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【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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最近、続編ばかりでショートショートをあまり書けてません!なので、しばらくの間こちらをトップ記事に。良ければ、今宵はじめての方には1001夜本番前の前夜祭のような気分で、馴染みの常連さんには懐かしい1001夜同窓会のような気分で、こちらのショートショートをお楽しみ下さい。訪れたすべての方々に感謝を込めて。 

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↓↓【第1夜】 千一夜の幕開け ジャンル:ファンタジー 2013/06/16 05:18UP↓↓
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人の記憶とは残酷だ。

あんなに愛していた王妃の顔が日に日に遠のいて、何もつかめなくなってきている。今、私が言えるのは王妃のイメージでしかない女の姿だ。

その女は人目を引く華やいだ笑顔で私を見つめている。愛しそうに細める目は、明るい黒色。少し低めの鼻は小生意気そうだが、小さな唇と密かに合っていて可愛らしい。長く艶やかな黒い髪。小麦色の肌。そして、そのぬくもり。心臓の鼓動…。

全てはイメージ。とらわれの感覚でしかない。自信がない。これが私の唯一愛した女だったという証拠がどこにある?しかし、確かに少し前まで王妃は私の側にいたのだ。いたに違いないのだ。

息苦しくなる。
なぜ王妃は私のもとから、いなくなってしまったのだろう?こんなに大きく、がらんとした城と私を残して。苦しみと哀しみだけを残して…。

会いたい。
ただ、会いたいのだ。それが叶わないから、余計に会いたいと願ってしまうのだ。

天にいるはずの彼女に訴える。
私を救えるのは王妃、お前だけだったではないか。そこから眺めてないで、私の前に幻でもいい。姿を現してくれ…。

その時だった。
真っ暗だったはずの私の部屋に不意に光りがもれてきた。どこからだと思って振り返ると、扉が少しずつ開いていて、人影があるのがわかった。

「…王妃…?」

声が震える。これは幻なのだろうか?

「いいえ、王様。私は王妃様ではございません。ただの女にございます」

その声色は確かに王妃のものではなかった。私はしばし絶望に打ちひしがれたが、一瞬でも惑わせたこの女に腹が立ち、

「帰れ!ここはお前などの来るところではない!」

と、冷たく言い放った。それなのに女は何も動じてはいないようだった。

「私は、あやしい者ではありません」

きっぱりとした物言いに、どこか王妃に似た意志の強さを感じた。

「王様にお会いするために参りました。生前、王妃様には大変お世話になって―」

しかし、夜目でとらえた彼女の姿は、王妃とは全く違う印象を受けた。
ただ清らかに微笑む顔。穏やかな物腰。全てを受け入れて包み込む聖母のような佇まいだった。

「王様に差し上げたいものがあるのです」
「…差し上げたいもの?」

女はゆっくりと近づき、その吸い込むような瞳で私をとらえた。

「物語にございます」

何を言い出すかと思えば、と私は鼻で笑った。すると、女は静かに笑い、こう告げたのだ。

「ただの物語ではございません。王妃様が愛する方のために残された物語にございます」

今度は笑うなんて芸当ができなかった。私は言葉を失って、女を見つめ返すことしかできなかったのだ。そんな私に対して、彼女はどこまでも優しかった。

「驚くのも無理のないことですわ。王妃様はご自分の命がそう長くないことを知っておられました。そこで、私のもとをたずねられたのです。頼みがあると―」

私はただ彼女の言葉を待った。

「愛する王に残しておきたいものがある―、と。でも、それは形を成すものではなかったのです。ただ、心にかすかな余韻として残るだけのもの…」
「それが?」
「物語にございます」

王妃よ、お前は私を一人おいていったわけではなかったのか…?

私は狼狽した。王妃は私に何も言い残さなかった。ただ静かに自分の死を受け入れて息を引き取ったのだ。私は深く息を吐き、冷静さを取り戻してから、彼女に席をすすめた。しかし、彼女はその場から動こうとはせず、こう切り出した。

「一つ、お願いがございます。私が話すのと同じように、王様にも何か物語を話していただきたいのです」

私は理解できずに首を傾けていると、彼女は微笑んで、私に打ち明けてくれた。

「私の家には古くから伝わる言い伝えがあるのです。一夜ごとに一話、互いが順に物語を語っていく…。それを千一夜、続けることができれば、千一夜目には奇跡が起きるというのです」
「…奇跡?」
「はい。私は以前からこの言い伝えが本当なのかどうかを確かめてみたかったのです。一緒に挑戦してみてはいただけないでしょうか?」

