誰も予想していなかったに違いない。

なんで夏休みに入る直前に抜き打ちテストなんて受ける羽目になったのだろう。しかも、ふつう終業式の後とかありえないだろう?終業式で額の後退が涙ぐましい校長の長話にすっかりまいっていた俺たちは、教室に戻って早々言われた担任の

「抜き打ちって素敵だと思うんだよね」

という一言に眩暈がした。それから教室中が騒然となった。残された今日の俺たち大半の予定は、通知表をもらう→帰宅→地元の夏祭りにいく→バカ騒ぎ→終了→夏休み突入(宿題は計画的に!)だったはずだ…。

「はいはい。みんなの気持ちはよくわかるぞ。なんで今日このタイミングで抜き打ちを受けなくてはいけないのか?それは、より充実した夏休みを迎えるためです。苦しんだ今があるからこそ、明日がいっそうキラキラ眩しく、かけがえのないものになる。それをね、身をもって体験してもらおうと思って」
「はあ?意味わかんねー」
「先生、絶対Sだよ!」
「ありえねー」

口々にみんなは不平不満をもらす。当然だな。すると、担任(28歳独身男性・理科教師・彼女いない歴2年~3年と予想)は深いため息をつき、それから頭をかいて苦笑した。

「まあ、俺が中学生だった時にも同じことされてさ、未だに根にもっているだけだっていう話もある。その苦しみをわかちあってもらいたくてさ。こんな大人になるんじゃねえぞ、と。反面教師をまさに地で行っているわけだな」

転じて自虐街道まっしぐらの担任に唖然となる俺たち。担任がSなのかMなのかさえ、一瞬見失いかけたくらいだ。窓の外でセミの声がむなしく響く。ああ、もう目の前に俺たちの夏が待っているっていうのに…。

「でも、俺もそこまで鬼畜じゃない。自虐キャラでもない。もらう時間はきっかり二十分だけだ。あっという間だろう?感謝しろ」

その時、誰かの声がした。

「列車は俺様路線へ変更します~。安全乗車にご協力下さい~」

クラスのムードメーカーのハシモトだった。駅員のアナウンスの真似をして、みんなの笑いを誘う。クラス中がどっと笑った。そして、それは俺たちが突然の抜き打ちテストに観念した瞬間でもあった。

たぶんみんなどこかでわかっている。この抜き打ちの本当の意味を。

この前の期末テストで俺たちのクラスは総合平均点が学年最下位だった。だから、俺たちには夏休みの補習が必須だったはずだ。でも、この担任はなんとかそれをなくそうと学年主任とかけあい、奮闘していた。来年は中学三年生。受験でそれこそ勉強に熱をいれなければならない。そんな俺たちのために、せめて今年は…という配慮だろう。それで今こんなことになったんだろうな。

下手な嘘と演技。

それは担任も俺たちもお互い様で、なんだかんだといい奴ぞろいなのがうちのクラスの特徴だった。テスト用紙が全員に行き渡ったのを確認すると、担任がお決まりの開始の合図をする。

「じゃあ、始めるぞー。励め!」

いつもは耳障りなはずセミの声。それが遠くなる。ふと夏はまだずっと遠くあるように感じられた。


□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

スポンサーサイト
半分くらいのフィクションがちょうどいいと思うんだ。

フィクションなんて言葉に愛がない?本当にそうなのかな?

今までさんざん見てきたじゃないか?『この物語は、フィクションです』っていう大層な娯楽作品を。

そこからたくさんの愛にであって、心を動かされてきたわけでしょう?

でも、同時に白けていたことも知ってるよ。

所詮は嘘で塗り固められた世界にすぎないんだってことも。

だから、もし俺たちが作り手側になったら、せめて半分くらいのフィクションでいこうと思ったわけ。

現実半分、夢半分。

真実半分、嘘半分。

期待半分、その外れが半分ってね…。

え、なんか最後おかしいって?あはは!

でも、悪くないだろう?半分くらいのフィクションって。

何より俺たち『らしい』っていう気がしない?…え、気がしないですか。そうですか。ちっ。

え、舌打ちなんてしてないよ。嫌だなー、そんな怖い顔しないでよ。

う~ん。よし、わかった。

なら、こうしよう。

フィクションに愛があることを証明するよ。しかもとびっきりのね。

とりあえず、俺たちの物語のラストから決めようか?

『この物語の半分は、フィクションです』
ねえ、あなたの声がきこえる。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

今日もあなたの声がする。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

私はいつもその声で目覚め、桜がまだ咲いていないことにがっかりするの。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

あなたと私は、一体いつ会えるのだろう?

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

あなたは、どこにいるのだろう?

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

私はあなたに会いたくてたまらないから、眠る前にいつも、明日は桜が咲きますようにと祈っているの。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

あなたもきっとそうなのね。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

だから、こんなに声がはっきりと聞こえてくるのね。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

ねえ、私の声も、あなたに聞こえているの?

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

私は今日も待っているのよ。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

あなたと私の声がいつか重なる日を夢見ているわ。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』
――なあ、信じるか?

雨の季節特有の空気は慣れるまでに時間がかかる。むせ返る。何度も咳き込んでしまう。それに気を取られていると、部屋の窓辺にはいつも小さな虹ができていた。こぢんまりとしたアーチに手を伸ばして、そっと触れてみる。七色に染まることのない自分の指先に胸が痛んだ。それからあっさりと虹は消えていく。哀しい余韻だけが残る。

――消えない虹が欲しいのか? 見ててごらん。

やがて俺は消えない虹を手に入れた。そして満足してしまった。人は満足すると、ほっとして、すぐ忘れてしまう。そういう生き物だ。別にそれは悪いことじゃない。俺もそうだった。ただ、良くないのは一度忘れることを覚えると癖になってしまうことだ。そして知らないうちに、たくさんのことを忘れ始める。失い始める。俺は消えない虹も、それをくれた人さえも、いつの間にか失ってしまっていた。

      *

――なあ、信じるか?

小さいころ、近所にテツオという美大生がいた。有名芸大に在籍していて、おそろしく絵のうまい奴だった。どうやら学生時代から新進気鋭の画家として有望視されていたらしい。人柄はよくいる芸術家とは違って親しみやすく、近所の評判も高かった。近所の子どもたちはみんな「テッちゃん」と、慕っていたものだ。昔からどこか大人びて、感情を表に出さない子どもだった俺は、母親に心配されて、テツオの家に絵を習いに行くことになった。おおかた子育ての本か何かで、絵を描けば感情表現が豊かになるとでも書いてあり、鵜呑みにしたのだろう。
 でも、テツオは無理に絵を描かせるということはしなかった。一緒にお菓子を食べたり、話をしたり、遊んだりするだけ。今思うと、テツオがカウンセラーの役をかってでてくれたのかもしれない。

