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【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
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↓↓【第309夜】 aLIEz  ジャンル:サスペンス ↓↓
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大抵の人間は罪を犯したなど、実際、悪事に手を染めている時には気づかぬものだ。

少なくとも私はそうだった。

いいわけになるかもしれないが、その時はそれしか方法がなかったのだから―。

一人娘は、死んだ妻と同じ病だった。心臓を患っていたのだ。

移植しか手がなかったが、もうドナーを待つ時間もない。

ただ、救いたかった。それだけだ。

死に行く運命にある娘を。 いや、本当は―。


    *


その患者が、警察病院に搬送されてきたのは深夜のことだった。

私がその病院の医師として勤務していたのは、どこかすがるような気持ちで命のおこぼれに預かろうとしていたからかもしれない。ドナー以外に、娘に心臓を与えてくれる者を見つけるために。たとえ、合法的でなくても。そもそもドナーの登録者は少ない。その中でまた彼らの心臓が適合するか、しないかはもう運と言ってもいい。

私は運や運命という言葉が嫌いだった。

人の手の及ばないところで作用する力に祈ることしかできない、頼ることしかできないその言葉が―。すべては最初から決まっている、逃れられない必然であると強制してくるその言葉が―。

しかし、娘をその言葉の呪いにかけてしまったのは私だったのかもしれない。

警察病院に搬送されてきた患者は年若いが、巨悪な犯罪者だった。助かる見込みはなく、脳死状態に陥った。関係者はこの犯罪者の罪を法で裁くよりも手早く闇に葬り去ることを望んでいた。罪が明るみになると、関係者にも大いに飛び火する罪状だったのだろう。時々、そういった犯罪者の中でも特にわけあり者がこの病院に担ぎ込まれてくる。

いくらおこぼれだといっても、犯罪者の心臓など嫌悪してしかるべきだ。

しかし、その心臓は生きていた。健康な心臓が私のすぐ目の前にあったのだ。日に日に弱っていく娘の顔がふとよぎった。医者としての、人としての倫理など吹き飛んでいた。急いで娘の体に適合できるか検査した。時間との戦い、適合の運に私は勝利したのだ。

娘の元気な笑顔が目に浮かび、私は迷うことなくメスを握った。


    *


大抵の人間は罪を犯したなど、実際、悪事に手を染めている時には気づかぬものだ。

少なくとも私はそうだった。

いいわけになるかもしれないが、その時はそれしか方法がなかったのだから―。

ただ、救いたかった。それだけだ。

死に行く運命にある娘を。いや、本当は一人取り残される孤独に押し潰されそうだった私を…。

私が罪を犯したことに気づいたのは、病院のベッドで目覚めた娘に果物ナイフで胸を刺された時だ。娘の笑顔は想像していた健やかで可愛らしいものではなかった。人を傷つけ、いたぶる愉悦と快楽に満ちていた。

「生かしてくれてありがとう、お父さん」

私を父と呼ぶ少女に、娘の面影はどこにもなかった。

「バイバイ」

罪の意識が死に至る恐怖をもまさり、どす黒く私の胸を濡らしていた。




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki 『aLIEz』×アニメ『アルドノア・ゼロ』★  

① SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki『 aLIEz 』
この音楽を聞いて生まれた物語。
https://www.youtube.com/watch?v=24K4oZjv01I
あれ、もしかして、こっちだったのかな?歌詞、あんまりなかったような気がする。
MKAlieZ
https://www.youtube.com/watch?v=lRkBJY1mua0&list=RDlRkBJY1mua0#t=59

②アニメ『アルドノア・ゼロ』
SFロボットアニメ。毎回、物語のヒキがいいんですよ。で、そこからEDに入る瞬間がカッコいい。海外ドラマや洋画みたいな雰囲気で。個人的には、2期より1期が好きです。ラストは衝撃かもしれないけど…。
PV
https://www.youtube.com/watch?v=AVg_lglQqfg



