――次は、世界の終点駅~、世界の終点駅~、終点です――

アナウンスが流れ、眠っていた私は沈み込んでいた体を起こし、車窓を眺めた。外は真っ暗だった。

「まあ、世界の終点ですからね」

いつの間にか車掌さんが横にいた。

「失礼。ぐっすり寝てらしたので、そろそろ到着なので知らせにきたんですよ」

ありがとうございます。

「いえいえ。乗客はもうあなただけみたいですね」

車内を見渡した。本当だ。私だけだ。

「貸し切りですよ」

ふふ、贅沢ですね。

「お仕事で?」

いいえ。ただ、なんとなく。

「…なんとなく?」

ええ。駅のホームで路線図を見ていたんです。そしたら、端の方にこの駅名を見つけて、気になってしまったんです。

「ああ、わかります。名前が名前ですからね」

でも、こんなに暗いところだとは思わなかった。世界の果てってこんな感じなのかしら?

「どうでしょう?でも、そうかもしれませんね。ここは『この世の果て駅』とも呼ばれているので」

やっぱり。

「それにしても不思議ですね」

何がですか?

「この駅に向かう人はみんなどこか影を背負っているというか、暗い雰囲気をおもちなんですが、あなたは…」

元気にみえます?

「ええ、わくわくしているように見えます」

たぶん、終わりに期待しているんです、私。

「終わりに期待している?」

ええ、不思議でしょう?

「いいえ、わかりますよ。私もそうですから」

え?

「ほら、終わりが見えてきた」

車掌さんの指さした方向を見る。外の暗闇が消えた。

…あ。

光だ。まばゆい光。光源。

「期待はずれでした?」

…いいえ、期待以上でした。

「それは、良かった」

ここを私は知っています。

「ふふ、そうでしょうね」

ここは、私の生まれたところですね。

「あなたのすべて、お忘れ物のないように」

――ご乗車お疲れ様でした。世界の終点駅~、世界の終点駅~、終点です――



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旅先で見たある夢。
 
ある日、私の恋人が突然いなくなってしまった。

なぜ彼がいなくなったのかはわからないのだが、とにかく私は彼を探すため旅にでなくてはならない。そういうわけのわからなさが、まさに夢。ともかく、そういうわけで、私は旅に出ることになったのだ。

気付いたときには、身も心ボロボロになっていた。正直、すぐにでもぶっ倒れそうだった。
太陽は背中を焦がす勢いで私に迫り、喉はもうカラカラ。脳みそは、完全にとけはじめていたに違いない。でも、何かにかり立てられるように、私は歩き続けたのだ。

やがて、どこかの農村にたどり着いた。もう駄目だ…、と思ったその時、ふと誰かの声がした。

「お前さ、いったい何してるのぉ?」

中年の女の人の声だろうか。確認しようと目をしばたいたが、視界はなぜか真っ白で何も映し出さなかった。
彼女は私のやばさに気づいたのか、

「こりゃ、大変だわぁ!」

と、慌てて私に肩を貸してくれた。そして、どこか涼しげな木陰のような所へ連れて行き、私をその下へ寝かせると、頭に冷たいタオルか何かを敷いてくれた。

「おぉーい、誰かぁ!あれさ、もって来ぉい!」

私はお礼を言いたかったが、声は掠れていて、変な音が出るばかりだった。
そんな私の様子を察してか、彼女は気にすんなぁ、とにかく今は休めぇ、と何度も言ってくれた。私は彼女に出会えた事に感謝して、ようやくホッとすると、静かに目を閉じた。

しばらくすると、誰かの足音が近づいてきた。それと一緒に何か懐かしい甘い匂いが、私の元へ届けられた。

目を開けた。極上の西瓜だった。

真っ赤に程よく熟れた甘い雫。それが今にも滴り落ちそうで、私をたまらなくさせた。

喉が、ゴクリと大きく鳴っていた。そして次の瞬間、我慢ができず、西瓜に飛び付き、むさぼるようにそれをすすっていた。それから、今までに襲われたことがない強烈な歓喜が私の心を突き上げたのだ。

おいしい!今まで食べたどの西瓜よりも、最高においしい!こんな西瓜、食べた事がないわ!

