※良ければ、先にこちらをどうぞ。
【目次】 淑玲『宮廷浪漫』シリーズ 【作品紹介】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-253.html
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あきらかに動揺している私に、宝春(ほうしゅん)はうっとりするような微笑を浮かべた。

…今、この女官は私に何て言った…?男装の麗人??ということは、私の正体が女ってバレてる…!?

じわりと背中に嫌な汗が流れた。宮廷内は王族と女官以外は女子禁制なのだ。だから、私は男装してこの宮廷にやってくるしかなかった。ここまで案内してくれたお使者に全くバレる様子もなかったから安心していた。甘かったのかもしれない。見る人が見たら、簡単に見破れるものだったのかもしれない…。

「それでは参りましょう」

先を促され、止まっているわけにもいかず、私は歩き出した。

明らかに一瞬、動揺したことが表情と態度に出ちゃったな。どうしよう。たぶんバレてる。どうやって、しらをきろう。どうやって切り抜ければいい?

私は前を歩く女官を見つめた。

この人はいったい何を考えてるのだろう?ただ面白がっているだけ…?それとも、このまま役人に突き出すつもり…?

目の前を颯爽と歩く宝春は女官の自信と誇りに満ちていた。すらりと伸びた背もそう見える一因かもしれない。おもての艶やかさとは違うその凛とした後ろ姿に私はため息を漏らした。

いいなあ。私の理想の女性像かもしれない。きっと女官だから頭もいいはずだし…憧れるなあ…っておいおい!この非常時に何を考えてるの、私は!この女官に正体がバレかかってるのに!気を抜いちゃだめ!とりあえず、今はこの女官の様子を見なきゃ!!

私は考えをめぐらせた。
私よりも年上(二十歳くらい?)で落ち着きを払った目の前の宝春の方がきっと何枚もうわてだ。

ただ黙って様子を見ているわけにもいかないだろう。このまま攻められて白旗を振るのがオチ。のらりくらりとうまく交わせればそれでいいんだけど、何か手立ては…?自分の力量を思い知るな。

私は息を吐いた。自分の力で無理なら、他の誰かの手を借りるまで、だ!

私は記憶の中でこういう女性とのやりとりにたけている、慣れている人物を探した。誰か参考になりそうな人物を。すると、一人脳内検索に引っかかった。うまくやれるかはわからないけど、何もしないでただ攻められるよりはいいかもしれない。腹を決めた。

私の覚悟を察したのか宝春はゆっくりと振り返り、また艶やかに笑った。

「そう何度も男装の麗人に、見つめられると照れてしまいますわ」

相変わらず、何て色香だろう。また惑わされないよう、私も隙のない笑顔をみせる。

「こんな美しい方にお会いしたのは初めてです。つい見とれてしまいますね」

自分で言った歯の浮くような台詞に思わずひるんだ。

私には難易度高すぎだ、コレ…。

へこたれそうになる自分に喝を入れ、頭の中で参考にした人物をしっかりと思い描く。私の隣の家に住む女遊びが大好きなお兄さんを。彼はこういう台詞を照れも恥ずかしさも微塵も見せず、言ってしまえる根っからの女たらしだ。色々な女の人が、彼の元に訪れてはなぜかニコニコしながら帰っていく。浮気性のお兄さんを恨みも怒りもしない。私は不思議でたまらなかった。だから一度お兄さんに聞いてみたことがある。すると…

「ただ相手を誉めてるだけなんだけどね。…あ、ちなみに淑玲(すうりん)ちゃんは今いくつ?」
「え、私の年齢(とし)ですか?十五ですけど…」
「じゃあ、お兄さんと遊ばない?そうしたら、もっと詳しく教えてあげるよ」
「は?」
「可愛い子は大歓迎。いつでもおいで」

終始にこやかなお兄さんに私は「可愛くないんで遠慮します」と即座に頭を下げ、我が家に逃げ込んだ。「女の敵!要警戒!!」と自分の頭の中で警鐘を鳴らし、危険人物と認定した。でも、その見方はちょっと改めた方がいいのかもしれない。

「まあ、お口がお上手ですこと」
「とんでもない。本音を言ったまでですよ」

宝春の機嫌は一気に良くなり、なんだか打ち解けたようだった。うそ?使えるじゃん、この手!お兄さん、実はすごい人だった!?彼を今まで過小評価していた私はそれを見直すことにした。

「私はどちらでお呼びすればいいでしょう?淑河(しゅくが)様?それとも淑玲(すうりん)様?」

本当は淑玲だけど、わけがあって今は双子の兄・淑河に変装している。私はただ笑顔で返し、どちらとも言わなかった。肯定も否定もしない。ここは大事なところだ。相手に多くしゃべらせて、手の内を知りたかった。

宝春は私の意図をよんだのか、

「人の目もありますから、ここでは淑河様とお呼びしましょう」

と微笑んだ。淑河としての見た目を尊重してくれるなら、役人に突き出すつもりはないだろう。最悪な事態は回避できたようで、ほっとした。

王宮殿の中に入ると、途端に外と比べ、人が少なくなった。人気のないことを確認してから宝春は立ち止まり、私の顔を覗き込んだ。少し潤んだその瞳に見つめられると、なんだかそわそわしてしまう。

「私はあなたにずっとお会いしたかったのですよ、淑河様」
「へ?」

…私に、会いたかった…?