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★最終更新(2015/07/03)
予約投稿の関係でアルファポリス様の方が若干更新が早くなっています(一日ほど)。お急ぎの方はアルファポリス様をチェックしてみて下さいね。申し訳ありません。
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【第247夜】 今夜はブギー・バック  ジャンル:サスペンス/ショートショート 
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いつもと同じ。変わらない仕事帰り。窮屈なスーツにも、東京暮らしに、もう慣れた。就職して3年。サラリーマン街道まっしぐらの満員電車にのっていた。

「助けてくれてありがとうございます」

そこで痴漢にあっていた女子高生を助けた。

「お礼をさせて下さい。駅を出て、すぐそこだから」

「100円マックでも奢ります」くらいの軽いノリだったから、警戒心なんて、これっぽっちももたなかった。かわいい女の子に浮ついたのが運のツキ。

着いたのは学校だった。どっしりとした門構え。夜目にもわかる、大きくて綺麗な校舎。お嬢様学校だった。

「なんで女子高に…?」

さすがに不審がる僕に彼女は言った。

「一緒に来て」

それから悪戯っぽく笑って、僕の腕に自分の腕をからめてきた。

「お兄さんに教えてあげる」

誘惑は、甘い香りがした。 

「私たちの秘密」

甘すぎて、腕を振り払えなかった。

   *

彼女に案内され、講堂の扉を開けると、そこは照明をいい感じにおとした洒落こんだクラブのようだった。たくさんの人がいて驚く。女子高生だけじゃない。僕のようにスーツを着たいい年した大人が、彼女たちと一緒にソファーに座り、楽しそうに酒を飲んでいる。

「すごいでしょう?夜はここ、クラブになるの」
「…………」

クラブというより、これは秘密クラブの域では…?気のせいか、みんな仮面みたいなものをつけてますよね…?

「知ってる?今、私立の学校って経営難なの。だから、うちの高校はこうやって資金集めしてるんだ。お嬢様学校なんていって中身はこんななの。笑えるでしょう?保護者や卒業生の寄付金なんて微々たるもの。でも学校がなくなるのは嫌だから、友達と離れたくないから、こうやってみんなで頑張ってる」
「…そうなんだ。すごいな」

って何を感心しているんだ、僕は。

「もし顔を隠したかったら、これをつけて。」

そう言われて渡されたのは、ひげ付きメガネ…。まあ、本格的に仮面とか渡されるよりは、いいのかもしれない。僕もだいぶ理性が麻痺してる。

「かわいいでしょう?ド○キで購入したの」

素直にそれを受け取って装着した。かわいいかどうかは正直よくわからない…っていうか、お嬢様も行くのか、ド○キ。

「お兄さんも空いてるところにテキトーに座って。何か飲み物、持ってくる。何がいい?」
「じゃあ、ビール」

うっかり調子にのって酒を注文してしまった。彼女たちはまだ未成年だろう!と慌てる僕に女子高生は笑った。

「お兄さん、かわいい。そのめがねも似合ってる。了解!ちょっと待っててね」

そんなことを言われて浮かれる自分が恥ずかしい。僕もだいぶ理性が麻痺してる。

   *

テーブルに並べてくれた料理は手作りだというマルゲリータのピザ、それに焼いたチキン…。驚いた。見た目も味もなかなかだった。

「料理は家庭科部のみんなが作ったの。けっこういけるでしょう?講堂内の内装は美術部と演劇部の美術係が…。あ、ここの運営は生徒会ね」

気になって聞いて見た。

「…先生たちは何も言わないの?」
「さあ?知ってて見て見ぬふりしてるんだか。ここに紛れて楽しんでいる人もいるみたいだし…」

なんだ、そりゃ。

「世も末だな」
「世も末よね」

でもそう言いながら、シャーリー・テンプル(ノンアルコールカクテル)を飲む彼女に少しだけ安心したりする。

「ここのクラブ、理事長が推奨してるからね。うちの理事長、人気者なの。まだ若くて…」
「もしやイケメンとか?」
「う~ん。イケメンかもしれないなあ、お兄さんみたいに」

そう意味ありげに笑う。それが艶っぽくみえるのは、きっとクラブの雰囲気のせいだなと自分に言い聞かせる。カモン、理性!プラスモー、理性!

