いた物語の内容を思い出せないということに気づき…。今回のこれは写真の用語らしいAF(オートフォーカスの略)と傭兵の意味がありそうなARMY(アーミー)と言う単語をただ並べただけです。カメラマンと傭兵が出てくるから、もうこれでいいや。でも、なんとかアーミーってタイトル、好きなんですよね。どうしてそう感じるんだろうと思ったら、たぶん浦沢直樹「パイナップルアーミー」の影響だと気付きました。

① 樹なつみ『OZ』 
https://www.amazon.co.jp/OZ-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E5%8F%8E%E9%8C%B2%E7%89%881-%E6%A8%B9-%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF/dp/4592188829/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1468722940&sr=1-3&keywords=oz+%E6%A8%B9%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF
ミリタリー系の物語を書きたいと思わせてくれたSF少女漫画。こちらは漫画夜話(漫画を批評するTV番組)で「完璧すぎてつっこむところがない!」と言われた名作だそう。男も女も人外も?惚れる傭兵・ムトー(主人公)のカッコ良さがハンパない!それにあやかれるように私の物語の主人公も今回アソーと語尾の長めな似た名前になったんだと思います。樹なつみ作品はまだ全制覇してないのですが、全部読もうかな。

② 開口健『輝ける闇』
https://www.amazon.co.jp/%E8%BC%9D%E3%81%91%E3%82%8B%E9%97%87-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%96%8B%E9%AB%98-%E5%81%A5/dp/410112809X
これは小説なのか、ノンフィックションなのか…。ずいぶん昔に読みましたが、この本のラストの一文が強烈過ぎて忘れられません。なんか本当に闇が落ちてきた。

③ Fightstar『Mono (Album Version)』
https://www.youtube.com/watch?v=Le_sCwlQkcQ
この音楽がなかったら、生まれなかった物語。いやはや、この音楽の物語を引き寄せる吸引力は凄まじかった。ラストのシャウト、ヤバイな!洋楽なので歌詞の意味はよくわかりませんが(英語苦手なので)…。もし歌詞の意味を知っていたら、また私の物語の内容も違っていたのかもしれません。
Fightstar『Mono (EP Version) 』
https://www.youtube.com/watch?v=3FzgPdTbvAs
メロディ的にはAlbum Versionの方がすきですが、画像こちらの方が気に入ってます。



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