カムチャツカの若者が

ちび○ろさんぼのホットケーキの夢を見ているとき

メキシコの娘は

朝もやの中でトルティーヤを頬張っている

ニューヨークの少女が

ほほえみながらドーナツ(ベーグルでも可)の海を泳いでいるとき

ローマの少年は

エスプレッソとコルネット(甘いクロワッサン)の香ばしい朝にウインクする

この地球ではいつもどこかで

朝ごはんがはじまっている

ぼくらは朝ごはんをリレーするのだ

経度から経度へと

そうしていわば交替で地球の胃袋を守る

眠る前のひととき耳をすますと

どこか遠くで誰かのお腹の音が鳴っている

それはあなたの送った朝ごはんを

誰かがしっかりと「いただきます!」を言った証拠なのだ


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ CM「ネスカフェ 谷川俊太郎/朝のリレー 」 ★

谷川俊太郎さん、ごめんなさい。ちょっと世界の朝ごはんの特集記事を見ていたら、食べたくなって、こんなものができました。

CM「ネスカフェ 谷川俊太郎/朝のリレー 」
https://www.youtube.com/watch?v=MfMqbAitiJI
大好きなCMです。見る度、「やるじゃん、ネスカフェ!」ってなる。

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僕は手に入れたい。

世界が薔薇色になる、『不思議めがね』を。

僕は手に入れたい。

僕がカッコ良く見える、『不思議めがね』を。

僕は手に入れたい。

好きなあの子が僕にホレる、『不思議めがね』を。

僕は手に入れたい。

みんなをあっと言わす僕になれる、『不思議めがね』を。

僕は手に入れたい。

みんなをぎゃふんと言わす僕になれる、『不思議めがね』を。

僕は手に入れたい。

僕がヒーローになれる、『不思議めがね』を。

僕はいつか手に入れてみせる。

そんな世界が薔薇色になる、『不思議めがね』を。



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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ LAMA「Know Your Rights」★
http://www.youtube.com/watch?v=AhzbFkPZ0LA

なんとなく自分の中で最近心がけていることがあって、前回の物語の拍手が10回たまったら、なるべく次の物語をUPするように努めています(拍手ランキングが変動するので)。音楽の勢いに任せて急いで書いたら、わけわかんないものに…夜中のテンションってすごいなって思いました><

LAMAは私の青春ナンバーであるアーティストSUPERCARのヴォーカル二人が解散後に、元NUMBER GIRLのギタリスト田渕さんなどと結成したグループのよう。SUPERCARのライブに行けなかった者としては、嬉しい限りなんですけど、「あなたが再結成してほしいアーティストは?」って聞かれたら、私はやっぱり「SUPERCAR!!」ってなるんですよね。あ、「JUDY AND MARY」もそうかな。ライブ行ってみたかったなあ。

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とても仲良しのふたりがいました。

黒い犬のワクワクと白い犬のフワフワです。ワクワクとフワフワはいつもいっしょでした。遊ぶときも、ご飯を食べるときも、眠るときも、いつもいっしょでした。笑うときも、怒るときも、泣くときも、いつもいっしょ。けんかもときどきしますが、すぐに仲直り。楽しい笑い話にしてしまいます。あるとき、ワクワクがご飯を食べながら言いました。

「ぼくら、そろそろ結婚しましょう」

フワフワは一瞬、何を言われたかわかりませんでした。ワクワクはいつもと同じように、口の周りを食べ物でよごして、とてもおいしそうにフワフワの作ったハンバーグをほおばっています。フワフワは笑いました。なんだかおかしかったのです。でも、それからとてもうれしくなりました。

「いいですね。そうしましょう」

ワクワクとフワフワはにこにこしながら、いっしょにおいしいご飯を食べました。

そんなふたりのやりとりをこっそり見ていたものがいました。おしゃべりでお祭りが大好きな猫のニャンペーでした。

「こりゃ、すごい!みんなに知らせないと!」

ニャンペーは野原に仲間たちを集めました。

「一体どうしたっていうんだい?」

みんながニャンペーにたずねました。

「ワクワクとフワフワが結婚することになったんだ!」

ニャンペーが大きな声でみんなに告げました。みんなはいっせいに騒ぎ始めました。

「こらこら。静かに、静かに!」

ニャンペーは自分の髭を一本引っぱると、もったいぶって続けました。

「せっかくだから、結婚のお祝いをみんなでやろうと思うんだけれども…どうかな?」
「賛成!!」

仲間たちは声をそろえました。

「では、何をするかだけれども…」
「そうだわ!ワクワクとフワフワの好きな食べ物をいっぱい用意しましょう!」

料理上手のうさぎのミミが提案しました。

「それはいい!かれらの好物は何だったけなあー」
「わたし、知っているわ。だって、フワフワに料理を教えたのはわたしだもの。確かハンバーグ、カレー、バウムクーヘン、フルーツタルト。あ、あと、いちごをいっぱい飾ったパフェも忘れちゃいけないわ」
「ふむふむ。じゃあ、ミミに料理はまかせよう!」
「じゃあ、わたしはかれらの衣装をつくる!」

