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【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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↓↓【第302夜】 VS.たまごサンド  ジャンル:青春 2016/05/14 10:00UP↓↓
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ああ、愛しのたまごサンド様!

あなたは、どうして…どうして…どうして…!!

「見るも無残なお姿にーーっっ!?」

    *

涙にくれる私を保険医の宮村(男)が必死になぐさめていた。

「そんなに泣くなよ…」
「泣きますよ。これが泣かずにいられますか、先生!!」

私は高校の購買で一番人気の『幻のたまごサンド(1日限定3個発売)』を手に入れて、さっきまで幸せ一色だった。でも、それはもう過去の話。だって、目の前の宮村にそのたまごサンドを踏みつぶされたから―。

「…なんで私、廊下を走ってた男子とぶつかっちゃったんだろう。なんでその時、自分のたまごサンドをとっさに放しちゃったんだろう?」

宮村もほとほと困り顔だった。

「俺に聞かれてもなあ…。ぶつかったのは俺じゃないしな」
「どうして、それが地面に落ちたタイミングで先生が角を曲がって来るんですか?どうして、よりによって私のたまごサンドを踏んづけちゃったんですか?ヒドイ!ヒドすぎます!!」
「いや、ヒドイのは廊下を走ってた男子とよそ見をして(たまごサンドに気をとられ)そいつとぶつかったお前だろ。たまたま通りすがって地面に落ちてた食べ物を踏んだ俺はどう考えても不可抗力だ。やつあたりされる身にもなってくれ…」

反省の色がまったく見えない先生に、私は言ってやった。

「どうせなら、先生、(たまごサンドじゃなくて)私をキズモノにすれば良かったのに…!」
「…ちょっと待て。それオカシくないか?誤解を生む言い方はやめろ!」

私はしゃくりあげながら訴えた。

「…先生は知らないんです。うちの購買で売っているたまごサンドがどれほど凄いものなのか…」
「そんなに凄いものなのか…?」
「そうですよ!毎朝、近くの有名な養鶏場にとれたての新鮮な卵を購買のおばちゃんが自ら仕入れて、それを調理してくれるんです。それをまたおばちゃん手作りの優しいお味の食パンで包み込むんですから!たまごも食パンも厳選。だから、数も限られているんですよ!!」

先生は首を傾げた。

「それは別にたまごサンドが凄いんじゃなくて、購買のおばちゃんが凄いんじゃないか?」
「嫌だな。これだから先生は何もわかってない!」

ぽかんとする先生に私は続けた。

「今日は、たまたまお昼前の授業が自習だったおかげで、私は早めにスタンバイできたんです。チャイムよりじゃっかんフライング気味の好スタートで誰よりも早く購買に到り着くことができました。初めて、私はそれを手にすることができたんですよ!なのに、先生のせいである意味本当の『幻のたまごサンド』になっちゃいました!」
「…たまごサンドが凄いかどうかはよくわからないが、とりあえず、お前がちょっとウザくて面白い奴だってことはわかった」
「ああ、愛しのたまごサンド様ー!」

大袈裟に泣き叫ぶ私に宮村はやれやれと肩をすくめた。それから「行くぞ」と声をかける。「行くってどこへ?」と泣き面でたずねる私に、宮村は「どこでもいいだろ」と腕を引っ張った。宮村の突然の行動に思わず怯んだ。

「ひいー、まさか先生!本当に私をキズモノにする気…!?」

先生はため息を吐いた。

「何、バカいってるんだ。俺は色気のないガキに用はねえ!興味もねえ!言っておくが、お前にその可能性は微塵もかけらもねえ!」
「ヒドイ!こっちこそ願い下げだ!」

じたばたと暴れる私を宮村は引きずりながら家庭科調理室へと連行する。なぜ、調理室なんかに?

「今、作ってやるから」
「へ?」
「俺が、今から作ってやる」
「…作るって、何を?」
「何をって『幻のたまごサンド』ならぬ、『幻の幻のたまごサンド』をだよ!」

一瞬、何を言われたのかよくわからなくて、反応が遅れてしまった。

「……ど、どんなミスター味っ○ですか、それは!?」

いかん、私としたことが!ツッコミのキレもいまいちだ!

「まあ、見てろよ」

そう言って先生は手品のように、どこからかたまごを取りだした。

「…マ、マジシャン!?」

いつの間にか調理器具もセットされている。

「…保険医でマジシャン!?…先生がちょっとウザくて面白い奴だってことはわかりました」
「どこかで聞いたようなセリフだな」

先生が笑う。気落ちしていた私のテンションが不思議と上昇する。もしかして、本当に『幻のたまごサンド』をこえる一品に出会えるのだろうか?期待に胸を膨らませていると、不意に宮村がボールに卵をぶつけた。

「え?」

あれ、どうしてたまごを割っちゃうの…?私の戸惑いに気づきもせず、宮村は慣れた手つきでボールの中にたまごを割り、菜箸でそれをかきまぜ始めた。しまった。またツッコミが遅れた!

