みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

この度、にほんブログ村の記事トーナメントに参戦しておりまして、それの「文藝逡巡社 第3回 茶川賞」というので「天野家の岩戸」という私の物語が準々決勝に残りました。

文藝逡巡社 第3回 茶川賞トーナメント 準々決勝戦
http://novel.blogmura.com/tment_vot/10_6969.html

これが今回参戦した記事トーナメント、ラストエントリーになります^^
他の記事トーナメントで優勝もできたし、3位も5位もとれたんだからいい加減満足しろよって話ですけど…。
次回作更新もう少し時間がかかりそうなので、ちょっとCMみたいな感じで穴埋めさせて下さいませ。

ちょっと今ハマってしまっているネット小説があって…それを読み終えてから次回作更新させてもらうことになるやも…それはこちらでご紹介してますよ。一緒にCMしちゃえ。良い作品、いっぱいそろえてますよ~^^
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-119.html

ちなみに次に更新予定の物語は今聞いてる音楽がこんな感じなので、たぶんSF系がくるかもしれません。
LAMA 『Parallel Sign』
http://www.youtube.com/watch?v=_wLT9MXCtJU
とか言ってて、違うのが来るかもしれません。気まぐれですみません。

穴埋め…いやいや、CM失礼しました。

※2/21追記※ブログ村記事トーナメントで準決勝に残りました。
一緒にラストスパートして頂き、ありがとうございます!!
http://novel.blogmura.com/tment_mup/10_6969_4.html

ありがとうと言えば、オリンピック真央ちゃんのフリーですよ!!超凄かった…夜中に感動&大号泣でした。

※2/22追記※ブログ村記事トーナメントで準決勝で敗退しました。
いやはや、楽しかった~!物語ブログ、はじめて半年ちょいでこんなに大健闘できたのも、みなさんの応援があったからこそ!!今回記事トーナメントにたくさん参戦して、みなさんにたくさん応援して頂きました。いい経験ができ、感謝しきれません(感涙)。本当に本当にありがとうございました!!良ければ、これからも「1001夜ショートショート」をよろしくお願いいたします^^
http://novel.blogmura.com/tment_vot/10_6969.html

にほんブログ村「そろそろバレンタインだぞトーナメント」で5位を頂いた記念にこちらをUPしてみました。
http://love.blogmura.com/tmt_rankall6911.html
こちらは以前UPした『【第5夜】砂糖とスパイス』をバレンタイン版に書き直したものです。
(といっても、サトシの誕生日を梅雨時期からバレンタインに変更しただけですが…)

良ければ、どうぞ~^^ 

=====================================



いつのまにか夜中の十二時になっていた。

深夜零時。明日が今日になる瞬間。外でしとしと降り続けていた雨も昨日のものから今日のものへと様変わり。きっと私たちの目には見えない微妙な変化があって、雨に付きまとう匂いや気配も、そっと別の姿に変わってるんだろう…。

窓に近づいて、雨とついでに隣家の様子もうかがった。馴染み深い二階の部屋の明かりはまだ灯っている。

 …あいつ、まだ眠れないのかな?

 こんな風に夜中にあいつの部屋を気にするようになって、どれぐらいが経つんだろう。特に最近が一番ひどい。部屋の明かりが消えることの方が少ないと思う。ずーっと見ているわけではないから、はっきりとは言えないけど、たぶんそうだ。一体何をしてるんだろう?

 私はまた、ため息をついた。

私のため息もひどくなる、多くなる一方だ。しかも雨ってどうしてこんなにため息と似合っちゃうのかな?憂鬱とかもそう。気だるい感じ。じめじめした空気がまとわりつく感じ。これじゃ、あいつも簡単に陰鬱なものにのまれてしまう。

 私は考えを振り払うように軽く頭を振って、意識をキッチンのオーブンに戻した。うっとりするような甘い匂いに包まれ、心と体がふと楽になる。ほぐれていく。つい顔がほころんでしまった。今はため息つくようなことを考える時間ではなかったはずだ。オーブンの中には、今日の主役である、あいつにプレゼントするための、とっておきのお菓子があるんだから。

「チョコが一番好きな食べ物なんて。お子様よね、サトシも」

 お父さんもお母さんも寝室でぐっすりと眠っているから、誰もいないことをいいことに、一人呟いた。サトシ本人が聞いたら、機嫌をそこねるセリフだろう。オーブンの中には、こっそり自分で考えたレシピのケーキが焼かれていた。スポンジがふっくらと型の中から顔を出している。そろそろ焼きあがりそうだ。