彼女の瞳は笑ってはいたが、真剣さが伝わってきた。今になって突然、私は全ての意図を解したのだった。そして、つい声を立てて笑ってしまった。

「やっと笑顔を見せてくださいましたね」

そんな私を見て、彼女は安堵したようだった。

「面白い女よ。名はなんと?」
「シエラザートにございます」

シエラザートは微笑みながら、軽く挑むように私を見た。私は観念して、彼女に告げていた。

「シエラザートよ、それではともに千一夜、語ってみせようではないか。そして、奇跡とやらをみてみよう」

私は彼女を席まで招くと、使いの者を呼んであることを言いつけた。シエラザートは不思議そうに私を見つめていた。

「おいしい葡萄酒がある。こんな夜にうってつけのな」

そんな私に彼女は可笑しそうに笑った。

「王様は余裕でいらっしゃいますね。一つ大事なことを言い忘れておりました。物語は必ず面白いこと、それが条件です」

今度は私が挑むように彼女を見る番だった。彼女もそう返してきたが、やがて、ゆっくりとその口元をゆるませた。私の中で、長い間忘れていたあたたかなものが広がっていく。

きっと王妃はわかっていたのだろう。一人取り残された私が哀しみに暮れることを。だから、彼女を寄越したのだ。誰かと話すことで気が紛れるように。一人で苦しまないように―。

ふと開け放った窓から見える天を眺めた。確かに天は高いかもしれないが、そう遠くもないはずだ。
視線を下ろすと、心配そうにこちらを見つめるシエラザートがいた。

「…始めるか」

その言葉を口にすると、次の瞬間、彼女は花開くような美しい微笑を見せてくれた。

それから、私たちはこの千一夜の幕開けにふさわしい一夜目の物語を始めた。




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★2015/6/16
物語ブログ『1001夜ショートショート』開設・祝2周年となりました。これも応援して下さったみなさまのおかげです。本当にありがとうございます。マイペース更新ですが、これからも『1001夜ショートショート』をよろしくお願いいたします^^

最終更新(2015/06/28)
予約投稿の関係でアルファポリス様の方が若干更新が早くなっています(一日ほど)。お急ぎの方はアルファポリス様をチェックしてみて下さいね。申し訳ありません。
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↓↓ 【第246夜】 幽玄躰(ゆうげんたい) ↓↓
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その墨を含んだ筆は人々の穢れを祓う。

男の書く文字は“守(しゅ)”となるのか、それとも“呪(しゅ)”となるのか―。

「救いになれば、どちらでも構わない」と誰かが言った。

   *

訪れた山間の里は濃い霧に覆われていた。

「お待ちしていました、僧侶様」

正確に言うと、私は寺に籍をおく僧侶ではない。しがない流れ者に過ぎない。もしかしたら、山伏というものに近いのだろうか。奇妙な力をもつ私を仏門は決して認めなかった。しかし、そんな肩書きなどここの者たちには関係ないだろう。

「助けて下さい」

苦しみから救われれば、私が何者であってもいい。誰であっても構わない。

「どうか娘を助けて下さい」

それは私自身にとっての救いでもあった。

「いったい、どうしたんですか?」

今日も私は人々の希望の光りになるべく、彼らに手をのばす。

   *

「翠(スイ)という里娘の様子がおかしいんです」

里の者の話によると、翠(スイ)という娘がここ最近、夜中に勝手に出歩くようになってしまったという。別に里の男と恋仲になり、こっそり会いに行っているわけではない。翌朝、問い詰めても本人は何も覚えていなかった。出歩いたという記憶すらない。心配した両親が夜中に彼女の後をつけると…。

「娘は得体のしれない者と一緒にいたんです」
「得体のしれない者?」
「…獣の形を装った白い影、のようなものでした」

白い影…?

「…僧侶様、物の怪や怨霊のたぐいでしょうか?」
「娘に会うことはできますか?」

両親に案内さた家に娘がいた。翠(スイ)は瓜実顔の美しい娘だった。

「里の者の前では言えなかったのですが、最近、翠には痣のようなものができてしまいまして…」

両親がそう言うと、娘は恥じることもなく、無表情で腰の帯をゆるめた。着物が床にさっと落ちる。全身にまだらのような痛々しい赤い痣があった。しかし、不思議なことに左の胸だけは無傷だった。

「痛みはありません。ただ全身に痣があるだけ」

娘の声は落ち着いていた。

「僧侶様、これはいったい何なのでしょう…?」

娘よりも両親の方が不安そうだった。私は彼らを安心させるように微笑んだ。

「その白い影…得体のしれない者は、娘さんの命を今晩、奪いに来るかもしれません。左の胸だけ無傷なのはその証拠。間に合って良かった。今、文字を書きましょう。ご存知かと思いますが、私の文字には力がありますので」