「ずっとあなたに会いたかった」

その瞳の奥に隠されていた鋭さに気づけなかったのは、私の大きな過ちだったのかもしれない。
宝春は手を伸ばし、私の頬にふれた。

「公子(王子)たちの心をつかむあなたに」


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★余談
・男女ともに服装イメージは、中国の唐時代(618~907年)くらい。中国は、この時代の服装が一番ゆるくて自由そうなんですよね。他国の影響を受けたり、女子はだんだん露出度が高めになっていったり…。
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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ YUKI『鳴いてる怪獣』× 『雲のように風のように』 ★

サブタイトル「人真似すれば過ちする」は本来「自分の能力をよく考えないで、人のまねをすると失敗する」の意味だそう。そのままの意味でいいかとも思ったんですけど、毎回こじつけをしているので、今回は遊び人のお兄さんの真似をした淑玲がその場をうまくしのげたつもりでも、気づかないところで過ちを犯していたかもしれないと予感する、という感じでってあんまり変わらないかな。

① YUKI『鳴いてる怪獣』
https://www.youtube.com/watch?v=Y_C1tlM6DkE
YUKIで今一番好きな曲。怪獣の手をまねしながら歌うYUKIがかわいいんです。

②『雲のように風のように』
http://www.youtube.com/watch?v=Px8KttCdnQ8
http://video.fc2.com/content/201209174H75Z0Ax/
小さい頃、これと人形劇「三国志」どっちを先に見たんだろう。懐かしい名作。たるとばあさんが面白い。ちなみに淑河の名はこちらの主人公「銀河」を少しまねてみました。大好きなヒロインです。原作もあるそうですがそちらは未読。せっかく今これを書いてるんだから読んでみようかな。
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次回【第122夜】 傾城(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ4)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-140.html
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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

この度、にほんブログ村の記事トーナメントに参戦しておりまして、それの「文藝逡巡社 第3回 茶川賞」というので「天野家の岩戸」という私の物語が準々決勝に残りました。

文藝逡巡社 第3回 茶川賞トーナメント 準々決勝戦
http://novel.blogmura.com/tment_vot/10_6969.html

これが今回参戦した記事トーナメント、ラストエントリーになります^^
他の記事トーナメントで優勝もできたし、3位も5位もとれたんだからいい加減満足しろよって話ですけど…。
次回作更新もう少し時間がかかりそうなので、ちょっとCMみたいな感じで穴埋めさせて下さいませ。

ちょっと今ハマってしまっているネット小説があって…それを読み終えてから次回作更新させてもらうことになるやも…それはこちらでご紹介してますよ。一緒にCMしちゃえ。良い作品、いっぱいそろえてますよ~^^
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-119.html

ちなみに次に更新予定の物語は今聞いてる音楽がこんな感じなので、たぶんSF系がくるかもしれません。
LAMA 『Parallel Sign』
http://www.youtube.com/watch?v=_wLT9MXCtJU
とか言ってて、違うのが来るかもしれません。気まぐれですみません。

穴埋め…いやいや、CM失礼しました。

※2/21追記※ブログ村記事トーナメントで準決勝に残りました。
一緒にラストスパートして頂き、ありがとうございます!!
http://novel.blogmura.com/tment_mup/10_6969_4.html

ありがとうと言えば、オリンピック真央ちゃんのフリーですよ!!超凄かった…夜中に感動&大号泣でした。

※2/22追記※ブログ村記事トーナメントで準決勝で敗退しました。
いやはや、楽しかった~!物語ブログ、はじめて半年ちょいでこんなに大健闘できたのも、みなさんの応援があったからこそ!!今回記事トーナメントにたくさん参戦して、みなさんにたくさん応援して頂きました。いい経験ができ、感謝しきれません(感涙)。本当に本当にありがとうございました!!良ければ、これからも「1001夜ショートショート」をよろしくお願いいたします^^
http://novel.blogmura.com/tment_vot/10_6969.html

みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

この度、にほんブログ村の記事トーナメントに参戦し、それの「おもてなしトーナメント」というので「同窓絵(どうそうかい)」という私の物語が優勝することができました。

これも応援して下さったみなさんのおかげです。私がみなさんに逆に、おもてなしをしてもらったような気が!本当に、本当に、ありがとうございました!^^

おもてなしトーナメント決勝戦結果発表
http://education.blogmura.com/tmt_rankall6932.html

主人公のおじさん、というか友人の芸術家さん、大健闘したんだな…。そんな頑張りに気づかないで作者は申し訳ないことをしたと少し反省…最初から応援してあげれば良かった。。

この物語を気に入って頂けて、ただただ、感謝です。
取り急ぎ、結果発表をお伝えしようと思いまして記事をUPしました><

先の決勝戦進出記事でコメント頂いたみなさん、すぐにこの後、返信いたしますね。もう少々、お待ちくださいませ。


ついでに、最後にこちらのお知らせを!!
今のところ、次に奮闘中の記事トーナメントはこれでしょうか。

二次創作なら何でも 2トーナメント 準々決勝戦(参戦している物語「グレイブ・シティ」)
http://novel.blogmura.com/tment_mup/10_6931_3.html

でも、投票とか全然関係なしに、(おもてなし記事トーナメントで優勝でき、私的にはもう充分満足^^)興味のある方いたら、他にこんなものも書いてるんだな程度にぜひ楽しんで頂ければ。「グレイブ・シティ」というタイトルのSF×刑事モノになってます。これだけで単独に読める物語ですが、そもそも二次創作になっているかは謎ですし…。マイナーと言われている元ネタ作品を知って頂ければもう超大満足。


ついでに良ければ、ご都合のいい時などこの「1001夜ショートショート」もよろしくお願いします。
どれか一つでも「読んで良かったな~。なかなかやるじゃん!」というような物語があることを願っております。

こちらにわざわざお越しいただきまして、応援して頂きまして、みなさん、本当にありがとうございました!^^

良ければ、これからも「1001夜ショートショート」よろしくお願い致します!!