 時間になって、中から取り出し、スポンジの中央を軽く押してみた。弾力がある。一応、竹串でさして焼けているかを確認。…よし、大丈夫そうだ。ケーキクーラーにのせて冷まさないと。ここまでは順調、順調。後はスポンジを3段に切って、ラム酒をきかせたチョコレートクリームをハケでそれぞれ塗って重ねればいい。そして、表面の飾り付けをして完成だ。

 お菓子作りをしていると、なぜか小さい頃に覚えたマザーグースのうたを思い出す。

――女の子は砂糖とスパイスで、できているの――

 なんだか身をもって証明しているような気がする。全然そんな意味のうたじゃなかったと思うんだけど…。ただ、なんとなく、そんな感じ。しかも大事なのは、男の子に作っている。そこが肝心!

 幼馴染のサトシとは家族ぐるみの付き合いで仲が良い。気づけば、私たちは誕生日が来るとお互いプレゼントを用意するようになっていた。サトシはバレンタインデーと誕生日が同じでちょっとかわいそうだけど、本人的にはチョコが大好きだから毎年プレゼントはチョコだけで充分らしい。

ちなみに去年、私が彼からもらったプレゼントは、かわいい空色の傘だった。

『似合うよな、トウコは』

軽く眉を下げ、優しい瞳をして笑う男の子。

『その空色の傘、買って正解。雨が降ってても、トウコだけはいつも晴れてる感じがするもんな。お似合いだよ』
『何それ、ノーテンキってこと?』
『ちげーよ。ほめてんの』

あの時、言ってくれた言葉。憎まれ口をたたきながらも、私はちょっと嬉しかった。うっかり指についてしまったチョコレートクリームをペロっと舐める。サトシは覚えているだろうか?

「…いや、きっと忘れてるな。そういうやつだもの」

 甘いはずのチョコレートクリームの味があっさり変わってしまった。些細なできごとを大好きな物語のように、繰り返し、繰り返し夢を見る。それは女の子の苦い特権のような気がした。

「…う~ん、なんか悔しい。クリームに、からしでも混ぜとこうかなあ?」

夜中のラブレターは危険って聞いたことがあるけど、夜中のお菓子作りもある意味、負けてないかもしれない。

――女の子は砂糖とスパイスで、できているの――

………からし、いっとくべき?


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※ こちらは以前UPした『【第5夜】砂糖とスパイス』をバレンタイン版に書き直したものです。
(といっても、サトシの誕生日を梅雨時期からバレンタインに変更しただけですが…)
にほんブログ村「そろそろバレンタインだぞトーナメント」で5位を頂いたのでこちらをUPしてみました。
(新しい物語ができてないからUPしたわけではないですよ…実はそうだけど)

良ければ、元々の『【第5夜】砂糖とスパイス』もお楽しみ下さい。
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-5.html

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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

この度、にほんブログ村の記事トーナメントに参戦し、それの「おもてなしトーナメント」というので「同窓絵(どうそうかい)」という私の物語が優勝することができました。

これも応援して下さったみなさんのおかげです。私がみなさんに逆に、おもてなしをしてもらったような気が!本当に、本当に、ありがとうございました!^^

おもてなしトーナメント決勝戦結果発表
http://education.blogmura.com/tmt_rankall6932.html

主人公のおじさん、というか友人の芸術家さん、大健闘したんだな…。そんな頑張りに気づかないで作者は申し訳ないことをしたと少し反省…最初から応援してあげれば良かった。。

この物語を気に入って頂けて、ただただ、感謝です。
取り急ぎ、結果発表をお伝えしようと思いまして記事をUPしました><

先の決勝戦進出記事でコメント頂いたみなさん、すぐにこの後、返信いたしますね。もう少々、お待ちくださいませ。


ついでに、最後にこちらのお知らせを!!
今のところ、次に奮闘中の記事トーナメントはこれでしょうか。

二次創作なら何でも 2トーナメント 準々決勝戦(参戦している物語「グレイブ・シティ」)
http://novel.blogmura.com/tment_mup/10_6931_3.html

でも、投票とか全然関係なしに、(おもてなし記事トーナメントで優勝でき、私的にはもう充分満足^^)興味のある方いたら、他にこんなものも書いてるんだな程度にぜひ楽しんで頂ければ。「グレイブ・シティ」というタイトルのSF×刑事モノになってます。これだけで単独に読める物語ですが、そもそも二次創作になっているかは謎ですし…。マイナーと言われている元ネタ作品を知って頂ければもう超大満足。


ついでに良ければ、ご都合のいい時などこの「1001夜ショートショート」もよろしくお願いします。
どれか一つでも「読んで良かったな~。なかなかやるじゃん!」というような物語があることを願っております。

こちらにわざわざお越しいただきまして、応援して頂きまして、みなさん、本当にありがとうございました!^^

良ければ、これからも「1001夜ショートショート」よろしくお願い致します!!