裁縫の得意な小鳥のピーコが、羽ばたきながら言いました。

「シルクとレースを使った白の衣装がいいな。お花も用意した方がいいかしら?」
「お花ならぼくがいっぱい育てているよ!」

そう言ったのはハチミツが大好きなくまのクマゴロウでした。

「ぼくはかわいいお花でとびっきりのブーケをつくるよ」
「いいね、いいね」

ニャンペーは満足そうに頷きながら、腰に手をあてています。

「ところで、ニャンペーはどうするんだい?」

手作りのハチミツサンドを食べながら、のんびりとクマゴロウはたずねました。

「俺さまは司会だ。進行を見守るんだ」
「ふうん。ニャンペーはなんだかいつも楽そうなんだよなあ」

頭のいい馬のタロが少し不満そうな声をあげました。

「それだけじゃないぞ。あと、宙返りを見せて場を盛りあげるんだ」
「ニャンペー、宙返りなんてできるの?」

みんなにきかれて、ニャンペーは胸を張りました。

「ふふん。まあね!」
「すごいなあ」
「この前、サーカス団が来ただろう?そのときに、こっそり教えてもらったんだ。で、タロはどうするのさ?」

ニャンペーは自分より背の高いタロを見上げました。タロは腕組みして答えました。

「馬車にでもなろうかなあ。ほら、サーカス団のパレードの手伝いで、ぼくは立派な馬車になっただろう?それをワクワクとフワフワはとても気に入ってくれていたんだ。まだ衣装も道具も残っている。馬車で当日のかれらのお迎えとお見送りをして、あと、好きなところにかれらを連れて行くよ」

「わたしも見たわ、あのパレード!とてもすてきだった」

ミミは、うっとりとして言いました。それをみたニャンペーは少し面白くありません。大きな声でニャンペーはみんなに言いました。

「じゃー、それぞれ準備に励むように!日にちが決まったら、また連絡する!解散」
「はーい」

こうして、仲間たちは別れていきました。

ひとりだけ野原にまだ残っているものがいました。心の優しいロバのプクでした。

「どうしよう。ぼく、得意なことなんて何もないのに…。何をすればいいんだろう?」

プクは今にも泣きだしそうでした。そこへ寝坊したハムスターのモッチがやってきました。

「ごめんごめん、すっかり遅れてしまったよ。あれ、みんなはどうしたんだい?」

プクはあきれてモッチを見ました。

「もうとっくに帰ったよ」
「まいったなあ。いったい何の話だったんだろう?」

プクはワクワクとフワフワの話をしました。それをきいて、モッチはにっこりしました。

「そうか、ワクワクとフワフワが結婚するんだね。それはめでたいね!さて、ぼくは何をしよう。ねえ、プクはどうするの?もう決まっているの?」

プクはため息をつきました。

「…実はまだなんだ」
「そうかー。ぼくもすぐには決まらないなあ。みんなみたいに得意なことが特にあるわけじゃないしね」

それをきいて、プクは少しほっとしました。

「そうだ!良かったら、プク、ぼくといっしょに何かしないかい?」
「え?」
「ひとりよりふたりの方が、楽しいこと、思いつくかもしれないよ」

突然の誘いにプクは戸惑いました。でも、なかなかいい気がしました。

「いっしょにやりたいな。やってくれるかい?」

それをきいて、モッチはにっこりしました。

「喜んで!」

仲間たちがそれぞれ準備をしている間に、何も知らないワクワクとフワフワは仲良く音楽をきいていました。

ワクワクとフワフワは音楽が大好きで、特に山の音楽隊というグループがお気に入り。山の音楽隊は旅をしながら演奏を続けている謎の音楽団で、まえぶれもなく各地を訪れては生演奏をして幸せをふりまいているそうです。ワクワクとフワフワもいつかかれらに会うのが夢で、この日もかれらのレコードをゆったりときいていました。そこへニャンペーが招待状を届けに来ました。

「結婚式?」
「そうなんだ。仲間でワクワクとフワフワを祝わせてもらいたいんだ」

ワクワクとフワフワは顔を見合わせました。

「ぼくらのために?みんなが?」
「そうだよ」
「どうして知っているんですか?わたしたちが結婚すること」
「…どうしてかなあ。なんとなくかなあ」

ニャンペーの態度がおかしいので、ワクワクとフワフワは笑いました。ワクワクが言いました。

「ニャンペー、ぼくらの話をきいていたんですね。でも、うれしいです。ありがとう。ぜひ参加させてもらいますね」

日にちも決まり、それぞれが準備の山場にさしかかっていました。でも、まだロバのプクとハムスターのモッチは何をするか決まっていません。色々案を出し合ったのですが、どれもピンとこないのです。

「どうしよう?モッチ、このままだと間に合わないよ」
「うーん」

ふたりはお菓子の入ったバスケットを持って、野原をぐるぐる歩きながら、考えあぐねていました。

「誰かを楽しませるって難しいね」
「そうだねー」
「ぼく、自分を楽しませるなら、思いつくんだけどなあ」
「え?」

不思議なことを言うな、とモッチはプクを見ました。

「だって、自分の好きなことをすればいいだろう?」
「そりゃ、そうだ」
「あぁ、どうしようー」

プクは頭を抱えてしまいました。それを見て、モッチは提案しました。

「ちょっと休もうか。お菓子を食べながら、ひと休みをしよう。クマゴロウがくれたハチミツクッキーを食べようよ」
「…うん」

ふたりは並んで座り、ハチミツクッキーを食べながら、青空を眺めました。白い雲がぷかぷかと浮かび、そよ風にのんびりと流れていきます。

「気持ちいいね」
「うん」

やわらかな太陽の光りの中で、一匹の白いちょうちょが飛んできました。それはとても楽しげで、なんだか踊っているように見えました。あまりにも気持ちが良くて、プクは鼻歌を口ずさんでいました。とてもいい声です。プクの心があらわれているような、この青空の風景のような、優しくて、あったかで、ほんわかした笑顔が生まれる声でした。モッチはそれをきいて、思わず声をあげました。

