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↓↓【ネタバレ注意】自作物語のネタ帳(プロット?) 2016/01/23 04:25UP↓↓
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物語の更新ができていなくて、申し訳ありません。

何も書いてないですが、何もしていなかったわけでは決してないんです。色々な作品を見まくっていたら書きたいものがなんだか多くなってしまい、もう何が何やら…。

「物語創作法/好きな作家など」に書き足していた自作物語のネタ&リクエスト帳ですが、量がこれだけとても多くなってしまいました。なので単独でUPさせて下さい。ある意味、私にとってこれがプロットと言っていいのかもしれません。っていっても、他人から見れば意味不明な言葉の羅列だったりするかも…。(書き途中の物語のネタバレも思い切りしているので、ご注意を!)

「物語を書いてなくて何やってんじゃい?」と思った時は、たぶんここがこっそり更新されていると思います。


随時更新


★ 物語を書くときに、なんとなく私が自分自身にリクエストしている事など。

・物語の一番の盛り上がりはできればラストらへん希望!
→単に私の好み。「おおー!」と盛り上がって終了するのが好きなので。
・固い文章の物語の場合、会話文はさらっと軽いノリで。
→単に私の好み。重たくてもっさりするの苦手…。
・R指定にはならないように、よろしく!
→誰でも読めるようにしてほしい…。
・政治、思想、宗教、哲学などにふれるようなものを書くときはフラットな立場で。偏らないように、染まらないように注意すること。
→それらとは距離をおいて付き合うべしという我が家の教えなので。

!!以下、ネタバレ注意!!

★ 私が今後書く予定のもの?(声を忘れないためにメモらせて下さい)


⚫後藤新平…異色の経歴をもった復興請負人。
「其の日、帝都は絶望の底に沈んだ」「例え、全く先の見えない闇に落とされようとも、決して屈することはない。なぜなら、それを切り裂くのは我々人間だからだ。今を生きる人間の力がそうなしえるのだ。さあ、証明しに行くとしよう。絶望に打ちひしがれた帝都、その重く沈んだ夜が間もなく明ける。この手で明けてみせる」関東大震災後、急ぎ復興計画を練る責任者の夜を描く。
「金を残して死ぬのは下だ。仕事を残して死ぬのは中だ。人を残して死ぬのは上だ」賊軍の子→書生→医者→官僚→政治家。高野長英が遠縁。途中に冤罪で投獄、暴漢に襲われた板垣退助の治療、海外留学、内務局衛生局長、台湾総督民政長官、満鉄初代総裁などの経験も。また疫病蔓延予防、阿片対策も行う(経歴や政策など順番が前後してそう。彼の一生を書くなら事前に年表で確認を。どこかを切り取って書くのもあり。波乱万丈だからどこを書いてもきっと面白い。デリケートな部分である植民地経営は台湾が今なぜ親日派なのか考えると彼の功績だし、露中接近も当時は思想の偏りととらえらていたけど、実は今後の世界情勢を見越した策でハルビンに日本人学校をいち早く作り、有能な外交官を次々と排出するためとも言われる。現に杉原千畝とかいるし。私がどこをどう書くかわからないけど、筆が止まったり、迷いが生じたら、彼の根底にある生物学に座した考え方、人の生命を守ることが第一というのを忘れずに)最後が関東大震災の復興責任者。二度と破壊されない都市作りをめざしていたが、人間の無知の前に夢半場で死去。後に昭和天皇が「後藤新平の都市計画を実行できていたら、東京大空襲の被害はもう少しおさえられたかもしれない」と語っている。
タイトルは「福音の先へ」?(災いを災いとして終わらせてはならない。これを転じて福音となして幸いとなすべきである)、「四つの敵」?(疫病、無知、無慈悲、貧困)渋沢栄一の後は是非この人を大河にしてもらいたいんだよな。絶対面白いと思うんだけどな。影響を受けた作品:「映像の世紀バタフライエフェクト 東京 破壊と創造 関東大震災と東京大空襲」、「The歴史列伝 帝都復興計画 後藤新平」、「英雄たちの選択 関東大震災 後藤新平 不屈の復興プロジェクト」、「復興せよ!後藤新平と大震災2400日の戦い」


●バレリーナ?ダンサー?舞踊家?が舞台で踊る様、またはその一連の流れを描く。
人は死ぬ間際に、これまで起こった出来事や思い出が一気に駆け巡るという。確か走馬灯といっただろうか。初めて聞いたとき、なんとも不思議に思ったものだ。だとしたら、いつも自分が舞台の上で見ているあれはなんだろう?あの景色、光景はそういうものだったのだろうか?私はあそこで生と死の狭間に立っていたのだろうか?振り返れば、あるはずのものがあの場にはなかったように思う。そうだ。一切消えていた。観客の視線や吐息も。そこに秘められた緊張感や高揚感も。少なくとも私が舞台に立つと、踊りだすと全てが消えていた。タイトルは「走馬灯」?「有終の美」?BGM:Cocco「有終の美」影響を受けた作品:「SWITCHインタビュー 橋本愛×田中泯」

⚫児玉誉士夫/戦後の闇商人が仕掛けたロッキード事件…丸紅ルートしか検察に追わせなかった。消えた児玉ルート。すべては日本の防衛のために。その言葉が意味するものとは?それか彼の人生を追うか。戦前は軍の特務機関で大陸で巨額の資金を調達。戦後は自民党の大物政治家の裏で暗躍するフィクサー。影響を受けた作品:「NHKスペシャルロッキード事件LOCKHEED SCANDAL前・後編 未解決事件」

⚫未完成のSF小説…中学の一学期の終業式に抜き打ちテスト行われた。そこでふと感じた違和感(消しゴムを落とす行為がなぜかタイムスリップのきっかけとなっていて、過去や未来から誰かが来ていた)「兄の帰省」「俺様路線テスト」「SF小説を書こう」「半分フィクション」の元ネタ。もう1つ書こうとしてるSF、モモ×ジョンタイターの「ドリーマズハイ」とかぶらない用に注意。キーワードは夏、幽霊、きもだめし、ゴーストライター、祭り、抜き打ちテスト、ラムネ、消しゴム、兄、ハル、トキカケナツミ、血で飛ぶ、励め、未発表の小説を求めて。
「俺、自慢じゃないけど、記憶力はいいんだ。その俺がクラスメイトを覚えてないなんて変な話なんだよ。トキカケナツミなんていう女子、俺は知らない。記憶にない。お前は一体誰なんだ?いや、何者なんだ?」「幽霊」「え?」嫌な汗が流れた。「やだ。本気にしないでよ」「だよな。きもだめしに来といて、そのオチはないよな」「それはどうかな?」彼女はもったいぶって続けた。「だって幽霊は私じゃなくて、あなたかもしれないでしょう?」「え?」「うーん、幽霊っていうよりゴーストって言った方がいいのかもしれないけど」嫌な汗が流れた。さっきとは別の。こいつ、もしかして知ってるのか?戸惑う俺に彼女はニッコリと微笑んだ。「あなたはいつまでゴーストでいるつもり?」それを見て、こいつは知っているんだと思った。俺のこういう勘は外れない。外れてくれと強く願っても外れることは決してないんだ。「お前は一体…」「私はただある人の未発表の小説を読みたかっただけ。そのために時間を飛び越えて、ここに来た。行方知れずになっている父が、かつて書いた幻の小説を求めて」(ここの台詞は中盤くらいか?ハルが主人公の父である可能性あり。彼が主人公とトキカケナツミのために過去や未来へ飛ぶ?彼を探すために、主人公も時を飛ぶから彼も行方知れずに。どうも血族だけ時を飛ぶ力がある?)
SFは何の略?(本当はサイエンスフィクションだけど、おバカな仲間たちはみんな外す。主人公は藤井くんだから、それを茶化す感じ。サンドラッグフジイ、スーパーフジイとか。なんか俺、店名かサ〇ヤ人っぽくなってんな、みたいな会話?)
主人公である藤井の「僕」の一人称で話がすすめられていくが、これが半分フィクションと未完成のSF小説の仕掛けとなる。実は藤井の物語を書いていたのはトキカケナツミ。父(藤井)と未来で会うまでにお互いの物語を書き、再会できたらそれを見せ合おうと約束。未来に戻った彼女がちょうどその物語を書き終えるところで、家のチャイムがなり、荷物が届く。荷物の差出人は不明だったが、中身は原稿。内容はトキカケナツミが主人公の過去にタイムスリップするストーリー。その冒頭に「半分フィクション」がプロローグとして入っていた。送り主=配達人と気づき、急いで追いかけて父娘が再会を果たすラスト。で、しめがちょっとスペースを空けて「この物語の半分は、フィクションです」


●杉原千畝…彼といえばユダヤ人を助けた命のビザが有名だけど、それより前のハルビン時代の諜報活動について書きたい。大国が恐れをなした彼の情報収集能力と優れた交渉手腕。でも、そのせいで関東軍に目をつけられてしまったこと。やがて命のビザにつながる彼の信念とは何か。外交官としての在り方、本当の国益とは何か。

●マタ・ハリ…美貌の女スパイ?踊り子?高級娼婦?タイトルは「誘蛾灯」?私は何もしてないわ。ただ、微笑んでいただけよ。それによってたかって男たちが群がってきたんじゃない。あの灯りに纏わりつく虫のように。

●ストレイテナー「Merodic Storm」「Braver」「シーグラス」「彩雲」「Lightning」「SIX DAY WONDER」の音楽にあいそうな物語を!
→後に【第322夜】  Merodic Storm へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-429.html

●entの音楽にあいそうな物語を!

●佐伯ユウスケ「ツヨサヨワサ」「行かないと」の音楽にあいそうな物語を!やっぱりスポーツモノだろうか。

●無名の英雄…影響を受けた作品:BS歴史館「タイタニック100年目の真実」フレデリック・バレットの証言/乗員死亡率75%/乗客のために死を選んだ219人のボイラーマンたち

●一年に一回は戦争の物語を書かないと。
・島田叡…沖縄を最後まで救おうとした島守(県知事)。未だ遺体は見つからず、行方もわからないまま。彼の妻視点の物語になるか。まわりはね、戦争が終わった終わったと言うけれど、私はとてもそう思えないんですよ。だって、あの人が帰ってこないんですもの。だから、まだ戦争は終わっていないの。少なくとも、私にとってまだ戦争は終わっていないんです。BGM:Cocco「陽の照りながら雨の降る」
・東京裁判
・最後の華族たち
・陸軍中野学校(日本スパイ養成機関)
・インパール作戦
・ヒトラーの走る要塞
・レーベンスボルン(ヒトラーの子どもたち/白人女性とナチス親衛隊より誕生した純潔のアーリア人を中心とした国家へ)なぜ、母は私の出生について何も語ろうとしなかったのだろう?ひたすら隠し続けたのだろう?いや、子供ながらに私は何かを感じ取っていのかもしれない。聞いてはいけない。それを聞いてしまったら、もう取り返しがつかない。私はきっと真っ暗な底に突き落とされてしまう。「お前は生まれてきてはいけなかった。なぜなら、あの悪魔がつくりだした罪の子なのだから」

●眠れないの。怖い夢を見るから。眠らないの。幸せな夢を見るから。夢(生きていたころの記憶)にうなされる子供たちの世話をすることになった主人公。しばらく天国で神様のお手伝いをすることになった女の子(ユリ?)の微笑ましいシスター?生活。BGM:Chatmonchy「three sheep」

●「君たちはすれ違ってばかりだ」目覚めると、事件が待っている。でも、犯人は探偵を待ってくれない。「すべては茶番だ。いつまで君はそれを続ける気なんだい?」「僕はただ待っているだけですよ。探偵が本当に目覚めるのを」タイトルは「スレチガイ探偵(仮)」 影響を受けた作品はドラマ『ミス・シャーロック』、アニメ『UN-GO』、モリエサトシ『親愛なるA嬢へのミステリー』、薫原好江『乱歩アナザー』、スティーヴンスン『ジキル博士とハイド氏』。あと、この時期に江戸川乱歩「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「心理試験」を読んでいたからもしかしたらそのあたりの影響も受けているかも。BGM:LAMA『Blind Mind』

●タイトルに使えそうかも…。
「静止する波」
「此岸(しがん)」
「交い路(かよいじ)」 
「件(くだん)」
「異国(とつくに)」

●「天泣」と「龍星群」の音楽にあうような物語を!
舞台は天皇による君主国家が未だ続く現代日本という設定。天災や災厄が民を苦しめ、皇太子は自分の生誕祭(国を挙げての催し)を自粛しようとする。しかし、従者(親友)の暗い顔からふとあることを思いつく。彼は生誕祭とは名ばかりの民のためのイベントを決行しようとしていた。何、私なんていう存在はお飾りぐらいでちょうどいいかもしれんぞ。権力なんてあったところで、私はこんなふうにしか使わないし、特に使う気もないしな。影響を受けた作品:久世番子「パレスメイヂ」

●蝦夷(えぞ)共和国…榎本武揚初代総裁(選挙により決定)/海律全書を武器に交戦団体権を主張、世界(米・仏)に認められた幻の独立国家をつくる/盟友黒田清隆による函館戦争降伏交渉、助命嘆願/獄中詩「君恩(国為)未だ報いず今日にあう」/生き残った方が葬儀委員長に。影響を受けた作品:歴史列伝「榎本武揚」:御徒町の組長屋生まれの江戸っ子(下級武士の御家人で父は伊能忠長の弟子)→昌平坂学問所で学ぶ。得意科目は自然科学>儒学→学問吟味(今でいう国家公務員試験で甲乙丙の成績で丙)→ジョン万次郎について英語を学ぶ→長崎海軍伝習所→築地軍艦操練所→オランダ留学(機械工学・造船学・蒸気機関学・化学)海律全書(国際法)を基にした外交の必要性に気付く→海陽丸(全長72.8M、乗務員400人、最大排水量2590、最大速度10ノット、大砲35門で咸臨丸の4倍)海上戦では勝利していたが…。一冊の書が人と国の運命を大きく変えた。タイトルは「運命の書」、「幻の國」、「獄中詩」、まんま「Règles internationales et diplomatie de la mer」とか。でも本当は海律全書って上下の二冊っぽいな。

●近所の少年にピアノを教えたこと。それが俺の人生を大きく狂わせることになった。少年は音楽に愛され、ピアニストの道を一気に駆け上がっていく。主人公は少年の才能に打ちのめされ、音楽を捨ててしまう。時は経ち、成長した少年のコンサートに呼ばれた主人公はかつて彼にピアノを教えるきっかけとなった自作の曲をそこで耳にする。神様に愛された人間に俺はこんなにも愛されていたんだな。一体、自分は何をこだわっていたというのだろう。もう何もかもどうでもよくなった。お前のおかげで。タイトルは「神様に愛されない」 影響を受けた作品は恩田陸「蜜蜂と遠雷」、ドラマ「重版出来」、自作「活路」(未)。BGM:「YURI on ICE」
→後に【第321夜】 神様に愛されない  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-426.html

●A Red Season Shade - Praising the Distance Conceptの音楽にあう物語を!

●正体不明のラジオDJがお届けする「その夢、叶えちまえラジオ」…とある男子校の昼の時間は一風変わっている。学生の叶えたい夢(一見無謀なもの)を集め、それをラジオDJ(正体不明)が知恵を凝らし、なんとか番組内で叶えるというもの。おバカな男子高生たちの青春モノ。影響を受けた作品:金城一紀「レボリューション№3」、白石 昌則, 東京農工大学の学生のみなさん「生協の白石さん」
ラジオで流す曲順(これがそのまま影響を受けた音楽)
1. the pillows - Instant Music (OP…ラジオ紹介と今回叶える夢の内容について→恋愛相談)
2. The pillows - Last Dinosaur (相談者が告白する相手の元まで走る 制限時間はこの曲の終了まで。その間、相談者のある夢を叶える)
3. the pillows-ONE LIFE【オルゴール】(ある奇跡が起こる)
4. the pillows-one life (ED…ラジオDJの正体が相談者にだけ明かされる)
奇跡には2種類ある。人の手で起こせるものと人の手で起こせないもの。お前らの見たい奇跡はどっちだ。the pillowsを流すなんて、きっとのこのラジオDJは無類の音楽好きか、隠れたアニメオタクに違いない。そんなの決まってんじゃん。両方だよ。

●キリシタン迫害…影響を受けた作品:遠藤周作「沈黙」そこでは宣教師のロドリゴの視点だったけど、できれば私は取り締まった井上筑後守(かつて信者だった)のような裁く側の視点で。いっこうに屈しない信者の脅威を描いてほしい。書けるようなら拷問場面(精神的、肉体的苦痛)とかも。それか長崎という土地柄と宗教について。タイトルは「棄教」

●RADWIMPSの音楽にあいそうな物語を!
・「光」
「次はお前の番だ」一見、平凡に見える中学のクラスメートたち。実はそれぞれに秘密や問題(心の闇?)を抱えていた。クラスメート一人一人の独白リレー。前者の秘密を突き止めた者が次の語りべ。しかしそのあとの走者の標的となり、秘密をあばかれる。全員の秘密が明かされた時に悲劇が起こる。
・「ドリーマーズ・ハイ」
「さあ、そろそろ本気を出すとしますか」「え?」「最高傑作を書かないといけないからね」高校の演劇部が舞台の青春SF。ジョン・タイター×ミヒャエル・エンデ「モモ」の灰色の男。ジョン・タイターは時間旅行者であるが、時間泥棒でもあり、未来から私たちの時間を盗みにやって来た。そういう演劇の脚本をたまたま書いていた主人公のもとに本物のジョン・タイターが部活仲間になりすまして近づく。実は真実を描いていたその脚本。ジョン・タイターは演劇の制作を阻止しに来たのだった…とみせかけて、本当はある事情からそれを完成させたいらしい。私的ジョン・タイター誕生秘話、心優しき時間泥棒の物語になれば。長編でもう一つジョン・タイターをネタにした話があるのでかぶらないように注意。
・「叫べ」
部活をがんばる学生×青春モノ。榎田ユウリ「カブキブ!」や佐藤多佳子「一瞬の風になれ」みたいな。
・以下も物語が生まれそうな予感がする。忘れずに。
「オーダーメイド」・「夢番地」・「セプテンバーさん」・「me me she」・「いえない」・「ふたりごと(アコギVer)」・「カイコ」・「シザースタンド」・「シュプレヒコール」・「タユタ」・「トレモロ」・「ブレス」・「ものもらい」・「愛し」・「祈跡」・「最大公約数」・「白日」・「魔法鏡」・「夢見月に何想ふ」・「縷々」・「メルヘンとグレーテル」・「ラストバージン」・「リユニオン」・「やどかり」・「何十年後かに「君」と出会っていなかったアナタに向けた歌」・「音の葉」・「会心の一撃」・「揶揄」・「Darma Grand Prix」

●チャットモンチー「世界が終わる夜に」あいそうな物語を!
親友が死んだ。主人公はレモンとショートケーキを買って彼女を追悼することに。それは親友とのある思い出からだった。喪服にレモンは氷室冴子作品、喪服にショートケーキはドラマ「すいか」出てきたモチーフだったと思う、確か。
→後に【第305夜】 喪服にレモン、少女にはショートケーキを。  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-397.html

●Salyu「LIBERTY」にあう物語を!
①思春期の少年少女の痛い恋愛話…やっと私を見てくれた。初恋は美しい女の死体だった。オフィーリアの絵に魅せられた少年とそんな彼に恋し、彼のため死体になろうとする少女の話。最後にはなぜか立場が逆転。死体になるのは少年というオチ。タイトルは「オフィーリアの肖像」(←この時「ドリアン・グレイの肖像」を読んでいたから?)
②洋風ファンタジー戦記…っていっても読んだことあんまりないから書けるかなあ。前々から気になっているデルフィニア戦記、アルスラーン戦記、ロードス島戦記、風の大陸、ベルセルクあたり読めば勉強になるだろうか。あと、有名どころのファンタジー戦記ってなんだ?

●傭兵の生きざま?死にざま?の話…まぶたを閉じる瞬間、懐かしいカメラのシャッター音が聞こえたような気がした。(樹なつみ「OZ」のムトーみたいな人物で、ライ麦畑のような自然の風景を思い描けて、ラストが開口健「輝ける闇」みたいなイメージ?)BGM:Fightstar 「Mono」
◎人物設定?
・アソー(日本人男性)
傭兵。スナイパー。海外に住んでいた少年時代にテロに巻き込まれる。その時、彼をかばった父(外交官?)が死亡。帰国後、心因性の視覚障害に陥る。未だ完治していない。父をなくした復讐心と罪悪感から日本を飛び出して傭兵になり、テロ組織や過激派武装集団を相手に戦闘を繰り返す。銃をかまえ、敵を狙っている時だけはなぜか視界がクリアになる。本人はスナイパーを天職だと思っている。
・サワダ(日本人女性)
戦場カメラマン。父も有名な戦場カメラマンだったが、家庭を顧みない人で、日本に残された母と彼女はピューリッツァー賞をとった父の写真(問題作)によって世間から冷ややかな目を向けられ、つらい日々を過ごす。戦場に魅せられた父を理解できずにいたが、その死をきっかけに同じ道を歩むことを決意。実はアソーと似た視覚障害を経験し、完治している。彼女の場合、父の遺品であるカメラのレンズをのぞくと、ぼやけていた視界がクリアになったという。戦場でアソーと出会い、やがて恋人になる。彼と離れてから、テロに巻き込まれて死亡。彼女のお腹にはアソーとの子供がいた。
→後に【第310夜】 AF ARMY(オートフォーカス アーミー)   へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-392.html

●愛する女を救えなかったガンマンの話。(「ハードボイルド少年」のマスターの話になるか?)BGM: 沖野俊太郎「A Rising Tide」
●現代版(近未来版)「天空の城ラピュタ」を追い求める飛行艇乗りの話。タイトルは「飛行艇乗りは夢をみる」BGM:沖野俊太郎「Cloud Age Symphony」

●宇多田ヒカル×SF
 ・「This is love」→日清食品「FREEDOM」OP映像(大友克洋)にあう私なりの物語を!
 ・「traveling」→宮澤賢治「銀河鉄道」のブラックコメディになるか?
 ・「DEEP RIVER」→もとになった遠藤周作「深い河」を読むべきか?(そう言えば、安藤裕子「六月十三日、強い雨。」も遠藤周作の小説「女の一生」がもとらしい。この音楽も物語を一本書きたいんだよね。これはやはり遠藤周作を読むべき?)

●青春アドベンチャー「大化の改新 青春記」みたいなノリの歴史×コメディを!

●手塚治虫「火の鳥」の構成(過去→現代←未来)を参考に物語を書いてみたい。長編になるだろうけど…。
●色々な作家が「ファウスト」を題材に書いてるから、私も書きたい(ヤマザキコレ「フラウ・ファウスト」など)

●シェークスピアが主人公の物語とか。オスカー・ワイルドが主人公の物語とか。

●サカナクション「グッドバイ」ピアノバージョンにあう物語を!
→後に【第307夜】 グッドバイ   へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-401.html

●「源氏物語」で何かと主人に振り回される不憫な従者・惟光が主人公の話。
●いつか氷室さんがあとがきで語っていた氷室冴子的「源氏物語」を書けないものだろうか。

●持田あき「スイートソロウ」みたいな世界観の話。

●名(迷)軍師たちの活躍…「戦術では勝っていたのに戦略で負けた」または「戦術では負けたのに戦略で勝った」みたいな話。タイトル候補は三つなので物語も三通り?BGM:サカナクション「新宝島」
①「難攻不落」…白鷺城or熊本城(日本で難攻不落と言われる城。大阪城は徳川家康に攻略されたので除外。ちなみに父的には白鷺城>熊本城らしい。理由は忘れたので後で聞こう)をモデルとした籠城戦攻略劇。
②「レンタル軍師」…戦国時代のような舞台設定。戦の協定(取り決め)でどこの国も軍師はある一族からレンタルしなくてはいけないと決まっている。
③「軍師兄弟」…①と②を足したもの。オチが軍師一族の兄弟喧嘩(または軍師一族の利益独占)に単に国々が巻き込まれ、長いこと戦の時代が続いているというもの。


●山崎豊子の話…影響を受けた作品「NHKスペシャル作家 山崎豊子~戦争と人間を見つめて~」 
→後に【第301夜】 嵐を呼ぶ女 へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-383.html
① 恋人の戦死→ぶつかる対象の変化→戦争を見つめていく作家になるまでの過程を描く(女性的な面を押す?)
戦時中21歳の日記より「一月二十日 敵機来襲で、線路側の防空壕へ飛び込む。何とも云えぬ敵愾心がむらむらと湧き上がる。畜生、勝つまでは頑張るぞ」「私は凪よりも嵐を呼ぶ女だ。真正面から偽りなく彼とぶつかりたい。これほど迄に彼を愛しているのに、それを信じて貰えないほど恐ろしい苦しい事はない」「彼はついに発った。最後のお別れをする。ウン、泣きそうだ」「この無残、惨状、戦争は絶対いけないものなのだ。人類の不幸は戦争から始まるものだ」
② 彼女なりの理想をつめこんだ小説のラストに人物モデル(西山太吉・瀬島隆三・秋山眞一・紅谷寅夫など)までの生き方を変えた筆力・影響力を描く
小説執筆のための取材記:大地の子より→残留孤児証言「今まで誰にも言えなかった」、運命の人より→沖縄密約・西山太吉の抗議電話「三流小説以下」と賞賛「権力・社会・人間の相関関係を抉りだす作家の真骨頂、崇高な問題提起、大衆に浸透させる至芸」
③ ①と②を足したものを描く 
私の声:「愛する人を殺した戦争が憎い。ずっとそう思って生きてきた。でも、本当はそうではなかったのかもしれない。私はただ戦争が憎いのではない。あの時代に生きて何もできなかった無力な自分が憎いのだ」
※ちなみに、①②③のどれを書くにしても政治的思想の偏りはなしの方向でよろしく。


●新聞記者、福田定一が司馬遼太郎になるまでの話。「余談とはいえ、無駄話ではない」
・アプレ記者・金閣寺炎上(金閣寺放火事件)
→後に【第176夜】 或るアプレ記者の回想シリーズ へ  
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-207.html
◎今後の物語の流れ
ヨシダとフクダは金閣寺放火事件の犯人の動機をスクープする。しかし、その内容に検閲の恐れありと判断したオオタケの手により記事は大幅に修正され、金閣寺の真相(国家がらみの汚職?宗教タブー?)が世間に明るみに出ることはなかった。ヨシダは憤慨するもフクダは困ったように微笑むだけ。ヨシダはそのとき初めてフクダがアプレ記者として見定めたかったのは自分ではなく、オオタケであったことを知る。記事の修正に納得できないヨシダはオオタケを強く非難。「あいつがずっと新聞記者でありたいと言うなら俺は何もしなかったさ。でも、フクダはそうじゃない。あいつの夢をお前は知っているか?そのために、あいつをここでつぶすわけにはいかないんだよ」オオタケの口からフクダの夢を聞き、ヨシダは何も言えなくなるのだった。「アプレ記者とは何か?」ヨシダは自問する。無謀にも国家権力に挑もうとしたフクダ、それを阻止して親友と新聞社を守ろうとしたオオタケ。それぞれの信念で動いた彼ら。かたちは違えど、どちらもアプレ記者の姿と言えるのではないだろうか?そして今、彼らを見てきた自分はどうなりたいのか?ヨシダはフクダたちと同じ新聞社に入ることを決意。自分なりのアプレ記者をそこで目指すことに。ヨシダの入社も決まり、三人で祝い酒を酌み交わしていると、ふとフクダが自分の夢について語り出す。小説家として大成したいというフクダ。酔った勢いでヨシダとオオタケは彼の作家名を提案。フクダはそれを気に入る。実はこの時、偉大な小説家が誕生していたのだった。

「作家名かあ。俺だったら、福田遼にしますね。このね、遼の字がミソなんですよ。福田さんには゛遼(はる)"か遠く及ばないって意味なんです」「吉田君、おだてても何も出ませんよ。でも、ここは大竹のおごりだそうですよ」「そんなこと言ってねえ!」「おやおや。それにしても吉田君のその字の使い方、いいですね。僕は中国の司馬遷を尊敬していますから、司馬遼はどうでしょうか?」「いいじゃないですか、司馬遼。格好いいですよ!」「駄目だ、駄目だ。全然日本人らしくないじゃないか!日本男児たるもの…」「では、日本男児たる名前とはなんですか、大竹?」「そりゃあ、決まってるだろう?あれだよ、あれ!な、吉田?」「え、急に俺に振られても。…まあ、あれですかね?」私と大竹さんは同時に口を開けた。「太郎だ」「一郎です」「はあ?なんで一郎なんだよ、吉田!?」「大竹さんこそ、なんで太郎なんですか!?」ああ、やっぱり俺たちは気が合わない。「まあまあ。では、こうしましょう!」福田さんがえくぼを見せる。「苗字は僕の考えた司馬にして、名前は吉田君と大竹の案である遼と太郎をくっつけるというのは?中々いい名前じゃないですか。僕は気に入りましたよ」ここまで語れば、察しいがいい読者ならもうお気づきだろう。福田さんはその後、日本を代表する作家となったのだから。しかし、彼の作家名が実はこんな酔っ払いたちのやりとりで決まったなんて知れたら、少なからずショックを受けるファンもいるかもしれない。彼の名誉のために今まで口にしなかったが、福田さんなら「吉田くんらしくないですよ」と笑ってくれそうだ。ついでに大竹さんなら「柄にもないことをして、気持ち悪いやつだな」とかいってくれそうだ。アプレ記者であった彼らから実に多くのことを学んだ。人生において師と仰ぐような存在に早い時期に会えたのは私の一番の幸運だったのだろう。人によっては私の話なんてまったくの余談、蛇足などと感じてしまうかもしれない。しかし、私の青春時代は彼らとともにあったのだ。戦後、あの日本の焼け野原には〇〇だけが残されていた。敗戦国という無様なレッテルにどれだけ自尊心や誇りを傷つけられようとも、私たちはペンを握り、叫び続けた。そうやって戦っていた。或るアプレ記者の一人として。時に皮肉や冗談をとばしながら。そう、あの日々はきっと『余談とはいえ、無駄話ではない』(←最後はこの言葉でしめてほしい。司馬さんの小説によく出てくるらしいから。重ね合わせてしめたい)

