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最近、続編ばかりでショートショートをあまり書けてません!なので、しばらくの間こちらをトップ記事に。良ければ、今宵はじめての方には1001夜本番前の前夜祭のような気分で、馴染みの常連さんには懐かしい1001夜同窓会のような気分で、こちらのショートショートをお楽しみ下さい。訪れたすべての方々に感謝を込めて。 

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↓↓【第112夜】 BLITZ PRETZ(ブリッツプリッツ) ジャンル:青春 2014/01/18 01:45UP↓↓
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私は、誘拐される。

「動くな!」

帰宅途中だった。一人暮らしの自分の家まで、あと少しのところで。

「おとなしく車に乗れ!」

それをあえて狙っていたのだろう。あっさり覆面男たちに取り囲まれてしまった。

「…また誘拐?」

私は犯人を睨んだ。これでいったい何回目だろう?

ニヤリ。

外灯に照らされ、目の前の白い覆面がくっきり光って見えた。私は息を吸い込んでから言った。

「…っていうか、せめて覆面は外そうよ。本当に捕まるよ」

よく見たら、下は何気に就活スーツときている。

「おとなしく誘拐されな、お嬢さん」

彼らは覆面を外し、無邪気に笑って言った。

「一緒に行こうぜ。真夜中の逃避行!」


    *


車は走る。夜を。眠らない街を。誘拐犯と私を乗せて。

「もう吹き出しそうになっちゃった」

後部座席に乗り込んだ私がそう言うと、となりに座る誘拐犯…というより、愉快犯のウッチーが笑った。

「雪(ゆき)んこ、気づいた?この覆面のおでこの『肉』の字に。実はただ『肉』って書いてあるわけじゃないんだよね~!」

そう言って、ウッチーは自分たちが被っていた覆面を私に貸してくれた。

「何これ!」

おでこに輝く『肉』の字の表現が覆面によって違うらしい。ウッチーは親指をグッと立てた。

「某漫画をみんなリスペクトしてますから」

どうやら漢字の『肉』、片仮名の『ニク』、平仮名の『にく』と言った具合に、人により微妙に書き方が違うようだ。

「ちなみに『肉』がカンちゃん、『ニク』が秦(はた)、『にく』が俺のね」

急いで油性マジックペンで書いたのか、手書きの個性的な字がまたいい味を出していた。

「っていうか、雪んこも被る?まだローマ字版『niku』が残ってるぞ?」

助手席に座っていたリーダーであるカンちゃんが振り返り、あまっていた『niku』覆面を私に投げてよこした。こらえ切れず、私は吹き出した。

「もう、みんなウケ狙いすぎ!」

私たちの様子をバックミラー越しに眺めていた人物が車内ライトを消して手をたたく。

「はいはい、雪野(ゆきの)をつかまえた後はどうすんの?逃避行という名のドライブは。今日はどこ行く?」

逃亡(ドライバー)担当の、秦(はた)だ。

「前はどこへ行ったっけ?」と、私。
「伊勢だよ、伊勢。本店の赤福を食べたいとか誰かが言ったんじゃん」と、秦。
「そんなの誰が言ったんだよ?ウッチ―か?」と、カンちゃん。
「えー、俺じゃないよ。っていうか、高速つかっても東京から伊勢はさすがに遠かったなあ。一日あれば行けるんだって発見もあったけど」と、ウッチ―。

そう、かなり無謀なドライブだった。ドライブというより小旅行のレベルだったな、あれは。でも、赤福がおいしかったから許すけども。

「山梨の有名な名水を汲みに行こうっていうのもあったね」
「あー、遭難しかけたやつか」
「なんで俺ら水のために命かけてるんだよ!?って秦がキレたやつね」

そう、ふだんあまり感情をおもてに出さない秦がいきなり怒り出したから、みんな驚いたっけ。それを思い出し、私たちは笑った。

いいな、この雰囲気。久しぶりだな。みんな変わってなくて安心する。

元々、大学のゼミ仲間だった私たちは、グループ発表で同じグループになったことを機に仲良くなり、プライベートでもよく遊ぶようになった。時たま、こんなふうに変なお題を出しあっては、車で冒険に繰り出す。誘拐、逃避行と銘打ってはヘンテコな夜のドライブを決行するのだ。

「今日はそんな遠くまでいけないよ。近場でお願いします」
「ドライバーの意志は尊重しなきゃね。じゃあ、東京都内近辺か。久しぶりにお台場、横浜とかは?」
「ウッチ―、いいんじゃない?青春&カップルスポットで。俺たちに足りないエネル源をそこで補おうぜ」
「えー、彼女のいるカンちゃんには言われたくないなあ」
「雪んこも鋭くつっこむようになっちゃったなあ」

感慨深げにカンちゃんは頷いた。彼は私の親友、麻里子と付き合っているのだ。

「雪んこ、まずはこっちのエネル源とりなって。何も食ってないだろう?お菓子、買っといたんだ。どれがいい?」

そう言って、優しいウッチーが私にコンビニのビニール袋を差し出す。ありがたい。どれどれ?

「って全部グ○コの『PRETZ(プリッツ)』じゃん!?」
「そそそ。サラダとロースト、あと変わり種のトマト味ね。久しぶりに見つけたら懐かしくてさ、そこにあった全種類をかごに入れたんだ」

さすがウッチー。私はせめて、ごはん代わりになりそうな味を選んだ。

「…じゃあ、サラダで」

今日はオフィス街を歩き通しで、昼から何も食べてなかったから正直助かった。

「サラダ味を選ぶとは、秦と一緒だね」
「え?」

カンちゃんがいきなり意味ありげに呟くから、思わず私はむせてしまった。

「そんなこと言って、カンちゃんもサラダ味を選んでたよな」

でも、秦がうまく返してくれる。別に私のために…じゃないと思う…けど…?

「わかったわかった。そういうことにしといてやるよ」

私はウッチ―から水のペットボトルを受け取ると、気持ちを落ち着かせた。

「んで、お台場と横浜どっちにすんの?」

カンちゃんが仕切り直し、みんな腕を組んだ。

「近場だからって、やることに、お題に、手を抜きたくはないんだよね~」

アイデアマンであるウッチーの閃きを私たちは待つ。

「思いがけないことにするか…いやいや、ここは超くだらないことをしてシュールさ全面に出すのも…」
「雪野が決めなよ」

いきなり秦が遮った。

「今日は雪野、お前が決めな」
「え、私?」

秦がそういうと、カンちゃんもウッチーも「うん!うん!」「だね!だね!」と頷いた。私は戸惑いながらも、せっかくだしと、頭を回転させる。さて、どうしようか。お台場と横浜で、できること。さっきウッチーが言ってた超くだらないこと、シュールさを狙うというのも、なんだか面白そうでありのような気もする。

私は食べているPRETZの箱を見つめた。
お台場、横浜、PRETZ、お台場、横浜、PRETZ、お台場、横浜、PRETZ……んん!?

「…本当にくだらなくていいの…?」

となりのウッチ―が身を乗り出した。

「いいよ、いいよ!どんとこい、超シュール!」

私は念を押した。

「くだらなすぎて、笑えないかもしれない」

助手席のカンちゃんが手で丸をつくる。

「全然OK!」

私は息を吸い込んだ。

「場所は横浜。秦、そこにあるライブハウスに向かってほしいの」

バックミラー越しに秦がたずねる。

「何てとこ?」
「横浜BLITZ(ブリッツ)」

― 雪野、ライブに行かない?私、雪野と一緒に行きたいの ―

ふと懐かしい親友の声がした。ねえ、麻里子。あなたは今、何をしてるの…?

「ドライバー、了解です。聞いた?リーダー、一応カーナビよろしく」
「あいよ。でも、雪んこ、そこで俺たちはいったい何をするんだ?」

私は暗がりの中でニッコリした。

「横浜BLITZで、食べるのよ!」

タイプの違う三人の声が重なる。

「何を?」

私はハッキリと言った。

「横浜BLITZで、PRETZを食べよう!」

そう言って、私はみんなに見えるよう自分の食べているサラダ味のお菓子の箱を振った。
車内に沈黙が広がる。やらかした…!?と私が焦ったその時だった!