「これだ!これだよ、プク!」

プクはびっくりして、きょとんとした顔でモッチを見つめました。


いよいよ結婚式の当日です。

野原に仲間たちが集まりました。ワクワクとフワフワの特別な日ですから、みんなおしゃれをしています。ねこのニャンペーはぴかぴかのブーツ、うさぎのミミは赤い花の耳飾り、小鳥のピーコはレースをあしらったストール、馬のタロは羽のついた帽子、くまのクマゴロウはくるみボタンのスーツ。ハムスターのモッチは黒のマント、ロバのプクは首にネクタイを締めたいようですが、どうも緊張してうまく締められません。見かねたモッチがプクの肩に飛び乗って、手伝いました。

「大丈夫だよ、プク。あんなに練習したんだから」
「そうなんだけど、だめなんだ。震えがとまらなくて」
「ほら、深呼吸、深呼吸」

そこへ馬車に乗ったワクワクとフワフワがやってきました。タロがみんなの前でとまると、ワクワクがフワフワの手をとって下りてきました。ワクワクは白のタキシード姿でとても凛々しく、フワフワはすその長い白いドレス姿でまるでお姫様のようです。「きれい」「かわいい」「すてき」と、みんな嬉しくなって、拍手してふたりを迎えました。衣装を作ったピーコも満足そうです。ワクワクとフワフワがとても幸せそうで、毎晩、目が真っ赤になるまで縫い続けてよかった、とピーコは思いました。

ふたりが椅子に座ると目の前の大きなテーブルに、様々な料理が運ばれてきました。ハンバーグ、カレー、バウムクーヘン、フルーツタルト、いちごをいっぱい飾ったパフェ、からあげ、さといもの煮物、けんちん汁…などなど。どうやらメニューが他にも追加されているようです。

「ニャンペーがわたしにおまかせって言ったじゃない?だから、ワクワクとフワフワが好きなものをいっぱい作っちゃったの」

お皿を並べ終え、ミミがかわいらしくウインクしました。ちょっとバランスの悪いメニューにみんなは苦笑い。ニャンペーが慌てて、お酒の入ったグラスを手に取りました。

「ほら、みんな!グラスを手に持ってー。乾杯するぞー」
「はーい」
「それでは、かんぱーい!」
「かんぱーい!!」

グラスの重なる音が響き渡ります。それから「おめでとう」の声が続き、笑い声が場を和ませます。ミミの料理はどれもとてもおいしくて、何よりもワクワクとフワフワがうれしそうでした。おなかが程よくふくらむとクマゴロウがワクワクとフワフワの前にブーケを持っていきました。

「ぼくからのプレゼントだよ。今日のために作ったんだ。良ければ、この日のために用意したぼくらのプレゼントの中で一番気に入ったものを渡した仲間に、これをあげてくれないかな?ブーケを作ったぼくは抜きにしてさ」

とてもかわいらしいブーケでした。バラ、ユリ、ユーチャリス、カラー、真っ白の花々が小さく上手にまとめられていて、そのまわりを緑のアイビーがふんわり包んでいました。とても甘い香りに鼻がとろけそうでした。ワクワクとフワフワは喜んで頷きました。ニャンペーがすかさず言いました。

「プレゼントの一番は俺さ!さあ、みてくれ。宙返りだぞ!」

ニャンペーは高く高くジャンプして、ぐるんぐるん、と回りました。みんなは拍手しましたが、それに続いて、次々と他の仲間たちも自分のプレゼントの猛アピールを始めました。

「わたしの料理が一番よ!」
「わたしの作った衣装で決まりよね!」
「ぼくの馬車だって!」
「何を言い出すんだ!俺さまの宙返りだ」

困ってしまったのはワクワクとフワフワとブーケを渡したクマゴロウでした。

「あわわわ、どうしよう…。こんなつもりじゃなかったんだけどなあ」

ハチミツ酒を持って、クマゴロウがあわあわしていました。その肩にモッチがやってきて、そっと耳打ちしました。

「大丈夫!すぐにおさまるよ」

それからぴょんとプクの肩に飛び乗って、鈴のついた小さなシンバルをふりました。しゃんしゃんと鈴の音が響き、みんなが振り返りました。

「みんな、落ち着いて。今日は楽しい日なんだよ。せーの!」

プクとモッチが互いに合図をしました。モッチの鈴のついた小さなシンバルで伴奏が始まります。プクは胸の前に祈るように手を合わせ、歌い始めました。今日はワクワクとフワフワを思って、もっともっと、やさしい歌になっていました。モッチの伴奏とも息がぴったりです。ぴりぴりしていた場の空気がとたんに変わります。気持ちのいい青空がぐんと近くなり、プクとモッチが仲良く見上げた、あの日の青空と同じような色でした。プクは、はっきりと覚えています。ぷかぷかの白い雲、そよそよとふく風、やわらかな太陽の光り…、すべてのものが包み込んでくれました。それがみんなにも伝わったのでしょうか。気づけば、みんな笑顔になり、体でリズムをとっていました。

