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【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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↓↓【第306夜】 スカーフェイス  ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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誰かが言った。

どんなにいい酒があっても飲まなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいい女がいても抱かなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいい銃があっても撃たなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいいマフィアがいても暗躍しなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。


アンタは知ってるかい?

禁酒法時代に酒を売りまくり、女を買いまくり、銃を撃ちまくって暗躍したマフィアを―。

そいつの顔には傷があった。そう、深い深い傷さ。

一度見たら忘れられない、スカ―フェイス(向こう傷)ってやつだ。

でも、そいつは酒に溺れ、梅毒に犯され、あげくファミリーに裏切られ、銃弾に倒れた。

貧民街の孤児から暗黒街のトップまで成り上がり、すべて自分が支配している―。

そう思っていただろうに皮肉なもんだ。


…どうして、こんな話をするかって?

なーに、思ったのさ。

どんなにいい物語があっても語らなければ意味がないし、その価値もわからないだろうってね。

これは他の誰でもない俺の言葉さ。

最後に通りすがりのアンタに聞いてもらいたくなったんだよ。

スカ―フェイスと恐れられたマフィア、もうすぐ道端で野たれ死ぬ俺の話をさ。




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ TK from 凛として時雨 『Signal』 × アニメ『91Days』 ★ 

本当は違うハードボイルドの話を書きたかったのですが、ちょっとそれは時間がかかりそうで他のものになりました。人物モデルはアル・カポネですが、違うところもあるので半分フィクション感覚でお楽しみ下さい。

① TK from 凛として時雨 『Signal』
https://www.youtube.com/watch?v=uNjKYBnRbdE
これを聞きながら書きました。『91Days』の主題歌で賛否あったみたい。私は好きなんだけどな。


② アニメ『91Days』
https://www.youtube.com/watch?v=m5XGnMPR-0o
復讐するきっかけとなった手紙の差出人が明かされた時は、正直ちょっと「ん?」ってなったのですが(ごめんなさい。もっと意外な人物が良かったなと思ってしまって)、それ以外のところでは面白く見てたんですよね。もっとこんなオトナで渋い上質アニメやってくれればいいな。


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彼についてたずねると、誰もが口をそろえてこう言った。

『…やつは、ハードボイルドだったよ…』


     *


深夜近くまでの張り込みを終えて、一息つきたくなった俺はあるBar(バー)の扉を開けた。

「あら、刑事さん。いらっしゃい」

今夜はマスターがいないらしい。カウンターにはポニーテールがトレードマークのバイトのナタリーがいるだけだ。

「あれ、今夜はナタリーちゃんだけかい?」

わかってはいたが、つい聞いてしまうところが俺の性分だ。

「そうなんですよ。マスター、ギックリ腰になっちゃって」

ナタリーが言うとギックリ腰も遊園地のアトラクションのようだな。まあ、あれだ。かわいいお嬢さんってことだよ。

「今夜はどうします?」
「バーボン、ロックで」
「刑事さんは、いつもそれですね。私、覚えちゃった」

彼女の笑顔を見て、俺の顔が少し赤くなる。暗がりの店内のおかげできっとナタリーには気づかれないだろう。ふう、やれやれ。ハタチそこそこの娘に何ときめいてるんだ、俺は…。カウンターに座り、目の前に置かれたバーボンに救われる思いで、俺は視線を下げた。

「今日もお仕事だったんですか?」
「ああ、例のハードボイルド少年をね。追っているんだ」

すると、ナタリーは目を輝かせた。この手のネタは悔しいが一般人うけがいい。刑事の俺としては複雑なところだ。

「ハードボイルド少年って、悪の組織やマフィアを片っ端からやっつけてくれてる、あの??」

ナタリーちゃん。顔をそんなに近づけて聞かれると、おじさん、ちょっと困っちゃうな。

「ああ、そいつさ」

そんな思いとは裏腹に、しれっと返す俺がいた。

「貧しい人の味方で、そのために銃を片手に一人闘うなんて素敵ですよ。私、彼のファンなんです!刑事さん、彼はどんな人なんですか?」

……ちょっと面白くない。俺はバーボンを手に取り、少し口に含んだ。そのグラスを揺らす。カランッと氷がいい音をたてた。その間をナタリーはどう勘違いしたのか、両手をパンッとたたいて何度も頷いた。

「わかりました。もう色々と情報をつかんでいるけど、機密事項で言えないってやつですね!わー、カッコいい!刑事ドラマみたいですねー」

う~ん、思い切り勘違いしているな。でも悪い気はしないから、それでいこうじゃないか。

「まあね。たぶんそろそろじゃないか。やつがお縄になるのも」
「ハードボイルド少年かあ。気になりますよねえ。どんな人なんだろう。さすがに子供じゃないですよね?少年って言ってるからって」

俺は意味ありげに笑ってみせた。…知らん。ぶっちゃけたところ、俺たち警察はさっぱり何もつかんでいなかった。さすがに組織やマフィアを相手にしてるんだ。ガキってことはないだろう。そういえば妙なのが、証言者の証言だ。彼についてたずねると、誰もが口をそろえてこう言った。

