【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-420.html

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    パチモンお嬢様、超絶美形男にたかられる! (それいけ!美芳2)
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「こんにちは、美芳(みいふぁん)ちゃん!」

超絶美形男は悪びれもせず、ニッコリと私に微笑んだ。

「なんだー、お兄さんか…。驚かせないでよー」

見知った顔にホッとする。この人は最近商店街に出没し始めた謎の超絶美形男だ。『謎の』っていうのには理由がある。この人の名前や素性は一切不明(年齢もか?)で、詳しいことは誰も知らないから。

パッと見(み)、その麗しい顔と色香で商店街の女という女を虜にし、もてあそぶような危険な男(単に女好きでチャラいとも言える)。でも、なぜか憎めない性格をしていて、彼の信者(ファン)は多いのよね。それも女だけでなく、男にも!(モテる男というカリスマ性ゆえかしら?)商店街のみんなから「お兄さん」と呼ばれて親しまれている。

「何?またたかりに来たの、お兄さん」

私が胡乱な目を向けると、超絶美形男は肩をすくめた。

「たかりにきたなんてヒドイなあ、美芳ちゃん。それじゃ、お兄さんが悪い人…まるで極悪人みたいじゃないか?」
「違うの?」
「ガッツリ違うでしょう!」

超絶美形男は腕を組み、一人頷いている。ガッツリ否定してくれてどうもありがとう。(悪い人は悪い人でも極悪人なんて随分スケールが大きくなっちゃったみたいだけど)でも、まだまだお兄さんには言いたいことがあるらしい。ビシッと人差し指をたてた。

「お金はたかりに来てませんが、今日のおやつは、しっかりたかりに来ました!」
「ダメじゃん」

私は容赦なくツッコんだ。

「モノは違えど、やっぱりたかりに来てるんじゃない!」
「違いますぅー!」

お兄さんは不満そうに口を「3」(←こんな形)にとがらせた。いちいち言い方が癇に障るなあ…。お兄さんは断固抗議姿勢を崩さなかった。

「美芳ちゃんは何、言っちゃってるのかなー?おやつなんてカワイイうちでしょー?」
「いやいやいや、カワイイうちとかそういう問題じゃないから!『何、言っちゃってるのかなー?』はお兄さんだから!」

超絶美形男はやれやれと肩をすくめた。

「美芳ちゃんは偽物(パチモン)お嬢様をこじらせて、心がちょっとひねちゃったのかなー。変に人のアゲアシをとるようになっちゃったよねえ」

なんで私が悪いみたいになってるんだ…!?

「お兄さんって見た目はすごく素敵なのに、中身はてんで子供ですよね。ホントお子様もいいところだわ」

私があきれたようにそう言うと、超絶美形男はおかしそうに笑った。

「うん、素晴らしい評価だね。誉めてくれているようで、けなしている。持ち上げているようで、ズドンと落とす。浮き沈みの激しい美芳ちゃんらしいや」

この人もなかなか言ってくれるわ…。超絶美形男は続けた。

「僕はお子様もいいところなんだ。いつまでも少年の心を忘れない。さようなら、現実。こんにちは、ネ○ーランド!見た目は大人、頭脳は中二!」

それって…。

「ダメな大人の典型例だ!」

お兄さんは片目をつむった。

「そんなダメな大人の典型例のお兄さんが本日も偽物(パチモン)お嬢様の悩みを聞きますよ?ささやかな幸せ(おいしいおやつ)のためにね!」

色々とテキトーで軽いノリがうりのお兄さんだけど、この人は私のことを決して「お嬢様」とは呼ばない。(よんだとしても、「〝偽物(パチモン)”お嬢様」だしね)そのへん、私としてはけっこう評価しているのだ。何よりも「お嬢様」と呼ばれるのが、私は嫌で嫌でたまらないから!

「今日はどうする、美芳ちゃん?キミの話を聞かなくて平気かな?」

それになんだかんだ言いつつも、私の「〝偽物(パチモン)”お嬢様」である日常の愚痴や鬱憤を吐き出すのを手助けしてくれる。そう、悪い人じゃないのはわかってるのよ。警備態勢がわりとしっかりしている我が家に、どうやって忍び込んでいるのかは、いまいちよくわからないけども…。




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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      【一覧】 『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
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★淑玲が主人公の本編『宮廷浪漫』シリーズはこちら。
架空の国・蹊国(けいこく)で繰り広げられる頑張り屋の少女のサクセスストーリー。
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-253.html
★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①真夜中の逃避行(仮)はこちら。
花街で権力を握っているお蔵・梅恭・影達の青春時代の物語。
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-411.html
★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②時をかけるおやっさん(仮) はこちら。
淑玲父と謎の美男子の出会い回想記。
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★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③それいけ!美芳(仮) はこちら。
美芳が淑玲と親友になったきっかけ談。
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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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         パチモンお嬢様、逃亡する! (それいけ!美芳1)
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心穏やかな昼下がり。

「お嬢様―!」

そう、心穏やかな昼下がり…のはずだったんだけどなあ。

「お嬢様―、お嬢様―!一体どこにいるんですかあー?」

でも、それは簡単に打ち破られた。誰かが大声で私を呼んでくれたからだ。

「お嬢様―!お嬢様ー!お嬢様―!!」

あ、間違えた。訂正しよう。誰かがしつこく(←強調!)大声で私を呼んでくれたからだ、…の方がよさそう。

「逃げないで出てきてくださーい、お嬢様ー!!」

ああ、うるさいなあ、もう!それで「はいはーい、ここでーす!」なんていう逃亡者がいるわけないでしょう!

「お嬢様―、どこにいるんですかあー!?お嬢様―!!」

私は隠れていた木から庭を見下ろした。うちで働く小間使いの少年がいなくなった私を心配して、どうやら探しに来てくれたらしい。

「お嬢様―!!いい加減に出てきて下さいよー!出て来てくれないと、俺が旦那様と奥様に叱られてしまいますー!!そんなのはイヤダー!!」

………あ、間違えた。訂正しよう。どうやら私というよりも彼は自分の心配をしているようだ。ええい、なんてやつなの!

「あいつの今日のおやつは抜きね!」

私はふんと鼻を鳴らした。うん、そうよ!決定、決定!!小間使いの少年の悲痛な叫びは続く。

「お嬢様あー、出てきて下さいってばー!俺、もう半べそですー!!そろそろ、あれですよ。これ、号泣に変わっちゃいますよ!!」

………なに、その前置き。あいつの情に訴える作戦は大分間違えているような…!?

「俺、マジですから!あと、10秒以内に出てきてくれないと号泣しますからーー!!」

ええー!?

と、あやうく声を上げそうになり、私は急いで手で口を覆った。木の上にいるのをバレるわけにはいかない。

「本気と書いて『マジ』!!大真面目と書いて『大マジ』ですからーー!!10・9・8…」

もうなんなの、あいつは!泣き落とし(?)とみせかけて、ホントは脅迫してるんじゃないの…!?

「まだ出てこない気ですか!?もう!!偽物と書いて『パチモン』!!本物と書いて『マジモン』ですからーーー!!5・4・3…」

…ったく、意味がわからん!私は大きなため息をついた。心穏やかな時間は一体どこへいったのやら…?

「…2・1…!!」

あー、はいはい。わかりました!今そっちに行くから。なんだかバカらしくなってきたしね…。私は観念して、上っていた木から下りようとした。

「おーい、お前!悪いが、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだ。こっちに来てくれー!」

その時、うちで働く年配の使用人が現れ、小間使いの少年は振り返った。

「今、俺はお嬢様を探さなくちゃいけないんですけど…」
「お嬢様が稽古事が嫌でいなくなるのはいつものことだろう?旦那様から急な仕事を任されたんだ。人手が足りん。だから、手伝え。お前はこっち要員だ!」
「えー!?何ソレ?しかも何要員だよー!?」

年配の使用人にはんば引きずられるように、少年はうちの中へ戻って行った。

「なんだったんだ、いったい…」

私は木の上から呟いた。一人取り残された感もあってか、少し拍子抜けしてしまう。

― お嬢様が稽古事が嫌でいなくなるのはいつものことだろう? ―

さっき年配の使用人が言っていた言葉を思い出して苦笑する。

「はいはい。そうですよ。私がいなくなることなんて、どうせいつものことよね…」

別にお稽古事が嫌なわけじゃない。色々知ることができて楽しいし、自分の成長やその上達っぷりに胸が張れるような気さえする…。

「でも、お稽古ごとなんて貴族のお嬢様がすることじゃない?」

私の家は蹊国の首都・成安で一番大きい米屋を営んでいる。家は裕福で大きいかもしれないけど、決して貴族ではない。一般庶民なのだ。

「そんな私が貴族のお嬢様のまねごとなんて、ちゃんちゃらおかしいわ」

私の暮らす蹊国(けいこく)は身分社会だ。上から順に「王族>貴族>庶民」というふうになっている。そこでは何よりも生まれが大きくモノを言うのだ。私みたいな庶民が何をしようとも高貴な血には決して勝てないし、届くわけがない。

「そもそも私自身、はり合う気なんてまるでないんだけど…」

庶民のくせにお金だけはある。だから貴族のお嬢様のような扱いをされる。まわりからチヤホヤされたり、持ち上げられたり…。そんな「偽物(パチモン)お嬢様」の私にはね、一つだけわかっていることがあるの…。

「お嬢様って、意外と生活が窮屈で不自由だ!」

お稽古事を毎日ぎっしり詰め込まれ、空き時間があまりない。休んだり、息抜きできたりする時間が全然ないのよ。だから、こんなふうに逃げるしかない。で、間抜けに木なんか登る羽目になる。

「それにお金ってあるにこしたことはないけど、持ちすぎるとロクなことがないと思うの」
「へえ。なんでなんで?」
「ごますってくるやつとか、こびへつらうやつとか、いちもつ秘めた野心家とか、やたらめったら近寄って来るしさ…。『いい話がある』って言って、人のお金をいいように使おうとするのよ!」
「ふむふむ」
「そういう人たちって最悪!うざいっていったらないわ!!」
「なるほどね。キミは意外に鋭く人を見ているなあ…」

私がひとり愚痴っていると、いつの間にか誰かの相槌が加わっていた。慌てて振り返ると、同じ木の上に超絶美形の男が座っていた。



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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【一覧】  『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
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          それいけ!美芳(仮)  
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【内容】

私、美芳(みいふぁん)!蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)で一番大きい米屋の娘よ。でも、最近困っていることがあるの。家があまりに裕福な商家のせいか、まわりから「お嬢様!」と呼ばれるわ、持ち上げられるわ、生活が窮屈なことこの上ない。別に私は貴族のお嬢様じゃなくて、一般庶民なんですけど!?もう勘弁してほしいわ。…そんな毎日に嫌気がさしていた私の前に超自分調子(マイペース)人間があらわれた…!?

※本編よりも昔の話になります。


【登場人物紹介】

◎美芳(みいふぁん)
蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)で一番大きい米屋の娘。貴族ではないが、家が裕福なため、お嬢様と呼ばれることも。(しかし、本人はそれを嫌がっている)本来は明るく活発な性格だが、人付き合いが面倒であるため、商店街の女の子の集まりなどでは、本性を偽って大人しくしている模様。後に淑玲と親友になる。

◎お兄さん(名前不明)
美芳(みいふぁん)の暮らす商店街に最近現れた謎の青年。超絶美形男(美男子)。女好きの遊び人のようだが、お世話になっている家の女の子にどうやら入れ込んでいる様子。美芳の悩み相談や愚痴話ににつきあってくれたりする。年齢不詳。

◎淑玲(すうりん)
蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)に暮らす八百屋の娘。明るく元気なしっかり者。学問に興味があり、最近では読書に夢中。顔がそっくりの双子の兄・淑河がいる。本編の主人公。

マイペース更新で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

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                  目次
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【第319夜】 パチモンお嬢様、逃亡する!       (それいけ!美芳1)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-421.html
【第320夜】 パチモンお嬢様、超絶美形男にたかられる! (それいけ!美芳2)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-423.html


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  moumoon『Sunshine Girl』 × 『』 ★

① moumoon『Sunshine Girl』
https://www.youtube.com/watch?v=L-zdKB82Rc4
https://www.youtube.com/watch?v=c1-78DNI4aA

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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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       おやっさん、問題に直面する? (時をかけるおやっさん4)
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名探偵のマネをして、ふざけてお兄さんを指差す。お兄さんは可笑しそうに腹を抱えて笑っていた。俺が憎めないのを知ってるからって笑いすぎだぞ、お兄さん。しばらくしてから、お兄さんは俺に向き直った。

「おやっさんは勘違いしているなあ。だから、一つ教えてあげないとね」
「ん?」
「僕はいらない本を積んで、淑河くんに『欲しかったら、好きな本を持って行っていいよ~』って言っただけなんだ」

…うむ、それのどこが『勘違い』になるんだ?俺の考えを読んだのかお兄さんはくすくすと笑った。

「毎回けっこうな量の本を積んでいるんだけどね。でも、そこから淑玲ちゃんにあげる本を選ぶのは僕じゃないんだよ」
「え?」
「僕じゃなくて、おやっさんの息子が選んでるんだ」

…は?今なんて…?俺の息子って、まさか…?

「もちろん淑河くんに決まってるじゃないか、おやっさん!」

…いやいやいや!「もちろん」って言われても信じられないよ、お兄さん。一体どういうことなんだ…!?

「淑河くんは熱心に本を選んでたよ。淑河くん、妹の淑玲ちゃんが大好きだからね。良いものを淑玲ちゃんに読ませたくて、一冊一冊きちんと開いて自分の目で中身を確認してるぽかったな」
「…一冊一冊きちんと開いて自分の目で中身を確認してる…?」

俺はオウム返しもいいところだった。そんなまさか…。特技→うっかり。持ち味→天然。極めつけ→ドジっ子の淑河だぞ!?そんなの、ありえーん!認めーん!許せーん!

「僕は思うんだけど、本を選ぶってことは、ある程度その本を読んで、内容を理解してなくちゃいけないよね。淑玲ちゃんのレベルに合うものを選ぶ力も必要だし。そうそう。たくさん数があったから、速読力もありそうだよね。淑玲ちゃんの手元に渡ってない分もチェックしていただろうから、彼女以上に本に触れていたとも言える。ねえ、おやっさんはどう思う?」

俺は驚きのあまり声がでなかった。

俺の息子がそんなに優秀なわけがない。

「能ある鷹は爪を隠しているのか、淑玲ちゃんに関わることだけ不思議と能力を発揮するのか、そのへんはまだよくわからないけど…」
「…………」
「う~ん、淑河くんも面白いよね。育て方次第だね」

さらっと息子(淑河)を分析、評価するお兄さんに戸惑う俺だった…。っていうか、お兄さん、もしや教育関係者か何かですか?タスケテ、先生!もう!うちの子たち、ワケワカンナイッ!!

育て方次第なんて同時に『おやっさん次第だよ』とも言われているような気がして困るんだが…!やめてくれ、お兄さん。俺自身、そんなデキのいい方じゃないんだ。並大抵。中の中。優良可なら限りなく可に近い良!かなしいかな、そこそこレベルの男なんだよ!俺はお兄さんにしがみついた。

「そこそこ親父を苛めないでくれよ、お兄さん…!」
「え、そこそこ親父…?(って何!?なんかのキャラクター?)」

「俺は別に淑河や淑玲にデキのよさなんて求めてねーんだ!デキが悪くても困るけど、うちを継げるだけのそこそこの器量があれば、それでもう充分なんだよー!!そこそこ万歳!!俺万歳なんだー!!(?)」
「うんうん、それがおやっさんの望みなんだよね。大丈夫だよ。大丈夫だよ。おやっさんの望みは(たぶん)叶うよ~」

半泣き状態の俺を「よーしよーし」と慰めてくれたのは、もちろんその場にいたお兄さんだった。(ついでに、「わしゃしゃしゃしゃ」と楽しそうに俺の頭を撫でていた)

「ううううう…!別に俺は高望みなんてしてねーんだ。器のちっちぇえ俺には平凡な幸せで満足なんだよ。それでお腹いっぱいのはずなんだ!……そ、そりゃ、淑玲の前に金持ちの坊ちゃんが現れたと聞いた時にゃ、目が眩んだりしたけども…!!」
「え?」
「でもでも、たいていの父親だったら娘がいいところに嫁いで苦労せずにやっていけると思ったら、気持ちが傾くだろう?欲張りになるだろう?悪魔の囁きにのっちゃうだろう!(?)」
「……金持ちの坊ちゃん……?」

この時、お兄さんの眉がぴくっと動いたのは、俺の気のせいだったのだろうか?