「だからって学生にこんなことをさせちゃいけないよな」
「そう?みんな楽しそうよ」

確かに。本来、手本になるべきはずの大人たちのあの醜態…。何を言っても説得力がないかもしれない。

「心配しないで、お兄さん。大丈夫。ここ、きわどいことは基本なしだから。これでも私たち、大人を厳選してるの」
「厳選?」
「はめをはずさない大人。正義感にとらわれ過ぎない、ちょっと臆病な大人。そうねえ、典型的ないい人を選んでるの」
「選ぶって…どうやって?」

彼女はくすっと笑った。

「例えば、満員電車で痴漢にあってる女子高生を助けてくれたりとか。その後、その子に簡単についていっちゃうようなね…」

わーお。それ、誰だよ?ダメじゃんそいつ。っていうか、まあ僕なんですけどね。ということは…?

「…わざと君は痴漢にあってるの?」

彼女は俯いた。ノンアルコールカクテルに沈みこんだレモンを細いストローでいじる。

「イケメン理事長が自ら体をはって頑張ってる。だから、みんなついてきてくれるのよ」

それをすくい上げて指でつまみ、僕の口の中に優しく押し込んだ。残されたレモンの酸っぱさが、かすかに広がる。

「頑張ってるんだな、イケメン理事長は」
「死んだ親が残してくれたのはこの学校だけだった。イケメン理事長にも思い入れがあるのかもしれない」

ふとクラブで流れる音楽が変わった。

〝ダンスフロア―に華やかな光  僕をそっと包むようなハーモニー〟

「ずいぶん懐かしい曲も流すんだな」
「…これ、いろんな人がカバーしてるから、けっこう有名じゃない?私の〝心のベスト10 第1位〟の曲なんだ」
「僕としてはカバーじゃなくてnice vocalのが好きだけど…」

〝ブギー・バック  シェイク・イット・アップ 神様がくれた〟

「あー、ヘタウマな感じのか。私も好き。今度はそれを流そうかな」

〝甘い甘いミルク&ハニー〟

「だから、お兄さん。良かったら、また来て」

不意にレモンの味が変わる。その危険な甘さに、ただ酔いしれていた。

   *

それからそのクラブに行くことはなかったし、満員電車で彼女に会うこともなかった。きっとあれは僕が見た不思議な夢だったんだろう。いくらなんでも女子高生が運営する秘密クラブって…そんな夢を見た僕もだいぶ理性が麻痺してる。

仕事帰りの満員電車の中で、誰かのイヤホンから音漏れするメロディが聞こえてきた。

〝ダンスフロア―に華やかな光  僕をそっと包むようなハーモニー〟

あの曲だ。でも、またnice vocalのじゃない。

〝ブギー・バック  シェイク・イット・アップ 神様がくれた〟

― 良かったら、また来て ―

〝甘い甘いミルク&ハニー〟

足は勝手にそこに向かっていた。一度しか行ったことがないのに、よく覚えていたもんだ。駅の近くというのも良かったのかもしれない。女子高につくと、驚いたことに守衛に案内された。

あの子は守衛まで懐柔したのか…。おーい!教育的指導が必要なのは子供なのか、大人なのか、いったいどっちなんだ!?わからなくて困るのは、僕も懐柔された側だからかもしれない。講堂の扉を開けると、ここのクラブのオーナーでもあるだろう彼女がいた。

「待ってたよ」

その笑顔にやられる。カモン、理性!プラスモー、理性!そう心の中で叫んでも、もう遅い。観念したように僕は笑った。

「君と僕の〝心のベスト10 第1位〟の曲を聞きにきたんだ」


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★小沢健二 featuring スチャダラパー『今夜はブギー・バック(nice vocal)』×霜月かよ子『真夜中のアリアドネ』★

ある作品を読んでから、秘密クラブを舞台にした物語を書きたーい!と思っていました。書こうと思った時に頭に流れて来たメロディは「今夜はブギー・バック(nice vocal)」でした。う~ん、全然サスペンスっぽくならなかったな。

① 小沢健二 featuring スチャダラパー『今夜はブギー・バック(nice vocal)』
https://www.youtube.com/watch?v=ZHAcWyAzPJM
これ、好きなんですよね。小沢健二さんの。色々な人がカバーしてるから、どうせならまとめて「みんなの今夜はブギー・バック集」をだしてくれないかな。