「マコトは何が好き?」
「好きなもの?」
「そうだよ。何でも言いな」

テツオはいつも、にこにこしていた。笑顔がお面のように張り付いてしまったものではなく、人柄の良さが自然と滲み出た穏やかなものだった。

「チョコ…かな」
「チョコだな。ほら!」

そう言って握っていた手のひらをぱっと開いて、チロルチョコを出す。簡単な手品をして、俺を驚かせてくれた。

「すごい。どうして、チョコってわかったの?」
「お前が、信じているからさ」
「何を?」
「チョコと俺を、さ」

なぜか俺はチョコとテツオを天秤にかけた図を想像して笑った。テツオは俺が笑うと、もっとにこにこする。そして、マコトの笑顔は光っていていい、と誉めてくれた。テツオに言われて、いつしか俺は家族の前でもよく笑うようになっていた。母親は涙ぐみ、テツオの絵画教室のおかげだと、それこそ信じて疑わなかった。

ある雨の日のことだ。

「消えない虹が欲しいんだ」

俺はそう呟くと、テツオはにこにこと身をのりだした。

「消えない虹が欲しいのか?」

俺は頷いた。窓辺の虹の話しをする。雨が降ると決まって部屋の窓辺に小さな虹ができること。そしてそれに触れると、すぐ消えてしまうこと…。

「マコトはどうしても手に入れられないものがあるのを知っているんだね。お前は聡いから、人より先にそういうのに気づいてしまったんだな。でも、それは哀しいだけじゃない。確かに哀しいけど、それだけじゃないんだ」
「どういうこと?」
「力を生み出すんだよ」

理解ができず、俺は首をかしげた。

「見ててごらん」

そう言って、テツオは目の前で絵を描き始めた。テツオが絵を描くところを見たのは、それが初めてだった。驚いた。いつもにこにこしているテツオが変化したのだ。じっとスケッチブックを睨み、ものすごいスピードで絵筆を操る。パレットから色彩が飛び出す。胸躍るような七色。テツオは一度もあの虹を見たことがないはずなのに、もっとリアルに描き出していた。あっという間に、白い紙の上に存在していた。俺だけの、決して消えることのない虹が――。

「これが力を生み出すってことだよ。マコトと俺の力が生み出したんだ」

すっかり、にこにこ顔のいつものテツオに戻っていた。

「僕も?描いたのは、テッちゃんだよ?」
「見る側と描く側のお互いが信じないとダメなんだ。マコトが信じないと、これは虹ですらないんだよ」
「信じる…?」
「そうだ。お互いが信じないとね、これは何ものでもないんだ」

テツオはよく「信じる」という言葉を使っていた。信じれば、望んだものが手に入るということをよく言っていた。テツオは知っていたのだろう。自分の絵は誰かの思い込みがあってこそ望まれた絵になる。価値のある、評価される絵になることを。テツオは絵の中で得意の手品をしていただけなのかもしれない。大好きな絵も、もしかしたら彼にとっては小手先のものでしかなかった。テツオはそれで巧妙に絵の才能さえも創り出していたのかもしれない。

「なあ、マコトは信じるか?」

それでも俺はテツオが好きだった。

「僕は、信じるよ」

テツオも俺を信じてくれているのがわかったから。テツオは関係が対等だった。子どもに対して、子ども扱いしない。きちんと真剣に向き合ってくれる。感受性の鋭い子どもだからこそ、目に映ってしまう美しくはない世界をテツオはしっかりと見守ってくれた。その先にある大切な何かに導いてくれた。

でも、テツオがしてくれたようなことを俺はテツオにしてやることができたのだろうか。きっとできていなかったのだろう。だから、俺はいつの間にかテツオを失ってしまったのだ。

あの虹の絵も、今はもうどこにあるのかわからないのだから。


□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

――空にとけたい…。

そんなふうに思ってみたことはないだろうか?
雲一つ無い真っ青な空に自分がとけて行くことができたら、どんなに気持ちいいだろうって…。

少なくとも私は、そうなることを望んでいた。こっちの飛び込む準備はいつでもOKなのに、空はただ私を見下すだけ。私は空に見放されていたんだろうか?それとも、この世の何もかもから見放されていたんだろうか――?


二月の風は、殊に冷たい。

まるで骨の髄まで鋭く刺すようだ。こんなに冬は私にとって、痛いものだったのか…?
今の私にはとてもじゃないけど、思い出すことは無理そうだ。

―受験番号、0986―

その数字はどこをどう探しても、目の前にある大学の掲示板には記されていなかった。
模試の判定は「A」じゃなかったっけ…?

「やった、受かった!受かったよー!!」

私は横目でちらりと隣の子の様子をうかがった。彼女はひたすら、一緒にいる母親と手を取り合って喜んでいる。

――あー、やばい。泣くかも…。

ここにはこれ以上いられないと思って、その場を去ろうとすると、振り向き様に反対側の隣の人と思い切りぶつかってしまった。私は慌てて謝ろうと顔を上げた。でもその人は、今ぶつかったことに気づきもしなかったのか、茫然と立ち尽くしていた。

――これは、ひょっとすると…。

私はまじまじとその人の顔を見つめた。

――やっぱり、お仲間って奴ですか。

それはこっちも同情してしまうほどの情けない男の子の顔だった。まるでさっきの自分を巻き戻して、見ているみたいで胸が痛くなる。でも私との決定的な違いは、彼はその目からついには大粒の涙をこぼして、それすら拭おうともしないところだった。

――相当ショックだったんだなー。

そんな私の視線に気づいたのか、彼はその潤んだ目で私を見つめると、はっとしたように声を上げた。

「――あ、あれ?もしかして…アイコ?」
「…え?」

私は一瞬、自分の名前を呼ばれたことに驚いたけど、目の前にいる彼が記憶の片隅にいる男の子と重なるのに、そんなに時間はかからなかった。

「え?もしかして、ダイスケ?」
「―そうだよ、すごい久しぶりだなー。何年ぶりだ?元気かよ?…ん?待てよ。お前がここにいるって事は…」 

ダイスケは急に気まずそうに、私を見たけど、

「落ちたよ」

と私のその一言を聞くと、昔のようにニヤリと笑い返したのだった。


ダイスケは私が中学に上がるまで住んでいた所での幼なじみだった。悪がきだった私たちは、ちょくちょく放課後、先生に呼び出されては必ず二人で叱られていたものだ。私はダイスケと仲良くしていたせいか、男の子と遊ぶことのほうが断然多く、髪の毛も短かったこともあり、あの頃はよく男の子と間違えられたっけ?秘密基地や探検ごっこと銘打っては、毎日泥だらけになって帰り、なんかもうめちゃめちゃアクティブな少女時代を過ごしていたのだ。
今振り返ると、私という人間の土台はきっとあの時にできたのではないかと思われる…。

そんなダイスケと別れるのは、正直とても辛かった。
あまり泣くことのなかった私が、唯一泣いたのは他でもないあの時くらいだった。ダイスケのいいところは、そんな私をからかいもせずに、「泣くなよ、アイコ。また会おうな!」と笑って慰めてくれる懐の大きいところだった。結局それから会うこともなく、時は過ぎ、私は新しい環境にも馴染んで、中学、高校と順調に進んできたけど、どうやら私たちは、同じ所でつまずいたらしいね…。