背負っていた行李(こうり)を下ろし、その中から硯(すずり)と筆を取り出した。

「父さん、母さん。悪いけど、僧侶様とふたりにさせて」

娘が言った。その言葉に両親は顔を見合わせる。それから私を見、頷くと部屋を出た。

「ごめんなさい。うちの両親は大げさなんです」

娘の声は、やはり落ち着いていた。

「一人娘と聞いたよ。そりゃ、心配だろうさ」

静かに墨をする。黒い液体が、じゅわりと生まれる。

「違うんです。この里で一番の金持ちに嫁ぐことが決まっていて、それが破談になりそうで慌ててるの」

私は筆を持ち、その先を墨につけた。じゅわり、と筆先が闇色に染まっていく。

「それが嫌で、お前は白い影…鬼に自分の躰(からだ)をうったのか…?」

私の言葉に娘はふっと笑った。

「さすが僧侶様、お見通しなんですね。あの白い影の正体は鬼。ある晩、あれがあたしに声をかけてきた。望みを叶えてやるから、躰をうれといって。どうせ無理やり嫁がされるのだもの。誰にこの身をくれてやっても同じ。だから毎晩、鬼に会いに行きました。今日は腕、今日は足、という具合に…躰をうったの」
「最後に命を残してか…?最初から鬼はお前の命を狙っていた。そのことはわかっていただろうに」
「それでも、よかった」

どこかあきらめた表情の娘に私は聞いてみた。

「望みは叶ったのか?」

娘はうっとりするような微笑を見せる。

「ええ、僧侶様が来てくれたもの。あなたが、あたしを救ってくれるんでしょう?」

私は言った。

「私の書く文字は“守(しゅ)”となるのか、それとも“呪(しゅ)”となるのか―。わからんぞ?」
「救いになれば、どちらでも構わない」

と、娘が言った。

「わかった」

私は娘にふれた。無傷の左の胸に筆を下ろす。娘が小さな悲鳴をもらした。

「たえろ。今までの心の痛みに比べれば、大した痛みではないだろう?」
「ええ。…でも、意識が遠のきそう。あたしの名前を呼んで下さい、僧侶様…」

私はそっと囁いた。

「翠(スイ)」

娘は苦痛に顔を歪めていたが、どこか幸福そうに見えた。

   *

その晩、鬼が来た。

― 娘がいない ―

白い影はひたすら娘を探していた。しかし娘の姿は今、私の文字の力で鬼には見えないものになっている。

― 娘よ、どこに行った? ―

「娘はお前のものではない」

私がそう言うと、鬼は激高した。

― 異形の者の仕業か!娘をどこに隠した!? ―

「鬼に異形と言われるとは。笑わせてくれる。もう一度言うぞ。娘はお前のものではない」

― なんだと!? ―

「娘…翠の命は、彼女自身のものだからだ」

私の書く文字は“守(しゅ)”となるのか、それとも“呪(しゅ)”となるのか―。翠の胸に記したのは、“私のもの”という文字。

― 異形の者め!覚えていろ ―

やがて夜が明け、鬼は消えた。

   *

昨日までの霧が晴れ、日の光りに包まれた里は活気を戻しつつあった。

「僧侶様。里の娘を救って下さり、ありがとうございました」

娘の痛々しい痣はすっかり消えていた。左の胸にだけ私の書いた文字がまだ残されているが、鬼が彼女の元に訪れることはもうない。徐々にそれも薄れていくだろう。

「すみません。翠のやつ、姿を見せなくて。僧侶様に挨拶をしろと言ったんですけど…」
「気になさらずに。それでは、私はこれで」

人々と別れ、里を後にする。すると、山道に出たところで、先回りをしていたのか娘が待っていた。

「僧侶様、もう行ってしまうんですか?」
「お前はもう大丈夫だ。安心して、自分のこれからことを考えるといい」
「このままここにいても金持ちのところに嫁ぐだけなのに?」

私は笑った。

「お前はもう子供ではないだろう?」
「え?」
「強い生命力で、鬼にも勝てたのだから」

それを聞いて、娘もおかしそうに笑った。

「そうですね。でも、僧侶様があたしに書いた文字がまだ胸に残ってるわ。あれはいただけない」

私が首をひねると、娘は怒ったように腰に手をあてた。

「僧侶様が書いた“私のもの”という字…あれではまるで“あたしは僧侶様のもの”って意味みたいでしょう?」

私の書く文字は“守(しゅ)”となるのか、それとも“呪(しゅ)”となるのか―。

「翠という娘の命はもう僧侶様のものなのに。そんなあたしを置いて行く気ですか?」
「仏門に見放され、鬼にまで異形の者と罵られた私だぞ?それでもついて来れるのか?」

娘が私に飛びついた。

「大丈夫。あたしは強い生命力の持ち主らしいわ」
「やれやれ。とんだじゃじゃ馬…いや、おてんば娘だな」

しっかり抱きとめると、彼女は私に笑顔を向けた。

「ひどい言い草。でもあなたの救いになれば、どちらでも構わない」と翠が言った。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 漆原友紀『蟲師』 × 小泉八雲『耳なし芳一』 ★