色々な人の「今夜はブギー・バック」カバーを見つけました。宇多田ヒカルも歌ってたんだ。
https://www.youtube.com/watch?v=O0vDFBtyFsA&list=PL_f2Fq5ErlR7956n8Cx7FbdJYG6oOxdkA&index=13

② 霜月かよ子『真夜中のアリアドネ』
秘密クラブでわけあって働く同級生を女子高生がすくう話。この漫画を読んでそういう舞台の物語を書いて見たくなりました。他にも、この作者さんのサスペンス系作品を只今追っているところ。
http://booklive.jp/product/index/title_id/26290/vol_no/001

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「あなた、最近タケシの様子が少しおかしいの」

仕事を終えて家に帰ると、私の背広をハンガーに掛けながら妻が言った。

「タケシがどうした?」

タケシは今年小学5年生になる私たちの一人息子である。まだまだ、生意気盛りのお子様だ。

「ちょっと変なのよ。ずっとテレビにかじりついてて」
「テレビ?面白い番組でもやってるんじゃないか?」

私が笑い飛ばすと、妻は怒りだした。

「真面目に聞いて。笑いごとじゃないの!」
「え?」
「あの子が見てるのはニュース番組。しかも殺人事件ばかりなんだから」

我が家の夕飯は、基本テレビをつけながらでも良しとしている。単にテレビがないと無音になり、食卓が淋しいというのもある。私たちの心配をよそに、タケシは今日の夕飯もニュース番組をじっと見つめていた。内容は保険金目当ての殺人事件。隣りにいる妻は心配そうな顔をしていた。

「タケシ、他の好きな番組を見ていいんだぞ。父さんに合わせて、ニュースを見てるんじゃないのか?」

大人の都合に合わせているという可能性もなくはない。私は息子に聞いてみた。

「これがいいんだ。ニュース番組、好きなんだよ。色々なことが知れるし」

一見優等生じみた答えだが、いかんせん、子供らしくない。

「特にどんなニュースが気になるんだ?」

私さらに聞いてみた。

「殺人事件」

私は妻と顔を見合わせた。どうやら彼女の息子チェックは正しかったようだ。

「タケシは最近ミステリーや推理小説にでも、ハマってるのか?」
「ううん。ただ気になるんだよ」
「気になる?」
「殺人事件の犯人ってバラバラに事件を起こしてるけど、この人たちが集まってみんなで一つの事件を起こしたら、きっと凄いことになるんじゃないかなって」
「…凄い…?」
「うん、凄い!」

気のせいだろうか。タケシは期待に満ちた目をしていた。なんだか生き生きとしている。

「絶対凄いと思うんだ!」
「そうかしら?お母さんは、恐ろしいわ」

妻も何かを感じ取ったのだろう。話に入ってきた。

「そうかなあ…?」
「そうよ。そんなことがあったら、大変よ。とてもこわいことだわ」

妻がたしなめても、タケシは納得してないようだった。

「…絶対凄いと思うんだけどなあ」

自分たちの子供なのに、よくわからない。自分たちはこの子の親なのに…。私たちは戸惑っていた。

それから一週間後、あの事件が起きた。

1995年(平成7年)3月20日、地下鉄サリン事件。

東京の地下鉄車内で毒ガスであるサリンが散布され、乗客や駅員ら13人が死亡、負傷者数は約6,300人とされる。日本において、戦後最大級の無差別殺人であるとともに、大都市で一般市民に対して化学兵器が使用された史上初のテロ事件だった。

「これだ!これだよ、父さん!!」

タケシは毎日、興奮冷めやらぬ様子で、テレビにかじりついていた。

「そうかあ、こういうのテロっていうんだね!やっぱりああいう人たちが集まって起こす事件は凄いんだよ!!」

私は正直この時テレビに映る悲惨な状況よりも、目の前にいる自分の息子に恐怖していた。

この子をこのままにしてはいけない。息子の高ぶる感情にはまだ名前がない。食い止めるなら今だ。まだ、間に合う!