「…お兄さん…?」
「…そっかー。淑玲ちゃんにお金持ちの坊ちゃんかー」
「あ、あー…」
「それは、おめでたいネ!」

お兄さんは俺にニッコリと微笑んだ。そして、パチパチと祝福の拍手までしてくれた。さっきのはやっぱり俺の気のせいだったのだろうか?

「オメデタイ!オメデタイ!ねえ、おやっさん?」
「お、おう…」

でも、なんだろう。そのキレイな笑顔に少し凄味を感じるような…?お兄さんの後ろに何か不穏な空気が見え隠れしているような…?俺の野性的な勘が「オニイサン、チョット怒ッテルネ!コレ、モシカシテ、ヤキモチヨ。ヤキモチ、ヤイテルネ!」とそう告げている。

「いやいやいや、そんなお兄さん、まだその坊ちゃんとうちの淑玲がどうなるかなんてわからねえんだからさ」
「…ふうん。わからないんだ?」

お兄さんは変わらぬ笑顔で、俺に「で?」と話の続きを促す。あれ、お兄さん?今までの俺への優しさはどこへ行っちゃったんだい…?

とりあえず、知っていることは全部話した方がよさそう(身のため)だな…。俺はお兄さんの顔色をうかがいながら、自分の知っていることを話した。

「昨日さ、淑玲がその坊ちゃん家に行ったみたいなんだよ。かなりいい車で送り迎えしてもらったようでさ。まあ、それで俺はどこかの金持ちじゃないかと思ったわけなんだ」
「…で?(どんなやつだったの?)」

無言の圧力って言うのは聞いたことがあるが、もしかしたら、笑顔もそういう力があるんじゃないだろうか。笑顔の圧力…いや、脅迫か…?

「…そのー、俺は坊ちゃんの顔を見てないんだけど。えっと、淑河の話じゃ、けっこうカワイイ顔…」
「ふうん。淑玲ちゃんって意外と面食いなんだ(僕の顔には興味をしめさないのに…)」

しまった!

「いやいやいやいや!カワイイ顔って童顔って意味だよ、お兄さん!嫌だなあ。そんなお兄さんに顔で勝てるやつなんているわけないよ!」
「…そうかな?」
「ソウダヨ!」
「うん、実は僕もそう思ってるんだ!」

お兄さんは満面の笑みでこたえる。相変わらず、自分の見た目に関して、スゲー自信だな、オイ。

っていうか、危ねー危ねー。お兄さんのご立腹、なんとか回避だぜ!俺は汗を拭き拭き、大きく息を吐いてから続けた。

「今朝、淑玲にその坊ちゃんについて聞き出そうとしたんだが、無理だったんだ。あいつは『違う!』の一点張りで、さっさと野菜を積んだ大きな荷車を持って逃走しちまうしさ。だから、詳しいことは俺にもよくわからいんだよ!」

お兄さんはチラッと俺を見る。俺は選手宣誓をするようなスポーツマンの面持ちで、裁判の証言台で宣誓書を読み上げるような証人の気持ちで、お兄さんに「俺の知っていることは全部話しました!嘘なんてついてません!(正々堂々と誓うぞ、この野郎!)」と猛アピールした。

「ナルホドネー」

お兄さんは腕を組んで、何やら考えをめぐらせている。あれ、納得して頂けなかったのかな。後半、お兄さんの顔を誉めて持ち直したと思ったんだが…。

っていうか、お兄さんって本当にその坊ちゃんに対して、ヤキモチをやいているんだろうか?そんなに淑玲のことを思ってくれているのだろうか?

さっきも言ったかもしれないが、お兄さんが淑玲を大事にしてくれていることを俺は知っている。

女好きで遊び人のお兄さんはあいつ(淑玲)をからかいはしても、簡単に手を出さないでいてくれることを。見えないところで、あいつのために色々と手を貸してやっていたり、行動派のあいつがしでかした騒動(事件?)をフォローしてくれていたり…。

それが好意でも家族愛でも俺はどっちでもいいと思っていたんだが…。

実のところ、家族愛よりも、やや好意がまさっていたりするのかい?そのへん、ちょっと教えてくれよ、お兄さん。


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      おやっさん、ぶっちゃける? (時をかけるおやっさん3) 
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「おやっさん、どうする?まだ仕入れる?もう少しこの荷車にのりそうだけど」

お兄さんの言葉に、俺は首を振った。

「いや、もう充分だよ。野菜は新鮮さがウリだから、いつも今日売る分を考えて、毎日仕入れてるんだ」
「そうか。店に残ってるものもあるもんね」
「それもそうだが、天気とかで客足も左右されるからさ。そのへんも考慮しながらかな。だから、あんまり量を多く仕入れるのもよくないんだよ。売れ残って野菜をダメにしちゃうからさ」
「なるほどね。じゃあ、僕…ちょっと多く仕入れちゃったかな?」

「張り切りすぎちゃったね。ゴメンネ!」と謝るお兄さんに、俺は「そんなことないぞ。大丈夫さ」と笑って受け合った。

「どうせ売れ残ったとしても、うちの淑玲がその野菜を何かに使うと思うんだよな。あいつが今、何をやってるのか俺は知らないが、きっと野菜が必要なことなんだろう」

今朝、うちの野菜たちをあれだけ大きな荷車に積んで持って行ったわけだしな。これは勘だが、あいつは明日も同じことをするんじゃないか。今日だけってことではないような気がした。

「…っていうか、お兄さんはそれを見越して、荷車までもらって野菜を積んでたんじゃないのかい?」

俺がさっき淑玲の話題を仕掛けた時に、お兄さんの食いつきが随分と良かった。だから、淑玲が何をやろうとしているか、この人は知ってるんじゃないかと俺は思ったんだ。

お兄さんは「さあ、どうだろう?」と、あのやたらキレイな笑顔を見せるばかり。

「やれやれ」

女たらしで遊び人のこの人だが、実はうちの淑玲をとても大事にしてくれていることを俺は知っている。

「今日、俺が愚痴りかけたこと…淑玲が大きな荷車を勝手に持って行ったことだって、どうせ察しがついてるんだろう?だから、朝市に付き合ってくれたんだよな、お兄さん。あいつのフォローをしてくれたんだろう?」

あのとんだ悪知恵娘に、お兄さんが好意を持ってくれているのか、単に家族的な愛情を感じてくれているのか、そこまで俺はわからないがー。

…まあ、ぶっちゃけね。そんなの俺はどっちでもいいんだ。

「だから、ありがとうな、お兄さん。もし息子の淑河が家を継がなかったら、アンタが淑玲と一緒になって、うちを継いでくれるのもアリなんじゃないかと俺は思ってるよ」
「え?」
「ウン。お兄さんの婿養子、悪くないゾ!」

お兄さんの素性は正直よく知らない。名前すら知らない。本人も多くを語らないし、たぶん俺に語ることはないだろう。そんな気がする。謎多き男だが、俺は優しい彼をなぜか人間的にとても信用をしているんだ。信頼しているんだ。何度も俺が「イイネ!」を連発していると、お兄さんはくすくすと笑った。

「ありがとう、おやっさん。みんなと家族になれるなんて僕はとても嬉しいけど、果たして淑玲ちゃんはどうかな?」
「ん?」
「きっと僕らなんか見向きもせず、どっかに飛んでいっちゃいそうじゃない?」

お兄さんは空を見上げ、優雅に飛ぶ鳥を眺めた。その横顔はなんとも美しく、優しかった。

…そうか。アンタは〝僕らなんか”と言ってしまえる人なんだな。淑玲を思って、そんな優しい顔ができるのか。あいつの可能性をどこまでも信じて、受け入れる覚悟があるんだな。

「だから、こっそり淑玲に学問の本を読ませていたのかい、お兄さん?」

俺は自慢じゃない(?)が、淑玲に本を買ってやったことは一度もない。昔から口が回る子だったから、これに変な知恵が備わっては困ると思い、むしろ遠ざけていたくらいだ。なのに、あいつはいつの間にか自分でそれを手に入れた。そして気付けば、年中読書ばかりする子になってしまった。気になって淑玲本人にどこでそれを手に入れたのか聞いてみると、

「淑河兄様が捨てられていた本を拾ってきてくれたの」

と不思議なことを言う。淑河に問いただしてみても、「そこに落ちていた」というだけで、よくわからない。奇妙なできごとに首をひねっていると、ある日、淑河が隣の薬屋からどっさり本を抱えて出てきた。

見咎めようかと思ったが、淑河に理由を聞いても要領を得ない気がしてやめた。俺は淑河にバレないように隠れ、薬屋の店主に話を聞いてみることにした。でも、店主の爺さんはポカンとして、本など別に淑河にあげていないと言うじゃないか。

「…ってことは、犯人はまさか!」

薬屋には店主とそこで間借りしているお兄さんが住んでいるだけ。俺は薬屋を出て、お兄さんが間借りしている二階の部屋を見上げた。すると、タイミングよく犯人が窓から顔出した。お兄さんは唇の前にそっと人差し指を立てた。一瞬のその仕草になぜか俺は見とれてしまい、お兄さんに問い詰めることができなくなってしまった。以来、お兄さんに聞く機会を今日まで逃してきたわけなんだが…。

「思い出してみると、あれだな。淑玲は別に俺に似たわけじゃなくて、お兄さんに似たのかもしれないよな」
「え?」
「あいつに悪知恵を植え付けた犯人はお兄さん、アンタだったのかー!?って話さ」


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      おやっさん、あっけにとられる? (時をかけるおやっさん2)
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今日の朝市はいつもと違っていた。

それは訪れていた人々、みんなが感じたことではないだろうか。そう、慌ただしい忙しない賑わいを見せる中、なぜか一際甲高い声…歓声もまじっていたからだ。

「きゃー!美男子のお兄さーん、こっちも寄ってってー!」
「お兄さん、うちの野菜もためしてちょうだい。良かったら、ついでに私もー!」
「お兄さん、こっちが先よ。もうためさなくていいから、この果物と私一緒にお持ち帰りで!」

その歓声は黄色というか…それを通りこして、クラクラと眩暈を覚える金色というか…いやいや、ギラギラと獲物を狙う銀色というか…う~ん、もう早い話、魅惑の桃色でいいじゃね?というか…。

「朝市ってこんなんだっけ?」

といった様子だった。若い娘から熟女、はたまた婆さんまでもがお兄さんに釘付け。その見つめるまなざしは熱いのなんのって、正直まわりの男性陣はあっけにとられていた。

でも、はっと我に返り、とりあえず自分の嫁や娘の手(手綱?)はしっかり握っておかないといかん!と危険を察知したようだ。これも男の自己防衛本能ってやつかな。

「お兄さーん、うちの野菜と果物、これだけ安くしてやるから。頼むよ、嫁と娘に手を出さないでくれ!」

といった具合に、お兄さんに頼み込む始末さ。…うむ。今日の朝市は、ちょっとしたカオスだったかもしれん。

「ふふふ、大漁、大漁!」

そんな中、当のお兄さんはホクホク顔で嬉しそうだった。声が弾んでいる。

「見て見て、おやっさん!この野菜の多さ!質の高さ!見惚れる輝かしさを!!」
「…驚いたよ、ホント。野菜というよりアンタにね…」

お兄さんは取引上手なのか、ここでも美男子が物を言わせたのか(?)、安値やタダ同然で野菜を仕入れていた。予定だった仕入れ量を何倍も上回っている。

「土が少しついてるのもあるけど、新鮮そのものだよね。洗えば問題ナーシ!さあ、おやっさん。荷車に積んだこの野菜たちを見てよ。いや~、絶景かな、絶景かな!」

お兄さんはいつの間にか朝市に来ていた人に大きな荷車までもらっていたらしい。楽しそうに口笛を吹きながら、それに野菜を積んでいたのだった。

「美男子最強だろ、コレ…」

思わず、俺は呟かずにはいられなかった。

なんだろう。この敗北感にも似た思いは…。野菜のプロと言っていい俺が、八百屋家業に生涯をかけるこの俺が難しいと感じる仕入れの仕事も、この人は華やかなその才能でサクッとやり遂げてしまうんだな。

「うむむ…」

じゃっかん苦い思いがこみ上げる。野菜一筋で生きてきた俺は一体なんだったんだろう。なんだか少し馬鹿らしくなるというか、面白くないというか…。う~ん、なんつうか…そのあれだな。自信がそげるな。俺が肩を落としていると、野菜を見ていたお兄さんが満足そうに笑って言った。

「ねえ、おやっさん!」
「ん?」
「この野菜たちがおやっさんの作ってくれる美味しいご飯につながるんだね!!」

いつもは美しさが際立つ、色気が香る、どこかすましたお兄さんの笑みも、今はなぜか少年のように初々しかった。にんまりと歯を見せて笑っている。初めて見たな、この人のこんな顔…。

「そんなに楽しかったかい、お兄さん?」

貴重なものを見たような気がして俺は目を見開いた。

「楽しかったよ~!いい野菜をいっぱい仕入れたし、朝市の人はみんな優しかったしね」
「そうかい」
「あ!でも、僕的に何より一番楽しみなのは…」
「…楽しみなのは?」
「今日の朝ご飯は何ってことかな。この野菜で作ってくれるんだろう?ねえ、おやっさん?」

お兄さんはどこまでもご機嫌で鼻歌を歌い出し、愛おしそうに野菜を撫でていた。それを見ていたら、俺は可笑しくなってしまった。

「ーったく、憎めねえなあ、お兄さんは!」

俺は声を上げて笑っていた。お兄さんが不思議そうに俺を見つめ返す。

「なあ、お兄さん。いつものやたらキレイな笑顔もいいけど、アンタはもっとそんなふうに元気に笑った方がいいよ」
「へ?」

お兄さんはこれまた子供のような無垢な瞳を俺に向ける。だもんで、見ているこっちが、くすぐったくなってしまった。

「いやいや、何でもない。お兄さんが楽しかったんなら俺も何よりさ」

俺は目をそらして、鼻の頭をかいた。


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-415.html

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      おやっさん、哀愁を漂わせる? (時をかけるおやっさん1)
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残された小さな荷車を引いて、とぼとぼと朝市に向かう。そんな俺の背中から哀愁が漂っていないか不安なところだ。

「淑玲のやつ、古典的な手を使いおって…!」

これというのも我が娘(こ)・淑玲に仕入れ用の大きな荷車を取られたからだ。俺は歯ぎしりをして、やり場のない怒りを抑えた。…淑玲め、父親になんてことを!日に日に悪知恵をつけおって、一体誰に似たというのだろう!?

「俺か?女房か?それとも双子の兄の淑河か!?」

家族を思い浮かべて、そう叫んでみたものの、俺は一つ一つ考えを消していった。

「う~ん。でも、淑河はないか?うっかり者で妙な知恵なんて働かないしな。女房も割とのんびりしていて、策を弄すタイプじゃないしなあ…」

俺は荷車を引く手をとめた。…え?…ってことはなんだ…?

