===内容===
主治医のクマ先生はお手本になるような非の打ちどころがない笑顔を向けた。私は目をそらし、しばらく視線を宙に彷徨わせた。先生にしてみれば、目の前の人形や置物よりも私の方が無機質なものに見えたかもしれない。今日もまたここで私は自分の笑顔を探すのだ…。単に子どもの初恋話で終わるのか、大人×子どもの奇妙な恋愛話になるのか、…はたまた全然違うものになるのか…。ショートショートだったものを後に続編化。*聞いてた音楽*Kyte『Sunlight』(長編/恋愛/未分類)

===目次===
【第50夜】  箱庭(『箱庭に眠る』シリーズ1/未分類)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-53.html
【第55夜】 瞳の記憶(『箱庭に眠る』シリーズ2/未分類)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-58.html
【第258夜】 (『箱庭に眠る』シリーズ3/未分類)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-306.html
【第259夜】 (『箱庭に眠る』シリー4/未分類)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-307.html

=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Kyte『Sunlight』 ★
https://www.youtube.com/watch?v=TodLrdg4is4


□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

スポンサーサイト
良ければ、先にこちらをどうぞ。
【目次】 『箱庭に眠る』シリーズ 【作品紹介】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-305.html
=====================================


母親とクマ先生が話している間、私は外で遊んでいた。

動物のクマによく似ているから、先生はみんなからクマ先生と呼ばれ、慕われている。でも、私は主治医のクマ先生が苦手だった。先生の完璧な笑顔を見ていると、どこか気後れしてしまう。先生の前で自分の笑顔を探さなくてはいけないから、なおさらそう思ってしまうのかもしれない。

昨夜降った雨のせいでぬかるんだ地面には、いくつかの水たまりができていた。それに飛び込んで、水しぶきを豪快にあげる。長靴を履いているから、そこまで服を汚す心配はないだろう。母は少し眉をひそめる程度で、決して怒ることはない。怒る気力がまだない、と言う方が正しいのかもしれない。

「さあ、行きましょう」

母の呼ぶ声に不意をつかれた。足を滑らせ、水たまりの中に尻餅をつきそうになる。その時だ。

「大丈夫か?」

誰かに二の腕をしっかりとつかまれた。水たまりに落ちずにすんで、ほっとして顔を上げる。男の人だった。その人は軽々と幼い私を持ち上げ、安全な地面の上にたたせる。そして口元で微笑んだ。

私は「ありがとう」も言えず、ただじっと彼の顔を見つめた。人前でうまくしゃべれず、笑顔もつくれない私の様子は、生意気に見えたかもしれない。でも、彼は笑って私の頭を撫でてくれた。

「元気がいいな」

とても大きな手。それと、

「いい瞳をしてる」

お互い同じことを思っていたらしい。

やがて彼の手のひらが離れていった。それを名残惜しく思う自分に驚く。不思議と彼には嫌悪感を抱かなかった。あの瞳のせいだろうか。母が慌てて駆け寄り、その人に何度も頭を下げた。彼はまた笑い、その場をにこやかに立ち去る。クマ先生のところを訪ねて行くようだった。

「先生のお知り合いかしらね?」

母がひとり言のように、ポツリと呟いた。私は首をかしげるそぶりをすると、彼の背中をじっと見つめた。


=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Kyte『Sunlight』 ★
https://www.youtube.com/watch?v=TodLrdg4is4


□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

良ければ、先にこちらをどうぞ。
【目次】 『箱庭に眠る』シリーズ 【作品紹介】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-305.html
=====================================

それは水色の変な箱だった。

まだ幼い私の広げた両手よりも大きな箱で、中にはさらさらとした白くて細かい砂が入っている。とてもきれいだけど、私にはなんだか冷たく儚ないものに思えた。風が吹けば、すぐさま飛び散ってしまいそうだ。箱の隣には人形や置物が整然と並べてある。子供が遊ぶにしては、やけに可愛げのないものばかりだった。見るからに不釣合いでどこかぎこちない。アンバランスで、よけい無機質なものに見えてしまう。それらをぼんやりと眺めていた私に、みんなからクマ先生と呼ばれている、クマによく似たおじさんが言った。

「これは箱庭といってね、箱の中にただ砂が入っているだけのものなんだ。置いてある人形や置物を使って、この中に好きなものを作ってごらん」

クマ先生の口調は仕事柄とても優しい。でもだからといって、私が笑うことはない。クマ先生のことが別に嫌いというわけではなくて、私が単に笑うことを知らないからだ。

「なんでもいいんだよ」

クマ先生はお手本になるような非の打ちどころがない笑顔を向けた。私は目をそらし、しばらく視線を宙に彷徨わせた。先生にしてみれば、目の前の人形や置物よりも私の方が無機質なものに見えたかもしれない。

「ゆっくりでいいからね」

クマ先生はそれでも笑顔で語りかける。それでしっかり私を押さえつけようとする。コンクリートの壁に囲まれたこの部屋で。閉め切られた小さい窓一つしかないこの部屋で。か細い太陽の光りに蛍光灯のまっすぐな明かりが嫌らしく重なるこの部屋で。

ドアは一つで私の遠く向こうにあった。

テーブルの上の水色の変な箱の先、向かい合う先生の先。子どもの力では開けるのに時間のかかる、きつくて重いドアだった。

逃げ場のない私は頷くしかない。また今日もこの部屋で、自分の笑顔を探すのだ。観念した私は、ゆっくりと箱に手を伸ばした。先生が自然と本物の笑顔になるのが気配でわかった。

それを見ないように、箱の中にある砂をじっと見つめた。


=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Kyte『Sunlight』 ★
https://www.youtube.com/watch?v=TodLrdg4is4


□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □  ■ □ ■ □

以下のランキングに参加中です。

■ NEWVEL ランキング
http://www.newvel.jp/nt/nt.cgi?links=2014-03-1-35262

■ アルファポリス ランキング


■ 人気ブログ ランキング

人気ブログランキングへ

■ にほんブログ村 ランキング
にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村