※2/17 追記※
二次創作なら何でも2トーナメント準決勝進出してました。みなさんのおかげです。ありがとうございます!
http://novel.blogmura.com/tment_vot/10_6931.html

※2/18 追記※
・二次創作なら何でも2トーナメント準決勝で敗退しました。「正直これ二次なの?」という物語だったのに大健闘。これは絶対もうみなさんのおかげです!応援ありがとうございました^^またきちんと順位がでたらお伝えしますね。
http://novel.blogmura.com/tmt_matchup6931_4.html
・お伝えする前に敗退しました「そろそろバレンタインだぞトーナメント」も結果発表が出てました!こちらはトウコが主役の「砂糖とスパイス(期間限定バレンタイン版)」をエントリー。結果、5位を頂いてました。こちらも応援頂きましてありがとうございました!

あと他のトーナメントはだいだい3回戦で敗れのかな?今のところ、1戦を残すのみ。私的にはまさかの優勝も頂き、満足感でいっぱいです。本当にみなさん応援ありがとうございました^^

みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

もしかしたら、お気づきの方もいるかもしれないのですが、私の物語のおじさん(名前不明。主人公なのにごめんよ…)がネット上でいま戦っております。

というのもこの度、にほんブログ村の記事トーナメントに参戦しておりまして、それの「おもてなしトーナメント」というので「同窓絵(どうそうかい)」という私の物語が奮闘しています。

なんで決勝戦まで残ったのか作者的に謎なんですが、残ったら残ったらでそれは嬉しくなるじゃん。「がんばれ、おじさん!」と今更ながら応援したくなりました。

おもてなしトーナメント決勝戦
http://education.blogmura.com/tment_vot/50_6932.html

でも、まさかおじさんが決勝戦に残るとは思わなかったよ…。(個人的にはバレンタイントーナメントに参戦してたトウコを応援していたのに…こちらは準々決勝で敗退)参加人数少なかったのが、良かったのかな?

さて。なんで、記事トーナメントにそもそも参戦したかというと。

この前の日曜くらいに、大雪だし、出れないし、せっかくだからと心機一転にほんブログ村というのに登録をしてみたんです。

そこでは記事のランキングがあるんですけど、OUTポイントってやつが中々増えないんですよね。これってなにかしら自分でアクション起こさないと増えないんじゃ…ということに気づきまして、てっとりばやく増えそうな手立てはないものか考えました。

そこで見つけたのが、記事トーナメント。「これだ!」と思った私は、募集しているもので、自分の物語で参加できそうなものを片っ端から応募したんです。無謀なものもあったから、速攻敗退したのもありましたが、残ってるのがまだけっこうあるので、それらも決勝戦とか準決勝とかまでいけたら(たぶん無理だと思うけど)またお知らせしますね。

もし良ければ、「同窓絵(どうそうかい)」のおじさんを応援して頂けると嬉しいです^^

20歳くらいの時に書いたものなので、まだ青々してるというか…でも、最後の終わらせ方とか今と変わらない感じも見受けられたり。じゃあ、今も青いままなのかなとも思ったり。

おもてなしトーナメント決勝戦
http://education.blogmura.com/tment_vot/50_6932.html

がんばれ、おじさん! っていうか、がんばれ、フィギュア日本男子!!

個人的にずっと羽生くんを応援していたので、今日とても楽しみです。高橋選手も有終の美を飾ってほしい。町田さん、逆バレンタインお願いします。

この羽生くんがすごくて良ければ。昔のなんですけど。これでフィギュアの価値観がなんか変わったんです。
金メダル取れたらとってほしいけど、自分の納得できる演技ができるよう祈ってます!
http://www.youtube.com/watch?v=V2eNFaamRdg
幕が上がる。

彼女の幕が、観客の幕が、そしてきっと私の幕が…。

『誰しも自分の幕引きを決めることなんてできないわ』

昔、まだ子供だった私は彼女の言葉に首をひねった。でも、今ならその意味がわかる。そうかもしれない。結局は自分の死が訪れた時。それが自分の、人生の、幕引きなのだ。

『だから、せめて自分の幕開けくらいは自分で決めたいじゃない?』

ねえ、伯母さん。そのことをあなたはまだ覚えてる?


