「ようこそ、ネバーランドへ」

№511の少年が言った。

「ここは特別な場所、『選ばれた子ども』しか来れないんだ」

生気を失った少年少女たちのたまり場。

「きみは選ばれたんだよ」

どこが特別な場所なんだろう?どこが選ばれた子どもなんだろう?

「おめでとう!」

№511の少年が言った。

「もう大人たちの飼い殺しにあうことはない」

飼い殺し?

「あー、そうか。きみは親を殺してきたんだっけ?」

№511の少年が言った。

「親に虐げられた僕らにとって最高の復讐をしてきたんだね。僕らはきみを歓迎するよ!」

血みどろの手。ひび割れた酒瓶。

「そんな、きみの勇気に乾杯!」

№511の少年が言った。

「さあ、新しい門出だ。きみは何を望む?何でも叶えよう!」

何でも…?

「そうさ!望みを言ってごらん?」

№511の少年が言った。

「了解、きみも名前を消したいんだね。じゃあ、今からきみは、№512だ!」

ようやく胸がすうっと楽になった。

「№512!ようこそ、ネバーランドへ」




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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Fightstar『?』× 浦沢直樹『MONSTER』★

次回作の予告しといて、すみません!どうやらそちらはもう少し時間を頂くことになりそう。なので、先に出来上がったこちらをUPします。青春モノを書いた後ってやっぱりちょっとブラックなものを書きたくなる…のかも。No.511は浦沢直樹『MONSTER』の511キンダーハイムより。本当はそういう特殊な施設の話を書きたかった…のかも。

① Fightstar『?』
http://www.youtube.com/watch?v=x1VkbB4bzDI
アーティストも曲名も不明だった音楽。ずっと探してました。探しまくって今回ようやくアーティストはわかったんですけど、曲名が『Shinji Ikari』って…さすがにこれは違いますよね…?だってこれ某人気アニメのキャラクターですよね…?どなたか、もしこの曲名をご存知でしたら教えて下さると嬉しいです。切ないメロディがなんかグッとくるんです。暗い物語にはもってこいでした。

② 浦沢直樹『MONSTER』
http://matome.naver.jp/odai/2136689426451579801/2136689481251704503
以前UPしたものですが、せっかくなので。「511キンダーハイム」のような話はちょっと私も書いてみたい。浦沢作品の凄さって「コレってもしかしたら実在したの…?」というリアル感にあるのでしょうか。これもラストは驚いた…。(UPした映像はコメントが多いので、吹き出しを押すと消えます)

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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

なんと!いつの間にか拍手合計が1000をずいぶんと越えていました。

たぶんそれに貢献したらしい前作の『【第112夜】 BLITZ PRETZ (ブリッツ プリッツ)』が35拍手以上を越えてました。

…なんてこったい。
いや、嬉しいんですけど、なんで気づかなかったんだろう。。PC環境から離れていたからかな。

物語ブログを初めて半年ちょっとでしょうか。
これもみなさまのおかげです。本当にありがとうございます!!

とても嬉しいです^^

にしても、『【第112夜】 BLITZ PRETZ (ブリッツ プリッツ)』の拍手の多さにびっくり。
たぶん今のところ、拍手ランキング第1位作品です。
音楽の力でかけたようなものだから、これからもたくさん音楽を聞こうと思いました。
それと、ドライブに連れて行ってくれた仲間たちにも、こっそり感謝しとこう。プリッツも食べよう。

本当だったら、そろそろ次回作の更新をする頃なのですが、PC環境から離れていたため、次の物語を全く書けてません。なので、もう少しお時間を頂くことになるかと思います。

…なんてこったい。
でも、ある作品の続きを書きたいなあとちょっと思っていて、いきなり続編を見て頂くよりも前作であるそちらを読んで待っていてもらうのもありなんじゃないかと思いました。

良ければ、以下作品を読んで待って頂けると嬉しいです^^
(もしかしたら、都合によっては別作品のUPが先になってしまうかもしれませんが…気長にお待ち下さい)

次回作は、こちらの続編予定☆
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-25.html

元々、これは後宮のお話を書きたかったのですが、そこを書く前に終わってしまったという…。初めて中華風のお話を書いたこともあって色々と反省も多く、続きはあきらめていたのですが。。。

私、見てしまったんですよ、アレを…。

お正月休み体調が万全ではなくて外に出られなかったから、一気におうちでアレを見まくったんですね。

アレっていうのは、韓国の歴史大河ドラマ三作品のことなんです!