「じゃあ、俺か!淑玲は、俺に似たのか?犯人(?)は俺なのかーっっ!?」

消去法で導かれた答えに、思わず俺は絶叫した。

「そんなの、ありえーん!認めーん!許せ―ん!」

淑玲ときたら、うちのかわいい野菜たちまで、ちゃっかり持って行きやがって!

「ぐぬぬ…。こりゃ後でお仕置き決定だー!!」

怒りに震える俺の肩に、ふと優しい手が触れた。

「朝っぱらから絶叫しちゃって。どうしたの、おやっさん?」
「うわっ、眩(まぶ)しっっ!!」

振り返ると、美男子がお天道様にも負けない目が眩むような笑顔を向けていた。

「お、お兄さんじゃないか!今日、曇りなのに一瞬晴れ間が見えたぞ…!?」

目をこすって、目の前の人物をよく観察する。そこにいるのは紛れもなく、この商店街で一番の美男子様だった。老若男女うっとり見惚れる顔の良さは、もう国宝級じゃなかろうかと俺は密かに思っている。

「あはは!嫌だなあ、おやっさん。まるで御来光だなんて!(←そこまで言ってない)そんなこと言われて僕も太陽もビックリだよ~」

お兄さんは隣の薬屋で間借りしていて、しょっちゅう、我が家に顔を出す。どうも貧乏一人暮らしで腹を空かせていたらしい。一度餌付けしたら、うちにご飯を食べに来るようになった。

「何コレ、超うまいんだけど!宮廷料理人にも負けてないんじゃない?」

そんなふうに俺の手料理を褒めてくれたもんだから、悪い気がしなくて「じゃあ、お兄さん。腹すかしたら、そのー、いつでもうちに食べに来ても…いいぞ?」とつい声をかけてしまった。

まあ、うちは4人家族で1人増えたところで作る手間なんてそう変わらないしな。特に問題ない。それに美男子っていうのは、いてくれるだけで目の保養になる。場だって華やぐしな。家族みんな、喜んで彼を歓迎したわけさ。(淑玲だけは「なんか胡散臭くない、あの人?」と微妙な顔をしていたが…)

それなりに恩義を感じているのか、お兄さんは気が向いたら、八百屋の店番もしてくれるようになった。美男子が店先にいるだけで商売繁盛。願ったり叶ったり(?)ってなもんで、ありがたいこった。そうそう。それと、お兄さんは俺の晩酌にも付き合ってくれるんだよ。小言や愚痴も嫌な顔せずに聞いてくれる、笑い飛ばしてくれる貴重な酒飲み仲間にもなってくれた。

顔のいい男はいけすかない野郎が多いと思っていたが、そんな俺の偏見をお兄さんは見事にぶち壊してくれた。うん。憎めない、なかなか良い奴なんだよな。俺はお兄さんのことをけっこう気に入っている。

「え、御来光!?そこまで俺は言ってないんだが…う~ん、まあ、いいや」
「あはは!いいんだ?」
「それより何だい、お兄さん。こんな時間にこんなところで会うなんてさ。びっくりしたよ。もしや朝帰りかい?」

俺の問いにお兄さんは変わらぬ笑顔で頷いた。自称・遊び人だから、下手にいいわけもしない。それがかえって清々しくもある。なんかある意味、お兄さんって潔い男なんだよな。

「色男はいいねえ!楽しそうだ!」

別に厭味ではなく、心からそう言うと、お兄さんは首を傾げた。

「おやっさんは、元気ないみたいだねー。さっきの絶叫といい、何かあった?」
「いや~、それがうちの淑玲がさ…」
「なになに、淑玲ちゃんがどうしたの?」
「そんな食いつくような面白い話じゃないんだけどなあ」

俺はため息をついた。もう親不孝もいいところなんだよ…と言いかけ、慌てて口を噤む。晩酌時ならまだしも、朝っぱらから愚痴をこぼすなんてよくないよな。いかん、いかん。俺は笑ってごまかした。

「なーに、大したことじゃないんだ」

そうだ。大したことじゃない。本当に大したことじゃないんだ。自分にもそう言い聞かせていると、お兄さんが「おやおや」と目を細めた。

「もしかして、おやっさんは今から朝市に行くの?」

急に話題が変わったもんだから、俺は戸惑った。

「…ああ、そうだが」

何でいきなり朝市の話になったんだ?不思議に思っていると、お兄さんは俺を見て優しく微笑んだ。

「じゃあ、今日は僕も付き合おうかな」
「え?」
「朝市に一緒に行こう。野菜の仕入れ、手伝うよ」

曇っていた心に、ふと晴れ間が差し込む。

「おやっさんの背中、なんか哀愁が漂ってて放っておけないんだよね」



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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【一覧】 『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-422.html
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          時をかけるおやっさん(仮)  
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【内容】

オッス!俺、淑玲父(すうりんパパ)。名前はまだ(作者が考えて)ない。隣りに住むお兄さんからは『おやっさん』と呼ばれている。これでも商店街で(割と)繁盛している八百屋の親父だ。今日も俺は家族のために仕事に精を出す…ハズだったのだが、娘の淑玲に朝市の仕入れで使う大事な荷車を奪われてしまった!そんな俺を助けてくれたのは、とんだイケメンヒーロー様で…!?


【登場人物紹介】

◎淑玲父(すうりんパパ)
「そんなのありえーん!!認めーん!!許せーん!!」
蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)にある商店街の八百屋の親父。本編の主人公・淑玲と淑河(しゅくが)の父親。デキがいいのか悪いのかよくわからない子供たち(双子の兄妹)に振り回されながら、奥さんに慰められたり、ダメだしされたりする日々を送っている。特技は思い込みと記憶をプレイバック(回想)すること。趣味は俺的七不思議集め。40代くらい。

◎お兄さん(名前不明)
「キミは、僕を助けてくれる?」
おやっさんの八百屋の隣に住む青年。国宝級の美男子(←おやっさん調べ)。女好きの遊び人だが、どうもおやっさんの娘の淑玲を気に入っている様子。そのせいか、何かとおやっさんのことも気にかけてくれる。年齢不詳。

マイペース更新で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

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                  目次
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【第315夜】 おやっさん、哀愁を漂わせる?  (時をかけるおやっさん1) 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-416.html
【第316夜】 おやっさん、あっけにとられる? (時をかけるおやっさん2)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-417.html
【第317夜】 おやっさん、ぶっちゃける?    (時をかけるおやっさん3)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-418.html
【第318夜】 おやっさん、問題に直面する?  (時をかけるおやっさん4)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-419.html


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  ASIAN KUNG-FU GENERATION『Re:Re:』 × 『』 ★

① ASIAN KUNG-FU GENERATION『Re:Re:』 
https://www.youtube.com/watch?v=Y9G20wV0KHE


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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-411.html
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     逃げてばっかの次男曰く② (真夜中の逃避行3)
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帰ろうとする私を、兄の竹恭(ちっきょう)は無理やり妓楼へ引っ張って行きました。

竹恭の通っている妓女の部屋に案内されましたが、とても粗末な部屋でした。美しいとは言い難いケバイ化粧をした女、いつ干したのかどうかわからない布団が敷いてあるだけの部屋。花街一の妓楼が聞いてあきれる…。私は思わず吐き気がしました。生理的に受け付けなかったのかもしれません。

「あら、今日はふたりで来てくれたのかい?」
「こいつ、俺の弟なんだよ…」

妓女の膝に、竹恭は甘えるように頭をのせて、横たわりました。

「世話のかかる弟なんだ」
「あらあら。お兄さんがこんなんじゃ、弟さんも大変よねえ」

安い紅を塗った唇をにいっと歪ませて笑う女に、嫌悪感すら抱きました。

「どうした、梅恭?」
「ちょっと厠(かわや)に行ってきます」

私は立ち上がり、そのまま帰ろうと思っていた。でも、竹恭は見抜いていました。

「そのまま逃げんなよ、梅恭。お前、逃げてばっかの人生になるぞ?」

竹恭は人を煽るようなことを平気で言いました。人の傷ついた顔や血がのぼる姿を見るのがたまらなく好きだったのでしょう。

「逃げている人にそんなことを言われても困るだけですよ、兄様」

部屋を出る時、私は冷たくそう言い放ちました。

私が妓楼の廊下を歩いていると、窓辺でぼんやりと月を見上げる女の姿がありました。

先ほどの醜い妓女とは打って変わって、その女は化粧をしていないのに、はっとするほど美しい横顔をしていました。でも、それ以上に彼女が私を強くひきつけたのは、その瞳から静かに涙を流していたことー。

なぜか…それはとても胸が痛む光景でした。その時、私はある有名な漢詩を思い出したのです。そう、あれは確か…月を見上げ、故郷を懐かしむ詩…。

「あなたは、望郷の念にでもかられているのですか?」

私は彼女に声をかけていました。特に理由もなく、誰かに声をかけるなど、生まれて初めてのことでした。

彼女は振り返り、私の存在を認めると、涙を拭おうとすらせず、きれいな唇で漢詩を諳(そら)んじました。

「 床前明月光 (床前(しょうぜん)月光(げっこう)明らかなり)

 疑是地上霜 (疑(うたご)うらくは、これ地上の霜かと)

 挙頭明月望 (頭(こうべ)を挙げて明月(めいげつ)を望み)

 低頭思故郷 (頭を下げて故郷を思う) 」

それはまさに私が思い出した漢詩…。学のない妓楼の女がその漢詩を知っているとは思わず、私はとても驚きました。

「あなたは、漢詩を知っているんですか?」

彼女は静かに笑いました。

「妓楼にいる女は学(がく)がないから、漢詩を知らないとでも思ったのかい?」
「ええ」
「正直で失礼なお兄さんだ」

彼女はまた笑いましたが、やはり涙を拭おうとはしなかった。見てられなかった私は自分の手巾を彼女に貸すことにしました。

「あなたの涙は美しいですが、人の目にさらしていいものじゃない。もったいないですよ」

でも、彼女はそれを受け取らなかった。

「悪いけど、男の優しさなんていらないよ」

妓楼の女に自分の行為を拒否されるとは思わず、私は戸惑いました。そんな私を彼女は面白そうに見やってから、こう言いました。

「それに私は泣いてなんかない。自分のための涙ほど、見苦しいものはないからね。これは通りすがりの男の涙さ」
「え?」
「泣きたくても、泣ける場所がない。だから、自由にそうできる場所を探し求めている。ある意味、望郷の念にかられた淋しい男の涙さ」



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引用漢詩 李白「静夜思(せいやし)」
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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】
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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-411.html
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     逃げてばっかの次男曰く① (真夜中の逃避行2)
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    *

あの頃の私は今思うと、毎日ふてくれされていたのでしょう。

家でも外でも問題が山積みでしたから。それが嫌で私は部屋にこもり、本ばかり読んでいました。本は現実逃避の道具とはよく言ったもので、それを読むことで、なんとか自分を保っていたのだと思います。

― お前、変なやつだな ―

ようやく影達がいなくなり、「これでゆっくり本が読めるな」と喜んでいると、今度は私の兄が部屋にやって来ました。「勘弁してくれよ」とはこのことでした。

「なあなあ、梅恭。金、貸してくれよ~?」

私は「またか…」と、ため息をつきました。我が家は花街で金貸し業を営んでいます。兄の竹恭(ちっきょう)はこの家の長男、跡取り息子です。

「もう兄様に貸せる金なんてありませんよ」

…ですが、竹恭はうちの大事な金を裏で自分のモノのように使い放題、実に跡取りにふさわしくない行動ばかりしていました。

「あなたは我が家を潰す気ですか?兄様がこの家を継ぐ頃には借金しかありませんよ。金貸し業が金貸し業から金を借りるハメになっている…」

それを聞き、竹恭は笑いました。

「それいいな。金貸し業が金貸し業に潰される!うけるな、それ!面白いじゃないか。いいよいいよ~、俺はそれで。長男だからって、この家なんか継ぎたくねえもん。なあ、梅恭。お前は、一生花街で終わりたいの?この街で生きている限り、世間ってやつは俺らのことをゴミみたいに見下し続けるんだぜ?」

当時の花街は、とにかく治安が悪かった。

ガラの悪い奴やならず者、暗殺者の無法地帯に近かった。それでも花街の組合の長である影達(りゅうだ)の父親はよく頑張っていたと思います。けれど、まだまだ治安は悪かった。蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)の影の部分を一手に引き受けていたからでしょう。平気で人身売買をしていたし、賭博や博打は日常茶飯事。依頼があれば、金のために簡単に人を殺した。そういうやつらであふれていました。

― お前は、一生花街で終わりたいの?この街で生きている限り、世間ってやつは俺らのことをゴミみたいに見下し続けるんだぜ? ―

私の兄・竹恭(ちっきょう)は決してバカではありませんでした。(ちなみに、私は影達のことも別にバカだとは思っていません。彼はバカではなく、おバカなのだとは思いますけど…。または阿呆といいますか)私の兄はむしろ聡かったのかもしれません。花街の現状や自分の生まれなども含め、絶望するくらいに考える頭があったのですから。

人間は生まれですべてが決まってしまう。そう、この世ではすでに決まっているのです。

王族に生まれたものは天下を握れるし、庶民は国を支えるため、必死で地に這いつくばるしかなかった。貴族はその間でおいしい蜜を吸うばかり…。でも、花街の住民である私たちは、どこにも組み込まれることはなかったのです。金を手にしても、どこにも組み込まれることはない。

この国は王族、貴族、庶民…という3つの階層に分かれていたわけではなかった。『花街』という見えない最下層を作り上げてしまっていたのです。

「金、貸してくんないならいいや」
「え?」
「梅恭、ちょっと付き合えよ」

兄の竹恭(ちっきょう)は、金を出し渋る私を見て、気が変わったようでした。

「は?行くってどこにですか?」
「そんなの、いいところに決まってんじゃん!」
「『いいところ』なんて…」

そんなの私たちにはこの世のどこにもないでしょう?

それは、兄もわかっていたはずでした。でも、彼はそう言っていないと、やってられなかった。自分を保つことができなかったのだと思います。私が本に逃げるのと同じように、彼は一時的な享楽にふけることでしか現実とうまく折り合いをつけられなかったのでしょう。

私がずっと金遣いの荒い彼をとめることができなかったのも、結局のところ、彼に自分をみていたからかもしれません。やり方は違えど、私たちは同じことをしていた。兄も私を見てそう感じていたのでしょう。だから、やたらと私にかまっていました。

「お前は内に楽しさを見出すんじゃなくて、俺みたいに、外に見出せよ!」

…外に見出す?