    *


子供の頃、一度だけ家出をしたことがある。
その時、身内に絶大なる不人気で嫌われ者の伯母のもとへ逃げた。

「私、これから仕事なんだけど?しかも恋人と一緒に暮らしてるんだけど?…それでも押しかける気?」

私はよく伯母がやっていたウインクをまねてみた。

「できてないわよ。両目、閉じてるから。ったく下手すぎ。こうするの!」

すっぴんでも彼女は実に色っぽく片目をつむってみせた。でも、私はへこたれなかった。

「藤子(ふじこ)ちゃ~ん、お願い!!」

伯母の本名は峰藤子(みね ふじこ)という。あの某名作ヒロイン・不二子と漢字は違うけど、見た目は負けてなかった。

「ルパンのまねをしてもだめ!しかも似てなさすぎ!出直しな!」

私はしょんぼり肩を落とした。

「いいじゃん、藤子。一晩くらい。まだ10歳とかそこらだろう?俺は手を出さないよ。ロリコンじゃないんだから」

煙草をふかしながら、部屋の中にいたイケメンのお兄さんが助け船を出してくれた。彼氏には弱い藤子ちゃんはため息をつきながらも中に入れてくれた。イケメンのお兄さんに私は頭を下げた。

「ありがとう、ルパンさん」
「ルパンさん?」
「藤子ちゃんの恋人だから」
「なるほど。えーっとじゃあ…どういたしまして、クラリス」

イケメンのお兄さんは「ハートは盗まないから安心して入りな」と笑って私を招いてくれた。クラリスというのはよくわからなかったけど、とりあえず私も笑い返した。藤子ちゃんが不機嫌だったのも最初だけで、彼女はすぐに仕事の準備に取り掛かった。

「姉さんとまた喧嘩でもしたの?」

彼女は今、ドレッサーとにらめっこしている。

「うん、教育方針の違いで」
「教育方針って。あんたいくつよ?まだガキんちょでしょう?」
「11歳。来年中学生!」
「ほら、ムキになった。立派なガキんちょ!」

鏡に映る藤子ちゃんの顔がみるみる変身する。細い筆を駆使し、画家みたいに多彩な絵を描いていく。お化粧って魔法みたい。私もいつかするのかな?自分のコンプレックスである細い目も、藤子ちゃんと同じ血をひいてるなら、ちょっとは美人になるかな?

「で、教育方針って?」

藤子ちゃんの声に現実に戻される。

「お母さんは中学受験をさせたがってるの。有名私立に行かせたいんだって。大学までしっかりあるところ」
「姉さんは優等生だった自分が大学受験に失敗したから、それが怖いのよ。あんたにはそうなってほしくないの」
「…でも、私はお母さんじゃないよ」

藤子ちゃんは鏡越しに笑った。重たそうな睫毛がキレイに震えている。

「そうよ。あんたは姉さんじゃない。私でもない。あんたはあんた」
「え?」
「さて、メイク終了!出陣しますか。ルパンも今日は一緒に店に出勤で、ここには誰もいないわよ。どうすんの?ここでじっとしてるつもり?」

どうしよう。逃げられればそれで良かったから、後のことはさっぱり考えてなかった。

「なら、一緒に来なさい。社会科見学にいきましょう、大人のね」

その完璧なウインクに、私はただ黙って頷いた。

    *

幕が上がる。

彼女の幕が、観客の幕が、そしてきっと私の幕が…。

“ The dress is Chanel ”
(ドレスはシャネル)

“ The shoes YSL ”
(靴はイヴ・サンローラン)

“ The bag is Dior, Agent Provocateaur ”
(バックはディオール 下着はアジャン・プロボカトゥール)


彼女のショーに誰もが魅了されていた。

「すごいだろう?藤子はこの店のメインをはってるんだ。歌も踊りも抜群!」

この店でバーテンダーをしているルパンさんが言った。カウンターの中に隠れ、私はこっそり舞台を眺めていた。

「…親戚中が伯母さんは夜のいかがわしいお店で働いてるっていってた…」
「まあ、そう思っちゃう人も少なくはないだろうね。でも、ここは別に裸になったりはしない。そういうところとは違う。実際見た、きみならわかるだろう?」