※2/17 追記※
二次創作なら何でも2トーナメント準決勝進出してました。みなさんのおかげです。ありがとうございます!
http://novel.blogmura.com/tment_vot/10_6931.html

※2/18 追記※
・二次創作なら何でも2トーナメント準決勝で敗退しました。「正直これ二次なの?」という物語だったのに大健闘。これは絶対もうみなさんのおかげです!応援ありがとうございました^^またきちんと順位がでたらお伝えしますね。
http://novel.blogmura.com/tmt_matchup6931_4.html
・お伝えする前に敗退しました「そろそろバレンタインだぞトーナメント」も結果発表が出てました!こちらはトウコが主役の「砂糖とスパイス(期間限定バレンタイン版)」をエントリー。結果、5位を頂いてました。こちらも応援頂きましてありがとうございました!

あと他のトーナメントはだいだい3回戦で敗れのかな?今のところ、1戦を残すのみ。私的にはまさかの優勝も頂き、満足感でいっぱいです。本当にみなさん応援ありがとうございました^^

みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

もしかしたら、お気づきの方もいるかもしれないのですが、私の物語のおじさん(名前不明。主人公なのにごめんよ…)がネット上でいま戦っております。

というのもこの度、にほんブログ村の記事トーナメントに参戦しておりまして、それの「おもてなしトーナメント」というので「同窓絵(どうそうかい)」という私の物語が奮闘しています。

なんで決勝戦まで残ったのか作者的に謎なんですが、残ったら残ったらでそれは嬉しくなるじゃん。「がんばれ、おじさん!」と今更ながら応援したくなりました。

おもてなしトーナメント決勝戦
http://education.blogmura.com/tment_vot/50_6932.html

でも、まさかおじさんが決勝戦に残るとは思わなかったよ…。(個人的にはバレンタイントーナメントに参戦してたトウコを応援していたのに…こちらは準々決勝で敗退)参加人数少なかったのが、良かったのかな?

さて。なんで、記事トーナメントにそもそも参戦したかというと。

この前の日曜くらいに、大雪だし、出れないし、せっかくだからと心機一転にほんブログ村というのに登録をしてみたんです。

そこでは記事のランキングがあるんですけど、OUTポイントってやつが中々増えないんですよね。これってなにかしら自分でアクション起こさないと増えないんじゃ…ということに気づきまして、てっとりばやく増えそうな手立てはないものか考えました。

そこで見つけたのが、記事トーナメント。「これだ!」と思った私は、募集しているもので、自分の物語で参加できそうなものを片っ端から応募したんです。無謀なものもあったから、速攻敗退したのもありましたが、残ってるのがまだけっこうあるので、それらも決勝戦とか準決勝とかまでいけたら(たぶん無理だと思うけど)またお知らせしますね。

もし良ければ、「同窓絵(どうそうかい)」のおじさんを応援して頂けると嬉しいです^^

20歳くらいの時に書いたものなので、まだ青々してるというか…でも、最後の終わらせ方とか今と変わらない感じも見受けられたり。じゃあ、今も青いままなのかなとも思ったり。

おもてなしトーナメント決勝戦
http://education.blogmura.com/tment_vot/50_6932.html

がんばれ、おじさん! っていうか、がんばれ、フィギュア日本男子!!

個人的にずっと羽生くんを応援していたので、今日とても楽しみです。高橋選手も有終の美を飾ってほしい。町田さん、逆バレンタインお願いします。

この羽生くんがすごくて良ければ。昔のなんですけど。これでフィギュアの価値観がなんか変わったんです。
金メダル取れたらとってほしいけど、自分の納得できる演技ができるよう祈ってます!
http://www.youtube.com/watch?v=V2eNFaamRdg
幕が上がる。

彼女の幕が、観客の幕が、そしてきっと私の幕が…。

『誰しも自分の幕引きを決めることなんてできないわ』

昔、まだ子供だった私は彼女の言葉に首をひねった。でも、今ならその意味がわかる。そうかもしれない。結局は自分の死が訪れた時。それが自分の、人生の、幕引きなのだ。

『だから、せめて自分の幕開けくらいは自分で決めたいじゃない?』

ねえ、伯母さん。そのことをあなたはまだ覚えてる?


    *


子供の頃、一度だけ家出をしたことがある。
その時、身内に絶大なる不人気で嫌われ者の伯母のもとへ逃げた。

「私、これから仕事なんだけど?しかも恋人と一緒に暮らしてるんだけど?…それでも押しかける気?」

私はよく伯母がやっていたウインクをまねてみた。

「できてないわよ。両目、閉じてるから。ったく下手すぎ。こうするの!」

すっぴんでも彼女は実に色っぽく片目をつむってみせた。でも、私はへこたれなかった。

「藤子(ふじこ)ちゃ~ん、お願い!!」

伯母の本名は峰藤子(みね ふじこ)という。あの某名作ヒロイン・不二子と漢字は違うけど、見た目は負けてなかった。

「ルパンのまねをしてもだめ!しかも似てなさすぎ!出直しな!」

私はしょんぼり肩を落とした。

「いいじゃん、藤子。一晩くらい。まだ10歳とかそこらだろう?俺は手を出さないよ。ロリコンじゃないんだから」

煙草をふかしながら、部屋の中にいたイケメンのお兄さんが助け船を出してくれた。彼氏には弱い藤子ちゃんはため息をつきながらも中に入れてくれた。イケメンのお兄さんに私は頭を下げた。

「ありがとう、ルパンさん」
「ルパンさん?」
「藤子ちゃんの恋人だから」
「なるほど。えーっとじゃあ…どういたしまして、クラリス」

イケメンのお兄さんは「ハートは盗まないから安心して入りな」と笑って私を招いてくれた。クラリスというのはよくわからなかったけど、とりあえず私も笑い返した。藤子ちゃんが不機嫌だったのも最初だけで、彼女はすぐに仕事の準備に取り掛かった。

「姉さんとまた喧嘩でもしたの?」

彼女は今、ドレッサーとにらめっこしている。

「うん、教育方針の違いで」
「教育方針って。あんたいくつよ?まだガキんちょでしょう?」
「11歳。来年中学生!」
「ほら、ムキになった。立派なガキんちょ!」

鏡に映る藤子ちゃんの顔がみるみる変身する。細い筆を駆使し、画家みたいに多彩な絵を描いていく。お化粧って魔法みたい。私もいつかするのかな?自分のコンプレックスである細い目も、藤子ちゃんと同じ血をひいてるなら、ちょっとは美人になるかな?