彼はニヤリと笑い、私の腕をつかんで、強引に外に連れ出しました。私は兄の腕を振り払えなかった。着いた先は当時、花街で一番大きくて有名な妓楼でした。

「…え?外に見出せってこれですか…」

私はほとほと呆れましたよ。少し期待してしまった自分にも、とてもがっかりしました。


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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】
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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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       自称孤独な不良少年曰く (真夜中の逃避行1)
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あの頃の俺と言ったら、本当にどうしようもないやつだった。

喧嘩上等。いつもイライラして、人でも物でもお構いないなしに当たりちらしていたし、意味もなく大声を張り上げて喚いていたもんさ。医者送りにしたやつも多かったと思う。今はずいぶん丸くなったもんさ。当時の俺を知っているやつがこんな俺を見たら、きっと唖然とするか、「今なら殺(ヤ)れる!」と指をバキバキ鳴らして挑みにくるかもしれないね。それくらい世間と人様に多大なご迷惑をかけていたんだよ。いや~、どっかの国のどっか時代に生きてたら、「盗んだバ○クで走りだす」を地でやっていたと思うね。

「お前は何がそんなに不満なんだ!」

親父にいつもそう怒鳴られていたっけ。そんなこときかれても困るのは俺なんだけど…!だって、俺自身なんでそうしちまうのか、さっぱりわかんねえんだからな。暴力に走る原因なんて、これっぽっちも自分じゃわからなかったんだよ。

「そんなだからお前には友達も仲間も、まわりに誰もいないんだ!頭を冷やせ、バカ息子!!」
「うるせー、くそ親父!!」
「こら、影達(りゅうだ)どこに行くんだ!話はまだ終わってないぞ!!」
「友達作りに行くんだよ!!それで文句ねえだろ!」

当時、俺は一匹狼もいいところの孤独(?)な不良少年だった。家族(親父以外)はみんな腫れ物に触るように俺を扱っていたし、花街の組合の長(おさ)の息子・影達が街を歩いていたら、道を譲るのは当たり前。俺には「触れるな!近寄るな!関わるな!」ってなもんで、街中のやつにとにかくびびられ、恐れられていたわけよ。こんなだから、友達も仲間もそうやすやすとできるわけがなかった。

「だから、何度も言ったでしょう?影達(りゅうだ)のそれは単なる反抗期なんですよ」

なのに、幼なじみのこいつ、梅恭(ばいきょう)だけはなんか違った。

俺を見てもビビることもなければ、恐れることもなかった。自分の言いたいことをズケズケと言っていく。梅恭(ばいきょう)のいうことは正直俺には難しくてわからないことの方が圧倒的に多かったけど…。

ある時、気になって梅恭に聞いてみた。

「なあ、お前は俺が恐くねえの?」

本を読んでいた梅恭は、それから目を離すこともなく答えた。

「おバカなあなたの一体何を恐がれと…?」
「みんな俺を恐がってるぞ?お前はちげーの?」
「『みんな』って誰ですか?」
「え?『みんな』は『みんな』だよ」

梅恭はため息をついた。

「『みんな』なんていう曖昧な不特定多数に、私を入れないで下さいよ。私は私、『みんな』は『みんな』ですよ」
「…ふうん…」

よくわからん。

「よくわかんないけど、『みんな』とお前は違うってことでいいのか。お前、変なやつだな」

梅恭はパタンと本を閉じた。

「変なやつはそっちでしょう?いつも私の部屋に押しかけて、我物顔で居座られるこっちの身にもなって下さい。私は今、本が読みたいんですよ」
「なら、お前がうちに来いよ」
「嫌ですよ。用もないのに…」
「俺がお前に会いたいなら、お前も俺に会いたいはずだ!」
「…何ですか、そのウザい恋人ヅラは…!?悪いんですけど、私はただの幼なじみなので付き合いきれません。相手なら他をあたって下さい」

そんなことを言って、俺をうまいことあしらう。俺の記憶の中では、こいつから俺ん家にきたことは一度もない。ただの一度も、だ。

なあ、幼なじみなのに変な話だろ?



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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】
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【一覧】 『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-422.html
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          真夜中の逃避行(仮)  
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【内容】

今や蹊国(けいこく)の花街で権力を握っている影達・梅恭・お蔵の男女3人。しかし、彼らも10代の頃、花街の現状や自分の境遇にそれぞれ悩んでいた。あることをきっかけに出会った3人は花街を逃亡する計画を企てるが…。淑玲(すうりん)が主人公の本編よりも昔(親世代)の話になります。淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①真夜中の逃避行(仮)/中華風ファンタジー (?)

【登場人物紹介】

◎影達(りゅうだ)
「なあ、お前は俺が恐くねえの?…お前、変なやつだな」
自称・孤独(?)な不良少年。何かと暴力に走るため、街中の人々に恐れられている。梅恭とは幼なじみ。後に、 花街を取り仕切る組合の長(おさ)になる。

◎梅恭(ばいきょう)
「『みんな』なんていう曖昧な不特定多数に、私を入れないで下さいよ」
花街一の金貸し業の次男。影達とは幼なじみ。跡取りである長兄の放蕩ぶりに悩んでいる。後に、花街一の金貸し業を営むことになる。

◎お蔵(くら)
後に、 蹊国の首都・成安にある花街一の妓楼・富黄楼(ふうきろう)の楼主(女将)になる。妓女の待遇改善、格上げをはかり、彼女たちに教育を施した。『蹊国の女傑』の異名を持つ。


マイペース更新で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。


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             目次
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【第312夜】 自称孤独な不良少年曰く (真夜中の逃避行1)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-412.html
【第313夜】 逃げてばっかの次男曰く① (真夜中の逃避行2)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-413.html
【第314夜】 逃げてばっかの次男曰く② (真夜中の逃避行3)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-414.html




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  『異郷の風(TOGISM Versin)』 × 雪乃紗衣『彩雲国物語 隣の百合は白』 ★

アルファさんにUPしていたものをこちらにもどしました。(理由は『1001夜ショートショート』が過疎ってたから)…といっても、『1001夜ショートショート』では、初お目見えになるのでしょうか。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

① 東儀秀樹『異郷の風(TOGISM Versin)』
https://www.youtube.com/watch?v=o_NmxlqAdhk
書いている時に聞いている曲。お蔵さんと梅恭が出会う場面、ふと頭に流れてきたのがこれだったんですよね。

② 雪乃紗衣『彩雲国物語 隣の百合は白』
https://www.amazon.co.jp/dp/4044499152
時々「これって少女小説だったの!?」と驚く作品に出会いますが、これもそうでした。出てくる女性陣がカッコいい。確かちらっと花街が舞台になる番外編があって、これだったかと。個人的に彩雲国物語番外編で一番好きなの『黄梁の夢』です。本編だと『黒蝶は檻にとらわれる』かな。続きが超気になったもんな。


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『ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅ…』

限りなく昼に近い朝、私は自分のお腹の音で目が覚めた。

女子としてその目覚め方はどうよ?と思ったけど、人間生理現象には逆らえない。私は苦笑しながら、自分のお腹をよしよしこらこら、と軽く撫でた。

いけない。こんなことをしている場合じゃなかった。会社にいかないと…。

そう思い、起き上がろうとしてふと気づく。
そうだ。私はもう会社には行かなくていいんだ。だって、辞めたんだから…。

もう無理してあそこにいかなくていい。満員電車に押しつぶされなくていい。セイセイしたような、ホッとしたような、どこか後ろめたいような、なんとも言えない気持ちに一瞬とらわれてしまった。

いかん、いかん!と首を振る。

今は何も考える必要はなし!そうだ、そうだ!むしろ考えるな!(感じろ?)この点に関しましては、また改めて討議しましょう。そうしましょう。

人生の猶予期間。貯金はある。しばらくはなんとかなる。大丈夫さ。

少し開いた窓から、一人暮らしの部屋に気持ちのいい風が吹き込んだ。目の前の通りを歩く人々の笑い声が耳に優しい。私の住んでいる街、吉祥寺の穏やかな朝。カーテンの隙間から差し込む陽の光りにウトウトとまどろむ。

『ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅ…』

それを邪魔するかのように、またお腹が鳴ってくれた。うむ、君はなかなかしぶといですな。

『 しぶといですなじゃなくて、いい加減に起きてくれる?限りなく遅い朝っていうか、もう昼だよね。…ワタシ、腹ペコなんだけど… 』

誰かが私に訴えた。うつらうつら「あなたは誰?」と閉じた瞼ごしに問いかける。

『 ワタシは天使のような、悪魔のような…まあそれ系の人なんだけど…っていうか、覚えてないの?あんたがワタシを呼んだんじゃない?誘ったんじゃない!? 』

…私が呼んだ?…誘った…?

そーっと目を開けて、一人暮らしの1K部屋を見渡す。誰もいない。どうやら、頭の中で謎の得体のしれない人物と会話をしているようだ。

『 覚えてないの!?あんたが言ったのよ。頭の中をシェアさせてくれるって! 』

頭の中をシェア!?…え?シェアって、ルームシェアとかのシェア!?

天使のような、悪魔のような…まあそれ系のよくわからない人の台詞に私は目を瞬いた。全然記憶にない。ちなみに、そんな知り合いはいないし。知り合いたくもないし。お迎えが来たとか、新興宗教の勧誘とか、変な壺を買わされるとか、それがらみの人って普段から警戒しているくらいなんだけどな。

『 まあ、いいや。あとでゆっくりがっつり思い出してよ。んで、今日はどうすんの?あんた、どうせやることないんでしょう!?ここでお腹を空かして泣(鳴)いてることしかできないんでしょう? 』

…やることは、確かにない。けど、なんか失礼な言い方だな。

『間違ってないでしょう?なら、暇ってことよね?うふふ!しめしめ!』

謎の得体のしれない人物がニヤリと笑う気配がした。何、なんなの…?っていうか、あなた本当に私の頭の中に住み着いてるの?私の質問を無視して、天使のような、悪魔のような…まあそれ系の人はオカマのようなダミ声で私にささやいた。

『 それなら、ワタシにつきあって。一緒にこの街を、吉祥寺を食べてみない? 』



は?


吉祥寺を食べる……とな!?



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  菊池亜希子『みちくさ』 × RADWIMPS『セプテンバーさん』 ★

アルファさんにUPしていたものをこちらにもどしました。(理由は『1001夜ショートショート』が過疎ってたから)…といっても、『1001夜ショートショート』では、初お目見えになるのでしょうか。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

① 菊池亜希子『みちくさ』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%BF%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%95-%E8%8F%8A%E6%B1%A0-%E4%BA%9C%E5%B8%8C%E5%AD%90/dp/4093423822
好きなモデルさんの東京おすすめお散歩MAPです。一時期、これをもって東京めっちゃ歩いて、めっちゃパンばかり食べてました。菊池亜希子さんの私服もイラストも素敵なんです。

② RADWIMPS『セプテンバーさん』
https://www.youtube.com/watch?v=R_X9B0WlPic
途中からこの物語を書く時は、いつもこれを聞いていた気がする。もしかしたら、RADWIMPSで一番好きかもしれないな。



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最終更新
★「1001夜ショートショート」はいつの間にか開設4周年。なんだかんだと続けられているのがすごいです。これもみなさまのおかげ。本当にありがとうございます!今年はこちらで色々書きたいなあ。なんか声に自分が追いつけなくて、ひょこひょこ新しい物語は生まれてるのにみんなコールドスリープ状態。書き途中の物語もいっぱいあるのに中途半端で申し訳ないです。とりあえず、今日UPしたこの物語は絶対書き切らねば!私が今、一番書きたい物語なので。

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↓↓【第310夜】 AF ARMY ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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ぼやけていた。 世界はいつもぼやけていた。
俺はなぜか世界の輪郭をうまくとらえることができなかった。どうしてだろう。

でも、戦場で銃をかまえている時だけは違った。

目の前は一瞬にしてクリアになり、俺ははっきりと世界の輪郭をとらえることができた。銃をかまえれば、楽に照準を定め、敵の命を難なく奪うことができたのだ。傭兵として生きることができてよかったと思う。きっとこれが俺の天職だったのだろう。…でも、真っ当な人間がそんなことを聞いたら、嫌悪感や不快感をあらわにするんだろうな。俺を好き勝手に罵ったり、軽蔑したりするのだろう。

『 あなたはまだ自分がどんな人間なのかを知らない 』

いつか誰かにそんなことを言われた。 俺は思わず笑っちまったね。

なら、教えてくれよ。俺が本当はどんな人間なのかをさ。


    *


「こちらの民間軍事会社でアフガン戦闘区域を取材をすることになりました。戦場カメラマンのサワダ クミコです」

俺は笑顔を作ったまま、横にいた同僚の胸ぐらをつかんだ。

「…女が来るなんて聞いてないんだが?」

両手を上げつつも、米国人のケリーの態度はひらきなおっていた。

「言ったよ、俺は。お前と同じ日本人が取材に来るってさ。だから、お前にそいつの護衛をまかせるって。…アソー、お前こそ聞いてなかったのか?」

俺は怒気を強めた。

「それは聞いたが、女とは言ってなかった!」

だるそうに耳の穴に小指を突っ込んで、ケリーはため息をついた。

「言ったら、アソー、絶対断るだろう?女なんて気をつかって面倒くさいとかって」
「当たり前じゃないか!俺じゃなくても、みんな断る!」
「じゃあ、誰が彼女を見んの?お前、こんな戦場にひとり置き去りにするつもりか?」

今度は俺がため息をつく番だった。

「取材自体を最初から断ればよかっただろう!?」
「そうはいかない事情があるんだ。民間軍事会社なんて名ばかりのフリーの傭兵をただ預かってるうちみたいな組織は金がねえ。それに新聞社に貸しを作っといて損はないからな。話を聞いたら、来るやつは平和ボケした日本人でしかも女だっていうじゃないか。戦場なんか見せてみろ。怯んで速攻帰るだろうさ。短い期間でたんまりもらえる金はもらっとこうぜ。うちにはちょうどよく日本人がいるし、そいつにでも押し付けとけばいい。あ、これは俺の考えじゃないからな。上からの意見、お達しね」

がっくりと俺は肩を落とした。胸ぐらをつかんでいた手をケリーがはらう。

「まあ、お前が故郷を嫌ってるのは知ってるよ。でもさ、それがアソーの乱視の原因でもあるんじゃないの?」
「乱視じゃねえよ」

ケリーはひらひらと手を振った。

「そうだな。お前、銃の腕はハンパないもんな。百発百中。いや、千発千中もいいところだ」
「誉めてくれてどうも、ケリー」
「視覚を補うためにめちゃくちゃ体を鍛えたのも知ってる。肉弾戦もいけるしな」
「はいはい、どうも」
「なんなの、その研ぎ澄まされたカンは。野生動物か!?ってな。お前、どんだけ傭兵向きなんだよ。まあ、何よりもここが一番重要で肝心なんだが…」
「だから、誉めてくれてどう…」
「顔がこわくない!」
「は?」

俺は間の抜けた声を上げた。ケリーは俺の肩を強くつかむ。まるで獲物を逃がさないように―。

「俺らって見た目がおっかないやつ勢ぞろいだが、奇跡的にお前だけは別だ。喜べ、アソー!人あたりのよさには定評がある!いや、さすがNOとは言えない日本人!ウン、やっぱりお前が適任だ!!」
「全然誉めてねえー!しかもテキトーに納得して押し付けるな!!」

その時、話にひとり置き去りにされていた彼女の笑い声が響いた。


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 樹なつみ『OZ』
★ 開口健『輝ける闇』
★ Fightstar『Mono (Album Version)』

いつか予告した物語です。本当はきちんと書き切ってショートショートとしてあげたかったんですけど、このままだと三か月以上ずっと「1001夜ショートショート」が未更新になってしまう。今あまり時間がなくてしっかりかけないのがかなしいな。この物語、少しずつ続きをUPしていきますね。もしかしたら、続きは新着ではなく、このままここにどんどん書いていくかもしれません。良ければ、チェックしてみて下さいませ。

最近タイトルは見たら話の内容を思い出せるものにしようと思ってます。そうしないと、私自身が以前書いた物語の内容を思い出せないということに気づき…。今回のこれは写真の用語らしいAF(オートフォーカスの略)と傭兵の意味がありそうなARMY(アーミー)と言う単語をただ並べただけです。カメラマンと傭兵が出てくるから、もうこれでいいや。でも、なんとかアーミーってタイトル、好きなんですよね。どうしてそう感じるんだろうと思ったら、たぶん浦沢直樹「パイナップルアーミー」の影響だと気付きました。

① 樹なつみ『OZ』 
https://www.amazon.co.jp/OZ-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E5%8F%8E%E9%8C%B2%E7%89%881-%E6%A8%B9-%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF/dp/4592188829/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1468722940&sr=1-3&keywords=oz+%E6%A8%B9%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF
ミリタリー系の物語を書きたいと思わせてくれたSF少女漫画。こちらは漫画夜話(漫画を批評するTV番組)で「完璧すぎてつっこむところがない!」と言われた名作だそう。男も女も人外も?惚れる傭兵・ムトー(主人公)のカッコ良さがハンパない!それにあやかれるように私の物語の主人公も今回アソーと語尾の長めな似た名前になったんだと思います。樹なつみ作品はまだ全制覇してないのですが、全部読もうかな。