「それにしても、よくわかったよね?」

掲示板を後にした私たちは、大学を出て、とりあえず最寄駅まで歩くことにした。私のセリフにダイスケは当然だというように胸を張った。

「すぐわかるって。アイコの顔はわかりやすいし」
「なんだ、そりゃ?私なんか言われるまで、さっぱり!」
「ひっでー」
「だって、ぱっと見、全然わからないって。随分変わったよ。しいて昔の面影を言えば目元くらい…」
 
人の成長って奴は本当に驚きものだ。
私の知っているダイスケは、私と同じ背丈で、同じような顔して笑う子供だった。目の前にいる彼はもう子供じゃない。私の知っている男の子の未来の姿。その子は今、見上げるほど背が高く、大人びていた…要するに、カッコよくなっちゃったってことか。

「――ダイスケ、彼女いるでしょう?」

私の意表のついた質問に、ダイスケは軽く吹き出した。

「なんだ、お前!いきなり!」
「いいじゃん。気になったんだもん。で、どうなの?」

ダイスケはしばらくじっと私を見つめてから、顔をそむけ、ボソッと言った。

「…いるよ」
「やっぱりね」

自分のいつもの勘の良さに喜んでいると、すかさずダイスケは突っかかるように言ってきた。

「お前はどうなの?」
「へ?…私?」
「お前以外にいねえじゃん」
「あー、そうか。そうよね。私…私は、いたんだけど……って、ところです」

かなしい話、ついぞ二日前にふられたのだ。考えてみれば、今日の不合格といい、全ての元凶はそこから始まったのかもしれない。

「じゃ、今はいないんだ」
「まぁね」
「自慢するとこかよ」

ダイスケが笑った。よかった。どこかで開き直って笑ってないと今の私にはけっこう痛いのだ。きっとダイスケのことだから、そこら辺も察知してくれたんだろう。

大学の最寄り駅である吉祥寺駅までたどり着くと、時刻は十二時を回ったところだった。

「せっかくだから、飯でも食いに行くか、と言いたいところだが、二人ともたぶん食欲なんてないだろうから、軽く飲み物買って、井の頭公園にでも行って休むか?」

不思議と考えていることが同じなのか、息がぴったり合うのが嬉しい。久しぶりの相手にせよ、どうも気兼ねしてしまうものだ。でも私たちの場合、会った瞬間から、ダイスケが恥ずかしい部分をさらけ出していたし、私も気を許しちゃってか、安心して素の自分を出せた。

井の頭公園は駅の南口にある。そこからまっすぐ歩を進め、途中丸井を横切って坂を下っていく。丁度公園に入る手前にスターバックスコーヒーがあった。そこで好きなカフェ・モカを買って、公園に入った。

この公園には、程よい大きさの池があり、その周りを木々が高く覆っているのが特徴だ。東京という都会の喧騒の中で、この自然は希少価値と言っていいのかもしれない。よくよく考えれば、都会にあってこそ、自然というものは価値があるような気がする。だって、ずっと自然の中にいたら、逆に自然の良さなんて考えすらしないと思う。

水辺の近くにいるせいか風が強く吹くと寒さが増した。その度に自分の身が小さく縮こまっていくようで、私はそれを振り払うようにスタスタと歩いた。ベンチが丁度あいていて、そこにダイスケと座る。やっと一息つけた。目の前に広がる池に鴨がすいーっと気持ち良さそうに泳いでいく。

「一年の終わりって良いことないよなー」

不意にダイスケが呟いた。それはどこかひとり言のようにも聞こえた。

「なんで?」
「だって、こういう結果の出るシーズンに、別れのシーズンだしさ。アイコが転校したのもこのくらいの時期だったろう?」
「え、そうだっけ?…あ、いや、そうね。たぶんそうかも」

曖昧な私にダイスケは少し呆れてから意外なことを言い出した。

「確かそうだったよ。俺、覚えてる。お前の転校って俺の中でけっこうでかかったからさ」
「でかかった?」
「まあ、ショックだったんだろうな」

ダイスケは少し遠い目をして、自分のコーヒーを口にした。

「それってもしかして私の存在が結構大きかったとか、そういうこと?」
「うーん。まあ、そういうことだろうな。あの時の俺らって二人で一人みたいなとこがあったじゃん?」
「そういえば、そうだね」

なんだかあの時はお互い行動するとき、私たちは必ず二人で!…みたいなルールがあったのかもしれない。あの時の私たちは、それが当然だった。でも、それは全然当然なんかじゃなくて、むしろ不思議なことだった。それを今になって気づく。ダイスケと別れてから、今まで色々な人にあったけど、そんなふうに感じたことなんてなかったように思う。だから、長続きしなかったのかな。付き合ってた人でさえ、そんなことはなかったから。何であの時はそれが当然だったんだろう?あの時より、今の方が頭で考えるということをいっぱいしてるのに。変に考えてはいけないということだろうか?いや、それとも…。

「アイコだったからかもな。俺、お前がいなくなってからあんな感覚、正直言ってなかったよ」

ダイスケは茶色ががかったきれいな目で私を見つめる。その目に私はどう映っているんだろう?自分の胸が急に高鳴る。でも、それと同時に少し恐れを感じた。答えを知るという恐れ。

「ところでダイスケはなんであの大学を受けたの?」

急に話題が飛んだから、ダイスケは少し困ったようだったけど、質問にさらりと答えた。

「俺はオープンキャンパスに行ってかな。雰囲気も良かったし。志望学科に学びたい教授もいたしね。お前は?」
「私はお兄ちゃんの影響かな。なんか毎日が充実してるみたいだったから」

歴史と伝統のある古い校舎に、全学部共通の広いキャンパス。都会にありながらも自然にも囲まれている。雰囲気も良さそうだったし、成績も大丈夫。大丈夫だと思ったのに…。

私たちは二人して重いため息をついた。本命を落としたら、あとはどうでもいい。それぐらい行きたいところだったのになあ。余裕と思っていたのが、裏目に出たんだろうか?空が私を見下していたように、私も見下していたのかなあ。何もかも、ちょろいちょろい。うまくいくって。そんな思い込みが一番の敗因だったのかなあ…。

「アイコ?」

目の前の池が波立っていると思ったら、いつの間にか涙があふれていた。ダイスケが優しく気遣う。今さら、気づいたって遅いのに…。ダイスケは私の頭をポンポンと軽く叩くと立ち上がり、笑顔で言った。

「行こう、アイコ!ボート乗りに行こう」

そう言えば、井の頭公園のボートには乗ったことがなかった。ダイスケがオールをひいて、ボートがゆっくりと動き出す。さすがに冬場にボードをこいでいるのは私たち二人くらいなもので、ほとんど貸し切り状態だ。

二人だけ。そんな空間があることに驚きだった。

人間なんてしょせんは一人だし、孤独な空間は随時存在していると思う。だからこそ、二人というのは難しいはずだ。結局は他人だし、考えは全く同じというわけではないから、いやでも一人だというのを教え込まれる気がする。

でも、今、目の前にあるこの空間はなんだろう?