― ソノ カンジョウノ オトシドコロヲ マチガエルナ ― 

「タケシ、気をつけろ!」
「え?」
「お前は大事なものを失いかけてる」

タケシは何を言われているのかわからなかったのだろう。ぽかんとしていた。

「いつも父さんはな、あの電車に乗って会社に行ってるんだ。たまたま、今回乗り合わせなかっただけで助かった。もし、父さんがあの電車に乗って事件に巻き込まれていたらどうする?お前はまだそうやって笑えるのか?」

熱に浮かされたようなタケシが凍りつくのがわかった。

「タケシ、それでも凄い事件って言えるのか?」
「………」
「これは全然凄い事件なんかじゃないんだよ」

― ソノ カンジョウノ オトシドコロヲ マチガエルナ ― 

「それがわかるな?母さんは何て言ってた?」

タケシは青ざめ、震えだしていた。 

「恐ろしい。とてもこわいこと…」
「そうだな。タケシ自身はどう思う?父さんが事件に巻き込まれていたとしたら…」

― ソノ カンジョウノ オトシドコロヲ マチガエルナ ― 

「…父さんが死んじゃったら嫌だよ」
「そうだな」
「全然こんなの凄くなんかない!」

― ソノ カンジョウノ オトシドコロヲ …… ― 

「僕は笑ってなんかない。そんなヒドイこと、しないよ!」
「そうだ」

私はタケシを抱きしめた。徐々に震えがおさまっていくのがわかる。その高ぶる感情の終着点に安堵した。私は嘘をついた。本当は私の使う電車は地下鉄ではない。タケシも近いうちに、それに気づくだろう。

― ソノ カンジョウノ オトシドコロヲ …… ― 

「タケシ、お前は大丈夫だ。きっと大丈夫だよ」

…息子にも、自分にも、そう言い聞かせる。

『危ないですから下がってーーーーー!!!』

ブラウン管の向こうでは乗客に危険を知らせようと、駅員が声の限りに叫んでいた。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 村上春樹「アンダーグラウンド」 × the brilliant green 「Bye Bye Mr.Mug」 ★

ニュースで今年、地下鉄サリン事件から20年と聞いて。私があの事件を書けるとしたら、被害者でも加害者でもないブラウン管の外側にいた人たちでした。

①  村上春樹「アンダーグラウンド」
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%91%E4%B8%8A-%E6%98%A5%E6%A8%B9/dp/4062639971
ノンフィクション。地下鉄サリン事件といったら、どんなニュースよりも私の中ではこれ。被害者の姿をありのまま伝えようと、あの日、あの場所で、何があったのか、彼らの言葉で真実を伝えてくれます。読了後、オウム信者視点の「約束された場所で」も読みました。

② the brilliant green 「Bye Bye Mr.Mug」
http://nicoviewer.net/sm9164633
書き終えた後、頭のなかに流れてきたのがこのイントロ。ブリグリ大好きなんです。彼らのデビュー曲。他の曲でも物語を書けるといいな。

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私の末路を辿ろう。

かつて生きた人生を。

私の末路を辿ろう。

かつて王として生きた私の最期(さいご)を。

あの者は、身を挺して私を守ってくれた。己を犠牲にして無残に散っていった。

『何も恐れることはありません』

他国に攻められ、国を救うこともできなかった愚かな王を、なぜあの者は迷いもせず、己の命を差し出すことができたのか…?

『私は御影人(みかげびと※影武者)。それだけです』

とても優雅な微笑だった。

『私は嬉しいのです。やっと、つとめを果たすことができるのですから』

その微笑を見た瞬間、本当の王はこの者ではなかったかと思ったほどだ…。

『兄上、そんな顔をなさらないでください』

腹違いの弟よ。母の身分が低くなければ、己の血の正統性を証明できれば、父王の子として堂々とともに生きることができたはずだ。あの者は、私の影として一生を終えなければならなかった。御影人として。

『兄上、どうかお元気で』

国は落ち、御影人の首は他国の者の前にさらされた。私はこうしてまだ、のうのうと生きている。それが、ただ苦しかった…。

『私は嬉しいのです。やっと、つとめを果たすことができるのですから』

影の中で見出すことのできた最大の喜びが死であったのだなとようやく気づく。

王宮へ足を向ける。

私の末路を辿ろう。

かつて生きた人生を。

私の末路を辿ろう。

かつて王として生きた私たちの最期を。

私も、つとめを果たそう。

成し遂げた後、とても優雅な微笑をしているに違いない。

『何も恐れることはありません』

御影人の、弟の、私の首を、この手に。


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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ びっけ『王国の子』× Collage of Our Life『An Alterimage』 ★