② 開口健『輝ける闇』
https://www.amazon.co.jp/%E8%BC%9D%E3%81%91%E3%82%8B%E9%97%87-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%96%8B%E9%AB%98-%E5%81%A5/dp/410112809X
これは小説なのか、ノンフィックションなのか…。ずいぶん昔に読みましたが、この本のラストの一文が強烈過ぎて忘れられません。なんか本当に闇が落ちてきた。

③ Fightstar『Mono (Album Version)』
https://www.youtube.com/watch?v=Le_sCwlQkcQ
この音楽がなかったら、生まれなかった物語。いやはや、この音楽の物語を引き寄せる吸引力は凄まじかった。ラストのシャウト、ヤバイな!洋楽なので歌詞の意味はよくわかりませんが(英語苦手なので)…。もし歌詞の意味を知っていたら、また私の物語の内容も違っていたのかもしれません。
Fightstar『Mono (EP Version) 』
https://www.youtube.com/watch?v=3FzgPdTbvAs
メロディ的にはAlbum Versionの方がすきですが、画像こちらの方が気に入ってます。



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↓↓【第309夜】 アライズ  ジャンル:サスペンス ↓↓
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大抵の人間は罪を犯したなど、実際、悪事に手を染めている時には気づかぬものだ。

少なくとも私はそうだった。

いいわけになるかもしれないが、その時はそれしか方法がなかったのだから―。

一人娘は、死んだ妻と同じ病だった。心臓を患っていたのだ。

移植しか手がなかったが、もうドナーを待つ時間もない。

ただ、救いたかった。それだけだ。

死に行く運命にある娘を。 いや、本当は…。


    *


その患者が、警察病院に搬送されてきたのは深夜のことだった。

私がその病院の医師として勤務していたのは、どこかすがるような気持ちで命のおこぼれに預かろうとしていたからかもしれない。ドナー以外に、娘に心臓を与えてくれる者を見つけるために。たとえ、合法的でなくても。そもそもドナーの登録者は少ない。その中でまた彼らの心臓が適合するか、しないかはもう運と言ってもいい。

私は運や運命という言葉が嫌いだった。

人の手の及ばないところで作用する力に祈ることしかできない、頼ることしかできないその言葉が―。すべては最初から決まっている、逃れられない必然であると強制してくるその言葉が―。

しかし、娘をその言葉の呪いにかけてしまったのは私だったのかもしれない。

警察病院に搬送されてきた患者は年若いが、巨悪な犯罪者だった。助かる見込みはなく、脳死状態に陥った。関係者はこの犯罪者の罪を法で裁くよりも手早く闇に葬り去ることを望んでいた。罪が明るみになると、関係者にも大いに飛び火する罪状だったのだろう。時々、そういった犯罪者の中でも特にわけあり者がこの病院に担ぎ込まれてくる。

いくらおこぼれだといっても、犯罪者の心臓など嫌悪してしかるべきだ。

しかし、その心臓は生きていた。健康な心臓が私のすぐ目の前にあったのだ。日に日に弱っていく娘の顔がふとよぎった。医者としての、人としての倫理など吹き飛んでいた。急いで娘の体に適合できるか検査した。時間との戦い、適合の運に私は勝利したのだ。

娘の元気な笑顔が目に浮かび、私は迷うことなくメスを握った。


    *


大抵の人間は罪を犯したなど、実際、悪事に手を染めている時には気づかぬものだ。

少なくとも私はそうだった。

いいわけになるかもしれないが、その時はそれしか方法がなかったのだから―。

ただ、救いたかった。それだけだ。

死に行く運命にある娘を。いや、本当は一人取り残される孤独に押し潰されそうだった私を…。

私が罪を犯したことに気づいたのは、病院のベッドで目覚めた娘に果物ナイフで胸を刺された時だ。娘の笑顔は想像していた健やかで可愛らしいものではなかった。人を傷つけ、いたぶる愉悦と快楽に満ちていた。

「生かしてくれてありがとう、お父さん」

私を父と呼ぶ少女に、娘の面影はどこにもなかった。

「バイバイ」

罪の意識が死に至る恐怖をもまさり、どす黒く私の胸を濡らしていた。




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki 『aLIEz』×アニメ『アルドノア・ゼロ』★  

① SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki『 aLIEz 』
この音楽を聞いて生まれた物語。
https://www.youtube.com/watch?v=24K4oZjv01I
あれ、もしかして、こっちだったのかな?歌詞、あんまりなかったような気がする。
MKAlieZ
https://www.youtube.com/watch?v=mwasD6vJVlw

②アニメ『アルドノア・ゼロ』
SFロボットアニメ。毎回、物語のヒキがいいんですよ。で、そこから上で紹介したEDに入る瞬間がカッコいい。海外ドラマや洋画みたいな雰囲気で。個人的には、2期より1期が好きです。ラストは衝撃かもしれないけど…。
PV
https://www.youtube.com/watch?v=AVg_lglQqfg



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パスワード入力が必要と表示される長編はアルファポリス様限定公開ですので、ここでは閲覧できません。お手数ですが、アルファポリス様(無料)をご利用ください。予約投稿中の作品もあり。詳細は下記。
【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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↓↓【【第308夜】 一番遠い場所  ジャンル:青春 ↓↓
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君は好きな人と離れ離れになる。

例えば、そう…。

この世で一番遠い場所にその人が行ってしまう。

連絡もとれない。

会うことなんてとてもできない。

さあ、君たちは心を通わせられるだろうか?


    *


「…君は…いや、君たちは心を通わせる…通わせられる…通わせられ…られれる…?…あれ?ああ、もう!ここの台詞はあとでいいや。場面が切り替わるから、音響フェイドアウト。照明オン…」

高校の自習時間、自分の席で頭を抱えて呻っていると、後ろの席の新田くんに不意に呼ばれた。彼は私の肩に手を置き、人差し指を突き出す。振り向いた私のほっぺたが軽くつぶれる。ぷに。

「後ろって無防備だからいいなあ。これ、お約束だよね?」

新田くんはけっこう悪戯好きらしい。

「さっきから何を呻いてるの、本間さん?」

私はため息をついた。

「演劇部の脚本がうまくかけなくて…」
「本間さんって、演劇部なんだ?」

ぷに。ぷに。

「言ってなかったけ?そうなの。脚本担当なんです」
「へー、すごいじゃん!」

脚本を書いているというと、たいていみんなこんな反応だ。まあ、実際はウワベだけというか、カタチだけというか、単なる社交辞令で誉めてるわりにはたいして心がこもってなかったりする。でも、どうも新田くんは違うようだ。こっちが恥ずかしくなるくらい「すごい」を連呼してくれた。

「…いや~、それほどでもあるような、ないような?」

誉められるのに慣れていない私は頭をかいた。謙遜をしているのか、していないのか、よくわからない受け答えになってしまった。

「どんなのを書いてるの?」
「宇宙と地球で離れ離れに暮らす恋人の話。究極の遠距離恋愛を描きたいです」
「どっかできいたことのある話だな」

言われると思った。

「最近、CMでよく流れてるじゃん。長澤まさみと高橋一生のCMでさ。宇宙飛行士の奥さんの帰りを地球で待つ旦那さんの。あれが元ネタ。で、もっと切なくいじれないかなあっと…」
「クラスの女子が騒いでたやつかな?」
「そうそう。演劇部でも『あれ、いいね!』って話題になってさ。部長に言われたんだよね。『うちの脚本家様、次はあんな感じの恋愛を、究極の遠距離恋愛を四露死苦(よろしく)!』って。もう、言うのは簡単だよね!楽だよね!」

つい愚痴をこぼすと、新田くんは私の部長のマネがツボだったらしい。ぷっと吹き出した。

「あはは!さすが演劇部、なりきるなあ!部長さん、元ヤンなんだ」
「笑いごとじゃないよー。こっちは必死なんだよー。助けてよー」

どこかの猫型ロボットに助けを求めたくなっていると、新田くんが机の中をごそごそと探る。そして、何やら取り出した。

「なんだ、スマホかー」

私ががっかりしていると、新田くんが首を傾げた。

「何が出てくると思ったの?」
「…え?青いタヌキとか四次元につながるポケットとか…」
「あはは!ごめんね、ドラえもんじゃなくて。俺もさ、そのCMを見てみようかなと思って。自習で先生もいないし、スマホを出しても怒られないでしょう。本間さんの力になれるかもしれない」

私は新田くんの手を握りしめた。

「…ほ、本間さん!?」
「今、思ったけど、新田くんっていい人だね!」

授業中、デキの悪い私が先生にさされた時、答えを後ろからこっそり耳打ちしてくれる。何かと困っている私をいつも助けてくれる。拝みたくなってしまうような人柄。そう言えば、顔も妙に仏像の優しげな面差しと似ているような…。後ろの席のあなたは、なんて神々しいんだ!

「…はあ。席替えしてしばらくたつのに、いい人どまりか。ひどいなあ、本間さん」
「たまたま席が近くなって新田くんとよく話すようになったけど、こんなにいい人だったなんて!ここ、いい席だよ~。席替えの時、窓際を選んで正解!」

私がにんまりすると、新田くんが苦笑した。

「…たまたま、ねえ…」

うちのクラスの席替えは自分の好きな席が選べるけど、ちょっと変わっている。席替えの時、いったん全員が廊下に出て、まず先に女子だけが教室に入り、決められた女子の席の中から自分の好きな席を選ぶ。それから男子とチェンジして、男子も同じように、決められた男子の席の中から自分の好きな席を選ぶ。その後、廊下で待っている女子を呼んでご対面というか、新しいみんなの席のお披露目となるのだ。実は女子が席を選んでいる間、教室のドアが少し空いていることを、その隙間から男子がこっそりのぞきみしていることを女子は知らない。

「こんなに近い席なのに、一番遠い場所かもしれないなあ。心の距離がこう果てしなく遠いというか…」
「へ?」
「ううん、なんでもない」

彼はまた人差し指を突き出す。私のほっぺたが軽くつぶれる。

「俺の究極の遠距離恋愛の話です」

ぷに?







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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★長澤まさみ&高橋一生CM『dTVふたりをつなぐ物語篇』×Bruno Mars『Talking to the Moon』★  

これが今年初めてのショートショートのUPになります。遅すぎかもですが、今年もよろしくお願いします。たまたま読書の息抜きで見た素敵CMに、うっかりハマり、気付けば物語が生まれていました。私のはふざけていますが。高校の演劇部が舞台の話はいずれまた書きたいな。

① 長澤まさみ&高橋一生CM『dTVふたりをつなぐ物語篇』
なんとなく新海誠作品の世界観に通じるようなCM。宇宙から地球を眺める長澤まさみさんの表情にぐっときます。そして、私の好きな高橋一生さん。彼はこういう役が似合うなあ。
CM
http://pc.video.dmkt-sp.jp/ft/s0004060#

② Bruno Mars『Talking to the Moon』 
CMの音楽もあっていて即入手。
https://www.youtube.com/watch?v=k0DbpCbGrsQ




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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

私は3年半くらい前から物語ブログを始めたのですが、毎年個人的にお気に入りの小説ブログ様に自分て作った賞を勝手におくりたいと思いまして、こんな賞を作ってしまいました。名付けて…!

★☆自分的小説ブログ大賞☆★

生意気にすみません。賞品なんてありませんが…(苦笑)。

ちなみに、過去の受賞者・受賞作はこちら!

≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html
第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-398.html

超個人的な賞を快く受け取ってくれた受賞者様に、ただただ感謝です><。


しかし、まだまだ他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!

そこで気が早いのですが、早速今年版の準備をして行こうと思っていまして、ここにその候補作を見つけ次第、勝手に更新&紹介させて頂こうかと思っています。最終的に年末、こちらでUPした候補作の中から、今年の大賞を選ぶ予定です。(惜しくも大賞を逃した作品は、来年度の候補作品としてそのまま残ります)

良ければみなさんも、ちょくちょくこちら覗いてみて下さいね☆
読むものをお探しの方のソムリエ的な役割ができたら嬉しいです。

候補作のブログ様で「気持ちは嬉しいけど、自分は遠慮したいかも…」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除いたしますので、気にせず、言って下さいね^^


★ 第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017)候補作一覧 ★

①お名前  :松原きのこ さん
 ブログ名 :『なついてくれてサンキューな』(休止中?)
 ブロアド :http://neboushitaze.blog.fc2.com/
 小説名  :『はぐれ者のおっさん』(短編小説)
 第1話  :http://neboushitaze.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
  選 評 :私が文部科学的な何か or 学校の先生だったら、夏休みの課題図書に推薦したいです☆

②お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『凍える星』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-669.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-671.html
  選 評 :小説ブログってこんなにレベルが高いんだ!私的「このミステリーがすごい!」作品☆

③お名前  :大海彩洋さん
 ブログ名 :『 コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』
 ブロアド :http://oomisayo.blog.fc2.com/
 小説名1 :『清明の雪』(長編小説/ミステリー)
あらすじ  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E3%80%90%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%80%91%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E2%9D%841%E3%80%80%E5%8F%A4%E3%81%84%E5%AF%BA%E3%80%80%E9%BE%8D%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BA%95%E3%80%80%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%81%AE%E6%8E%9B%E8%BB%B8%20
  選 評 :このミステリーの一番の謎はブログ小説なのに紙の香りがすることかもしれない!書籍化希望☆
 小説名2 :『天の川で恋をして』(短編小説/恋愛)
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-16.html
  選 評 :長編ミステリーを得意とする大海さんが短編×恋愛モノ!?と聞いたら、飛びつかないわけにはいかない。読んだ感想はもうこの一言しかありませんでした。「お見事!!」

④お名前  :ヒロハルさん
 ブログ名 :『 三流自作小説劇場 』(休止中?)
 ブロアド :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
 小説名  :『それでも私を愛してくれますか』(長編小説/SF)
あらすじ  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-674.html
 第1話  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-675.html
  選 評 :衝撃のラストに、あなたは『それでも私を愛してくれますか』。SF×恋愛小説の切なさがここに!!

⑤お名前  :ぐりーんすぷらうとさん
 ブログ名 :『修羅の門・刻 夢小説』
 ブロアド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/
 小説名  :『limeさんの絵につけた超SSS』(ショートショート)
 作品アド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
  選 評 :普段は夢小説を書かれているぐりさんが②でご紹介したlimeさんと物語×絵コラボ。熱望してたオリジナル作品も期待を裏切りません!

⑥お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい物語展開。満腹感の味わえる文章力。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!
小説名2 :『ななおさん』(中編小説/恋愛)
第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0nanaosan-top.html
選 評 :和菓子屋を営む壮介さんのもとに嫁いだ、ななおさん。わけあり『和』カップルの織り成す日常が優しい雰囲気で描かれています。これを読むと、いざ鎌倉着物デートしたくなります!なんと『ななおさん』は、アルファポリス様より書籍化!その関係で、現在冒頭数話と番外編のみUP。

⑦お名前  :空野みちさん
 ブログ名 :小説家になろう 『 空野みちさんのマイページ 』
 ブロアド :http://mypage.syosetu.com/25780/
あらすじ一覧 :http://ncode.syosetu.com/n5126g/
 小説名 :『 夏目さんと私』 (長編小説/恋愛)
 第1話  :http://ncode.syosetu.com/n5126g/1/
選 評 :登場人物が魅力的で名前も素敵!森見登美彦さん(より個人的に好き!)を彷彿させる『和』感覚で小粋な文章。丁寧に紡がれる物語に、ただただ、続きが待ち遠しい。なんていいところで~、くうっ!!