「みんなで歌おう!踊ろう!」

プクとモッチは嬉しくなって言いました。みんなは喜んで、隣にいた仲間と手をつないで、輪になりました。ワクワクとフワフワは笑顔でダンスをしながら囁きあいました。

「すてきな音楽ですね」
「わたしたちの好きな音楽ですね」

その音楽が、かれらの笑顔が、森中に伝わったのでしょうか。いつの間に知らない動物たちも集まって踊り出していました。

「いい音楽だね!楽しそうだね!ぼくらも参加していいかい?」
「どうぞ、どうぞ!」
「今日は何か特別な日なのかい?」
「ワクワクとフワフワの結婚式なんだ」
「そうなんだね。おめでとう!」
「おめでとう!」
「おめでとう!」

ワクワクとフワフワはにっこりしました。顔見知りでないものにまで、お祝いされるなんて思ってもみませんでした。驚きと嬉しさが込み上げます。そのとき、美しい新たな音色が近づいてきました。

「見ろ!あれは山の音楽隊だぞ!」

ニャンペーが叫びました。ニャンペーの指差す方向をみると、山の音楽隊の姿があります。ワクワクとフワフワのお気に入りの音楽隊です。かれらがこっちに近づいてきて、いっしょに加わります。アコーディオン、フルート、バイオリン、ギター、大太鼓…、様々な楽器の豊かな音色で、ますます盛り上がっていきます。こんなに楽しそうなみんなをワクワクとフワフワは今までみたことがありませんでした。

「すごいですね」
「音楽はいいですね」

なんだか胸がじんわりとあったかくなって、泣きそうになりました。ワクワクとフワフワはみんなにお礼を言いました。

「ありがとう、みんな!」
「本当にありがとう!」

すると、プクがにっこりしました。

「ありがとうを言わなきゃいけないのは、ぼくらの方だよ」

ワクワクとフワフワは首をかしげました。モッチが後を引き継ぎます。

「君たちがぼくらを笑顔にしているんだよ。ワクワクとフワフワが笑顔でいてくれる。あしたも、あさっても、しあさっても、そのつぎの日も、ずーっとずーっと、君たちが笑顔でいてくれる。いっしょにいてくれる。だから、ぼくらもずーっとずーっと楽しくいられるって、そう思えるんだ」

ワクワクとフワフワはびっくりして仲間たちを見つめました。自分たちの笑顔が、いつの間にか仲間たちを笑顔にしていたなんて…。山の音楽隊のひとりが言いました。

「わたしたちは笑顔のある方に引き寄せられるんです。そのおかげで演奏の旅を続けていけるんですよ。笑顔が笑顔を呼んで、もっともっと大きな笑顔の輪になっていく。波紋のように広がっていくのを知っているから」

ワクワクとフワフワは思いました。これから自分たちは何があっても、いつまでも笑っていよう、と。

「ありがとう!!そして、おめでとう!!」

みんなからいっせいに、もう一度、ワクワクとフワフワは祝福されました。みんなのプレゼントすべてがかれらにとっての一番でした。だから、みんなにブーケをあげたい、と思いました。

ワクワクとフワフワは仲良くブーケをほどいて青空に投げました。白いちょうちょのダンスのように、ブーケは青空を軽やかに舞い、みんなに笑顔を届けました。

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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 安藤裕子「TEXAS」× ガース・ウイリアムズ「しろいうさぎとくろいうさぎ 」★

前回UPしたのと同時進行で仕上げた物語がこれです。せっかくなので続けてUPを。(他のジャンルを待っていた方がいたらすみません)良ければ、比べてみて下さい。ちなみにこれが結果、結婚祝いのプレゼントの絵本になったわけですが、イラスト担当役の友人に「(話が)長いよ!描くの大変だよ」って言われました…。ごめん。だって、しょうがないじゃん。こっちの物語は好きな動物(キャラの名前も含む)や食べ物、プロポーズの秘話とか事前にプレゼントする本人たちに色々きいて、それらを全部入れようと思って作ったんだから。(ちなみに前回の「忘れもの~」は逆に自分の自由に書かせてもらおうと思ってああなってしまい、まあ「ボツ」は自業自得だったわけで)振り返ると、そういう事前設定がきちんとあったのは「森の結婚式」が初だったのかも。…許せ友よ、素敵な絵をありがとう。

① 安藤裕子「TEXAS」
http://www.youtube.com/watch?v=nZFttLiayBQ
こちらもねえやんをききながら、書いてました。この音楽に勇気づけられ、かわいい感じの物語が生まれたのかもしれません。山の音楽隊はこの音楽のイメージでしょうか。PVのねえやんも、とてもかわいくて大好きです。ちなみにタイトルの「TEXAS」は、噂だと「素敵さ」をもじって名付けたんだそう。そんなところもなんかかわいいぞ。

② ガース・ウイリアムズ「しろいうさぎとくろいうさぎ 」
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%97%E3%82%8D%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%95%E3%81%8E%E3%81%A8%E3%81%8F%E3%82%8D%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%95%E3%81%8E-%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%82%91%E4%BD%9C%E7%B5%B5%E6%9C%AC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E2%80%95%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E7%B5%B5%E6%9C%AC-%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%BA/dp/4834000427
私が一番好きな絵本です。すごい影響を受けている気がします。友人の結婚の報告をきくと、これをいつもプレゼントしたくなるんですよね。幸せだけど、ちょっぴり切なくて、そこがまたいいというか。大人向けの絵本と言われているのもわかります。私の物語より断然素敵なので、もし良ければ読んでみて下さい^^