「あはははははははっははっははっはっはっはっははははっはっは!」

静けさを打ち破るように、気持ちのいい笑い声が車内に響いた。

「…秦…?」

ウッチ―、カンちゃん、私の三人は思いがけないことに驚いた。…秦が…あの秦が、大爆笑してる…!?

「やべー!超くだらねー!なんだ『BLITZ』に『PRETZ』って…!!ははははははは!!!」

誰もこんなに大笑いする秦を見たことがなかった。知り合って、そろそろ4年…。彼の笑いのほとんどは、カテゴライズすると『鼻で笑う』というものだったから。意外すぎて、それを見たみんなが吹き出すのも時間の問題だった。

「ぷっ!はははははははははははははははは!!」

きっと私の『BLITZ PRETZ(ブリッツ プリッツ)』案より、目の前の秦の方がツボだったと思う。普段笑わない人の、笑顔は貴重だから。麻里子もそうだった。

「よーし、それ採用!!」

車内はおおいに盛り上がり、ネオン街がなんだか霞んで見えた。
車は走る。夜を。眠らない街を。爆笑する誘拐犯と私を乗せて。


    *


横浜BLITZについた私たちは車から降りた。

「いや~、マジ吹いたわ!」

さすがにライブも終わってる時間だから、誰もいない。建物の電気も消され、あたりは妙に静かだった。

「秦が違う意味でキレて最高だったわ」

カンちゃんはどうやら笑いすぎて、まだお腹が痛いらしい。彼のセリフに、秦が恥ずかしそうに俯いた。

「シャイが服を着て歩いてるようなもんだもんね、秦は!」

ウッチ―が嬉しそうに秦を破壊占めにする。それを秦が振り払おうと、じたばたした。じゃれ合っているようで、どこか微笑ましい。いいな、男子の友情は。なんか爽やかで。ねえ、麻里子もそう思うでしょう?

「あーあ、雪んこが本格的に麻里子シック、入りました~!」

気づけば、カンちゃんが私の隣に立っていた。

「何そのネーミング!ホームシックとかけたの?麻里子シックはカンちゃんでしょう?」

彼の愛しの恋人は今、イギリスに語学留学中なのだ。

「きっと麻里子なんて今頃、アビー・ロードを優雅に歩いてるだろうさ」
「さすが麻里子様。一人で何度も歩いてそう。ご学友を置いてけぼりでね」

音楽が大好きな彼女の満喫している姿が目に浮かぶ。ふたりで横浜BLITZのライブに行ったのが遠い昔のようだ。

「まあ。でも、気が強い美人の麻里子様でも弱みはあるわけよ。それが、雪んこね」
「え?」

いきなり自分にふられたので、私は驚いた。麻里子の弱み?私が?

「ほら、麻里子はあんなんだから、仲のいい子なんて雪んこぐらいじゃん?相当、雪んこシックなわけよ、あいつ。俺と話してても、雪んこの話題ばっか」
「照れ隠しだよ。麻里子は電話もメールも苦手だし」

私にくれるメールも内容は天気のことばかりだった。『ロンドンは曇ってばかり』そればかり。

「雪野は元気?就活ノイローゼとか、なってない?私の彼氏だったら、ちゃんと雪野のフォローしといてよ!だってさ。…いやいやいや、お前が雪んこの彼氏かよ?っていうね」

私はくすくすと笑った。なんか麻里子らしいな。わがままそうに見えるけど、本当はとても優しい子なのだ。

「…俺は麻里子にデキた彼氏とはなんたるか、学んでるような気がするね。素質あるよ、あいつ。彼氏になる素質…」
「なんだー、それでかー」

私は納得した。

「カンちゃんが今日、私に変に絡むのはヤキモチだったのか」
「それもあるけど、秦と雪んこ見てるとさ、こっちがヤキモキするんだよね」
「…ヤキモキ?それ、どういう意味?」
「麻里子がいなくなってから始まった夜のドライブだけど、主犯は俺じゃないぞ」
「え?」
「秦だ。秦が麻里子がいなくなって淋しがってるお前のために始めたことだ」

私はカンちゃんを見つめた。その目は遠くにいるはずの親友と、とてもよく似ていた。

「『最終面接、落ちた!就活って、なんでこう人間否定された気分になるの??神様、ひどい!むきー!!』っていう、今日のお前のLINE(ライン)にいち早く気づいて、みんなにドライブの声かけたのもアイツね」

私は何も言えなくなってしまった。
みんなだって忙しいだろうに、就活スーツを着たまま、駆けつけてくれたんだ。

「就活っていっても別に人間否定されるわけじゃない。お前が否定されるような人間だったら、俺たちはそばにいない。俺たちは雪んこの人柄に感謝してるくらいだ。最初お前がゼミで声をかけてくれなかったら、同じグループになろうって言ってくれなかったら、俺たちの大学生活、こう面白くはならなかった。雪んこのいないところでみんな言ってる」
「い、いるところで言ってよ!そういうのは…!」

カンちゃんの言葉にグッときて、ついどもってしまった。

「きっとその思いは秦が一番強いんだ。特に警戒心の強い奴だったから」

ゼミで初めて秦を見た時、昔の麻里子を思い出させた。教室の片隅にいる孤高の存在。きっと笑ったら、いい顔をするんだろうな。見てみたいな。だから、声をかけたのかもしれない。

「寒いのか?鼻とほっぺた、また赤くなってるぞ。さすが雪んこ!」
「カンちゃん!」
「爆笑する秦なんて一生お目にかかれないと思ってたのになあ」


    *


私は、誘拐される。

「動くな!」

私は彼に声をかけた。

「おとなしく手を上げろ!」
「今度は雪野が誘拐犯か?」

ニヤリ。

「君は完全に包囲されている!」
「そっちの人か!?」

秦は一人で、横浜BLITZのチケット売り場窓口にいた。何やらコソコソしている。

「おとなしく何をしていたのか、言いなさい!」

秦は観念して、ゆっくり手を上げた。

「せっかくだから、記念にPRETZを一箱、ここに置いてこうと思ってさ」

見ると、窓ガラスに立て掛けるように、新品のPRETZサラダ味がひっそりと置かれている。私は笑った。

「きっと朝やって来た人、意味わかんなくて不思議に思うだろうね」

秦も笑った。今のは『鼻で笑う』とは違う笑いだ。4年近く色々な秦を見てきたからわかる。

「ありがとう。私を誘拐してくれて。ここに連れてきてくれて」
「え?」
「昔ね、ここに麻里子と一緒に来たんだ。麻里子がライブに誘ってくれたんだけど、ようやく打ち解けられた気がして嬉しかったな。舞い上がりすぎて、何のライブだったかも覚えてないくらい」
「お前らは高校からの付き合いだもんな。…淋しくないか?」

秦の優しさも今はわかる。いっぱい見たから。いっぱい知ったから。

「今、麻里子がここにいてくれたらなって思うときもあるけど、語学留学はあの子の夢だったし、麻里子様も頑張ってるんだから、私もいちからエントリーシートを書いて頑張るよ。だから…」
「…だから?」
「ちょっと淋しくなったり、落ち込んだりした時は、また今日みたいに誘拐してくれる?」

秦はふっと笑った。

「いいよ」
「みんなが忙しくて無理な時でも、秦一人で覆面を被って来てくれる?」
「別にいいよ」

『別にいいよ』も『いいよ』のうち…。ポジティブにそうとらえていると、一人ぶつぶつ言う私がおかしかったのか秦がまた笑った。

「雪野が助手席に乗ってくれるならね」

神様、麻里子様! 今なら私、最強のエントリーシートが書けるかもしれない。




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=影響を受けた作品のご紹介=

ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ A Red Season Shade『Ghosts & Clouds』× BLITZ PRETZ ★