⑧お名前  :小池安雲(agumo)さん
 ブログ名 :『小説カラスト』(休止中?)
 ブロアド :http://karasuto.x.fc2.com/index.html
 小説名1 :『フレイム・イン』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/framein/top.html
 第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/framein/00.html
  選 評 :行動派で頑張り屋の秘書課OLが主人公。彼女の意中の人がデキる男でまた素敵。オフィスラブものってあまり興味がなかったのですが、安雲さんの描く物語はオフィスラブ+aって感じで面白い!個人的にドラマ化向きだと思うんですけど、どうでしょうテレビ局さん。
小説名2 :『ブーメラン・ラブ』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/top.html
第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/1.html
選 評 :「フレイム・イン」で登場していた華英先輩が主人公。(話の時系列的にはこちらが先かな)彼女の社交術、学びたいです。でも、完璧女子じゃなくて恋愛下手なかわいい一面もあっていい。私の新たな憧れの名ヒロインになってくれました。

⑨お名前  :けいさん
 ブログ名 :『憩』
 ブロアド :http://meuniverse.blog10.fc2.com/
 小説名  :『セカンドチャンス』(中編小説/青春)
あらすじ:http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-274.html
 第1話  :http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-275.html
  選 評 :突如謎の青年に誘拐されてしまった新社会人(代議士事務所勤め)の主人公・策。彼は誘拐犯と奇妙な逃避行?を通じて、自分の中のセカンドチャンスと向き合うことになる…。誘拐から生まれる友情が誰かの過去の傷を癒すかもしれない。第1回分的小説ブログ大賞受賞作『夢叶』のスピンオフですが、これだけでも充分楽しめますよ!



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↓↓【第307夜】 グッドバイ  ジャンル:歴史 ↓↓
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人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう。

女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう。

幼い頃、病気のせいで右足が麻痺して動かなくなった。

学生の頃、乗っていたバスが事故にあい、腹部に重傷を負って子宮が使いものにならなくなった。

人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう。

女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう。

ねえ、どうして。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

私の人生は常に自分の決して答えが出ることのない『どうして』と向き合って行く日々だった。

家族は、こう言ってくれた。

『フリーダ、愛しているよ。それを忘れないで』

最初の絵を描いた。

キャンバスの前では素直になれた。

私は自分の運命を呪うことができた。

激しく、痛ましく。

それが私、フリーダ・カーロの画家としての個性になった。

絵は人々に高く評価され、私は賞賛された。

でも、それでいったいどうなったというのだろう。私は何を手に入れられたというのだろう。

自分が足りないものが堂々と明るみに、世間に、おもてに、出ただけだ。

人間として、女として、足りないものが―。

私は知っていた。

描く絵も、人の愛情も、決して私を救うことはできない。

私は私という深淵をのぞくことしかできないのだから。

本当の私はどこにいるのだろう。

人間としての私は?女としての私は?

いったいどこにいるのだろう。どうして、ここにいないのだろう。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

やがて壊死した右足を切断しなければならなくなった。

この苦痛はいったいどこまで続くのだろう。

私はどうして苦痛に耐え続けなければいけないのだろう。

描く絵は決して私を救うことができないはずなのに、どうして私は描き続けるのだろう。

人の愛情は決して私を救うことができないはずなのに、どうして私は求め続けるのだろう。

私は私という深淵をのぞくことしかできないのに―。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

それが人間という生き物だから?それが女という生き物だから?

…ああ、そうか。

たとえ、きちんとしていなくても私は人間なのだ。女なのだ。

新しい家族は、こう言ってくれた。

『フリーダ、愛しているよ。君自身もきっとね』

最後の絵を描いた。

キャンバスの前では素直になれた。

私は自分の運命を許すことができた。

優しく、愛おしく。

さようなら。

『人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう』

そう問い続けた自分に。

さようなら。

『女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう』

そう問い続けた自分に。

さようなら。

最後の絵に、思いを込める。

『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』





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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★サカナクション『グッドバイpiano arr.』×フリーダ・カーロ『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』★ 

これがおそらく今年最後のUPだと思います。他にも書きたいものがありましたが…。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

たぶん一般の方だと思うんですけど、サカナクション『グッドバイ』をピアノアレンジしていて 、それをたまたま聞いたところ、ガツンとやられまして。このピアノにあうような物語を書きたいと強く思ったんです。実際、書けたかは謎ですが。 なんでフリーダ・カーロが出てきたのかもよくわかりませんが…。

① サカナクション『グッドバイ piano arr. 』
https://www.youtube.com/watch?v=lXAJABHC_ds
原曲よりもこっちのピアノVer.の方が私は好き気かも。なんかドラマチックで。いや、原曲もいいんですけどね。
ちなみに原曲はこちら。サカナクション『グッドバイ 』
https://www.youtube.com/watch?v=kt5-Al0CMuk

② フリーダ・カーロ『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』
画家フリーダ・カーロの遺作。それまで狂気じみた痛々しいものが多かったのに、最後の最後にこれとかなんてカッコいいんだ、フリーダ!これもギャップ萌えというのでしょうか。だてに眉毛くっついてないですよ、フリーダ。 私が彼女を知ったのは本上まなみさんが芸術家を紹介するテレビ番組でした。毎回、取り上げる人物とナビする女優さんが違っていて面白かったんですよね、あの番組。好きだったんだけどなあ。タイトル名、なんだったけ。もう一度、見たい!


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↓↓【第306夜】 スカーフェイス  ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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誰かが言った。

どんなにいい酒があっても飲まなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいい女がいても抱かなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいい銃があっても撃たなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいいマフィアがいても暗躍しなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。


アンタは知ってるかい?

禁酒法時代に酒を売りまくり、女を買いまくり、銃を撃ちまくって暗躍したマフィアを―。

そいつの顔には傷があった。そう、深い深い傷さ。

一度見たら忘れられない、スカ―フェイス(向こう傷)ってやつだ。

でも、そいつは酒に溺れ、梅毒に犯され、あげくファミリーに裏切られ、銃弾に倒れた。

貧民街の孤児から暗黒街のトップまで成り上がり、すべて自分が支配している―。

そう思っていただろうに皮肉なもんだ。


…どうして、こんな話をするかって?

なーに、思ったのさ。

どんなにいい物語があっても語らなければ意味がないし、その価値もわからないだろうってね。

これは他の誰でもない俺の言葉さ。

最後に通りすがりのアンタに聞いてもらいたくなったんだよ。

スカ―フェイスと恐れられたマフィア、もうすぐ道端で野たれ死ぬ俺の話をさ。




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ TK from 凛として時雨 『Signal』 × アニメ『91Days』 ★ 

本当は違うハードボイルドの話を書きたかったのですが、ちょっとそれは時間がかかりそうで他のものになりました。人物モデルはアル・カポネですが、違うところもあるので半分フィクション感覚でお楽しみ下さい。

① TK from 凛として時雨 『Signal』
https://www.youtube.com/watch?v=uNjKYBnRbdE
これを聞きながら書きました。『91Days』の主題歌で賛否あったみたい。私は好きなんだけどな。


② アニメ『91Days』
https://www.youtube.com/watch?v=m5XGnMPR-0o
復讐するきっかけとなった手紙の差出人が明かされた時は、正直ちょっと「ん?」ってなったのですが(ごめんなさい。もっと意外な人物が良かったなと思ってしまって)、それ以外のところでは面白く見てたんですよね。もっとこんなオトナで渋い上質アニメやってくれればいいな。


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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて3年半?くらい経ちました。2016年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-384.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、ネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2016年、『 第4回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!(←古っ))

limeさんの小説ブログ『DOOR』で完結済の小説『KEEP OUT』シリーズ と 『モザイクの月』です!!!

今回は自分的小説ブログ大賞、初の2作品W受賞(しかも同じ著者!)になります。おめでとうございます~!!

なんでこんな異例の事態になったかと言うと…。

実はlimeさんはこれまで最終的に自分的小説ブログ大賞をとる作品といつも接戦を繰り広げてきた方なんです。毎年毎年、この時期になると、私をとんでもなく悩ませていたわけで(なーんて言い方はあれだけど^^)。読む作品読む作品、全部候補作。その後、最終候補作に入ってしまうから、ついには読むのがこわくなって、読むブレーキをかけてしまったくらい。

最初、私はてっきりプロの作家さんが内緒でネットに小説を公開しているのだろうと思いました。読んだ方ならわかると思いますが、小説の完成度がハンパないのです。ミステリー&サスペンス系が好きな方、もちろんそれ以外の方も、ぜひlimeさん作品にしびれて下さいませ。

今回は特に好きな2作品を選ばせて頂きました。キャラクターや物語の個人的な好みで言えば、『KEEP OUT』シリーズを押したい!でも、『KEEP OUT』シリーズの結末は人を選ぶかもしれない…(私は大好きな結末なのですが)。その点をふまえると、『モザイクの月』はみんな納得の結末というクオリティだと思うんです。なら『モザイクの月』でいいじゃんって言われそうだけど、『KEEP OUT』シリーズ、好きなんだよー!繊細な春樹と気が強い美沙のすれちがいコンビの切なさがたまらないんだよー!ごめんなさい、ひとつの作品にしぼれませんでした…><!!


ぜひみなさま、limeさんの『KEEP OUT』シリーズと『モザイクの月』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『KEEP OUT』シリーズ(長編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-304.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-305.html
 小説名 :『モザイクの月』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-813.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-814.html


今回は、limeさんの『KEEP OUT』シリーズと『モザイクの月』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html





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↓↓【第305夜】 喪服にレモン、少女にはショートケーキを。 ジャンル:友情 ↓↓
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お葬式をしよう、私たちのお葬式を―。


    *


喪服に袖を通す。鏡にうつる見慣れない自分の姿に一瞬立ち尽くした。
目の前にいるのは未だ少女の面影を残す、大人になりきれない自分だ―。

黒は女性を一番美しく見せると教えてくれた友人を思い出す。 

「誰かの受け売りだけどね」

そう笑って付け足したのは確か香澄(かすみ)だ。校則で決められた制服のスカート丈をいつも気にする、お洒落や流行に敏感な子だった。

「へー、それが本当なら喪服が一番女性を輝かせるのね」

シニカルな理子(りこ)がそう返すと、香澄はふくれた。

「なんでそうなるのよ。喪服なんていかにも不幸全開じゃない!」
「そう?私はある意味、素敵だと思うけど。人に助けを求めたり、情に訴えるにはもってこいというか…」
「理子はひねくれてる。そう思うでしょう、えっちゃん?」

香澄と理子が言い合いになると、いつも私の出番だった。

「う~ん。喪服だけじゃ暗いから何か持たせればいいんじゃない、アイテムとか?」

仲裁に入ると言うよりも、話題を微妙にをそらし、問題をうやむやにするのだ。

「は?アイテム!?…でも、喪服に赤いリボンのついたカチューシャでもすれば可愛くなるかな?」
「空飛ぶ魔女にでもなる気?『落ち込んだりもするけれど、私は元気です』って」

頷きかける香澄に、静かにつっこむ理子がおかしかった。私は笑って言った。

「でも、なんかの小説にあったよ。お葬式に喪服を着て、お供えの花がわりにレモンを持っていくの。そんな感じを目指せば?」
「喪服にレモンねえ…」
「確かに黒と黄色のコントラストがいいね!なかなかセンスあるじゃない、それ書いた人!」

自分が誉められたようで、なんだか少しこそばゆかった。

「―ったく、あいかわらず上から発言全開だなあ、香澄は」
「理子に言われたくないんですけど!」
「はあ!?」
「なによ!?」
「まあまあ、香澄も理子もおさえておさえて。あ、そうだ。そういえば、最近みた再放送のドラマで喪服を着たままショートケーキを食べてたのがあったな。死んだのが双子のお姉ちゃんの方で、お葬式と自分たちの誕生日が重なっちゃったから、妹が家族に隠れてこっそり泣きながらショートケーキを食べてた」

ふたりがしんみりとする。

「それ切ないな」
「うん、切ないね」

何気に心が優しい。彼女たちのそういうところも私は好きだった。不意に香澄が言った。

「こうなったら、やるっきゃないわ!」
「何を?」
「決まってるじゃない、お葬式よ、お葬式!」

突然の彼女の提案に、私と理子はぽかんとした。しばらくしてから、理子が眉を寄せた。

「…えっちゃん、最近私たちのまわりで誰か死んだっけ?」
「ううん。たぶん誰も死んでないから大丈夫だよ、理子。うちは曾おじいちゃんも未だ健在だし」
「それはよかった。…いや、よくないよ!あ、よくないのは曾おじいちゃんがご健在のことじゃなくて、目の前にいる香澄のトンデモ発言なんだけど…香澄、もしかして誰か殺したいのかな?」
「…え、まさか私たちに殺人の片棒を担がせようと…?」
「何、言ってるの、ふたりとも?私は誰も殺さないし、殺させないわよ!そういうことじゃなくて、私はね、お洒落にお葬式をしたいって言ってるの!」

私と理子は顔を見合わせた。…お洒落にお葬式…?

「わかるでしょう?」
「「いや、もっとわからないよ!!」」

私たちは声を合わせた。香澄は腕を組む。

「人が死ぬとかじゃなくて、理由はなんでもいいのよ。…そうね。例えば、そろそろ高校も卒業だし、私たちが少女でいられる時間にさようならをする…そのためのお葬式とか、どう?」
「少女でいられる時間にさようなら?なら、処女でも喪失してくれば?あっけなく少女を終了できるよ」
「普通に高校の卒業式じゃダメなのかな?」

理子と私の意見に香澄は首を横に振った。どうも処女喪失も学校の一大行事も彼女の美的センスにはそぐわないらしい。

「ダメ、全然お洒落じゃない!!喪服を着てレモンをそなえたいの!で、最後はショートケーキで献杯!!」
「…ショートケーキで献杯って」
「少女でいられた無垢な時間にみんなで別れを告げるの。高校を卒業したら、みんなバラバラになるんだし…何か思い出にできる、絶対に忘れないようなことをしておきたいじゃない」

最後の方が尻すぼみになる香澄の言葉に胸がちくりと痛んだ。高校を卒業したら、私は地元を離れて京都にある文系の大学へ進む予定だ。理子と香澄は地元に残るけど、理系の大学とファッション系の専門学校で進路が違う。

「もうしょうがないなあ。どうする、えっちゃん?」
「この流れはやるしかないんじゃない、理子?」

香澄の顔がぱっと輝いた。

「じゃあ、決定ね!いつにしようか?やっぱり卒業式の後かな?こっそり学校にお洒落アイテム持ち込まないとね!って、ちょっと聞いてるの?」
「「キイテル、キイテル(棒読み)」」
「喪服にレモン、少女にはショートケーキを。お葬式をしよう、私たちのお葬式を―」


    *


喪服に袖を通す。鏡にうつる見慣れない自分の姿に一瞬立ち尽くした。
目の前にいるのは未だ少女の面影を残す、大人になりきれない自分だ―。

「まさか一人で喪服を着ることになるとはね」

黒は女性を一番美しく見せると教えてくれた友人を思い出す。
でも、彼女たちはもういない。あの頃の少女たちはもうどこにもいないのだ。

「地震のせいで、きちんと卒業式もできなかったしな」

私は大学に通えるアパートを探すため、あの日たまたま京都に来ていた。地元で大きな地震や津波があり、彼女たちが巻き込まれ、亡くなったことを後で知ったのだ。処女喪失でも卒業式でもない、私の少女時代は彼女たちの死によって終わりを告げたように思う。