◎人物モデル…実在の人物を参考。でも、名前を借りたくらいで人物像・作中の行動などはフィクション。
ヨシダ:吉田時雄
(福田の口利き?で産経新聞入社した京大生。後の大阪新聞社社長)
フクダ:福田定一
(新世界新聞社→新日本新聞京都本社→産経新聞入社。後の小説家、司馬遼太郎)
オオタケ:大竹照彦
(新世界新聞社→新日本新聞京都本社→産経新聞入社。福田の同期。後のサンケイアイ社長)
スエツグ:末次攝子
(京都日日新聞入社。福田とは記者クラブ仲間。後の大阪府参与)
ワカギ:若木松一
(金閣寺放火事件当時西陣署員。警部見習。後の西陣署署長?)
◎要修正
・戦後の新聞社事情(大手新聞社は経営難と言うわけでもなかった?子会社を作ってGHQを欺いていたらしい)
・フクダの新聞社の移り変わりは書くべき?
・タイトル「或るアプレ記者の回想」変更。杉山小弥花「東京アプレゲール」みたいなレトロ感あってカッコいいの希望!
・フクダの眼鏡の描写がなかった!司馬さんっていったら、眼鏡とえくぼなのに…。
◎リクエスト
・できたら会話文を関西弁に。(大阪弁?京都弁?)
・三島由紀夫と水上勉がどこかにちらりとでも登場してくれると面白いと思うんだけどな。
◎噂と謎
ネット情報で司馬遼太郎著の金閣寺放火事件作品があるとのこと。(古書店で9万円とか)それって本当なのだろうか?だとしたら、アプレ記者の続きを書く前に読みたい!(値段、高すぎて無理なんだけど!)司馬さんの事件後の記者としての動きが知りたい。エッセイ「司馬遼太郎の考えたこと」にもノンフィクション「新聞記者 司馬遼太郎」にも記述なし。唯一あったのは水上勉「金閣炎上」だけど、慈海和尚の取材に行く途中に見つけた庫裡の黒板のメッセージのみ…。


●反魂香(はんごんこう)にまつわる話(桜小路かのこ「ラストノーツ」第一話系?畠中恵「しゃばけ」系?)
●三途の川の住人とそこに訪れる旅人との交流(モデル:なんとなくムーミンとスナフキン?)BGM:白鳥マイカ「線」
→後に【第303夜】 リバーフィッシュ へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-391.html
●海でたき火をする男女(友人の結婚祝い用?)BGM:hitomi「君のとなり」
●椅子取りゲーム×恋愛(〃)
●タイムカプセル×恋愛SF(高野苺「orange」系?)気づかないだけで、本当はそこにいた。BGM:フルカワミキ「OVER YOU」
●過去世または転生もの・花魁または遊郭もの
→後に【第149夜】 過去世話(むかしばなし)  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-141.html
●新人小説家を取材するライターの話。タイトルは「活路」
●おばあちゃんの知恵袋的な料理話(「西の魔女が死んだ」系の話?)
●「さよなら渓谷」系の話(R18?)
→後に 『summer』 シリーズ へ 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-151.html
●スランプに陥った作曲家と女子高生との交流
→後に【第179夜】 音花  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-182.html

歴史人物(政治・経済・政策)は主に淑玲『宮廷浪漫』シリーズの参考資料にする予定
●高杉晋作(外国艦隊停戦3回の交渉→①日本古来の礼服②命狙われ参加できず③幕府に押し付け)
●伊達正宗(新田開発→給与を米の代わりに荒地2倍を→江戸へ/震災→入浜式製塩業)
●平賀源内(日本初東都薬品会の成功←運送着払い制/天狗小僧/源内焼←轆轤ではなく型を)
●保科正之(将軍の不遇の息子/明暦の大火/年金制度/社倉制)
●陸奥亮子(芸者→外交官夫人)、伊藤梅子(芸者→ファーストレディ)
●富貴楼お倉(柳田国男の待合政治論)
→後に【第193夜】 女傑(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ19/ファンタジー )  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-228.html
●パリ万国博覧会の話(徳川慶喜の弟の渡仏←「ふしぎの海のナディア」のようなボーイミーツガール?ちょいちょい渋沢栄一が登場。ぶかぶかのスーツ)
●渋沢栄一
(合本主義→パリ万博:銀行・株式会社・鉄道設立へ/海運業独占政商岩崎弥太郎との対立→屋形船の会合/道徳経済統一説/経済こそ最高の道徳であれ)
●井伊直虎(戦国の女当主/徳政令までの時間稼ぎ)
●ハンザ同盟(リューベックの経済自治都市/印章つきの同盟証明書→参加都市をお互いサポート/商人が議員となり、議場で政治を/バルト海~リューベック~ハンブルク~北海の間を航路と陸路うまく使って交易)
●毛沢東の失敗と文化大革命または周恩来
●藤原不比等/藤原良房(応手門の変の黒幕?)
●上杉鷹山
●卑弥呼の外交戦術(なぜ呉ではなく魏だったのか/倭国の位置を錯覚させる/卑弥呼は存在せず、姫巫女をヒミコ(個人名)と中国人が聞き間違えたか)
●邪馬台国論争(伊都国/卑弥呼姉妹説)
●樋口一葉(色恋沙汰と恋愛の違い/雪の日と『おしるこ』)
●琉球王国の外交戦術(演劇外交)
●ナポレオンの戴冠式を描いた画家 ジャック=ルイ・ダヴィッド
●ロマノフ朝崩壊
●エルタージュ美術館で飼われている猫(エカテリーナ妃の隠れ家に住む猫)タイトルは「隠れ家の猫」BGM:洋画「アメリ」サントラ
●ピョートル大帝
●水の都・サンクトペテルブルクが旧レニングラードと呼ばれていた時代の話(←元ネタ:押井守『ケルベロス 鋼鉄の猟犬』ラジオドラマ )
●ダヴィンチ
●二・二六事件
●『神はサイコロを振らない』論争
→後に【第155夜】 神はサイコロを振らない へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-180.html
●千里眼事件
●人質事件(外交官・黒田康作系の話?)
●あしながおじさん系の話
●ミステリーとか
→後に【第145夜】 手紙(『my last fight』シリーズ)へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-145.html
●ホラーとか
●女性主人公のハードボイルドってできないかな?
→後に『【第153夜】 All Alone With You』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-178.html
●ブロークン・アロー(暗号名)がらみ
●731部隊とその後の系譜
→後に『【第146夜】 ジェネラル・イシイ』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-172.html
●先生と生徒の恋愛モノ(「ひるなかの流星」系の話?)
→後に『【第302夜】 VS.たまごサンド』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-390.html
●ケネディ一家またはケネディ暗殺事件
●アラバマ大学事件(人種差別・軍隊)
●CIAとダラス兄弟
●日本国憲法草案と沖縄密約 リチャード・フィンの策略
●キューバ危機(ソ連との文書交渉→2通のうち1通のみ返事)
●カストロ(弁護士)とゲバラ(医者)
●紅茶(お茶)専門店の話
●女性記者またはジャーナリストの話(モデル:山本美香?)
●聖徳太子と秦一族
●闘茶
●清少納言と紫式部の全面対決

続編
●淑玲『宮廷浪漫』シリーズ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-25.html
●モダンガール事件手帖 続編 (三間坂視点?/三人称希望)
●巫女姫と風使いの少年 続編
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-299.html
●帰還者シリーズ 続編 (前PCバックアップを探せ→まさかの消滅…)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-71.html

●小学生の頃に書いたネタ帳?(リクエスト帳)より
神の子?不吉の子?と呼ばれる不思議な体を持った人間(両性具有)の話

他にもあったら、あとでまたここに追記しますね。


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おいしいパンをみんなに食べてもらうため、コッペおじさんは今日もがんばります。

朝早くからパンを焼き、お昼過ぎに店を開け、夕方店じまいをしてから夜遅くまで明日の下準備。パン種を作り、生地をこねこねしなくちゃいけません。

でも、時々…

「寝坊しちゃった」

そんな日もあったり、なかったり。

へへへへと笑いながら、コッペおじさんはがんばります。

「よしよし、いい色に焼けたぞ!」

今日もかまをのぞいてコッペおじさんは、にまにまします。

あんパン

食パン

カレーパン

フランスパン

たまごサンド

ポテトサンド

焼きそばパン

シベリヤ

マドレーヌ

クリームパン

あげクリーム

あんドーナツ

メロンパン

りんごぱん

シナモンロール

マドレーヌ

などなど。

焼きたてのパンの香り。それに包まれて、おじさんはさらににまにまします。

「みんな、喜ぶといいなあ」

いっぱいいっぱい作るから、いっぱいいっぱい疲れます。

パンを棚に並べて、いよいよお店を開けなくちゃ。

「たくさんパンを作ったら、眠くなっちゃたなあ。…ぐうぐう」

嘘でしょ!?コッペおじさん、寝ちゃった!起きて、起きて!!お客さんが来ちゃうよ、ほら!

「コッペおじさん、パンをちょうだい」

にこにこ元気な小学生が来ちゃった。

「あ、またコッペおじさんが寝てるー」

お腹ぺこぺこの部活帰りの高校生も。

「コッペおじさんもいい年だから、しょうがないよ」

わんわん犬を連れた顔なじみのご近所さんも。

「本当はおじいさんだもんな」

外まわりで少しくたくたの会社員も。

お客さんに起こされ、コッペおじさんはへへへへと笑います。

「まだおじいさんじゃないんだけどなあ」

それを聞いて、お客さんがすかさず言いました。

「86歳なのに!?」

「いやいや、87歳だよ」

コッペおじさんはまたへへへへと笑います。


お客さんがぴかぴか笑顔で言いました。

「コッペおじさんのパン、おいしいね!」

「いつもいつもおいしいね!」

「もう一個、ちょうだいな」

「幸せの味がするなあ」

「へへへへ」

コッペおじさんの小さなパン屋は今日もみんなの笑顔でいっぱいです。

にこにこ

にまにま

ぴかぴか

へへへへ

いっぱいいっぱい笑うから、いっぱいいっぱいおいしいパンをあなたに届けますよ。

ねえ、コッペおじさん?

「ありがとうございました。また来てね!…ぐうぐう」


あらあら、コッペおじさんったら。





おしまい。







久しぶりに物語をかきました。かけて良かったー。こうやって少しずつかければいいな。

パン屋のモデルは東京の西荻にある「しみずや」さん。その店主であるコッペおじさんは、私の東京のお父さん的存在です。いつもありがとう。

パンのメニューはどれも本当にあって、どれも本当においしい。

あげクリームはみんなどハマり、通はあんパンや食パン、フランスパン(ふわふわ!)などの王道をたしなんだり、人生の迷い子はシベリヤやコッペパンでノスタルジックが刺激されて涙ぐんだり。

それぞれの食べ方、楽しみ方があるようで。そこにも素敵な物語があるんじゃないかな?

そういう物語もまた描きたい。そう思います。

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最近、続編ばかりでショートショートをあまり書けてません!なので、しばらくの間こちらをトップ記事に。良ければ、今宵はじめての方には1001夜本番前の前夜祭のような気分で、馴染みの常連さんには懐かしい1001夜同窓会のような気分で、こちらのショートショートをお楽しみ下さい。訪れたすべての方々に感謝を込めて。 

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↓↓【第112夜】 BLITZ PRETZ(ブリッツプリッツ) ジャンル:青春 2014/01/18 01:45UP↓↓
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私は誘拐される。

「動くな!」

帰宅途中だった。一人暮らしの自分の家まで、あと少しのところで。

「おとなしく車に乗れ!」

それをあえて狙っていたのだろう。あっさり覆面男たちに取り囲まれてしまった。

「…また誘拐?」

私は犯人を睨んだ。これでいったい何回目だろう?

ニヤリ。

外灯に照らされ、目の前の白い覆面がくっきり光って見えた。私は息を吸い込んでから言った。

「…っていうか、せめて覆面は外そうよ。本当に捕まるよ」

よく見たら、下は何気に就活スーツときている。

「おとなしく誘拐されな、お嬢さん」

彼らは覆面を外し、無邪気に笑って言った。

「一緒に行こうぜ。真夜中の逃避行!」


    *


車は走る。夜を。眠らない街を。誘拐犯と私を乗せて。

「もう吹き出しそうになっちゃった」

後部座席に乗り込んだ私がそう言うと、となりに座る誘拐犯…というより、愉快犯のウッチーが笑った。

「雪(ゆき)んこ、気づいた?この覆面のおでこの『肉』の字に。実はただ『肉』って書いてあるわけじゃないんだよね~!」

そう言って、ウッチーは自分たちが被っていた覆面を私に貸してくれた。

「何これ!」

おでこに輝く『肉』の字の表現が覆面によって違うらしい。ウッチーは親指をグッと立てた。

「某漫画をみんなリスペクトしてますから」

どうやら漢字の『肉』、片仮名の『ニク』、平仮名の『にく』と言った具合に、人により微妙に書き方が違うようだ。

「ちなみに『肉』がカンちゃん、『ニク』が秦(はた)、『にく』が俺のね」

急いで油性マジックペンで書いたのか、手書きの個性的な字がまたいい味を出していた。

「っていうか、雪んこも被る?まだローマ字版『niku』が残ってるぞ?」

助手席に座っていたリーダーであるカンちゃんが振り返り、あまっていた『niku』覆面を私に投げてよこした。こらえ切れず、私は吹き出した。

「もう、みんなウケ狙いすぎ!」

私たちの様子をバックミラー越しに眺めていた人物が車内ライトを消して手をたたく。

「はいはい、雪野(ゆきの)をつかまえた後はどうすんの?逃避行という名のドライブは。今日はどこ行く?」

逃亡(ドライバー)担当の、秦(はた)だ。

「前はどこへ行ったっけ?」と、私。
「伊勢だよ、伊勢。本店の赤福を食べたいとか誰かが言ったんじゃん」と、秦。
「そんなの誰が言ったんだよ?ウッチ―か?」と、カンちゃん。
「えー、俺じゃないよ。っていうか、高速つかっても東京から伊勢はさすがに遠かったなあ。一日あれば行けるんだって発見もあったけど」と、ウッチ―。

そう、かなり無謀なドライブだった。ドライブというより小旅行のレベルだったな、あれは。でも、赤福がおいしかったから許すけども。

「山梨の有名な名水を汲みに行こうっていうのもあったね」
「あー、遭難しかけたやつか」
「なんで俺ら水のために命かけてるんだよ!?って秦がキレたやつね」

そう、ふだんあまり感情をおもてに出さない秦がいきなり怒り出したから、みんな驚いたっけ。それを思い出し、私たちは笑った。

いいな、この雰囲気。久しぶりだな。みんな変わってなくて安心する。

元々、大学のゼミ仲間だった私たちは、グループ発表で同じグループになったことを機に仲良くなり、プライベートでもよく遊ぶようになった。時たま、こんなふうに変なお題を出しあっては、車で冒険に繰り出す。誘拐、逃避行と銘打ってはヘンテコな夜のドライブを決行するのだ。

「今日はそんな遠くまでいけないよ。近場でお願いします」
「ドライバーの意志は尊重しなきゃね。じゃあ、東京都内近辺か。久しぶりにお台場、横浜とかは?」
「ウッチ―、いいんじゃない?青春&カップルスポットで。俺たちに足りないエネル源をそこで補おうぜ」
「えー、彼女のいるカンちゃんには言われたくないなあ」
「雪んこも鋭くつっこむようになっちゃったなあ」

感慨深げにカンちゃんは頷いた。彼は私の親友、麻里子と付き合っているのだ。

「雪んこ、まずはこっちのエネル源とりなって。何も食ってないだろう?お菓子、買っといたんだ。どれがいい?」

そう言って、優しいウッチーが私にコンビニのビニール袋を差し出す。ありがたい。どれどれ?

「って全部グ○コの『PRETZ(プリッツ)』じゃん!?」
「そそそ。サラダとロースト、あと変わり種のトマト味ね。久しぶりに見つけたら懐かしくてさ、そこにあった全種類をかごに入れたんだ」

さすがウッチー。私はせめて、ごはん代わりになりそうな味を選んだ。

「…じゃあ、サラダで」

今日はオフィス街を歩き通しで、昼から何も食べてなかったから正直助かった。

「サラダ味を選ぶとは、秦と一緒だね」
「え?」

カンちゃんがいきなり意味ありげに呟くから、思わず私はむせてしまった。

「そんなこと言って、カンちゃんもサラダ味を選んでたよな」

でも、秦がうまく返してくれる。別に私のために…じゃないと思う…けど…?

「わかったわかった。そういうことにしといてやるよ」

私はウッチ―から水のペットボトルを受け取ると、気持ちを落ち着かせた。

「んで、お台場と横浜どっちにすんの?」

カンちゃんが仕切り直し、みんな腕を組んだ。

「近場だからって、やることに、お題に、手を抜きたくはないんだよね~」

アイデアマンであるウッチーの閃きを私たちは待つ。

「思いがけないことにするか…いやいや、ここは超くだらないことをしてシュールさ全面に出すのも…」
「雪野が決めなよ」

いきなり秦が遮った。

「今日は雪野、お前が決めな」
「え、私?」

秦がそういうと、カンちゃんもウッチーも「うん!うん!」「だね!だね!」と頷いた。私は戸惑いながらも、せっかくだしと、頭を回転させる。さて、どうしようか。お台場と横浜で、できること。さっきウッチーが言ってた超くだらないこと、シュールさを狙うというのも、なんだか面白そうでありのような気もする。

私は食べているPRETZの箱を見つめた。
お台場、横浜、PRETZ、お台場、横浜、PRETZ、お台場、横浜、PRETZ……んん!?

「…本当にくだらなくていいの…?」

となりのウッチ―が身を乗り出した。

「いいよ、いいよ!どんとこい、超シュール!」

私は念を押した。

「くだらなすぎて、笑えないかもしれない」

助手席のカンちゃんが手で丸をつくる。

「全然OK!」

私は息を吸い込んだ。

「場所は横浜。秦、そこにあるライブハウスに向かってほしいの」

バックミラー越しに秦がたずねる。

「何てとこ?」
「横浜BLITZ(ブリッツ)」

― 雪野、ライブに行かない?私、雪野と一緒に行きたいの ―

ふと懐かしい親友の声がした。ねえ、麻里子。あなたは今、何をしてるの…?

「ドライバー、了解です。聞いた?リーダー、一応カーナビよろしく」
「あいよ。でも、雪んこ、そこで俺たちはいったい何をするんだ?」

私は暗がりの中でニッコリした。

「横浜BLITZで、食べるのよ!」

タイプの違う三人の声が重なる。

「何を?」

私はハッキリと言った。

「横浜BLITZで、PRETZを食べよう!」

そう言って、私はみんなに見えるよう自分の食べているサラダ味のお菓子の箱を振った。
車内に沈黙が広がる。やらかした…!?と私が焦ったその時だった!

「あはははははははっははっははっはっはっはっははははっはっは!」

静けさを打ち破るように、気持ちのいい笑い声が車内に響いた。

「…秦…?」

ウッチ―、カンちゃん、私の三人は思いがけないことに驚いた。…秦が…あの秦が、大爆笑してる…!?

「やべー!超くだらねー!なんだ『BLITZ』に『PRETZ』って…!!ははははははは!!!」

誰もこんなに大笑いする秦を見たことがなかった。知り合って、そろそろ4年…。彼の笑いのほとんどは、カテゴライズすると『鼻で笑う』というものだったから。意外すぎて、それを見たみんなが吹き出すのも時間の問題だった。

「ぷっ!はははははははははははははははは!!」

きっと私の『BLITZ PRETZ(ブリッツ プリッツ)』案より、目の前の秦の方がツボだったと思う。普段笑わない人の、笑顔は貴重だから。麻里子もそうだった。

「よーし、それ採用!!」

車内はおおいに盛り上がり、ネオン街がなんだか霞んで見えた。
車は走る。夜を。眠らない街を。爆笑する誘拐犯と私を乗せて。


    *


横浜BLITZについた私たちは車から降りた。

「いや~、マジ吹いたわ!」

さすがにライブも終わってる時間だから、誰もいない。建物の電気も消され、あたりは妙に静かだった。

「秦が違う意味でキレて最高だったわ」

カンちゃんはどうやら笑いすぎて、まだお腹が痛いらしい。彼のセリフに、秦が恥ずかしそうに俯いた。

「シャイが服を着て歩いてるようなもんだもんね、秦は!」

ウッチ―が嬉しそうに秦を破壊占めにする。それを秦が振り払おうと、じたばたした。じゃれ合っているようで、どこか微笑ましい。いいな、男子の友情は。なんか爽やかで。ねえ、麻里子もそう思うでしょう?

「あーあ、雪んこが本格的に麻里子シック、入りました~!」

気づけば、カンちゃんが私の隣に立っていた。

「何そのネーミング!ホームシックとかけたの?麻里子シックはカンちゃんでしょう?」

彼の愛しの恋人は今、イギリスに語学留学中なのだ。

「きっと麻里子なんて今頃、アビー・ロードを優雅に歩いてるだろうさ」
「さすが麻里子様。一人で何度も歩いてそう。ご学友を置いてけぼりでね」

音楽が大好きな彼女の満喫している姿が目に浮かぶ。ふたりで横浜BLITZのライブに行ったのが遠い昔のようだ。

「まあ。でも、気が強い美人の麻里子様でも弱みはあるわけよ。それが、雪んこね」
「え?」

いきなり自分にふられたので、私は驚いた。麻里子の弱み?私が?

「ほら、麻里子はあんなんだから、仲のいい子なんて雪んこぐらいじゃん?相当、雪んこシックなわけよ、あいつ。俺と話してても、雪んこの話題ばっか」
「照れ隠しだよ。麻里子は電話もメールも苦手だし」

私にくれるメールも内容は天気のことばかりだった。『ロンドンは曇ってばかり』そればかり。

「雪野は元気?就活ノイローゼとか、なってない?私の彼氏だったら、ちゃんと雪野のフォローしといてよ!だってさ。…いやいやいや、お前が雪んこの彼氏かよ?っていうね」

私はくすくすと笑った。なんか麻里子らしいな。わがままそうに見えるけど、本当はとても優しい子なのだ。

「…俺は麻里子にデキた彼氏とはなんたるか、学んでるような気がするね。素質あるよ、あいつ。彼氏になる素質…」
「なんだー、それでかー」

私は納得した。

「カンちゃんが今日、私に変に絡むのはヤキモチだったのか」
「それもあるけど、秦と雪んこ見てるとさ、こっちがヤキモキするんだよね」
「…ヤキモキ?それ、どういう意味?」
「麻里子がいなくなってから始まった夜のドライブだけど、主犯は俺じゃないぞ」
「え?」
「秦だ。秦が麻里子がいなくなって淋しがってるお前のために始めたことだ」

私はカンちゃんを見つめた。その目は遠くにいるはずの親友と、とてもよく似ていた。

「『最終面接、落ちた!就活って、なんでこう人間否定された気分になるの??神様、ひどい!むきー!!』っていう、今日のお前のLINE(ライン)にいち早く気づいて、みんなにドライブの声かけたのもアイツね」

私は何も言えなくなってしまった。
みんなだって忙しいだろうに、就活スーツを着たまま、駆けつけてくれたんだ。

「就活っていっても別に人間否定されるわけじゃない。お前が否定されるような人間だったら、俺たちはそばにいない。俺たちは雪んこの人柄に感謝してるくらいだ。最初お前がゼミで声をかけてくれなかったら、同じグループになろうって言ってくれなかったら、俺たちの大学生活、こう面白くはならなかった。雪んこのいないところでみんな言ってる」
「い、いるところで言ってよ!そういうのは…!」

カンちゃんの言葉にグッときて、ついどもってしまった。

「きっとその思いは秦が一番強いんだ。特に警戒心の強い奴だったから」

ゼミで初めて秦を見た時、昔の麻里子を思い出させた。教室の片隅にいる孤高の存在。きっと笑ったら、いい顔をするんだろうな。見てみたいな。だから、声をかけたのかもしれない。

「寒いのか?鼻とほっぺた、また赤くなってるぞ。さすが雪んこ!」
「カンちゃん!」
「爆笑する秦なんて一生お目にかかれないと思ってたのになあ」


    *


私は誘拐される。

「動くな!」

私は彼に声をかけた。

「おとなしく手を上げろ!」
「今度は雪野が誘拐犯か?」

ニヤリ。

「君は完全に包囲されている!」
「そっちの人か!?」

秦は一人で、横浜BLITZのチケット売り場窓口にいた。何やらコソコソしている。

「おとなしく何をしていたのか、言いなさい!」

秦は観念して、ゆっくり手を上げた。

「せっかくだから、記念にPRETZを一箱、ここに置いてこうと思ってさ」

見ると、窓ガラスに立て掛けるように、新品のPRETZサラダ味がひっそりと置かれている。私は笑った。

「きっと朝やって来た人、意味わかんなくて不思議に思うだろうね」

秦も笑った。今のは『鼻で笑う』とは違う笑いだ。4年近く色々な秦を見てきたからわかる。

「ありがとう。私を誘拐してくれて。ここに連れてきてくれて」
「え?」
「昔ね、ここに麻里子と一緒に来たんだ。麻里子がライブに誘ってくれたんだけど、ようやく打ち解けられた気がして嬉しかったな。舞い上がりすぎて、何のライブだったかも覚えてないくらい」
「お前らは高校からの付き合いだもんな。…淋しくないか?」

秦の優しさも今はわかる。いっぱい見たから。いっぱい知ったから。

「今、麻里子がここにいてくれたらなって思うときもあるけど、語学留学はあの子の夢だったし、麻里子様も頑張ってるんだから、私もいちからエントリーシートを書いて頑張るよ。だから…」
「…だから?」
「ちょっと淋しくなったり、落ち込んだりした時は、また今日みたいに誘拐してくれる?」

秦はふっと笑った。

「いいよ」
「みんなが忙しくて無理な時でも、秦一人で覆面を被って来てくれる?」
「別にいいよ」

『別にいいよ』も『いいよ』のうち…。ポジティブにそうとらえていると、一人ぶつぶつ言う私がおかしかったのか秦がまた笑った。

「雪野が助手席に乗ってくれるならね」

神様、麻里子様! 今なら私、最強のエントリーシートが書けるかもしれない。




=====================================


=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ A Red Season Shade『Ghosts & Clouds』× BLITZ PRETZ ★

恋愛話や登場人物はフィクションですが、夜中のドライブは仲間たちとの体験談です。私は赤福と名水には参加してませんが、横浜BLITZでPRETZはやりましたよ。今はなき、横浜BLITZに感謝を込めて。ちなみに作中の覆面のお『肉』の方のモデルは、ゆでたまご『キン肉マン』です。

① A Red Season Shade『Ghosts & Clouds』
http://www.youtube.com/watch?v=fK2bjJX_NaQ
この音楽を聞いて生まれた物語。秦くんの最後のセリフが聞こえ、その仲間たちが見えてきました。ドライブのお供にどうでしょうか?私も最近知ったのですが、フランスの5人組とのこと。

② 横浜BLITZ
http://www.tbs.co.jp/blitz/y_map.html
③ グリコ『PRETZ』
http://www.glico.co.jp/pretz/

登場人物のモデルは、このとき読んでいた漫画、南塔子「ReReハロ」かな。秦くん出てくるし。雪んこみたいでカワイイ頑張る女子リリコ(料理上手!)は大好きなヒロインです。
南塔子「ReReハロ」 
https://booklive.jp/product/index/title_id/225609/vol_no/001

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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

これを忘れてはいけません。毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第7回 自分的小説ブログ大賞 (2019)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-448.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、発表時点にネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2019年、『 第7回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!)

葉嶋ナノハさんの『はななぬか』で完結済の小説『椅子カフェ堂』です!!!

おめでとうございます~!!

時間ギリギリの発表になったのは近況でお伝えした通り。いや~、危ない危ない。年こすところだったよ。間に合ってよかったよ。ぜひともこれは紹介したかったんだよ。

葉嶋ナノハさんの『椅子カフェ堂』はカフェ好きも、恋愛モノ好きも、イケメン好きも、とにかく癒されたいという椅子好き?も、どーんとこい!という、なんともおいしい太っ腹小説なのです!(新しい小説ジャンルきた!?)心がくじけそうなとき、誰かが手を差し伸べてても、自分も手を伸ばしてないと決して重なることはないんですよね。さあ、椅子カフェ堂がもたらす奇跡とは?その甘さに酔いしれてくださいませ。(個人的にはもう一つ候補になっていた『ななおさん』とW受賞にしたかったんですが、すでに『ななおさん』は出版社に書籍化されており、全話ネットで読めない状態でしたので、今回は泣く泣く…。ナノハさん小説はスーッとその情景が浮かぶ透明感のある文体。雨の日にピアノのレッスンにいく話も素敵だったなあ)

ぜひみなさま、葉嶋ナノハさんの『椅子カフェ堂』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい物語展開。満腹感の味わえる結末。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!

今回は、葉嶋ナノハさんの『椅子カフェ堂』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


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第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013)
けい『夢叶』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014)
河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015)
梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html
第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-398.html
第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017)
大海彩洋『清明の雪』『天の川で恋をして』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-425.html
第6回 自分的小説ブログ大賞 (2018)
空野みち『夏目さんと私』『夏目さんと私小話集』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-447.html


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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

私は5年半くらい前から物語ブログを始めたのですが、毎年個人的にお気に入りの小説ブログ様に自分て作った賞を勝手におくりたいと思いまして、こんな賞を作ってしまいました。名付けて…!

★☆自分的小説ブログ大賞☆★

生意気にすみません。賞品なんてありませんが…(苦笑)。

ちなみに、過去の受賞者・受賞作はこちら!