「見ろよ、アイコ。空、快晴だよ。雲なんて一つもねえよ。真っ青だ」

私は空を見上げた。視界に広がるのは、どこまでも続く果てしない青。

「ねえ、ダイスケ」
「ん?」
「空にとけたいって思ったことはない?」
「へ?」
「この空の青に自分もとけたら、気持ちいいだろうなあってさ」

ダイスケは思いがけない私の問いに目を見開いたけど、しばらく首をかしげてから、

「…思わなくないけど」
「けど?」
「自分の存在まで消したくはないかなあ。自分がいなくなったら、なんかおしまいじゃんか」
「……」
「だから、時たまそう思う程度でいいっすよ、俺は」

実に彼らしい答えを口にしてくれたのだった。それを聞いて、私は自分がほとほとよく考えてないことに気付いた。ダイスケの言葉は、私の頭の中に疑問符となって投げかけてくる。

私は自分の存在を消したかったんだろうか…?私は自分のことをそんなふうに考えていたんだろうか?どこかいつもうまくいかないそんな自分を…?

わからない。でも、今の自分を心底愛しているわけではないんだろう。だから、好きな空の青に自分自身を重ねてみようとした。自分を好きになれるように…と。でも、その行為は同時に私という存在を消したかったのではないだろうか?そう思うと、突然色々なことが腑に落ちた。

私は消えたかった。消えてしまいたかった。こんな自分を消してしまいたかった。でも、消えたら、そこで終わりなんだ。THE ENDの幕が下りて、拍手喝采になる。いや、もしくは誰も拍手なんてしてくれないのかもしれない。こんなつまらない私の物語なんかいったい誰がみてくれるんだろう…?

「ありがとう、ダイスケ」
「ん?なんだよ、急に礼なんて」
「おかげでなんかスッキリしたの、今!」
「よくわからないけど。どういたしまして。…って本当よくわからないぞ?」

ダイスケが片足を伸ばして、ふざけて私の足に軽く蹴りを入れる。私が笑って、ダイスケも笑った。

その笑顔を見ていたら、ふと思った。私の人生、そううまくいかないわけじゃないのかもしれない。うまくいった出来事をつい見逃して気づいていないだけなのかもしれない。きっとそうだ。そう思うことにしよう。

見上げた空は快晴で、それは私に少しだけ微笑みかけてくれた。

ボートから下りようとすると、いきなりケータイが鳴った。着信をみると、兄からだった。はて、なんだろう?私はゴメンとダイスケに言ってから、

「もしもし」

と、ケータイに出た。すると、怒鳴り声に近い兄の声がした。

「おまえ、今どこにいるんだよ?」
「え?井の頭公園だけど…」
「井の頭公園??」

兄は素っ頓狂な声をあげる。そして、呆れたように、

「お前さー、家に連絡してないだろう?母さんたち、すっごく心配してるぞ」

あ、しまった。つい、うっかり…。

「だから、俺んとこに連絡がきたんだよ。大学休みなのに探し回って、無駄な心配させんなよなー」
「……ごめんなさい」
「合格なら合格って一応連絡しろよー。まあ、お前の場合、正式な合格じゃないけど…」
「え?」
「お前の受験番号って0986だよな?俺、『悔む』で覚えてたし」

失礼だな…ってそれより、

「正式じゃない合格って何??」
「お前、補欠合格見てないのかよ?」
「…補欠合格?」

私は横に立つダイスケを間抜けな顔をして見上げていたと思う。すると、ダイスケは私の
手をつかんで走り出した。その手に引っ張られながら、私は慌てて大学をめがけて走りだしたのだった。

「―ったく。とんだ心配だったよなあ」

とっぷりと日は暮れて、私たちは兄がおすすめのラーメン屋さんに行った。兄のおごりだそうだ。

「わあ!ラーメン、おいしい!!」
「こら、話をそらすなよ」

兄はそうつっこんでから、私をはさんで向こう側にいるダイスケにも声をかける。

「それにしても、久しぶりにダイスケに会うとは思わなかったぞ」
「そうそう。しかもちゃっかり合格してたとはね」
「ごめん。言いそびれちゃってさ。っていうか、言えるかよ。久しぶりに再会した相手が落ちてて、自分が受かってるって」

そうムキになるダイスケが面白かった。正直にいうと、私のことを思ってついてくれた嘘が嬉しかった。

「それにしても、来年からふたりして俺と同じ大学かよー。なんかウザッ!まあ、アイコはまだわからないけどな」
「ひっどー」
「大丈夫だって。きっと受かってるさ」

ダイスケは根拠もなく、受けあう。…だと、いいけど。それにしてもなんていう一日だったんだろう。大学に落ちたと思って、ふてくされてたら、懐かしい幼なじみと感動(?)の再会。でも、そのあと、怒涛の展開が…!?なんてね。おおげさだな。

「見放されてたわけじゃなかったのかな?」
「ん?何か言った?」

両サイドの二人がラーメンのすする音で聞こえなかったのか、同時に聞き返した。

「人生捨てたもんじゃないかもねって!」

言い直すと、ふたりはまた食べながら同じように頷いた。

「っていうか、これからっしょ!」
「これからっしょ!これからっしょ!」

ふっと笑みがこぼれて、胸があたたまっていくのを感じた。なんだかじんわりときてしまった。でも、今度の涙は清々しい。このラーメンも今まで食べたどのラーメンよりおいしかった。いつの間にか、スープもたくさん飲んじゃってました…とさ。


 春。四月。桜が満開の季節。

私は立ち止まって、ゆうに五分くらいは、ひらひらと舞い落ちる桜の花びらを眺めていた。

「おーい」

声がして振り向くと、そこには何度見ても見飽きない、もう一つの優しい顔があった。

「あれ、ダイスケじゃん?」
「アイコ、何ぼけっとしてんだよ?入学式、遅れるぞー」

先を促され、並んで入学式の会場に向かう。慣れないスーツ姿に身を包んでも、中身は変わらずだ。変わらずと言ったら、嘘になるのかもしれない。少なくとも、前の私と少しくらいは違うだろう。

「まさか、またこうやってアイコと一緒にいることになるとはな」

ダイスケは隣でニヤリとする。私も笑い返してから、言ってやった。

「ねえー、うんざりだよねー」
「おい!」

ダイスケが軽く小突く。私たちは笑いながら、桜並木を急いだ。思い切って、気になることを聞いてみた。

「…も、一緒の大学なのかな…?」
「え?」
「ダイスケの彼女も同じ大学…?」

ダイスケは立ち止まり、しばらくしてから、ぷっと吹き出した。

「どうであってほしい?」
「どうであってほしいって…?」
「あれは嘘だよ」
「…ええ??」

ダイスケは私の顔を覗き込んだ。

「昔からだまされやすいよなー、アイコは」

私は口をあんぐりと開けてしまった。

「嘘…?本当に?」
「今さら嘘なんかついて、どーすんだよ」

その顔は、昔のダイスケの面影とぴったりと重なる。風が吹き、桜の花びらはふわりと春の優しさを届けてくれた。…へー、そうなの。そうだったの。ふうん。

彼もまたふわりと笑って、その手を差し出した。

「で、どうであってほしいの?」

どうであってほしい?って、それはもちろん…。私も自分の手を差し出すと、ダイスケがその手をしっかりと握った。

「そうこなきゃ!」

そうだそうだ。今、思い出した。
痛い冬が終われば、あたたかな春が待ってるんだってこと――。



=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ aiko「桜の時」× 自分の受験…? ★

高校~大学入る頃に書いたものかと。恋愛話はフィクションですが、確か0986っていう受験番号とかは実話です。

① aiko「桜の時」
http://www.youtube.com/watch?v=5QhRH2qcUiM
この頃、きいていた音楽を覚えてないのですが、たぶんこれかなあ?主人公の名前はアイコだし。桜の時期になると聞きたくなります。aikoのなかで一番好きな曲です。