とにかく私は、その西瓜を存分に味わっていた。ますます食べる勢いを増す私に、彼女は思い切り笑ってこう言った。

「そうかぁ。お前は、これを探してたのねぇ」

そこで、目が覚めた。


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こちらの物語は、にほんブログ村記事トーナメントで優勝することができたものです。

20歳くらいの時に書いたものなので、まだ青いというか…でも、最後の終わらせ方とか今と変わらない感じも見受けられたり。じゃあ、今も青いままなのかなとも思ったり。

みなさま、その節は応援して頂き、本当にありがとうございました!
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 大学時代の友人が、個展を開くから来いと連絡してきたのは、一週間も前のことだ。

仕事が忙しくて、すっかり忘れていた。友情とは、時にこんなものである。彼とは実に卒業してから二十年ぐらいあっていなかった。根っからの芸術肌にして変人。彼という人間に、これ以上もこれ以下の説明もいらないだろう。実に的確で安易な説明である。

その日は仕事が早く片付いたが、なぜかまっすぐ家に帰る気がしなかった。まだ時間も充分にある。どこかにでも立ち寄ろうか。そこで彼のことを思い出し、急遽個展に訪れることにしたのだった。本当に何の気なしに行くことにしたのである。

『―お前はたぶん、ずっと引きずるタイプだな…』

彼が悟ったようによく言っていた台詞をふと思い出す。芸術家に必要な感性はもちろんのこと、彼には鋭い洞察力があった。その度に私はとぼけ、笑い流していた。若かった、としか他にいいようがない。

恵比寿の落ち着いた一角に、彼の個展が行われている小さなギャラリーがあった。

『 同窓絵(どうそうかい)・ハラ シュウゴ 』

入り口にこの個展のタイトルと彼の名がシンプルに飾られていた。

― 同窓絵(どうそうかい)―

そういえば、彼はいつも人の度肝を抜くのを楽しんでいた。きっと今回も何かをしかけているに違いない。さて、一体どんな作品が並んでいるか拝ませてもらおうじゃないか。久しぶりに高鳴る胸を抑えながら、私はゆっくりとギャラリーの扉を開けた。

「お、やっと来てくれたのか」

久しぶりにあった友人を前にしての、彼の第一声がこれだった。変わらずの皮肉交じり。だが、下手に再会の挨拶なんかされるよりずっといい。あの頃のまま変わりなく接してくれる方が、むしろ嬉しいものだ。外見も恰好も、彼は昔とあまりかわらないようである。若さにあふれた精悍な顔つき。私たちの年代で白シャツにジーンズがいまだに爽やかに着こなせるのも彼ぐらいだろう。なんともうらやましい限りだった。

「変人のお前がやっと個展を出すに至ったからな。来なきゃいかんだろ」

彼も私の言葉を素直に喜んでいた。

「とにかくお前が来てくれて助かった。今なら誰もいないから、俺の絵を大いに堪能できるぞ。ちなみに俺は、ちょっと出かけないといけないから、しばらく留守番を頼む」

彼はそれだけ言うと、引き止める私を無視して、そそくさと行ってしまったのである。私はしばらく唖然としていたが、実に彼らしいと思ってつい吹き出し、一人で笑ってしまった。

取り残された私は人がいないことをいいことに、せっかくだからと友の力作を一つ一つ拝見させてもらうことにした。

 一枚目の作品。『桜並木』

桜が永遠と遠くまで続いている。淡い薄紅色の花弁は満開をうたっていた。その木の下を行く人は、さも幸福に続く道を歩いているかに見える。これは見たことのある風景だった。…ああ、そうだ。これは私たちの大学の桜並木だ。

―ねぇ、ここの桜は特別だと思わない?

いつもこういうのは不意打ちだ。ずっと忘れていたのに、些細なことで簡単に記憶というのは蘇ってしまうものだ。

―そうかな。まあ、わからなくもないけど。
―冷めてるわね。

彼女は若く美しくて男連中に人気だった。私は彼女と学籍番号が近かったおかげで、親しくなれたのだ。

―自然を愛でる心がないと、自分なんてすぐ枯れちゃうわよ?早々とおじさんになっちゃうわ。

彼女は桜を眩しそうに見つめていた。細めた目元には、かわいらしい泣きぼくろがあった。

―そんなもんかな?
―そんなもんよ。

確かにあっという間の二十年だった。自然を愛でる心のなかった私にとっては。…あの彼女はどう過ごしてきたのだろうか?


 二枚目の作品。『夏祭り』

 大学近くの商店街での祭り。その様子が色濃いタッチでいきいきと描写されている。風車がいっぱい並んだ夜店を背景に浴衣を着た子供たちが楽しそうにはしゃいでいた。普通の人ならこの絵を見て、それで終わるのかもしれない。でもこの光景にも、私は見覚えがあった。

…あいつ、もしや盗み見ていたのか?