なんとか年末までに200作、いきたいところです。今年は無理かなあ。ピッチ上げて、頑張らねば。

① びっけ『王国の子』
試し読みhttp://www.cmoa.jp/title/70546/
私が影武者の話を書くとなんともお粗末なデキですが、この方はすごいです!最近出会った漫画家さんなのですが、読ませる読ませる!ひきこむひきこむ!話の元ネタが15世紀イギリス王室・女帝エリザベス1世。それを大胆アレンジした物語。王女エリザベスの影武者として生きる役者の少年がいい。

② Collage of Our Life『An Alterimage』
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E6%81%8B%E6%84%9B%E5%AF%AB%E7%9C%9E%E3%80%8D%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF-%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9/dp/B000095KZG/ref=sr_1_cc_1?s=aps&ie=UTF8&qid=1410446366&sr=1-1-catcorr&keywords=%E6%81%8B%E6%84%9B%E5%AF%AB%E7%9C%9E+-+Collage+of+Our+Life+%E3%80%80%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9
作業中に聞いてた音楽です。邦画のサントラ。試聴できるみたい。『Kokoro Eyes』とかもいいですよ。

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「ようこそ、ネバーランドへ」

№511の少年が言った。

「ここは特別な場所、『選ばれた子ども』しか来れないんだ」

生気を失った少年少女たちのたまり場。

「きみは選ばれたんだよ」

どこが特別な場所なんだろう?どこが選ばれた子どもなんだろう?

「おめでとう!」

№511の少年が言った。

「もう大人たちの飼い殺しにあうことはない」

飼い殺し?

「あー、そうか。きみは親を殺してきたんだっけ?」

№511の少年が言った。

「親に虐げられた僕らにとって最高の復讐をしてきたんだね。僕らはきみを歓迎するよ!」

血みどろの手。ひび割れた酒瓶。

「そんな、きみの勇気に乾杯!」

№511の少年が言った。

「さあ、新しい門出だ。きみは何を望む?何でも叶えよう!」

何でも…?

「そうさ!望みを言ってごらん?」

№511の少年が言った。

「了解、きみも名前を消したいんだね。じゃあ、今からきみは、№512だ!」

ようやく胸がすうっと楽になった。

「№512!ようこそ、ネバーランドへ」




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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Fightstar『?』× 浦沢直樹『MONSTER』★

次回作の予告しといて、すみません!どうやらそちらはもう少し時間を頂くことになりそう。なので、先に出来上がったこちらをUPします。青春モノを書いた後ってやっぱりちょっとブラックなものを書きたくなる…のかも。No.511は浦沢直樹『MONSTER』の511キンダーハイムより。本当はそういう特殊な施設の話を書きたかった…のかも。

① Fightstar『?』
http://www.youtube.com/watch?v=x1VkbB4bzDI
アーティストも曲名も不明だった音楽。ずっと探してました。探しまくって今回ようやくアーティストはわかったんですけど、曲名が『Shinji Ikari』って…さすがにこれは違いますよね…?だってこれ某人気アニメのキャラクターですよね…?どなたか、もしこの曲名をご存知でしたら教えて下さると嬉しいです。切ないメロディがなんかグッとくるんです。暗い物語にはもってこいでした。

② 浦沢直樹『MONSTER』
http://matome.naver.jp/odai/2136689426451579801/2136689481251704503
以前UPしたものですが、せっかくなので。「511キンダーハイム」のような話はちょっと私も書いてみたい。浦沢作品の凄さって「コレってもしかしたら実在したの…?」というリアル感にあるのでしょうか。これもラストは驚いた…。(UPした映像はコメントが多いので、吹き出しを押すと消えます)

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前回UPした【第90夜】Where is My Mind? には、もう一つ違った結末がありました。せっかくなので、UPを。もし、興味のある方がいたらどうぞ~。

↓もう一つの結末ver.です(全体的にラストも含め、少し訂正しています)↓


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僕にはわからない。…これはリアル(現実)?