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第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html
第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-398.html
第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017) 大海彩洋『清明の雪』『天の川で恋をして』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-425.html
第6回 自分的小説ブログ大賞 (2018) 空野みち『夏目さんと私』『夏目さんと私小話集』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-447.html

超個人的な賞を快く受け取ってくれた受賞者様に、ただただ感謝です><。


しかし、まだまだ他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!

そこで気が早いのですが、早速今年版の準備をして行こうと思っていまして、ここにその候補作を見つけ次第、勝手に更新&紹介させて頂こうかと思っています。最終的に年末、こちらでUPした候補作の中から、今年の大賞を選ぶ予定です。(惜しくも大賞を逃した作品は、来年度の候補作品としてそのまま残ります)

良ければみなさんも、ちょくちょくこちら覗いてみて下さいね☆
読むものをお探しの方のソムリエ的な役割ができたら嬉しいです。

候補作のブログ様で「気持ちは嬉しいけど、自分は遠慮したいかも…」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除いたしますので、気にせず、言って下さいね^^


★ 第7回 自分的小説ブログ大賞 (2019)候補作一覧 ★

①お名前  :松原きのこ さん
 ブログ名 :『なついてくれてサンキューな』(休止中?)
 ブロアド :http://neboushitaze.blog.fc2.com/
 小説名  :『はぐれ者のおっさん』(短編小説)
 第1話  :http://neboushitaze.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
  選 評 :私が文部科学的な何か or 学校の先生だったら、夏休みの課題図書に推薦したいです☆

②お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『凍える星』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-669.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-671.html
  選 評 :小説ブログってこんなにレベルが高いんだ!私的「このミステリーがすごい!」作品☆

③お名前  :ヒロハルさん
 ブログ名 :『 三流自作小説劇場 』(休止中?)
 ブロアド :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
 小説名  :『それでも私を愛してくれますか』(長編小説/SF)
あらすじ  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-674.html
 第1話  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-675.html
  選 評 :衝撃のラストに、あなたは『それでも私を愛してくれますか』。SF×恋愛小説の切なさがここに!!

④お名前  :ぐりーんすぷらうとさん
 ブログ名 :『修羅の門・刻 夢小説』
 ブロアド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/
 小説名  :『limeさんの絵につけた超SSS』(ショートショート)
 作品アド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
  選 評 :普段は夢小説を書かれているぐりさんが②でご紹介したlimeさんと物語×絵コラボ。熱望してたオリジナル作品も期待を裏切りません!

⑤お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい物語展開。満腹感の味わえる結末。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!
小説名2 :『ななおさん』(中編小説/恋愛)
第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0nanaosan-top.html
選 評 :和菓子屋を営む壮介さんのもとに嫁いだ、ななおさん。わけあり『和』カップルの織り成す日常が優しい雰囲気で描かれています。これを読むと、いざ鎌倉着物デートしたくなります!なんと『ななおさん』は、アルファポリス様より書籍化!その関係で、現在冒頭数話と番外編のみUP。

⑥お名前  :小池安雲(agumo)さん
 ブログ名 :『小説カラスト』(休止中?)
 ブロアド :http://karasuto.x.fc2.com/index.html
 小説名1 :『フレイム・イン』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/framein/top.html
 第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/framein/00.html
  選 評 :行動派で頑張り屋の秘書課OLが主人公。彼女の意中の人がデキる男でまた素敵。オフィスラブものってあまり興味がなかったのですが、安雲さんの描く物語はオフィスラブ+aって感じで面白い!個人的にドラマ化向きだと思うんですけど、どうでしょうテレビ局さん。
小説名2 :『ブーメラン・ラブ』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/top.html
第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/1.html
選 評 :「フレイム・イン」で登場していた華英先輩が主人公。(話の時系列的にはこちらが先かな)彼女の社交術、学びたいです。でも、完璧女子じゃなくて恋愛下手なかわいい一面もあっていい。私の新たな憧れのヒロインになってくれました。

⑦お名前  :けいさん
 ブログ名 :『憩』
 ブロアド :http://meuniverse.blog10.fc2.com/
 小説名  :『セカンドチャンス』(中編小説/青春)
あらすじ:http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-274.html
 第1話  :http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-275.html
  選 評 :突如謎の青年に誘拐されてしまった新社会人(代議士事務所勤め)の主人公・策。彼は誘拐犯と奇妙な逃避行?を通じて、自分の中のセカンドチャンスと向き合うことになる…。誘拐から生まれる友情が誰かの心の傷を癒すかもしれない。第1回分的小説ブログ大賞受賞作『夢叶』のスピンオフですが、これだけでも充分楽しめますよ!



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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて4年半?くらい経ちました。2018年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません。特に今年は仕事に気力を奪われたり、体調を崩したり、うっかりしていたり)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第6回 自分的小説ブログ大賞 (2018)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-446.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、発表時点にネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2018年、『 第6回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!)

空野みちさんの『小説家になろう』で連載中の小説『夏目さんと私』 と 『夏目さんと私小話集』です!!!

今回もなんと自分的小説ブログ大賞、2作品W受賞(しかも同じ著者!)になります。おめでとうございます~!!

一昨年、昨年と引き続いてのW受賞になりましたね。(今回は正確に言うと、本編とそのスピンオフになるのかな)。時間ギリギリの発表になったのは今回の受賞作で読んでいなかった分をまとめてよんでいたため。ひき込まれて時間を忘れていたんですね。いや~、危ない危ない。年こすところだったよ。間に合ってよかったよ。でも、幸せな読書体験だったよ。

振り返ると、今年はいっぱい読書をしました。いっぱい読んで改めて気づいたことがありまして。物語って(内容の面白さはもちろんのこと)やっぱり登場人物の魅力ってとても大きいんだなと!(登場人物に魅力を感じないと、私は途中リタイヤするということがわかりました)

空野みちさんの『夏目さんと私』はどこか懐かしく切ない雰囲気が漂う中、登場人物たちが明るく物語を照らします。どこか憎めず、愛しい登場人物たち。彼らの魅力にぐいぐいひきつけられ、物語の世界にどんどんひき込まれていきます。名前も、いいんだな。(昨今のキラキラネームが苦手な方はぜひ)会話文もそうですが、すごくセンスを感じます!憧れ!

ぜひみなさま、空野みちさんの『夏目さんと私』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :空野みちさん
 ブログ名 :小説家になろう 『 空野みちさんのマイページ 』
 ブロアド :http://mypage.syosetu.com/25780/
あらすじ一覧 :http://ncode.syosetu.com/n5126g/
 小説名 :『 夏目さんと私』 (長編小説/恋愛)
 第1話  :http://ncode.syosetu.com/n5126g/1/
 小説名 :『 夏目さんと私小話集』 (長編小説/恋愛)
https://ncode.syosetu.com/n0521n/
選 評 :登場人物が魅力的で名前も素敵!森見登美彦さん(より個人的に好き!)を彷彿させる『和』感覚で小粋な文章。丁寧に紡がれる物語に、ただただ、続きが待ち遠しい。いつもなんていいところで終るんだ~、くうっ!!

今回は、空野みちさんの『夏目さんと私』と『夏目さんと私小話集』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


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第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
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第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-398.html
第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017) 大海彩洋『清明の雪』『天の川で恋をして』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-425.html


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私は4年半くらい前から物語ブログを始めたのですが、毎年個人的にお気に入りの小説ブログ様に自分て作った賞を勝手におくりたいと思いまして、こんな賞を作ってしまいました。名付けて…!

★☆自分的小説ブログ大賞☆★

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ちなみに、過去の受賞者・受賞作はこちら!

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第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
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第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
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第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017) 大海彩洋『清明の雪』『天の川で恋をして』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-425.html

超個人的な賞を快く受け取ってくれた受賞者様に、ただただ感謝です><。


しかし、まだまだ他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!

そこで気が早いのですが、早速今年版の準備をして行こうと思っていまして、ここにその候補作を見つけ次第、勝手に更新&紹介させて頂こうかと思っています。(2018年はうっかりしていまして今の時期に候補作一覧UPになってしまいました。発表までもうしばらくお待ちくださいませ。もしかしたら、候補作が増えるかも!?) 最終的に年末、こちらでUPした候補作の中から、今年の大賞を選ぶ予定です。(惜しくも大賞を逃した作品は、来年度の候補作品としてそのまま残ります)

良ければみなさんも、ちょくちょくこちら覗いてみて下さいね☆
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候補作のブログ様で「気持ちは嬉しいけど、自分は遠慮したいかも…」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除いたしますので、気にせず、言って下さいね^^


★ 第6回 自分的小説ブログ大賞 (2018)候補作一覧 ★

①お名前  :松原きのこ さん
 ブログ名 :『なついてくれてサンキューな』(休止中?)
 ブロアド :http://neboushitaze.blog.fc2.com/
 小説名  :『はぐれ者のおっさん』(短編小説)
 第1話  :http://neboushitaze.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
  選 評 :私が文部科学的な何か or 学校の先生だったら、夏休みの課題図書に推薦したいです☆

②お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『凍える星』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-669.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-671.html
  選 評 :小説ブログってこんなにレベルが高いんだ!私的「このミステリーがすごい!」作品☆

③お名前  :ヒロハルさん
 ブログ名 :『 三流自作小説劇場 』(休止中?)
 ブロアド :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
 小説名  :『それでも私を愛してくれますか』(長編小説/SF)
あらすじ  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-674.html
 第1話  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-675.html
  選 評 :衝撃のラストに、あなたは『それでも私を愛してくれますか』。SF×恋愛小説の切なさがここに!!

④お名前  :ぐりーんすぷらうとさん
 ブログ名 :『修羅の門・刻 夢小説』
 ブロアド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/
 小説名  :『limeさんの絵につけた超SSS』(ショートショート)
 作品アド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
  選 評 :普段は夢小説を書かれているぐりさんが②でご紹介したlimeさんと物語×絵コラボ。熱望してたオリジナル作品も期待を裏切りません!

⑤お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい物語展開。満腹感の味わえる結末。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!
小説名2 :『ななおさん』(中編小説/恋愛)
第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0nanaosan-top.html
選 評 :和菓子屋を営む壮介さんのもとに嫁いだ、ななおさん。わけあり『和』カップルの織り成す日常が優しい雰囲気で描かれています。これを読むと、いざ鎌倉着物デートしたくなります!なんと『ななおさん』は、アルファポリス様より書籍化!その関係で、現在冒頭数話と番外編のみUP。

⑥お名前  :空野みちさん
 ブログ名 :小説家になろう 『 空野みちさんのマイページ 』
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あらすじ一覧 :http://ncode.syosetu.com/n5126g/
 小説名 :『 夏目さんと私』 (長編小説/恋愛)
 第1話  :http://ncode.syosetu.com/n5126g/1/
 小説名 :『 夏目さんと私小話集』 (長編小説/恋愛)
https://ncode.syosetu.com/n0521n/
選 評 :登場人物が魅力的で名前も素敵!森見登美彦さん(より個人的に好き!)を彷彿させる『和』感覚で小粋な文章。丁寧に紡がれる物語に、ただただ、続きが待ち遠しい。いつもなんていいところで終るんだ~、くうっ!!

⑦お名前  :小池安雲(agumo)さん
 ブログ名 :『小説カラスト』(休止中?)
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 小説名1 :『フレイム・イン』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/framein/top.html
 第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/framein/00.html
  選 評 :行動派で頑張り屋の秘書課OLが主人公。彼女の意中の人がデキる男でまた素敵。オフィスラブものってあまり興味がなかったのですが、安雲さんの描く物語はオフィスラブ+aって感じで面白い!個人的にドラマ化向きだと思うんですけど、どうでしょうテレビ局さん。
小説名2 :『ブーメラン・ラブ』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/top.html
第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/1.html
選 評 :「フレイム・イン」で登場していた華英先輩が主人公。(話の時系列的にはこちらが先かな)彼女の社交術、学びたいです。でも、完璧女子じゃなくて恋愛下手なかわいい一面もあっていい。私の新たな憧れのヒロインになってくれました。

⑧お名前  :けいさん
 ブログ名 :『憩』
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 小説名  :『セカンドチャンス』(中編小説/青春)
あらすじ:http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-274.html
 第1話  :http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-275.html
  選 評 :突如謎の青年に誘拐されてしまった新社会人(代議士事務所勤め)の主人公・策。彼は誘拐犯と奇妙な逃避行?を通じて、自分の中のセカンドチャンスと向き合うことになる…。誘拐から生まれる友情が誰かの心の傷を癒すかもしれない。第1回分的小説ブログ大賞受賞作『夢叶』のスピンオフですが、これだけでも充分楽しめますよ!



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「世界が変わった 」

誰かのその一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。


    *


どうにかしたい。 望月(もちづき)くんのアレをどうにかしたい!

「真央(まお)、痛いんだけど…。私の髪、ひっぱりすぎじゃない?」

レイちゃんの言葉に我に返る。いかんいかん、今は親友の髪をうまく編みこんでかわいいヘアに仕上げている途中だった!

「ごめん、レイちゃん!」
「いいって、いいって。それより人の髪をいじってる時の真央ってすごい集中力なのに…。今、うわの空だったでしょう?なんかあった?」

さすが親友、私の様子がおかしなことにすぐ気づいたらしい。

「いや、たいしたことないんだけど…」

きっと私が気になるだけなんだ。

「最近、うちのクラス、席替えしたじゃない?私の前に座っている望月(もちづき)くんのことなんだけどさ…」
「え、もしや真央が恋愛相談!?」

早とちりしている親友を私は慌てて制した。

「違う違う。そういうんじゃないよ!」
「え、違うの?」
「ほら、前の席ってどうしても視界に入るでしょう?私、気になっちゃってさ」
「気になるって何が…?」
「望月くんの…そのアレが気になって」
「真央、あんたまさか?」

ごくり。

「望月くんのウザそうな髪をどうにかしたーーーーーーい!!」

放課後、高校の屋上で私の声が響き渡る。親友は被害を最小限におさえるため、自分の耳をふさいでいた。

「はいはい、髪いじりが好きなあんたはイロコイよりそっちでしたね」

レイちゃんは耳から手をはなし、ため息をついた。私はムッとする。

「レイちゃん、ことは深刻なんだよ!私のストレスフリーな毎日を返してほしいんだから!」
「あー、席替え前は野田(野球部男子)が真央の前の席だったもんな」
「うん、野田くんは素晴らしい後頭部だったよ!坊主頭があんなに似合う男子は中々いないよね!」
「…あんたのそれは髪フェチなの?頭部フェチなの?ただの変態なの?」

少し失礼な親友の発言はさておき、今は気になる望月くんだ。彼の(ウザそうな髪の)おかげで、私の高校生活はストレスを感じない日はない。望月くんは男子にしては長髪で、肩にかかるくらいの黒髪をしている(前髪も目にかかっているようだ)。校則が比較的にゆるいうちの高校でそれは特に問題ないんだけど、いかんせん、彼にその髪型がとても似合っていないのだ。もう、私のこの手で切って差し上げたい!だって、あれじゃ、ただのもっさりしたヤバいオタクだよ!?別にもっさりしたヤバいオタクが一概に悪い人ってわけではないんだけど…。

「きっとうちのおじいちゃんが望月くんを見たら、爽やかさが足りん!ってダメだしすると思う」
「真央のおじいちゃん、この街の立派な理容師だもんな」

そう。私のおじいちゃんはこの街の立派な理容師だ。

美容師じゃなくて理容師。理容師は床屋さんで働く人のことね。ほら、街を歩いていたら、ときどき見かけるでしょう?赤・白・青の三色の縞模様がくるくるまわってるやつ。あれはサインポールっていって床屋さんの目印。私の住んでいる街は関東圏内にあるとはいえ、都会と呼ぶにはほど遠いところ。特に有名でもなければ、観光名所なんてものもない。面白味のない街は若者離れがすすんでいく一方だ。ただ、さびれていくだけ。すたれていくだけ。でも、うちのおじいちゃんの床屋だけは違う。レイちゃんが立派な理容師と言ってくれるのにもきちんとした理由があった。

「なんたって゛世界が変わる床屋さん″だもんね」

親友の言葉に私はにっこりと微笑んだ。ちょっと胡散臭い宗教っぽいコピーだけど、これは決して嘘ではない。

昔たまたまこの街に映画撮影に来ていたある俳優さんが役柄に合わせるため、急きょ髪を切ることになり、近くにあったおじいちゃんの床屋にやってきた。おじいちゃんはその俳優さんの話を聞き、イメージを膨らませ、髪をカットした。それは俳優さんの新たな一面をひきだして今までにないハマり役、当たり役へと導いたのだ。目立たない脇役だったはずが、鬼気迫る演技と迫力に監督の心は動かされ、出番も倍増。その映画の重要人物となった。公開されると俳優さんの熱演が話題を呼び、映画は記録的ロングラン、興収を打ち出したという。なんでもその年の映画賞を総なめにしたらしい。俳優さんは受賞コメントで『髪を切った日から、自分の世界が変わった!』とうちの床屋を紹介してくれたのだ。゛世界が変わる床屋さん″のいわれはそこからなんだよね。

「お客さんは芸能関係から政治家、スポーツ選手に会社経営者、それから受験生まで。真央ん家の客層、幅広いね!」
「みんな、うちにきて験を担ぎたいのかな?」
「ただ幸せになりたいんだよ」

レイちゃんはふっと笑った。

「世界が変わるなんて大袈裟かもしれないけど、私は真央に髪をいじってもらうだけで、いつもちょっと幸せになるよ。たぶん自信をもらえるからだな。あ、それと昔から変わらないあんたの夢もいいなと思う。尊敬するおじいちゃんの床屋を継ぎたいっていうのも。真央ならできるよ!日々、色々な髪型を研究して勉強熱心。ヘアアレンジだけじゃなくて私の髪もまた切ってね!」

嬉しくなって、私は親友を後ろから抱きしめた。

「レイちゃん、大好き!」
「こら!髪をいじってる途中だろう?」
「もうできました!」

親友に大きめのハンドミラーを渡して、できあがったヘアスタイルの解説をする。

「くせっ毛ロングのレイちゃんの髪をすばやくへアイロンでゆるふわのパーマをかけたようにしました。サイドを少し編みこんで、全体を一つに束ねて、ちょいナチュラルヘアの完成です♪目鼻立ちがはっきりしたクールビューティーなレイちゃんも似合うかわいいヘアを目指しました。ちなみに、一見ゆるふわでも、簡単にほどけません!さあ、本日の放課後ビフォーアフター、いかがでしょう?」
「うん、いい感じ♪よーし、気合い入った。今日もドラムをめっちゃたたいて、みんなをしびれさせてくるわ!文化祭も近いしね!」
「レイちゃん、カッコいい!」

親友は軽音部の女ドラマーなのだ。

「女子をほれさせてもなあ。…あ、話は戻すけど、真央の言ってた望月くんってモッチーのことじゃない?」
「モッチー?」
「望月カケル。それなら軽音部のモッチーだよ」
「そうなんだ。望月くんって下の名前、カケルっていうんだ。苗字が望月なのに、名前で欠けちゃうんだね」

ちょっと不憫だ。

「あんたが気になるのはそこ!?同じクラスなら名前はフルネームで覚えてあげて。っていうか、軽音部情報はいらなかったんかい!?」
「いるいる。軽音部なら、ウザそうな髪もなんか納得だな。ミュージシャンってそういう髪型の人、多いもんね。まねしてるのかも」
「う~ん。モッチーの場合、そういうのではないと思うんだけど…。コピーバンドじゃなくてオリジナルだし。あいつ、いい曲かくんだよな」

私はヘアアレンジで使った道具を片づけながら、レイちゃんにふうんと返す。

「音楽のことはよくわからないけど、望月くんって瞳がきれいなんだよね。プリント受け取るとき、振り向きざまに一瞬見えたんだけど、あれは隠してたらもったいないよ!レイちゃん、同じ部活ならそれとなく伝えてあげて」
「そんなん言えるか!それとなく瞳がきれいだねとか超無理だわ!」
「レイちゃんはカッコいいから大丈夫だよ」
「…私、女子なのにどんだけイケメンなの、あんたの中で」

気を取り直して親友は立ちあがる。スラリとした足を制服のチェックのスカートから惜しげもなく披露した。

「あ、ちなみにモッチー、しばらく部活を休んでるから会わないと思う」
「え?」

見上げると、レイちゃんが手を差し出していて、まだ座っていた私を立ち上らせてくれた。ほら、こんなところがカッコイイ。女子なのに、紳士なんだから。

「バンド内でもめごとでもあったのか、しょぼくれてるってきいた。うちの部、人数多いからたくさんバンドあるんだよね」
「レイちゃんとは別のバンドなんだ?」
「うん。だから、あまり接点なし。席が近くなった真央のほうが機会あるかもね」
「私、そんなにしゃべったことないんだよなあ。仲良くもないのに、いきなり髪を切らせて下さいなんていえないし。望月くんも積極的に話をするタイプじゃなさそう」

レイちゃんはひらめいたように指を鳴らした。

「そこは未来の゛世界が変わる床屋さん″の腕の見せどころじゃない?」
「え?」
「しょぼくれてるモッチーの世界を変えてきな!」

そう意味ありげに親友は笑った。


    *


どうにかしたい。 望月くんのアレをどうにかしたい!

「真央、痛いんだが…。わしの髪、ひっぱりすぎじゃないかね?」

おじいちゃんの言葉に我に返る。いかんいかん、今はお店が終わった後のおじいちゃんの髪をとかしている途中だった!

「ごめん、おじいちゃん!」
「いいって、いいって。それより人の髪をいじってる時の真央はすごい集中力なのにな…。今、うわの空だったか?学校でなんかあったかね?」

さすがおじいちゃん、私の様子がおかしなことにすぐ気づいたらしい。(…ん?っていうか、このやりとりなんかデジャブだ)

「最近、うちのクラス、席替えしたんだけど、前の席の望月くんって男の子の髪が気になっちゃって。こう肩にかかるくらいの黒髪なんだけど、なんかもっさりしてて、うざそうなんだよね。本人に全然似合ってないの!」
「ふむ。それは一大事だな」
「だよね!おじいちゃんならわかってくれると思ってた!」

櫛笥する手が止まっていた私に、おじいちゃんはたずねた。

「でも、真央はどうして似合ってないと思ったんだい?」
「望月くんの瞳が見えた時があってね、きれいだったんだー。あれ、長い髪に埋もれててもったいないよ!」

おじいちゃんは笑った。

「髪にかける真央の情熱は並々ならぬものがあるからなあ。おじいちゃんも見習わんとな。こうやって仕事終わりに髪をとかしてもらうのも、初心を忘れないためのわしの大切な時間だ。でも、真央、その情熱を一概に人に押しつけてはいけないよ。髪は人の心をあらわしているから」
「え?」
「その坊主だって、瞳を、心を、隠したい理由があるかもしれんぞ?」

…瞳を、心を、隠したい理由…?

「まあ、本人に話をきかんことにはわからんがね。でも、真央、理容師を目指すなら、その人に合った程よい距離をつかめるようにならんとな」
「おじいちゃんは昔、俳優さんとの距離をうまくつかんで髪をカットしたの?そうして世界を変えたんだ?」

おじいちゃんは声を上げて笑った。

「世界を変えたなんて、そんな大それたことはしとらんよ。わしはあの人の話を、ただ聞いただけさ」

そうやっていつも謙遜する。決して偉ぶらない。驕らない。人と同じ目線で立ち、ただ話を聞くだけ。その穏やかな物腰と優しさに、今までどれだけの人が救われただろう。

「程よい距離か。う~ん、難しいね」

私が腕を組んでうなっていると、おじいちゃんが鋭いところをついてきた。

「真央は母親との距離もうまくつかめてないからなあ。難しいかもしれん」
「おじいちゃんは優しいけど、時々人の痛いところを突くよね」

私が頬を膨らますと、おじいちゃんは困ったように笑った。

「また早苗から連絡が来ていたよ。ロサンゼルスに遊びに来なさいとな。ようやっと、あいつも余裕が持てるようになったんだろう」

私の母は世界で活躍するヘアメイクアーティストだ。その夢を叶えるために、昔、私をここに置いて行った。父親が誰かもわからない私を大切に育ててくれたのはおじいちゃんと亡くなったおばあちゃんだ。

「う~ん、そのうち遊びに行くよ」
「また、そのうちか。真央のそのうちは保留の意味だからな」

バレてる!?

「真央」

おじいちゃんは私に向き直り、はっきりと告げた。

「言いたいことの一つや二つ、早苗にぶつけてきなさい。お前は早苗にそうする権利があるんだから。思い切り今までの鬱憤をはらして来ればいいんだ。なんなら、あばれてきたっていいぞ」

おじいちゃんはお母さんのことになると、妙にアグレッシブになる。きっと母親に対してどうしていいかわからない私のかわりに、そうしてくれてるんだ。

「あはは!ありがとう、おじいちゃん。そうだね。そのうちそうしようかな」
「そのうちか」

おじいちゃんの言うとおり、私はまだ母親との距離をうまくつかめていない。もしかしたら、つかむ気がないのかもしれない。自分のことなのに、そのへんはよくわからない。まだ考えたくないのかもしれないや。

「今は目の前にいない人より、いる人の方が気になるよ!」
「…望月さんとこの坊主か」

おじいちゃんは聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟いた。

「あの坊主なら、案外ぶつかっていった方がいいかもしれんな」


    *


どうにかしたい。 望月くんのアレをどうにかしたい!……そう思っていたんだけど。

「望月くん、本当にごめんなさい!」

胸が痛い。まさかこうなるとは思わなかった。放課後、文化祭の準備中にペンキを運ぼうとしたら足元で作業していた望月くんに気づかず、ぶつかってペンキをかけてしまったのだ。

「しかも頭からぶっかけるなんて…どんなコントよ?」

隣にいたレイちゃんのツッコミに返す言葉もない。少し失礼な親友は笑いをかみ殺している。とにかく望月くんを水道まで連れて行って、髪についたペンキの汚れを洗い流す手伝いをした。

「どうしよう。ちゃんと全部おちるかな?」
「モッチー、大丈夫?…っていうか、真央!あんた、まさか確信犯じゃないよね?」
「ち、違うよ!!」

思いが募りに募り、あわよくば、髪を切れるんじゃないかと思ってわざと望月くんにペンキをかけたとか、そんなんじゃないからね!念のため!!

「本当にごめんなさい、望月くん!!」

私は自分の持っていたタオルを渡し、頭を下げて何度も謝った。それしかできない。望月くんは力なく笑った。

「大丈夫だよ。…でも、一瞬、世界が変わったかと思った。ペンキの青に視界が染まったから」

あー、そんな意味で「世界が変わった」なんて言わせたくなかったのにっ!!

「ちょっと真央、『しょぼくれてるモッチーの世界を変えてきな!』って私も言ったけどさ、余計にしょぼくれさせてどーすんの?」

レイちゃんのさらなるツッコミに本当返す言葉もなかった。あー、ここにおじいちゃんがいたら、「…わしもそんな意味でぶつかれって言ったんじゃないんだがなあ…」って言われるに違いない。唯一、救いだったのはすぐに水道に向かったおかげで、彼の髪についたペンキの汚れをどうにか洗い流せたことだ。

「目はペンキ入ってない?大丈夫!?」

心配する私に望月くんは安心させるようにほほ笑んだ。

「それは平気。髪に守られたっぽい…」

この時ばかりは彼のウザそうな髪に私は感謝した。ありがとう、望月くんの髪!鉄壁のガードだったよ!!

「良かったー。望月くんの瞳が無事で…」
「へ?」
「望月くん、瞳がきれいだから。良かったーと思って!」

ほっとする私に望月くんは言葉を失っていた。レイちゃんが横から「真央、すげー。今さらっと言った!」とヒューッと口笛を吹く。

「……深海(しんかい)は、俺の目を見たことあるんだ?」
「え?」
「こわくなかった?」

望月くんは何を言っているのだろう?あ、ちなみに深海(しんかい)は私の苗字ね。フルネームは深海真央(しんかいまお)。

「こわい?なんで?」

私が首をかしげていると、レイちゃんが「ちょっと失礼!」と望月くんに近づいて、彼のぬれた前髪にふれた。そして、顔をのぞきこむ。

「そういうことか」

親友はさして興味もなさそうに言った。望月くんはレイちゃんの手をはたく。

「もしかして望月くん、瞳の色が左右で違うことを気にしてるの?」

私が聞くと、彼は顔を伏せてしまった。望月くんは瞳の色が左右で違う。右は灰色がかった黒、左は濃い茶。たぶんオッド・アイというやつだろう。私はおじいちゃんの忠告を思い出した。

― 真央、理容師を目指すなら、その人に合った程よい距離をつかめるようにならんとな ―

「そんな。すごくきれいなのに…」
「きれいなんかじゃないよ」

もしかしかたら踏み込みすぎたかもしれない。でも、もう遅い。失敗なら、ぶつかってペンキをかけてしまった時点でしている。こうなったら開き直るしかない。

「そんなことない。やっぱりすごくきれいだよ!」
「………」
「レイちゃんの次くらいに!」
「は?」

私の意外な台詞に、望月くんは顔を上げた。

「ぷっ。あはは、真央ナイス!悪いね、モッチー。私の次くらいにきれいだってさ」

横にいたレイちゃんは吹き出し、ぽかんとする望月くんの肩をたたいた。

「あのさ、モッチー。悪意や偏見、もしくは同情あたりを真央に期待しないほうがいいよ。真央の場合、あんたの瞳がきれいって本気で思ってるから。この子にはあんたがコンプレックスに感じてるところも美点にしか見えないんだ。私も最初会ったとき、自分のこの外見のせいでみんなに変な目でみられたけど、真央だけ『キレイだね!カッコいいね!』って声をかけてくれた。『髪、いじらせて!もっとカッコよくするから。かわいくもできるよ!』って散々つきまとわれてさ…」
「散々つきまとわれてって?もしやレイちゃん、嫌々つきあってくれてたの!?」

だとしたら衝撃の事実だ。親友は安心させるように私の頭を撫でる。

「そんなわけないじゃん!真央のこと、大好きだし」
「レイちゃん!」

私は親友に思い切り抱き着いた。

「私たち、相思相愛だね!」
「カップルかよ!?」

私たちのやりとりをみていた望月くんは呆れていたけど、やがて納得したようにレイちゃんに向き直る。

「そうか。お前、ハーフだもんな」

レイちゃんはふっと笑った。彼女の本名はレイチェル・エヴァンス。イギリス人のお父さんと日本人のお母さんをもったハーフだ。出会った時、レイちゃんは黒髪なのに、外国人の影を色濃く残した彫りの深い顔だちを気にしているようだった。

「そうだよ。ちなみに、真央に言わせたらハーフなんて『目鼻立ちはっきりとしたクールビューティー』程度の外見らしいし。下手に気負う必要ないって気づかされたわ」

レイちゃんはおかしそうに笑った。私の何気ない一言が親友を救っていたのだろうか?