今まで韓国ドラマを私なめてました。(好きな方、すみません!!大反省!!)
『トンイ』→『イ・サン』→『宮廷女官チャングムの誓い』の順に見たのですが、とにかくすっごく面白い!!!

最近の日本の大河ドラマにはあまりない「続きが気になる!!」「次が早くみたい!!」というストーリー展開。たぶん向こうは史実とフィクションの混ぜ方がうまいんだと思います。あと、ヒロインがとにかくカッコ良いんです。

私が中華風作品が好きなのは、ヒロインがカッコいいのが多いからなんですが、韓国の歴史ドラマも負けてないんです。見てたら、私も書きたくなってしまいましてね。で、自分で書けるとしたらなんだろう。…そう言えば、なんか断念した桃の話があったなあと思い出し…。もしかしたら、次回作ってわけでもないかもしれませんが、『~蹊を成す』こちら近々続編UP予定です。

ちなみに以下が私がハマった韓国歴史大河ドラマ三作品です(アドは1話だけですが)

★『トンイ』
李氏朝鮮時代を舞台に、監察府の女官であるトンイを主人公に繰り広げられる王宮内の権力闘争や人間模様を描いた作品。
http://www.youtube.com/watch?v=kyWkqRHrHFI
英字幕しか見つけられませんでした…。すみません。。


★『イ・サン』
李氏朝鮮第22代国王である正祖ことイ・サンを主人公。朝廷内の派閥争いやサンの即位を阻止しようとする陰謀、即位後も常に命を狙われつつ、政治の改革に着手するサンの波乱に富んだストーリーが展開される。
http://www.dailymotion.com/video/x14ld4e_%E6%96%B0-%E3%82%A4-%E3%82%B5%E3%83%B3-%E7%AC%AC%EF%BC%91%E5%9B%9E_lifestyle

★『宮廷女官チャングムの誓い』
チャングムが母の遺志の最高尚宮をめざし女官となるが、謀略により宮廷料理人から一度は奴婢の身に落とされる。しかし医女となり宮廷に復帰するサクセスストーリー。
http://www.dailymotion.com/video/x1081g9_%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A0-%E7%AC%AC01%E8%A9%B1_shortfilms

予告したからには、続編を頑張って書かないと。それでは、もうしばらくお待ちください^^
みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014)候補作一覧http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-119.htmlの追記です。

★☆第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014)推薦作品募集について☆★

もし良ければ、みなさんのオススメブログとその作品(自分のものでも可)を参考までにコメント欄で教えて下さると嬉しいです。

全部は読めないかもしれませんが、今年は色々と読んでいけたらいいなと思っています^^

ただ、候補作品はあくまで私個人の好みだったりするので、候補作品にならずとも、広い心で笑って許してやって下さいませ。


以下みたいなことをコメント欄に記入して頂けると、大変助かります。


・推薦ブログ名
・推薦ブログ運営者名
・推薦ブログアドレス
・推薦小説名
・推薦小説のあらすじまたは第1話のアドレス
・選評  


良ければ、みなさんのご理解とご協力をよろしくお願いします!^^


みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

私は半年くらい前から物語ブログを始めたのですが、毎年個人的にお気に入りの小説ブログ様に自分て作った賞を勝手におくりたいと思いまして、こんな賞を作ってしまいました。名付けて…!

★☆自分的小説ブログ大賞☆★

生意気にすみません。賞品なんてありませんが…(苦笑)。

ちなみに、記憶に新しい2013年の記念すべき第1回は!

けいさんの小説ブログ『憩』に好評連載中の青春小説『夢叶』でした!!
おめでとうございます!超個人的な賞を快く受け取ってくれたけいさんに、ただただ感謝です><。

↓詳細記事はこちら↓
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html

けいさんの小説ブログ『憩』
http://meuniverse.blog10.fc2.com/
連載長編小説『夢叶』のあらすじ・目次
http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-68.html
連載長編小説『夢叶』第1話
http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-57.html

2013年は、けいさんの『夢叶』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!