恋愛話や登場人物はフィクションですが、夜中のドライブは仲間たちとの体験談です。私は赤福と名水には参加してませんが、横浜BLITZでPRETZはやりましたよ。今はなき、横浜BLITZに感謝を込めて。ちなみに作中の覆面のお『肉』の方のモデルは、ゆでたまご『キン肉マン』です。

① A Red Season Shade『Ghosts & Clouds』
http://www.youtube.com/watch?v=fK2bjJX_NaQ
この音楽を聞いて生まれた物語。秦くんの最後のセリフが聞こえ、その仲間たちが見えてきました。ドライブのお供にどうでしょうか?アーティスト情報が少ないのでマイスぺ貼っておきます。私も最近知ったのですが、フランスの5人組とのこと。
A Red Season Shade myspace
https://myspace.com/aredseasonshade
② 横浜BLITZ
http://www.tbs.co.jp/blitz/y_map.html
③ グリコ『PRETZ』
http://www.glico.co.jp/pretz/

登場人物のモデルは、このとき読んでいた漫画、南塔子「ReReハロ」かな。秦くん出てくるし。雪んこみたいでカワイイ頑張る女子リリコ(料理上手!)は大好きなヒロインです。
南塔子「ReReハロ」 
https://booklive.jp/product/index/title_id/225609/vol_no/001

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「世界が変わった 」

その一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。


    *


どうにかしたい。 望月(もちづき)くんのアレをどうにかしたい!

「真央(まお)、痛いんだけど…。私の髪、ひっぱりすぎじゃない?」

レイちゃんの言葉に我に返る。いかんいかん、今は親友の髪をうまく編みこんでかわいいヘアに仕上げている途中だった!

「ごめん、レイちゃん!」
「いいって、いいって。それより人の髪をいじってる時の真央ってすごい集中力なのに…。今、うわの空だったでしょう?なんかあった?」

さすが親友、私の異変にすぐ気づいたらしい。

「いや、たいしたことないかもしれないんだけど…」

きっと私が気になるだけなんだ。

「最近、うちのクラス、席替えしたじゃん。前の席の望月(もちづき)くんのことなんだけど…」
「え、もしやコイバナ?真央が恋愛相談!?」

早とちりしている親友を私は慌てて制した。

「違う違う。そういうんじゃないよ!」
「え、違うの?」
「ほら、前の席ってどうしても視界に入るじゃん?私、気になっちゃってさ」
「気になるって何が…?」
「望月くんの…そのアレが気になって」
「真央、あんたまさか?」

ごくり。

「望月くんのウザそうな髪をどうにかしたーーーーーーい!!」

放課後、高校の屋上で私の声が響き渡る。親友は被害を最小限におさえるため、自分の耳をふさいでいた。

「はいはい、髪いじりが好きなあんたはイロコイよりそっちでしたね」

レイちゃんは耳から手をはなし、ため息をついた。私はムッとする。

「レイちゃん、ことは深刻なんだよ!私のストレスフリーな毎日を返してほしいんだから!」
「あー、前は野田(野球部男子)が真央の前の席だったもんな」
「うん、野田くんは素晴らしい後頭部だったよ!坊主頭があんなに似合う男子は中々いないよね!」
「…あんたのそれは髪フェチなの?頭部フェチなの?ただの変態なの?」

少し失礼な親友の発言はさておき、今は望月くんだ。彼の(ウザそうな髪の)おかげで、私の高校生活はストレスを感じない日はない。望月くんは男子にしては長髪で、肩にかかるくらいの黒髪をしている(前髪も目にかかっているようだ)。校則が比較的にゆるいうちの高校でそれは特に問題ないんだけど、いかんせん、彼にその髪型がとても似合っていないのだ。もう、私のこの手で切って差し上げたい!だって、あれじゃ、ただのもっさりしたアキバ系オタクだよ!?別にもっさりしたもっさりしたアキバ系のオタクが悪いわけではないんだけど…。

「きっとうちのおじいちゃんが望月くんを見たら、爽やかさが足りん!ってダメだしすると思う」
「真央のおじいちゃん、この街の立派な理容師だもんな」

そう。私のおじいちゃんはこの街の立派な理容師だ。

美容師じゃなくて理容師。理容師は床屋さんで働く人のことね。ほら、街を歩いていたら、ときどき見かけるでしょう?赤・白・青の三色の縞模様がくるくるまわってるやつ。あれはサインポールっていって床屋さんの目印。私の住んでいる街は関東圏内にあるとはいえ、都会と呼ぶにはほど遠いところ。特に有名でもなければ、観光名所なんてものもない。面白味のない街は若者離れがすすんでいく一方だ。ただ、さびれていく。すたれていく。でも、うちのおじいちゃんの床屋だけは違う。レイちゃんが立派な理容師と言ってくれるのにもきちんとした理由があった。

「なんたって゛世界が変わる床屋さん″だもんね」

親友の言葉に私はにっこりと微笑んだ。ちょっと胡散臭い宗教っぽいコピーだけど、これは決して嘘ではない。

たまたま映画撮影に来ていたある無名俳優が役柄に合わせるため、急きょ髪を切ることになり、近くにあったおじいちゃんの床屋にやってきた。おじいちゃんはその俳優さんの話を聞き、イメージを膨らませ、髪をカットした。それは俳優さんの新たな一面をひきだして今までにないハマり役、当たり役へと導いたのだ。目立たない脇役だったはずが、鬼気迫る演技と迫力に監督の心は動かされ、出番も倍増。その映画の重要人物となった。公開されると俳優さんの熱演が話題を呼び、記録的ロングラン、興収を打ち出した。なんでもその年の映画賞を総なめにしたらしい。俳優さんは受賞コメントで『髪を切った日から、自分の世界が変わった!』とうちの床屋を紹介してくれたのだ。゛世界が変わる床屋さん″のいわれはそこからなんだよね。

「お客さんは芸能関係から政治家、スポーツ選手に会社経営者、それから受験生まで。真央ん家の客層、幅広いね!」
「みんな、うちにきて験を担ぎたいのかな?」
「ただ幸せになりたいんだよ」

レイちゃんはふっと笑った。

「世界が変わるなんて大袈裟かもしれないけど、私は真央に髪をいじってもらうだけで、いつもちょっと幸せになるよ。たぶん自信をもらえるからだな。あ、それと昔から変わらないあんたの夢もいいなと思う。尊敬するおじいちゃんの床屋を継ぎたいっていうのも。真央ならできるよ!日々、色々な髪型を研究して勉強熱心。ヘアアレンジだけじゃなくて私の髪もまた切ってね!」

嬉しくなって、私は親友を後ろから抱きしめた。

「レイちゃん、大好き!」
「こら!髪をいじってる途中だろう?」
「もうできました!」

親友に大きめのハンドミラーを渡して、できあがったヘアスタイルの解説をする。

「くせっ毛ロングのレイちゃんの髪をすばやくへアイロンでゆるふわのパーマをかけたようにしました。サイドを少し編みこんで、全体を一つに束ねて、ちょいナチュラルヘアの完成です♪目鼻立ちがはっきりしたクールビューティーなレイちゃんも似合うかわいいヘアを目指しました。ちなみに、一見ゆるふわでも、簡単にほどけません!さあ、本日の放課後ビフォーアフター、いかがでしょう?」
「うん、いい感じ♪よーし、気合い入った。今日もドラムをめっちゃたたいて、みんなをしびれさせてくるわ!文化祭も近いしね!」
「レイちゃん、カッコいい!」

親友は軽音部の女ドラマーなのだ。

「女子をほれさせてもなあ。…あ、話は戻すけど、真央の言ってた望月くんってモッチーのことじゃない?」
「モッチー?」
「望月カケル。それなら軽音部のモッチーだよ」
「そうなんだ。望月くんって下の名前、カケルっていうんだ。苗字が望月なのに、名前でかけちゃうんだね」