『蟲師(むしし)』のアニメが素晴らしくて、その世界観に似た物語が描けないものかと思っていたら、今回の物語のタイトルがなんとなく浮かんできました。(調べたら、元々「幽玄体」って和歌などの歌体なのだそう。その「体」の字をなんとなく「躰」で置き換えたら、声が生まれ、いつの間にかこんな物語に…)体に文字を書くなんて『蟲師』より、なぜか小泉八雲の『耳なし芳一』っぽくなってしまったような…。

① 漆原友紀『蟲師』
この総集編、良ければぜひ!本編みたくなりますよ。
http://nicotter.net/watch/sm4447492
誰かが言ってたけど、確かにこの物語が「日本昔話」でもいいかもしれない。
本編https://www.youtube.com/watch?v=UiZEGolYP0g&list=PLQh9jj6F4ecDsPDO7x86V9Yf8VY0V4sYg
本編続章https://www.youtube.com/watch?v=g-7OexTRYbg&list=PLaIQLmYfp3nk62kbXsPUrh0GXstyrGtHJ

② 蟲師Soundtrack『蟲音』
作り手も演じ手も素晴らしい映像化作品でしたが、音楽が「蟲師」の世界観に物凄く貢献していたのではないでしょうか。これを聞きながら今回の物語を書きました。
【作業用BGM】 蟲師 Sound track 1 (蟲音 前)
http://nico.ayakaze.com/player/sm/sm2515295
【作業用BGM】 蟲師 Sound Track 2 (蟲音 後)
http://nico.ayakaze.com/player/sm/sm2809974

③ 小泉八雲『耳なし芳一』
http://www.amazon.co.jp/%E8%80%B3%E3%81%AA%E3%81%97%E8%8A%B3%E4%B8%80-%E5%B0%8F%E6%B3%89-%E5%85%AB%E9%9B%B2/dp/4097278525
私のトラウマ怪談。小学生の頃、図書室で読んだ時の恐怖は呪い級でした…。でも、自分の中で今回物語の元ネタになってくれたっぽいから少しは克服できたのかな。

こちらの物語は後に続編化になりました。詳細は下記
★幽玄躰(R18)
内容:「ある晩、あれがあたしに声をかけてきました。望みを叶えてやるから、躰をうれといって。どうせ無理やり嫁がされるのだもの。誰にこの身をくれてやっても同じ。だから毎晩、鬼に会いに行ったんです。今日は腕、今日は足、という具合に…躰をうったの」その墨を含んだ筆は人々の穢れを祓う。男の書く文字は“守(しゅ)”となるのか、それとも“呪(じゅ)”となるのか―。
影響を受けた作品は小泉八雲「耳なし芳一」、漆原友紀「蟲師」など*聞いてた音楽*蟲師サウンドトラック『蟲音』(長編/和風/ファンタジー/R18)
アルファポリス様http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/725037229/


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「あと4分で世界が終わっちまうんだって」

見ず知らずの男にいきなり声をかけられた。

は?

「だから、あと4分で世界が終わっちまうんだって!」

…へえ、そうなんですか。そうですか…。ていうか、あんた誰!?

「俺がわかんないのかよ?」

見た目、ちょっと怖そうな人。う~ん、記憶になさそう。新手の勧誘か何か…?

「まじか~」

男はショックだったのか頭を抱えて、しゃがみこんだ。でも、グッと顔を上げて立ち上がる。

「俺はお前に会いに来たんだよ!」

え?

「残り4分!お前のしたいことをしろ!」

…そう言われてもなあ。緊急地震速報よりキツイですよ、それ。

「うわ、もうあと3分しかねえじゃん!」

…わー、あっという間だねえ。

「何のんきにしてんだよ!お前はねえの?何かしたいこと」

…いきなりすぎて、思いつかないなあ。

「あと3分の命だぞ?」

カップラーメンの世界に突入しちゃったねえ。 そう言えば、安藤百福(あんどう ももふく)さんって偉大だよねえ。

「…お前なあ。確かにカップラーメンの開発者は偉大だけど、こんな時に思い出すのやめて…。うわ、あと2分!!いや、2分きってる!!」

特に何かしたいとか思いつかないなあ。ところで、あんたは私に会いにきて、それで終わりでいいの?