そこで気が早いのですが、早速2014年版の準備をして行こうと思っていまして、ここにその候補作を見つけ次第、勝手に更新&紹介させて頂こうかと思っています。最終的に年末、こちらでUPした候補作の中から、第2回大賞を選ぶ予定です。(惜しくも大賞を逃した作品は、来年度の候補作品としてそのまま残ります)

良ければみなさんも、ちょくちょくこちら覗いてみて下さいね☆
読むものをお探しの方のソムリエ的な役割ができたら嬉しいです。

候補作のブログ様で「気持ちは嬉しいけど、自分は遠慮したいかも…」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除いたしますので、気にせず、言って下さいね^^


★ 第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014)候補作一覧 ★

①お名前  :松原きのこ さん
 ブログ名 :『なついてくれてサンキューな』
 ブロアド :http://neboushitaze.blog.fc2.com/
 小説名  :『はぐれ者のおっさん』(短編小説)
 第1話  :http://neboushitaze.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
  選 評 :私が文部科学的な何か or 学校の先生だったら、夏休みの課題図書に推薦したいです☆

②お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名1 :『凍える星』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-669.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-671.html
  選 評 :小説ブログってこんなにレベルが高いんだ!私的「このミステリーがすごい!」作品☆
 小説名2 :『KEEP OUT』シリーズ(長編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-304.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-305.html
  選 評 :人間の禁域に触れる時、人は目をそむけたくても、それができず、目が離せなくなる…!lime さん、あなたはなんと恐ろしい(もちろん、いい意味!)ストーリーテラーなんですか!

③お名前  :大海彩洋さん
 ブログ名 :『 コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』
 ブロアド :http://oomisayo.blog.fc2.com/
 小説名1 :『清明の雪』(長編小説/ミステリー)
あらすじ  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E3%80%90%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%80%91%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E2%9D%841%E3%80%80%E5%8F%A4%E3%81%84%E5%AF%BA%E3%80%80%E9%BE%8D%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BA%95%E3%80%80%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%81%AE%E6%8E%9B%E8%BB%B8%20
  選 評 :このミステリーの一番の謎はブログ小説なのに紙の香りがすることかもしれない!書籍化希望☆
 小説名2 :『天の川で恋をして』(短編小説/恋愛)
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-16.html
  選 評 :長編ミステリーを得意とする大海さんが短編×恋愛モノ!?と聞いたら、飛びつかないわけにはいかない。読んだ感想はもうこの一言しかありませんでした。「お見事!!」

④お名前  :ヒロハルさん
 ブログ名 :『 三流自作小説劇場 』(休止中?)
 ブロアド :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
 小説名  :『それでも私を愛してくれますか』(長編小説)
あらすじ  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-674.html
 第1話  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-675.html
  選 評 :衝撃のラストに、あなたは『それでも私を愛してくれますか』。SF×恋愛小説の切なさがここに!!

⑤お名前  :ぐりーんすぷらうとさん
 ブログ名 :『修羅の門・刻 夢小説』
 ブロアド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/
 小説名  :『limeさんの絵につけた超SSS』(ショートショート)
 作品アド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
  選 評 :普段は夢小説を書かれているぐりさんが②でご紹介したlimeさんと物語×絵コラボ。熱望してたオリジナル作品も期待を裏切りません!

⑥お名前  :河上朔さん
 ブログ名 :『therehere』
 ブロアド :http://here.x0.com/
 小説名  :『wonder wonderful』(長編小説)
あらすじ  :http://here.x0.com/text/ww/index.htm
 第1話  :http://here.x0.com/text/ww/0.htm
  選 評 :書籍化もした人気ネット小説。大人もハマる異世界トリップファンタジー。面白すぎてヤバいぞ、これは!第二の有川浩さんかも!