「で、教育方針って?」

藤子ちゃんの声に現実に戻される。

「お母さんは中学受験をさせたがってるの。有名私立に行かせたいんだって。大学までしっかりあるところ」
「姉さんは優等生だった自分が大学受験に失敗したから、それが怖いのよ。あんたにはそうなってほしくないの」
「…でも、私はお母さんじゃないよ」

藤子ちゃんは鏡越しに笑った。重たそうな睫毛がキレイに震えている。

「そうよ。あんたは姉さんじゃない。私でもない。あんたはあんた」
「え?」
「さて、メイク終了!出陣しますか。ルパンも今日は一緒に店に出勤で、ここには誰もいないわよ。どうすんの?ここでじっとしてるつもり?」

どうしよう。逃げられればそれで良かったから、後のことはさっぱり考えてなかった。

「なら、一緒に来なさい。社会科見学にいきましょう、大人のね」

その完璧なウインクに、私はただ黙って頷いた。

    *

幕が上がる。

彼女の幕が、観客の幕が、そしてきっと私の幕が…。

“ The dress is Chanel ”
(ドレスはシャネル)

“ The shoes YSL ”
(靴はイヴ・サンローラン)

“ The bag is Dior, Agent Provocateaur ”
(バックはディオール 下着はアジャン・プロボカトゥール)


彼女のショーに誰もが魅了されていた。

「すごいだろう?藤子はこの店のメインをはってるんだ。歌も踊りも抜群!」

この店でバーテンダーをしているルパンさんが言った。カウンターの中に隠れ、私はこっそり舞台を眺めていた。

「…親戚中が伯母さんは夜のいかがわしいお店で働いてるっていってた…」
「まあ、そう思っちゃう人も少なくはないだろうね。でも、ここは別に裸になったりはしない。そういうところとは違う。実際見た、きみならわかるだろう?」

金髪のボブのウィッグをつけ、下着のような露出の高い派手な衣装。甘い笑顔を見せつけて全身で歌って踊る藤子ちゃんに大きな歓声が上がる。ライトは常に彼女に向けられ、それを眺める観客は男女を問わず、彼女に首ったけみたいだった。

“ My address today, L.A. by the way ”
(ちなみにきょうのアドレスはLA)

“ Above Sunset Strip, the Hills all the way ”
(サンセット通り ハリウッドヒルズ)

“ My rings are by Webster, it makes their heads twirl ”
(指輪は驚きのウェブスター)

“ They all say,'darling, what did you do for those pearls?'”
(誰もが言うわ。どんな色仕掛けを使ったの?って)


店内は異様な熱気に包まれていた。ただ、お酒のせいでこうなっているわけじゃない。藤子ちゃんの創り出す世界にみんな酔いしれているのだ。

「すごい…」

そう呟いた私に、ルパンさんは嬉しそうに微笑んだ。

「そう。すごいんだ、藤子は」

私は隠れるのを忘れ、飛び跳ねて彼女に手を振った。

「すごすぎる、いけない娘(こ)なんだ」

そこでタイミングよく、藤子ちゃんの笑顔が弾けた。

“ What?! I am a good girl(何ですって?私はいい娘なんだから)”


    *


「どうだった、大人の社会科見学は?」

化粧を落とした藤子ちゃんが楽屋に私を招いてくれた。

「もう、最高だったー!!」
「それは良かった」

藤子ちゃんも満足そうに微笑んだ。楽屋は舞台に上がった人たちの衣装や靴であふれ、戦場の後みたいに散らかり放題だった。それもなんか良かった。

「藤子さん、お疲れ様でーす」
「お疲れ~」

藤子ちゃん並みにキレイでスタイルのいいお姉さんたち。次々にご帰還のようだ。

「ほら、あんたはここに座んな。社会科見学はまだ続いてるの」

腕をひかれ、椅子に座らされた。それは楽屋内の藤子ちゃん専用のドレッサーだった。

「私が結局あんたに教えられることなんてこれだけ」

そう言って細い筆を取り出すと、目をつぶるように言われた。はじめてのお化粧に胸がドキドキした。

「ここにきた時、オーナーにまず言われたことがあった。あ、オーナーってわかる?」
「…お店の偉い人?」
「よくできました。その人にこう言われたの。『幕引きは自分で決めろ』って」

こんな話を聞くのは初めてだった。親戚の集まりがあってもすぐに帰ってしまう。お年玉も一番すごい金額をくれるのに、「じゃ!」と言って、そそくさと消える。逃げるっていう方が藤子ちゃんには似合うかもしれない。この人もきっと家出をした人間なのだろう。

「なんか納得できなかったのよね。誰しも自分の幕引きを決めることなんてできないわ。だから、せめて自分の幕開けくらいは自分で決めたいじゃない?」

唇に筆先があたり、くすぐったかった。そうこうしているうちに、不意に肩をポンと叩かれた。

「はい、できた。目を開けてごらん」

ゆっくり目を開ける。舞台の幕が上がるような緊張感が走る。

「わあーーー!」

鏡に映っていたのは、私じゃなかった。いや、もしかしたら本当の私だったのかもしれない。

「だから意地でもチャンスをつかんで舞台に立ちたかった。そして、必ずそうできると信じてたわ」
「何でそう思えたの?」

私のお化粧した顔なんてかすむくらい藤子ちゃんの笑顔は眩しかった。

“ What?! I am a good girl ”(何でですって?私はいい娘なんだから)