金髪のボブのウィッグをつけ、下着のような露出の高い派手な衣装。甘い笑顔を見せつけて全身で歌って踊る藤子ちゃんに大きな歓声が上がる。ライトは常に彼女に向けられ、それを眺める観客は男女を問わず、彼女に首ったけみたいだった。

“ My address today, L.A. by the way ”
(ちなみにきょうのアドレスはLA)

“ Above Sunset Strip, the Hills all the way ”
(サンセット通り ハリウッドヒルズ)

“ My rings are by Webster, it makes their heads twirl ”
(指輪は驚きのウェブスター)

“ They all say,'darling, what did you do for those pearls?'”
(誰もが言うわ。どんな色仕掛けを使ったの?って)


店内は異様な熱気に包まれていた。ただ、お酒のせいでこうなっているわけじゃない。藤子ちゃんの創り出す世界にみんな酔いしれているのだ。

「すごい…」

そう呟いた私に、ルパンさんは嬉しそうに微笑んだ。

「そう。すごいんだ、藤子は」

私は隠れるのを忘れ、飛び跳ねて彼女に手を振った。

「すごすぎる、いけない娘(こ)なんだ」

そこでタイミングよく、藤子ちゃんの笑顔が弾けた。

“ What?! I am a good girl(何ですって?私はいい娘なんだから)”


    *


「どうだった、大人の社会科見学は?」

化粧を落とした藤子ちゃんが楽屋に私を招いてくれた。

「もう、最高だったー!!」
「それは良かった」

藤子ちゃんも満足そうに微笑んだ。楽屋は舞台に上がった人たちの衣装や靴であふれ、戦場の後みたいに散らかり放題だった。それもなんか良かった。

「藤子さん、お疲れ様でーす」
「お疲れ~」

藤子ちゃん並みにキレイでスタイルのいいお姉さんたち。次々にご帰還のようだ。

「ほら、あんたはここに座んな。社会科見学はまだ続いてるの」

腕をひかれ、椅子に座らされた。それは楽屋内の藤子ちゃん専用のドレッサーだった。

「私が結局あんたに教えられることなんてこれだけ」

そう言って細い筆を取り出すと、目をつぶるように言われた。はじめてのお化粧に胸がドキドキした。

「ここにきた時、オーナーにまず言われたことがあった。あ、オーナーってわかる?」
「…お店の偉い人?」
「よくできました。その人にこう言われたの。『幕引きは自分で決めろ』って」

こんな話を聞くのは初めてだった。親戚の集まりがあってもすぐに帰ってしまう。お年玉も一番すごい金額をくれるのに、「じゃ!」と言って、そそくさと消える。逃げるっていう方が藤子ちゃんには似合うかもしれない。この人もきっと家出をした人間なのだろう。

「なんか納得できなかったのよね。誰しも自分の幕引きを決めることなんてできないわ。だから、せめて自分の幕開けくらいは自分で決めたいじゃない?」

唇に筆先があたり、くすぐったかった。そうこうしているうちに、不意に肩をポンと叩かれた。

「はい、できた。目を開けてごらん」

ゆっくり目を開ける。舞台の幕が上がるような緊張感が走る。

「わあーーー!」

鏡に映っていたのは、私じゃなかった。いや、もしかしたら本当の私だったのかもしれない。

「だから意地でもチャンスをつかんで舞台に立ちたかった。そして、必ずそうできると信じてたわ」
「何でそう思えたの?」

私のお化粧した顔なんてかすむくらい藤子ちゃんの笑顔は眩しかった。

“ What?! I am a good girl ”(何でですって?私はいい娘なんだから)


    *


幕が上がる。

彼女の幕が、観客の幕が、そしてきっと私の幕が…。

『誰しも自分の幕引きを決めることなんてできないわ。だから、せめて自分の幕開けくらいは自分で決めたいじゃない?』

ねえ、伯母さん。そのことをあなたはまだ覚えてる? 忘れているなら、私が教えてあげるわ。


    *


「まさかあんたがあの舞台に立つとは思わなかった」

店のカウンターに座った藤子ちゃんが笑った。少しほうれい線が目立っても、その美しさは変わらない。

「しかもあれ、あんたが初めてみた私のショーの曲でしょう?」
「好きなんだ、『I am a good girl』!で、どうだった?私だって藤子ちゃんに見劣りしなかったでしょう?」