「モッチー、あんたが軽音部を休んでるのも、その目が関係してるの?」

レイちゃんの問いに望月くんは顔をそむけた。どうやら図星のようだ。「白状しな」というレイちゃんの気迫に負け、望月くんは重い口を開く。

「…目をみられたんだ、バンドメンバーに。そうしたら次の日あいつらみんなして左右色違いのカラコンつけて俺の前にあらわれた」

そうだったんだ。

「それはモッチーをからかうために?それとも、目のことを気にしてるあんたとわかりあうために空回っちゃった感じ?」
「知らない。どっちにしろ気分が悪かった」
「だろうね」

望月くんの気持ちをレイちゃんも察したらしい。悪意や偏見、同情は本人を傷つけ、これ以上そうならないようにその人の心を深いところに隠そうとする。いつの間にか鉄壁のガードを作ってしまったんだ。

「そっか。みんな距離をつかむのが下手なのか」

黙り込んでしまった二人に変わって私は自分の話をすることにした。

「私、おじいちゃんに言われたんだ。理容師になりたいなら、人との距離をつかめるようにならないといけないって。真央は母親との距離をうまくつかめてないから難しいかもしれないって。私のお母さん、ロサンゼルスに住んでて遊びに来いって言ってるんだけど、私どうしていいかわからないんだよね。仕事を選んで、昔おじいちゃん家に私を置いて行った人とどう向き合えばいいかわからない。正直、自分自身が怒っているのか、悲しんでるのかもよくわからないんだ」
「……真央?」
「だってお母さん、愛情がないのかと思えば、誕生日やクリスマスには必ずプレゼントを送ってくるし、最近は遊びに来い来いうるさいし、どうも私が髪いじるの好きなの知ってるらしくて、外国のヘアカタログとかヘアメイクの本とかやたら送ってくるし。なんか半端に関わろうとするんだもん」

望月くんが苦笑した。

「なんか俺たち、みんなどっか半端だな」

そうかもしれない。レイちゃんのハーフも。望月くんの瞳も。片親しかいない私のお母さんとの関係も。

「でも、このままじゃ、やっぱりいけないのかもしれないね」
「深海?」
「おじいちゃんがね、言いたいことの一つや二つ、お母さんに会いに行ってぶつけてきなさいっていうの。どうかと思ってたんだけど、そうしてみようかな」

レイちゃんと望月くんが優しく微笑んでくれた。それに勇気づけられるように私は続けた。

「よし、今から!」
「「今から!?」」

ふたりは驚いたように同時に声を上げた。

「え、今から母親に会いに行くの!?」
「今からロサンゼルスに!?」

私の突然の発言にふたりは戸惑っていた。無理もない。私は両手を横に振った。

「違う違う。直接行くんじゃなくて、今から電話をかけようと思って。お母さんにいいたいことができたから」
「なんだ、電話か―。良かったー。時々、真央、とんでもない行動派になるからさー」
「俺も焦った。あんまり話したことなかったけど、深海、意外に突拍子もないな!」

安堵するふたり。まだまだ話は終わらないんだけどね。私はあることを提案してみた。

「たぶん留守電に残すことになると思う。お母さん、忙しい人だから。でね、私が電話をかけたら、望月くんもバンドメンバーとぶつかってきてほしいの。きちんと話し合ってきて」
「はあ!?」

素っ頓狂な声を上げる望月くん。そりゃ、そうだよね。よくわからない巻き添えをくらってるんだから。「いいじゃん、モッチー!」と、レイちゃんが指を鳴らす。

「そうしなよ。このまま、部活を休んで文化祭であんたがバンド演奏しないの、もったいないと思ってたんだー。もしバンドメンバーと話し合ってもうまくいかないようだったら、私があんたとバンド組むよ。今のバンドとかけもちになるけど、それでもいいならさ」

レイちゃんは人をのせるのがうまい。自分の価値を知っていて、相手にとって旨味のある話にもっていく。

「マジか!?」
「うん。あんたの曲、いいからね。他にモッチーとバンド組みたいやつ、絶対いると思うんだ。あんた、ギター&ヴォーカルだっけ?私がドラムで、あとベース見つけりゃ、なんとかなるでしょう!」

望月くんは即決した。

「話にのった。お前のドラムの腕、男顔負けだからな」

女子だけでなく、男子もドラムでしびれさせていたとは!

「レイちゃん、カッコいい!」
「真央は本当そればっか。カッコいいは男子に使ってあげて」
「そっか。えっと、覚悟を決めた望月くんもカッコいいよ!」
「なんか俺、とってつけられたな」
「私の次にカッコいいんだからしょうがないって。モッチー、あんたも中々悪くないと思うから。しょぼくれるなよ」
「しょぼくれてねーし!イケメン女子に励まされたくねーし!」
「じゃあ、決まりね!」

私は笑ってケータイを取り出した。初めてお母さんに電話をかける。案の定、留守電だった。咳払いをして少しもったいつける。

「もしもし、お母さん。真央です。遊びに来いって言ってるけど、私に会いたいならお母さんが会いに来ればいいんじゃないかな?もうすぐ高校の文化祭なの。カッコいい友達のバンドのヘアとメイクを担当するつもり。何気に私、メイクも勉強してたんだよね。別にお母さんの影響じゃないよ。それじゃ、文化祭で待ってるから!」


    *


「 世界が変わった 」

誰かのその一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。


    *


文化祭当日。バンド公演待ちの舞台裏。控室となっている教室で私はヘアメイクに燃えていた。

「結局、坊主のバンド仲間は坊主をからかってただけだったのか?」
「うん。望月くん、ちょっと落ち込んでたんだけど、その怒りをパワーにかえて、いい曲がかけたみたい。レイちゃんたちとバンド組んで、すぐ元気になっちゃった。あ、おじいちゃん、そこのアメピンとって」

なんと孫の晴れ舞台(裏方だけど)におじいちゃんが、床屋を休みにして、かけつけてくれた。

「はいよ。きっと坊主にとって今のバンド仲間に会うための必要な流れだったんだろう。人間つらい時こそ、底力がでるってもんさ。いいものができる。こりゃ、バンド演奏が楽しみだな。…それにしても、レイちゃん、えらいべっぴんさんになったな」
「ありがとうございます、真央のおじいちゃん。でも、きっとお孫さんの腕がいいからですよ。これも血筋ですかね!」

おじいちゃんをうまく持ち上げるレイちゃん。

「そうかね、そうかね。そう思うかね。実はわしもそう思っているんだ。真央は中々センスがあってだな」

おじいちゃんも親バカならぬジジバカ振りを発揮している。

「お前、くちうま。本当イケメン女子だな」

レイちゃんの口の上手さにあきれる望月くん。なんだか最近、私の毎日はとても賑やかだ。

「モッチー、かまってもらえないからってしょぼくれんなよ。準備はできたの?」
「準備も何も衣装なんて制服のままじゃん!なあ、須賀(すが)やん?」

ベースは須賀くんという背の高い男の子。望月くんやレイちゃんには須賀やんと呼ばれている。ベースは募集をかけたら、須賀くんが速攻名乗り出てくれたらしい。ぱっと見、「自分、不器用なんで」って言いそうな寡黙な男子。でも、演奏は「全然不器用じゃねえ!」と望月くんとレイちゃんが口をそろえていた。「すごいやつ、きた!!」とも。

「衣装はみんなで話し合ったでしょうが!」

バンド演奏は校風もあってか自由に各バンド決めていいことになっている。最初は奇抜さやスタイリッシュさを狙っていこうと話し合っていたんだけど、うちで色々なへカタログをみてみんなで話し合っていたら、おじいちゃんが「10代の爽やかさをいかさんでどうする?それがお前らの今、最強の武器だぞ」とアドバイスしてくれた。望月くんのかいた曲も「ソーダ水の炭酸がシュワシュワはじける感じ」とレイちゃんが評してたので、爽やかさをうるのもありかもしれないと制服でいくことにした。

指定の茶のブレザーに緑と赤のチェックのパンツとスカート。ちょっとダサかわいいおしゃれ感を出したくて、みんなでおそろいの丸メガネをかけることにした。レイちゃんのヘアはゆるい三つ編み。地味めの髪型が美人度をよりひきたてている。(しかも、ここぞって時に三つ編みをほどけば、キレイなパーマが広がるようにセット)須賀くんは丸メガネのおかげで堅そうな雰囲気が柔らいでちょっとかわいくなったかな。…望月くんはメガネをかけたところで前髪が長すぎて意味がないんだけどね。

「レイちゃんはウィッグつけて男装する案もあったけど、これでよかったかもね!やっぱカッコいい女ドラマーっぷりをみてもらいたいし」
「それ以上、イケメン女子になってどうするんだよ」
「ひがむな、しょぼくれ男子!」

言い合いになる望月くんとレイちゃん。仲がいいなあ。そこで須賀くんがまさかの好アシストをみせてくれた。

「……望月は髪を切ったほうがいいんじゃないか?」
「え?」
「爽やかな曲をかいたのに、お前が一番爽やかじゃない」
「本当それ!モッチー、本番前に真央に髪を切ってもらったほうがいいって。なんたって真央は未来の゛世界が変わる床屋さん″なんだから。ですよね、真央のおじいちゃん?」

レイちゃんが意味ありげに笑った。おじいちゃんが「まだわからんが、まあ候補かな」と片目をつむる。嬉しい!思わず涙ぐんでしまった。おじいちゃんは理容師になることには特に反対してないけど、私がお店を継ぐことに関しては決してふれなかったから。こんなに嬉しいことはない!!

「わ、わかったよ!…深海、少しだけなら俺の髪を切ってもいいぞ?」

なんで私が涙ぐんでいるのかよくわからなかったのだろう。望月くんがあたふたする。彼もなんだかんだと優しい人だ。

「ありがとう!でも、時間がないから望月くんはおじいちゃんに髪を切ってもらったほうがいいよ。私、レイちゃんのメイクが残ってるし」

その時、教室のドアが突然開いた。

「やっと見つけた!!」

その人は荒い息で、ひたいの汗をぬぐう。なのに完璧なメイクが崩れていないのは職業柄だろうか。

「お、お母さん!?」
「さ、早苗!?」

私とおじいちゃんは同時に声を上げた。まさかお母さんが本当に帰ってくるとは…!

「話は聞かせてもらったわ。レイちゃんのメイクは私にまかせて。真央はそこの男の子を変身させなさい!」
「え、でも…」

お母さんはヒールの靴をカツカツ鳴らしながら、親友に近づき、にっこりと挨拶をする。

「あなたがレイちゃんね。娘がお世話になってます。いつもあの子に良くしてくれてありがとう!っていうか、あら、あなたクールな美人ね。しかも、すっぴんでここまでキレイな子も中々いないわよ!?でも、私の腕にかかれば、もっとカッコよくもかわいくもなるからまかせて!」

レイちゃんの長めのまつ毛が瞬く。

「絶対、真央のお母さんだ。顔も性格もそっくり!」

少し恥ずかしい。

「留守電にあったカッコいい友達っていうのはそこの背の高い子かしら。…あら、私好みの渋めな男の子ね」
「は?」

お母さんの勘違いに須賀くんは目をぱちくりさせている。私が留守電で友達の名前を明かさなかったせいで、須賀くんにとんだ被害を…!

「あら、須賀くんっていうの。真央のこと、よろしくね!お父さん、真央のカッコいい友達の髪をお願い。ツーブロックのオールバックとか、いいんじゃないかしら?床屋、休みにして来たんだからいいでしょう?手伝ってよ。真央の彼氏候補ですって!」
「なにー!?」

おじいちゃんまでとんだ勘違いに発展だ!唖然とする私をお母さんが叱り飛ばした。

「こら、真央、何してるの!出番までもうすぐなんでしょう?あんたはそのモサ男(オ)くんをなんとかしないと!!」
「は、はい!」
「…モサ男って俺か!?」

私はレイちゃんから離れ、望月くんの後ろについた。彼もひそかにダメージを受けているらしい。

「深海家3代の手でヘアカットやメイクをしてもらえるなんて。あなたたちが初よ。ラッキーね!」

もうお母さんが来てからのこの流れ、わけわかんないよ!でも、望月くんの髪をいじれるのは今しかない。気が変わらないうちに私は素早く彼に散髪ケープをつけた。

「大丈夫よ、望月くん。今日でモサ男は卒業だから!私にまかせて!」
「…お、おう」

私が持っている鋏(はさみ)は家庭で散髪できる市販のものだ。まだ理容師にはなれてないから、おじいちゃんが持つような立派な専用の鋏は持っていない。でも、今の私にはこれがあっている。これで充分だ。

リズミカルに踊る鋏。シャキシャキと心が弾む音。もさもさした長髪は嘘のよう。はらはら舞い散る花びらのよう。彼の新しいイメージに近づいていきますように。ちょっとだけでも幸せになってもらえたらいいな。彼の自信になってくれたら―。

「できた?」

切り終わると、鉄壁のガードとさよならした望月くんのきれいな瞳とぶつかった。瞬間、なぜか何も言えなくなってしまう。かろうじて頷くと、みんなが集まってきた。

「お、望月が爽やかになった!」
「やっと若者らしくなったな、坊主。すっきりしたじゃないか!」
「あら、自然なマッシュが似合うじゃない。中々イケメンね!」
「まあ、カッコよさは私に劣るけど、悪くないんじゃない?」

みんなの素直な感想に望月くんは照れくさそうだった。

「なんか首もとがスース―する」
「モッチーの感想はそれだけ?」

レイちゃんが腕で小突くと、望月くんは私を見て笑った。

「世界が変わった…かもしれない」

誰かのその一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。

「ありがとな、深海」

…そう思っていたんだけど。胸が高鳴る。 

「あれ?」

一緒に私の世界が変わった、そんな気がした。






=====================================


=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ ストレイテナー『Merodic Storm』 × ラジオドラマ『黒ヤギは眠らない』 ★

更新がおろそかになっており、申し訳ありません。ふとストレイテナー『Merodic Storm』をきいたところ、青春モードスイッチが入り、このような物語ができあがりました。なので、タイトルもそれから。テナー、いいですね。色々な物語が生まれる予感!ちなみに、男の子のヘアは成田凌さんの髪型を参考にしました。なりたい男子の髪型っていったら、なんとなく彼が思い浮かびました。

① ストレイテナー『Merodic Storm』
https://www.youtube.com/watch?v=MtoAJF-jQjE
メロディの美しさや疾走感、まさに『Merodic Storm』って感じの音楽です。聞いた瞬間、青春している少年少女たちが私の中で駆け出しました。彼らを追いかけていたら、思いのほか長めの短編になってしまいましたけど。物語で書けなかったモッチーたちのバンド演奏はこの曲のイメージです。

② ラジオドラマ『黒ヤギは眠らない』
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15436588
何気に朗読やラジオドラマ好きです。アマチュアの方?が創作しているラジオドラマの中で一番好きなのがコレ。主人公の女の子の声の透明感ハンパない(私もこんな声に生まれたかった!)。お話も素敵!優しい主人公にまわりにいるあたたかな家族や友人。面白い物語は脇役も光ってるなと思う。お気に入りです。


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神様に愛された人間というのがいる。

才能にあふれ、まるで約束されたかのように表舞台に颯爽と登場し、人々の賛辞と脚光をあびる人間が。

反対に、神様に愛されない人間というのもいる。

たいした才能もないくせに、夢を追いかけ、神様に愛された人間の前で立ちつくすことしかできない憐れで滑稽な人間が。

俺は一体、どっちだったろう?  


    *


「あなたのピアノは完璧ね」

いつも正解を引き当てる。きっとあなたの性格が出ているのね、と先生はいった。あの頃、ジュニアのピアノコンク―ルで入賞常連だった俺は先生のそんな評価すら誉め言葉だと思っていた。笑える話だ。

「とてもコンクール向きだと思うわ」
「ありがとうございます、先生!」
「でも、神様に…」

その先に続く先生の言葉をこの時の俺はまだ知らなかった。それが幸せだったのか、不幸せだったのか、一人の少年に出会ったことで知ることになる。

名前はユウキ。

近所に越して来たばかりのはにかみやの少年で、ある日、俺のピアノの音につられてやってきた。

「お兄ちゃん、何してるの?」

うちの一軒家の窓ガラスにユウキはベタッと貼りついていた。普段はにかみやの少年がなぜか物々しく俺を凝視する。そのギャップに俺は笑ってしまった。

「ピアノを弾いてるんだよ」
「ピアノって、その黒いやつ?」
「そうだよ。いい音だろ?」
「うん、キラキラしてる」
「キラキラ?」

別にこの時の俺はモーツァルトの「きらきら星変奏曲」を弾いていたわけじゃない。まあ、表現はつたなくてもユウキがまだ小さいなりに俺の演奏を誉めてくれたことはわかった。

「ありがとう。嬉しいよ。俺がつくった曲なんだ」
「え、お兄ちゃんがつくったの?」
「そうだよ」

コンクールの課題曲、自由曲は全て準備した。それこそ、ぬかりなく完璧に今回も。だから、この時の俺はちょっと息抜きをしていた。自分の中であふれる熱をもてあましていたのかもしれない。あの頃の俺は神童と呼ばれていたから。楽譜を開けば、正確なメロディが頭の中に流れ出す。どう演奏すればいいか作曲家たちは適格に教えてくれる。難解と呼ばれるバッハでさえ神童はその熱でのみこんでいた。

「すごい!僕もそれ、やりたい!!」

はじめて自分でつくった曲をほめられて、うかれていたのかもしれない。俺もしょせんはガキだった。ユウキとそんなに年もかわらないガキだったのだ。

「いいよ。教えてあげるよ。こっちにおいで」

俺は少年を手招いた。

「おまえ、名前は?ちゃんときいたこと、なかったよな」
「ユウキだよ。お兄ちゃんは?」
「俺?俺は、そうだなあ。ハーメルンとか?」
「ハーメルンってお兄ちゃん、外国人だったの?髪は黒いし、目も青くないよ!?」
「日本人だって。ユウキが俺のピアノの音につられてやってきたからそう言ってみただけ。ハーメルンの笛吹きのピアノ版みたいなもんだろう…って、あれはあんまりいい話じゃなかったんだっけ?」

冗談めかしてそういうと、ユウキはなぜかはにかんだ。

「だって、キラキラしてたから。今まできいた中で一番きれいだったから」

俺は嬉しくなり、ユウキの頭をくしゃくしゃと撫でた。すぐに俺たちは仲良くなった。でも、数時間後ユウキはそのはかりしれない才能で、あっさり神童ハーメルンを越えていった。

「わあー、ピアノってけっこう簡単なんだね!」

彼のあふれる熱に、俺は容赦なくのみこまれた。

この日から、俺はおかしくなった。楽譜を開いても頭の中にさっぱりメロディが流れてこなくなったのだ。作曲家たちはそろってそっぽを向き、何も語らなくなった。本当の神童の存在に気づき、そっちに行ってしまったのかもしれない。俺はあっけなくピアノが弾けなくなってしまった。先生に相談すると、彼女はユウキを自分のレッスンに誘いだした。「ユウキくんは天才ね。きっと神様に愛された人間なんだわ」と目を輝かせ、俺に見向きもしなくなった。ユウキはコンクール入賞の常連と化し、プロの声がかかった。

「なんで?」

なんでユウキがそうなるの?しかも神様に愛された人間ってなんですか、先生?ユウキは俺から奪っただけなんだ。しょせんは俺の後釜でしかないじゃないか。そんなやつが神様に愛されるなんて

「おかしいだろう?」

きっとユウキがプロなんてそんな大舞台に立ったら、急に足が竦んじゃったりするんだ。演奏どころじゃなくなるんだ。すぐにあいつの化けの皮が剥がれる。

「お兄ちゃん、どうしてピアノを弾かなくなったの?」

お前のせいで弾けなくなったんだよ。

「お兄ちゃん、僕の演奏会に来てくれるよね?」

ああ。

「もちろん」

行って、この目でお前の無様な姿を見てやるさ。

「楽しみにしてるよ」

でも、ユウキは演奏会で大成功をおさめた。観客席で無様な姿をさらしたのは俺だった。


    *


神様に愛された人間というのがいる。

才能にあふれ、まるで約束されたかのように表舞台に颯爽と登場し、人々の賛辞と脚光をあびる人間が。

反対に、神様に愛されない人間というのもいる。

たいした才能もないくせに、夢を追いかけ、神様に愛された人間の前で立ちつくすことしかできない憐れで滑稽な人間が。

俺は一体、どっちだったろう?  


    *


時は経ち、大人になった俺のもとにずっと連絡を取っていなかったユウキから一通の手紙が届いた。封を開けると、チケットだけが入っていた。

「あいつの日本公演のチケットなんていらねえよ。簡単に手に入らないプレミアものでも」

誰かに高く売りつけてやろうかと思ったが、結局行くことにしたのは自分の中で踏ん切りをつけたかったのかもしれない。俺はもうピアノに対して、音楽に対して、未練なんて何一つないこと。

「せいぜいお前は神様に愛されてればいいさ」

ユウキの日本公演は大盛況のようだった。会場となる大きなホールは満員で、外もチケットを手に入れられなかった人々で埋め尽くされていた。そんなやつらを横目に会場に入り、自分の席を見つけ、ユウキのプログラムを確認して驚いた。なんだ、この統一感のないバラバラな曲目は。しいて言えば、難曲をただ並べているだけ。想像して、軽く胸やけを起こした。クラシックの名だたる作曲家たちが泣くぞ。こんなのを俺に聞かせたかったのかよ。でも、ユウキが俺を呼んだのは別にそれらを聞かせるためではなかった。

アンコールの一曲だけだった。

拍手の中、舞台に戻ってきたユウキは昔のまま、はにかんでいた。そのかわらない姿に少し苛立ちを覚えていると、ふと彼は視線を彷徨わせ、俺と目を合わせたような気がした。そして何かを呟く。それから視線を戻してピアノの前に座ると、髪を振り乱して弾き始めた。

「…なんだよ、これ」

彼のあふれる熱に、俺は容赦なくのみこまれた。

― お兄ちゃん、何してるの? ―
― ピアノを弾いてるんだよ。いい音だろ? ― 
― うん、キラキラしてる ―

お前は、何を弾いてるんだよ。

― ありがとう、嬉しいよ。俺がつくった曲なんだ ―

初めてピアノを教えた日にしかその曲は弾いてないはずだろう?なんで覚えてるんだよ!

― すごい!僕もそれ、やりたい!!―

やめてくれ。クラシックの名だたる作曲家たちが本気で泣くぞ。

― だって、キラキラしてたから ―

 弾く直前、あいつは何かを呟いた。

『今まできいた中で一番きれいだったから』

俺は手で顔を覆った。苦笑した。いや、泣き笑いもいいところだった。確かに、俺は神様に愛されなかったのかもしれない。でも…

「神様に愛された人間に、俺はこんなにも愛されていたんだな」

一体、自分は何をこだわっていたというのだろう。

― お兄ちゃん、どうしてピアノを弾かなくなったの? ―

もうどうでもよくなったよ、お前のおかげで。

演奏が終わったら、ユウキに会いに行こうと思った。
それからピアノの前にもう一度座って、自分の中のメロディに耳をすましてみよう。

いつかまたあいつを導くハーメルンになれるかもしれないから。



=====================================


=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
★ ドラマ『重版出来』
★ YURI on ICE『Yuri On Ice』

おそすぎかもしれませんが、今年もよろしくお願いいたします。今年、最初の物語はこれになったかーという感じです。なぜ、これになったのか。書きたいものは他にもたくさんあるはずなのに。物語の声に自分がさっぱり追い付けてません。

① 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
https://www.amazon.co.jp/%E8%9C%9C%E8%9C%82%E3%81%A8%E9%81%A0%E9%9B%B7-%E5%B9%BB%E5%86%AC%E8%88%8E%E5%8D%98%E8%A1%8C%E6%9C%AC-%E6%81%A9%E7%94%B0%E9%99%B8-ebook/dp/B01LPWS4X6/ref=sr_1_1?s=dvd&ie=UTF8&qid=1518714687&sr=8-1&keywords=%E8%9C%9C%E8%9C%82%E3%81%A8%E9%81%A0%E9%9B%B7
直木賞受賞、おめでとうございます!恩田ファンは嬉しいです。クラシック知識満載の感動作!

② ドラマ『重版出来』
https://www.amazon.co.jp/%E9%87%8D%E7%89%88%E5%87%BA%E6%9D%A5-DVD-BOX-%E9%BB%92%E6%9C%A8%E8%8F%AF/dp/B01GZPDB4A
一話完結ドラマ。その中で忘れられない物語があって。プロ漫画家になれず、何年も漫画家のアシスタントとして、もがき続ける男(ムロツヨシ)の前に新人漫画家(永山絢斗)が現れます。新人漫画家の才能に打ちのめされ、男はある事件を起こし…。終盤、自分の漫画をはじめて認めてくれたのは誰だったのか。そのことに気づいたムロさんが切ない。

③ YURI on ICE『Yuri On Ice』
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30288572
この曲を聞いて生まれた物語。私の中でピアニストになった少年がアンコールで弾いていたのはこのイメージ。このピアノ曲、凄く好きです。恩田さんの『蜜蜂と遠雷』を読んでいた時、名だたる作曲家の名曲ではなく、ずっとこの曲が私の中でなぜか流れていました。(クラシック、詳しくなかっただけか)そう言えば、オリンピック団体のアイスダンスの演技にも使用されていて素敵だったな。


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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて4年半?くらい経ちました。2017年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません。特に今年は仕事に気力を奪われたり、体調を崩したり)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-404.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、発表時点にネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2017年、『 第5回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!)

大海彩洋さんの小説ブログ『コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』で完結済の小説『清明の雪』 と 『天の川で恋をして』です!!!

今回もなんと自分的小説ブログ大賞、2作品W受賞(しかも同じ著者!)になります。おめでとうございます~!!