    *


幕が上がる。

彼女の幕が、観客の幕が、そしてきっと私の幕が…。

『誰しも自分の幕引きを決めることなんてできないわ。だから、せめて自分の幕開けくらいは自分で決めたいじゃない?』

ねえ、伯母さん。そのことをあなたはまだ覚えてる? 忘れているなら、私が教えてあげるわ。


    *


「まさかあんたがあの舞台に立つとは思わなかった」

店のカウンターに座った藤子ちゃんが笑った。少しほうれい線が目立っても、その美しさは変わらない。

「しかもあれ、あんたが初めてみた私のショーの曲でしょう?」
「好きなんだ、『I am a good girl』!で、どうだった?私だって藤子ちゃんに見劣りしなかったでしょう?」

私はよく伯母がやっていたウインクをまねてみた。もう上手にできることを教えてあげる。

「あんたには負けたわ。…わかった。受けるわよ、手術。助かるかもしれないのに、何を自分で幕引こうとしてたんだろう。そう、あんたを見て思ったわ」
「よくできました」
「あの大人の社会科見学が、こんなふうに功を成すとは…」

伯母の体調が悪いと知らせてくれたのは、店の現オーナーであるルパンさんだった。子宮がんになったのに、手術をうけようとしない妻のことをとても心配していた。たぶん伯母は自分の幕引きについて考えていたのだろう。

藤子ちゃんのあのショーを見て以来、舞台の虜になった私は、母には内緒で歌とダンスのレッスンに通い、無事大学進学も果たした。今も授業の合間を縫って、それは続いている。あの時の歌と踊りは、目に、脳裏に、焼き付いて離れない。

だから、私はルパンさんにお願いをした。店の舞台に立たせてほしいこと。藤子ちゃんにそれを見てもらいたいことを。

「でも、少し色気が足りないのよね」
「うるさいな、おばさん!」
「こういう時だけおばさん、いうな」

ふたりとも、お酒は控えている。藤子ちゃんの手術が終わったらっていうのが暗黙の了解。その時のお酒は、ぜひルパンさんに作ってもらいたいことも。

「お母さんも心配してた。年は離れてても、たった一人の妹だから」
「…そう。でも、私はまた姉さんに恨まれるわね。自慢の娘が舞台デビューしたなんてしれたら…」
「もう知ってるよ。今日見に来てたはずだもん。あ、連絡きた。ここに呼んでいい?」

スマホを手に取る私に、藤子ちゃんは目を丸くした。

「はあ?あんた大丈夫なの!?」
「藤子ちゃんじゃないけど、自分の幕開けくらいは自分で決めたいじゃない?」

それから私は自慢のウインクで、こう答えてみせた。

「大丈夫、心配しないで!“ I am a good girl(私はいい娘なんだから)”



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Steve Antin『Burlesque』 × Christina Aguilera 『I am a good girl』★

クリスティーナ・アギレラ主演の『バーレスク』をやっと見れました。これでアギレラを知った私はそのカッコ良さに大興奮!これは映画館でぜひ見たかった!!感動が大きいとすぐに自分の中で物語が生まれます。清々しい気持ちになれる物語に仕上がっているといいのですが。峰藤子の名前はモンキー・パンチ『ルパン三世』の峰不二子をモデルに。性格は『Burlesque』のCherが演じたクラブのマダムかも。クラリスは『カリオストロの城』より。

① Steve Antin『Burlesque』
http://www.youtube.com/watch?v=dSLvpTODAp0
http://www.youtube.com/watch?v=V4nWAZU9mu8
http://www.youtube.com/watch?v=vMFRI_DPD9s
UPしたのは映画予告と名場面。主人公が意地悪されて音響を止められますが、本領を発揮させてみんなの度肝を抜くところ。それと劇中Cherが誰もいないクラブで一人歌う場面もどうぞ。貫録充分でカッコいいです。

② Christina Aguilera 『I am a good girl』
劇中たくさんの歌や踊りを披露してた彼女ですが、中でもこれが個人的にお気に入り。思わず、リピート再生して書き始めてましたよ、物語を。
http://www.youtube.com/watch?v=YDPR5EoYqOs

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>>名前は?

ヴィンス・ロード

>>年は?

18歳

>>どこから来た?

ラック・アイランド

>>移民か?

はい。グレイブ・シティに居住申請中です。

>>まずは市民病院で精密検査を。許可はそれから。君が『由々(ゆゆ)しき市民』でないことを祈る。

    *

…鐘の音がする。いつからかわからない。ただ、夢の最後でいつも鳴り響くのだ。ずっと前から…。


    *


車の窓ガラスを叩く音がして、ヴィンスは目をこすった。上司のリアだった。慌てて助手席のドアを開ける。

「買い出しをしてきた。寝てたのか?」

リアに問われ、新米刑事のヴィンスは苦笑した。

「気にすることはない。もう張り込みをはじめて3日たつからな」

乗り込んできたリアは特に気にしていないようだ。

「リアさんはタフですね」

さすが女性最年少で刑事課長になった人だ。優秀なキャリア組。彼女がこれまであげた検挙率は群を抜き、目を瞠るものがあった。性別と年下の分、体力だけは負けないと思っていた自分が情けない。