② 自分の受験…?
0986っていう、その番号の第一志望の学科は不合格だったんですが、同じ大学の他の学科も受験していてそっちは合格できまして。結果的に志望大学は受かったという…どっちの涙も流した入試でした(苦笑)。


□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

中三の一学期の終業式を終え、通知表をもらって家に帰ると、兄が帰省していた。

「おかえりー、弟よ。今回も5段階評価オール4のつまらん通知表だったかい?」

兄のトウジはこの春に名の知れた東京の国立大に合格し、大学近くのアパートで一人暮らしを始めた。海だけしかないこの田舎町より、兄には断然東京の方があっているという気がする。生き方のペースがなじむのだろう。移り気で流行に敏感。口のうまさや弁のたつさまは人をひきつけた。

「兄ちゃん、ミゾグチさんから連絡があったよ。新作の目途はついたかって」

居間のソファーで寝転んでいた兄は、読んでいた新聞に目を戻した。

「弟よ、うまく言っといてくれたんだろう?」
「まあ、テキトーに…」

兄は新聞越しに、ちらっと僕を見てほくそ笑む。僕は肩を落とした。

「兄ちゃん、いい加減にさー」
「ん?」
「ミゾグチさん、かわいそうじゃん。永遠と待ってるんだよ?」
「何が?」
「何がって…誰かさんの新作だよ」
「誰かさんの新作ね…」

意味ありげに兄は笑うと、新聞を綴じ、すっと腰を上げた。冷蔵庫に向かい、何かを取り出す。

「まあ、食おうぜ」

帰省土産は東京の新宿にある某有名デパートで買ったフルーツゼリーらしい。

「腹が減っては、新作ができぬ」
「それを聞いたら武士が泣くわ!」

兄はにやりとした。

「泣いてるのはミゾグチさん。だろ?」

兄はずるい。昔からそうだ。何をするにも共犯めかして人を巻き込む。ついでだから、言ってやった。

「それと、ミカさんからも連絡があったよ」
「弟よ、君には一番人気のゼリーをあげよう」
「はいはい、どうも」

ミカさんは兄の高校時代からの彼女だ。もしかしたらもう元彼女…かもしれないけど。

「まあ、立派に生きろとは言わないけどさ。兄ちゃん、せめて人にはもっと誠意をもって…」
「今の言い方、母さんにそっくり!」
「兄ちゃん!」
「こら、トウジ!」

大きな声が重なった。驚いて振り向くと、腰に手をあてた母親が居間の入り口に立っていた。

「トウジ!あんた、帰ってきたんならまず挨拶でしょう?母さん、店にいるの知ってて、どうしてここで優雅にくつろいでんの?」
「お帰りなさいませ、お母様」
「何が、お帰りなさいませ、お母様よ!しかも言う挨拶が逆でしょう!本当にあんたはー」

母にガミガミ言われながらも、兄は楽しそうだった。母もたぶんそうなのだろう。数か月ぶりの変わらない家族のやりとり。うちはいつもそうだった。何かと派手な兄に僕と母は振り回される。感動の再会とはいえなくとも、これが我が家の団らん風景にはなるのだろうか。

「お母様、すみません。僕、お腹が減りました」

僕は二人に申し訳ないと思いつつ、小さく片手をあげ、自分の意見を述べた。生理現象には勝てないし、ゼリーだけじゃ身がもたん。

「あ、カレー作っといたわ。残ったら、小分けして冷凍保存しておいて。ヒロ、あんたも私を素通りしてるんじゃないわよ。きちんと通知表を見せなさいね!」
「………はい」
「それと、トウジ。ミゾグチさんから何度も連絡があったわよ。あんた、いい加減に腹を決めなさい。高校生の新人作家なんて華々しくデビューしといて、その後、何も書く気なしって何様よ!どっちつかずで迷惑をかけるのが一番よくないわ。いい?よく考えなさいよ!」

母は言うだけいうと、店に戻っていった。僕はちらりと兄を見た。

「だってさ」
「…って俺に言われてもなあ。薬局屋ってのも忙しくて大変そうだねえ」

やれやれと兄はつぶやいた。僕は台所に立って、カレーをあたためる。

「母さんが薬剤師のおかげで、僕も兄ちゃんも、こうして平和にカレーが食えるんじゃん」
「女手一つでよくぞここまでってね。本当に感謝してるよ。大学も行けたしな」
「薬学部じゃないけどね」
「絡むなー、今日のヒロは」
「だって、家を継ぐ気なんて全然ないだろう?兄ちゃんは」
「まあね。だって俺に向いてると思うか?」
「う~ん、そこそこ?」
「うわ、微妙!しかも疑問形だし」
「口はうまいから客商売はそこそこいけそうな気はするけど、如何せん信用がないからなあ」
「お前は本当によく人を見てるよ!皮肉かつ的確にな」

してやったり。

「はいはいはいはい。ヒロはいい子だな。鼻につくぐらい」
「おかげさまで」

兄の分のカレーをよそってテーブルに置くと僕は言った。

「薬学部には僕が行くよ。理数系科目、嫌いじゃないし」

兄は二人分のスプーンを用意して、鼻歌を歌いながら、指揮者のようにきれいにそれを振った。

「ヒロはそれを本気で良しとしてるのがなー。いい子すぎて、俺は時々お前が嫌になるよ」
「何それ?」

いきなり兄はスプーンを、僕の目の前にふりかざした。反射的に目をつむる。

「お前は、ダメなくらい欲がなさすぎ!」
「え?」
「それでいいかもしれんが、面白味にかけるっていうか…つまらん!」

僕はため息をついた。

「兄ちゃんはいつもそれだ。つまらん!つまらん!ばっか。僕からしてみれば、つまらないって、言ってるやつが一番つまらないね」

兄は吹き出した。にやにやしながら、持っていたスプーンで僕の顎を持ち上げた。

「きっと、それはお前のせいだな」
「へ?」

兄はじっと僕を見つめた。

「なんで、お前が自己満足で書いてた小説を、俺がこっそり持ち出して自分の名前で新人賞に応募したと思う?」

僕もまた兄をじっと見つめた。それは僕もずっと聞きたかった。

「お前の怒る顔が見たかったからだよ」

本気とも冗談ともつかない口調と同じに、兄の目もまた多くを語ろうとはしない。すると、いきなり兄は表情を変えた。人を食ったようないつもの笑顔になる。

「なーんてな。さあ、カレーを食おうぜ。弟よ」

何も言い返せないでいる僕を無視して、兄は楽しそうにカレーを食べ始めた。



=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ BEAT CRUSADERS 「希望の轍cover」× 未完成のSF小説 ★