私はよく伯母がやっていたウインクをまねてみた。もう上手にできることを教えてあげる。

「あんたには負けたわ。…わかった。受けるわよ、手術。助かるかもしれないのに、何を自分で幕引こうとしてたんだろう。そう、あんたを見て思ったわ」
「よくできました」
「あの大人の社会科見学が、こんなふうに功を成すとは…」

伯母の体調が悪いと知らせてくれたのは、店の現オーナーであるルパンさんだった。子宮がんになったのに、手術をうけようとしない妻のことをとても心配していた。たぶん伯母は自分の幕引きについて考えていたのだろう。

藤子ちゃんのあのショーを見て以来、舞台の虜になった私は、母には内緒で歌とダンスのレッスンに通い、無事大学進学も果たした。今も授業の合間を縫って、それは続いている。あの時の歌と踊りは、目に、脳裏に、焼き付いて離れない。

だから、私はルパンさんにお願いをした。店の舞台に立たせてほしいこと。藤子ちゃんにそれを見てもらいたいことを。

「でも、少し色気が足りないのよね」
「うるさいな、おばさん!」
「こういう時だけおばさん、いうな」

ふたりとも、お酒は控えている。藤子ちゃんの手術が終わったらっていうのが暗黙の了解。その時のお酒は、ぜひルパンさんに作ってもらいたいことも。

「お母さんも心配してた。年は離れてても、たった一人の妹だから」
「…そう。でも、私はまた姉さんに恨まれるわね。自慢の娘が舞台デビューしたなんてしれたら…」
「もう知ってるよ。今日見に来てたはずだもん。あ、連絡きた。ここに呼んでいい?」

スマホを手に取る私に、藤子ちゃんは目を丸くした。

「はあ?あんた大丈夫なの!?」
「藤子ちゃんじゃないけど、自分の幕開けくらいは自分で決めたいじゃない?」

それから私は自慢のウインクで、こう答えてみせた。

「大丈夫、心配しないで!“ I am a good girl(私はいい娘なんだから)”



=====================================


=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Steve Antin『Burlesque』 × Christina Aguilera 『I am a good girl』★

クリスティーナ・アギレラ主演の『バーレスク』をやっと見れました。これでアギレラを知った私はそのカッコ良さに大興奮!これは映画館でぜひ見たかった!!感動が大きいとすぐに自分の中で物語が生まれます。清々しい気持ちになれる物語に仕上がっているといいのですが。峰藤子の名前はモンキー・パンチ『ルパン三世』の峰不二子をモデルに。性格は『Burlesque』のCherが演じたクラブのマダムかも。クラリスは『カリオストロの城』より。

① Steve Antin『Burlesque』
http://www.youtube.com/watch?v=dSLvpTODAp0
http://www.youtube.com/watch?v=V4nWAZU9mu8
http://www.youtube.com/watch?v=vMFRI_DPD9s
UPしたのは映画予告と名場面。主人公が意地悪されて音響を止められますが、本領を発揮させてみんなの度肝を抜くところ。それと劇中Cherが誰もいないクラブで一人歌う場面もどうぞ。貫録充分でカッコいいです。

② Christina Aguilera 『I am a good girl』
劇中たくさんの歌や踊りを披露してた彼女ですが、中でもこれが個人的にお気に入り。思わず、リピート再生して書き始めてましたよ、物語を。
http://www.youtube.com/watch?v=YDPR5EoYqOs

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>>名前は?

ヴィンス・ロード

>>年は?

18歳

>>どこから来た?

ラック・アイランド

>>移民か?

はい。グレイブ・シティに居住申請中です。

>>まずは市民病院で精密検査を。許可はそれから。君が『由々(ゆゆ)しき市民』でないことを祈る。

    *

…鐘の音がする。いつからかわからない。ただ、夢の最後でいつも鳴り響くのだ。ずっと前から…。


    *


車の窓ガラスを叩く音がして、ヴィンスは目をこすった。上司のリアだった。慌てて助手席のドアを開ける。

「買い出しをしてきた。寝てたのか?」

リアに問われ、新米刑事のヴィンスは苦笑した。

「気にすることはない。もう張り込みをはじめて3日たつからな」

乗り込んできたリアは特に気にしていないようだ。

「リアさんはタフですね」

さすが女性最年少で刑事課長になった人だ。優秀なキャリア組。彼女がこれまであげた検挙率は群を抜き、目を瞠るものがあった。性別と年下の分、体力だけは負けないと思っていた自分が情けない。

