前回UPした【第90夜】Where is My Mind? には、もう一つ違った結末がありました。せっかくなので、UPを。もし、興味のある方がいたらどうぞ~。

↓もう一つの結末ver.です(全体的にラストも含め、少し訂正しています)↓


=====================================


僕にはわからない。…これはリアル(現実)?

「最近の調子はどうですか、先生?」

担当編集者と名乗る男から電話がかかってきた。

「先生の新作をずっと楽しみにしている読者が大勢いますよ」

男のくせに甲高い声。

「先生の一見凶器に満ちた作風は人間の暗部を切り取っていると、どの年齢層にも評判が良くてですね…」

凶器?暗部?

「でも、どんなに血生臭くても不思議と読後感は爽やかで、それが女性読者にも受けているんです。そういう作風で、男女の支持を得るというのは中々ありませんよ」

爽やか?支持を得る?…何を言っているのだろう?

「確か打ち合わせの際、新作の内容に関してこうおっしゃってましたよね。ある小説家が作品を仕上げる過程で、だんだん現実と虚構の区別がつかなくなり、精神錯乱起こす…って」

僕にはわからない。

「実は…私は実際に先生がそんなことにならないかどうか心配だったんですよ」

精神錯乱を起こす?…僕が?

「でも声をきいて、いつもと変わらないようで安心しました」

それに呼応するように、知らない男の落ち着いた笑い声がした。

「でも、気分転換はしっかりなさって下さいね。何か差し入れを持っていきましょうか?」

僕にはわからない。…これはリアル?

「大丈夫そうですか?わかりました。それじゃあ…」

僕にはわからない。…これはリアル?

「あ、最後に一つだけ。結末を聞いてもいいですか?精神錯乱を起こした小説家の最後は?」

僕にはわからない。

「殺人を犯す、自ら死を選ぶ…なるほど、そうですか。決めかねいているんですね?私の意見ですか?そうだなあ…」

僕にはわからない。

「こういうのはどうでしょうか?小説家は殺人を犯した末、自ら死を選ぶ。でも、本当は自殺ではなかった…」

僕にはわからない。…これは、

「…自殺に見せかけて、殺されるんですよ」

僕にはわからない。…これは、

「編集者に」

…これは、リアル?

「では、完成を楽しみにしていますよ」

それに呼応するように、知らない男の落ち着いた笑い声がした。
僕にはわかっている。…これはリアル(現実)じゃない。

「最近の調子はどうですか、先生?」

担当編集者から電話がかかってきた。

「先生の新作をずっと楽しみにしている読者が大勢いますよ」

男のくせに甲高い声。耳障りだ。僕にはわかっている。…これはリアルじゃない。

「先生の一見凶器に満ちた作風は人間の暗部を切り取っていると、どの年齢層にも評判が良くてですね…」

凶器?暗部?…どこが?

「でも、どんなに血生臭くても不思議と読後感は爽やかで、それが女性読者にも受けているんです。そういう作風で、男女の支持を得るというのは中々ありませんよ」

爽やか?支持を得る?詭弁だ。

「確か打ち合わせの際、新作の内容に関してこうおっしゃってましたよね。ある小説家が作品を仕上げる過程で、だんだん現実と虚構の区別がつかなくなり、精神錯乱起こす…って」

そうだったか…?

「実は…私は実際に先生がそんなことにならないかどうか心配だったんですよ」

精神錯乱を起こす?僕が?

「でも、声をきいて、いつもと変わらないようで安心しました」

それに呼応するように、知らない男の落ち着いた笑い声がした。

「でも、気分転換はしっかりなさって下さいね。何か差し入れを持っていきましょうか?」

僕にはわかっている。…これはリアルじゃない。

「大丈夫ですか?そうですか。わかりました。じゃあ…」

僕にはわかっている。…これはリアルじゃない。

「あ、最後に一つだけ。結末を聞いてもいいですか?精神錯乱を起こした小説家の最後は?」

僕にはわかっている。…これはリアルじゃない。

「殺人を犯す、自ら死を選ぶ…なるほど、そうですか。決めかねいているんですね?」

僕にはわかっている。

「私の意見ですか?そうだなあ…」

僕にはわかっている。…これは、

「………というのは、どうでしょう?」

…これだけは、リアルだ。

「では、完成を楽しみにしていますよ」