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ある森の中に、深い深い沼がありました。その沼は〈忘れものの沼〉と呼ばれていました。

人間たちが忘れてしまったものがその沼に沈んでいるというのです。沼はたくさんの泥水であふれ、汚く淀み、嫌なにおいがしました。そのため人間たちはその沼に近づこうとはしませんでした。沼には一匹の蛙が暮らしていました。蛙は毎日、忘れものが沼に沈んでいくさまを喜んで眺めていました。

「忘れものがふってくる。たくさんたくさん、ふってくる」

今日も蛙は上手に歌います。ぴょんぴょん嬉しそうにはねて歌っています。

「忘れものがふってくる。たくさんたくさん、さようなら」

やがて木々がざわざわと音をたててゆれ、流れ星がこちらに飛んできました。それから、ちゃぽんっと沼に勢いよく落ちて、底に沈んでいきました。

「やや、今のはパンツだな。誰かのおねしょのパンツだな」

蛙は笑いました。おかしくておかしくて、白いおなかがぷくーっとふくらんでいます。また木々が音をたてて流れ星がこちらに飛んできました。それから、ちゃぽんっと沼に勢いよく落ちて、底に沈んでいきました。

「ややや、今度は指輪だな。きれいなきれいな、指輪だな」

蛙は笑いました。おかしくておかしくて、白いおなかがますますぷくーっとふくらみ、まるで風船のようでした。

「忘れものよ、さようなら。さようなら」

蛙は手を合わせて、目を閉じました。たくさんの忘れものが流れ星になって、沼に落ちていくのです。それを見届けることが、沼に住む蛙の楽しみでした。

そんなある日のことでした。蛙がいつものように沼のそばで嬉しそうに歌っていると、ひとりの少年がやってきました。人間がやってくることは、今までなかったので、蛙はびっくりしました。

「ここは〈忘れものの沼〉かい?」

少年が不安そうに、蛙にたずねました。

「そうだが、お前はだれだ?」

蛙は言いました。人間の子どもでも背丈は蛙より随分と高かったので、のけぞるかたちになりました。

「近くの村からきたんだ。自分の忘れものを探しに、この沼へ」
「ひとりできたのか?」

少年はうなずきました。 

「こわくはなかったのか?」
「こわい?」

少年はきょとんとしました。

「…こわいって、何が?」

少年は不思議そうに問い返しました。人間たちはこの沼も、沼を覆い隠す不気味なこの森も嫌っているはずでした。

「へんなやつがきた」

蛙がそう呟くと、少年は困ったように笑いました。

「この沼には、人間の忘れものが沈んでいるんだろう?」
「そうだが、おまえの忘れものとはなんだ?」
「自分の宝石」

蛙はじーっと少年を見つめました。少年の片目には傷あとがあって、固く閉じられたままでした。

「気づいたときにはこうだった。片目の宝石がない。なぜ、ないのかもわからない。母さんは、ぼくの片目があまりにきれいな宝石だったから、悪いやつらに盗られたといっていた」

人間の目には記憶というものが眠っています。それはとても大切な宝物で、人間たちは目のことを宝石と呼んでいました。

「ふうん」
「母さんはそういうけど、ぼくは違うと思うんだ」
「違うのか?」
「本当はぼくが忘れてしまっただけなんじゃないかって…」

また、蛙はじーっと少年を見つめました。少年のもう片方の目はとてもきれいな青色でした。こんなにきれいな宝石を蛙は見たことありません。だから、同じ色の宝石をむかし見届けたことがあったかどうかも思い出せませんでした。蛙はたずねてみました。

「ひとつだけじゃだめなのかい?」
「え?」
「もう片方、残っている青い宝石があるじゃないか?それだけではだめなのかい?」

少年はため息をつきました。

「違ったら、だめなんだ。みんなと違ったらだめなんだよ」
「どうして、違ったらだめなんだ?違ってても、同じ人間だろう?」
「同じじゃない…」

蛙の問いかけに少年はうつむきました。蛙は困ってしまいました。

「時々わからなくなるんだ」

やがて、震える声で少年は語り始めました。

「ぼくは宝石がひとつ足りないせいで、みんなにからかわれる。いじめられる。みんなと一緒に遊びたいのに、みんなと一緒に笑いたいのに、仲間はずれにされるんだ。そうなると、ぼくはわからなくなってしまう。ぼくはみんなと違う生きものように感じてしまうんだ」
「ふうん。でも、おいらはお前が人間にみえるがなあ。おいらも片目をなくせば、蛙じゃなくなるのかなあ」

そう蛙はつぶやきました。自分の気持ちなんて蛙にはわからないだろう、と少年は思いました。すると、蛙はにやりとしました。

「まあ、この沼に入って探すことは人間には無理だろうな。この泥水では息ができない。…それに、たぶん…気持ちがたえられっこない」

少年は首を振りました。

「そんなことないよ」

そう言ってから、少年は沼に目をやりました。汚い泥水はどこまでも黒く、暗く、広がっています。くさったような嫌なにおいが鼻にこびりつき、気持ちが悪くなりました。なんだか気味の悪い声が聞こえてくるような気がしました。