なんでこんな異例の事態になったかと言うと…。

みなさんは物語を読まれるときに、一体どのような読み方をされていますか?私は好きな物語に出会うとその作家さんがお気に入りとなり、作家読みをしてしまうタイプ。だから、同じ著者で好きな物語が増え、自分的ブログ大賞で2作品選ぶ現象がおきてしまうのかも。

大海彩洋さんとの最初の出会いは『清明の雪』 。その頃、私はまだネット小説初心者で色々な小説ブログサイトを渡り歩いていました。ブロともさん経由でたどりつき、素敵なタイトルにひかれ、大海彩洋さんの物語を読み始めたのです。読んだ瞬間、ネット小説なのに紙の香りがすると思いました。上質なミステリー。

そんな大海彩洋さんのイメージがガラッと180度、変わります。それが青春&恋愛系の『天の川で恋をして』です。もう、さらっとこういうのも書いてしまうんだもんな!主に青春系の物語を書いている私のようなものの立場がないじゃないか(笑)。

作品の世界観、そのギャップをぜひ楽しんでほしくて、この二作品を選ばせてもらいました。(ひとつに決められなかったともいう)そうそう。『清明の雪』はある人物のシリーズでもあるので、長編好きにはたまりません。単独でももちろん楽しめますが、深みがより増すかと。上質なミステリーには、コーヒーが似合いますよね。良ければ、優雅な小説タイムを一緒に過ごしてみてはいがかな、ワトソン君?(なぜか最後はホームズ調)

ぜひみなさま、大海彩洋さんの『清明の雪』と『天の川で恋をして』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :大海彩洋さん
 ブログ名 :『 コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』
 ブロアド :http://oomisayo.blog.fc2.com/
 小説名1 :『清明の雪』(長編小説/ミステリー)
あらすじ  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E3%80%90%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%80%91%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E2%9D%841%E3%80%80%E5%8F%A4%E3%81%84%E5%AF%BA%E3%80%80%E9%BE%8D%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BA%95%E3%80%80%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%81%AE%E6%8E%9B%E8%BB%B8%20
 小説名2 :『天の川で恋をして』(短編小説/恋愛)
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-16.html 


今回は、大海彩洋さんの『清明の雪』と『天の川で恋をして』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html
第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-category-24.html



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=お知らせ=
最終更新
★「1001夜ショートショート」はいつの間にか開設4周年。なんだかんだと続けられているのがすごいです。これもみなさまのおかげ。本当にありがとうございます!今年はこちらで色々書きたいなあ。なんか声に自分が追いつけなくて、ひょこひょこ新しい物語は生まれてるのにみんなコールドスリープ状態。書き途中の物語もいっぱいあるのに中途半端で申し訳ないです。とりあえず、今日UPしたこの物語は絶対書き切らねば!私が今、一番書きたい物語なので。

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↓↓【第310夜】 AF ARMY ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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ぼやけていた。 世界はいつもぼやけていた。
俺はなぜか世界の輪郭をうまくとらえることができなかった。どうしてだろう。

でも、戦場で銃をかまえている時だけは違った。

目の前は一瞬にしてクリアになり、俺ははっきりと世界の輪郭をとらえることができた。銃をかまえれば、楽に照準を定め、敵の命を難なく奪うことができたのだ。傭兵として生きることができてよかったと思う。きっとこれが俺の天職だったのだろう。…でも、真っ当な人間がそんなことを聞いたら、嫌悪感や不快感をあらわにするんだろうな。俺を好き勝手に罵ったり、軽蔑したりするのだろう。

『 あなたはまだ自分がどんな人間なのかを知らない 』

いつか誰かにそんなことを言われた。 俺は思わず笑っちまったね。

なら、教えてくれよ。俺が本当はどんな人間なのかをさ。


    *


「こちらの民間軍事会社でアフガン戦闘区域を取材をすることになりました。戦場カメラマンのサワダ クミコです」

俺は笑顔を作ったまま、横にいた同僚の胸ぐらをつかんだ。

「…女が来るなんて聞いてないんだが?」

両手を上げつつも、米国人のケリーの態度はひらきなおっていた。

「そうだっけ?いや、言ったような気がするな、俺は。お前と同じ日本人が取材に来るってさ。だから、お前にそいつの護衛をまかせるって。…アソー、お前こそ聞いてなかったのか?」

俺は怒気を強めた。

「日本人が来るとは聞いたが、女とは言ってなかった!」

だるそうに耳の穴に小指を突っ込んで、ケリーはため息をついた。

「言ったら、アソー、絶対断るだろう?女なんて気をつかって面倒くさいとかって」
「当たり前じゃないか!俺じゃなくても、みんな断る!」
「じゃあ、誰が彼女を見るの?お前、こんな戦場にひとり置き去りにするつもりか?」

今度は俺がため息をつく番だった。

「取材自体を最初から断ればよかっただろう!?」
「そうはいかない事情があるんだ。民間軍事会社なんて名ばかりのフリーの傭兵をただ預かってるうちみたいな組織は金がねえ。それに新聞社に貸しを作っといて損はないからな。話を聞いたら、来るやつは平和ボケした日本人でしかも女だっていうじゃないか。戦場なんか見せてみろ。怯んで速攻帰るだろうさ。短い期間でたんまりもらえる金はもらっとこうぜ。うちにはちょうどよく日本人がいるし、そいつにでも押し付けとけばいい。あ、これは俺の考えじゃないからな。上からの意見、お達しね」

がっくりと俺は肩を落とした。胸ぐらをつかんでいた手をケリーがはらう。

「まあ、お前が故郷を嫌ってるのは知ってるよ。でもさ、それがアソーの乱視の原因でもあるんじゃないの?」
「乱視じゃねえよ」

ケリーはひらひらと手を振った。

「そうだな。お前、銃の腕はハンパないもんな。百発百中。いや、千発千中もいいところだ」
「誉めてくれてどうも、ケリー」
「視覚を補うためにめちゃくちゃ体を鍛えたのも知ってる。肉弾戦もいけるしな」
「はいはい、どうも」
「なんなの、その研ぎ澄まされたカンは。野生動物か!?ってな。お前、どんだけ傭兵向きなんだよ。まあ、何よりもここが一番重要で肝心なんだが…」
「だから、誉めてくれてどう…」
「顔がこわくない!」
「は?」

俺は間の抜けた声を上げた。ケリーは俺の肩を強くつかむ。まるで獲物を逃がさないように―。

「俺らって見た目がおっかないやつ勢ぞろいだが、奇跡的にお前だけは別だ。喜べ、アソー!人あたりのよさには定評がある!いや、さすがNOとは言えない日本人!ウン、やっぱりお前が適任だ!!」
「全然誉めてねえー!しかもテキトーに納得して押し付けるな!!」

その時、話にひとり置き去りにされていた彼女の笑い声が響いた。


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 樹なつみ『OZ』
★ 開口健『輝ける闇』
★ Fightstar『Mono (Album Version)』

いつか予告した物語です。本当はきちんと書き切ってショートショートとしてあげたかったんですけど、このままだと三か月以上ずっと「1001夜ショートショート」が未更新になってしまう。今あまり時間がなくてしっかりかけないのがかなしいな。この物語、少しずつ続きをUPしていきますね。もしかしたら、続きは新着ではなく、このままここにどんどん書いていくかもしれません。良ければ、チェックしてみて下さいませ。

最近タイトルは見たら話の内容を思い出せるものにしようと思ってます。そうしないと、私自身が以前書いた物語の内容を思い出せないということに気づき…。今回のこれは写真の用語らしいAF(オートフォーカスの略)と傭兵の意味がありそうなARMY(アーミー)と言う単語をただ並べただけです。カメラマンと傭兵が出てくるから、もうこれでいいや。でも、なんとかアーミーってタイトル、好きなんですよね。どうしてそう感じるんだろうと思ったら、たぶん浦沢直樹「パイナップルアーミー」の影響だと気付きました。

① 樹なつみ『OZ』 
https://www.amazon.co.jp/OZ-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E5%8F%8E%E9%8C%B2%E7%89%881-%E6%A8%B9-%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF/dp/4592188829/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1468722940&sr=1-3&keywords=oz+%E6%A8%B9%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF
ミリタリー系の物語を書きたいと思わせてくれたSF少女漫画。こちらは漫画夜話(漫画を批評するTV番組)で「完璧すぎてつっこむところがない!」と言われた名作だそう。男も女も人外も?惚れる傭兵・ムトー(主人公)のカッコ良さがハンパない!それにあやかれるように私の物語の主人公も今回アソーと語尾の長めな似た名前になったんだと思います。樹なつみ作品はまだ全制覇してないのですが、全部読みたい!

② 開口健『輝ける闇』
https://www.amazon.co.jp/%E8%BC%9D%E3%81%91%E3%82%8B%E9%97%87-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%96%8B%E9%AB%98-%E5%81%A5/dp/410112809X
これは小説なのか、ノンフィックションなのか…。ずいぶん昔に読みましたが、この本のラストの一文が強烈過ぎて忘れられません。なんか本当に闇が落ちてきた。

③ Fightstar『Mono (Album Version)』
https://www.youtube.com/watch?v=Le_sCwlQkcQ
この音楽がなかったら、生まれなかった物語。いやはや、この音楽の物語を引き寄せる吸引力は凄まじかった。ラストのシャウト、ヤバイな!洋楽なので歌詞の意味はよくわかりませんが(英語苦手なので)…。もし歌詞の意味を知っていたら、また私の物語の内容も違っていたのかもしれません。
Fightstar『Mono (EP Version) 』
https://www.youtube.com/watch?v=3FzgPdTbvAs
メロディ的にはAlbum Versionの方がすきですが、画像こちらの方が気に入ってます。



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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

私は3年半くらい前から物語ブログを始めたのですが、毎年個人的にお気に入りの小説ブログ様に自分て作った賞を勝手におくりたいと思いまして、こんな賞を作ってしまいました。名付けて…!

★☆自分的小説ブログ大賞☆★

生意気にすみません。賞品なんてありませんが…(苦笑)。

ちなみに、過去の受賞者・受賞作はこちら!

≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html
第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-398.html

超個人的な賞を快く受け取ってくれた受賞者様に、ただただ感謝です><。


しかし、まだまだ他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!

そこで気が早いのですが、早速今年版の準備をして行こうと思っていまして、ここにその候補作を見つけ次第、勝手に更新&紹介させて頂こうかと思っています。最終的に年末、こちらでUPした候補作の中から、今年の大賞を選ぶ予定です。(惜しくも大賞を逃した作品は、来年度の候補作品としてそのまま残ります)

良ければみなさんも、ちょくちょくこちら覗いてみて下さいね☆
読むものをお探しの方のソムリエ的な役割ができたら嬉しいです。

候補作のブログ様で「気持ちは嬉しいけど、自分は遠慮したいかも…」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除いたしますので、気にせず、言って下さいね^^


★ 第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017)候補作一覧 ★

①お名前  :松原きのこ さん
 ブログ名 :『なついてくれてサンキューな』(休止中?)
 ブロアド :http://neboushitaze.blog.fc2.com/
 小説名  :『はぐれ者のおっさん』(短編小説)
 第1話  :http://neboushitaze.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
  選 評 :私が文部科学的な何か or 学校の先生だったら、夏休みの課題図書に推薦したいです☆

②お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『凍える星』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-669.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-671.html
  選 評 :小説ブログってこんなにレベルが高いんだ!私的「このミステリーがすごい!」作品☆

③お名前  :大海彩洋さん
 ブログ名 :『 コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』
 ブロアド :http://oomisayo.blog.fc2.com/
 小説名1 :『清明の雪』(長編小説/ミステリー)
あらすじ  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E3%80%90%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%80%91%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E2%9D%841%E3%80%80%E5%8F%A4%E3%81%84%E5%AF%BA%E3%80%80%E9%BE%8D%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BA%95%E3%80%80%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%81%AE%E6%8E%9B%E8%BB%B8%20
  選 評 :このミステリーの一番の謎はブログ小説なのに紙の香りがすることかもしれない!書籍化希望☆
 小説名2 :『天の川で恋をして』(短編小説/恋愛)
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-16.html
  選 評 :長編ミステリーを得意とする大海さんが短編×恋愛モノ!?と聞いたら、飛びつかないわけにはいかない。読んだ感想はもうこの一言しかありませんでした。「お見事!!」

④お名前  :ヒロハルさん
 ブログ名 :『 三流自作小説劇場 』(休止中?)
 ブロアド :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
 小説名  :『それでも私を愛してくれますか』(長編小説/SF)
あらすじ  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-674.html
 第1話  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-675.html
  選 評 :衝撃のラストに、あなたは『それでも私を愛してくれますか』。SF×恋愛小説の切なさがここに!!

⑤お名前  :ぐりーんすぷらうとさん
 ブログ名 :『修羅の門・刻 夢小説』
 ブロアド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/
 小説名  :『limeさんの絵につけた超SSS』(ショートショート)
 作品アド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
  選 評 :普段は夢小説を書かれているぐりさんが②でご紹介したlimeさんと物語×絵コラボ。熱望してたオリジナル作品も期待を裏切りません!

⑥お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい物語展開。満腹感の味わえる結末。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!
小説名2 :『ななおさん』(中編小説/恋愛)
第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0nanaosan-top.html
選 評 :和菓子屋を営む壮介さんのもとに嫁いだ、ななおさん。わけあり『和』カップルの織り成す日常が優しい雰囲気で描かれています。これを読むと、いざ鎌倉着物デートしたくなります!なんと『ななおさん』は、アルファポリス様より書籍化!その関係で、現在冒頭数話と番外編のみUP。

⑦お名前  :空野みちさん
 ブログ名 :小説家になろう 『 空野みちさんのマイページ 』
 ブロアド :http://mypage.syosetu.com/25780/
あらすじ一覧 :http://ncode.syosetu.com/n5126g/
 小説名 :『 夏目さんと私』 (長編小説/恋愛)
 第1話  :http://ncode.syosetu.com/n5126g/1/
選 評 :登場人物が魅力的で名前も素敵!森見登美彦さん(より個人的に好き!)を彷彿させる『和』感覚で小粋な文章。丁寧に紡がれる物語に、ただただ、続きが待ち遠しい。なんていいところで~、くうっ!!

⑧お名前  :小池安雲(agumo)さん
 ブログ名 :『小説カラスト』(休止中?)
 ブロアド :http://karasuto.x.fc2.com/index.html
 小説名1 :『フレイム・イン』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/framein/top.html
 第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/framein/00.html
  選 評 :行動派で頑張り屋の秘書課OLが主人公。彼女の意中の人がデキる男でまた素敵。オフィスラブものってあまり興味がなかったのですが、安雲さんの描く物語はオフィスラブ+aって感じで面白い!個人的にドラマ化向きだと思うんですけど、どうでしょうテレビ局さん。
小説名2 :『ブーメラン・ラブ』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/top.html
第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/1.html
選 評 :「フレイム・イン」で登場していた華英先輩が主人公。(話の時系列的にはこちらが先かな)彼女の社交術、学びたいです。でも、完璧女子じゃなくて恋愛下手なかわいい一面もあっていい。私の新たな憧れのヒロインになってくれました。

⑨お名前  :けいさん
 ブログ名 :『憩』
 ブロアド :http://meuniverse.blog10.fc2.com/
 小説名  :『セカンドチャンス』(中編小説/青春)
あらすじ:http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-274.html
 第1話  :http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-275.html
  選 評 :突如謎の青年に誘拐されてしまった新社会人(代議士事務所勤め)の主人公・策。彼は誘拐犯と奇妙な逃避行?を通じて、自分の中のセカンドチャンスと向き合うことになる…。誘拐から生まれる友情が誰かの心の傷を癒すかもしれない。第1回分的小説ブログ大賞受賞作『夢叶』のスピンオフですが、これだけでも充分楽しめますよ!



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↓↓【第307夜】 グッドバイ  ジャンル:歴史 ↓↓
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人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう。

女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう。

幼い頃、病気のせいで右足が麻痺して動かなくなった。

学生の頃、乗っていたバスが事故にあい、腹部に重傷を負って子宮が使いものにならなくなった。

人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう。

女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう。

ねえ、どうして。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

私の人生は常に自分の決して答えが出ることのない『どうして』と向き合って行く日々だった。

家族は、こう言ってくれた。

『フリーダ、愛しているよ。それを忘れないで』

最初の絵を描いた。

キャンバスの前では素直になれた。

私は自分の運命を呪うことができた。

激しく、痛ましく。

それが私、フリーダ・カーロの画家としての個性になった。

絵は人々に高く評価され、私は賞賛された。

でも、それでいったいどうなったというのだろう。私は何を手に入れられたというのだろう。

自分が足りないものが堂々と明るみに、世間に、おもてに、出ただけだ。

人間として、女として、足りないものが―。

私は知っていた。

描く絵も、人の愛情も、決して私を救うことはできない。

私は私という深淵をのぞくことしかできないのだから。

本当の私はどこにいるのだろう。

人間としての私は?女としての私は?

いったいどこにいるのだろう。どうして、ここにいないのだろう。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

やがて壊死した右足を切断しなければならなくなった。

この苦痛はいったいどこまで続くのだろう。

私はどうして苦痛に耐え続けなければいけないのだろう。

描く絵は決して私を救うことができないはずなのに、どうして私は描き続けるのだろう。

人の愛情は決して私を救うことができないはずなのに、どうして私は求め続けるのだろう。

私は私という深淵をのぞくことしかできないのに―。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

それが人間という生き物だから?それが女という生き物だから?

…ああ、そうか。

たとえ、きちんとしていなくても私は人間なのだ。女なのだ。

新しい家族は、こう言ってくれた。

『フリーダ、愛しているよ。君自身もきっとね』

最後の絵を描いた。

キャンバスの前では素直になれた。

私は自分の運命を許すことができた。

優しく、愛おしく。

さようなら。

『人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう』

そう問い続けた自分に。

さようなら。

『女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう』

そう問い続けた自分に。

さようなら。

最後の絵に、思いを込める。

『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』





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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★サカナクション『グッドバイpiano arr.』×フリーダ・カーロ『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』★ 

これがおそらく今年最後のUPだと思います。他にも書きたいものがありましたが…。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

たぶん一般の方だと思うんですけど、サカナクション『グッドバイ』をピアノアレンジしていて 、それをたまたま聞いたところ、ガツンとやられまして。このピアノにあうような物語を書きたいと強く思ったんです。実際、書けたかは謎ですが。 なんでフリーダ・カーロが出てきたのかもよくわかりませんが…。

① サカナクション『グッドバイ piano arr. 』
https://www.youtube.com/watch?v=lXAJABHC_ds
原曲よりもこっちのピアノVer.の方が私は好き気かも。なんかドラマチックで。いや、原曲もいいんですけどね。
ちなみに原曲はこちら。サカナクション『グッドバイ 』
https://www.youtube.com/watch?v=kt5-Al0CMuk

② フリーダ・カーロ『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』
画家フリーダ・カーロの遺作。それまで狂気じみた痛々しいものが多かったのに、最後の最後にこれとかなんてカッコいいんだ、フリーダ!これもギャップ萌えというのでしょうか。だてに眉毛くっついてないですよ、フリーダ。 私が彼女を知ったのは本上まなみさんが芸術家を紹介するテレビ番組でした。毎回、取り上げる人物とナビする女優さんが違っていて面白かったんですよね、あの番組。好きだったんだけどなあ。タイトル名、なんだったけ。もう一度、見たい!


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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて3年半?くらい経ちました。2016年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-384.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、ネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2016年、『 第4回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!(←古っ))

limeさんの小説ブログ『DOOR』で完結済の小説『KEEP OUT』シリーズ と 『モザイクの月』です!!!

今回は自分的小説ブログ大賞、初の2作品W受賞(しかも同じ著者!)になります。おめでとうございます~!!

なんでこんな異例の事態になったかと言うと…。

実はlimeさんはこれまで最終的に自分的小説ブログ大賞をとる作品といつも接戦を繰り広げてきた方なんです。毎年毎年、この時期になると、私をとんでもなく悩ませていたわけで(なーんて言い方はあれだけど^^)。読む作品読む作品、全部候補作。その後、最終候補作に入ってしまうから、ついには読むのがこわくなって、読むブレーキをかけてしまったくらい。

最初、私はてっきりプロの作家さんが内緒でネットに小説を公開しているのだろうと思いました。読んだ方ならわかると思いますが、小説の完成度がハンパないのです。ミステリー&サスペンス系が好きな方、もちろんそれ以外の方も、ぜひlimeさん作品にしびれて下さいませ。

今回は特に好きな2作品を選ばせて頂きました。キャラクターや物語の個人的な好みで言えば、『KEEP OUT』シリーズを押したい!でも、『KEEP OUT』シリーズの結末は人を選ぶかもしれない…(私は大好きな結末なのですが)。その点をふまえると、『モザイクの月』はみんな納得の結末というクオリティだと思うんです。なら『モザイクの月』でいいじゃんって言われそうだけど、『KEEP OUT』シリーズ、好きなんだよー!繊細な春樹と気が強い美沙のすれちがいコンビの切なさがたまらないんだよー!ごめんなさい、ひとつの作品にしぼれませんでした…><!!


ぜひみなさま、limeさんの『KEEP OUT』シリーズと『モザイクの月』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『KEEP OUT』シリーズ(長編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-304.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-305.html
 小説名 :『モザイクの月』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-813.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-814.html


今回は、limeさんの『KEEP OUT』シリーズと『モザイクの月』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html





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↓↓【第305夜】 喪服にレモン、少女にはショートケーキを。 ジャンル:友情 ↓↓
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お葬式をしよう、私たちのお葬式を―。


    *


喪服に袖を通す。鏡にうつる見慣れない自分の姿に一瞬立ち尽くした。
目の前にいるのは未だ少女の面影を残す、大人になりきれない自分だ―。

黒は女性を一番美しく見せると教えてくれた友人を思い出す。 

「誰かの受け売りだけどね」

そう笑って付け足したのは確か香澄(かすみ)だ。校則で決められた制服のスカート丈をいつも気にする、お洒落や流行に敏感な子だった。

「へー、それが本当なら喪服が一番女性を輝かせるのね」

シニカルな理子(りこ)がそう返すと、香澄はふくれた。

「なんでそうなるのよ。喪服なんていかにも不幸全開じゃない!」
「そう?私はある意味、素敵だと思うけど。人に助けを求めたり、情に訴えるにはもってこいというか…」
「理子はひねくれてる。そう思うでしょう、えっちゃん?」

香澄と理子が言い合いになると、いつも私の出番だった。

「う~ん。喪服だけじゃ暗いから何か持たせればいいんじゃない、アイテムとか?」

仲裁に入ると言うよりも、話題を微妙にをそらし、問題をうやむやにするのだ。

「は?アイテム!?…でも、喪服に赤いリボンのついたカチューシャでもすれば可愛くなるかな?」
「空飛ぶ魔女にでもなる気?『落ち込んだりもするけれど、私は元気です』って」

頷きかける香澄に、静かにつっこむ理子がおかしかった。私は笑って言った。

「でも、なんかの小説にあったよ。お葬式に喪服を着て、お供えの花がわりにレモンを持っていくの。そんな感じを目指せば?」
「喪服にレモンねえ…」
「確かに黒と黄色のコントラストがいいね!なかなかセンスあるじゃない、それ書いた人!」

自分が誉められたようで、なんだか少しこそばゆかった。

「―ったく、あいかわらず上から発言全開だなあ、香澄は」
「理子に言われたくないんですけど!」
「はあ!?」
「なによ!?」
「まあまあ、香澄も理子もおさえておさえて。あ、そうだ。そういえば、最近みた再放送のドラマで喪服を着たままショートケーキを食べてたのがあったな。死んだのが双子のお姉ちゃんの方で、お葬式と自分たちの誕生日が重なっちゃったから、妹が家族に隠れてこっそり泣きながらショートケーキを食べてた」

ふたりがしんみりとする。

「それ切ないな」
「うん、切ないね」

何気に心根が優しい。彼女たちのそういうところも私は好きだった。不意に香澄が言った。

「こうなったら、やるっきゃないわ!」
「何を?」
「決まってるじゃない、お葬式よ、お葬式!」

突然の彼女の提案に、私と理子はぽかんとした。しばらくしてから、理子が眉を寄せた。

「…えっちゃん、最近私たちのまわりで誰か死んだっけ?」
「ううん。たぶん誰も死んでないから大丈夫だよ、理子。うちは曾おじいちゃんも未だ健在だし」
「それはよかった。…いや、よくないよ!あ、よくないのは曾おじいちゃんがご健在のことじゃなくて、目の前にいる香澄のトンデモ発言なんだけど…香澄、もしかして誰か殺したいのかな?」
「…え、まさか私たちに殺人の片棒を担がせようと…?」
「何、言ってるの、ふたりとも?私は誰も殺さないし、殺させないわよ!そういうことじゃなくて、私はね、お洒落にお葬式をしたいって言ってるの!」

私と理子は顔を見合わせた。…お洒落にお葬式…?

「わかるでしょう?」
「「いや、もっとわからないから!!」」

私たちは声を合わせた。香澄は腕を組む。

「人が死ぬとかじゃなくて、理由はなんでもいいのよ。…そうね。例えば、そろそろ高校も卒業だし、私たちが少女でいられる時間にさようならをする…そのためのお葬式とか、どう?」
「少女でいられる時間にさようなら?なら、処女でも喪失してくれば?あっけなく少女を終了できるよ」
「普通に高校の卒業式じゃダメなのかな?」

理子と私の意見に香澄は首を横に振った。どうも処女喪失も学校の一大行事も彼女の美的センスにはそぐわないらしい。

「ダメ、全然お洒落じゃない!!喪服を着てレモンをそなえたいの!で、最後はショートケーキで献杯!!」
「…ショートケーキで献杯って」
「少女でいられた無垢な時間にみんなで別れを告げるの。高校を卒業したら、みんなバラバラになるんだし…何か思い出にできる、絶対に忘れないようなことをしておきたいじゃない」

最後の方が尻すぼみになる香澄の言葉に胸がちくりと痛んだ。高校を卒業したら、私は地元を離れて京都にある文系の大学へ進む予定だ。理子と香澄は地元に残るけど、理系の大学とファッション系の専門学校で進路が違う。

「もうしょうがないなあ。どうする、えっちゃん?」
「この流れはやるしかないんじゃない、理子?」

香澄の顔がぱっと輝いた。

「じゃあ、決定ね!いつにしようか?やっぱり卒業式の後かな?こっそり学校にお洒落アイテム持ち込まないとね!って、ちょっと聞いてるの?」
「「キイテル、キイテル(棒読み)」」
「喪服にレモン、少女にはショートケーキを。お葬式をしよう、私たちのお葬式を―」


    *


喪服に袖を通す。鏡にうつる見慣れない自分の姿に一瞬立ち尽くした。
目の前にいるのは未だ少女の面影を残す、大人になりきれない自分だ―。

「まさか一人で喪服を着ることになるとはね」

黒は女性を一番美しく見せると教えてくれた友人を思い出す。
でも、彼女たちはもういない。あの頃の少女たちはもうどこにもいないのだ。

「地震のせいで、きちんと卒業式もできなかったしな」

私は大学に通えるアパートを探すため、あの日たまたま京都に来ていた。地元で大きな地震や津波があり、彼女たちが巻き込まれ、亡くなったことを後で知ったのだ。処女喪失でも卒業式でもない、私の少女時代は彼女たちの死によって終わりを告げたように思う。

「さて、そろそろ行かなくちゃ。お葬式をしよう、私たちのお葬式を―」

あの時間は二度と戻ってこないから。あの時間が二度と戻ってこないなら。

お葬式をしよう、私たちのお葬式を―。
喪服にレモン、少女にはショートケーキを。

あのふたりなら、きっと「切ないね」って笑ってくれるだろう。






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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ チャットモンチー『世界が終わる夜に』
★ 氷室冴子『恋する女たち』
★ ドラマ『すいか』
★ 峰浪りょう『ヒメゴト~十九歳の制服~』

チャットモンチー『世界が終わる夜に』を聞いて生まれた物語です。久しぶりに聞いたら、色々な作品の喪服女子(?)を思い出し、こんな物語になってくれました。

① チャットモンチー『世界が終わる夜に』
https://www.youtube.com/watch?v=G59XstT19K8
チャットモンチーはこの歌が一番好きかも。あ、他にも『ハナノユメ』のオーディエンスがノリノリになってしまう感じや『恋愛スピリッツ』の切なさ全開で始まる楽器の入りも好き。過去にフェスで生で聞けてよかったな。っていうか、これ作曲したの10代だったんだ!
チャットモンチー 『「ハナノユメ」Live 』
https://www.youtube.com/watch?v=7atUby6fpdE&list=PLtQ5pz_Dlq3zyCAjBjganYI_yazBkqduu&index=2
チャットモンチー 『「恋愛スピリッツ」Music Video』
https://www.youtube.com/watch?v=w4rUnPYXReE&list=PLtQ5pz_Dlq3zyCAjBjganYI_yazBkqduu

② 氷室冴子『恋する女たち』
https://www.amazon.co.jp/%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E3%82%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B0%B7%E5%AE%A4%E5%86%B4%E5%AD%90-ebook/dp/B00I4H1M9E/ref=sr_1_fkmr0_1?s=books&ie=UTF8&qid=1482600541&sr=1-1-fkmr0&keywords=%E5%AE%A4%E5%86%B4%E5%AD%90%E3%80%8E%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1
絶版のため、本をなかなか手に入れられず、読めたときは嬉しかったー。でも、もう内容うろ覚えですが。たしか物語の中で友人のお葬式に献花がわりにレモンを持っていくというエピソードあって、それがとても素敵だなって。氷室さん本人のお葬式にも、レモンを持っていかれた読者さんが多かったそう。

③ ドラマ『すいか』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B-DVD-BOX-4%E6%9E%9A%E7%B5%84-%E5%B0%8F%E6%9E%97%E8%81%A1%E7%BE%8E/dp/B0000TXORW/ref=sr_1_cc_1?s=aps&ie=UTF8&qid=1482600697&sr=1-1-catcorr&keywords=%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%80%8E%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B
ドラマの中で売れない漫画家が双子の姉を偲んで、家の屋根裏で喪服を着たままショートケーキを食べるシーンがあったんです。フォークを使わずに手づかみでがぶりと食べる姿がなんだか切なくて。ちなみに、この時の喪服が魔女の宅急便のキキみたいなかんじで可愛いかった。


④ 峰浪りょう『ヒメゴト~十九歳の制服~』
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%A1%E3%82%B4%E3%83%88%E3%80%9C%E5%8D%81%E4%B9%9D%E6%AD%B3%E3%81%AE%E5%88%B6%E6%9C%8D%E3%80%9C-1-%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E5%B3%B0%E6%B5%AA-%E3%82%8A%E3%82%87%E3%81%86/dp/4091837778
衝撃的な作品。自分の性に思い悩む19歳の若者たち。痛くてヒリヒリするけど、最後は笑顔が待っています。成人式に着物は着物でも振袖ではなく、喪服を着ていく女の子がいて世間に中指たてるシーンがあるのですが、そこがお気にいり。



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ボクは幸せが何かを知っているよ。君は知らないのかい?


    *


澄んだ水の流れる音がする。
その流れに身を任せながら、僕はある場所へ向かうんだ。

「やあ、君はまた川の流れに乗って、ここに来てくれたのかい?」

のんびりやのそいつはいつも川で魚釣りをしながら僕を迎えてくれる。そこを大きな蓮の葉にのった僕が流れ行くんだ。

「魚が釣れなくて、とても退屈をしていたんだ。君が来てくれて良かったよ、フィッシュ」
「僕はまた釣れない魚の代わりなのかい?君が僕に付けてくれた名前はイカしてると思うけど、意味が魚ってどうなんだろう」
「どうしたんだい、フィッシュ?」

こいつには、僕の不満が聞こえなかったらしい。無垢な目を向けられ、僕は困ったように笑った。

「なんでもないよ。久しぶり、リバー。本物の魚じゃなくて悪いけど、また僕の蓮の葉を君の竿で釣ってくれるかい?」

僕が手を振ると、リバーは朗らかに笑った。

「いいだろう。こいつは大物だ!」

彼はリバー、向こう岸に住まう者。僕はフィッシュ、川を流れ行く旅人だ。


    *


彼のルアーが僕の蓮の葉をとらえると、僕をのせていたそれはようやくとまった。

「またしばらくここにいられるんだろう?君の旅の話を聞かせてくれないかい、フィッシュ?」
「出たな、ねだりやリバーめ!」

彼は僕の旅の話を小さな子供のようにせがむんだ。

「いいじゃないか、フィッシュ。ボクは君の話が好きなんだ。君の話は実に面白いよ」

そんなことを言われてノーとは言えない。僕はのせられやすいタチなんだ。

「いいだろう。今回は実に危険な旅だったんだ。驚くなよ、リバー?」

僕は彼に聞かせてやった。世界がどぎつい紫色に染まっていったこと。あちこちに火の手があがり、あたりをごうごうと焼きつくしていったこと。人々は罵り合い、殺し合い、僕は見ていて、とてもつらくなったことを―。

「きっと、あれが戦争というやつだったんだろうな」

そして、ついにおかしな閃光が放たれたこと。それから、大きな大きなきのこ雲を見たこと。僕は泣きたくても泣けなくなったこと…。

「フィッシュ、君は巻き込まれなかったのかい?」
「巻き込まれたよ。でも気づいたら、またこの川を蓮の葉にのって流れていた。きっと川辺のどこかにいて、たまたまあった蓮の葉に守られたんだろうな」

僕がそう言うと、リバーが少し哀しげに微笑んだ。

「そうか。それはとても危険な旅だったな。ここで少し休むといい。ボクがいっぱい魚を釣ろうじゃないか。なに、おいしいからって驚くなよ、フィッシュ?」
「それはいい!…でも、君は僕の蓮の葉をとめているせいで、竿もルアーも使えないぞ?」

僕らは顔を見合わせた。

「…そうだった」
「これだからな、リバーは。ぬけてて、実に面白い!」

僕らは笑った。会えなかった時間を埋めるように、たくさんたくさん笑った。


    *


僕はしばらくこの川で過ごした。

向こう岸にいるリバー。川の中を大きな蓮の葉にのっている僕。不思議なことに、僕はそこから動くことができなかった。そこから出ることができなかった。どうしても向こう岸にいくことができなかったんだ。僕は彼の姿を見ることはできても、触れることはできない。声をきくことができても、隣りで囁き合うことはできない。なぜだろうといつも思う。でも、こういうものなんだろうともいつも思う。

「きっとリバーと僕では、住む世界が違うんだね」
「そうだね、フィッシュ。でも、ボクはこの状況をそんなに悪く思っていないよ。こうして君と、ときどき会えるじゃないか?」
「そうだけど…」

君と過ごすこの川の時間はとても心地いいんだ。僕は君と離れたくないんだよ。君は 違うの?

