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↓↓【第307夜】 グッドバイ  ジャンル:歴史 ↓↓
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人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう。

女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう。

幼い頃、病気のせいで右足が麻痺して動かなくなった。

学生の頃、乗っていたバスが事故にあい、腹部に重傷を負って子宮が使いものにならなくなった。

人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう。

女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう。

ねえ、どうして。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

私の人生は常に自分の決して答えが出ることのない『どうして』と向き合って行く日々だった。

家族は、こう言ってくれた。

『フリーダ、愛しているよ。それを忘れないで』

最初の絵を描いた。

キャンバスの前では素直になれた。

私は自分の運命を呪うことができた。

激しく、痛ましく。

それが私、フリーダ・カーロの画家としての個性になった。

絵は人々に高く評価され、私は賞賛された。

でも、それでいったいどうなったというのだろう。私は何を手に入れられたというのだろう。

自分が足りないものが堂々と明るみに、世間に、おもてに、出ただけだ。

人間として、女として、足りないものが―。

私は知っていた。

描く絵も、人の愛情も、決して私を救うことはできない。

私は私という深淵をのぞくことしかできないのだから。

本当の私はどこにいるのだろう。

人間としての私は?女としての私は?

いったいどこにいるのだろう。どうして、ここにいないのだろう。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

やがて壊死した右足を切断しなければならなくなった。

この苦痛はいったいどこまで続くのだろう。

私はどうして苦痛に耐え続けなければいけないのだろう。

描く絵は決して私を救うことができないはずなのに、どうして私は描き続けるのだろう。

人の愛情は決して私を救うことができないはずなのに、どうして私は求め続けるのだろう。

私は私という深淵をのぞくことしかできないのに―。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

それが人間という生き物だから?それが女という生き物だから?

…ああ、そうか。

たとえ、きちんとしていなくても私は人間なのだ。女なのだ。

新しい家族は、こう言ってくれた。

『フリーダ、愛しているよ。君自身もきっとね』

最後の絵を描いた。

キャンバスの前では素直になれた。

私は自分の運命を許すことができた。

優しく、愛おしく。

さようなら。

『人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう』

そう問い続けた自分に。

さようなら。

『女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう』

そう問い続けた自分に。

さようなら。

最後の絵に、思いを込める。

『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』





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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★サカナクション『グッドバイpiano arr.』×フリーダ・カーロ『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』★ 

これがおそらく今年最後のUPだと思います。他にも書きたいものがありましたが…。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

たぶん一般の方だと思うんですけど、サカナクション『グッドバイ』をピアノアレンジしていて 、それをたまたま聞いたところ、ガツンとやられまして。このピアノにあうような物語を書きたいと強く思ったんです。実際、書けたかは謎ですが。 なんでフリーダ・カーロが出てきたのかもよくわかりませんが…。

① サカナクション『グッドバイ piano arr. 』
https://www.youtube.com/watch?v=lXAJABHC_ds
原曲よりもこっちのピアノVer.の方が私は好き気かも。なんかドラマチックで。いや、原曲もいいんですけどね。
ちなみに原曲はこちら。サカナクション『グッドバイ 』
https://www.youtube.com/watch?v=kt5-Al0CMuk

② フリーダ・カーロ『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』
画家フリーダ・カーロの遺作。それまで狂気じみた痛々しいものが多かったのに、最後の最後にこれとかなんてカッコいいんだ、フリーダ!これもギャップ萌えというのでしょうか。だてに眉毛くっついてないですよ、フリーダ。 私が彼女を知ったのは本上まなみさんが芸術家を紹介するテレビ番組でした。毎回、取り上げる人物とナビする女優さんが違っていて面白かったんですよね、あの番組。好きだったんだけどなあ。タイトル名、なんだったけ。もう一度、見たい!


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↓↓【第306夜】 スカーフェイス  ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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誰かが言った。

どんなにいい酒があっても飲まなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいい女がいても抱かなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいい銃があっても撃たなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいいマフィアがいても暗躍しなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。


アンタは知ってるかい?

禁酒法時代に酒を売りまくり、女を買いまくり、銃を撃ちまくって暗躍したマフィアを―。

そいつの顔には傷があった。そう、深い深い傷さ。

一度見たら忘れられない、スカ―フェイス(向こう傷)ってやつだ。

でも、そいつは酒に溺れ、梅毒に犯され、あげくファミリーに裏切られ、銃弾に倒れた。

貧民街の孤児から暗黒街のトップまで成り上がり、すべて自分が支配している―。

そう思っていただろうに皮肉なもんだ。


…どうして、こんな話をするかって?