「私を女と思わないことだ」

リアは微笑んだ。目元のブルーのシャドウがきらめく。ヴィンスは自分の心を見透かされたような気がした。

「とにかく食べろ。腹に何か入れておかないと、いざってときに動けないからな」

そう言って、リアは袋から食べ物を取り出した。

「まさかアンパンと牛乳…ですか?」

ヴィンスは声を上げた。

「…嫌いだったか?」

首を傾けたリアの仕草が少し幼く見え、ヴィンスはつい吹き出した。

「前世紀の刑事ドラマでお約束の張り込みグッズですよね、それ?」
「…そうなのか?」
「そうですよ。俺、憧れてたんです!あと、犯人の取り調べの時に『カツ丼、食うか?』とか!」

ヴィンスは根っからの刑事マニアらしい。話を詳しく聞くと、彼の着ているミリタリー風のコートもその影響とのことだった。少年っぽさの残る新米刑事にリアは少しあきれた。

「…で、今夜の動きはあったのか?」

リアが話題を変え、ヴィンスも自分の仕事を思い出す。

「何もありませんよ。っていうか、本当に『由々しき市民』は犯行を起こすんですか?3日もたつのに、まるで音沙汰なしですけど…」
「上はそう睨んでいるが、どうだかな。まあ、備えあれば…というところだろう」

彼らは今グレイブ・シティを脅かす連続殺人鬼を追っている。高級官僚ばかりを狙った犯行で、犯人の目星も未だついていない。だから、次に狙われるだろう官僚宅前に彼らは張り込みを続けていた。

「張り込みってやっぱり地味ですよね…。どうせなら俺、潜入捜査とかしてみたかったなあ」
「潜入捜査…?」
「そうです。麻薬組織やマフィアの内部に潜入して、油断させて捕まえるやつ。まあ、おとり捜査ですよね」

リアはため息をついた。

「ヴィンス…お前、前世紀の負の遺産の見過ぎだ…。グレイブ・シティでそれは違法だぞ」
「そうなんですか?えー、がっかりだな。じゃあ、リアさんと恋人同士や新婚さんって設定でおとり捜査することもないのか…」
「…何を言ってるんだ、お前は…」

思い切り顔をしかめたリアに、ヴィンスは屈託なく笑った。

「密かな俺の夢ですよ。役得来た!!みたいな?」
「あきれてものがいえない…」

アンパンにかぶりつき、牛乳で流し込む。今度はヴィンスがため息をつく番だった。憧れの刑事は本当に地味だ。

「…ところで、うなされていたようだったぞ?大丈夫か?」
「うわー。俺、ここでもやってましたか。すみません、いつものことなんで気にしないで下さい。なんか夢見が悪いんですよね、俺」
「夢見が悪い?」
「何の夢を見てたのか起きたらその辺を忘れてるんですけど、一つだけ覚えてて。最後に必ず鐘の音が聞こえるんです。けっこうガンガン鳴ってくれてるんでそのせいですよ」
「鐘の音か…」
「夢の終焉を告げる鐘の音ですよ…なんてね。『終焉』なんて言って自分の柔肌に鳥肌が立ってます」
「柔肌って…」

リアの笑顔にヴィンスも笑った。彼はリアの笑顔が好きだった。彼女の笑顔は素の表情が現われる。濃い化粧でひた隠しにしているようだが、あどけなさの残る少女のような可憐さがあった。化粧はきっと彼女の武装なのだ。まだまだ男社会の警察組織において彼女の存在とそのキャリアは特に煙たがれる。新人の自分と組まされたのも、嫌がらせみたいなものだろう。

「リアさんは、どうして刑事に?」

聞いた後で、しまったと思った。自分ごときが簡単に聞いていいものではないだろう。

「大切な者を守るため」
「…大切な者?」
「ああ」
「それって恋人とかですか?それとも…」

不意に強いライトが車に当たった。ただの通りすがりの乗用車かと思いきや、その車は官僚宅に蛍光塗料を投げつけて去って行った。

「おーおー、派手にやって、さっさと行っちゃって。リアさん、ほっといていいんですか?彼らも『由々しき市民』でしょう?」

ヴィンスの問いに、リアは答える。

「それを決めるのは『正しき市民』だろう?」
「あの家の中にいるような人たちのことですか?なんか官僚様々だな」

鼻で笑いながら、ヴィンスは続けた。

「グレイブ・シティに住む者は、みんな『由々しき市民』になるなと教育される。危険分子あつかいされるその呼び名、どうにかなりませんかね?そんなこと言ったら、人は誰しも『由々しき市民』候補生ですよ。そういう負の感情は誰しもあるものだ。でも、逆に『正しき市民』になれとは言われない。『正しき市民』はみんながなれる者じゃないからだ。決められた特定の者に限られる。だから、あえて言わない。おかしいなあ、それ。俺には市長の考えがわかりません。リアさんは、わかりますか?」

ヴィンスの声は冷たく厳しかった。それでも、リアは答えなかった。

「あなたのような『正しき市民』でも答えられないことがあるんですね。でも、俺はあなたに答えてもらいたかったんだけどな」

ヴィンスはまた屈託なく笑った。

「おとり捜査はいけないはずでしょう、リアさん?」

リアは息を吐いた。それから、ヴィンスを真っ直ぐ見つめた。

「潜入捜査じみたことをしているやつに、言われたくないな」
「刑事になるの、俺の夢だったんですよ。カツ丼も食いたかったし」
「それは私が用意してやる。これから存分に食べられるさ」