⑦お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい物語展開。満腹感の味わえる文章力。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!
小説名2 :『ななおさん』(中編小説/恋愛)
第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0nanaosan-top.html
選 評 :和菓子屋を営む壮介さんのもとに嫁いだ、ななおさん。わけあり『和』カップルの織り成す日常が優しい雰囲気で描かれています。これを読むと、いざ鎌倉着物デートしたくなります!
なんと『ななおさん』は、ただいまアルファポリス様において書籍化進行中。決定後、2014/11/15にサイトから冒頭数話と番外編を残して 本編を取り下げ予定。 11月15日以降は読むことが出来なくなるため、 みなさんお早めにチェックを!!

⑧お名前  :空野みちさん
 ブログ名 :『 空野みちさんのマイページ 』 (by『 小説家になろう 』)
 ブロアド :http://mypage.syosetu.com/25780/
あらすじ一覧 :http://ncode.syosetu.com/n5126g/
 小説名 :『 夏目さんと私』 (長編小説/恋愛)
 第1話  :http://ncode.syosetu.com/n5126g/1/
選 評 :登場人物が魅力的で名前も素敵!森見登美彦さん(より個人的に好き!)を彷彿させる『和』感覚で小粋な文章。丁寧に紡がれる物語に、ただただ、続きが待ち遠しい。なんていいところで~、くうっ!!

図書館から寄宿舎に戻った涼子(りょうこ)が自分の部屋に行くと、来客がいた。同じクラスの遥(はるか)だった。

「秋吉さんにお願いして、部屋に入れてもらったの」

秋吉さんとは、涼子のルームメート秋吉美和(あきよし みわ)のことである。冬休みを実家で過ごした美和は、三学期の始業式前日である今日、寄宿舎に戻ってきた。涼子は遥をみて微笑んだ。

「一番乗りなんて、遥の鼻は相変わらずね」

実家が有名洋菓子店の美和は、美味しいお菓子をたくさんお土産に持って帰ってくる。美和は今みんなにお茶会の召集をかけているのだろう。部屋にはいなかった。

「そう。私の鼻はとてもいいの。甘いものなんて、特に目がないんだから」

遥は涼子のベッドから腰を上げると、意味ありげに笑った。

彼女たちの通う女子高は長期休みに入ると、寄宿舎暮らしの生徒は帰省組と居残り組にわかれる。美和のように実家に帰るものもいれば、涼子や遥のように帰らない居残り組もいる。

「居残り組って響きが嫌よね。なんだか取り残された感があって。涼子もそう思わない?」
「そうね」
「しかも、影で『わけあり組』って言われてるのを知ってる?実家に帰らないのは、きっと何か帰れない事情があるからだ!って」
「知ってるわ。でもだからって、帰省組を『ホームシック気味』って影で呼ぶのも僻みっぽくて抵抗があるのよね」

涼子の言葉に、遥はくすくすと笑った。

「涼子は一見優等生にみえるけど、実はそうでもないのかしら?」
「あら、遥ったら意地悪ね」

図書館で借りた本を自分の机の上に置いた涼子はコートを脱いだ。降っていた雪のせいで、コートは冷たく濡れてしまっていた。

「意地悪なんてひどいわ。私は涼子のことが大好きなのに」
「もう、そんなこと言って。また、みんなに嫉妬されちゃうわ」

自分の部屋に戻って来たのに心が休まらないのはなぜだろう。相部屋の相方である美和が今日戻ってきたからだろうか。話好きの遥がこの部屋にいるからだろうか。一人になれないもどかしさに、涼子は少し息がつまった。

「私は涼子に嫉妬してもらいたいのにな」

涼子と遥はクラスメートだが、特別仲がいいわけではない。美人の遥はクラスの人気者で、憧れる者も多かった。それに比べ、涼子は特に目立たない真面目な優等生である。それなのに、最近なぜか遥は涼子によく声をかけ、かまうから不思議だ。