―子供たち、かわいいでしょう?

彼女に誘われ、ともに夏祭りにでかけたことがある。

―子供は好き?

最初はデートかと思っていたが、いかんせん、それは勘違いであった。

―う、うん。まあね…。君は?
―好きよ。だって、真っ直ぐだもの。

 大学のボランティアサークルに入っていた彼女は事情があって親元を離れて暮らす子供たちの世話をしていた。その子たちを連れての祭りだったのある。私は彼女にいいところを見せようと奮闘したが、なぜか邪魔が入り、中々彼女に近づけなかった。今にして思えば、勘の鋭い子供たちにしっかりガードされていたのだろう。彼らにあれがしたい、これがしたい、とせがまれ、ひきまわされた記憶しかない。これは私の苦い思い出である。子供嫌いになった原因といってもいい。

なるほど、あいつは私たちをつけていたんだな。彼から見たら、私の青臭い姿なぞ、実に滑稽だったろう。

 三枚目の作品。『落日』

夕日が沈む。暮れゆく場所は淋しげであった。季節は秋。心苦しい光景だった。そこは病院の入り口だった。気のせいか、片隅にひっそり捨てられているものがある。それは私だけしか知らないものだった。

…ストーカーもほどほどにしとけよ…。

 私は顔を覆いたくなった。あいつ、いったいどこまで見ていたのだ。悪趣味すぎるぞ。その病院は私が彼女にふられた場所であった。彼女が盲腸で入院したと聞いて、私は花束を片手に見舞いに行った。しかし、彼女の病室には先客がいて、私は会うことができなかった。いたのは知らない男だった。その男と彼女は抱き合っていた。それを目の当たりにして、私は声をかけることもできず、足早にそこを後にしたのである。無意識に玄関に花束を投げ捨てていた。

 そういえば、学生寮に帰ってすぐに酒をあおり、彼に散々愚痴った気もする。女々しいことも言ってしまったかもしれない。それを憶えていて描いたのだろうか。それにしても、私の記憶そのままだった。

『―お前はたぶん、ずっと引きずるタイプだな…』

お前は正しいよ、シュウゴ。二十年たっても俺は覚えている。この絵を見て胸が痛くなっている。成長していない自分にあきれるな。私は自嘲した。仕事に追われた結果、それなりの社会的地位も手に入れた。結婚もした。過去のあの因縁のせいか子供には恵まれず、結局妻とはそれが原因で別れたが…。それなりの自分の人生に満足していたはずである。…だのに、なぜこんなにも今、胸が苦しくなっているのだろう。

『―俺がどうしてか教えてやるよ…その時がきたらな』

「シュウゴ君、ごめんなさい!遅れてしまって。渋滞がすごくて」

いきなりギャラリーの扉が開き、声高な女性が入ってきた。

私は彼女を見つめ、立ち尽くした。髪を束ね、品のいいグレーのスーツを着た女性。年を重ねて皺が多くなってはいたが、目元には覚えのある、かわいらしい泣きぼくろがあった。

彼女は一人しかいない私に気づくと、その細い手で、はっと口元を抑えた。その指に指輪はなかった。

私たちのあいだにあったのは二十年という時間でもなかったのかもしれない。

あったのは四枚目の作品…。

「元気?」

どちらからともなく、声をかけ、笑いあった。

…タイトルは、『再会』。

私があの時投げ捨て、彼女に渡せなかった花束。それが鮮やかに描かれていた。


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 ケンジ先生が夏やすみに出された宿題は、なんともふしぎなものでした。

 それは物語をかくというものでした。

 ぼくは文章をかくことがあまりうまくはないので、とてもこまってしまいました。いったいどんな物語をかけというのでしょう?かぐやひめ、ももたろう、いっすんぼうし…ぼくにそんな物語がかけるわけがありません。ぼくは思いきってケンジ先生にそうだんすることにしました。

 ケンジ先生はぼくたちの学級で育てている朝顔のはちに水をやっていました。夕日のせいでしょうか。教室はきらきらかがやいてきれいでした。

「おや、どうしたんですか?」

ぼくに気づいたケンジ先生は、教室のまどをあけ、はちのならんだ庭から声をかけてくれました。ぼくは教室に誰もいないことをかくにんして、ケンジ先生のもとにむかいました。そして、まどから顔を出しました。