『…やつは、ハードボイルドだったよ…』

しかも老若男女問わず、この証言ときている。それこそ、ガキからジジババまで。みんな意味深に気取って言いやがる。

は?それ、とっくにみんな知ってるし!だから、具体的にどんなやつか外見を聞いてんの!顔とか格好とか覚えてないのかよ?……そう言いたいところをグッとこらえ、やんわりと俺は言い直して聞いてみたさ。俺は冷静な刑事だからな。

『…やつは………』

よしよし、ご協力願えますか。俺はじっくり待った。

『………ハードボイルドだったよ…』

刑事なめんてんのか、こらっ!!しかもタメて言う必要、全然なかったよな??っていうかお前、言ってる自分に酔ってるだけだろ!

「何がハードボイルドだ、まったく」

誰が言い始めたんだ、くそっ。思わず、俺は多めにバーボンを飲んでしまった。やばい、喉がやける。

「知ってました?にわかに今、彼のおかげでハードボイルドブームが起きてるんですよ」

ナタリーの発言に俺は耳を疑った。

「そうなんだ?」
「はい。最近、道行く人のほとんど帽子にトレンチコートを着てるじゃないですか?しかも襟をたてて。煙草は葉巻だし、お酒もウィスキーとブランデーが多いかな。あと、遠い昔にハードボイルドを題材にした有名な3部作の映画があったそうで、そのリバイバル上映までしているんですって」

面白くない。全くもって、不快!不愉快だ!みんなして、踊らされやがって。気づけば、バーボンが空になっていた。ナタリーに頼んでもう一杯飲む。ぐび。ぐび。ぐび…。

「そう言えば、ハードボイルドってどういう意味なんでしょうね?実は私、よくわからなくて」

ナタリーがかわいい声でたずねる。ここは俺さまが紳士的にこたえてやらねば…。

「それはアレだよ。…男の生き様に、…こう、しびれますね!っていうアレよ。…簡単に言うとな、渋い俺、カッコいい!っていうアレアレな世界でな」

ナタリーは大きな目で瞬きを繰り返す。それから、おかしそうにクスクスと笑いだした。

「やだ、刑事さん。酔ってます?」
「酔ってないよ…」
「目がすわってますよ。やだやだ、渋い顔が台無し」

ごめん、ナタリーちゃん。おじさん、何気に酔ってます。酒、弱いんだ…本当は俺。

「タクシー、呼びますね」

ナタリーの声が段々と遠くなる。店内に静かに流れるジャズが心地よかった。やがてタクシーがきて、俺は運転手に担がれたようだった。そこで記憶が途切れてしまった。


     *


私は酔っぱらった刑事さんをタクシーに乗せて見送ると、伸びをしてからBar(バー)の扉を開けた。

「…ちょっと、いつまでそこに隠れてるんですか?」

カウンターの下で、こそこそしている男が一人。

「マスター、そんなところにいたら逆にあやしいですよ」
「あの刑事、苦手なんだよ…」

実は一杯先にやっていたらしいマスターはグラスを片手に腰を上げた。

「っていうか、誰がギックリ腰だ!ピンピンしとるわ」

あの刑事さんと年はそう変わらないだろう。でも、働き者な彼らは年齢よりもずっと若く見える。

「元気で何よりです」

私はニッコリした。この笑顔が仕事の武器ですから。マスターはそれを見ると、肩をすくめた。

「はいはい。かわいい子ぶるのはそれくらいにしろ。クセになるぞ、いい加減にもとに戻れ」
「えー」
「『えー』じゃない!返事は『はい』だ」
「はーい」

マスターに言われ、しぶしぶポニーテールのウィッグをとる。ショートの短い髪の清々しさに生き返った気分だ。…まあ、今まさしくある意味、本当に生き返ったわけなんですけど。

「あの刑事も本気でお前に惚れてんのかね?本当は男のナタリーちゃんに。知らずに不憫なもんだ」

一人楽しんでるマスターに私…いや、俺は噛みついた。

「不憫なもんか!外で俺を追いかけて、うちにも押しかけるとか、愛情押し付けすぎだろ!俺の方がよっぽど不憫だ」

マスターはニヤリとした。

「愛されてるねえ~、ハードボイルド少年」
「楽しむなよ、マスター。女装できるのもせいぜいあと数年だ」
「まだ10代だっけ?」
「16です♥」
「わっ!男に戻って、ウインクとかするな!うっかりときめいた自分に寒気がするわ!」
「けなしてんのか、褒めてんのか、わかんねーよ、それ!」
「親に感謝しとけよ。見てくれってやつも貴重な財産だ」