ちょっと不憫だ。

「あんたが気になるのはそこ!?同じクラスなら名前はフルネームで覚えてあげて。っていうか、軽音部情報はいらなかったんかい!?」
「いるいる。軽音部なら、ウザそうな髪もなんか納得だな。ミュージシャンってそういう髪型の人、多いもんね。まねしてるのかも」
「う~ん。モッチーの場合、そういうのではないと思うんだけど…。コピーバンドじゃなくてオリジナルだし。あいつ、いい曲かくんだよな」
「ふうん。音楽のことはよくわからないけど、望月くんって瞳がきれいなんだよね。プリント受け取るとき、振り向きざまに一瞬見えたんだけど、あれは隠してたらもったいないよ!レイちゃん、同じ部活ならそれとなく伝えてあげて」
「そんなん言えるか!それとなく瞳がきれいだねとか、超無理だわ!」
「レイちゃんはカッコいいから大丈夫だよ」
「私、どんなイケメンよ?…あ、ちなみにモッチー、しばらく部活を休んでるから会わないと思う。バンド内でもめごとでもあったのか、しょぼくれてるってきいた。うちの部、人数多いからたくさんバンドあるんだよね」
「レイちゃんとは別のバンドなんだ?」
「うん。だから、あまり接点なし。席が近くなった真央のほうが機会あるかもね」
「私、そんなにしゃべったことないんだよなあ。仲良くもないのに、いきなり髪を切らせて下さいなんていえないし。望月くんも積極的に話しをするタイプじゃなさそう」

レイちゃんはひらめいたように手をたたいた。

「そこは未来の゛世界が変わる床屋さん″の腕の見せどころじゃない?」
「え?」
「しょぼくれてるモッチーの世界を変えてきな!」

そう意味ありげに親友は笑った。


    *


どうにかしたい。 望月くんのアレをどうにかしたい!

「真央、痛いんだが…。わしの髪、ひっぱりすぎじゃないかね?」

おじいちゃんの言葉に我に返る。いかんいかん、今はお店が終わった後のおじいちゃんの髪をとかしている途中だった!

「ごめん、おじいちゃん!」
「いいって、いいって。それより人の髪をいじってる時の真央はすごい集中力なのにな…。今、うわの空だったか?学校でなんかあったかね?」

さすがおじいちゃん、私の異変にすぐ気づいたらしい。(…ん?っていうか、このやりとりなんかデジャブだ)

「最近、うちのクラス、席替えしたんだけど、前の席の望月くんって男の子の髪が気になっちゃって。こう肩にかかるくらいの黒髪なんだけど、なんかもっさりしてて、うざそうなんだよね。本人に全然似合ってないの!」
「ふむ。それは一大事だな」
「だよね!おじいちゃんならわかってくれると思ってた!!」

櫛笥する手が止まったいた私に、おじいちゃんはたずねた。

「でも、真央はどうして似合ってないと思ったんだい?」
「望月くんの瞳が見えた時があってね、きれいだったんだー。あれ、長い髪に埋もれててもったいないよ!」

おじいちゃんは笑った。

「髪にかける真央の情熱は並々ならぬものがあるからなあ。おじいちゃんも見習わんとな。こうやって仕事終わりに髪をとかしてもらうのも、初心を忘れないためのわしの大切な時間だ。でも、真央、その情熱を一概に人に押しつけてはいけないよ。髪は人の心をあらわしているから」
「え?」
「その坊主だって、瞳を、心を、隠したい理由があるかもしれんぞ?」

…瞳を、心を、隠したい理由…?

「まあ、本人に話をきかんことにはわからんがね。でも、真央、理容師を目指すなら、その人に合った程よい距離をつかめるようにならんとな」
「おじいちゃんはあの俳優さんとの距離をつかんで髪をカットしたの?そうして世界を変えたんだ?」

おじいちゃんは声を上げて笑った。

「世界を変えたなんて、そんな大それたことはしとらんよ。わしはあの人の話を、ただ聞いただけさ」

そうやっていつも謙遜する。決して偉ぶらない。驕らない。人と同じ目線で立ち、ただ話を聞くだけ。その穏やかな物腰と優しさに、今までどれだけの人が救われただろう。

「程よい距離か。う~ん、難しいね」

私が腕を組んでうなっていると、おじいちゃんが鋭いところをついてきた。

「真央は母親との距離もうまくつまめてないからなあ。難しいかもしれん」
「おじいちゃんは優しいけど、時々人の痛いところを突くよね」

私が頬を膨らますと、おじいちゃんは困ったように笑った。

「また早苗から連絡が来ていたよ。ロサンゼルスに遊びに来なさいとな。ようやっと、あいつも余裕が持てるようになったんだろう」

私の母は世界で活躍するヘアメイクアーティストだ。その夢を叶えるために、昔、私をここに置いて行った。父親が誰かもわからない私を大切に育ててくれたのはおじいちゃんと亡くなったおばあちゃんだ。

「う~ん、そのうち遊びに行くよ」
「また、そのうちか。真央のそのうちは保留の意味だからな」

バレてる!?

「真央」

おじいちゃんは私に向き直り、はっきりと告げた。

「言いたいことの一つや二つ、早苗にぶつけてきなさい。お前は早苗にそうする権利があるんだから。思い切り今までの鬱憤をはらして来ればいいんだ。なんなら、あばれてきたっていいぞ」

おじいちゃんはお母さんのことになると、妙にアグレッシブになる。きっと母親に対してどうしていいかわからない私のかわりに、そうしてくれてるんだ。

「あはは!ありがとう、おじいちゃん。そうだね。そのうちそうしようかな」
「そのうちか」

おじいちゃんの言うとおり、私はまだ母親との距離をうまくつかめていない。もしかしたら、つかむ気がないのかもしれない。自分のことなのに、そのへんはよくわからない。まだ考えたくないのかもしれないや。

「今は目の前にいない人より、いる人の方が気になるよ!」
「…望月さんとこの坊主か」

おじいちゃんは聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟いた。

「あの坊主なら、案外ぶつかっていった方がいいかもしれんな」


    *


どうにかしたい。 望月くんのアレをどうにかしたい!……そう思っていたんだけど。

「望月くん、本当にごめんなさい!」

胸が痛い。まさかこうなるとは思わなかった。放課後、文化祭の準備中にペンキを運ぼうとしたら足元で作業していた望月くんに気づかず、ぶつかってペンキをかけてしまったのだ。

「しかも頭からぶっかけるなんて…どんなコントよ?」

隣にいたレイちゃんのツッコミに返す言葉もない。少し失礼な親友は笑いをかみ殺している。とにかく望月くんを水道まで連れて行って、髪についたペンキの汚れを洗い流す手伝いをした。

「どうしよう。ちゃんと全部おちるかな?」
「モッチー、大丈夫?…っていうか、真央!あんた、まさか確信犯じゃないよね?」
「ち、違うよ!!」

思いが募りに募り、あわよくば、髪を切れるんじゃないかと思ってわざと望月くんにペンキをぶっかけたとか、そんなんじゃないからね!念のため!!

「本当にごめんなさい、望月くん!!」

私は自分の持っていたタオルを渡し、頭を下げて何度も謝った。それしかできない。望月くんは力なく笑った。

「大丈夫だよ。…でも、一瞬、世界が変わったかと思った。ペンキの青に視界が染まったから」

あー、そんな意味で「世界が変わった」なんて言わせたくなかったのにっ!!

「ちょっと真央、『しょぼくれてるモッチーの世界を変えてきな!』って私も言ったけどさ、余計にしょぼくれさせてどーすんの?」

レイちゃんのさらなるツッコミに本当返す言葉もなかった。あー、ここにおじいちゃんがいたら、「…わしもそんな意味でぶつかれって言ったんじゃないんだがなあ…」って言われるに違いない。唯一、救いだったのは速攻水道に向かったおかげで、彼の髪についたペンキの汚れをどうにか洗い流せたことだ。

「目はペンキ入ってない?大丈夫!?」

心配する私に望月くんは安心させるようにほほ笑んだ。

「それは平気。髪に守られたっぽい…」

この時ばかりは彼のウザそうな髪に私は感謝した。ありがとう、望月くんの髪!鉄壁のガードだったよ!!