「私を女と思わないことだ」

リアは微笑んだ。目元のブルーのシャドウがきらめく。ヴィンスは自分の心を見透かされたような気がした。

「とにかく食べろ。腹に何か入れておかないと、いざってときに動けないからな」

そう言って、リアは袋から食べ物を取り出した。

「まさかアンパンと牛乳…ですか?」

ヴィンスは声を上げた。

「…嫌いだったか?」

首を傾けたリアの仕草が少し幼く見え、ヴィンスはつい吹き出した。

「前世紀の刑事ドラマでお約束の張り込みグッズですよね、それ?」
「…そうなのか?」
「そうですよ。俺、憧れてたんです!あと、犯人の取り調べの時に『カツ丼、食うか?』とか!」

ヴィンスは根っからの刑事マニアらしい。話を詳しく聞くと、彼の着ているミリタリー風のコートもその影響とのことだった。少年っぽさの残る新米刑事にリアは少しあきれた。

「…で、今夜の動きはあったのか?」

リアが話題を変え、ヴィンスも自分の仕事を思い出す。

「何もありませんよ。っていうか、本当に『由々しき市民』は犯行を起こすんですか?3日もたつのに、まるで音沙汰なしですけど…」
「上はそう睨んでいるが、どうだかな。まあ、備えあれば…というところだろう」

彼らは今グレイブ・シティを脅かす連続殺人鬼を追っている。高級官僚ばかりを狙った犯行で、犯人の目星も未だついていない。だから、次に狙われるだろう官僚宅前に彼らは張り込みを続けていた。

「張り込みってやっぱり地味ですよね…。どうせなら俺、潜入捜査とかしてみたかったなあ」
「潜入捜査…?」
「そうです。麻薬組織やマフィアの内部に潜入して、油断させて捕まえるやつ。まあ、おとり捜査ですよね」

リアはため息をついた。

「ヴィンス…お前、前世紀の負の遺産の見過ぎだ…。グレイブ・シティでそれは違法だぞ」
「そうなんですか?えー、がっかりだな。じゃあ、リアさんと恋人同士や新婚さんって設定でおとり捜査することもないのか…」
「…何を言ってるんだ、お前は…」

思い切り顔をしかめたリアに、ヴィンスは屈託なく笑った。

「密かな俺の夢ですよ。役得来た!!みたいな?」
「あきれてものがいえない…」

アンパンにかぶりつき、牛乳で流し込む。今度はヴィンスがため息をつく番だった。憧れの刑事は本当に地味だ。

「…ところで、うなされていたようだったぞ?大丈夫か?」
「うわー。俺、ここでもやってましたか。すみません、いつものことなんで気にしないで下さい。なんか夢見が悪いんですよね、俺」
「夢見が悪い?」
「何の夢を見てたのか起きたらその辺を忘れてるんですけど、一つだけ覚えてて。最後に必ず鐘の音が聞こえるんです。けっこうガンガン鳴ってくれてるんでそのせいですよ」
「鐘の音か…」
「夢の終焉を告げる鐘の音ですよ…なんてね。『終焉』なんて言って自分の柔肌に鳥肌が立ってます」
「柔肌って…」

リアの笑顔にヴィンスも笑った。彼はリアの笑顔が好きだった。彼女の笑顔は素の表情が現われる。濃い化粧でひた隠しにしているようだが、あどけなさの残る少女のような可憐さがあった。化粧はきっと彼女の武装なのだ。まだまだ男社会の警察組織において彼女の存在とそのキャリアは特に煙たがれる。新人の自分と組まされたのも、嫌がらせみたいなものだろう。

「リアさんは、どうして刑事に?」

聞いた後で、しまったと思った。自分ごときが簡単に聞いていいものではないだろう。

「大切な者を守るため」
「…大切な者?」
「ああ」
「それって恋人とかですか?それとも…」

不意に強いライトが車に当たった。ただの通りすがりの乗用車かと思いきや、その車は官僚宅に蛍光塗料を投げつけて去って行った。

「おーおー、派手にやって、さっさと行っちゃって。リアさん、ほっといていいんですか?彼らも『由々しき市民』でしょう?」

ヴィンスの問いに、リアは答える。

「それを決めるのは『正しき市民』だろう?」
「あの家の中にいるような人たちのことですか?なんか官僚様々だな」

鼻で笑いながら、ヴィンスは続けた。

「グレイブ・シティに住む者は、みんな『由々しき市民』になるなと教育される。危険分子あつかいされるその呼び名、どうにかなりませんかね?そんなこと言ったら、人は誰しも『由々しき市民』候補生ですよ。そういう負の感情は誰しもあるものだ。でも、逆に『正しき市民』になれとは言われない。『正しき市民』はみんながなれる者じゃないからだ。決められた特定の者に限られる。だから、あえて言わない。おかしいなあ、それ。俺には市長の考えがわかりません。リアさんは、わかりますか?」