「最近の調子はどうですか、先生?」

担当編集者と名乗る男から電話がかかってきた。

「先生の新作をずっと楽しみにしている読者が大勢いますよ」

男のくせに甲高い声。

「先生の一見凶器に満ちた作風は人間の暗部を切り取っていると、どの年齢層にも評判が良くてですね…」

凶器?暗部?

「でも、どんなに血生臭くても不思議と読後感は爽やかで、それが女性読者にも受けているんです。そういう作風で、男女の支持を得るというのは中々ありませんよ」

爽やか?支持を得る?…何を言っているのだろう?

「確か打ち合わせの際、新作の内容に関してこうおっしゃってましたよね。ある小説家が作品を仕上げる過程で、だんだん現実と虚構の区別がつかなくなり、精神錯乱起こす…って」

僕にはわからない。

「実は…私は実際に先生がそんなことにならないかどうか心配だったんですよ」

精神錯乱を起こす?…僕が?

「でも声をきいて、いつもと変わらないようで安心しました」

それに呼応するように、知らない男の落ち着いた笑い声がした。

「でも、気分転換はしっかりなさって下さいね。何か差し入れを持っていきましょうか?」

僕にはわからない。…これはリアル?

「大丈夫そうですか?わかりました。それじゃあ…」

僕にはわからない。…これはリアル?

「あ、最後に一つだけ。結末を聞いてもいいですか?精神錯乱を起こした小説家の最後は?」

僕にはわからない。

「殺人を犯す、自ら死を選ぶ…なるほど、そうですか。決めかねいているんですね?私の意見ですか?そうだなあ…」

僕にはわからない。

「こういうのはどうでしょうか?小説家は殺人を犯した末、自ら死を選ぶ。でも、本当は自殺ではなかった…」

僕にはわからない。…これは、

「…自殺に見せかけて、殺されるんですよ」

僕にはわからない。…これは、

「編集者に」

…これは、リアル?

「では、完成を楽しみにしていますよ」

それに呼応するように、知らない男の落ち着いた笑い声がした。
僕にはわかっている。…これはリアル(現実)じゃない。

「最近の調子はどうですか、先生?」

担当編集者から電話がかかってきた。

「先生の新作をずっと楽しみにしている読者が大勢いますよ」

男のくせに甲高い声。耳障りだ。僕にはわかっている。…これはリアルじゃない。

「先生の一見凶器に満ちた作風は人間の暗部を切り取っていると、どの年齢層にも評判が良くてですね…」

凶器?暗部?…どこが?

「でも、どんなに血生臭くても不思議と読後感は爽やかで、それが女性読者にも受けているんです。そういう作風で、男女の支持を得るというのは中々ありませんよ」

爽やか?支持を得る?詭弁だ。

「確か打ち合わせの際、新作の内容に関してこうおっしゃってましたよね。ある小説家が作品を仕上げる過程で、だんだん現実と虚構の区別がつかなくなり、精神錯乱起こす…って」

そうだったか…?

「実は…私は実際に先生がそんなことにならないかどうか心配だったんですよ」

精神錯乱を起こす?僕が?

「でも、声をきいて、いつもと変わらないようで安心しました」

それに呼応するように、知らない男の落ち着いた笑い声がした。

「でも、気分転換はしっかりなさって下さいね。何か差し入れを持っていきましょうか?」

僕にはわかっている。…これはリアルじゃない。

「大丈夫ですか?そうですか。わかりました。じゃあ…」

僕にはわかっている。…これはリアルじゃない。

「あ、最後に一つだけ。結末を聞いてもいいですか?精神錯乱を起こした小説家の最後は?」

僕にはわかっている。…これはリアルじゃない。

「殺人を犯す、自ら死を選ぶ…なるほど、そうですか。決めかねいているんですね?」

僕にはわかっている。

「私の意見ですか?そうだなあ…」

僕にはわかっている。…これは、

「………というのは、どうでしょう?」

…これだけは、リアルだ。

「では、完成を楽しみにしていますよ」