「良かったー。望月くんの瞳が無事で…」
「へ?」
「望月くん、瞳がきれいだから。良かったーと思って!」

ほっとする私に望月くんは言葉を失っていた。ちーちゃんが横から「真央、すげー。今さらっと言った!」と口を挟む。

「……深海(しんかい)は、俺の目を見たことあるんだ?」
「え?」
「こわくなかった?」

望月くんは何を言っているのだろう?あ、ちなみに深海(しんかい)は私の苗字ね。フルネームは深海真央(しんかいまお)。

「こわい?なんで?」

私が首をかしげていると、レイちゃんが「ちょっと失礼!」と望月くんに近づいて、彼のぬれた前髪にふれた。そして、顔をのぞきこむ。

「そういうことか」

親友はさして興味もなさそうに言った。望月くんはレイちゃんの手をはたく。

「もしかして望月くん、瞳の色が左右で違うことを気にしてるの?」

私が聞くと、彼は顔を伏せてしまった。望月くんは瞳の色が左右で違う。右は灰色がかった黒、左は濃い茶。たぶんオッド・アイというやつだろう。私はおじいちゃんの忠告を思い出した。

― 真央、理容師を目指すなら、その人に合った程よい距離をつかめるようにならんとな ―

もしかしかたら踏み込みすぎたかもしれない。でも、もう遅い。

「すごくきれいなのに…」

失敗なら、ぶつかってペンキをかけてしまった時点でしている。こうなったら開き直るしかない。

「うん、すごくきれいだよ」
「………」
「レイちゃんの次くらいに!」
「は?」

私の意外な台詞に、望月くんは顔を上げた。

「ぷっ。あはは、真央ナイス!」

横にいたレイちゃんは吹き出し、ぽかんとする望月くんの肩をたたいた。

「悪いね、モッチー。私の次くらいにきれいだってさ。あのさ、モッチー。悪意や偏見、もしくは同情あたりを真央に期待しないほうがいいよ。真央の場合、あんたの瞳がきれいって本気で思ってるから。この子にはそういうのも人の美点にしか見えないんだ。私なんか最初会ったとき、この外見のせいでみんなに変な目でみられたけど、真央だけ『キレイだね!カッコいいね!』って声をかけてくれた。『髪、いじらせて!もっとカッコよくするから。かわいくもできるよ!』って散々つきまとわれてさ…」
「レイちゃん、嫌々だった!?」

衝撃の事実だ。親友は私の頭を撫でる。

「嫌々つきあってなんかない。嬉しかったに決まってんじゃん!真央のこと、大好きになったし」

私は親友に思い切り抱き着いた。

「相思相愛だね、レイちゃん!」
「カップルかよ!?」

私たちのやりとりをみていた望月くんは呆れていたけど、やがて納得したように呟いた。

「そうか。お前、ハーフだもんな」

レイちゃんの本名はレイチェル・エヴァンス。イギリス人のお父さんと日本人のお母さんをもったハーフだ。出会った時、レイちゃんは黒髪なのに、外国人の影を色濃く残した彫りの深い顔だちを気にしているようだった。

「そうだよ。ちなみに、真央に言わせたらハーフなんて『目鼻立ちはっきりとしたクールビューティー』程度の外見らしいし。下手に気負う必要ないって気づかされたわ」

レイちゃんはおかしそうに笑った。私の何気ない一言が親友を救っていたのだろうか?

「モッチー、あんたが軽音部を休んでるのも、その目が関係してるの?」

レイちゃんの問いに望月くんは顔をそむけた。どうやら図星のようだ。「白状しな」というレイちゃんの気迫に負け、望月くんは重い口を開く。

「…目をみられたんだ、バンドメンバーに。そうしたら次の日あいつらみんなして左右色違いのカラコンつけて俺の前にあらわれた」

そうだったんだ。

「それはモッチーをからかうために?それとも、気にしてるあんたとわかりあうために?」
「知らない。どっちにしろ気分が悪かった」
「だろうね」

望月くんの気持ちをレイちゃんも察したらしい。悪意や偏見、同情はその人を傷つけ、これ以上そうならないように心を深いところに隠そうとする。寄るな。触れるな。近づくな。

「そっか。みんな距離をつかむのが下手なんだね」

黙り込んでしまった二人に変わって私は自分の話をすることにした。

「私、おじいちゃんに言われたんだ。理容師になりたいなら、人との距離をつかめるようにならないといけないって。真央は母親との距離をうまくつかめてないから難しいかもって。私のお母さん、ロサンゼルスに住んでて遊びに来いって言ってるんだけど、私どうしていいかわからないんだよね。仕事を選んで、昔おじいちゃん家に私を置いて行った人とどう向き合えばいいかわからない。正直、自分自身が怒っているのか、悲しんでるのかもよくわからないんだ」
「……真央?」
「だってお母さん、愛情がないのかと思えば、誕生日やクリスマスには必ずプレゼントを送ってくるし、最近は遊びに来い来いうるさいし、どうも私が髪いじるの好きなの知ってるらしくて、外国のヘアカタログとかヘアメイクの本とかやたら送ってくるし。なんか半端に関わろうとするんだもん」
「なんか俺たち、みんなどっか半端だな」

望月くんが苦笑した。そうかもしれない。レイちゃんのハーフも。望月くんの瞳も。私とお母さんの関係も。

「でも、このままじゃ、やっぱりいけないのかもしれないね」
「深海?」
「おじいちゃんがね、言いたいことの一つや二つ、お母さんに会いに行ってぶつけてきなさいっていうの。どうかと思ってたんだけど、そうしてみようかな」
「え、まさか今から母親に会いに行くの?」
「ロサンゼルスに!?」

私の突然の決意にふたりは戸惑っていた。無理もない。私は首を振った。

「ううん。今から電話をかけようと思います。いいたいことができたから」
「なんだ、電話か―。良かったー。時々、真央、とんでもない行動派になるからさー」
「俺も焦った。深海、意外に突拍子もないな!」

安堵するふたり。まだまだ話は終わらないんだけどね。私はあることを持ちかけた。

「たぶん留守電に残すことになると思う。お母さん、忙しい人だから。でね、私が電話をかけたら、望月くんもバンドメンバーとぶつかってきてほしいの。きちんと話し合ってきて」
「はあ!?」

素っ頓狂な声を上げる望月くん。そりゃ、そうだよね。よくわからない巻き添えをくらってるんだから。「いいじゃん、モッチー!」と、レイちゃんが指を鳴らす。

「そうしなよ。このまま、部活を休んで文化祭であんたがバンド演奏しないの、もったいないと思ってたんだー。もしバンドメンバーと話し合ってもうまくいかないようだったら、私があんたとバンド組むよ。今のバンドとかけもちになるけど、それでもいいならさ」

レイちゃんは人をのせるのがうまい。自分の価値を知っていて、相手にとって旨味のある話にもっていく。

「マジか!?」
「うん、あんたの曲いいからね。他にモッチーとバンド組みたいやつ、絶対いると思うんだ。あんた、ギター&ヴォーカルだっけ?私がドラムで、あとベース見つけりゃ、なんとかなるでしょう!」

望月くんは即決した。

「わかった。話にのった。お前のドラムの腕、男顔負けだからな」

女子だけでなく、男子もドラムでしびれさせていたとは!