「さて、そろそろ行かなくちゃ。お葬式をしよう、私たちのお葬式を―」

あの時間は二度と戻ってこないから。あの時間が二度と戻ってこないなら。

お葬式をしよう、私たちのお葬式を―。
喪服にレモン、少女にはショートケーキを。

あのふたりなら、きっと「切ないね」って笑ってくれるだろう。






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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ チャットモンチー『世界が終わる夜に』
★ 氷室冴子『恋する女たち』
★ ドラマ『すいか』
★ 峰浪りょう『ヒメゴト~十九歳の制服~』

チャットモンチー『世界が終わる夜に』を聞いて生まれた物語です。久しぶりに聞いたら、色々な作品の喪服女子(?)を思い出し、こんな物語になってくれました。

① チャットモンチー『世界が終わる夜に』
https://www.youtube.com/watch?v=G59XstT19K8
チャットモンチーはこの歌が一番好きかも。あ、他にも『ハナノユメ』のオーディエンスがノリノリになってしまう感じや『恋愛スピリッツ』の切なさ全開で始まる楽器の入りも好き。過去にフェスで生で聞けてよかったな。っていうか、これ作曲したの10代だったんだ!
チャットモンチー 『「ハナノユメ」Live 』
https://www.youtube.com/watch?v=7atUby6fpdE&list=PLtQ5pz_Dlq3zyCAjBjganYI_yazBkqduu&index=2
チャットモンチー 『「恋愛スピリッツ」Music Video』
https://www.youtube.com/watch?v=w4rUnPYXReE&list=PLtQ5pz_Dlq3zyCAjBjganYI_yazBkqduu

② 氷室冴子『恋する女たち』
https://www.amazon.co.jp/%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E3%82%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B0%B7%E5%AE%A4%E5%86%B4%E5%AD%90-ebook/dp/B00I4H1M9E/ref=sr_1_fkmr0_1?s=books&ie=UTF8&qid=1482600541&sr=1-1-fkmr0&keywords=%E5%AE%A4%E5%86%B4%E5%AD%90%E3%80%8E%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1
絶版のため、本をなかなか手に入れられず、読めたときは嬉しかったー。でも、もう内容うろ覚えですが。たしか物語の中で友人のお葬式に献花がわりにレモンを持っていくというエピソードあって、それがとても素敵だなって。氷室さん本人のお葬式にも、レモンを持っていかれた読者さんが多かったそう。

③ ドラマ『すいか』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B-DVD-BOX-4%E6%9E%9A%E7%B5%84-%E5%B0%8F%E6%9E%97%E8%81%A1%E7%BE%8E/dp/B0000TXORW/ref=sr_1_cc_1?s=aps&ie=UTF8&qid=1482600697&sr=1-1-catcorr&keywords=%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%80%8E%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B
ドラマの中で売れない漫画家が双子の姉を偲んで、家の屋根裏で喪服を着たままショートケーキを食べるシーンがあったんです。フォークを使わずに手づかみでがぶりと食べる姿がなんだか切なくて。ちなみに、この時の喪服が魔女の宅急便のキキみたいなかんじで可愛いかった。


④ 峰浪りょう『ヒメゴト~十九歳の制服~』
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%A1%E3%82%B4%E3%83%88%E3%80%9C%E5%8D%81%E4%B9%9D%E6%AD%B3%E3%81%AE%E5%88%B6%E6%9C%8D%E3%80%9C-1-%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E5%B3%B0%E6%B5%AA-%E3%82%8A%E3%82%87%E3%81%86/dp/4091837778
衝撃的な作品。自分の性に思い悩む19歳の若者たち。痛くてヒリヒリするけど、最後は笑顔が待っています。成人式に着物は着物でも振袖ではなく、喪服を着ていく女の子がいて世間に中指たてるシーンがあるのですが、そこがお気にいり。



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【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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↓↓【第304夜】 多分、風。  ジャンル:家族 ↓↓
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ヴァージンロードの途中で、ウエディングドレスを着た花嫁はその身を翻した。


突然の出来事に、新郎は唖然、神父は茫然、招待客は騒然となった。


しかし、そんなことを気にしている場合ではない。


花嫁の瞳には、ただ一人しか映っていなかったのだ―。


彼女は、走る。 


走って走って、その人のもとへ向かう。 


ウエディングドレスの裾を持ち上げ、颯爽と駆けだす花嫁の姿は軽やかで、華やかで、とても美しかった。 


多分、風。 …いや、それよりも速かったかもしれない。


チャペルを出て、道行く人の目をひきながら、彼女は走った。


花嫁のことを心から愛してやまない人のもとへ―。


そして、叫んだ。


「待って!行かないで!私のことが大好きなら!!」


自分の思いを言葉に、風に、のせる―。


「ヴァージンロードの途中で『娘は誰にもやれん!こんなの歩いてられるか!』とか言って逃げないで!戻ってきて、お父さーん!!」




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ サカナクション『多分、風。』 × CM『資生堂 ANESSA 走る、真木よう子』 ★ 

気付けば、7~11月とショートショートをさっぱりUPしていませんでした。「これじゃ、いかん!!」と思い、月末ギリギリで速攻ショートショートを書きましたよ。超短かくて、ごめんなさい。今、私は読書熱が高くて高くて…。たまりにたまっている本を誠意読破中です!あ、ネタ帳はこっそり更新中ですので。
【ネタバレ注意】自作物語のネタ帳(プロット?) 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-382.html


① サカナクション『多分、風。』
https://www.youtube.com/watch?v=8lx0vLTH_yg
私の中でサカナクションの音楽は「或るアプレ記者~」の創作方面に頭がいってしまいがちなんですが、この曲と「新宝島」はそうはそうならなかったみたいです。メロディがどこかサカナクション「ユリイカ」に似ているような気がするけど、これはこれで好きだ。

② CM『資生堂 ANESSA 走る、真木よう子』
CMhttps://www.youtube.com/watch?v=es1OFoOh7y4
メイキングhttps://www.youtube.com/watch?v=T2KaFqP09sk
私の書いた物語はちょっとふざけてますが、資生堂さん、次はこんな感じのCM、いかがでしょうか?ウエディングドレスを着て走る真木よう子さんを見てみたいです!日焼けどめじゃなくても、崩れないファンデーションとかでも、この内容ならいけるんじゃないでしょうか?お父さん役を平泉成さんあたりにお願いして…なーんて。


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お久しぶりです。

新長編「吉祥寺を食べてみない?(仮)」をアルファポリス様で書き始めました。

最近、食欲の秋のためか、やたらめったら私はもぐもぐもむしゃむしゃもきゅもきゅがつがつ食べています。そんな私の暮らす街、吉祥寺のうまいもん巡り(食べ歩き記録)です。おふくろの味がする定食屋さんから隠れ家的なカフェや喫茶店、ハマってしまったパン屋さんなど盛り沢山!色々なおいしい情報を不思議な物語と一緒にお届けできればと思っています。

本当はこれ。

みんながやっているようなふつうのカフェ紹介ブログとして新規開設したかったんですけど、うまくできなかったんです。FC2って一人につき一つのブログしかできないのかな?アルファさんの方でもブログ開設のやり方がよくわからなくて。物語なら、すぐUPできるんだけど…。

『どうせなら物語仕立てで、その中でおいしいお店を紹介しちゃわない?』

と、私の中の誰かがささやきました!そうだね。私がふつうにカフェブログもなんか似合わないだろうし。まあ、それもありっちゃありかな。でも、いったいどんな物語になるんだろう?

『こんなのはどう?』

ささやきは続きます。

会社を辞めてぼんやりしていた主人公の元に突如現れた謎の得体のしれない人物(オカマさん?)。食いしん坊の彼女(彼)にすすめられるがまま脳内シェア&吉祥寺食べ歩きの日々が始まります。人生に少し疲れてしまった主人公がおいしいものを食べ、味わい深い人々に出会い、だんだん生きる活力を取り戻していく話…とか。

なるほど。悪くないんじゃない?タイトルはどうしようか?

『もうこれしかないでしょう!?「吉祥寺を食べてみない?(仮)」で!』

一応、ささやきさんは(仮)の字をつけてくれたようです。
そんなわけで、新長編「吉祥寺を食べてみない?(仮)」、はじめました!

音楽は最近ハマっていたドラマ「家族ノカタチ」のものをよく聞いてます。
ellie『Unpredictable Story』
https://www.youtube.com/watch?v=SdDvZ0xuCUc&index=1&list=RDSdDvZ0xuCUc
Nejime Yurie『By your side 』
https://www.youtube.com/watch?v=Z6Rp27ha4Us&index=2&list=RDSdDvZ0xuCUc
このドラマ、内容もとても素敵だったのですが、上野樹里さんの服装が私の好みドストライクだったんです。丸眼鏡、ほしくなりました!モデルの菊池亜希子さんの私服(スウェット×ウィングチップシューズ)とかもこんなかんじのゆるさで好きなんだよな。私の物語もこういう格好が似合う主人公になればいいな。

書きたいショートショートもたくさんあるのに、また新シリーズで申し訳ないのですが、お口直しまたはデザートは別腹感覚でお楽しみいただけると嬉しいです。


新長編「吉祥寺を食べてみない?(仮)」
http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/393080526/



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おススメ作品紹介です。

今回は、映画『君の名は。』と新海誠作品です。

映画『君の名は。』公式サイト
http://www.kiminona.com/index.html
映画『君の名は。』予告
http://ww.w.nicotter.net/watch/sm28586147

今までの新海作品を見てきた人は『君の名は。』を見て、私と同じように感じる方が多いのではないでしょうか?

全作品のいいとこどりだったよね、コレ!ズルいだろ!そりゃ、面白くなっちゃうだろ!!、と。抒情的な「秒速5センチメートル」の切なさ、映像美と演出に魅せられる「言の葉の庭」の純愛、時と場所を越えた「ほしのこえ」のすれ違いSF、とか…。音楽を最大限に生かす(むしろ、その音楽のPVにすらみえる)映画っていうのもスゴイ!RADWIMPSに見事にハマってしまいました。ここぞって時の音楽の入りとタイトルバック。それがたまらなくストーリーを盛り上げ、私は好きなんです!そっか、この人は見せ方(魅せ方?)のセンスが抜群なんだな。一人で作品制作をしていた頃から考えると、最後のスタッフロールが感慨深いのは監督だけではないハズ!

新海誠 監督作品集
https://www.youtube.com/watch?v=GwUAwQRp850

「君の名は。」も最高ですが、「秒速5センチメートル」と「言の葉の庭」もおススメ。何気に私は「猫の集会」も好きなんですけどね。

「秒速5センチメートル」
https://www.youtube.com/watch?v=aVprFtRrjzE
「言の葉の庭」
https://www.youtube.com/watch?v=udDIkl6z8X0
「猫の集会」
https://www.youtube.com/watch?v=s9o6uKWxtCs




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↓↓ うっかりうっかり3周年 ↓↓
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なんと、いつの間にか「1001夜ショートショート」開設から3周年が経ってました!

気付かず、うっかり一か月くらいたってましたよ。なんで気づかなかったんだろう!前回UPした「リバーフィッシュ」時にはすでにそうだったなんて。あわわ、なんて間抜けな報告に…。

最近は長編ばかりを書いていて、こちら「1001夜ショートショート」の更新がすっかり滞っておりますが、まだまだショートショートを書く気は満々です!(むしろ、私は性格的にも能力的にも自分にはこっちの方が断然合ってると思うので)。書きたいものは増えに増え、ネタ長にネタはたまっていく一方です。

でも、私は本当にすべての物語を書き切れるのだろうか?書きたいものだけたまっていっているけど、これぜんぶ消化できるのかな…?

よく作家さんが亡くなって、「あの自分が期待していた物語が未完のまま終わってしまった…!ショック!!」っていうのがあったりしますが、あの後味の悪さたるや…!まあ、私みたいなものが何を言ってるんだ?って感じですけども。

よし、自分にプレッシャーをかけておこう!
次回のショートショートの予告になるかはわかりませんが、今この音楽で物語を一本、書きたくて描きたくて。

Fightstar - Mono (Album Version)
https://www.youtube.com/watch?v=Le_sCwlQkcQ

【ネタバレ注意】自作物語のネタ帳(プロット?)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-382.html

簡単な内容はネタ帳を見て頂くとして、男くさい物語(ハードボイルド?)になりそうな予感がします。ショートショートは色々な挑戦ができて楽しいです。(物語の声と付き合う時間も短いのがまたよし!)自分の可能性をどんどん広げていってくれるみたいで、新しい世界が知れそうでドキドキワクワクしちゃいます。これは自分が誰かの物語を楽しむ読み手の気持ちとはまた違うものな気がする。なんだろう。書き手だと、自分の内側にゾロリと触れるようなこわさ、スリリングさというか、それもあるからかな。

最近物語を書くということは、自分が自分と会話しているようなものなんじゃないかなと思っています。自分が自分に手を伸ばしたり、手を振ったり、そうしたりすることだと思っています。いっぱい出会いと別れを繰り返し、その先で生まれた物語が素敵なものでありますように―。

マイペース更新で申し訳ありませんが、今後とも「1001夜ショートショート」をよろしくお願いいたします。



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↓↓【第303夜】 リバーフィッシュ  ジャンル:友情 ↓↓
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ボクは幸せが何かを知っているよ。君は知らないのかい?


    *


水の流れる音がする。
その流れに身を任せながら、僕はある場所へ向かうんだ。

「やあ、君はまた川の流れに乗って、ここに来てくれたのかい?」

のんびりやのそいつはいつも川で魚釣りをしながら僕を迎えてくれる。そこを大きな蓮の葉にのった僕が流れ行くんだ。

「魚が釣れなくて、とても退屈をしていたんだ。君が来てくれて良かったよ、フィッシュ」
「僕はまた釣れない魚の代わりなのかい?君が僕に付けてくれた名前はイカしてると思うけど、意味が魚ってどうなんだろう」
「どうしたんだい、フィッシュ?」

こいつには、僕の不満が聞こえなかったらしい。無垢な目を向けられ、僕は困ったように笑った。

「なんでもないよ。久しぶり、リバー。本物の魚じゃなくて悪いけど、また僕の蓮の葉を君の竿で釣ってくれるかい?」

僕が手を振ると、リバーは朗らかに笑った。

「いいだろう。こいつは大物だ!」

彼はリバー、向こう岸に住まう者。僕はフィッシュ、川を流れ行く旅人だ。


    *


彼のルアーが僕の蓮の葉をとらえると、僕をのせていたそれはようやくとまった。

「またしばらくここにいられるんだろう?君の旅の話を聞かせてくれないかい、フィッシュ?」
「出たな、ねだりやリバーめ!」

彼は僕の旅の話を小さな子供のようにせがむんだ。

「いいじゃないか、フィッシュ。ボクは君の話が好きなんだ。君の話は実に面白いよ」

そんなことを言われてノーとは言えない。僕はのせられやすいタチなんだ。

「いいだろう。今回は実に危険な旅だったんだ。驚くなよ、リバー?」

僕は彼に聞かせてやった。世界がどぎつい紫色に染まっていったこと。あちこちに火の手があがり、あたりをごうごうと焼きつくしていったこと。人々は罵り合い、殺し合い、僕は見ていて、とてもつらくなったことを―。

「きっと、あれが戦争というやつだったんだろうな」

そして、ついにおかしな閃光が放たれたこと。それから、大きな大きなきのこ雲を見たこと。僕は泣きたくても泣けなくなったこと…。

「フィッシュ、君は巻き込まれなかったのかい?」
「巻き込まれたよ。でも気づいたら、またこの川を蓮の葉にのって流れていた。きっと川辺のどこかにいて、蓮の葉に守られたんだろうな」

僕がそう言うと、リバーが少し哀しげに微笑んだ。

「そうか。それはとても危険な旅だったな。ここで少し休むといい。ボクがいっぱい魚を釣ろうじゃないか。なに、おいしいからって驚くなよ、フィッシュ?」
「それはいい!…でも、君は僕の蓮の葉をとめているせいで、竿もルアーも使えないぞ?」

僕らは顔を見合わせた。

「…そうだった」
「これだからな、リバーは。ぬけてて、実に面白い!」

僕らは笑った。会えなかった時間を埋めるように、たくさんたくさん笑った。


    *


僕はしばらくこの川で過ごした。

向こう岸にいるリバー。川の中を大きな蓮の葉にのっている僕。不思議なことに、僕はそこから動くことができなかった。そこから出ることができなかった。どうしても向こう岸にいくことができなかったんだ。僕は彼の姿を見ることはできても、触れることはできない。声をきくことができても、隣りで囁き合うことはできない。なぜだろうといつも思う。でも、こういうものなんだろうともいつも思う。

「きっとリバーと僕では、住む世界が違うんだね」
「そうだね、フィッシュ。でも、ボクはこの状況をそんなに悪く思ってないよ。こうして君と、ときどき会えるじゃないか?」
「そうだけど…」

君と過ごすこの川の時間はとても心地いいんだ。僕は君と離れたくないんだよ。君は 違うの?