「俺?俺はお前のやりたいことを叶えに来たんだよ。でも、することねえし。意味ねえし。もう1分もねえし」

そっか。悪いことをしちゃったね。でも、意味なくはないんじゃない?

「は?」

最後の時間を私にくれたんでしょう?

「…そうだけど」

ありがとう。

「…俺が誰かも知らないくせに」

そうだね。

「…世界が終わっちまう理由も知らないくせに」

それはこれから知れるじゃない。

「なんでそう余裕なの?つまらないんだけど…はい、いつの間にか残り10秒きりました」





最後の時間をありがとう、ノストラダムス。



男が私を見つめるのがわかった。



私の記憶の中で、世界の終わりって大騒ぎするの、その人くらいなんだよね。



「今度の予言は当たるから恨んでいいぞ」



恨まないから、私のしたいことを叶えて。やっと思いついたんだ。



男は頷き、私は笑って手を伸ばした。



手をつないで。 

1

一緒に世界の終わりを見届けて。



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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ くるり 『ワールズエンド・スーパーノヴァ』 × ドラマ『世紀末の詩』 ★

なんか数の埋め合わせて的な物語になってしまいました…。タイトルは聞いてた音楽より。200までのこり50!

① くるり 『ワールズエンド・スーパーノヴァ』
彼らの中で一番好きな曲。 
http://nicoviewer.net/sm10908269

② ドラマ『世紀末の詩』
あることをきっかけに社会からあぶれてしまった男二人と謎の女の子。一緒に暮らす中で、様々な人と出会い、愛とは何かを問う1話完結の哲学系?ドラマ。特に山崎努さん演じる教授が好きでした。BD売ってないんですよねっていうか、UPしてるYouTube凄すぎ…。
今回の物語の影響をうけたのはたぶんこれ。第9話「僕の名前を当てて」
https://www.youtube.com/watch?v=HBuHU5eFbKY
個人的に、好きな回は以下。
第2話「パンドラの箱」
https://www.youtube.com/watch?v=684kHloFrDQ&list=PL8D9AFE35DA6E8DBC&index=1
第4話「星の王子さま」
https://www.youtube.com/watch?v=UCpx_A_Qkyg&list=PL8D9AFE35DA6E8DBC&index=24
第7話「恋するコッペパン」
https://www.youtube.com/watch?v=JQL8w3xSDjY
第10話 「20年間待った女」
http://www.pideo.net/video/pandora/0a548a8111046760/

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最近の福(ふく)ちゃんの悩みをあなたはご存知?

ほら、彼もいい年ですからね。三十路目前と言うから、まわりの友人たちはものすごい結婚ラッシュで、さあ、大変!ご祝儀と言う名の大出費に、友人代表の感動のお言葉。いい加減、財布も祝辞も尽きるってもんです。

福ちゃんも色々と愚痴りたくなりますよ。

…俺、ご祝儀分、いつか取り戻せるのかな? とか。
…う~ん、友人って言うほど仲良かったか、俺たちは…?とか、ね。

なのに態度に出さず、にこやかにスマートに物事をこなす彼。
なかなかの男前だと思いません?

福ちゃんこと、福山治雅(ふくやま はるまさ)くんは見た目も悪くないですし、背丈もあります。学生時代は空手部主将をつとめました。人徳も責任感もあってみんなに頼られる存在。外見や性格は申し分ないんですけどね。

…彼、ダメなんですよ。あれが、ないの。

自分でもようやくそのことに気付いたようで、私のところに毎日通うようになったんです。

…お賽銭やお供え物を持ってね。

あら、やだ。 ご挨拶がおくれましたね。 私、“神”と申します。

福ちゃんが毎日通う、神社の神様です。これでも恋愛成就の神様をやっているんですよ。ここまで言えば、福ちゃんの悩みもなんとなくわかるでしょう?

「…俺、女運がないんでしょうか、神様?いいかげん、嫁がほしいです!」

もう福ちゃんったら、彼女を通り越して、嫁が欲しいだなんて、切羽詰まった気持ちがありありと伝わってきますね。私もいい男に毎日通われて悪い気はしませんから、御利益と言う名の神様パワーを使いたくなったり、なかったり…。

でもね、毎日彼を見ていてね。私も女運がないの、よくわかりました。
こう言っちゃなんですけど、福ちゃんもいけないと思うんですよ。

実は彼のもとに嫁候補というか女性はけっこう現れているのに、福ちゃんはどれもこれも逃してしまうんです…。ある一言のせいで。その話をしようじゃないですか。

福ちゃんは漁港のある田舎街に住んでいます。早朝、役場の仕事に行く前、ランニングをするのが彼の日課。そのコースに私の住んでいる神社があって、途中休みがてら、いつも寄ってくれるんですね。(その時に、お賽銭とお供え物をガッチリgetです!)