――ド…ウシテ…ワスレ…タ

少年は急に怖くなって後ずさりました。

「ほら、無理だった」
「なんだ、今の!誰の声なんだい?」
「お前ら、人間の声さ」

蛙はあっさり言いました。

「だって、お前らの忘れものじゃないか」
「忘れものって、こわいものなの?汚いものなの?顔をそむけたくなるような…」

蛙は笑いました。

「さあ?おいらが知っているのは何が沈んでいるかだけだから」
「一体、何が沈んでいるの?」
「最近あったのは何だったけ?おねしょのパンツ、銀の指輪、使い古された色鉛筆、壊れたおもちゃ、引き裂かれたドレス、染みだらけの日記帳、破られた写真、血だらけのナイフ…とかかな」
「何だよ、それ…」

少年は青ざめました。蛙はまた、にやりとしました。

「なあなあ、お前の忘れもの、おいらが探してきてやってもいいぞ」

蛙の意外な言葉に少年は驚きました。

「…そんな悪いよ」
「悪くないぞ。ただ、おいらの頼みもきいてもらうさ」
「頼み?」

少年が聞き返すと、蛙はにやにやしました。

「おいらに、その人間の体をおくれ」
「え?」
「おいら、ここの暮らしにちょっとあきてきてたんだ。人間になれるなら、なってみたい。おいらにはお前の体が人間に見えるもの。いらないなら、おいらにおくれよ」
 
今度は少年がじーっと蛙を見つめました。それから、おかしそうに笑い出しました。
 
「いいよ、ほしいならあげるよ。こんな体でよければね」

蛙はにやりとしました。それを見て、少年もにやりとしました。蛙は嬉しそうに跳ねながら、勢いよく沼に飛び込んでいきました。

 蛙を待つ間、少年はいくつもの流れ星を見ました。こんなに大きな流れ星を少年は間近で見たことがありませんでした。ふだん夜空にきらきら瞬く星は嘘ではないかと思いました。流れ星はぎらぎらとしていて勇ましく、身を振り絞るような轟々という音を立てて、沼に近づいてきます。でも、水面にふれると、ちゃぽんっというむなしい音だけたてて、終わりを告げるのでした。それを見続けていると、少年はとても哀しい気持ちになりました。
やがて蛙が戻ってきました。その顔を見て、少年は肩を落としました。

「なかったんだね」
 
蛙は大きくため息をつきました。
 
「残念だが…」

その姿は少年よりもひどく落ち込んでいるように見えました。つい少年は吹き出してしまいました。
 
「そんなに人間になりたかったんだ」
「ああ」
 
沼からあがった蛙は心底がっかりしました。少年は蛙に近づいて、そばに腰を下ろしました。

「ごめんね」

少年があやまるので、蛙は戸惑いました。

「どうしてお前があやまるんだ?おいらがあやまるところだろう」
「ぼくは内心ほっとしているんだよ。蛙をだますところだったから。ぼくは蛙にきちんと伝えてなかったことがあるんだ」

蛙は少年の顔をのぞき込みました。少年は小さいひざをぎゅっと抱えました。

「ぼくの目に残されたこの青い宝石も、そろそろなくなるんだ。だから、蛙が宝石をみつけてきてくれたところで、二つそろうことは難しいんだ」

蛙は目を見開きました。

「どういうことだ?」
「母さんの言葉を借りれば、また、悪いやつらに盗られるらしい」
「そんなやつらがきても、逃げればいいじゃないか」
「逃げられないんだって。ただ盗られるしかできないんだ」
「盗られたって奪い返せばいいじゃないか?おい、悪いやつらって一体何なんだ?何のことなんだ?」
「そうだね。悪いやつらって一体何だろう?ぼくもわからない。ぼくはね、ぼくがよくわからないんだよ」

蛙はさっぱり理解できませんでした。

「わからないって何だよ!お前、本当はここに何しに来たんだ?」

少年はひざに顔をうずめ、口を閉ざしてしまいました。
途方にくれた蛙は、空を見上げました。空といっても森の木々に覆われていて、見ることはできません。木々はうねるようにどこまでも伸び、空を覆い隠すほどの木の葉を異様に茂らせていました。それはまるで空を拒絶するかのようでした。迎え入れる光は、忘れものである流れ星だけ。もしかしたら、こんなところだから少年はやって来たのかもしれない、と蛙は思いました。

「なあ、流れ星を見ただろう?」

蛙は静かにたずねました。

「お前には、あの星の中身が見えたか?」

少年はひざに顔を埋めたまま、首を横に振りました。

「やっぱり。あれはおいらしか見えないのかもしれない」

蛙は薄く笑ってから、少年に言いました。

「あれが人間の忘れものだ。忘れものが流れ星になって、この沼に落ちてくる。沼に落ちる瞬間に、流れ星はおいらにその姿をちょっと見せてくれるんだ。どうして忘れられたかとか、そこまではおいらにわからない。でも、想像することはできる。たぶんどこかに捨てられたものなんだろう」 