「こら、何やってるんですか!?たまごサンドはまず、ゆでたまご作りからです!それが常識でしょう、先生!?」

宮村は怪訝な顔をする。

「お前こそ何をいってるんだ!俺の知っているたまごサンドはな、こうやって作るんだよ」
「はあー!?」

たまごをさっさとかきまぜ、宮村は熱したフライパンにそれを流し入れた。

「ちょっと待て―!それは、ただのたまご焼きでしょう!!どこがたまごサンドだっていうんですか!?『その可能性は微塵もかけらもねえ!』、先生!」

またどこかで聞いたような台詞に宮村は吹き出した。

「こら、女子高生!女子らしさがまるでないぞ。その調子じゃ、モテる女子の可能性は微塵もかけらも…おおっと、ここは以下同文だったな!」
「うまいこと、言った気にならないで下さい。…嫌だな。これだから先生は何もわかってないわ!たまご焼きとゆでたまごを間違えるなんてお話にならないわ!」

宮村はおかしそうに笑っている。

「言葉使いをお嬢様っぽく変えたところでダメだぞ。お前の理想女子の方向性はだいぶ間違ってるな」

余計なお世話だ。そうこうしてるうちに、フライパンにおいしそうなたまご焼きができあがってしまった。

「先生には心底がっかりです。料理男子アピールされても、たまごサンドも作れないようじゃ、トキメキません!」
「…でも、俺んちだと、たまごサンドはこうやって作るんだよ。ほれ、あたたかいうちに食うぞ。そこの食パンをとってくれ」

いつの間にか用意されていた市販で売っている食パンがあった。それを宮村に渡す。うまいこと、たまご焼きを食パンにのせると、あろうことか宮村はマヨネーズとケチャップをつけてサンドしてしまった!

「ひいー、何をやってるんですか、先生!は!まさか私にこれを食べさせて復讐でもする気!?巻き込まれた腹いせ!?」
「復讐?腹いせ?何、わけわからないことを言ってるんだ。ほら、黙って食ってみろ!」

そういって宮村はたまご焼きサンドなるものを私の口につっこんだ。むぐっ、やっぱり復讐じゃんか!

ところが、私の口に入ったそれはまさかの輝きを放った。まだ冷めやらぬたまご焼きと柔らかめの食パンはパサつくこともなく、ゆでたまごサンドにありがちなボソボソ感もなく、しっとりと舌に落ち着く。不安要素だったはずのマヨネーズとケチャップのコンビは相性が抜群で、いい感じの甘酸っぱさを披露した。

「…何、このハーモニー!」
「うまいだろ?」

……ぐぬぬ、そんな顔をされるとちょっと困る。たまご焼きサンドにトキメいたのか、何気にイケメンの先生の笑顔にトキメいたのか、よくわからない。私はぶんぶんと頭を振った。

「私の愛しのたまごサンド様がたまご焼きサンドに負けるわけがないわ…こんな邪道ごときに!」
「こら、邪道とはなんだ!俺に言わせれば、お前の言ってる、ゆでたまごサンドこそ邪道と思うがね!…なあ、本当はうまかったんだろ?」

唇を噛む私を見て、宮村はニヤリとした。

「悔しかったら、お前のいう、ゆでたまごサンドを今ここで作ってくれてもいいぞ」
「へ?」
「女子力があるなら簡単な話でしょう、お・嬢・様!」




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 安藤裕子『SUCRE HECACHA』 
★ スネオヘアー 『共犯者』
★ やまもり三香『ひるなかの流星』  

長編は書いていたので、物語を書くこと自体は久しぶりではなかったのですが、ショートショートは久しぶりでした。3~4か月ぶり?ゆでたまごサンドで育った私はたまご焼きサンドに出会った時、衝撃でした。関東と関西ではたまごサンドは違うと聞いたことがあるのですが、あれってこういう違いなのかな?そうではない気もするけど…。たまごサンドに限らず、家庭それぞれで作り方や味付けの違う食べ物ってけっこうありますよね。ちなみに、物語に出てきていた保険医の宮村先生は何気に他の物語でも登場しています。そちらも一応宣伝しておこう。
【第149夜】 過去世話(むかしばなし)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-141.html

① 安藤裕子『SUCRE HECACHA』
たぶん安藤裕子さんの音楽は私の物語スウィッチを入れてくれるんですよね。これを聞くまで、すっかりこの物語の声のことを忘れていて、久しぶりに聞いた途端、ドバーッと押し寄せてくるから。よかった。生まれていた声をそのまま、埋もれさせなくて。けっこうそう言うのが溜まって来ているみたいで、適度に消化せにゃいかんな、と反省。ショートショートも書かなきゃな。

② スネオヘアー『共犯者』
https://www.youtube.com/watch?v=hh1sXDMjIsA&list=RDSYDv9li6ZVc&index=8
途中からこちらも聞いてました。先生がたまごやきサンドを作る辺りから。爽やかなメロディにやられます。ところで、いつの間に、ともさかりえの旦那になったんだ、スネオは!

③ やまもり三香「ひるなかの流星」
https://booklive.jp/product/index/title_id/196642/vol_no/001
いつかどこかで紹介したかもしれません。先生と教師の恋愛モノって私はどちらかというとそう言う設定が苦手な方だったのですが、こちらの漫画を読んでから変わりました。転校先でこんな先生がいたら私も惚れてしまいますよ。私はやまもり三香さんの描く男性の横顔や体つき(ライン?)がとても好きなんです。今っぽくて細いんだけど、なんかキレイで。


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