ある朝、彼が海辺を走っている時のこと、一人の若い女性がふらふらと海に入っていくじゃないですか!(実はこの海、自殺の名所という噂あり)。福ちゃんは正義感の強い男ですから、彼女を助けたわけです。

彼女は無事でした。特に大きな怪我もなく。でもね、心がね。失恋の痛手をおってましてね。福ちゃんは優しいですから、彼女の話を親身になって聞いてあげました。

彼女は妻子ある人と深い仲になっていたそうです。でも、一緒になれないことで苦しんでいましてね。お腹には子供もいるのに誰にも相談できないし、どうしていいかわからなくて、気付いたら海にいたらしいんです。

そんな彼女に、福ちゃんは言いました。

「相手の男ときちんと話した方がいい。一人で抱え込む問題じゃないから。もし、もう一度海に行くしか道がなかったら…」

もし、もう一度海に行くしか道がなかったら…?

『 俺のところに嫁に来ればいい 』

男前きちゃったよ、コレ!男も女も惚れちゃうよ、そんなん言われたら!!ってみなさん思うかもしれません。きいた女性なんてもうイチコロって。…う~ん。それ、女心を、女性を、ちょっと甘く見てますから。

これをきいて、彼女は自分の愚かさに気付きました。

自分は何をやっているんだろう。見ず知らずの男にそんな優しい言葉をかけてもらうなんて…。嘘でも、その言葉に大きく救われた。よく考えてみると、この優しい男と不倫相手は人間的に雲泥の差。そんな相手と付き合っていた自分が恥ずかしい。あんな男、あてにならない。お腹の子は私が守らなきゃ!

もう戦闘モード&母性スウィッチが入ってしまって、なんなら一人で生きていく覚悟もできてたりして、しっかり立ち直って帰ってしまうんです。女は強し!ですね。

福ちゃんと言えば、実は本気でプロポーズをしたつもりだったのに、女性は颯爽と帰ってしまうじゃないですか。後で失恋していたのは自分だったのか…!?と苦笑するわけです。まあ、傷ついた女性が元気になったのなら、まあ、いいか…とも思うんでしょうけど、優しいですからね。

そんな失恋の痛手を負った女性がこの海にはよく来るんです。そして…。

福ちゃんが女性を助ける。
  ↓
福ちゃんが女性にプロポーズまがいのこと言う。
  ↓
女性はなんだか強くなって帰っていく。
  ↓
福ちゃん、失恋!
  ↓
ダメじゃん!

その繰り返し。

男前過ぎてもダメなんですよね、彼がそのいい例です。一見モテそうなのに、いい人どまりで終わってしまう不憫な男。負のオーラがやんわりと見え隠れしていてね。なんとなく残念な霊でもついてそうな…。

まあ、私的にはそこが可愛いんですけどね。街の住人もそうらしく、福ちゃんのおかげで海での自殺者が減り、福ちゃんにプロポーズされると恋愛のご利益があるという謎の噂まで広がって、新たな街の観光スポットとなりつつあります。知らぬは本人ばかりなり、です。

福ちゃん、ごめんなさいね。あなたの恋愛もそのうち、私が叶えるつもりですよ。

でもね、もう少しだけあなたを眺めていたいなあって思うんです。優しくて、間抜けなあなたを。あら、やだ。もしかしたら、私が福ちゃんに恋しちゃってるんですかね。私も女神(メス)のキツネですから。女運のなさ、絶好調ですよ、福ちゃん。

ね、もう少しこのままで。
いざとなったら、私が女性に化けて出ますから。



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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ Supercar 『 Baby Once More 』 × 小花美穂『あるようでない男』 ★

10月に更新があまりできなくて11月巻き返せるといいんですけど…。年末まで200は難しいかな。頑張らないと。追記ですが、この作品の影響も受けてたかも。あたたかな気持ちになれます。マハさんのデビュー作かな?私は映画視聴のみですが。主題歌moumoon の「Evergreen」もいい。
原田マハ『カフーを待ちわびて』映画予告
https://www.youtube.com/watch?v=EsqrGz0vVK4

① Supercar 『 Baby Once More 』
この曲を聞いて生まれた今回の物語。物語タイトルはこれより。ゆるくていい感じ。最近、何かしら音楽を聞けば物語ができてるような気がする。これを機に音楽、開拓せねば。
https://www.youtube.com/watch?v=rGMo0f_BuMY