「フィッシュ、ボクは幸せが何かを知っているよ。君は知らないのかい?」

僕がさびしそうな顔をしていたんだろう。リバーが朗らかに笑った。

「何も誰かとずっと一緒にいることが幸せじゃない。たとえ遠く離れていても、誰かをずっとおもえることがボクの幸せなんだよ、フィッシュ」

僕は目をこすった。目が真っ赤になるまで強くこすった。

「……僕もそうだよ、リバー」
「ボクはここで一人で暮らしているけど、さびしくないよ。君がときどき会いにきてくれるからね!」

リバーが竿に手を伸ばした。

「行っておいで、フィッシュ。ボクは待っているから。川を流れて、またここに遊びにおいで。君の旅の話をボクに聞かせてくれないかい?」

ルアーが離れ、蓮の葉がゆっくりと動き出した。

「リバー、僕はまたここに来るよ!絶対絶対、君に会いに来るよ!」

僕は彼が見えなくなるまで、大きく手を振った。

「また会おう!」


   *


澄んだ水の流れる音がする。
その流れに身を任せながら、僕はある場所へ向かうんだ。大好きな君に会いに行くんだ。

「大物がきたな!」

僕が手を振ると、リバーは朗らかに笑った。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 白鳥マイカ『線』 × 誰かが作った「ムーミン」MAD 

いつか書こうと思って忘れられていた物語。この音楽を聞いて思い出しました。この物語のタイトルは最初『線』(まんまでした)だったのですが、私は『~フィッシュ』ってタイトル作品がけっこう好きで、(吉田秋生『BANANA FISH』とか洋画『BigFish』『ソードフィッシュ』とか)それらにあやかって(?)こんなタイトルになりました。あと、全然関係ないかもしれないけど、リバー・フェニックスも好きだし。

① 白鳥マイカ『線』 × 誰かが作った「ムーミン」MAD 
http://nicotter.net/watch/sm8936337
ムーミンにハマっていた時に出会ったMADです。音楽も映像もいい感じで、この物語が生まれました。このMADも素敵ですが、音楽にあう映像をのせてPVやMADつくる人って本当すごいなあ。そのセンス、どうなってんの!?私は物語が書けるより、こういうのがデキるようになりたかったなあ。あと、映画の予告編つくりとか。ワクワクする!


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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

私は2年半くらい前から物語ブログを始めたのですが、毎年個人的にお気に入りの小説ブログ様に自分て作った賞を勝手におくりたいと思いまして、こんな賞を作ってしまいました。名付けて…!

★☆自分的小説ブログ大賞☆★

生意気にすみません。賞品なんてありませんが…(苦笑)。

ちなみに、過去の受賞者・受賞作はこちら!

≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013)  けい『夢叶』 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014)  河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015)  梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html

超個人的な賞を快く受け取ってくれた受賞者様に、ただただ感謝です><。


しかし、まだまだ他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!

そこで気が早いのですが、早速今年版の準備をして行こうと思っていまして、ここにその候補作を見つけ次第、勝手に更新&紹介させて頂こうかと思っています。最終的に年末、こちらでUPした候補作の中から、今年の大賞を選ぶ予定です。(惜しくも大賞を逃した作品は、来年度の候補作品としてそのまま残ります)

良ければみなさんも、ちょくちょくこちら覗いてみて下さいね☆
読むものをお探しの方のソムリエ的な役割ができたら嬉しいです。

候補作のブログ様で「気持ちは嬉しいけど、自分は遠慮したいかも…」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除いたしますので、気にせず、言って下さいね^^


★ 第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016)候補作一覧 ★

①お名前  :松原きのこ さん
 ブログ名 :『なついてくれてサンキューな』(休止中?)
 ブロアド :http://neboushitaze.blog.fc2.com/
 小説名  :『はぐれ者のおっさん』(短編小説)
 第1話  :http://neboushitaze.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
  選 評 :私が文部科学的な何か or 学校の先生だったら、夏休みの課題図書に推薦したいです☆

②お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名1 :『凍える星』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-669.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-671.html
  選 評 :小説ブログってこんなにレベルが高いんだ!私的「このミステリーがすごい!」作品☆
 小説名2 :『KEEP OUT』シリーズ(長編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-304.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-305.html
  選 評 :人間の禁域に触れる時、人は目をそむけたくても、それができず、目が離せなくなる…!lime さん、あなたはなんと恐ろしい(もちろん、いい意味!)ストーリーテラーなんですか!
 小説名3 :『モザイクの月』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-813.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-814.html
  選 評 :どこか心に仄暗さを抱えた学生3人と彼らに絡んでくる決してきれいではない大人たち。登場人物の心情描写や行動が徐々に絡み合い、生まれてしまう悲劇とは…?待ち受ける怒涛の後半展開に息をのむサスペンス小説。

③お名前  :大海彩洋さん
 ブログ名 :『 コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』
 ブロアド :http://oomisayo.blog.fc2.com/
 小説名1 :『清明の雪』(長編小説/ミステリー)
あらすじ  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E3%80%90%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%80%91%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E2%9D%841%E3%80%80%E5%8F%A4%E3%81%84%E5%AF%BA%E3%80%80%E9%BE%8D%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BA%95%E3%80%80%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%81%AE%E6%8E%9B%E8%BB%B8%20
  選 評 :このミステリーの一番の謎はブログ小説なのに紙の香りがすることかもしれない!書籍化希望☆
 小説名2 :『天の川で恋をして』(短編小説/恋愛)
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-16.html
  選 評 :長編ミステリーを得意とする大海さんが短編×恋愛モノ!?と聞いたら、飛びつかないわけにはいかない。読んだ感想はもうこの一言しかありませんでした。「お見事!!」

④お名前  :ヒロハルさん
 ブログ名 :『 三流自作小説劇場 』(休止中?)
 ブロアド :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
 小説名  :『それでも私を愛してくれますか』(長編小説/SF)
あらすじ  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-674.html
 第1話  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-675.html
  選 評 :衝撃のラストに、あなたは『それでも私を愛してくれますか』。SF×恋愛小説の切なさがここに!!

⑤お名前  :ぐりーんすぷらうとさん
 ブログ名 :『修羅の門・刻 夢小説』
 ブロアド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/
 小説名  :『limeさんの絵につけた超SSS』(ショートショート)
 作品アド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
  選 評 :普段は夢小説を書かれているぐりさんが②でご紹介したlimeさんと物語×絵コラボ。熱望してたオリジナル作品も期待を裏切りません!

⑥お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい物語展開。満腹感の味わえる結末。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!
小説名2 :『ななおさん』(中編小説/恋愛)
第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0nanaosan-top.html
選 評 :和菓子屋を営む壮介さんのもとに嫁いだ、ななおさん。わけあり『和』カップルの織り成す日常が優しい雰囲気で描かれています。これを読むと、いざ鎌倉着物デートしたくなります!なんと『ななおさん』は、アルファポリス様より書籍化!その関係で、現在冒頭数話と番外編のみUP。

⑦お名前  :空野みちさん
 ブログ名 :小説家になろう 『 空野みちさんのマイページ 』
 ブロアド :http://mypage.syosetu.com/25780/
あらすじ一覧 :http://ncode.syosetu.com/n5126g/
 小説名 :『 夏目さんと私』 (長編小説/恋愛)
 第1話  :http://ncode.syosetu.com/n5126g/1/
選 評 :登場人物が魅力的で名前も素敵!森見登美彦さん(より個人的に好き!)を彷彿させる『和』感覚で小粋な文章。丁寧に紡がれる物語に、ただただ、続きが待ち遠しい。なんていいところで~、くうっ!!

⑧お名前  :小池安雲(agumo)さん
 ブログ名 :『小説カラスト』(休止中?)
 ブロアド :http://karasuto.x.fc2.com/index.html
 小説名1 :『フレイム・イン』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/framein/top.html
 第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/framein/00.html
  選 評 :行動派で頑張り屋の秘書課OLが主人公。彼女の意中の人がデキる男でまた素敵。オフィスラブものってあまり興味がなかったのですが、安雲さんの描く物語はオフィスラブ+aって感じで面白い!個人的にドラマ化向きだと思うんですけど、どうでしょうテレビ局さん。
小説名2 :『ブーメラン・ラブ』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/top.html
第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/1.html
選 評 :「フレイム・イン」で登場していた華英先輩が主人公。(話の時系列的にはこちらが先かな)彼女の社交術、学びたいです。でも、完璧女子じゃなくて恋愛下手なかわいい一面もあっていい。私の新たな憧れのヒロインになってくれました。

⑨お名前  :けいさん
 ブログ名 :『憩』
 ブロアド :http://meuniverse.blog10.fc2.com/
 小説名  :『セカンドチャンス』(中編小説/青春)
あらすじ:http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-274.html
 第1話  :http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-275.html
  選 評 :突如謎の青年に誘拐されてしまった新社会人(代議士事務所勤め)の主人公・策。彼は誘拐犯と奇妙な逃避行?を通じて、自分の中のセカンドチャンスと向き合うことになる…。誘拐から生まれる友情が誰かの心の傷を癒すかもしれない。第1回分的小説ブログ大賞受賞作『夢叶』のスピンオフですが、これだけでも充分楽しめますよ!



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↓↓【第301夜】 嵐を呼ぶ女  ジャンル:歴史 2016/01/31 23:30UP↓↓
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私は嵐を呼ぶ女だ。

    *

電話のベルが鳴り響く。またかと思った。耳障りな事をこの上ない。いい加減、家の電話線を抜いてしまおうかとも考えたが、そうもいかない。担当編集者とのやりとりもある。

「ノガミさん、お願い!」

声を張り上げて、秘書の名前を呼んだ。次に、またかと思ったのはきっとノガミさんの方だろう。彼女は大きな溜息を吐きながら受話器を取った。電話越しの相手に自分の姿が見えるわけない。それなのに、ノガミさんはひたすら頭を下げている。その様子は会社の上司の尻拭いをする羽目になった憐れな部下のようだ。

「先生、私はいつまで謝り続ければいいんでしょうか?」

同じ電話主の苦情を何度も聞かされ、ノガミさんはうんざりとした面持ちで受話器を置いた。

「…今、書いてる小説が終わる迄(まで)…かしら…?」

優秀な秘書は私が今、何処まで書き上げているか進行具合も充分に把握している。私は苦い笑いを漏らした。彼女の溜息も大きくなる一方だ。

「ねえ、ノガミさん。別に電話主にはっきり云ってくれてもいいのよ?『こっちはあんたの伝記を書いてるんじゃない。小説を書いてるんだ!』って」
「先生は、火に油を注ぐ気ですか!?」
「あはは、そうねえ。火事になりそう。さすが私、嵐だけに止まらず、火事まで引き起こすか」
「何、わけがわからない事を云ってるんです。私、電話主…Nさんの云い分もわかるんですよ。ただでさえ、先生の書く小説は徹底した取材で有名なんですから。先生の書いたものを鵜呑みにする読者だって大勢いるんです。良い意味でも悪い意味でも、先生の作品って影響力が大きいんですよね」
「…そう云われても」

一応フィクションの明記はしている。それに、小説の感じ方は読者の自由だ。

「登場人物のモデルになっているNさん本人にしてみれば、文句の一つも云いたくなりますよ」

私が今、書いている小説はある文芸誌で月刊連載をしている。内容は戦後、沖縄の本土復帰。領土返還の際にあったとされる日米間の密約。それを追う新聞記者の物語だ。モデルとなった新聞記者は外務省の女性事務官と関係を持ち、密約の証拠となる機密文書を手に入れた。その二人の関係を赤裸々に描写したので、新聞記者のモデルとなった人物にしてみれば面白くないのだろう。怒りが収まらず、毎日のように抗議の電話をしてくるのだ。ノガミさんは頭を抱えていた。

「先生はさっき『こっちはあんたの伝記を書いてるんじゃない』とか色々云ってましたが…」
「え?」
「それ…云うなら自分の口でNさんに伝えて下さいね!」

これ以上、巻き込まれるのはご免だと云いたげに彼女は私を睨みつけた。私の目が泳いだ。

「…まさか、先生…」

ノガミさんの顔が、さっと青くなる。私は頭をかいて白状した。

「その、まさか。もう、とっくに云っちゃたのよねえ」
「えー、本当に云っちゃったんですか!?」

小説を書いている時は内にエネルギーを根こそぎとられるから、外で闘う気力があまりない。今ここで余計な力をとられたくない。さっさと逃げるが吉だ。私は彼女の前で手を合わせた。

「ごめん、ノガミさん。でも、云っちゃたものは…仕方ないわよねえ?」

唖然とする彼女を残して、私は「さて」と気持ちを切り換え、執筆に戻る事にした。

「もう、先生は嵐を起こすだけ起こして!」

最初は清楚で大人しかった彼女も今ではしっかり私に物云う秘書になってくれた。随分と逞しくなったものだ。私に向かって「嵐の後の掃除って、大変なんですからね!」と嫌味まじりの台詞も平気で吐けるようになった。なんというか、可愛い気がなくなってしまった。

「あら、体力と根性がついていいじゃないの?」

去り際、彼女の台詞を一笑に付す。そんな私も可愛い気がない事この上ない。

「やれやれ」

私が小説家になって、四十年近く経とうとしていた。


    *


『 私は凪よりも嵐を呼ぶ女だ。真正面から偽りなく彼とぶつかりたい。これほど迄に彼を愛しているのに、それを信じて貰えないほど恐ろしい苦しい事はない 』


私の青春時代は思い出しても、戦争と云う悍ましい色であっさり塗り潰されてしまう。敵機来襲の警報、逃げ惑う人々、飛び込んだ防空壕は息苦しく、湧き上がる敵愾心に何度も唇を噛んだ。煙の燻った焦土からは人間の焼けた嫌な匂いがした。

「…僕の処(ところ)にも赤紙が来たよ」

それでも愛する人がいた私は幸せだったのだろうか。涙を堪えながら彼を見送り、その後、二度と会う事ができなかったとしても。あの夏の暑い日、終戦を告げる玉音放送を聞いて、私はただ呆然としていた。「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」と云われても、これ以上一体どう耐えろと云うのだろう。どう忍べばいいと云うのだろう、と。

あの戦争は、一体何だったのだろうか?

私が小説家になったのは戦争の無残さや惨状、絶対いけないものだという事を命を懸けて伝えたかったからではないだろうか。人類の不幸は戦争から始まるという事を後世にきちんと残さなくてはならない。その使命感に燃える事で、終戦後、無気力になっていた自分を奮い立たせた。

…でも、本当の処はよくわからない。

もしかしたら、私は戦争を生き延びた者の後ろめたさから小説家になったのかもしれない。たまたま新聞社という処にいて、目の前に身を守れるペンがあった。それを握り、反戦を叫ぶ事で、己の生きる意味や価値を見出し、ただ自分の生(せい)を正当化したかったのではないか―。


    *


「最初、先生にこの小説のタイトルを聞いた時は驚きました。今迄にないロマンティックなものでしたから」

沖縄の話は、ずっと書きたいと思っていた。でも、書けずにいた。本土の者として、戦中から戦後にかけて沖縄の犠牲は恥と悔いしかない。一体どれほどの日本人が沖縄の終戦日を云うことができるのだろうか。

「私にだって可愛げがあるの」

私がそう云うと、ノガミさんは吹き出した。失礼な事この上ない。ひとしきり笑うと、彼女は息を整え、私に向き直った。

「でも、小説を読んでみてわかりました。先生のこれ迄の作品と同じで、私たちに問いかけるタイトルなんだなって」
「そう?」

私は人々に問いかけて来れたのだろうか。老体を鞭打って絞り出した声は、小説という形となって人々の心に届いたのだろうか。

「三流小説以下だなんて云って悪かった」

N氏の最後の電話は抗議ではなく、賞賛だった。最終的には「権力・社会・人間の相関関係を抉り出す姿は作家の真骨頂であり、常に崇高な問題を提起して、大衆に浸透させる。それは至芸だ」と褒めてくれた。でも、私が本当に嬉しかったのはその言葉ではなかった。一番嬉しかったのは彼が再び沖縄と向き合い、ペンを握ろうとしている事だった。

日米間の密約を暴いたN氏は国家権力に対峙し、社会的生命を失う。新聞社を辞め、地元に帰り、実家の青果店で静かに暮らすことを望んだ。でも、沖縄への強い思い、記者魂を捨て去ることはできなかったのだろう。私の小説が彼の心にどのように響いたのか、本当の処はよくわからない。私はただ小説のラストに自分の思い描く理想を託しただけだ。

誰もが自分らしく、人間らしく、生きられるように―。


    *


「…全く、とんだ嵐でしたよ」

無事に小説を書き終える事ができてほっとしていると、ノガミさんがお茶を淹れてくれた。どうやらカフェイン抜きの物を選んでくれたようだ。その事に少し彼女の優しさを感じる。

「あなたも可愛いげがあるじゃない」

一人こっそり微笑んだ。

「え、何か云いました?」

私は首を横に振った。共にお茶を飲みながら、穏やかな時間を過ごす。私が小説を書くのも、体力的に考えて今回の沖縄の話で最後だと思っていた。

「嵐がようやく終わったのね。そろそろ青空を見たいわ」

ゆっくり休む時間が欲しい。自分にも、そういう事が許されても良いのではないだろうか。度々、全身が原因不明の痺れに襲われるようになっていた。歩けなくなる事よりも、書けなくなる事の方が恐いと思うのは物書きの性(さが)だろうか。

「何を云ってるんですか!?」

ノガミさんがテーブルを強く叩いた。

「先生はちゃんと嵐の後にいつも青空を見せてくれるじゃないですか、小説のラストで!」
「え?」
「それに、すぐ次の嵐を呼ぶくせに!私、もう肝を据えたんですよ!先生、どうせ嵐を呼ぶなら、その後は前よりも、もっと凄い青空をお願いします。次は、もっともっと凄い青空を。その次はもっともっともっと凄いものを。一緒に沢山見ましょう。約束して下さい!」
「ノ、ノガミさん…?」
「ねえ、先生なら小説でそれができるでしょう?」

彼女の気迫に押され、私はうっかり頷いてしまった。ノガミさんはにんまりと笑っている。

「やれやれ」

自分の事がよくわからなかった私だが、目の前にそんな私を私以上にわかってくれている人がいる。それだけで、またペンを握る事ができるような気がした。私は単純で、とても幸せな人間なのかもしれない。

「…実は気になっている事があるのよ。太平洋戦争で最初の捕虜になった日本人なんだけど、彼は真珠湾攻撃で…」

私が小説の構想を打ち明けると、彼女は大きな溜息を吐いた。

「ほら、次の嵐が待ってたんじゃないですか。もう出し惜しみして、私に恥ずかしいことを言わせて人が悪い。先生ってやっぱり可愛げがないんだから!」

私たちは声を上げて笑った。新たな嵐はすぐ其処(そこ)にある。私は覚悟を決め、約束の待つ大海に舟を出した。




=====================================
引用文献(文中)
・山崎豊子「二十一歳の日記」
=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 「NHKスペシャル作家 山崎豊子~戦争と人間を見つめて~」
★ 「クローズアップ現代 小説に命を刻んだ 〜山崎豊子 最期の日々〜」
★ 「BS世界のドキュメンタリー 沖縄返還と密約」
★ Cocco「ニライカナイ 琉球國祭り太鼓振り付け全編バージョン」

2016年、初めて書いた物語になります。「書きたい」という気持ちだけで空回った感が否めませんが、今年もよろしくお願いいたします。ショートショートや短編は久しぶりでしたね。長距離走より短距離走が好きな私には長編よりこちらの方がやっぱり性に合っているのかもしれません。さくっと終われるしな。

物語の主人公のモデルは作家の山崎豊子さん。彼女の小説「運命の人」から遺作になってしまった「約束の海」までの話。でも、登場人物たちの言動、性格などは虚構です。私の物語は半分フィクション感覚で楽しんで下さると嬉しいです。


① 「NHKスペシャル作家 山崎豊子~戦争と人間を見つめて~」
http://www.dailymotion.com/video/x37x1s2
読者に影響を与える作家は多いかもしれませんが、作中の登場人物、そのモデルとなった人にまで影響を与え、生き方を変えた作家はそうはいないんじゃないでしょうか。初めてドキュメンタリーを見て泣きました。これをみて今回、山崎さんの物語を書きたいと思いました。

② 「クローズアップ現代 小説に命を刻んだ 〜山崎豊子 最期の日々〜」
http://www.dailymotion.com/video/x17fneh_%E5%B1%B1%E5%B4%8E%E8%B1%8A%E5%AD%90-%E6%9C%80%E6%9C%9F%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%85_creation
他にも山崎さんの特集していた番組はないか探しました。NHKスペシャルが仲代達矢さん、クローズアップが上川隆也さんが語り手。「大地の子」コンビはズルい!涙腺がヤバいです。それはさておき、山崎さんの担当秘書さんや編集さんのお話も聞けて良かった。

③ 「BS世界のドキュメンタリー 沖縄返還と密約」
https://www.youtube.com/watch?v=ArKC_kla2A8
沖縄密約について私はきちんと知らなくて「勉強しなくちゃ今回の物語を書いちゃいけないよね」と思い、調べて出会った番組。そのわりには密約に関してあまり物語で掘り下げることができなかったので、別の機会で書けたらと思います。日本国憲法草案や沖縄密約に関わった策略家リチャード・フィンさんについて書きたいです、いつか!

④ Cocco「ニライカナイ 琉球國祭り太鼓振り付け全編バージョン」
https://www.youtube.com/watch?v=PFqxf8xsjcc
「運命の人」は沖縄の話。なので、沖縄出身のシンガーの歌を聞きながら物語を書こうと思いました。すると、沖縄を思って歌うCoccoに出会いました。PVの琉球國祭り太鼓、はじめてみました。あら、ヤダ。カッコいい!


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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて2年半?くらい経ちました。2015年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-205.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2013年は、けいさんの『夢叶』(長編/青春小説)!
2014年は、河上朔さんの『wonder wonderful』(長編/ファンタジー小説)!

そして2015年、『 第3回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!(←古))

梅谷百さんの携帯小説ブログ『魔法のiらんど』で完結済の歴史小説『キミノ名ヲ。』です!!!

おめでとうございます~!!

梅谷百さんの『キミノ名ヲ。』は携帯小説として人気&話題となり、出版社の目にとまって、すでに書籍化もされています。書籍化作品は外すべきか悩んだのですが、自分的小説ブログ大賞では、ネットで全話読めればよし!ということで!!

この作品についての私の感想はこちら
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-317.html

ぜひみなさま、梅谷百さんの『キミノ名ヲ。』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

  お名前  :梅谷百さん
 ブログ名 :魔法のiらんど『梅谷 百.さんの作品一覧』
 ブロアド :http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/
 小説名  :『キミノ名ヲ。』/(長編小説/歴史)
あらすじ  :現代から鎌倉時代末期にタイムスリップした姉弟。姉は護良親王、弟は足利高氏の元に辿りつき、やがて敵同士となってしまう…。
 序章   :http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493028/
 第1話  :http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493028/1/
書籍情報  :http://bunko.maho.jp/newseries/978-4-04-868707-2/


今回は、梅谷百さんの『キミノ名ヲ。』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html




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ここ最近、見たかった(読みたかった)ものが、たまりにたまっていたので、会社を辞めたことを機に、それを一気に消化しています。

今ようやく一つ読み終えました。けっこうな長編だったのですが!それが第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015)候補作一覧でご紹介した梅谷百さん『キミノ名ヲ。』です!

第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-205.html

お名前  :梅谷百さん
 ブログ名 :魔法のiらんど『梅谷 百.さんの作品一覧』
 ブロアド :http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/
 小説名  :『キミノ名ヲ。』/(長編小説/歴史)
あらすじ:http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493028/
 第1話  :http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493028/1/
  選 評 :現代から鎌倉時代末期にタイムスリップした姉弟。姉は護良親王、弟は足利高氏の元に辿りつき、やがて敵同士となってしまう…。あまり目立たなかった歴史(鎌倉幕府滅亡~南北朝の動乱あたり)を恋愛と絡めてこんなにもわかりやすく魅力的に描いてしまうとは!携帯小説だからとあなどるなかれ。話題となって書籍化済。でも、ネットで全話読めます!