なーに、思ったのさ。

どんなにいい物語があっても語らなければ意味がないし、その価値もわからないだろうってね。

これは他の誰でもない俺の言葉さ。

最後に通りすがりのアンタに聞いてもらいたくなったんだよ。

スカ―フェイスと恐れられたマフィア、もうすぐ道端で野たれ死ぬ俺の話をさ。




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ TK from 凛として時雨 『Signal』 × アニメ『91Days』 ★ 

本当は違うハードボイルドの話を書きたかったのですが、ちょっとそれは時間がかかりそうで他のものになりました。人物モデルはアル・カポネですが、違うところもあるので半分フィクション感覚でお楽しみ下さい。

① TK from 凛として時雨 『Signal』
https://www.youtube.com/watch?v=uNjKYBnRbdE
これを聞きながら書きました。『91Days』の主題歌で賛否あったみたい。私は好きなんだけどな。


② アニメ『91Days』
https://www.youtube.com/watch?v=m5XGnMPR-0o
復讐するきっかけとなった手紙の差出人が明かされた時は、正直ちょっと「ん?」ってなったのですが(ごめんなさい。もっと意外な人物が良かったなと思ってしまって)、それ以外のところでは面白く見てたんですよね。もっとこんなオトナで渋い上質アニメやってくれればいいな。


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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて3年半?くらい経ちました。2016年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-384.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、ネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2016年、『 第4回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!(←古っ))

limeさんの小説ブログ『DOOR』で完結済の小説『KEEP OUT』シリーズ と 『モザイクの月』です!!!

今回は自分的小説ブログ大賞、初の2作品W受賞(しかも同じ著者!)になります。おめでとうございます~!!

なんでこんな異例の事態になったかと言うと…。

実はlimeさんはこれまで最終的に自分的小説ブログ大賞をとる作品といつも接戦を繰り広げてきた方なんです。毎年毎年、この時期になると、私をとんでもなく悩ませていたわけで(なーんて言い方はあれだけど^^)。読む作品読む作品、全部候補作。その後、最終候補作に入ってしまうから、ついには読むのがこわくなって、読むブレーキをかけてしまったくらい。

最初、私はてっきりプロの作家さんが内緒でネットに小説を公開しているのだろうと思いました。読んだ方ならわかると思いますが、小説の完成度がハンパないのです。ミステリー&サスペンス系が好きな方、もちろんそれ以外の方も、ぜひlimeさん作品にしびれて下さいませ。

今回は特に好きな2作品を選ばせて頂きました。キャラクターや物語の個人的な好みで言えば、『KEEP OUT』シリーズを押したい!でも、『KEEP OUT』シリーズの結末は人を選ぶかもしれない…(私は大好きな結末なのですが)。その点をふまえると、『モザイクの月』はみんな納得の結末というクオリティだと思うんです。なら『モザイクの月』でいいじゃんって言われそうだけど、『KEEP OUT』シリーズ、好きなんだよー!繊細な春樹と気が強い美沙のすれちがいコンビの切なさがたまらないんだよー!ごめんなさい、ひとつの作品にしぼれませんでした…><!!


ぜひみなさま、limeさんの『KEEP OUT』シリーズと『モザイクの月』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『KEEP OUT』シリーズ(長編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-304.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-305.html
 小説名 :『モザイクの月』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-813.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-814.html


今回は、limeさんの『KEEP OUT』シリーズと『モザイクの月』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html





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↓↓【第305夜】 喪服にレモン、少女にはショートケーキを。 ジャンル:友情 ↓↓
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お葬式をしよう、私たちのお葬式を―。


    *


喪服に袖を通す。鏡にうつる見慣れない自分の姿に一瞬立ち尽くした。
目の前にいるのは未だ少女の面影を残す、大人になりきれない自分だ―。

黒は女性を一番美しく見せると教えてくれた友人を思い出す。 

「誰かの受け売りだけどね」

そう笑って付け足したのは確か香澄(かすみ)だ。校則で決められた制服のスカート丈をいつも気にする、お洒落や流行に敏感な子だった。

「へー、それが本当なら喪服が一番女性を輝かせるのね」

シニカルな理子(りこ)がそう返すと、香澄はふくれた。

「なんでそうなるのよ。喪服なんていかにも不幸全開じゃない!」
「そう?私はある意味、素敵だと思うけど。人に助けを求めたり、情に訴えるにはもってこいというか…」
「理子はひねくれてる。そう思うでしょう、えっちゃん?」