それを聞いて、ヴィンスは嬉しそうに笑った。

「あなたとカツ丼が食べられるなんて光栄だな、リア・グレイブ」

ヴィンスの伸ばした手がリアの首元で止まるのと、リアがヴィンスの胸に拳銃を構えたのは、ほぼ同時だった。

「私を狙ったのは市長の娘だからか?」
「市長の一番大事なものを奪おうと思って。俺がそうされたみたいに。知ってますか?グレイブ・シティはまわりのマチやシマを犠牲にして成り立ってることを。俺の故郷も家族もグレイブ・シティの餌食になったんだ。グレイブ・シティの電力支給のためにね」
「原発か…」
「そう。その放射能漏れでね。5年前、俺たちは故郷を捨ててここに来るしかなかった。その時グレイブ・シティは何をしてくれた?『移民』は『由々しき市民』っていうレッテルを貼っただけ。すでに助かる見込みのない者は皆殺し。奪ったのは故郷だけじゃなかったんだな。人間の尊厳ってやつも一緒に奪っていったんだ」

リアは何も言い返せなかった。

「黙らないで下さいよ、リアさん。あなたはただ、守るべきものを守ればいい。市長を、父親を、守ればいいんだ」
「…お前は何を言ってるんだ…?」
「俺は賭けたんだ。あなたはきっと市長とは違う。早いとこ、出世して下さいね」

ヴィンスの手が彼女の首元を掠め頭へ移り、リアを引き寄せて口づけるのと、銃のトリガーがひかれたのは、ほぼ同時だった。


その時、終焉の鐘が鳴り響いた。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ manglobe『Ergo Proxy』 × Monoral『Kiri』★

昔みて忘れられなかった『Ergo Proxy』。設定など今回書いた物語は微妙にこれを参考にしちゃってると思います。哲学的要素や謎が多く、最初中々その世界観に入り込めなかったのですが、3話の終わりから俄然面白くなります。マイナー作品なのがもったいない。それともしかしたら思い切りドラマ『踊る大捜査線』の影響も受けているかもしれません。カツ丼やコート、上司の出世のために部下が自ら犠牲になる、など…。あと『PSYCHO-PASS』もかな。

① manglobe『Ergo Proxy』
SF初心者はアニメなら入りやすいと教えてもらい、おススメ作品を聞きました。でも、たくさんあったので、ざっとOPを見て決めることに。すると、このOPのセンスがハンパなくて…即視聴決定!
http://www.youtube.com/watch?v=oAXrRWLKzko

② Monoral『Kiri』
その主題歌。洋楽と思いきや、まさかの邦楽でした。ちょうどよくMAD編集したものがあったので、作品世界もあわせてどうぞ。(UPした映像はコメントが多いので、吹き出しを押すと消えます)
http://nicoviewer.net/sm1870606
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1870606

③ ドラマ『踊る大捜査線』
https://www.youtube.com/watch?v=xuac-Ot5mnA

④ 劇場版 『PSYCHO-PASS サイコパス』劇場公開後新PV
個人的には断然1期派。どうせやるなら、続編より標本事件をやってもらいたかったなあ。
http://nicotter.net/watch/sm25311760
凛として時雨 『Who What Who What』
https://www.youtube.com/watch?v=HPJCPHh-x2o


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※良ければ、先にこちらをどうぞ。
【目次】 淑玲『宮廷浪漫』シリーズ 【作品紹介】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-253.html
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淑玲(すうりん)だ。きっとすべては淑玲から始まったんだ…。

戴青(たいせい)は何度もこの先考えることを、初めてこの時考えていた。

兄が気に掛けていた女がどの程度の者か見定めようとした。それは事実だ。
でも、たかが女…無鉄砲な娘の悪あがきだろうと思っていた。

自室に残された桃を眺めながら、戴青はそんな自分を嘲笑った。

でも、淑玲を宮廷に呼び寄せたのは私なんだ。そのことを忘れてはならないんだな。

…戴青、この時まだ十四歳。人生の大きな転機が訪れようとしていた。

    *

事の起こりは…淑玲(すうりん)を妃(妻)として迎えようとしたこと、だった。

    *

蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)に生まれて十五年…。
一庶民である私、淑玲(すうりん)が宮廷の中にこんなかたちで入ることになるなんて誰が思っただろう。


「淑河(しゅくが)様、そろそろ宮廷ですぞ」

車(くるま/馬車)に揺られていた私は、お使者の声にハッと我に返った。…淑河様…?そうだ、今はもう淑玲ではないのだ。

「淑河様、宮廷の中に入られるのは初めてですか?」
「…いいえ。実家が八百屋ですので、何度か御膳房(ごぜんぼう/宮廷の台所)に野菜を届けに行ったことがあります」

中に入ったこともないくせに、そうすらすらと答えられるのが不思議だ。
私は今わけあって、双子の兄・淑河に変装している。それもこれも戴青のせいだ。

ちなみに淑玲なら宮廷内は初めてですよ。女はそう簡単に宮廷には入れませんからね。働ける官吏(役人)も男のみ、男尊女卑というご時世だ。女で中にいられるのは王族かそのお世話をする女官くらいじゃないかしら。しかも女官だって誰もがなれるわけじゃない。有力貴族の推薦がないと難しいと聞く。だから、戴青の力をあてにしていたのに…。

「でも、こちらから入るのは初めてでしょう?王族の方々の住まう宮殿ですから」
「え?」
「と言っても、王宮殿の裏門ですが」

裏門でも、まさか直接王宮殿に行けるとは思なかった。案内されるのは宮廷内でも別の場所かと思っていたから。王宮殿なら、もしかしたら大好きな暉仁(きじん)さんにも会えるかもしれない。少し胸が躍った。

暉仁さんは第二公子(こうし/王子)という正体を隠し、少し前まで町はずれのお堂で私たち庶民に学問を教えていた。男だけしか学べない学問をこっそり盗み聞こうとしていた私を見つけても追い出さずに混ぜてくれた人格者だ。そんな優しい恩師に私は恋をした。だから、戴青の後宮女官の誘いにまんまとのってしまったのだ。次期立太子となる(皇太子になる)暉仁さんのそばにいたかったから…。

…会えたら嬉しいけど、この姿であまり暉仁さんに会いたくないかも。

女官ではなく、ましてや淑玲としてでもなく、男装した別人(兄様)の姿で宮廷にきてしまった。そんなのいったい誰が予想しただろう。

…遠目でいいから暉仁さんを見られますように。

王宮殿の裏門を抜ける。目の前に広がる美しい光景に、思わず車から身を乗り出した。

「これが朱里城(しゅりじょう)の王宮殿ですよ」
「わあーーーー!」

夏の晴天に映える朱(あか)が見る者の目を奪う。桐油と漆の艶やかな朱塗り。それらが生み出した彩色は、まさに『朱の神獣が降り立った里』という朱里城の名にふさわしかった。輝かしいのは何もそればかりじゃない。柱や屋根瓦の随所に金色の特殊な彫刻や装飾が施されている。あれは生き物だろうか?大蛇みたいな…?