蛙は少年にあやまりました。
 
「ごめんな。おいらもお前にきちんと言わなかった。チャンスがあるなら、どうしても、人間になりたかったんだ。だって、おいらもむかし人間だったから」
 
少年は顔をあげ、蛙を見つめました。蛙のぬるぬるとした鈍い緑色の肌は不快にてかり、なんともグロテスクで、人間の面影はどこにもありませんでした。
 
「お前ぐらいのときに川に捨てられたんだ。そして、流れ星になってこの沼に落ちた。おいらは必死だった。忘れられたくなかったから。死にたくなかったから。生きたいって、あがいてあがいて、気づいたら蛙になって沼の上に浮いてた」

少年は何も言えませんでした。蛙は続けました。

「それからおいらはずっとここにいる。おいらみたいに落ちてくる忘れものを見届けてやっているんだ。忘れものは、誰にも見届けてもらえない。忘れられて、死んでしまって終わり。そんなの哀しすぎるだろう?だから、おいらが笑ってさようならを言ってやってるんだ」

少年は流れ星が沈んでいったときの自分の気持ちを思い出しました。蛙は一体いくつの星をどんな思いで見届けたのか…、そのことを考えると、もっと哀しくなりました。

「…ねえ、君の人間の体はこの沼にしずんでいるの?」

いきなり少年が口をあけたので、蛙は驚きました。
 
「え?ああ、たぶんな」
 
少年は立ち上がって、沼の方に向かっていきました。
 
「どうしたんだ?」
 
蛙は少年を呼び止めましたが、少年はどんどん沼に近づいていきます。
 
「おい!」

少年の様子がおかしくて、慌てて蛙は追いかけました。

「君の人間の体を見つけにいくんだ」
「え?」
「自分の本当の体が沈んだままなんてだめだよ」
「探したけど、見つけられなかったんだ」
「蛙じゃ見つけられないだけなのかもしれない」
「もしかしたら、蛙になったときに消滅したのかも…」
「でも、違う誰かだったら、見つけられるかもしれないじゃないか」
「…待てよ。この沼はお前じゃ無理だ。死ぬかもしれないんだぞ!」

沼の目の前で、急に少年は立ち止まりました。

「どうしても生きたいって思えば、蛙になってでも生き延びるんだろう?そのときは喜んで蛙になるよ」
「何を言ってるんだ、お前は!」

わけがわからなくて、蛙は声を荒げました。少年は蛙にまっすぐ向き直りました。

「不思議だね。自分のためには怯んで沼に入れなかったくせに、誰かのためなら、ちっともこわくないんだ。平気なんだよ」

少年はにやりとして、それから勢いよく沼にもぐっていきました。

蛙は沼の前で立ち尽くしていました。目の前で起こったことが信じられず、ただぼんやりと思い返していました。
 
「本当にへんなやつだった」
 
蛙はひとり呟きました。

「死ぬかもしれないのに…。もしかしたら、死ぬ理由がほしかったのかな?」

でも、最後に見た少年の顔を思い出して、その考えを消し去りました。あの目は決して投げやりではありませんでした。

「へんなやつだ。本当に…本当に…」

蛙はこの沼でただ忘れものを見届けていたわけではありませんでした。本当は人を待っていたのです。自分を忘れてしまった、捨てていった人間を。ずっとずっと待っていたのです。思い出して、迎えに来てくれることを願って待っていたのです。でも、その人は来ることはなく、かわりに少年がやってきました。

見かけは弱々しかった少年が、蛙のために沼に飛び込んでいったのです。胸の中で湧きあがるものを蛙は抑えることができませんでした。気づいたときには、しゃくりあげていました。目から見たことのない雫が流れ出たと思ったら、もうとまらなくなっていました。蛙は大声で泣き出しました。あまりにも大きな声だったので、自分の体がそのせいでやぶれるかと思いました。でも、とまりません。とめ方を知らないのです。蛙は今まで泣いたことがありませんでした。思い切り力の続く限り、泣いていました。

蛙の泣き声に反響したのか森の木々が突然大きく揺れ、地鳴りが始まりした。沼が上下に浮き沈み、盛り上がってきた沼の泥が勢いよくあふれ出ました。泥水が激しく流れ出る中でも、蛙は泣き続けました。しばらくして、流されてくる少年を見つけました。意識はなく、ぐったりとしていました。蛙は少年を引き寄せ、小さい体でしっかりとつかまえました。

そのとき、青い光りがその先に見えました。それは少年と同じ青い宝石でした。蛙はせいいっぱい手を伸ばしました。宝石をどうしても少年に渡したかったのです。泥の渦にうでがまきこまれ、ちぎれそうでした。でも、蛙は必死に手を伸ばしました。その手がようやく宝石に触れたと思ったら、まばゆい光りに目がくらんで意識が遠くなり、蛙はもうなにもわからなくなりました。
 
少年は目を開けました。ぬかるんだ土の上に少年は放り出されていました。すでに泥は引いていて、沼のあった場所には深い深い穴が空いているだけでした。しびれていて、体の感覚がまだありません。でも、誰かがそばにいるという気配だけは強く感じられ、目を凝らしました。少年は知らない少女に守られるように、抱きしめられていました。腰のあたりまである少女の黒髪は泥水のせいで、鈍い緑色にところどころ不快に光っていました。それはどこかで見たことがありました。
 
「…蛙…?」

もしかしたら、蛙は自分が女の子だったことを忘れていたのかもしれません。少年は弱々しく笑い、かすれた声で少女にたずねましたが、返事はありませんでした。少女の白くて細いうでにはいくつものひどいあざがありました。少年が身動きをすると、それがだらりとたれて、少女の首も後ろにがくんと奇妙に下がりました。息がありませんでした。