マスターは紙巻きの煙草を取り出した。この人は、葉巻なんて吸わない。格好悪い背伸びはせず、自分に似合うものをきちんとわかっている。

「名前も財産かもね」

俺がそう呟くと、マスターは美味しそうに煙を吐いた。

「苗字がボイルドだから、名前はハードだ!とか傑作だよね。親父が一番ハードボイルドだったかもしれないな」

それを聞いて、マスターは声を出して笑った。

「親父さん、相当面倒だったか、本当に気に入ってたかだな。まあ、そのおかげで、お前は世間様にも助けられてるんじゃないか」

最初は公園で不良のガキたちに集団リンチにあっていた浮浪者を助けただけだった。俺はただ「警察がきたぞー」と叫んだだけ。浮浪者のおっさんは、俺に礼を言って、名前を聞かれて答えたらニヤリとした。やがて警察が駆け付け、おっさんは言ってくれたのだ。

『助けてくれた少年…やつは、ハードボイルドだったよ…』

たまたま時を同じくして、近くの路上でマフィアのボスが頭から血を流し、死体になって発見された。

偶然と必然が重なったのか、噛み合ったのか…。

「別にどうだっていいし」

ちなみに俺は何もしてない。まだ16のガキがそんなこわいこと、できませんから。

「俺が人助けをするたびに近くに事件が起こって、なぜか犯人扱い。どんどん事は大きくなるし。気づけば俺、大犯罪者じゃん」
「証言者もみんな正直にお前の名前を言ってるだけなのにな。警察も勘違いしちゃって、謎のハードボイルド少年なる者を追え!って躍起になってさ。事情通はみんな腹を抱えてるぞ」

俺はカウンターに寄りかかり、刑事の残したバーボンを手にした。

「…でもさ、俺のまわりで事件が起こってるのは事実じゃん?」

空気が変わる。室温が一度くらい下がったのかもしれない。

「俺の動きをよーく知ってるやつじゃないと無理な気がするんだよね?」

グラスの氷はもう小さい。とけてなくなりそうだ。

「ハードボイルド少年のファンじゃねえの?」

マスターは軽く笑い、煙草を消した。そして、俺からグラスを奪う。

「だよね。俺もそう思う」

カウンターに入って、マスターがいつものように動き出す。どうやら新しい酒をつくっているらしい。

「俺、前から不思議だったんだ。親をマフィアに殺されて、天涯孤独になった俺をどうしてあんたが引き取ってくれたのか…」

初めてここに連れてきてくれた日をよく憶えている。

「俺を守りながら、かたきをとってくれてたんだね」

マスターはそれには答えない。ふっと口元で微笑んだだけだ。

「ほらよ、少年。寝付けに飲め」

それは初めて俺がここに来た時、マスターが最初にくれたのと同じ飲み物だった。ホットミルクに少しブランデーを混ぜたもの。確か名前は…。

「大人のホットミルク?」

俺が聞くと、マスターはニヤリとした。

「最高にハードボイルドだろう?」

俺たちは声を出して笑った。アレアレ刑事に教えてやりたいところだ。

「マスター」
「ん?」
「愛してるぜ」

俺は敬礼しながら言った。マスターは低く手を振る。

「なに、ふざけたこと言ってんだ。少年は、早く寝ろ」

…こんな笑いのある生活をくれたあんたを、今度は俺が守るよ。

「はーい」

俺はそう返事をすると、ミルクを一気に飲み干し、『Bar Léon(バー・レオン)』の扉にclose(クローズ)の札をかけに行った。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ リュック・ベッソン「Léon」× SUPERCAR「ROLLIN' ROLLIN'」「Karma」★

「ハードボイルド少年」はもともと別物語に出てくる小説だったんですが、名前だけしか決めてなくて。今回せっかくなので中身を書いてみました。全然ハードボイルドじゃないかもですが…それに設定とか超アレだったし。

① リュック・ベッソン「Léon」
http://www.youtube.com/watch?v=iq4vPEU3vGo
私は頭で考えないで心の赴くままに書いてしまうので、終盤間際までどんな物語になるかわからないのですが、もろコレの影響を受けてましたね。最初ナタリーの名前は違うものだったのですが、こうなったらとことんコレでいっちゃう?と思い、ヒロインを演じた女優(ナタリーポートマン好きです)さんの名前を借りちゃいました。大好きな映画です。ちなみに作中に出てくる「3部作のハードボイルド映画」は「ゴッドファーザー」です。でも、私の中で「レオン」の方がハードボイルドって感じでそっち押しになったのかな?(確かに「ゴッドファーザー」は私にはちょっと難しかった…)

② SUPERCAR
「ROLLIN' ROLLIN'」
http://www.youtube.com/watch?v=YG4pQxolSAY
「Karma」
http://www.youtube.com/watch?v=7d43uHGFJ2s
「YUMEGIWA LAST BOY 」
http://www.youtube.com/watch?v=dVVRG_MJ8W8
音楽をききながら良く書いてるのですが、今回はルパンの銭形警部みたいな人が出てきたので、最初はルパンのJAZZをきいてました。でも、あまり筆が進まさなくて、困ったときの彼らが登場。私の青春ナンバーと言えば、彼らなんです。(度々紹介に出てきちゃうかもですが)初期のノイズがかったギターサウンドも後期の電子音のきいたそれもどちらも心地よくて。作中の「愛してるぜ」はたぶん映画「ピンポン」で夏木マリさんの言うセリフから。SUPERCARつながりで蘇ったのかもしれません。

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