「私ね、本当はこの冬休み、涼子と話したくて残っていたのよ。気づかなかった?」

遥の問いかけは、涼子を戸惑わせるものだった。

「私はいつも涼子を見ていたのに。これじゃ片思いね」
「…片思い?」
「そう、片思い。誰かさんと同じ」

遥は涼子のそばに近寄ると、机の上に置いたあった本を手に取った。

「吉屋信子の本、私も好きよ。『花物語』なんて特にね」

涼子は観念し、自分の椅子に深く座った。

「甘いものには目がない、か…」

涼子はそう呟き、無意識に足を組んでいた。遥はこちらがうっとりするような微笑をみせる。

「ごめんなさい、涼子。あの日の放課後、私もいたの。理科準備室に」

涼子は肩をすくめた。

「…見られていたのね」
「言ったでしょう?私、とても鼻がいいの」

鼻がいい、か…。確かにそうかもしれない。成績はあまりよくない遥だが、勘が人一倍冴える。その鼻で甘い香りをかぎつけ、涼子の隠していた思いを一瞬で見抜いてしまった。

「白衣の似合う人はいいなあって私も思うもの」

冬休みに入る少し前、ある放課後のことだ。涼子は理科室に忘れものを取りに行った。ふと人の気配がして、隣の準備室をのぞいたが、そこには誰もいなかった。あるのは化学教師に忘れられた白衣だけだった。涼子は無意識にそれに手を伸ばしていた。

「変よね。どうしてあんなことをしたのか自分でもよくわからないの」

あの時、手を伸ばしたのはなぜだろうか。触れたのはなぜだろう。抱きしめていたのはなぜだろう。物音がして慌てて放し、その場を逃げ出した。

「変じゃないわ。その気持ちはきっと素敵なものよ」

遥にそう言われるとは思わなかったので、涼子は面食らった。遥の目はとても優しかった。

あの日の放課後、夕焼けに染まった理科準備室。そこにいた涼子はとても美しかった。控えめで大人しい雰囲気の少女だったが、内に秘めた熱を垣間見せ、見たことのない表情をしていた。穏やかで甘い。ひた向きで微笑ましい。それはずっと見ていたいと思わせるほど…。

「とても素敵なものだわ」

繰り返される遥の言葉に、涼子はなぜか涙ぐんでいた。それを隠すために彼女は急いで立ち上がった。

「お茶をいれるわね」

涼子の言葉を聞いて、遥もいつもの調子に戻る。

「う~ん、この香りだとお土産はフィナンシェね」
「え?」
「涼子、紅茶はダージリンとか後味のさっぱりするものでお願い」
「遥って、本当に鼻がいいのね」

ふたりは顔を見合わせると、同じように可愛らしく微笑んだ。


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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Matt Pond PA 『So Much Trouble』× 氷室冴子『白い少女たち』★

年明け初更新です。今年もどうぞ『1001夜ショートショート』をよろしくお願いします!

昔の少女小説っぽいものを一度書いてみたいと思ってました。できれば、寄宿舎?寮?生活を舞台にしたもの。そこにいる少女たちの姿を。ちなみに書いててなんですが、作中の吉屋信子『花物語』は未読です。少女小説の元祖と呼ばれる方の著作なので、ちょっと読んでみたい。読んだら、またこのジャンルに挑戦してみようと思います。

① Matt Pond PA 『So Much Trouble』
http://www.youtube.com/watch?v=VTbeGDhQlxU&index=1&list=RDVTbeGDhQlxU
最近洋楽ばかりですが、こちらも美メロです。少女たちが主人公の物語でこちらの音楽を使いたかったので叶って良かった。アーティスト情報があまりないので、マイスぺ貼っておきます。
Matt Pond PA  myspace
https://myspace.com/mattpondpa

② 氷室冴子『白い少女たち』
http://www.amazon.co.jp/%E7%99%BD%E3%81%84%E5%B0%91%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB%E2%80%95%E3%82%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-52A-%E6%B0%B7%E5%AE%A4-%E5%86%B4%E5%AD%90/dp/4086102358
ずっと探していた本をようやく入手。寄宿舎を舞台にした思春期の少女たちの物語です。氷室さんが20歳くらいの時に書いたものと聞き、驚きました。話は重くシリアスなのに目が離せなくて。未完の『碧の迷宮』もそうですが、彼女のこんな物語をもっと読みたかったなあ。何より私世代じゃ氷室冴子作品は、ほぼ絶版なのが悲しいです。いっそのことまとめて全集とか出してくれないかな。

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