「レイちゃん、カッコいい!」
「真央は本当そればっか」
「あ、覚悟を決めた望月くんもカッコいいよ!」
「俺、おまけかよ?とってつけられたし…」
「私の次にカッコいいんだからしょうがないって。あんたも中々悪くないと思うから。しょぼくれるなよ」
「しょぼくれてねーし。イケメン女子に励まされたくねーし」
「じゃあ、決まりね!」

私は笑ってケータイを取り出した。初めてお母さんに電話をかける。案の定、留守電だった。咳払いをしてもったいつける。

「もしもし、お母さん。真央です。遊びに来いって言ってるけど、私に会いたいならお母さんが会いに来ればいいんじゃないかな?もうすぐ高校の文化祭なの。カッコいい友達のバンドのヘアメイクを担当するつもり。何気に私、メイクも勉強してたんだよね。別にお母さんの影響じゃないよ。それじゃ、文化祭で待ってるから!」


    *


「 世界が変わった 」

その一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。


    *


文化祭当日。バンド公演待ちの舞台裏。控室となっている教室で私はヘアメイクに燃えていた。

「結局、坊主のバンド仲間は坊主をからかってただけだったのか?」
「うん。望月くん、ちょっと落ち込んでたんだけど、その怒りをパワーにかえて、いい曲がかけたみたい。レイちゃんたちとバンド組んで、すぐ元気になっちゃった。あ、おじいちゃん、そこのアメピンとって」

なんと孫の晴れ舞台(裏方だけど)におじいちゃんが、床屋を休みにして、かけつけてくれた。

「はいよ。きっと坊主にとって今のバンド仲間に会うための必要な流れだったんだろう。人間つらい時こそ、底力がでるってもんさ。いいものができる。こりゃ、バンド演奏が楽しみだな。…それにしても、レイちゃん、えらいべっぴんさんになったな」
「ありがとうございます、真央のおじいちゃん。でも、きっとお孫さんの腕がいいからですよ。これも血筋ですね!」

おじいちゃんをうまく持ち上げるレイちゃん。

「そうかね、そうかね。そう思うかね。実はわしもそう思っているんだ。真央は中々センスがあってだな」

おじいちゃんも親バカならぬジジバカ振りを発揮している。

「お前、くちうま。本当イケメン女子だな」

レイちゃんの口の上手さにあきれる望月くん。なんだか最近、私の毎日はとても賑やかだ。

「モッチー、かまってもらえないからってしょぼくれんな。準備はできたの?」
「準備も何も衣装なんて制服のままじゃん!なあ、須賀(すが)やん?」

ベースは須賀くんという背の高い男の子。望月くんやレイちゃんには須賀やんと呼ばれている。ベースは募集をかけたら、須賀くんが速攻名乗り出てくれたらしい。ぱっと見、「自分、不器用なんで」って言いそうな寡黙な男子。でも、演奏は「全然不器用じゃねえ!」と望月くんとレイちゃんが口をそろえていた。「すごいやつ、きた!!」とも。

「衣装はみんなで話し合ったでしょうが!」

バンド演奏は校風もあってか自由に各バンド決めていいことになっている。最初は奇抜さやスタイリッシュさを狙っていこうと話し合っていたんだけど、うちで色々なへカタログをみてみんなで話し合っていたら、おじいちゃんが「10代の爽やかさをいかさんでどうする?それがお前らの今、最強の武器だぞ」とアドバイスしてくれた。望月くんのかいた曲も「ソーダ水の炭酸がシュワシュワはじける感じ」とレイちゃんが称してたので、爽やかさをうるのもありかもしれないと制服でいくことにした。

指定の茶のブレザーに緑と赤のチェックのパンツとスカート。ちょっとダサかわいいおしゃれ感を出したくて、みんなでおそろいの丸メガネをかけることにした。レイちゃんのヘアはゆるい三つ編み。地味めの髪型が美人度をよりひきたてている。須賀くんは丸メガネのおかげで堅そうな雰囲気が柔らいでちょっとかわいくなった。…望月くんはメガネをかけたところで前髪が長すぎて意味がないんだけどね。

「レイちゃんはウィッグつけて男装する案もあったけど、これでよかったかもね!やっぱカッコいい女ドラマーっぷりをみてもらいたいし」
「それ以上、イケメン女子になってどうするんだよ」
「ひがむな、しょぼくれ男子!」

言い合いになる望月くんとレイちゃん。仲がいいなあ。そこで須賀くんがまさかの好アシストをみせてくれた。

「……望月は髪を切ったほうがいいんじゃないか?」
「え?」
「爽やかな曲をかいたのに、お前が一番爽やかじゃない」
「本当それな!モッチー、本番前に真央に髪を切ってもらったほうがいいって。なんたって真央は未来の゛世界が変わる床屋さん″なんだから。ですよね、真央のおじいちゃん?」

レイちゃんが意味ありげに笑った。おじいちゃんが「まだわからんが、まあ候補かな」と片目をつむる。嬉しい!思わず涙ぐんでしまった。おじいちゃんは理容師になることには特に反対してないけど、私がお店を継ぐことに関しては決してふれなかったから。こんなに嬉しいことはない!!

「わかったよ!…深海、少しだけなら、俺の髪を切ってもいい」

なんで私が泣いているかわからず、望月くんは困ってるようだった。彼もなんだかんだと優しい人だ。

「ありがとう!でも、時間がないから望月くんはおじいちゃんに髪を切ってもらったほうがいいよ。私、レイちゃんのメイクが残ってるし」

その時、教室のドアが突然開いた。

「やっと見つけた!!」

その人は荒い息で、ひたいの汗をぬぐう。なのに完璧なメイクが崩れていないのは職業柄だろうか。

「お、お母さん!?」
「さ、早苗!?」

私とおじいちゃんは同時に声を上げた。まさかお母さんが本当に帰ってくるとは…!

「話は聞かせてもらったわ。レイちゃんのメイクは私にまかせて。真央はそこの男の子を変身させなさい!」
「え、でも…」

お母さんはヒールの靴をカツカツ鳴らしながら、親友に近づき、にっこりと挨拶をする。

「あなたがレイちゃんね。話は聞いてるわ。娘がお世話になってます。いつもあの子に良くしてくれてありがとう!っていうか、あなたクールな美人ね。しかも、すっぴんでここまでキレイな子もいないわよ!?おばさん、感激。惚れちゃうかも!」

レイちゃんの長めのまつ毛が瞬く。

「絶対、真央のお母さんだ。顔も発言もそっくり!」

少し恥ずかしい。

「留守電にあったカッコいい友達っていうのはそこの背の高い子かしら。…あら、私好みの渋めな男の子ね」
「は?」

お母さんの勘違いに須賀くんは目をぱちくりさせている。私が留守電で友達の名前を明かさなかったせいで、須賀くんにとんだ被害を…!

「あら、須賀くんっていうの。真央のこと、よろしくね!お父さん、真央のカッコいい友達の髪をお願い。ツーブロックのオールバックとか、いいんじゃないかしら?床屋、休みにして来たんだからいいでしょう?手伝ってよ。真央の彼氏候補ですって!」
「なにー!?」

おじいちゃんまでとんだ勘違いに発展だ!唖然とする私をお母さんが叱り飛ばした。

「こら、真央、何してるの!出番までもうすぐなんでしょう?あんたはそのモサ男くんをなんとかしないと!!」
「は、はい!」
「…モサ男って俺か!?」

私はレイちゃんから離れ、望月くんの後ろについた。彼もひそかにダメージを受けているらしい。

「深海家3代の手でヘアカットやメイクをしてもらえるなんて。みんなが初よ。ラッキーね!」

もうお母さんが来てからのこの流れ、わけわかんないよ!でも、望月くんの髪をいじれるのは今しかない。気が変わらないうちに私は素早く彼に散髪ケープをつけた。

「大丈夫よ、望月くん。今日でモサ男は卒業だから!私にまかせて!」
「…お、おう」

私が持っている鋏(はさみ)は家庭で散髪できる市販のものだ。まだ理容師にはなれてないから、おじいちゃんが持つような立派な専用の鋏は持っていない。でも、今の私にはこれがあっている。これで充分だ。

リズミカルに踊る鋏。シャキシャキと心が弾む音。もさもさした長髪は嘘のよう。はらはら舞い散る花びらのよう。彼の新しいイメージに近づいていきますように。ちょっとだけでも幸せになってもらえたらいいな。彼の自信になってくれたら―。