ヴィンスの声は冷たく厳しかった。それでも、リアは答えなかった。

「あなたのような『正しき市民』でも答えられないことがあるんですね。でも、俺はあなたに答えてもらいたかったんだけどな」

ヴィンスはまた屈託なく笑った。

「おとり捜査はいけないはずでしょう、リアさん?」

リアは息を吐いた。それから、ヴィンスを真っ直ぐ見つめた。

「潜入捜査じみたことをしているやつに、言われたくないな」
「刑事になるの、俺の夢だったんですよ。カツ丼も食いたかったし」
「それは私が用意してやる。これから存分に食べられるさ」

それを聞いて、ヴィンスは嬉しそうに笑った。

「あなたとカツ丼が食べられるなんて光栄だな、リア・グレイブ」

ヴィンスの伸ばした手がリアの首元で止まるのと、リアがヴィンスの胸に拳銃を構えたのは、ほぼ同時だった。

「私を狙ったのは市長の娘だからか?」
「市長の一番大事なものを奪おうと思って。俺がそうされたみたいに。知ってますか?グレイブ・シティはまわりのマチやシマを犠牲にして成り立ってることを。俺の故郷も家族もグレイブ・シティの餌食になったんだ。グレイブ・シティの電力支給のためにね」
「原発か…」
「そう。その放射能漏れでね。5年前、俺たちは故郷を捨ててここに来るしかなかった。その時グレイブ・シティは何をしてくれた?『移民』は『由々しき市民』っていうレッテルを貼っただけ。すでに助かる見込みのない者は皆殺し。奪ったのは故郷だけじゃなかったんだな。人間の尊厳ってやつも一緒に奪っていったんだ」

リアは何も言い返せなかった。

「黙らないで下さいよ、リアさん。あなたはただ、守るべきものを守ればいい。市長を、父親を、守ればいいんだ」
「…お前は何を言ってるんだ…?」
「俺は賭けたんだ。あなたはきっと市長とは違う。早いとこ、出世して下さいね」

ヴィンスの手が彼女の首元を掠め頭へ移り、リアを引き寄せて口づけるのと、銃のトリガーがひかれたのは、ほぼ同時だった。


その時、終焉の鐘が鳴り響いた。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ manglobe『Ergo Proxy』 × Monoral『Kiri』★

昔みて忘れられなかった『Ergo Proxy』。設定など今回書いた物語は微妙にこれを参考にしちゃってると思います。哲学的要素や謎が多く、最初中々その世界観に入り込めなかったのですが、3話の終わりから俄然面白くなります。マイナー作品なのがもったいない。それともしかしたら思い切りドラマ『踊る大捜査線』の影響も受けているかもしれません。カツ丼やコート、上司の出世のために部下が自ら犠牲になる、など…。あと『PSYCHO-PASS』もかな。

① manglobe『Ergo Proxy』
SF初心者はアニメなら入りやすいと教えてもらい、おススメ作品を聞きました。でも、たくさんあったので、ざっとOPを見て決めることに。すると、このOPのセンスがハンパなくて…即視聴決定!
http://www.youtube.com/watch?v=oAXrRWLKzko

② Monoral『Kiri』
その主題歌。洋楽と思いきや、まさかの邦楽でした。ちょうどよくMAD編集したものがあったので、作品世界もあわせてどうぞ。(UPした映像はコメントが多いので、吹き出しを押すと消えます)
http://nicoviewer.net/sm1870606
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1870606

③ ドラマ『踊る大捜査線』
https://www.youtube.com/watch?v=xuac-Ot5mnA

④ 劇場版 『PSYCHO-PASS サイコパス』劇場公開後新PV
個人的には断然1期派。どうせやるなら、続編より標本事件をやってもらいたかったなあ。
http://nicotter.net/watch/sm25311760
凛として時雨 『Who What Who What』
https://www.youtube.com/watch?v=HPJCPHh-x2o


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