「龍でございますよ」

私の心を読み取ったのか、お使者が続けた。

「龍は王族の権威の象徴、守り神なのです」
「…龍、あれが…」

話に聞いたことはあったけど、間近で見るのは初めてだった。暉仁さんを第二公子と知った時と胸に似た痛みが走った。きっと私の手には恐れ多くて、ふれることのできない神獣なのだろう。

「妹君の淑玲様が王族に迎えられる予定ですから、淑河様も馴染み深いものになるかもしれませんね」

…いやいやいや、それはないですからっ!馴染み深くも王族に加わることもないですからっ!!

私はため息をついた。戴青のせいで本当におかしなことになってしまった。
宮中に行くことを望んでいたと言え、なんで後宮女官になる件が「第八公子様(戴青)とご婚礼」にすり変わってしまったのだろう…。

私はそれをなんとか食い止めるために、戴青に詳しい事情を聞くために、男装してここまでやって来たのだ。ご婚礼と言われちゃ下手に女の淑玲じゃ動けない。だから、淑河兄様に変装して、お使者を上手く丸め込んだのだ。

おのぼりさんしてる場合じゃないのよ。これから戴青に物申すんだから。気合を入れ直さないと!

「私はここまでです、淑河様。この先はあの女官が案内致します」

車から下り、お使者に深く礼をして別れた。

「この先は私がご案内いたします」

顔を上げると、目の前にはこれまた今まで見たことのないような美人が立っていた。

「女官の宝春(ほうしゅん)と申します。どうぞ、こちらへ」

宝春という女官は、女の私でさえ見とれるほどの美人だった。年は二十歳くらいだろうか。透き通るような白い肌、大きく潤んだ瞳、紅(べに)をひいた唇は、恐れ多くも王宮殿の朱色にも負けない、また違う艶やかさだった。その色香に目が離せなくなる。

「お使者も行かれましたし、私たちも参りましょう」
「…あ、は、はい!」

見とれていた私がおかしかったのか、宝春はくすくすと笑った。

「男装の麗人に、そう見つめられると照れてしまいますわ」
「す、すみません!………え?」

今、何て言った…?男装の麗人??

「それでは参りましょう」

あきらかに動揺している私に、宝春はうっとりするような微笑を浮かべた。



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★余談
・車(くるま/馬車)…貴族や高級官吏、お金持ち専用の乗り物。車輪の上に屋根と格子付きの車体があり、御者が馬をひく。お金や権力がある人ほど、車体が豪華。
・御膳房(ごぜんぼう/宮廷の台所)…王族や宮廷で働く人々のご飯を作る場所。
・公子(こうし/王子)…王の息子または王族関係の男性。

・朱里城の外観モデルは、琉球王国の首里城(沖縄県那覇市)。
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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ YUKI『世界はただ、輝いて』× 人形劇『三国志』 ★

お待たせしました“淑玲『宮廷浪漫』シリーズ”開幕です。
サブタイトル「女は氏(うじ)無くて玉の輿に乗る」は「生まれがよくなくても、容姿や運しだいで金持ちや貴人の妻になることもできる」という皆さんよくご存知の意味かもですが、字面を生かした勝手な解釈もありかなと前回「蹊を成す」から学んだので、この場合こんな意味合いでいこうかと。女の氏(性別)をなくして玉の輿(王族の車)に乗ってしまったという淑玲の行動そのままの意味で。ちなみに朱里城のモデルは言わずもがな、首里城.。あの朱色が大好きなんです。

さて、なんかもう中国・李氏朝鮮・琉球・日本という私の好きな王朝要素の詰め合わせ的な作品になりそうです。時代考証も何もないですが、勝手な一つのファンタジーとして楽しんで頂ければ幸いです。

ちなみに設定を微妙に変えているところがあります。名前とか…。すでに読まれた方、すみません><。

① YUKI『世界はただ、輝いて』
http://www.youtube.com/watch?v=1kOAhVFr77M
http://nicoviewer.net/sm16710011
前回も聞いていたYUKIを。10周年記念のこの歌はファンには嬉しい歌詞になっているんです。なんだかたくさん聞いているうちに、淑玲のイメージがYUKIになってきました。実は40歳を越えているなんて信じられない。

② 人形劇『三国志』
https://www.nhk-ondemand.jp/program/P201100076600000/
http://nicoviewer.net/sm19003475
淑玲の名前はコレから。私がみたのは再放送かも。健気なヒロイン淑玲が大好きでした。でも、物語中盤で彼女は悲劇的な死を迎え、私はそれ以降、見るのをやめてしまいました。美しい人形を見るだけでも価値があったのにもったいないことを…。淑玲の死がずっと心に残り、それがこの物語をかくきっかけに。何があってもあきらめない。死に急がない。なんだか笑える機転を利かせ、うまく立ち回るそんなヒロインを書ければいいな。

次回(第3回)【第118夜】人真似すれば過ちする(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ3)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-133.html
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