「フィッシュ、ボクは幸せが何かを知っているよ。君は知らないのかい?」

僕がさびしそうな顔をしていたんだろう。リバーが朗らかに笑った。

「何も誰かとずっと一緒にいることが幸せじゃない。たとえ遠く離れていても、誰かをずっと想えることがボクの幸せなんだよ、フィッシュ」

僕は目をこすった。目が真っ赤になるまで強くこすった。

「……僕もそうだよ、リバー」
「ボクはここで一人で暮らしているけど、さびしくないよ。君がときどき会いにきてくれるからね!」

リバーが竿に手を伸ばした。

「行っておいで、フィッシュ。ボクは待っているから。川を流れて、またここに遊びにおいで。君の旅の話をボクに聞かせてくれないか?」

ルアーが離れ、蓮の葉がゆっくりと動き出した。

「リバー、僕はまたここに来るよ!絶対絶対、君に会いに来るよ!」

僕は彼が見えなくなるまで、大きく大きく手を振った。

「「また会おう!」」


   *


水の流れる音がする。
その流れに身を任せながら、僕はある場所へ向かうんだ。忘れられない君に会いに行くんだ。

「大物がきたな!」

僕が手を振ると、リバーは朗らかに笑った。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 白鳥マイカ『線』 × 誰かが作った「ムーミン」MAD 

いつか書こうと思って忘れられていた物語。この音楽を聞いて思い出しました。この物語のタイトルは最初『線』(まんまでした)だったのですが、私は『~フィッシュ』ってタイトル作品がけっこう好きで、(吉田秋生『BANANA FISH』とか洋画『BigFish』『ソードフィッシュ』とか)それらにあやかって(?)こんなタイトルになりました。あと、全然関係ないかもしれないけど、リバー・フェニックスも好きだし。

① 白鳥マイカ『線』 × 誰かが作った「ムーミン」MAD 
http://nicotter.net/watch/sm8936337
ムーミンにハマっていた時に出会ったMADです。音楽も映像もいい感じで、この物語が生まれました。このMADも素敵ですが、音楽にあう映像をのせてPVやMADつくる人って本当すごいなあ。そのセンス、どうなってんの!?私は物語が書けるとかより、こういうのがデキるようになりたかったなあ。あと、映画の予告編つくりとか!


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ああ、愛しのたまごサンド様!

あなたは、どうして…どうして…どうして…!!

「見るも無残なお姿にーーっっ!?」

    *

涙にくれる私を保健医の宮村(男)が必死になぐさめていた。

「そんなに泣くなよ…」
「泣きますよ。これが泣かずにいられますか、先生!!」

私は高校の購買で一番人気の『幻のたまごサンド(1日限定3個発売)』を手に入れて、さっきまで幸せ一色だった。でも、それはもう過去の話。だって、目の前の宮村にそのたまごサンドを踏みつぶされたから―。

「…なんで私、廊下を走ってた男子とぶつかっちゃったんだろう。なんでその時、自分のたまごサンドをとっさに放しちゃったんだろう?」

宮村もほとほと困り顔だった。

「俺に聞かれてもなあ…。ぶつかったのは俺じゃないしな」
「どうして、それが地面に落ちたタイミングで先生が角を曲がって来るんですか?どうして、よりによって私のたまごサンドを踏んづけちゃったんですか?ヒドイ!ヒドすぎます!!」
「いや、ヒドイのは廊下を走ってた男子とよそ見をして(たまごサンドに気をとられ)そいつとぶつかったお前だろ。たまたま通りすがって地面に落ちてた食べ物を踏んだ俺はどう考えても不可抗力だ。やつあたりされる身にもなってくれ…」

反省の色がまったく見えない宮村に、私は言ってやった。

「どうせなら、先生、(たまごサンドじゃなくて)私をキズモノにすれば良かったのに…!」
「…ちょっと待て。それオカシくないか?誤解を生む言い方はやめろ!」

私はしゃくりあげながら訴えた。

「…先生は知らないんです。うちの購買で売っているたまごサンドがどれほど凄いものなのか…」
「そんなに凄いものなのか…?」
「そうですよ!毎朝、近くの有名な養鶏場にとれたての新鮮な卵を購買のおばちゃんが自ら仕入れて、それを調理してくれるんです。それをまたおばちゃん手作りの優しいお味の食パンで包み込むんですから!たまごも食パンも厳選。だから、数も限られているんですよ!!」

宮村は首を傾げた。

「それは別にたまごサンドが凄いんじゃなくて、購買のおばちゃんが凄いんじゃないか?」
「嫌だな。これだから先生は何もわかってない!」

ぽかんとする宮村に私は続けた。

「今日は、たまたまお昼前の授業が自習だったおかげで、私は早めにスタンバイできたんです。チャイムよりじゃっかんフライング気味の好スタートで誰よりも早く購買に到り着くことができました。初めて、私はそれを手にすることができたんですよ!なのに、先生のせいである意味本当の『幻のたまごサンド』になっちゃいました!」
「…たまごサンドが凄いかどうかはよくわからないが、とりあえず、お前がちょっとウザくて面白い奴だってことはわかった」
「ああ、愛しのたまごサンド様ー!」

大袈裟に泣き叫ぶ私に宮村はやれやれと肩をすくめた。それから「行くぞ」と声をかける。「行くってどこへ?」と泣き面でたずねる私に、宮村は「どこでもいいだろ」と腕を引っ張った。宮村の突然の行動に思わず怯んだ。

「ひいー、まさか先生!本当に私をキズモノにする気…!?」

宮村はため息を吐いた。

「何、バカいってるんだ。俺は色気のないガキに用はねえ!興味もねえ!言っておくが、お前にその可能性は微塵もかけらもねえ!」
「ヒドイ!こっちこそ願い下げだ!」

じたばたと暴れる私を宮村は引きずりながら家庭科調理室へと連行する。なぜ、調理室なんかに?

「今、作ってやるから」
「へ?」
「俺が、今から作ってやる」
「…作るって、何を?」
「何をって『幻のたまごサンド』ならぬ、『幻の幻のたまごサンド』をだよ!」

一瞬、何を言われたのかよくわからなくて、反応が遅れてしまった。

「……ど、どんなミスター味っ○ですか、それは!?」

いかん、私としたことが!ツッコミのキレもいまいちだ!

「まあ、見てろよ」

そう言って宮村は手品のように、どこからかたまごを取りだした。

「…マ、マジシャン!?」

いつの間にか調理器具もセットされている。

「…保健医でマジシャン!?…先生がちょっとウザくて面白い奴だってことはわかりました」
「どこかで聞いたようなセリフだな」

先生が笑う。気落ちしていた私のテンションが不思議と上昇する。もしかして、本当に『幻のたまごサンド』をこえる一品に出会えるのだろうか?期待に胸を膨らませていると、不意に宮村がボールに卵をぶつけた。

「え?」

あれ、どうしてたまごを割っちゃうの…?私の戸惑いに気づきもせず、宮村は慣れた手つきでボールの中にたまごを割り、菜箸でそれをかきまぜ始めた。しまった。またツッコミが遅れた!

「こら、何やってるんですか!?たまごサンドはまず、ゆでたまご作りからです!それが常識でしょう、先生!?」

宮村は怪訝な顔をする。

「お前こそ何をいってるんだ!俺の知っているたまごサンドはな、こうやって作るんだよ」
「はあー!?」

たまごをさっさとかきまぜ、宮村は熱したフライパンにそれを流し入れた。

「ちょっと待て―!それは、ただのたまご焼きでしょう!!どこがたまごサンドだっていうんですか!?『その可能性は微塵もかけらもねえ!』、先生!」

またどこかで聞いたような台詞に宮村は吹き出した。

「こら、女子高生!女子らしさがまるでないぞ。その調子じゃ、モテる女子の可能性は微塵もかけらも…おおっと、ここは以下同文だったな!」
「うまいこと、言った気にならないで下さい。…嫌だな。これだから先生は何もわかってないわ!たまご焼きとゆでたまごを間違えるなんてお話にならないわ!」

宮村はおかしそうに笑っている。

「言葉使いをお嬢様っぽく変えたところでダメだぞ。お前の理想女子の方向性はだいぶ間違ってるな」

余計なお世話だ。そうこうしてるうちに、フライパンにおいしそうなたまご焼きができあがってしまった。

「先生には心底がっかりです。料理男子アピールされても、たまごサンドも作れないようじゃ、トキメキません!」
「…でも、俺んちだと、たまごサンドはこうやって作るんだよ。ほれ、あたたかいうちに食うぞ。そこの食パンをとってくれ」

いつの間にか用意されていた市販で売っている食パンがあった。それを宮村に渡す。うまいこと、たまご焼きを食パンにのせると、あろうことか宮村はマヨネーズとケチャップをつけてサンドしてしまった!

「ひいー、何をやってるんですか、先生!は!まさか私にこれを食べさせて復讐でもする気!?巻き込まれた腹いせ!?」
「復讐?腹いせ?何、わけわからないことを言ってるんだ。ほら、黙って食ってみろ!」

そういって宮村はたまご焼きサンドなるものを私の口につっこんだ。むぐっ、やっぱり復讐じゃんか!

ところが、私の口に入ったそれはまさかの輝きを放った。まだ冷めやらぬたまご焼きと柔らかめの食パンはパサつくこともなく、ゆでたまごサンドにありがちなボソボソ感もなく、しっとりと舌に落ち着く。不安要素だったはずのマヨネーズとケチャップのコンビは相性が抜群で、いい感じの甘酸っぱさを披露した。

「…何、このハーモニー!」
「うまいだろ?」

……ぐぬぬ、そんな顔をされるとちょっと困る。たまご焼きサンドにトキメいたのか、何気にイケメンの先生の笑顔にトキメいたのか、よくわからない。私はぶんぶんと頭を振った。

「私の愛しのたまごサンド様がたまご焼きサンドに負けるわけがないわ…こんな邪道ごときに!」
「こら、邪道とはなんだ!俺に言わせれば、お前の言ってる、ゆでたまごサンドこそ邪道と思うがね!…なあ、本当はうまかったんだろ?」

唇を噛む私を見て、宮村はニヤリとした。

「悔しかったら、お前のいう、ゆでたまごサンドを今ここで作ってくれてもいいぞ」
「へ?」
「女子力があるなら簡単な話だろう、お・嬢・様!」




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 安藤裕子『SUCRE HECACHA』 
★ スネオヘアー 『共犯者』
★ やまもり三香『ひるなかの流星』  

長編は書いていたので、物語を書くこと自体は久しぶりではなかったのですが、ショートショートは久しぶりでした。3~4か月ぶり?ゆでたまごサンドで育った私はたまご焼きサンドに出会った時、衝撃でした。関東と関西ではたまごサンドは違うと聞いたことがあるのですが、あれってこういう違いなのかな?そうではない気もするけど…。たまごサンドに限らず、家庭それぞれで作り方や味付けの違う食べ物ってけっこうありますよね。ちなみに、物語に出てきていた保健医の宮村先生は何気に他の物語でも登場しています。そちらも一応宣伝しておこう。
【第149夜】 過去世話(むかしばなし)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-141.html

① 安藤裕子『SUCRE HECACHA』
たぶん安藤裕子さんの音楽は私の物語スウィッチを入れてくれるんですよね。これを聞くまで、すっかりこの物語の声のことを忘れていて、久しぶりに聞いた途端、ドバーッと押し寄せてくるから。よかった。生まれていた声をそのまま、埋もれさせなくて。けっこうそう言うのが溜まって来ているみたいで、適度に消化せにゃいかんな、と反省。ショートショートも書かなきゃな。

② スネオヘアー『共犯者』
https://www.youtube.com/watch?v=hh1sXDMjIsA&list=RDSYDv9li6ZVc&index=8
途中からこちらも聞いてました。保健医の宮村がたまごやきサンドを作る辺りから。爽やかなメロディにやられます。ところで、いつの間に、ともさかりえの旦那になったんだ、スネオは!

③ やまもり三香「ひるなかの流星」
https://booklive.jp/product/index/title_id/196642/vol_no/001
いつかどこかで紹介したかもしれません。先生と教師の恋愛モノって私はどちらかというと苦手な方だったのですが、こちらの漫画を読んでから変わりました。転校先でこんな先生がいたら私も惚れてしまいますよ。私はやまもり三香さんの描く男性の横顔や体つき(ライン?)がとても好きなんです。今っぽくて細いんだけど、なんかキレイ。


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おススメ作品紹介です。

今回は、ドラマ『表参道高校合唱部!』です。

ドラマ『表参道高校合唱部!』公式サイト
http://www.tbs.co.jp/omosan-gassyobu/


本編
http://www.doramadougas.com/omosan-gassyobu/omosan-gassyobu-01/

四国から東京の高校に転校したきた少女がつぶれかけている高校合唱部を救うために立ち上がる!仲間たちと繰り広げる青春モノ。

私はこういう頑張り屋の女の子(朝ドラヒロイン系?)が大好きで、演じていた女優・芳根京子さんがもう主役の真琴そのままにみえて、今とても応援しているんです。なんだろう。一見そこまで美人さんってわけじゃないんだろうけど、雰囲気がかわいくてかわいくて。最近とても気になっています。色々な作品に出てほしいな。私が今押してる若手女優さんです!っていうか、出てくる子、みんな演技がうまかったと思う!全員オーディションで選ばれたそうです。大人たちもみんないい味出してて良かった~。

そうそう。毎回ちがう合唱曲を披露してくれるのも見もの。初回にいきなりJUDY AND MARY 「 Over Drive 」のアレンジでくるとは!私の一番お気に入りは文化祭のドリカム「何度でも」のアレンジでしょうか。ディズニーのパレードを見てるようなワクワク感がたまりません。

ドリカム「何度でも」のアレンジはドラマ第9回だったみたい。(38:00~くらいから)
http://www.dailymotion.com/video/k2OtqOjG6L8BXld6Xvz



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おススメ作品紹介です。

今回は、ドラマ『鈴木先生』です。

ドラマ『鈴木先生』公式サイト
http://www.tv-tokyo.co.jp/suzukisensei/index.html


本編
http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=jnonda00&prgid=47130131

ドラマの描く教師って正義感の強い人や理想主義的で型破りな人が多いかもしれませんが、この鈴木先生は至って冷静(に見えるよう日々努力)でも、少し斜に構えていたり、(いけない妄想もしていたり)、とても人間的。先生だって完璧超人じゃないんです。思春期真っ盛りの生徒たちに正論だけで立ち向かうなんてとてもできません。独自の教育論で(現実的に)どんどん学校問題を解決(論破)していきます。「どうする、俺!?」と苦悩する鈴木先生が笑えて面白い。ライバル先生役の富田靖子さんがこわい、こわい!


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