香澄と理子が言い合いになると、いつも私の出番だった。

「う~ん。喪服だけじゃ暗いから何か持たせればいいんじゃない、アイテムとか?」

仲裁に入ると言うよりも、話題を微妙にをそらし、問題をうやむやにするのだ。

「は?アイテム!?…でも、喪服に赤いリボンのついたカチューシャでもすれば可愛くなるかな?」
「空飛ぶ魔女にでもなる気?『落ち込んだりもするけれど、私は元気です』って」

頷きかける香澄に、静かにつっこむ理子がおかしかった。私は笑って言った。

「でも、なんかの小説にあったよ。お葬式に喪服を着て、お供えの花がわりにレモンを持っていくの。そんな感じを目指せば?」
「喪服にレモンねえ…」
「確かに黒と黄色のコントラストがいいね!なかなかセンスあるじゃない、それ書いた人!」

自分が誉められたようで、なんだか少しこそばゆかった。

「―ったく、あいかわらず上から発言全開だなあ、香澄は」
「理子に言われたくないんですけど!」
「はあ!?」
「なによ!?」
「まあまあ、香澄も理子もおさえておさえて。あ、そうだ。そういえば、最近みた再放送のドラマで喪服を着たままショートケーキを食べてたのがあったな。死んだのが双子のお姉ちゃんの方で、お葬式と自分たちの誕生日が重なっちゃったから、妹が家族に隠れてこっそり泣きながらショートケーキを食べてた」

ふたりがしんみりとする。

「それ切ないな」
「うん、切ないね」

何気に心が優しい。彼女たちのそういうところも私は好きだった。不意に香澄が言った。

「こうなったら、やるっきゃないわ!」
「何を?」
「決まってるじゃない、お葬式よ、お葬式!」

突然の彼女の提案に、私と理子はぽかんとした。しばらくしてから、理子が眉を寄せた。

「…えっちゃん、最近私たちのまわりで誰か死んだっけ?」
「ううん。たぶん誰も死んでないから大丈夫だよ、理子。うちは曾おじいちゃんも未だ健在だし」
「それはよかった。…いや、よくないよ!あ、よくないのは曾おじいちゃんがご健在のことじゃなくて、目の前にいる香澄のトンデモ発言なんだけど…香澄、もしかして誰か殺したいのかな?」
「…え、まさか私たちに殺人の片棒を担がせようと…?」
「何、言ってるの、ふたりとも?私は誰も殺さないし、殺させないわよ!そういうことじゃなくて、私はね、お洒落にお葬式をしたいって言ってるの!」

私と理子は顔を見合わせた。…お洒落にお葬式…?

「わかるでしょう?」
「「いや、もっとわからないよ!!」」

私たちは声を合わせた。香澄は腕を組む。

「人が死ぬとかじゃなくて、理由はなんでもいいのよ。…そうね。例えば、そろそろ高校も卒業だし、私たちが少女でいられる時間にさようならをする…そのためのお葬式とか、どう?」
「少女でいられる時間にさようなら?なら、処女でも喪失してくれば?あっけなく少女を終了できるよ」
「普通に高校の卒業式じゃダメなのかな?」

理子と私の意見に香澄は首を横に振った。どうも処女喪失も学校の一大行事も彼女の美的センスにはそぐわないらしい。

「ダメ、全然お洒落じゃない!!喪服を着てレモンをそなえたいの!で、最後はショートケーキで献杯!!」
「…ショートケーキで献杯って」
「少女でいられた無垢な時間にみんなで別れを告げるの。高校を卒業したら、みんなバラバラになるんだし…何か思い出にできる、絶対に忘れないようなことをしておきたいじゃない」

最後の方が尻すぼみになる香澄の言葉に胸がちくりと痛んだ。高校を卒業したら、私は地元を離れて京都にある文系の大学へ進む予定だ。理子と香澄は地元に残るけど、理系の大学とファッション系の専門学校で進路が違う。

「もうしょうがないなあ。どうする、えっちゃん?」
「この流れはやるしかないんじゃない、理子?」

香澄の顔がぱっと輝いた。

「じゃあ、決定ね!いつにしようか?やっぱり卒業式の後かな?こっそり学校にお洒落アイテム持ち込まないとね!って、ちょっと聞いてるの?」
「「キイテル、キイテル(棒読み)」」
「喪服にレモン、少女にはショートケーキを。お葬式をしよう、私たちのお葬式を―」