② 小花美穂『あるようでない男』
小花さんと言えば『こどものおもちゃ』が有名ですが、私は何気にこれも好きでした。当時「猫の島」という短編集に入ってて、収録作品全部良かった記憶が…。もう一度読みたいなあ。『あるようでない男』 は文庫化され、高校生編と社会人編があるそうです。私が読んだのは高校生編みたいですね。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%82%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%AA%E3%81%84%E7%94%B7-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-58-11-%E5%B0%8F%E8%8A%B1-%E7%BE%8E%E7%A9%82/dp/4086194244/ref=pd_sim_b_6/378-4919386-6241161?ie=UTF8&refRID=1DP5E6ZKJ8JG25F7YF2M
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「鬼は、あなたね」

そう言われ、私は目隠しをする。

「さあ、私をつかまえて」

そう言われ、私は戸惑う。

「音をたよりにするのよ」

そう言われ、私は首をひねる。

「手を鳴らすから」

そう言われ、私は頷く。

「鬼さん、こちら。手の鳴る方へ」

そう言われ、私は歩き出す。

「鬼さん、こちら。手の鳴る方へ」

そう言われ、私は手を伸ばす。

「鬼さん、こちら。手の鳴る方へ」

そう言われ、私の手はさまよう。

「鬼さん、こちら。手の鳴る方へ」

そう言われ、私は焦る。

「鬼さん、こちら。手の鳴る方へ」

そう言われ、私の呼吸は荒くなる。

「鬼さん、こちら。手の鳴る方へ」

どうして、つかまえられないの?

「鬼さん、こちら。手の鳴る方へ」

どうして、つかまえられないの?

「鬼さん、こちら。手の鳴る方へ」

そう言われ、私はようやく気づいた。

「鬼は、あなたね」

そう言うと、鬼は笑った。


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ある人から、聞いたことがある。

幸福の国に住む者は、誰でも幸福を味わうことができる。

しかし、それは彼らにとっての本当の幸福ではない。

なぜなら、彼らは幸福という言葉も、その意味すらも、知らないのだから。


ある人から、聞いたことがある。

幸福の国に住まない者は、誰しも幸福を求めている。

しかし、それが彼らにとっての本当の幸福なのだ。

なぜなら、彼らは幸福という言葉も、その意味をも、知っているのだから。
神様、あなたはこの娘さんを妻とすることを望みますか。

はい、望みます。

順境にあっても逆境にあっても、病気のときも健康のときも、夫として生涯、愛と忠実を尽くすことを誓いますか。

はい、神様なのでできないことはありません。自分に誓います。

娘さん、あなたはこの神様を夫とすることを望みますか。

はい、望みます。

順境にあっても逆境にあっても、病気のときも健康のときも、妻として生涯、愛と忠実を尽くすことを誓いますか。

はい、相手が神様なのでできないことはありません。喜んで誓います。

わたしは、お二人の結婚が成立したことを宣言いたします。お二人が今わたしたち一同の前でかわされた誓約を神様の神様が固めてくださり、祝福で満たしてくださいますように。

…………え、神様の神様?

どうしました?おふたりさん。なに、変な顔をしているんですか?

神様にも上には上がいますよ。は?そんなこと、知らなかった?そんな自分の思い通りになんていくわけないでしょう。ちょっと神様、何ですか、その態度?感じ悪いですよ。私を誰だと思っているんですか?神様の神様は私なんですよ。こら、娘さん!騙されたなんて人聞きの悪い。おふたりさん、どうして指輪を投げるんですか?なに、けんかしているんですか?ちょっとあなたたち、本当に結婚する気はあるんですか?

ありません!この結婚、なかったことにして下さい!!

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ねえ、あなたの声がきこえる。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

今日もあなたの声がする。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

私はいつもその声で目覚め、桜がまだ咲いていないことにがっかりするの。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

あなたと私は、一体いつ会えるのだろう?

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

あなたは、どこにいるのだろう?

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

私はあなたに会いたくてたまらないから、眠る前にいつも、明日は桜が咲きますようにと祈っているの。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

あなたもきっとそうなのね。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

だから、こんなに声がはっきりと聞こえてくるのね。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

ねえ、私の声も、あなたに聞こえているの?

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

私は今日も待っているのよ。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』

あなたと私の声がいつか重なる日を夢見ているわ。

『 サクラハマダカ、サクラハマダカ 』
いらっしゃい。

あなたの名前は?あなた、自分の名前を覚えてないの?そう。でも、気にすることはないわ。私も同じ。私も自分の名前なんて知らない。そんなのあるだけむなしいだけよ。

ここ?…ここを説明するのは難しいわね。とにかく、ここは話をするところなの。そして、話を聞くところ。私もそれしか言えないわ。ここに来る人はみんな話をしたくてたまらないし、誰かの話を聞きたくてたまらないという人ばかり。あなたもそうでしょ?わからないって?あなた、面白い人ね。大丈夫。そのうちそうなるから。

ほら、あそこに満月がみえるでしょう?