なんと、この梅谷百さん『キミノ名ヲ。』は携帯小説なんです。私はこれまで携帯小説ってどちらかというとなめてたクチで(すみません!)、自分から読むことはないだろうと思っていました。でも、今回これを読んだのは半年くらい前に自分で書いた「過去世話(むかしばなし)」という輪廻転生の物語がきっかけ。

【第149夜】 過去世話(むかしばなし)こちらから

そのとき物語を書く生みの苦しみがけっこうあって、もっとこういう輪廻転生を題材にしたものを読んで勉強しておけば良かった…と反省したんです。それで口コミや評判を聞き、辿りついたのがこの作品でした。

実はこれ単に輪廻転生の物語とは言えません。それというのもタイムスリップするSFモノでもあるし、日本の南北朝動乱あたりを舞台にした歴史モノでもあるし、主人公(姉)は悲劇の皇子と恋におちる恋愛モノでもあるし、離れ離れになる親兄弟の絆を実感する家族モノでもあるし、戦で大切な仲間と出会い別れに涙する友情モノでもあるし…。

最初は携帯小説特有の余白部分の多さなどに慣れず(じゃっかんイライラ?)、①巻の「ミドリノクニ」が序章的なのもあり(時代背景をわかりやすく丁寧に解説してくれていたのですが長かった)、「もしかしたら途中で挫折するかも…」と思っていました。

でも、②巻目「アカノクニ」から戦が始まると登場人物(歴史人物)もぐんと増え、彼らの正体も明かされ、一気に物語が動き出します。史実と虚構がいい感じに混ざり合い、絡み合い、ラストにどう収束していくのか気になって気になって、いつの間にかハラハラドキドキしながら読んでいました。

主人公である姉と弟のふたりの視点から描かれているのもよかったです。歴史が苦手な読者は姉視点、歴史が得意な読者は弟視点と感情移入しやすいと思います。ふたりが敵味方に分かれているから、どちらが悪とも一概にいえないところもいいです。

個人的には④巻の「キンノクニ」の姉の行動力が好き。敵になってしまった弟に会いに行くため、和解するため、後醍醐帝すらも利用してその機会を作ろうと奮闘する姿がカッコ良かった。そのあとの皇子との再会も素敵でしたし。さすがにこのあたりは虚構部分だろうと思っていたら、うまく史実になぞっているのも驚きでした。あそこが物語全体での幸福感のピークだったのかもしれないと思うと切ないですが…。

最終⑤巻「ギンノクニ」は最初から予告されていたとはいえ、涙なしではみられない悲劇的な展開だったので…。だからと言って、バッドエンドというわけではありません。私はいい意味で裏切られたラストでしたよ。

史実や伝説それらを最大限に生かし、虚構とうまく織り交ぜて、とても読みやすく魅力的な物語に仕上げる。歴史に興味を持たせる。それって恐れ多くも歴史モノを書いたことのある(かじったことのある)身としては素直に「すごい!」と思いました。(なので、私の中でこの物語のジャンルは「歴史」です。たぶん世間の評価は「恋愛色の強い歴史モノ」なのかな)

さてさて、本編を読み終え、スピンオフと番外編があるとのことで、そちらも読破したいと思います。順番的にどちらから読めばいいのか悩みどころですが(誰か教えてほしい!)。携帯小説でもネットで全話、読めるのがとてもありがたい。なので、自分的小説ブログ大賞 の候補作に選ばせて頂きました。初の携帯小説だったのですが、みごと偏見をぶち壊してくれました。いい出会いをしたな。

良ければ、みなさまも梅谷百さん『キミノ名ヲ。』、お楽しみ下さいね!^^


以下は参考までに。本編・番外編・スピンオフ(続編)も含め、物語を順番に並べてみました。正確な読み方かはわかりませんが。(番外編は時系列順)

★本編(現代から鎌倉時代末期にタイムスリップした主人公・千鶴子と大和の姉弟視点の話)
キミノ名ヲ。① ~ミドリノクニ~ 【完】
http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493028/
キミノ名ヲ。② ~アカノクニ~ 【完】
http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493029/
キミノ名ヲ。③ ~アオノクニ~ 【完】
http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493030/
キミノ名ヲ。④ ~キンノクニ~ 【完】
http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493031/
キミノ名ヲ。⑤ ~ギンノクニ~ 【完】
http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493032/

★番外編
・護良編
本編ラストの謎に絡んでくるので、番外編はまず護良親王のから読みました。
赤心の名。 護良編(本編前/飛清法師との出会いから尊雲法親王と呼ばれるまでの話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493041/
相生の名。 護良編(本編中/十津川で雛鶴に恋をした話と本編後の話) 
http://s.maho.jp/book/9aa78cd4f86e704b/6960493061/
「キミノ名ヲ。」クリスマス特別編(本編後の話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960502159/

・護良編以外の番外編
護良親王以外の番外編は本編の合間に読むのもありだし、本編後にまとめて読むのもありなのかも。とりあえず、時系列順に並べてみました。
禁色の名。 忠子編(本編前~本編中/後醍醐帝の母の話)
http://s.maho.jp/book/9aa78cd4f86e704b/6960493060/
春霖の名。 東湖編(本編前/安王丸を引き取るまでの話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493042/
心恋の名。 芹編(本編前/嫁ぎ先での生活と正中の変あたりの話)
http://s.maho.jp/book/9aa78cd4f86e704b/6960493063/
空言の名。 八郎編(本編前と本編中/十津川で比翼連理について考える話)
http://s.maho.jp/book/9aa78cd4f86e704b/6960493065/
泡沫の名。 真白編(本編前と本編中/十津川で佐保姫に恋するまでの話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493040/
秘術の名。 千鶴子編(本編中/護良親王・東湖と正成のいる千剣破城を訪ね、金剛山へ戻る途中の話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493044/
恋染の名。 楓編(本編中/生い立ちと死を選ぶまでの話)
http://s.maho.jp/book/9aa78cd4f86e704b/6960493064/
玉響の名。 顕家編(本編中/京都の清水寺で大和と再会するあたりの話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493043/
側近の名。 智久編(本編中/護良親王から「雛鶴を北畠家の養女にしてほしい」という手紙が届く話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493045/
面影の名。 真白編(本編中/奥州行きの前に但馬へ行くべきか悩む話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493049/
恋衣の名。 露編(本編中/真白が京に戻ってきてから奥州行きまでの話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493047/
薄氷の名。 呉羽編(本編中/真白の奥州行き前後・夜討ちに遭遇するあたりの話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493048/


待人の名。 月子編(現代に残された家族の話)
http://s.maho.jp/book/80551bdf18aa639c/6960493046/

追憶の名。 宗忠編(本編後/雛鶴峠に残った従者と護良親王の首を祀った神社の話)
http://s.maho.jp/book/9aa78cd4f86e704b/6960493067/



★続編(本編後の南北朝動乱の話)
シロノクニ。 ~キミノ名ヲ。スピンオフ
http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493033/
シロノクニ。② ~キミノ名ヲ。スピンオフ
http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493034/
シロノクニ。③ ~キミノ名ヲ。スピンオフ (2015年現在未完)
http://s.maho.jp/book/3b0ae2dbb66d9869/6960493036/

★番外編
埋火の名。 露編(続編中/琵琶湖の宿近くで高師直と再会する話)
http://s.maho.jp/book/9aa78cd4f86e704b/6960493066/
玉梓の名。 左虎編(続編中/新田軍偵察時に高師直と再会する話)
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===内容===
「フクダさん、俺に言いましたよね?アプレ記者の資質があるって。なら見定めて下さいよ。俺が本当にそうなのかどうか…」昭和25年7月。就職活動がうまくいかない京大生ヨシダは歴史を揺るがす或る事件(金閣寺炎上)に遭遇する。知り合いの手を借り、新聞記者に扮して現場に忍び込んだヨシダは徐々に事件の真相に近づいていくが…。 *聞いてた音楽* サカナクション (長編/歴史/青春/文学/ミステリ)

===目次===
【第176夜】 或るアプレ記者の回想①
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-207.html
【第177夜】 或るアプレ記者の回想②
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-208.html
【第180夜】 或るアプレ記者の回想③
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-213.html
【第181夜】 或るアプレ記者の回想④
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-214.html
【第240夜】 或るアプレ記者の回想⑤
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-221.html

=====================================

=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

人物モデル
★ 歴史番組 『 昭和偉人伝 司馬遼太郎 』
★ 歴史番組 『 知ってるつもり 司馬遼太郎 』
★ エッセイ 『 司馬遼太郎の考えたこと 』
★ ノンフィクション 『 新聞記者 司馬遼太郎 』

金閣寺(放火事件) / 引用文献
★ 三島由紀夫 『 金閣寺 』
★ 水上勉 『 五番町夕霧楼 』 『 金閣炎上 』
★ 柴田秋介 『鹿苑寺金閣 義満の神仙浄土 (日本の庭園美) 』

昭和初期の世相・文化・風俗 / 参考文献
★ 杉山小弥花 『 当世白浪気質 』(戦後)
★ 乃木坂太郎 『 幽麗塔 』 (戦後)
★ 都戸利津 『 嘘解きレトリック 』(戦前)
★ 柳広司/霜月かよ子 『 Dの魔王 』(戦中)

きいてた音楽
★ サカナクション 『 Ame(A) 』
★ サカナクション 『 アルクアラウンド 』
★ サカナクション 『 僕と花 』
★ サカナクション 『 ミュージック 』
★ サカナクション 『 さよならはエモーション 』

★ サカナクション 『 years 』
★ サカナクション 『 モノクロトウキョー 』
★ サカナクション 『 エンドレスギター 』
★ サカナクション 『 ユリイカ 』
★ サカナクション 『 フクロウ 』
★ サカナクション 『 三日月サンセット 』
★ サカナクション 『 白波トップウォーター 』


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いつもと同じ。変わらない仕事帰り。窮屈なスーツにも、東京暮らしに、もう慣れた。就職して3年。サラリーマン街道まっしぐらの満員電車にのっていた。

「助けてくれてありがとうございます」

そこで痴漢にあっていた女子高生を助けた。

「お礼をさせて下さい。駅を出て、すぐそこだから」

「100円マックでも奢ります」くらいの軽いノリだったから、警戒心なんて、これっぽっちももたなかった。かわいい女の子に浮ついたのが運のツキ。

着いたのは学校だった。どっしりとした門構え。夜目にもわかる、大きくて綺麗な校舎。お嬢様学校だった。

「なんで女子高に…?」

さすがに不審がる僕に彼女は言った。

「一緒に来て」

それから悪戯っぽく笑って、女子高生は僕の腕に自分の腕をからめてきた。

「お兄さんに教えてあげる」
「え?」

誘惑は、甘い香りがした。 

「私たちの秘密」

甘すぎて、腕を振り払えなかった。

   *

彼女に案内されて講堂の扉を開ける。照明をいい感じにおとしたその場所は、年代物のソファーやテーブルがいくつも並べてあって、洒落こんだ雰囲気を醸しだしていた。たくさんの人がいて驚く。女子高生だけじゃない。僕のようにスーツを着たいい年した大人が、彼女たちと一緒に踊ったり、ソファーでくつろいだりしながら楽しそうに酒を飲んでいる。

「すごいでしょう?夜はここ、クラブになるの」
「…………」

クラブというより、これは秘密クラブの域では…?気のせいか、みんな仮面みたいなものをつけてますけど…?

「知ってる?今、私立の学校って経営難なの。だから、うちの高校はこうやって資金集めをしてるんだ。お嬢様学校なんていって中身はこんな。笑えるでしょう?保護者や卒業生の寄付金なんて微々たるもの。でも学校がなくなるのは嫌だから、友達と離れたくないから、こうやってみんなで頑張ってる」
「…そうなんだ。すごいな」

って何を感心しているんだ、僕は。

「もし顔を隠したかったら、これをつけて。」

そう言われて渡されたのは、ひげ付きメガネ…。まあ、本格的に仮面とか渡されるよりは、いいのかもしれない。僕もだいぶ理性が麻痺してる。

「かわいいでしょう?ド○キで購入したの」

素直にそれを受け取って装着した。かわいいかどうかは正直よくわからない…っていうか、お嬢様も行くのか、ド○キ。

「お兄さんも空いてるところにテキトーに座って。何か飲み物、持ってくる。何がいい?」
「じゃあ、ビールを」

うっかり調子にのって酒を注文してしまった。彼女たちはまだ未成年だろう! 慌てる僕に女子高生は笑った。

「お兄さん、かわいい。そのめがねも似合ってる。了解!ちょっと待っててね」

そんなことを言われて浮かれる自分が恥ずかしい。僕もだいぶ理性が麻痺してる。

   *

テーブルに並べてくれた料理は手作りだというマルゲリータのピザ、それに焼いたチキン…。驚いた。見た目も味もなかなかだった。

「料理は家庭科部のみんなが作ったの。けっこういけるでしょう?講堂内の内装は美術部と演劇部の美術係が…。あ、ここの運営は生徒会ね」

気になって聞いて見た。

「…先生たちは何も言わないの?」
「さあ?知ってて見て見ぬふりしてるんだか。ここに紛れて楽しんでいる人もいるみたいだし…」

なんだ、そりゃ。

「世も末だな」
「世も末よね」

でも、そう言いながら、シャーリー・テンプル(ノンアルコールカクテル)を飲む彼女に少しだけ安心したりする。

「ここのクラブ、理事長が推奨してるからね。うちの理事長、人気者なの。まだ若くて…」
「もしやイケメンとか?」
「う~ん。イケメンかもしれないなあ、お兄さんみたいに」

そう意味ありげに笑う。それが艶っぽくみえるのは、きっとクラブの雰囲気のせいだなと自分に言い聞かせる。カモン、理性!プラスモー、理性!

「だからって学生にこんなことをさせちゃいけないよな」
「そう?みんな楽しそうよ」

確かに。本来、手本になるべきはずの大人たちのあの醜態…。何を言っても説得力がないかもしれない。

「心配しないで、お兄さん。大丈夫。ここ、きわどいことは基本なしだから。これでも私たち、大人を厳選してるの」
「厳選?」
「はめをはずさない大人。正義感にとらわれ過ぎない、ちょっと臆病な大人。そうねえ、典型的ないい人を選んでるの」
「選ぶって…どうやって?」

彼女はくすっと笑った。

「例えば、満員電車で痴漢にあってる女子高生を助けてくれたりとか。その後、その子に簡単についていっちゃうようなね…」

わーお。それ、誰だよ?ダメじゃんそいつ。っていうか、まあ僕なんですけどね。ということは…?

「…わざと君は痴漢にあってるの?」

彼女は俯いた。ノンアルコールカクテルに沈みこんだレモンを細いストローでいじる。

「イケメン理事長が自ら体をはって頑張ってる。だから、みんなついてきてくれるのよ」

それをすくい上げて指でつまみ、僕の口の中に優しく押し込んだ。残されたレモンの酸っぱさが、かすかに広がる。

「頑張ってるんだな、イケメン理事長は」
「死んだ親が残してくれたのはこの学校だけだった。イケメン理事長にも思い入れがあるのかもしれない」

ふとクラブで流れる音楽が変わった。

〝ダンスフロア―に華やかな光  僕をそっと包むようなハーモニー〟

「ずいぶん懐かしい曲も流すんだな」
「…これ、いろんな人がカバーしてるから、けっこう有名じゃない?私の〝心のベスト10 第1位〟の曲なんだ」
「僕としてはカバーじゃなくてnice vocalのが好きだけど…」

〝ブギー・バック  シェイク・イット・アップ 神様がくれた〟

「あー、ヘタウマな感じのか。私も好き。今度はそれを流そうかな」

〝甘い甘いミルク&ハニー〟

「だから、お兄さん。良かったら、また来て」

不意に彼女の顔が近づいた。レモンの味が甘く変わる。その危険な甘さに、ただ酔いしれていた。

   *

それからそのクラブに行くことはなかったし、満員電車で彼女に会うこともなかった。きっとあれは僕が見た不思議な夢だったんだろう。いくらなんでも女子高生が運営する秘密クラブって…そんな夢を見た僕もだいぶ理性が麻痺してる。

仕事帰りの満員電車の中で、誰かのイヤホンから音漏れするメロディが聞こえてきた。

〝ダンスフロア―に華やかな光  僕をそっと包むようなハーモニー〟

あの曲だ。でも、またnice vocalのじゃない。

〝ブギー・バック  シェイク・イット・アップ 神様がくれた〟

― 良かったら、また来て ―

〝甘い甘いミルク&ハニー〟

足は勝手にそこに向かっていた。一度しか行ったことがないのに、よく覚えていたもんだ。駅の近くというのも良かったのかもしれない。女子高につくと、驚いたことに守衛に案内された。

あの子は守衛まで懐柔したのか…。おーい!教育的指導が必要なのは子供なのか、大人なのか、いったいどっちなんだ!?わからなくて困るのは、僕も懐柔された側だからかもしれない。講堂の扉を開けると、ここのクラブのオーナーでもあるだろう彼女がむかえてくれた。

「待ってたよ」

その笑顔にやられる。カモン、理性!プラスモー、理性!そう心の中で叫んでも、もう遅い。

「君の〝心のベスト10 第1位〟の曲を聞きにきたんだ」

僕の台詞に彼女は片目をつむる。

「ふたりのでしょう?」

観念したように僕は笑った。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★小沢健二 featuring スチャダラパー『今夜はブギー・バック(nice vocal)』×霜月かよ子『真夜中のアリアドネ』★

ある作品を読んでから、秘密クラブを舞台にした物語を書きたーい!と思っていました。書こうと思った時に頭に流れて来たメロディは「今夜はブギー・バック(nice vocal)」でした。う~ん、全然サスペンスっぽくならなかったな。

① 小沢健二 featuring スチャダラパー『今夜はブギー・バック(nice vocal)』
これ、好きなんですよね。小沢健二さんの。色々な人がカバーしてるから、どうせならまとめて「みんなの今夜はブギー・バック集」をだしてくれないかな。

② 霜月かよ子『真夜中のアリアドネ』
秘密クラブでわけあって働く同級生を女子高生がすくう話。この漫画を読んでそういう舞台の物語を書いて見たくなりました。他にも、この作者さんのサスペンス系作品を只今追っているところ。
http://booklive.jp/product/index/title_id/26290/vol_no/001

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★2015/6/16
物語ブログ『1001夜ショートショート』開設・祝2周年となりました。これも応援して下さったみなさまのおかげです。本当にありがとうございます。マイペース更新ですが、これからも『1001夜ショートショート』をよろしくお願いいたします^^

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↓↓ 【第246夜】 幽玄躰(ゆうげんたい) ↓↓
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その墨を含んだ筆は人々の穢れを祓う。

男の書く文字は“守”となるのか、それとも“呪”となるのか―。

「救いになれば、どちらでも構わない」と誰かが言った。


   *


訪れた山間の里は濃い霧に覆われていた。

「お待ちしていました、僧侶様」

正確に言うと、私は寺に籍をおく僧侶ではない。しがない流れ者に過ぎない。もしかしたら、山伏というものに近いのだろうか。奇妙な力をもつ私を仏門は決して認めなかった。しかし、そんな肩書きなどここの者たちには関係ないだろう。

「助けて下さい」

苦しみから救われれば、私が何者であってもいい。誰であっても構わない。

「どうか娘を助けて下さい」

それは私自身にとっての救いでもあった。

「いったい、どうしたんですか?」

今日も私は人々の希望の光りになるべく、彼らに手を差しのべる。


   *


「翠(スイ)という里娘の様子がおかしいんです」

里の者の話によると、翠(スイ)という娘がここ最近、夜中に勝手に出歩くようになってしまったという。別に里の男と恋仲になり、こっそり会いに行っているわけではない。翌朝、問い詰めても本人は何も覚えていなかった。出歩いたという記憶すらない。心配した両親が夜中に彼女の後をつけると…。

「娘は得体のしれない者と一緒にいたんです」
「得体のしれない者?」
「…獣の形を装った白い影、のようなものでした」

白い影…?

「…僧侶様、物の怪や怨霊のたぐいでしょうか?」
「娘に会うことはできますか?」

両親に案内さた家に娘がいた。翠(スイ)は瓜実顔の美しい娘だった。

「里の者の前では言えなかったのですが、最近、翠には痣のようなものができてしまいまして…」

両親がそう言うと、娘は恥じることもなく、無表情で腰の帯をゆるめた。着物が床にさっと落ちる。全身にまだらのような痛々しい赤い痣があった。しかし、不思議なことに左の胸だけは無傷だった。

「痛みはありません。ただ全身に痣があるだけ」

娘の声は落ち着いていた。

「僧侶様、これはいったい何なのでしょう…?」

娘よりも両親の方が不安そうだった。私は彼らを安心させるように微笑んだ。

「その白い影…得体のしれない者は、娘さんの命を今晩、奪いに来るかもしれません。左の胸だけ無傷なのはその証拠。間に合って良かった。今、文字を書きましょう。ご存知かと思いますが、私の文字には力がありますので」

背負っていた行李(こうり)を下ろし、その中から硯(すずり)と筆を取り出した。

「父さん、母さん。悪いけど、僧侶様とふたりにして」

娘が言った。その言葉に両親は顔を見合わせる。それから私を見て頷くと部屋を出た。

「ごめんなさい。両親は大げさなんです」

娘の声は、やはり落ち着いていた。

「一人娘と聞いたよ。そりゃ、心配だろう」

静かに墨をする。黒い液体が、じゅわりと生まれる。

「違うんです。この里で一番の金持ちに嫁ぐことが決まっていて、それが破談になりそうで慌ててるの」

私は筆を持ち、その先を墨につけた。じゅわり、と筆先が闇色に染まっていく。

「それが嫌で、お前は白い影…鬼に自分の躰(からだ)をうったのか…?」

私の言葉に娘はふっと笑った。

「さすが僧侶様、お見通しなんですね。あの白い影の正体は鬼。ある晩、あれがあたしに声をかけてきた。望みを叶えてやるから、躰をうれといって。どうせ無理やり嫁がされるのだもの。誰にこの身をくれてやっても同じ。だから毎晩、鬼に会いに行きました。今日は腕、今日は足、という具合に…躰をうったの」
「最後に命を残してか…?最初から鬼はお前の命を狙っていた。そのことはわかっていただろうに」
「それでも、よかった」

どこかあきらめた表情の娘に私は聞いてみた。

「望みは叶ったのか?」

娘はうっとりするような微笑を見せる。

「ええ、僧侶様が来てくれたもの。あなたが、あたしを救ってくれるんでしょう?」

私は言った。

「私の書く文字は“守(しゅ)”となるのか、それとも“呪(しゅ)”となるのか―。わからんぞ?」
「救いになれば、どちらでも構わない」

と、娘が言った。

「わかった」

私は娘にふれた。無傷の左の胸に筆を下ろす。娘が小さな悲鳴をもらした。

「たえろ。今までの心の痛みに比べれば、大した痛みではないだろう?」
「ええ。…でも、意識が遠のきそう。あたしの名前を呼んで下さい、僧侶様…」

私はそっと囁いた。

「翠(スイ)」

娘は苦痛に顔を歪めていたが、どこか幸福そうに見えた。


   *


その晩、鬼が来た。

― 娘がいない ―

白い影はひたすら娘を探していた。しかし娘の姿は今、私の文字の力で鬼には見えないものになっている。

― 娘よ、どこへ行った? ―

「娘はお前のものではない」

私がそう言うと、鬼は激高した。

― 異形の者の仕業か!娘をどこに隠した!? ―

「鬼に異形と言われるとは。笑わせてくれる。もう一度言うぞ。娘はお前のものではない」

― なんだと!? ―

「娘…翠の命は、彼女自身のものだからだ」

私の書く文字は“守(しゅ)”となるのか、それとも“呪(しゅ)”となるのか―。翠の胸に記したのは、“私のもの”という文字。

― 異形の者め!覚えていろ ―

やがて夜が明け、鬼は消えた。


   *


昨日までの霧が晴れ、日の光りに包まれた里は活気を戻しつつあった。

「僧侶様。里の娘を救って下さり、ありがとうございました」

娘の痛々しい痣はすっかり消えていた。左の胸にだけ私の書いた文字がまだ残されているが、徐々にそれも薄れていくだろう。鬼が彼女の元に訪れることはもうない。

「すみません。翠のやつ、姿を見せなくて。僧侶様に挨拶をしろと言ったんですけど…」
「気になさらずに。それでは、私はこれで」

人々と別れ、里を後にする。すると、山道に出たところで、先回りをしていたのか娘が待っていた。

「僧侶様、もう行ってしまうんですか?」
「お前はもう大丈夫だ。安心して、自分のこれからことを考えるといい」
「このままここにいても金持ちのところに嫁ぐだけなのに?」

私は笑った。

「お前はもう子供ではないだろう?」
「え?」
「強い生命力で、鬼にも勝てたのだから」

それを聞いて、娘もおかしそうに笑った。

「そうですね。でも、僧侶様があたしに書いた文字がまだ胸に残ってるわ。あれはいただけない」

私が首をひねると、娘は怒ったように腰に手をあてた。

「僧侶様が書いた“私のもの”という字…あれではまるで“あたしは僧侶様のもの”って意味みたいでしょう?」

私の書く文字は“守(しゅ)”となるのか、それとも“呪(しゅ)”となるのか―。

「翠という娘の命はもう僧侶様のものなのに。そんなあたしを置いて行く気ですか?」
「仏門に見放され、鬼にまで異形の者と罵られた私だぞ?それでもついて来れるのか?」

娘が私に飛びついた。

「大丈夫。あたしは強い生命力の持ち主らしいわ」
「やれやれ。とんだじゃじゃ馬…いや、おてんば娘だな」

しっかり抱きとめると、彼女は私に笑顔を向けた。

「ひどい言い草。でも、あなたの救いになれば、どちらでも構わない」と翠が言った。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 漆原友紀『蟲師』 × 小泉八雲『耳なし芳一』 ★

『蟲師(むしし)』のアニメが素晴らしくて、その世界観に似た物語が描けないものかと思っていたら、今回の物語のタイトルがなんとなく浮かんできました。(調べたら、元々「幽玄体」って和歌などの歌体なのだそう。その「体」の字をなんとなく「躰」で置き換えたら、声が生まれ、いつの間にかこんな物語に…)体に文字を書くなんて『蟲師』より、なぜか小泉八雲の『耳なし芳一』っぽくなってしまったような…。

① 漆原友紀『蟲師』
この総集編、良ければぜひ!本編みたくなりますよ。
http://nicotter.net/watch/sm4447492
誰かが言ってたけど、確かにこの物語が「日本昔話」でもいいかもしれない。


② 蟲師Soundtrack『蟲音』
作り手も演じ手も素晴らしい映像化作品でしたが、音楽が「蟲師」の世界観に物凄く貢献していたのではないでしょうか。これを聞きながら今回の物語を書きました。
【作業用BGM】 蟲師 Sound track 1 (蟲音 前)
http://nico.ayakaze.com/player/sm/sm2515295
【作業用BGM】 蟲師 Sound Track 2 (蟲音 後)
http://nico.ayakaze.com/player/sm/sm2809974

③ 小泉八雲『耳なし芳一』
http://www.amazon.co.jp/%E8%80%B3%E3%81%AA%E3%81%97%E8%8A%B3%E4%B8%80-%E5%B0%8F%E6%B3%89-%E5%85%AB%E9%9B%B2/dp/4097278525
私のトラウマ怪談。小学生の頃、図書室で読んだ時の恐怖は呪い級でした…。でも、自分の中で今回物語の元ネタになってくれたっぽいから少しは克服できたのかな。

こちらの物語は後に続編化になりました。準備中のためショートショート版をこちらにあげておきます。


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★2015/6/16
物語ブログ『1001夜ショートショート』開設・祝2周年となりました。これも応援して下さったみなさまのおかげです。本当にありがとうございます。マイペース更新ですが、これからも『1001夜ショートショート』をよろしくお願いいたします。
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【第245夜】 亡き王女のためのパヴァーヌ  ジャンル:友情/ショートショート 
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― ねえ、私の“美しい”はあなたにどう響く? ―

   *

放課後、誰もいない音楽室でピアノを弾いていると、一人の少女が私に声をかけてきた。

「あなた、絵のモデルになってくれない?」

確か隣のクラスの子だ…。顔は覚えているのに、名前が思い出せなかった。

「…私のこと、知らない?カセイよ。カセイジュンコ。美術部なの」

眉の上で切りそろえた前髪が似合う整った顔立ち。自らがモデルと名乗ってもいいような美少女。それがカセイジュンコだった。

「どうして私なんかをモデルに…?」

そんな彼女に比べ、私は麗しい美貌には程遠い。戸惑う私を見て、目の前の美少女はおかしそうに笑った。

「あなた、とても素敵よ」

そんなことを言われたのは初めてだった。つい顔が赤くなる。

「あなたのピアノ、素敵だったわ」
「…なんだ、ピアノか…」

勘違いした自分が恥ずかしくて、赤くなった頬を両手で隠そうとすると、彼女のひんやりした手がそれをとめた。

「そう。あなたのピアノが素敵。こう言えば安心する?」

人を試すような表情。聡明さを感じさせる瞳。先に美しさにとらわれたのはどっちだったのだろう?

「今度コンクールで弾く曲なの。ありがとう、誉めてくれて。えーっと、カセイ…さんだっけ?」
「ジュンコでいいわ、ミナガワさん。私もヒデコって呼ばせてもらうから」
「…どうして、私の名前を知っているの…?」

私の指に彼女は自分の指をからめた。

「あなた、自分の魅力に全然気づいてないのね」
「え?」

そして、静かに微笑んだ。パッと、からめた指を離す。

「じゃあ、明日またここで会いましょう」

少し強引で神秘的な少女。彼女はまだ自分に自信のなかった私を見つけてくれた。

「よろしくね、モデルさん」

   *

カセイ ジュンコ。

その名を学校で知らない者はいなかった。

翌日、同じクラスの美術部の子に彼女のことをたずねると、唾を飛ばすような勢いで彼女のことを力説された。史上最年少で美術展に入選した少女画家だということ。彼女の絵は人物や風景を描きながらも現実を越えた表現力があること。凄味のある色彩感覚に圧倒されること。高校の美術部に籍を置いてはいるが、自分の作品作りのため、ほとんど参加することはできず、幽霊部員に近いこと。でも、顧問も部員も彼女をとがめることはないこと。それはみんな彼女の才能にほれているからだということ…。

北国で花開いた孤高の芸術家。時の人。天才画家という名の美少女。結局、放課後の音楽室で私が彼女のモデルを引き受けることにしたのは、そんな彼女が自分に興味を持った理由を知りたかったからかもしれない。

「ジュンコって凄い人だったのね…」

私が呟くと、カセイジュンコは笑った。

「でも、そんな私をヒデコはよく知らなかったじゃない?」
「…ごめんなさい」
「いいのよ、知らなくて。名声なんてうっとうしいだけよ」

ジュンコはどこか客観的で冷めたところがあった。

「そういうものなの?」
「そういうものよ。私は絵を自由に描ければいいの。こんなふうに、誰かさんをモデルにしたりしてね」

いったい私の何が彼女をひきつけたのだろうか…?照れくさくなって、私はジュンコに話題を戻した。

「学校に飾ってあるジュンコの絵を見たの。とても感動したわ」
「そう?ありがとう」
「あれって自画像なの?」
「そうよ、私なの」
「目が離せなくて…なんて言えばいいのかしら?…ただもう美しかった」

その感想にジュンコは笑った。私は恥ずかしくなった。

「…いやね。“美しい”なんて感想。私が使うと、その言葉はなんとも陳腐な響きになってしまうわ」
「ヒデコ?」
「きっと、私自身が陳腐なせいね。ごめんなさい」

自分で言ってて情けなくなる。それを聞いたジュンコはデッサンする手をとめた。スケッチブックを閉じ、私に優しく訴えた。

「ねえ、ヒデコ。私、音楽なんてこれまで全然興味がなかったの。特にクラシック。古くさくて、かたっくるしくてね。でも、ヒデコのピアノをきいて好きになったわ」
「え?」
「ヒデコのおかげで気づいたの。クラシックは演奏する人を選ぶのね。人によって音の響きが全然違う。生み出す世界が違うのよ。私はあなたのピアノ演奏をとても美しいと思った。そんなヒデコは陳腐なのかしら?ねえ、私の“美しい”はあなたにどう響く?」

人を試すような表情。聡明さを感じさせる瞳。先に美しさにとらわれたのはどっちだったのだろう?

「こう言えば安心する?」

私だったのだろうか?ジュンコだったのだろうか?

「あなたのピアノをきかせて、ヒデコ。私たちが初めて出会った時に弾いていた曲がいいな」

放課後の音楽室に西日がさしこんでいた。その光りが眩しくて、瞬きを繰り返す。

「もしかして、ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ 』?」
「うん。それ!」
「しょうがないなあ。じゃあ、私の王女様のために一曲、弾きましょうか!」
「…ちょっと、私は死んでないわよ!」

ふたりで笑った。あふれる涙を振り払うように、私は彼女に語り出した。

「ラヴェルはね。晩年、記憶障害になってしまうの。かつて自分で作曲した『亡き王女のためのパヴァーヌ 』を聞いて、こう言ったらしいわ。『とても美しい曲ですね。どなたが作ったんですか?』って。彼は自分が作曲したことを忘れてしまったけど、美しいと感じたことは忘れなかったのよ」

自分のピアノ演奏にのせて、好きなラヴェルのエピソードを語る。それが彼女のくれた言葉に対する返事になればいいと思った。感謝の言葉になってくれるといい、と。彼女はそれをどう受けとめてくれたのだろうか?