「できた?」

切り終わると、鉄壁のガードとさよならした望月くんのきれいな瞳とぶつかった。瞬間、なぜか何も言えなくなる。かろうじて頷くと、みんなが集まってきた。

「お、望月が爽やかになった!」
「やっと若者らしくなったな、坊主。すっきりしたじゃないか!」
「あら、自然なマッシュが似合うじゃない。中々イケメンね!」
「まあ、カッコよさは私に劣るけどな。悪くないんじゃない?」

みんなの素直な感想に望月くんは照れくさそうだった。

「なんか首もとがスース―する」
「モッチーの感想はそれだけ?」

レイちゃんが腕で小突くと、望月くんは私を見てほほ笑んだ。

「少し世界が変わったかも」

その一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。……そう思っていたんだけど。

「ありがとな、深海!」

胸が高鳴る。 まさかこうなるとは思わなかった。

「あれ?」

私の世界が変わった、そんな気がした。






=====================================


=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ ストレイテナー『Merodic Storm』 × ラジオドラマ『黒ヤギは眠らない』 ★

更新がおろそかになっており、申し訳ありません。ふとストレイテナー『Merodic Storm』をきいたところ、青春モードスイッチが入り、このような物語ができあがりました。なので、タイトルもそれから。テナー、いいですね。色々な物語が生まれる予感!ちなみに、男の子のヘアは成田凌さんの髪型を参考にしました。なりたい男子の髪型っていったら、彼が思い浮かびました。

① ストレイテナー『Merodic Storm』
https://www.youtube.com/watch?v=MtoAJF-jQjE
メロディの美しさや疾走感、まさに『Merodic Storm』って感じの音楽です。聞いた瞬間、青春している少年少女たちが私の中で駆け出しました。彼らを追いかけていたら、思いのほか長めの短編になってしまいましたけど。物語で書けなかったモッチーたちのバンド演奏はこの曲のイメージです。

② ラジオドラマ『黒ヤギは眠らない』
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15436588
何気に朗読やラジオドラマ好きです。アマチュアの方?が創作しているラジオドラマの中で一番好きなのがコレ。主人公の女の子の声の透明感ハンパない(私もこんな声に生まれたかった!)。お話も素敵!優しい主人公たち。彼らのまわりにいるあたたかな家族や友人。面白い物語は脇役も光ってるなと思う。お気に入りです。


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お久しぶりです。

最近の私ですが、色々な作品を見まくっております。自分で書くのもいいけど、それ以上にたくさんの素敵な作品たちに出会えるのは嬉しいもの。私はそういうものを見つけられる目利きになりたいと常々思っております。ここをご覧になってくれた方の心を鷲づかんでくれることを願って。


★漫画『この音とまれ!』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%81%AE%E9%9F%B3%E3%81%A8%E3%81%BE%E3%82%8C-1-%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC/dp/4088705459

お琴×高校生×青春モノ。ずっと前からひそかにハマっていて、個人的に「そろそろ映像化があってもいいと思うんだけど、まだかしら?」ランキング第一位漫画です。

絵はきれいだし、話も面白いし、何よりもお琴のイメージがきっと変わる!!(お琴といえば「さくらさくら」くらいしか知らなかった昔の自分…なんて損をしてたんだ!)漫画だからもちろん音を聞けるわけではありません。でも、作中の人物の表情で音がよくわかるんだよ。しかも、とてもいい顔で高校生たちがお琴をひくんだよ。その姿に魅せられるんだよ。

今まで自分の中の彼らのお琴のイメージがあったので、CD化されている彼らの音源を聞いていなかったんです。でも、評判が高くて気になり、今回聞いてみたところ、これこそ聞かなきゃ損だったー!!なんと作者さんの実家は琴一家で、こちらの作曲や演奏に協力してくださったそうです。良ければ、音楽と漫画の内容も少し知れるかもしれない以下をどうぞ!

龍星群
https://www.youtube.com/watch?v=Y_Db88Ef6FQ
久遠
https://www.youtube.com/watch?v=yegQRUhJkuM
天泣
https://www.youtube.com/watch?v=p6-HiUGSUXU

特に好きなのは「龍星群」と「天泣」で、これらの音楽にあいそうな物語をぜひ書いてみたい!



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神様に愛された人間というのがいる。

才能にあふれ、まるで約束されたかのように表舞台に颯爽と登場し、人々の賛辞と脚光をあびる人間が…。

反対に、神様に愛されない人間というのもいる。

大した才能もないくせに、夢を追いかけ、神様に愛された人間の前で立ちつくすことしかできない憐れで滑稽な人間が…。

俺は一体どっちだったろう?  


    *


「あなたのピアノは完璧ね」

いつも正解を引き当てる。きっとあなたの性格が出ているのね、と先生はいった。あの頃、ジュニアのピアノコンク―ル入賞常連だった俺は先生のそんな言葉すら誉め言葉だと思っていた。笑える話だ。

「とてもコンクール向きだと思うわ」
「ありがとうございます、先生」
「でも、神様には…」

その先に続く先生の言葉をこの時の俺はまだ知らなかった。それが幸せだったのか、不幸だったのか、一人の少年に出会ったことで思い知ることになる。名前はユウキ。近所に越して来たばかりのはにかみやの少年で、ある日、俺のピアノの音につられてやってきた。

「お兄ちゃん、何してるの?」

うちの庭の窓ガラスにユウキはベタッと貼りついていた。普段はにかみやの少年がなぜか物々しく俺を凝視する。そのギャップに俺は笑ってしまった。

「ピアノを弾いてるんだよ」
「ピアノって、その黒いやつ?」
「そうだよ。いい音だろ?」
「うん、キラキラしてる」
「キラキラ?」

別にこの時、俺は「きらきら星変奏曲」を弾いていたわけではない。表現はつたなくても、ユウキがまだ小さいなりに俺の演奏を誉めてくれたことはわかった。

「ありがとう、嬉しいよ。俺がつくった曲なんだ」
「え、お兄ちゃんがつくったの?」
「そうだよ」

コンクールの課題曲、自由曲は全部準備した。それこそ、ぬかりなく完璧に今回も。だから、この時の俺はちょっと息抜きをしていた。自分の中であふれる熱をもてあましていたのかもしれない。あの頃の俺は神童と呼ばれていたから。楽譜を開けば、正確なメロディが頭の中に流れ出す。どう演奏すればいいか作曲家たちは適格に教えてくれる。難解と呼ばれるバッハでさえ神童はその熱でのみこんでいた。

「すごい!僕もそれ、やりたい!!」

はじめて自分でつくった曲をほめられて、うかれていたのかもしれない。俺もしょせんはガキだった。ユウキとそんなに年もかわらないガキだったのだ。

「いいよ。教えてあげるよ。こっちにおいで」

俺は少年を手招いた。この時、不幸を招いたとも知らずに…。

「おまえ、名前は?ちゃんときいたことなかったよな」
「ユウキだよ。お兄ちゃんは?」
「俺?俺は、そうだなあ。ハーメルンとか?」
「ハーメルンってお兄ちゃん、外国人だったの?髪は黒いし、目も青くないよ!?」
「日本人だって。ユウキが俺の音につられてやってきたからそう言ってみただけ。ハーメルンの笛吹きのピアノ版みたいなもんだろう。…ってあれはあんまいい話じゃなかったんだっけ?」

ユウキは、はにかんだ。

「だって、キラキラしてたから。今まできいた中で一番きれいだったから」

俺は嬉しくなり、ユウキの頭をくしゃくしゃと撫でた。すぐに俺たちは仲良くなった。でも、数時間後ユウキはそのはかりしれない才能で、あっさり神童ハーメルンを越えていった。

「わあー、ピアノってけっこう簡単なんだね!」

彼のあふれる熱に、俺は容赦なくのみこまれた。

この日から、俺はおかしくなった。楽譜を開いても頭の中にさっぱりメロディが流れてこなくなったのだ。作曲家たちはそろってそっぽを向き、何も語らなくなった。本当の神童の存在に気づき、そっちに行ってしまったのかもしれない。俺はあっけなくピアノを弾けなくなった。先生に相談すると、彼女はユウキを自分のレッスンに誘いだした。「ユウキくんは天才ね。きっと神様に愛された子なんだわ」と彼女は目を輝かせ、俺に見向きもしなくなった。ユウキはコンクール入賞の常連と化し、プロの声がかかった。