月の満ちる夜だけ、ここに人が集まるのよ。私が一番のり。あなたは二番のりね。でも、順番なんて本当は関係ないのよ。ここではただ、好きな時に思ったことを口にすればいいだけ。好きなように、言葉を並べればいいだけなのよ。

まだ他の人たちが来るまで時間がかかりそうね。なら、私が何か話をしましょうか?どんな話がいいかしら?こんな夜だもの。素敵な話がいいわね。そうね。じゃあ、『星つくりのコック』なんてどう?あなたなら、きっと気に入ってくれると思うわ。

この夜空に輝きを放つあの星が、どうやってできるかをあなたは知ってる?

実はね、あれは『星つくりのコック』と呼ばれる者たちがつくっているのよ。彼らはね、決して姿をあかしたりはしない。もしかしたら姿すらないのかもしれないけど。彼らはただひっそりと作業を行うの。誰にも気づかれないようにね。

星ができる源は幸せのちからと言われているわ。私たちの幸せが星を作るなんて、とても素敵でしょう?だから、あんなに尊くて、輝きに満ちているんだわ。でも、だからこそ、私たちの幸せは長くは続かない。

それは『星つくりのコック』が知らぬ間に、私たちの幸せを横取りしているから…。

不思議な話よね?私たちを生んだ星に今度は私たちが犠牲をはらっているなんて。そのことを知った時、私もあなたと同じ顔をしていたわ。素直に喜べないのよね。

でも、彼らも悪気があってしているんじゃない。それが彼らにかせられた使命だから。しょうがないことなのよ。あなたもしょうがないと言って、何かをあきらめたことがあるでしょう?

ほら、また一つの星が生まれた。生まれたての星の産声を聞いてみて。泣いている声があなたにも聞こえるでしょう?

まだあんなにも幼い。かわいい赤ん坊なの。自分がなんて貴重な存在かも知らない無力な子供。こうやって星は生まれるのよ。

どう気に入ってくれたかしら?

たぶんあなたなら気に入ってくれると思ったんだけど。そう、良かったわ。気に入ってくれて。話を聞いてくれてありがとう。

でも、浮かない顔をしているわ。どうしたの?

そういえば、随分時間がたったのに、まだ誰も来ない?そうね。…でも、私はあなたがいてくれればそれでいいの。私はあなたが来てくれたことが、とても嬉しいのよ。喉から手が出るほど。

…だって、これでようやく成長できるから。

実はあの話、まだ終わってないの。まだ、ただの始まりに過ぎないわ。

生まれたての赤ん坊にはミルクが必要。赤ん坊には成長するための、とびきりの力が必要なの。それは幸せの力よりも尊いものなのかもしれない。『星つくりのコック』は星をつくるだけで、その後のことを忘れているバカなやつら…。

だから、赤ん坊の星は人の元へ自ら降り立つしかない。月の満ちる夜にだけ、星は人の姿をかりて、自分で生きる力を手に入れるしかないのよ。

顔色が悪いみたいだけど大丈夫。少しずつ楽になっていくから。だって、あなたと私は一つになる。同じきれいな美しい星になるのよ。

そう言えば、あなたの話をまだ聞いていなかったけど、あなたの話は私の中でゆっくり聞かせてもらうわ。時間はたっぷりあるから。

さあ、私と一緒に素敵な星になりましょう。


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その腕の中は心地よく、私はまるで赤ん坊のように小さく丸くおさまっていた。

私は疲れていた。全てに疲れていた。

「迎えに来たよ」

ぼんやりとした白い輪郭。あたたかな光。

「よく頑張ったね」

涙があふれそうになる。その涙を優しく拭ってくれる。

自分は本当に正しいことをしてこれたのだろうか?

「そうだよ。だから、迎えに来たんだよ」

私の背を撫で、優しく抱きしめてくれる。これで良かったのだと私は思った。すると、私の体は軽くなり、ふわりと宙に浮いた。

「見てごらん?」

よく見ると、自分の背から羽がはえている。それは銀色で、とても美しかった。そして、私を愛してくれた全ての人々に見せてあげたかったと思った。

「それだけ美しく歩いてきたという証拠だよ」

嬉しさが込み上げた。私は確かに歩いてきた。だから、ここにたどり着いた。

「さあ、行こう。忘れかけていたものに再び会いに…」

その言葉に導かれるまま、私は自分の羽を使って、この地から飛び去る。ここまで歩いてきた自信を力にして…。

私はきっと、どこまでも飛んで行けるだろう。


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