― ねえ、私の“美しい”はあなたにどう響く? ―

「もしかしたらこの世で一番美しいのは、誰かの記憶に“美しい”と残せることかもしれないわね」

そう言ったジュンコが忘れられなかった。

   *

カセイジュンコが湖畔のホテルで消息を絶ち、阿寒で凍死体となって発見されたのは、それからしばらくたってからだ。

自殺の可能性が高いと聞き、私はショックからかピアノが弾けなくなってしまった。あの音楽室に近づくこともできなくなった。彼女の死は謎に包まれたまま月日は流れ、ようやく忘れかけた頃、彼女のお姉さんが私の元に訪れた。実家を整理していたら、ジュンコの描いた一枚の絵が見つかったという。それをわざわざ持ってきてくれたのだ。

「妹はあなたをモデルに絵を描いてたみたいなんですよ」

スケッチブックにデッサンをしていたことは覚えている。でも、きちんと絵に仕上げていたとは知らなかった。お姉さんが見せてくれたジュンコの絵に私は息をのんだ。そこには、ピアノ演奏をするあの頃の私の姿が描かれていた。

― あなたのピアノをきかせて ―

音楽室にさしこむ西日が眩しい。

自分に自信のなかった私をジュンコはみつけてくれた。優しくしてくれた。彼女と過ごした時間はとても短かったが、輝かしいものだった。…ねえ、ジュンコ。あなたもそう思ってくれていたの…?

「ヒデコさん?」

お姉さんが心配そうに私を見つめていた。

「すみません。いろいろ思い出してしまって…」

あふれる涙を振り払うように、私はお姉さんに語り出した。

「ジュンコさん、私のピアノをとても気に入ってくれてたんですよ。良ければお姉さん、私のピアノを聞いてくれませんか?あの頃みたいに弾けるかわかりませんが…」

お姉さんは静かに微笑んだ。それに勇気づけられるように、私はずっと弾いていなかったピアノの前に座った。調律は大丈夫のようだ。

― こう言えば安心する? ―

人を試すような表情。聡明さを感じさせる瞳。私の弾くラヴェルの曲を好きだと言ってくれた。記憶の中の美しい王女様に私は語りかける。

― ねえ、私の“美しい”はあなたにどう響く? ―


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ドキュメンタリー『もう一つの阿寒に果つ』×ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』★

ちょっと前に女優の宝生舞さんの行方がわからないと言ったニュースが流れていて、それで思い出したのが昔見た加清純子(画家)のドキュメンタリー。阿寒で謎の死を遂げた少女画家を宝生舞さんが演じていました。その動画を発見。もう一度見たいと思ってたから嬉しかったな。私が実在の人物を描く場合は(歴史モノも含め)勝手な虚飾がいっぱい。半分フィクション感覚でお読み下さると嬉しいです。(というわけで作中の登場人物名は片仮名表記。主人公はドキュメンタリーに出ていたご友人ふたりの名前から)

① ドキュメンタリー『もう一つの阿寒に果つ』
宝生舞さんが加清純子を演じ、雪の中を歩く姿がとても印象的でした。企画考えた人、ナイスキャスティング!
https://sp.nicovideo.jp/watch/sm11818123?ref=sp_watch

② ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』
クラシックは私の中でラヴェルかな。
https://youtu.be/BzWxAymd7po

良ければ、こちらもどうぞ。ラヴェルは『水の戯れ』が一番好き。
水の戯れ(ラヴェル)
https://youtu.be/RcqLGSQdL7I



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良ければ、先にこちらをどうぞ
【目次】 『姫巫女と風使いの少年(仮)』シリーズ 【作品紹介】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-299.html
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鬼の話なんて眠る前にしたからだろうか?隼(はやて)はその夜、なかなか寝つけなかった。

「きっとあれだ。凪(なぎ)の冗談がすぎて、気が高ぶったんだ!ちくしょう!」

まだ胸が早鐘(はやがね)を打っているような気がする。兄の凪は鬼の話をして弟を怖がらせたことに満足したのか、すでに隣りで心地よい寝息を立てていた。

「鬼なんて、くそくらえ!」

自分の心の弱さを認めたくなくて、隼は一人呟いた。琥珀色の月が優雅(ゆうが)に彼を見下ろしている。ふと思い出し、彼は兄からもらった勾玉を取り出した。兄の言葉が気になっていた。

― 俺はこれから里長の下について里のために動くことになる。一番に里のことを考えなくちゃいけない。親の意志は継げないんだ。だから、それはお前にもっててもらいたい ―

「今さら形見分けなんてらしくないよ、凪…」

― 親の意思?平和に暮らせっていうことかな。ふたりは戦に巻き込まれて死んじまったから ―

「俺だって、もう平和には暮らせないよ。忍びの者として、ようやく一人前になったんだから。俺は凪についていくよ、どこまでも…」

ひんやりとした勾玉を胸に抱く。不思議なことに、だんだんと心が落ち着いてきた。隼は安心して、ゆっくりと夢の世界に誘(いざな)われていった。

「…ようやく眠ったか」

弟が眠りについたのを見届けると、隣りにいた青年は静かに起き上がった。たき火に眠り薬のしこんだ香(こう)を放っていたのに、ずいぶんと時間がかかってしまった。弟も初仕事に警戒(けいかい)をゆるめなかったのかもしれない。ほめてやりたかったが、もうそんな暇(いとま)はなかった。

「ごめんな、隼。一人にして。でも、お前ならきっとわかってくれるな」

彼は立ち上がり、後ろの茂みに向かって声をかけた。

「そこにいるんだろう?さっきは驚いたぜ。俺の弟を襲いやがって。そんなに喰いたかったのか、『鬼』さんよ?」

茂みから『鬼』が姿をあらわした。得体のしれない邪悪な者は、妖しく笑った。

― いいのか?別れを言わなくて。この少年、きっとそなたを恨むぞ? ―

「上等だ!欲のない奴は、恨みや憎しみを抱えれば生きていけるってもんさ」

青年は笑った。その目に涙はなかった。

「俺は行かなくちゃいけない。さようならだ、隼…」


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

しばらく影響を受けた作品紹介を省略します。書くピッチあげたくて。読み返してないので、物語のデキもずいぶんと雑になってそうで申し訳ないです。すみません。今は書くことに、声を聞くことに集中。



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【目次】 『姫巫女と風使いの少年(仮)』シリーズ 【作品紹介】
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「鬼は謎だらけなんだ」

兄の凪(なぎ)の話を聞き漏らすまいと、隼(はやて)も起き上がった。

「今、里長をはじめ、近隣(きんりん)の里も躍起(やっき)になって調べている」
「もういくつもの村や里がそのせいでなくなったと聞いたよ。理由もわからず、人々が死に絶えていたって。本当なの?」

隼の問いに、凪は頷(うなづ)いた。

「ああ、そうだ。ある種の伝染病(でんせんびょう)とも考えられたらしいが、医術師(いじゅつし)の診(み)たては違っていた。心の蔵(ぞう)が何らかの強い衝撃(しょうげき)を受け、止まっていたそうだ。かろうじて息の残った者に聞いても、正気(しょうき)をなくしていてよくわからない。ただ、うわ言のようにこう繰り返すだけ…」

隼は息をのんで、凪の言葉を待った。

「…『鬼が来た!』と…」

その時、何の前触れもなく、突然たき火の火が消えた。

「え?」

隼は慌ててあたりの様子をうかがう。息を殺し、闇夜にひそむ気配を探る。すると、いきなり自分の肩を誰かが強く揺さぶった。振り払えないほど強く―。鋭い爪が皮膚にまで食い込み、あまりの恐怖に隼は叫んでいた。

「悪い悪い。冗談が過ぎた!」

凪は声を立てて笑いながら、隼の肩から自分の手をおろす。そして慣れた仕草で、また焚き火を起こした。

「…凪、驚かせるなよ!」
「いや~、弟の成長を見ようと思っただけさ。まだお前がそんなに怖がりだったとはな。一人前っていってもまだまだ子供なんだな」

隼をからかいながらも、兄はどこか嬉しそうだ。

「冗談が過ぎるだろう?…ったく!」
「こういう得体のしれないものはさ、人の恐怖心につけ込むものなんだよ。だから隼、堂々としているのが一番いいぞ」

凪は悪気もなくそう言い、あっけらかんとしたものだった。兄の強靭(きょうじん)な精神力を見習いたいものだと隼は思った。


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【目次】 『姫巫女と風使いの少年(仮)』シリーズ 【作品紹介】
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日が暮れ、夜になると、あたりは静寂(せいじゃく)に包まれた。季節は初夏といえ、山中はまだ冷える。小さなたき火をし、暖(だん)をとった。横になって空を見上げると、夜を彩(いろど)る星が瞬(またた)いていた。

「せっかく隼(はやて)が一人前になったんだ。獣(けもの)でもかって肉を食べさせたかったな」

兄の凪(なぎ)の言葉に隼は笑った。

「いいよ。俺、干し飯(ほしいい)嫌いじゃないし。しかも凪の手作りだから、うまかった。俺はこうして最初の仕事を凪とできただけで充分さ」

凪は声を立てて笑った。我が弟ながら欲のない…。

「安いやつだな!」
「え、安い?俺が!?」
「欲がないのは主君(しゅくん)に仕える忍びの者としてはいいかもしれないが、男としてはな。もっと欲深くなれといいたい」

男として…?

「いざという時に自分の糧(かて)になるのはそういうものだからさ、隼」
「糧…?」
「自分を支えてくれるもの」

兄の言っていることがよくわからずにいると、凪はふと立ち上がり、お守り代わりにつけていた自分の勾玉(まがたま)の首飾(くびかざ)りをはずして隼に渡した。

「祝いの品だ」

凪から受け取ったそれは掌(てのひら)におさまるほど小さい。たき火の炎(ほのお)にきらめく琥珀色(こはくいろ)は、今宵の月にとてもよく似ていた。

「これは凪がいつもしているやつだろう?そんな大事なものをもらえないよ」
「だからこそ、受け取ってくれよ。俺はそれをお前にたくしたいんだ。元々それは俺たち両親の形見(かたみ)だから、お前が持ってていいものでもあるんだ。隼、俺はこれから里長の下について里のために動くことになる。一番に里のことを考えなくちゃいけない。親の意志は継げないんだ。だから、それはお前にもっててもらいたい」
「…親の意志は継げないってどういうこと?」
「平和に暮らせということかな。ふたりは戦(いくさ)に巻き込まれて死んじまったから」

彼らの親は忍びの者ではない。素性(すじょう)はよくわからないが、彼らがまだ幼い頃に戦に巻き込まれ、死んでしまった。孤児(こじ)になってしまったふたりを今の忍びの里の長(おさ)が拾ってくれたのだ。長にも、里にも恩があると凪は思っていた。

「…これから戦になるの?」

兄の不穏(ふおん)な言葉に隼が戸惑(とまど)っていると、凪は言った。

「鬼の噂は知ってるだろう?」

…鬼?そう言えば、里のみんなが噂していた。得体(えたい)のしれない邪悪(じゃあく)な者が現れたこと。人々はそれを『鬼』と呼び、とてもおそれていることを。


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【目次】 『姫巫女と風使いの少年(仮)』シリーズ 【作品紹介】
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ずっとこの人の背中を追いかけていくものとばかり思っていた。尊敬する兄、凪(なぎ)の背中を…。

    *

隼(はやて)は今年で十六になり、ようやく忍びの里の長(おさ)に仕事を任されるようになった。はじめての仕事、しかも遠出だということに、彼はとてもはしゃいでいた。だが、理由はそれだけではなかった。

「隼(はやて)、もう少し低く飛べ」

忍びの里で一番優秀である自慢の兄、凪(なぎ)と一緒だったからだ。兄弟と言っても彼らは少しも似ておらず、まったく異なった外見をしていた。隼は日に焼けた肌に太い眉、鋭い目をしているが、兄の凪は白い肌に細い眉、穏やかで優しい目をしている。

「凪、俺は高く飛ぶことくらいしか能がないのに、そいつは無理な話だよ!」

少年の隼は歯を見せてにんまり笑うが、青年の凪は静かに声を立てて笑う。

「でも、隼は一番里で跳躍力(ちょうやくりょく)があるだろう。滞空(たいくう)時間も長い。それは大きな武器だ」

兄に褒められ、隼は少し照れた。同い年の仲間には「ガキは高いところが好きだっていうもんな」とよく馬鹿にされるが、兄はそうではない。きちんと自分を評価してくれる。自信を与えてくれる。それがとても嬉しかった。

「俺は凪みたいに全てが勝(まさ)ってる方がいいけどな」

隼は羨ましそうにぼやいた。凪は一見痩せ型ではあるが、身体能力がとてもすぐれている。

「頭が良くて里長とも一対一で話せるし、若衆(わかしゅう)もまとめられるだろう?あ、それに飯炊(めした)きもできる。優秀だよ!」
「…誉められるのはいいが、飯炊きはちょっと余計かな」
「里の女衆(おんなしゅう)が言ってた。『凪のあとの飯炊きは比べられるから嫌だ』って。女泣かせだね」
「…お前、それ女泣かせの使い方、違ってるから…」

ふたりは笑った。里にいる時は少し年が離れているせいで別行動が多かった。彼らの忍びの里では血の繋がりは関係なく、年齢別にわかれて共同生活をしている。だから、今回のような仕事でもないと一緒に過ごすことができなかった。隼がようやく一人前になり、兄弟水入らずで祝福させてやろうという里長の配慮だったのかもしれない。

密書(みっしょ)を届けるという遠出の仕事も無事に済み、彼らは里への帰路(きろ)の途中だった。

「隼、そろそろ日が暮れる。野宿の準備だ」
「え?まだ俺、飛べるし、走れるよ」
「山の中は暗くなる前に寝床の確保って習ったろ?」
「えー」
「それに、明日には里につく。最後の夜くらいのんびりやろうぜ」

兄のそんな心遣いが弟はとても嬉しかった。やがて視界が開けた場所に出ると、隼は目を細めた。山肌に照りかえる夕日は大きくてこぼれるように眩しかった。まるで目に痛いほどだ。一日が終わるのはとても早く、どこか惜しい気持ちになる。

充実している証拠だった。

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=影響を受けた作品のご紹介=
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うわ、これ一年半ぶりに書くんだ…。実はこの物語のシリーズ名をずーっといまだに悩んでおりまして。「鬼舞」って気に入ってたんですけど、すでにその名の本があるみたいなんですよね。なんてこったい。たぶん私の書く物語はこれからアクションがあると思うので、テキトーに語尾に「戦記」とかつけてみたりしたんですけど、う~ん。しっくりこない。もう今回きいていた音楽のタイトル「時空の風」を借りちゃおうかな。この音楽、すごいです。聞いたら、一気に物語の声が襲ってきたんですよ。和音楽、いいな。ハマりそう。


★ 荻原規子『白鳥異伝』
★ 藤田和日郎『からくりの君』
★ 『時空の風』

① 荻原規子『白鳥異伝』
http://www.amazon.co.jp/%E7%99%BD%E9%B3%A5%E7%95%B0%E4%BC%9D-%E8%8D%BB%E5%8E%9F-%E8%A6%8F%E5%AD%90/dp/4198605408
私を本好きにさせてくれた児童文学です。三部作で一番好きな本がこれ。ヤマトタケル伝説をモチーフにした和風ファンタジー。物語展開もそうですが、ここに出てくる登場人物みんなが好きでした。特にお気に入りは菅流(スガル)という男の子で、最初この物語の主人公の一人である少年の名前も字を変えて清琉(すがる)にしたくらい。でも、兄弟の凪の名前に合わせて変えました。風に関する名前で一文字の漢字を見つけて。活躍してくれるといいな。

② 藤田和日郎『からくりの君』
たぶん一番好きな時代モノ短編少年漫画です。お姫様と忍者のふたりが織り成す信頼関係もいいし、最後のタネ証しも圧巻です。

③ 『時空の風』
一気に和の世界が広がりました。何コレ。日本人の血が騒ぐ!というか踊る!

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…鐘の音がする。いつからかわからない。ただ、夢の最後でいつも鳴り響くのだ。ずっと前から…。

    *

誰かの泣く声がして、彼は目を開けた。目の前に女がいて、かなしげに自分を見下ろしている。目元のブルーのシャドウがやたら印象的な女…。

「気が付いたか?ここがどこだかわかるか?」

しかし彼女は泣いていなかった。自分の気のせいだったらしい。彼女に問われ、彼は苦笑した。何もわからなかったから。彼女が言った。

「病院だ。お前が意識をなくしてもう3日になる」

無機質な白の空間、つんとした独特の消毒液の匂いに「ああ」と彼は思った。それにしても随分と立派な個室のベッドで世話になっているようだ。彼は慌てて体を動かすと、胸に激痛が走った。

「安静にしろ。拳銃でうたれたんだ」
「え?」
「大丈夫だ。急所は外れている」

胸をおさえると、包帯がしっかりと巻かれていた。…自分は何か事件にでも巻き込まれたのだろうか?

「どうして拳銃なんて…?」

彼の反応に、彼女は目を瞠った。

「…お前、何も覚えてないのか…?」
「すみません。記憶がなくて。…何があったんでしょうか?というか、あなたは誰ですか?」

その問いに彼女はとても傷ついた目をした。申し訳なく思ったが、早く現状把握をしたかったし、もう一つ彼には切実な問題があった。

「…それと、僕はいったい誰ですか?」

本当に、何もわからなかったのだ。

彼女はリアと名乗った。職業は刑事。ある事件に巻き込まれ、また命を狙われる危険のある彼をこの病院にかくまっているらしい。

「…あの、それで僕の名前は?」
「…それが私にもよくわからないんだ…。お前が目覚めたら詳しく聞こうと思っていた」
「そうですか。でも、こういうのってあれですよね。ある日突然思い出したりするものとかいいますよね」

リアは不安そうに彼を見つめていた。それに彼は笑顔で返した。なぜか彼女に心配をかけたくなかった。自分が誰だかわからない恐れや不安はもちろんあったが、自分が生き延びたことの方が彼にとっては大事だった。事件の被害にあっても、無事でいられるなんて、このグレイブ・シティでは奇跡に近いことだ。この街では現在『由々しき市民』によるテロ行為や犯罪が多発している。だから、刑事は忙しいはずだ。それなのに、なぜだろう。彼女は彼のそばを離れようとはしなかった。

「…刑事さん、僕は大丈夫ですよ。お仕事は、いいんですか?」
「私のことは気にするな」
「…でも」
「これでも食べてろ」

彼女がナイフで切った林檎はウサギのかたちをしていた。つい彼は吹き出した。リアのもつクールなイメージとあわなかったからだ。警察なんてグレイブ・シティの政権を握る市長の犬だと聞いていたのに…。

「刑事さんって、かわいい人ですね。僕、病人なんて役得だな」
「え?」

 ― 密かな俺の夢ですよ。役得来た!!みたいな? ― 

彼のそのセリフを聞いて、彼女の顔が曇った。それを見て、彼は戸惑った。

「僕、変なことを言いました?」
「いや、違う。似たようなことをむかしに言われて、少し思い出しただけだ。お前は私の知り合いによく似ているから」
「…そうですか」

深く聞いてはいけないような気がして、彼は話題を変えた。

「そう言えば、最近面白いニュースとかありますか?ここはテレビもないし、新聞や雑誌も見れないみたいで気になってたんです」
「そうだな。手配しとく」

なぜだろう。彼は咄嗟に彼女の嘘を見抜いていた。たぶんこの部屋に情報を与えるものは置かれない。彼女が林檎をむくのに使っていたナイフも、きちんと彼女が持ち帰るだろう。どうしてそういうことがわかるのか自分でも不思議だったが、彼女に悟られてはいけないと思った。平然を装い、彼は続けた。

「それにこんなにいい個室を借りているのも気になっていたんです。大丈夫でしょうか?」
「気にするな。お前を助けられなかったのは私のせいだから」

『私のせい』という言葉もひっかかった。彼女は、自分のせいで何か重いものを背負わせてはいないだろうか…?深く考えていると、リアがたずねた。

「…ところで、うなされていたようだったぞ?大丈夫か?」

それを聞き、彼は苦笑した。

「…なんか変な夢でもみてたんですかね。何の夢を見てたのかそのへん忘れましたけど、最後に鐘の音がガンガン鳴ってたような気がします」
「鐘の音か…」
「夢の終焉を告げる鐘の音ですよ…なんてね。『終焉』なんて言って自分の柔肌に鳥肌が立ってます」
「なんだ、それは」

リアの笑顔に彼も笑った。彼はリアの笑顔が好きだと思った。彼女の笑顔は素の表情が現われる。濃い化粧でひた隠しにしているようだが、あどけなさの残る少女のような可憐さがあった。化粧はきっと彼女の武装なのだ。まだまだ男社会の警察組織において彼女の存在とそのキャリアは特に煙たがれるのかもしれない。怪我人の自分の世話をさせられているのも嫌がらせみたいなものだろう。

「刑事さんは、どうして刑事に?」

聞いた後で、しまったと思った。自分ごときが簡単に聞いていいものではないだろう。

「大切な者を守るため」
「…大切な者?」
「ああ」
「それって恋人とかですか?それとも…」

不意に病院内に強い揺れが起こった。爆撃でも受けたのか、外は火の手が上がっていた。煙も立ち込めている。

「いったい何が!?『由々しき市民』がまた…?」

彼の問いに、リアは答える。

「きっと、目覚めたお前を迎えにきたんだろう?」
「…僕を?」
「私をはっているのが一番確実だからな」
「どういう意味ですか?」

鼻で笑いながら、リアは続けた。

「グレイブ・シティに住む者は、みんな『由々しき市民』になるなと教育される。危険分子あつかいされるその呼び名をお前はとても毛嫌いしていた。そんなこと言ったら、人は誰しも『由々しき市民』候補生で、そういう負の感情は誰しもあるものだと言ってね…」

彼は混乱していた。彼女はきっと今、真実を語ってくれている。しかし、自分の思考がそれに追いつかない。

「でも、逆に『正しき市民』になれとは言われないとも。『正しき市民』はみんながなれる者じゃないからだ。決められた特定の者に限られる。だから、あえて言わないんだろうと」

― おかしいなあ、それ。俺には市長の考えがわかりません。リアさんは、わかりますか? ―

「…あなたは、知ってるんですね?本当は僕が誰なのか…」

彼の声は冷たく厳しかった。それでもリアの態度は変わらず、落ち着きを払ったままだった。

「私は知らないとは言ってないな」
「僕は事件の被害者なんかじゃない。むしろ逆なんじゃないですか?ああ、そうか。犯罪者だったんですね?なら迎えにくるというのはその仲間。もしかして、僕は『由々しき市民』の幹部?…まさか代表格ですか?」

― あなたのような『正しき市民』でも答えられないことがあるんですね。でも、俺はあなたに答えてもらいたかったんだけどな ―

リアは息を吐いた。それから、彼を真っ直ぐ見つめた。

「…お前の胸を拳銃で撃ったのは市長の娘である、この私だ」

それを聞いて、彼は嬉しそうに笑った。

「あなたに殺されかけて救われるなんて光栄だな、リア・グレイブ」

彼の伸ばした手がリアの首元で止まるのと、リアがヴィンスの胸に拳銃を構えたのは、ほぼ同時だった。

「また僕を撃つんですか?それでもいいですよ」
「私はお前に怪我を負わせ、自分がそれを救える力を持っていると気づいた時、初めて感謝したよ。自分が『正しき市民』であるということに」

自分の思考はまだ追いつかないのだろうか。彼は何も言い返せなかった。

「黙らないでくれ。ヴィンス・ロードはすでに死亡したことになっている。この場所は警察にも父にも知られていない。きっと彼らに、私は仇をなしただろう。これは私の罪で、お前の罪ではない」
「…あなたは何を言ってるんだ…?」
「私は賭けたんだ。お前はきっと私たちとは違う。真実と向き合い、なすべきことをなせ。元上司からの最後の言葉だ」

リアが自分の頭に拳銃を向け、その指でトリガーをひくのと、彼が自分の記憶を取り戻したのは、ほぼ同時だった。



その時、終焉の鐘が鳴り響いた。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 凛として時雨 『Who What Who What』 ★
https://www.youtube.com/watch?v=HPJCPHh-x2o

苦手だと思っていた男性の高音ボイスも聞きこんでいると、心地よさがあって驚きです。超人的というか、これ素人目にみても(素人耳?にきいても)ギターがすごいことになってると思うのですが…。ああ、この主題歌になった映画を見逃したことをとてつもなく後悔…。かなり評価高いんです。2期があんまりだったから、油断した。なので音楽をきいて雰囲気だけでも味わおうとしていたら、過去に書いた自分の物語の続きが生まれてこようとは…。ちぇ、これもシリーズ化か。

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」劇場公開後新PV
https://www.youtube.com/watch?v=Apzibx8oxkw

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【目次】 『或るアプレ記者の回想(仮)』シリーズ 【作品紹介】
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『 …うちは苦労はなれとります。うちはあの人が、元気出してくれはって、世の中を明るう思わはる日ィまで、つきおうていたげよ思うてますだけどす。あの人にはこの世の中に友だちは一人もおへん。あの人に相談してあげる人はどこにもおへん。ほんまに孤独なひとどっせ。……あの人は時間花とらはっても、あたいとげんつけはったことおへんえ。あの人は、うちのおふとんの中で、何にもせんと、ただ寝ていかはるだけどすえ 』

    *

昭和二五年、七月二日午後。

鹿苑寺(ろくおんじ/通称・金閣寺)は衣笠山(きぬがさやま)と左大文字山に囲まれている。ワカギ警部見習いの話によると、金閣寺を放火した疑いのある若い修行僧は山に逃げた可能性が高いとのことだった。

「放火犯は現場から簡単に離れられないといわれています。自分の起こした火事の大きさ、騒ぎを楽しむ傾向がある。だからと言って、今回の場合は野次馬に紛れているとも考えにくい。坊主頭はやはり目立ちますよ」

ワカギ警部見習いの言葉を、凄腕女性記者のスエツグさんが引き継いだ。

「もし変装するようなやつなら、現場に自分の身元を明かすものを残さないでしょうね。この放火犯は世間に自分が火を放ったことを知ってもらいたいんだと思うわ。ワカギさんの言うとおり、金閣寺をよく見渡せる山の中に隠れてそうね」
「だから、これから山狩りなんですね!」

と私は納得した。生意気にも私は学生の分際で、ある人の手を借り、新聞記者に扮し、現場(金閣寺)に忍び込んでいた。

「でもワカギ警部見習い、山狩りは急いだ方がいいと思いますよ」

と、誰かが口を挟んだ。私に手を貸してくれた知り合いの新聞記者フクダさんである。

「僕の勘ですが、修行僧は自分の身のまわりの物をかたして犯行に及んだと思われます。寝具を燃やして火をつけたこともそう。たぶん修行僧は金閣寺炎上を見届けた後…」

ワカギ警部見習いはフクダさんにその先を言わせなかった。

「……まさか自殺する気か!?」

そのことに気づくと、彼は走り出していた。

「…はやっ!背中がもうあんなに小さい…」

彼の素早さに私が驚いていると、スエツグさんが笑った。

「ワカギさん、いいでしょう?まだ警部見習いだけど、真っ直ぐで、熱くて、お人よしなのよ。これで頂いた情報のお礼はできたかしら?出世してもらわないとね~」
「最後、僕に言わすまでもなかったんじゃないですか。スエツグさんなら、わかっていたでしょう?」

フクダさんが苦笑すると、スエツグさんは可愛らしく舌を出した。

「ごめんなさい。でも一番いいところは男性に譲らないと。まだまだ女の立場って弱いですから」
「ちゃんと恩をきせるあたりがうまいなあ」

フクダさんは愉快そうに笑った。それを見て、スエツグさんも満足げだ。新聞社や性別が違っても、ふたりのあいだには同志という強い絆があるのかもしれない。

「あら、やだ。こんな時間!号外を出すか確認しないと。私、ちょっと社に連絡してきますね」

自分の腕時計に目をやると、スエツグさんも急いでどこかに行ってしまった。

「慌ただしい人たちだなあ」

私がそう呟くと、フクダさんは言った。

「彼女は優秀ですよ。処世術をみにつけているし、適度にしたたかだ。記者には必要なものです」
「俺と彼女は全然違うタイプじゃないですか?なのに、フクダさんは、俺も記者に向いてると思うんですか?」

いつものえくぼを忘れず、フクダさんは笑った。

「ヨシダくんはそうですねえ。君は誰に対しても、それがどんな相手でも、たとえ目上の者でも、自分の思ったことをはっきり言うでしょう?」
「……はあ」
「そこがいいんですよ」

さっぱり意味がわからない。

「物怖じしないのは大きな強みですよ。先輩記者に言われたことですが、記者はどこか勝負師でなければいけないそうです。君は今まさにそうですね。本当は学生なのに、私をうまく使い、記者に扮してここ(金閣寺)に忍び込んだ」
「うまく使いってそんな人聞きの悪い」

フクダさんはふっと笑った。

「一見、失礼な言動でもなぜかそれを面白いと思わせる不思議な人間がいます」
「……それが俺だと?」
「さあ、どうでしょうか?ヨシダ君の言ってた通り、僕も見定めようと思いますよ」

― フクダさん、俺に言いましたよね?アプレ記者の資質があるって。なら、見定めて下さいよ。俺が本当にそうなのかどうか ―

「さて、スエツグさんとはここでお別れです。僕たちは僕たちで動きますよ。ようやく迎えも来てくれましたしね」
「え?」

フクダさんの視線をたどり、私は目をみはった。

「お待ちしていました」

そこには不敵な笑みを浮かべた若い修行僧が一人立っていた。



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引用文献(冒頭)
・水上勉『五番町夕霧楼』 
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ああ、やっぱり長くなった。上中下で終わらなそうなので、シリーズ化し、数字表記に変えました。すみません。物語はもう少し続きます。

内容のネタバレの可能性があるかもしれないので影響を受けた作品の詳しい紹介はラストに。同じ理由から、コメント欄も閉じさせて頂きました。申し訳ありません。1話で全ておさえたかったんですけど、やっぱり長くなりそうなので。さあ、頑張って続きを書かねば!あ、これくらいは紹介できるかな。

★ サカナクション『ミュージック』
https://www.youtube.com/watch?v=iVstp5Ozw2o
聞いてた音楽です。サカナクションを聞いてれば、『或るアプレ~』シリーズはなんとかなるなる。

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