書き途中の長編SFより抜き出しました。登場人物名など少し変更してUP。(以前UPした物語の登場人物や設定とかぶってしまうので…)

① BEAT CRUSADERS 「希望の轍cover」
http://www.nicozon.net/watch/sm1071862
原曲はSouthern All Star。そのカバー。友人が海に向かう途中に聞いていたもの。それから夏になると聞きたくなる曲に。出てくるお兄ちゃんが、海のある故郷に向かうとき、聞くならどんな曲だろう?と思ってたら、これが浮かびました。実は原曲を聞いたことがないんですが。

② 未完成のSF小説
前にUPした【第35夜】「SF小説を書こう!」もそうですが、書き途中の長編SFより。抜き出せそうなのは、また近々また使わせてもらおうと思います。1001までまだまだあるので。

□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

二十歳の誕生日が来て、まず始めにやったことは、涙を流して泣いたことだった。

午前0時。
日付が自分の誕生日に重なると、二十年間今まで生きてきて事が、断片的だけれど、鮮やかにあっという間に駆け抜けていった。
私は呆然とこれが死ぬ間際に見るあれか、と別に死ぬわけでもないのに、考えてしまった。

次に思ったことが、ああ、私はこんなに生きてしまったんだなという思いで、そうなるとなぜか苦しくなってしまい、涙がこぼれてしまった。そういうわけだ。

まだ夜中だったから、一応朝まで眠ることにした。夢は何もみなかった。

目覚めると、携帯に一通のメールが届いていた。

それは仲のいい友達からで、私の誕生日を一緒に祝おう、というものだった。

覚えている人がいるのは、とても嬉しい。思わず顔がほころんでしまった。

誕生日だから、二十歳だからと、どこか特別に意識が変わるものではないだろう。
服も細身のジーンズにパーカー。その上にマフラーをぐるぐると巻きつけるという定番の格好。

鍵を閉めて、外に出る。振り向いたときに当たる冷たい風が、どこか穏やかで甘い。澄み切った空に目を細める。

変わらない、変わらない。

でも、私の中の何かが変わるんだ、変わっていくんだ、と誰かが叫ぶ。

駅前の本屋で友達と待ち合わせ。おいしいと評判のお店でケーキを食べてお茶を飲む。

ああだ、こうだと繰り返す、似たような話。終わることの知らないような他愛もない話を、私たちは何が面白くて、繰り返し、繰り返し、話し続けるのだろう。
考えると不思議なことだけれど、その時間が後でとても愛しくなることを、私はこの二十年で学んだのだ。

今日は一緒に夕飯も食べよう、と一人暮らしの私を気遣ってくれる友達。そんな彼女のお勧めのお店に行くことにした。

すっかりあたりは暗くなっていて、太陽の変わりにいくつもの星が点々と顔を出し、きらきらと瞬いている。

今日は星がよく見えるね。私たちは空を見上げながら、夜道を急いだ。

着いたところは、アメリカンダイニングバーだった。堂々とお酒が飲める年齢になったんだとふと気づく。オールドアメリカンを意識した店内は古いハリウッド映画の世界に迷い込んだかのようだった。

でも、そこは私たちと同じ大学であろうたくさんの学生であふれていた。ほろ酔い加減のせいか、みんなのテンションは高く、ノリもいい。通りすがりの知らない人に、いきなり頭を撫でられる始末だ。そんな熱気に押されながら、友達の後をついていく。照明も程よくおとしてあったので、まわりに気を配りながら階段を上っていった。

席に案内されると、おかしなことに目の前には、見覚えのある顔ぶれが並んでいた。

思わず彼らに声をかけようとすると、先に歩いていた友達が笑顔で振り向き、「せーの!」と言った。
すると、目の前に並ぶみんなが「誕生日おめでとう!」と声をそろえて、向かえてくれたのだった。

私はすぐには理解できず、戸惑い、後ずさってから友達の顔を見、やっと自分がはめられたことに気がついた。

そのときの恥ずかしさ、悔しさ、嬉しさ―なんだろう…そういう類の感情の波が一気に押し寄せてきて、なぜか泣きそうになったけれど、なんとかこらえて見せた。

その食事の席は楽しさにあふれていて、お酒もたっぷり飲んでしまった。人一倍の幸福感もプラスされて、酔いのまわりも速かったから、少し変になっていたと思う。

帰り道。

「みんなで手をつないで帰ろう」と騒ぎ、そうして帰ってもらった。ほてった頬に夜風が心地よかった。なんとなくどこまでも歩いていける気がした。それは一人ではなくて、このみんなと。どこまでも、どこまでも歩いて行けるさ、という感じで。

家に戻り、そろそろ自分の誕生日の終わりが近づいてきたのを知る。

今日一日を振り返ってみた。
実にいい誕生日で、いい二十歳を迎えられたなと思う。

誰に感謝していいのかわからなくて、祝ってくれたみんな、私を生んで育ててくれた両親や家族、最後にここまで生きてきた自分に感謝した。

そして、ついにこらえきれなくなって、また一気に涙がこぼれ落ちた。でも、最初に流したものとは全然違う。

私は涙の重みを知っている―。

今までの二十年、これからの二十年、二十年後よりも、ずっとずっと先のすべての私に伝えたい、とこのとき心から思った。

『今の私は、確かに幸せだよ』

□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

いらっしゃい。

あなたの名前は?あなた、自分の名前を覚えてないの?そう。でも、気にすることはないわ。私も同じ。私も自分の名前なんて知らない。そんなのあるだけむなしいだけよ。

ここ?…ここを説明するのは難しいわね。とにかく、ここは話をするところなの。そして、話を聞くところ。私もそれしか言えないわ。ここに来る人はみんな話をしたくてたまらないし、誰かの話を聞きたくてたまらないという人ばかり。あなたもそうでしょ?わからないって?あなた、面白い人ね。大丈夫。そのうちそうなるから。

ほら、あそこに満月がみえるでしょう?

月の満ちる夜だけ、ここに人が集まるのよ。私が一番のり。あなたは二番のりね。でも、順番なんて本当は関係ないのよ。ここではただ、好きな時に思ったことを口にすればいいだけ。好きなように、言葉を並べればいいだけなのよ。

まだ他の人たちが来るまで時間がかかりそうね。なら、私が何か話をしましょうか?どんな話がいいかしら?こんな夜だもの。素敵な話がいいわね。そうね。じゃあ、『星つくりのコック』なんてどう?あなたなら、きっと気に入ってくれると思うわ。

この夜空に輝きを放つあの星が、どうやってできるかをあなたは知ってる?