「…蛙?」

かすれた声でもう一度だけ呼びました。返事はありません。少年は身動きをし、少女の体を揺すって目覚めさせようとしました。でも、ぴくりとも動きません。少年は静かに泣いていました。声も出さず、ただ涙だけがこぼれていきました。

やがて、木々がゆっくりと風に揺れて、木の葉がぽたぽたと音を立てると、雨が降り始めました。透明な雨でした。空を覆っていたはずの木々がきらきらと濡れていました。少年は顔を上げ、目を閉じました。蛙のことだけを思っていました。それから、動かなくなっている冷たい少女の体をぎゅっと抱きしめました。ただ泣き続けました。
 
――忘れものがふってくる。たくさんたくさん、ふってくる
――忘れものがふってくる。たくさんたくさん、さようなら

どこかできいたことがあるような声がして少年は目を開けました。木漏れ日からあたたかな陽射しがもれていました。太陽の光りが森を照らしていたのです。少年が眩しさに目をしばたくと、ふと柔らかなものが少年の顔にふれました。小さい赤ん坊の手でした。ほっぺたがふっくらとした、かわいらしい赤ん坊です。少年が目をぱちくりさせていると、赤ん坊はにやりと笑いました。

「…もしかして、蛙…なの?」
 
少年はたずねました。赤ん坊はきゃっきゃっと笑うだけでした。少年はじーっと赤ん坊の顔をみつめました。それから、あっ、と声を上げました。
 
「その目…」

赤ん坊の目は左右色違いの宝石だったのです。緑がかった黒い宝石と見覚えのあるきれいな青い宝石―。

「蛙が見つけてくれたの…?」

少年はなんだか胸がいっぱいになって、それからおかしくなって、笑いだしました。赤ん坊はきょとんとしています。教えてあげたくて、鏡はないかと周りを見渡すと、沼のあった場所がこんこんと透明な水が湧き出る泉になっていました。少年は駆け寄り、水鏡に赤ん坊を映しました。赤ん坊は自分の宝石にとても驚いてから、少年を心配そうに見つめました。少年はにやりと笑って言いました。

「いいんだ。これがぼくの本当に欲しかったものだから」

その言葉を聞くと赤ん坊もまたにやりとして、少年のほっぺたをいたずらっぽくつねりました。じんじんとした痛みが優しく広がりました。

泉には自分の忘れものを大切な誰かの手によって取り戻し、さようならをしたふたりの姿が静かにきらめいていました。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 安藤裕子「忘れものの森」× オスカーワイルド「幸福な王子」★

前作の書き直しのため、次作UPが遅れそうだったので昔かいたものですが良かったら。実はこれ友人の結婚祝いに絵本を手作りプレゼントしようとして用意した1つの物語でした。2作思いついて、同時進行で書いてたんですけど、暗めのお話のため、こちらは「ボツ」になったという…日の目を見なかった物語なんです。確かにこれはまずいって今はよくわかりますが、書いた当初は「ボツ」と聞いて涙目でした。私は2作仕上げる気満々だったから。編集やイラスト担当役をかってくれた友人たちが全力で阻止してくれて…。でも、本当に良かった。渡さなくて。書き終わると達成感で感覚が麻痺するというか、客観的に見れなくなるというか…よくないですね。ちなみにもう1作はハッピーな物語で無事友人の手に渡り、喜んでくれました。生まれた赤ちゃんに読んでくれるそうです。いい友人に恵まれました、本当に。そっちも近々UPできたらしようかなと思います。

① 安藤裕子「忘れものの森」
http://www.youtube.com/watch?v=OW0hskNZSQQ
永作博美さんの月桂冠のCM
http://www.youtube.com/watch?v=i1Qn5nNBcsA
昔、永作博美さんの月桂冠のCMで出会い、ねえやんこと安藤裕子さんの声の虜になりました。気怠いような、涼やかなような、甘いような、凛としてるような…つかめない声。私の中で「風鈴」のイメージ。ノスタルジックというか。とても魅力的な人(しかも、べっぴんさん!)。余談ですが、悩み相談を昔メールで送ったら、ブログで返事をくれて。それも真剣にこたえてくれてて感動しました。ねえやん、なんてカッコいいの!彼女の音楽のおかげで、たくさんの物語が生まれました。もしかしたら、私の物語に出てくるヒロイン像は彼女のイメージが多いのかもしれません。

② オスカーワイルド「幸福な王子」
http://www.amazon.co.jp/%E5%B9%B8%E3%81%9B%E3%81%AA%E7%8E%8B%E5%AD%90-%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%89/dp/4898151663
佐野洋子「100万回生きたねこ」
http://www.amazon.co.jp/dp/4061272748
オスカーワイルド作品好きです。色違いの目という設定が私の物語の中では頻繁に登場しているようで、たぶんこれの影響を受けてたのかな。でも、いまだに「幸福の王子」か「幸福な王子」かわからなくなりますが…。心にグッとくる感じ、胸に迫る感じのものが彼の作品には多く、時代や国が違っても響いてくるというか。まさか美しい刺繍アートを作る清川あさみさんとコラボするなんて…企画を考えた方、素敵すぎます!
もしかしたら泣く場面は、佐野洋子「100万回生きたねこ」の影響かな。大好きな絵本です。
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