「…ケンジ先生、ぼくには物語なんてかけません」

はずかしいことに、ぼくは泣きそうになっていました。ケンジ先生はやさしく、たずねられました。

「なぜ、そう思うのですか?」
「物語のかき方なんてわかりません。文章も字もうまくはないですし…」

ケンジ先生は朝顔の水やりをやめて、にっこりとしました。

「朝顔はすきですか?」

いきなり、はなしがかわり、ぼくはびっくりしました。

「朝顔ですか?」
「そうですよ。僕が今、水をやっていた朝顔です」

ぼくは水でぬれた朝顔を見つめました。赤と白の花がしぼみ、葉っぱからしずくがぽたぽた落ちていました。

「好きです。でも、さいている方がもっと好きです」
「それは、なぜですか?」

ぼくはこまってしまいました。そんなことをよく考えたことがありませんでした。

「…さいている方がきれいだから」
「僕も君と同じですよ。さいている方がきれいですからね。でも、今の朝顔も好きなのです。明日に向けて、懸命に生きようしています。水をたくさん飲んで、明日はもっともっときれいに咲いてみせようと意気込んでいるような…そんな気がするのです。君はどう思いますか?」

ぼくはもう一度、朝顔を見つめました。今度はさっきよりも、じっとかんさつしました。

「…ケンジ先生の言うように見えなくもないですが、ぼくには少しくたびれているように見えます。花びらを広げるのもたいへんなのかもしれません。水をのんで、やっと休めて、ほっとしているようにみえます」

ぼくの言葉にケンジ先生はうれしそうにうなずきました。

「なるほど。そうですか。わかりました。君は物語が書けますよ」
「え?」
「そうだ。夏休みの間、君にこの朝顔の鉢の世話をお願いしてもいいですか?実はこの子には名前もあるのですよ。アサコと言います」

ぼくはとまどいながら、ケンジ先生から朝顔をうけとりました。

「朝夕、水をあげてくださいね」

ケンジ先生はそういうと、また残った朝顔の水やりをはじめてしまいました。ぼくはしょうがなく、アサコをかかえて教室を出ようとしました。

「…アサコ?」

ためしにアサコに声をかけてみました。もちろん、アサコの返事はありませんでした。

ふりかえると、ケンジ先生が笑顔で手をふっていました。


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海に行こうと思ったのには、別にたいした理由があるわけではなかった。

行く場所がなくなってしまって、ぱっと思いついた所がそこだったに過ぎない。だから、私はなんとなく海を目指していたのだ。きっと私に限らず、海という場所はそういうところなんだろう。

「海にかえる人は、人魚なんだよ」

その途中で、少年はひょっこりと姿を現してくれた。

遠い異国から来たような新鮮で軽やかな空気をふわりと、私に届けてきたのだ。それはとても心地良かった。私は胸を撫で下ろして、自然に笑うことができた。笑いは、人間の最大の武器だ。

「僕らは昔々、体の半分がきれいな魚だったんだよ。好奇心あふれたご先祖様がある日、陸に出てしまって、人間になったんだ。それが良いことだったのか、悪いことだったのか、僕にはよくわからないよ…」

このとき少年はとても懐かしい目をしていた。瞳に映っているのは、私たちの青い海。でも、二度と会うことの叶わない特別な海だった。

「どうして僕らは、何もかも失うことはないんだろう?本当にあの海を失っているなら、こんなふうに泣いたりは、できないはずなんだ」

少年は仙人のように深い話をしてくれた。こういうとき、私は流してしまう。昔からの悪い癖だ。あとで、とんでもない落し物に気がつくというのに。謎を解くヒントになりえたかもしれないような重要な何か―を。

「涙は唯一、僕らをあの海に繋げてくれるものだから。手放すなんてできなかったんだよ、きっと。たとえ魚の足を失ったって…」

少年は私に訴えていた。とても真摯に。私が頷くと、少年は言った。

「君は何も悪くないよ。僕は知ってるんだ。君の手はとても優しかったから」

私は自分のお腹に触れた。その様子を見て、少年は微笑んだ。

「ありがとう。いっぱい泣いてくれて。だから、こうして会いに来れたんだ」

海にかえる途中だったこの少年こそが、本物の人魚だった。

「大丈夫。僕らは、いつでも会えるんだから」

私はこれからも泣いてしまうだろう。少年に会いたくて。私たちの海に会いたくて。

「僕らは、いつでも会えるんだよ」

やがて視界が青く染まり、だんだんと少年の姿が見えなくなっていった。


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