実はね、あれは『星つくりのコック』と呼ばれる者たちがつくっているのよ。彼らはね、決して姿をあかしたりはしない。もしかしたら姿すらないのかもしれないけど。彼らはただひっそりと作業を行うの。誰にも気づかれないようにね。

星ができる源は幸せのちからと言われているわ。私たちの幸せが星を作るなんて、とても素敵でしょう?だから、あんなに尊くて、輝きに満ちているんだわ。でも、だからこそ、私たちの幸せは長くは続かない。

それは『星つくりのコック』が知らぬ間に、私たちの幸せを横取りしているから…。

不思議な話よね?私たちを生んだ星に今度は私たちが犠牲をはらっているなんて。そのことを知った時、私もあなたと同じ顔をしていたわ。素直に喜べないのよね。

でも、彼らも悪気があってしているんじゃない。それが彼らにかせられた使命だから。しょうがないことなのよ。あなたもしょうがないと言って、何かをあきらめたことがあるでしょう?

ほら、また一つの星が生まれた。生まれたての星の産声を聞いてみて。泣いている声があなたにも聞こえるでしょう?

まだあんなにも幼い。かわいい赤ん坊なの。自分がなんて貴重な存在かも知らない無力な子供。こうやって星は生まれるのよ。

どう気に入ってくれたかしら?

たぶんあなたなら気に入ってくれると思ったんだけど。そう、良かったわ。気に入ってくれて。話を聞いてくれてありがとう。

でも、浮かない顔をしているわ。どうしたの?

そういえば、随分時間がたったのに、まだ誰も来ない?そうね。…でも、私はあなたがいてくれればそれでいいの。私はあなたが来てくれたことが、とても嬉しいのよ。喉から手が出るほど。

…だって、これでようやく成長できるから。

実はあの話、まだ終わってないの。まだ、ただの始まりに過ぎないわ。

生まれたての赤ん坊にはミルクが必要。赤ん坊には成長するための、とびきりの力が必要なの。それは幸せの力よりも尊いものなのかもしれない。『星つくりのコック』は星をつくるだけで、その後のことを忘れているバカなやつら…。

だから、赤ん坊の星は人の元へ自ら降り立つしかない。月の満ちる夜にだけ、星は人の姿をかりて、自分で生きる力を手に入れるしかないのよ。

顔色が悪いみたいだけど大丈夫。少しずつ楽になっていくから。だって、あなたと私は一つになる。同じきれいな美しい星になるのよ。

そう言えば、あなたの話をまだ聞いていなかったけど、あなたの話は私の中でゆっくり聞かせてもらうわ。時間はたっぷりあるから。

さあ、私と一緒に素敵な星になりましょう。


□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村


きっと僕は何度も言い続けるだろう。

僕の夏を心から愛でるために。きっと何度も言い続けるだろう。
僕ら男4人の夏を心から愛でるために。そうさ、何度も何度も言い続けてやるさ。

「お前ら、いったい何しに俺んちに来たんだ!?」

ってね。それでもケイゴとスガッチは、仲良く僕を無視し続けていた。

「うわー、またやられたよ」
「スガッチ、本当ゲーム弱いよね。後は俺に任せろ、ヒーローの出番どす!」

ケイゴに肩をぽんと叩かれたメガネ男子のスガッチは、自分のゲーム機を僕のベッドに放り投げた。そして、ふと思いついたように言った。

「シュウちゃん、悪い。俺さ、喉、乾いちゃった」

それに、自称ヒーローのケイゴも賛同する。

「俺も俺も、なんか飲みたい!ラムネ希望」

ちゃっかり注文してんじゃねー。しかも、ヒーローはラムネ限定かよ?本当お前ら人の話、聞いてねーな!と僕は怒鳴りつけたい気持ちをなんとか抑えた。

「わかった。飲み物、ラムネでもなんでも持ってくるからさー、いい加減に帰ってくれない?」
「えー」
「今、まじでいいところなんだけど…」
「何度も言ってるんだけど、ここ、俺の部屋なんだよね」
「知ってる知ってる」
「わかってるよ、そんなこと。だから、遊びに来てるんじゃん」
「いやいや、そうじゃなくて。来なくていいから!っていうか、誘ってないのに、何でお前ら、うちにいるの?」

僕の疑問に二人は顔を見合わせた。

「え、なんでって…?」
「…なんとなく、だよな?」

フィーリングかよ!

「いいじゃん、シュウちゃんはどうせ部屋に引きこもりだろ?だから、俺らが遊びにきたわけ」
「そうそう」
「いや、別に引きこもりじゃないし。一人で読書したいだけなんだけど…」

夏休みが来たら、一気に読みたいと思っていた小説があったのに…。好きな作家の新作『ハードボイルド少年』を。それが夏休みに入り、三日たった今になっても、まだ読めていない。それは全てこいつらのせいだ。…ってあれ?

「そう言えば、ハルは?今日も一緒じゃないの?」
「知らん!あいつ、声かけても最近挙動不審で、すぐどっかいなくなるし…」

ケイゴは急にぶすっとした。…まあ、ハルの落ち着きのなさはいつものことだけど、ケイゴの親友への固執、仲間意識の強さも相変わらずだ。ふうん。毎年、夏休みになると、真っ先にこの部屋に飛び込んで来るのはハルだったから、確かに変かも。…なんかあったのかな?

「あれ、ふたりとも知らなかったんだ?」

情報通のスガッチは立ち上がり、棚から漫画『MASTER(マスター)キートン』を抜き出して開いた。

「ハルはね、恋をしちゃったんだよ」

今度、顔を見合わせたのは僕とケイゴの番だった。

「は??」
「何ですと??」

ちょうど、その時だった。

「助けてくれーっ!」

と、ハルが慌てた様子でこの部屋に飛び込んできたのは!

ケイゴとスガッチはニヤニヤしていたけど、僕はなんとなく嫌な予感がした。14歳の不穏な夏がここで決定的に始まってしまったような…。僕もフィーリングで申し訳ない。でも、こういう勘って、よくあたるのはなぜだろう…。僕は未だ読めない小説のことを思い、深いため息をついたのだった。


汗をかいたラムネの瓶が、テーブルに並んでいる。

目の前にあるのに、みんな手を付けていない。…ぬるくなるんじゃねえ?と誰もが思っていただろうに、そんな素振りも見せず、みんなこれまでにないほど真剣な面持ちだ。視線はラムネではなく、一人に向けられていた。ハルだ。

「頼みがあるんだ」

ようやく口を開いた。真顔で僕らに迫る親友。

「協力してほしいんだ」

僕らは、息をのんだ。

「一生のお願いになるかもしれない」

ごくり。

「…みんなでSF小説を書こう!」

それぞれの頭の上に一瞬クエスチョンマークが浮かんだような気がした。でも、ハルの表情は崩れない。

…えーっと、えーっと、………えー?