    *


喪服に袖を通す。鏡にうつる見慣れない自分の姿に一瞬立ち尽くした。
目の前にいるのは未だ少女の面影を残す、大人になりきれない自分だ―。

「まさか一人で喪服を着ることになるとはね」

黒は女性を一番美しく見せると教えてくれた友人を思い出す。
でも、彼女たちはもういない。あの頃の少女たちはもうどこにもいないのだ。

「地震のせいで、きちんと卒業式もできなかったしな」

私は大学に通えるアパートを探すため、あの日たまたま京都に来ていた。地元で大きな地震や津波があり、彼女たちが巻き込まれ、亡くなったことを後で知ったのだ。処女喪失でも卒業式でもない、私の少女時代は彼女たちの死によって終わりを告げたように思う。

「さて、そろそろ行かなくちゃ。お葬式をしよう、私たちのお葬式を―」

あの時間は二度と戻ってこないから。あの時間が二度と戻ってこないなら。

お葬式をしよう、私たちのお葬式を―。
喪服にレモン、少女にはショートケーキを。

あのふたりなら、きっと「切ないね」って笑ってくれるだろう。






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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ チャットモンチー『世界が終わる夜に』
★ 氷室冴子『恋する女たち』
★ ドラマ『すいか』
★ 峰浪りょう『ヒメゴト~十九歳の制服~』

チャットモンチー『世界が終わる夜に』を聞いて生まれた物語です。久しぶりに聞いたら、色々な作品の喪服女子(?)を思い出し、こんな物語になってくれました。

① チャットモンチー『世界が終わる夜に』
https://www.youtube.com/watch?v=G59XstT19K8
チャットモンチーはこの歌が一番好きかも。あ、他にも『ハナノユメ』のオーディエンスがノリノリになってしまう感じや『恋愛スピリッツ』の切なさ全開で始まる楽器の入りも好き。過去にフェスで生で聞けてよかったな。っていうか、これ作曲したの10代だったんだ!
チャットモンチー 『「ハナノユメ」Live 』
https://www.youtube.com/watch?v=7atUby6fpdE&list=PLtQ5pz_Dlq3zyCAjBjganYI_yazBkqduu&index=2
チャットモンチー 『「恋愛スピリッツ」Music Video』
https://www.youtube.com/watch?v=w4rUnPYXReE&list=PLtQ5pz_Dlq3zyCAjBjganYI_yazBkqduu

② 氷室冴子『恋する女たち』
https://www.amazon.co.jp/%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E3%82%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B0%B7%E5%AE%A4%E5%86%B4%E5%AD%90-ebook/dp/B00I4H1M9E/ref=sr_1_fkmr0_1?s=books&ie=UTF8&qid=1482600541&sr=1-1-fkmr0&keywords=%E5%AE%A4%E5%86%B4%E5%AD%90%E3%80%8E%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1
絶版のため、本をなかなか手に入れられず、読めたときは嬉しかったー。でも、もう内容うろ覚えですが。たしか物語の中で友人のお葬式に献花がわりにレモンを持っていくというエピソードあって、それがとても素敵だなって。氷室さん本人のお葬式にも、レモンを持っていかれた読者さんが多かったそう。

③ ドラマ『すいか』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B-DVD-BOX-4%E6%9E%9A%E7%B5%84-%E5%B0%8F%E6%9E%97%E8%81%A1%E7%BE%8E/dp/B0000TXORW/ref=sr_1_cc_1?s=aps&ie=UTF8&qid=1482600697&sr=1-1-catcorr&keywords=%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%80%8E%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B
ドラマの中で売れない漫画家が双子の姉を偲んで、家の屋根裏で喪服を着たままショートケーキを食べるシーンがあったんです。フォークを使わずに手づかみでがぶりと食べる姿がなんだか切なくて。ちなみに、この時の喪服が魔女の宅急便のキキみたいなかんじで可愛いかった。


④ 峰浪りょう『ヒメゴト~十九歳の制服~』
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%A1%E3%82%B4%E3%83%88%E3%80%9C%E5%8D%81%E4%B9%9D%E6%AD%B3%E3%81%AE%E5%88%B6%E6%9C%8D%E3%80%9C-1-%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E5%B3%B0%E6%B5%AA-%E3%82%8A%E3%82%87%E3%81%86/dp/4091837778
衝撃的な作品。自分の性に思い悩む19歳の若者たち。痛くてヒリヒリするけど、最後は笑顔が待っています。成人式に着物は着物でも振袖ではなく、喪服を着ていく女の子がいて世間に中指たてるシーンがあるのですが、そこがお気にいり。



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