「とりあえず、そうだな…」

場の空気を読んだスガッチが、みんなを仕切り直した。

「まずはラムネ、飲まね?」


ハルの話はこうだった。

ハルが好きになった女子はどうも僕らと同じ中学で図書委員の子らしい。彼女は夏休み中、図書室で資料の貸出など委員の仕事をしているそうだ。お近づきになりたいハルは、図書室に通い始めた。そこで、彼女と話す機会を狙っていた。で、やっとその機会が訪れた。

「あれか!実は貸出カードの名前でお互い意識しちゃってた、とか?」と、ケイゴ。
「それ、ジ○リ映画の天沢○司くんじゃん?」と、僕。
「まさか『コンクリートロードはやめた方がいいと思うぜ?』『何よ!』的な展開が…?」と、スガッチ。

ハルはうんうんと深く頷いて言った。

「…地球屋に行った帰りにふたりは再会するんだよな。俺、おの店のじいさんが好き!『お嬢さんはドワーフを知ってる人なんだね』って登場からカッコ良すぎでしょ!…ってみんなどんだけ『耳を○ませば』好きなの??そうじゃなくて!!…確かにその子とは、本を借りる時、貸出カードをきっかけに話せたんだけど…俺、別に読書好きじゃないじゃんか?」

そら、そうだ。ハルが小説を読んでるところなんて、見たことがない。本と言えば、漫画だろうな。特に『ONEPIECE(ワンピース)』とか。

「テキトーに選んで持って行ったわけ、カウンターに。そしたら、その中に彼女の好きな小説が入っていたらしいんだ」

…なるほど、読めてきた。

「それがSF小説だったわけだな?」
「そそそ。さすが、シュウちゃん。ちなみに本の名前は『夏への扉』です」
「うわ、ベタだなあ~。ジンジャーエールを飲む猫が出てくるやつだ」
「そんなの俺、知らないじゃん?それで…」
「テキトーに話を合わせて、うまいこと自分を印象づけたくて、お前は言っちゃったわけだな?」

僕のセリフにハルは苦笑しながら頷いた。ケイゴとスガッチが口を挟む。

「え、ジンジャーエール?猫?」
「つまり、どういうこと?」

ハルは僕に「シュウちゃ~ん」と助けを求めてきたが、僕は知らないふりをした。しょうがなく、ハルは自分から切り出した。

「…嘘をついちゃったんだよね。俺、実は小説を書いてるんだって。それも君の好きなSF小説をって。そしたら、今度見せてくれない?って話になっちゃって。で、またつい言っちゃったんだ」
「…まさか」
「いいよーって」

僕らはラムネで乾杯しあった。

「ハル、ガンバレ☆」
「応援だけはしてる!」
「書き終わったら、『耳を○ませば』みたいに鍋焼きうどんを食おうぜ。俺、じいさん役!」
「じゃあ俺、バ○ン!」
「えー、なに俺が、○司くん?しょうがないな、ここでもヒーローっていうね…」

ハルは潔く、頭を下げた。

「みんな、お願いします!」

僕ら三人はどうする?と、顔を見合わせた。とりあえず、僕は気になることを聞いてみた。

「そもそも、好きな子って誰なんだ?」

すると、ハルは少し顔を赤くした。純情ボーイめ。

「同じクラスのトキカケさん」

トキカケさん?

「誰それ?」
「え、シュウちゃん、まだクラスメートの名前、覚えてないの??トキカケナツミだよ」

思い出せない。トキカケナツミ…なんていたかな?そんな舌をかみそうな名前の子。

「俺、知らん」
「ケイゴと俺はクラス違うからな。でも、俺は知ってる。カワイイ子だよね。綾瀬はるかっぽい感じ」

ケイゴはさておき、さすが全校女子データが脳内に完全インプットされてるスガッチは違うなあ。へー、ハルはあーいう子が好きだったんだな。ハルの恋愛相談なんて初だもんなーって…え?

「初恋??」

ハルは恥ずかしそうに、頭をかいた。

「なるほど『夏への扉』でなく、どうやらそれは『ハルへの扉』?いやいや、『春への扉』、だったというわけですな。ふふふ」

うまいこと言ったと思って気味悪く笑うケイゴ。せっかく○司くん役もハマるイケメンなのに、どうしてこう中身が残念なんだ、こいつは。そんな彼にハルを預けて、僕とスガッチはこそこそと話し込んだ。

「綾瀬はるか似ってことは、モテる子なんじゃないの?ハルに勝算あるのかな?」
「トキカケさんって性格は割とおとなしい感じだから、恋愛の派手な噂はきかないなあ。まだフリーで、誰が狙ってるってわけでもないんじゃないかな。ハルはパッと見、カワイイ系男子で通ってるから、外見は大丈夫だろう。問題はきっと中身だ。天然というかアホというか…。本好きな子って、そこそこ頭もいいんじゃないの?」
「本好きは頭がいいかと聞かれると、そういうわけでもないと俺は思う。ただ、そういう子ってたぶん男に夢を持ってそう。王子様とまでは言わないけどさ…」

僕とスガッチは「う~ん」と唸って同時に腕を組んだ。ケイゴとハルは「ヤバイ!俺らジンジャーエール飲まなきゃじゃね?」とかなんとか叫んでいた。わかったわかった、勝手に飲んでろよ、お前らは。ついでに猫も探してこい!

僕とスガッチは持っていたラムネで、もう一度乾杯した。

結局、僕らは親友のためにひと肌脱ぐことになるのだろう。なんだかんだ言って、運命共同体なんだろうな。



=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ スタジオジブリ「耳をすませば」× Supercar「Summer Tune」 ★

最近UPする過去物語がシリアスor暗めが多く、ちょっとコメディタッチも欲しいかなと現在書き途中の長編SFを切り取って短編リメイク?してみました。一部の人しか笑えないかもですが。ちなみに作中に出て来る作品は、「ハードボイルド少年」だけ私ので、後は浦沢直樹「MASTER(マスター)キートン」、尾田栄一郎「ONEPIECE(ワンピース)」、ロバート・A. ハインライン「夏への扉」です。

① スタジオジブリ「耳をすませば」
http://www.amazon.co.jp/%E8%80%B3%E3%82%92%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%81%B0-DVD-%E8%BF%91%E8%97%A4%E5%96%9C%E6%96%87/dp/B00005R5J9
私はジブリといえば「ラピュタ」派なのですが、コレも好き。あと恋愛系なら「海がきこえる」も。マイナーかもですが、名作だと思う!そう言えば昔ジブリ美術館に行った時、バロンの物語の背景画を担当した井上直久さんが丁度作業してらして、生イラスト&サインをもらいました。お話もしてくれて、本当にいい方でした。そんな井上直久さんの作品も紹介を。

井上直久「『バロンのくれた物語』の物語」
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E3%83%90%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E%E2%80%95%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%80%8E%E8%80%B3%E3%82%92%E3%81%99%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%81%B0%E3%80%8F%E3%82%88%E3%82%8A-%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA-THE-ART%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%E5%AE%AE%E5%B4%8E/dp/4198603170/ref=sr_1_15?s=books&ie=UTF8&qid=1376200289&sr=1-15&keywords=%E4%BA%95%E4%B8%8A%E7%9B%B4%E4%B9%85

② Supercar「Summer Tune」
http://www.youtube.com/watch?v=FJD4TwU7V9g
彼らの夏曲!テンションが一気に上がります。途中で一瞬音がパッと消えるところがあって、そこがなぜか好きなんです。同じ歌詞をずっと繰り返してるだけらしく、そこもまた面白いです。夏フェスできいて見たかったなあ…。

□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村