「なんで?」

なんでユウキがそうなるの?俺じゃなくて。しかも神様に愛された子ってなんですか、先生?ユウキは何もかも俺から奪っただけなんだよ。しょせんは俺の後釜でしかないじゃないか。そんなユウキが神様に愛されるって、

「おかしいだろう?」

きっとユウキがプロなんてそんな大舞台に立ったら、急に足が竦んじゃったりするんだ。演奏どころじゃなくなるんだ。すぐにあいつの化けの皮が剥がれる。

「お兄ちゃん、どうしてピアノを弾かなくなったの?」

お前のせいで弾けなくなったんだよ。

「お兄ちゃん、僕の演奏会に来てくれるよね?」

ああ。

「もちろん」

行って、この目でお前の無様な姿を見てやるさ。

「楽しみにしてるよ」

でも、ユウキは演奏会で大成功をおさめた。観客席で無様な姿をさらしたのは俺だった。


    *


神様に愛された人間というのがいる。

才能にあふれ、まるで約束されたかのように表舞台に颯爽と登場し、人々の賛辞と脚光をあびる人間が…。

反対に、神様に愛されない人間というのもいる。

大した才能もないくせに、夢を追いかけ、神様に愛された人間の前で立ちつくすことしかできない憐れで滑稽な人間が…。

俺は一体どっちだったろう?  


    *


時は経ち、大人になった俺のもとにユウキから一通の手紙が届いた。封を開けると、チケットだけが入っていた。

「あいつの日本公演のチケットなんていらねえよ。簡単に手に入らないプレミアものでも」

誰かに高く売りつけてやろうかと思ったが、結局行くことにしたのは自分の中で踏ん切りをつけたかったのかもしれない。俺はもうピアノに対して、音楽に対して、未練なんて何一つないこと。

「せいぜいお前は神様に愛されてればいいさ」

ユウキの日本公演は大盛況のようだった。会場となる大きなホールは満員で、外もチケットを手に入れられなかった人々で埋め尽くされていた。そんなやつらを尻目に会場に入り、自分の席を見つけ、ユウキのプログラムを確認して驚いた。なんだ、この統一感のないバラバラな曲目は。しいて言えば、難曲をただ並べているだけ。想像して、軽く胸やけを起こした。クラシックの名だたる作曲家たちが泣くぞ。こんなのを俺に聞かせたかったのかよ。でも、ユウキが俺を呼んだのは別にそれらを聞かせるためではなかった。

アンコールの一曲だけだった。

拍手の中、舞台に戻ってきたユウキは昔のまま、はにかんでいた。そのかわらない姿に少し苛立ちを覚えていると、彼は視線を彷徨わせ、一瞬俺と目を合わせたような気がした。そして、何かを呟く。それから椅子に座ると、文字通り髪を振り乱して弾き始めた。

「…なんだよ、これ」

彼のあふれる熱に、俺は容赦なくのみこまれた。

― お兄ちゃん、何してるの? ―
― ピアノを弾いてるんだよ。いい音だろ? ― 
― うん、キラキラしてる ―

お前は、何を弾いてるんだよ。

― ありがとう、嬉しいよ。俺のつくった曲なんだ ―

初めてピアノを教えた日にしかその曲は弾いてないはずだろう?なんで覚えてるんだよ!

― すごい!僕もそれ、やりたい!!―

やめてくれ。クラシックの名だたる作曲家たちが泣くぞ。

― だって、キラキラしてたから ―

 弾く直前、あいつは何かを呟いた。

『 今まできいた中で一番きれいだったから 』

俺は片手で目を覆った。苦笑した。いや、泣き笑いもいいところだった。確かに、俺は神様に愛されなかったのかもしれない。でも…、

「神様に愛された人間に、俺はこんなにも愛されていたんだな」

一体、自分は何をこだわっていたというのだろう。

― お兄ちゃん、どうしてピアノを弾かなくなったの? ―

もうどうでもよくなったよ、お前のおかげで。

演奏が終わったら、少年に会いに行こうと思った。
それからピアノの前にもう一度座って、自分の中のメロディに耳をすましてみよう。

いつかまたあいつを導くハーメルンになれるかもしれないから。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
★ ドラマ『重版出来』
★ YURI on ICE『Yuri On Ice』

おそすぎかもしれませんが、今年もよろしくお願いいたします。今年、最初の物語はこれになったかーという感じです。なぜ、これになったのか。書きたいものは他にもたくさんあるはずなのに。物語の声に自分がさっぱり追い付けてません。

① 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
https://www.amazon.co.jp/%E8%9C%9C%E8%9C%82%E3%81%A8%E9%81%A0%E9%9B%B7-%E5%B9%BB%E5%86%AC%E8%88%8E%E5%8D%98%E8%A1%8C%E6%9C%AC-%E6%81%A9%E7%94%B0%E9%99%B8-ebook/dp/B01LPWS4X6/ref=sr_1_1?s=dvd&ie=UTF8&qid=1518714687&sr=8-1&keywords=%E8%9C%9C%E8%9C%82%E3%81%A8%E9%81%A0%E9%9B%B7
直木賞受賞、おめでとうございます!恩田ファンは嬉しいです。クラシック知識満載の感動作!

② ドラマ『重版出来』
https://www.amazon.co.jp/%E9%87%8D%E7%89%88%E5%87%BA%E6%9D%A5-DVD-BOX-%E9%BB%92%E6%9C%A8%E8%8F%AF/dp/B01GZPDB4A
一話完結ドラマ。その中で忘れられない物語があって。プロ漫画家になれず、何年も漫画家のアシスタントとして、もがき続ける男(ムロツヨシ)の前に新人漫画家(永山絢斗)が現れます。新人漫画家の才能に打ちのめされ、男はある事件を起こし…。終盤、編集者に駄作だと言われ続けた男の自信作をはじめて認めてくれたのはその新人漫画家だとわかります。「なんでお前なんだよ!」と叫ぶムロさんが切ない。

③ YURI on ICE『Yuri On Ice』
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30288572
私の中でピアニストになった少年がアンコールで弾いた曲はこのイメージ。このピアノ曲、凄く好きです。恩田さんの『蜜蜂と遠雷』を読んでいた時、名だたる作曲家の名曲ではなく、ずっとこの曲が私の中でなぜか流れていました。(クラシック、詳しくなかっただけか)そう言えば、オリンピック団体のアイスダンスの演技にも使用されていて素敵だったな。


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↓↓【ネタバレ注意】自作物語のネタ帳(プロット?) 2016/01/23 04:25UP↓↓
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物語の更新ができていなくて、申し訳ありません。

何も書いてないですが、何もしていなかったわけでは決してないんです。色々な作品を見まくっていたら書きたいものがなんだか多くなってしまい、もう何が何やら…。

「物語創作法/好きな作家など」に書き足していた自作物語のネタ&リクエスト帳ですが、量がこれだけとても多くなってしまいました。なので単独でUPさせて下さい。ある意味、私にとってこれがプロットと言っていいのかもしれません。っていっても、他人から見れば意味不明な言葉の羅列だったりするかも…。(書き途中の物語のネタバレも思い切りしているので、ご注意を!)

「物語を書いてなくて何やってんじゃい?」と思った時は、たぶんここがこっそり更新されていると思います。


随時更新


★ 物語を書くときに、なんとなく私が自分自身にリクエストしている事など。

・物語の一番の盛り上がりはできればラストらへん希望!
→単に私の好み。「おおー!」と盛り上がって終了するのが好きなので。
・固い文章の物語の場合、会話文はさらっと軽いノリで。
→単に私の好み。重たくてもっさりするの苦手…。
・R指定にはならないように、よろしく!
→誰でも読めるようにしてほしい…。

!!以下、ネタバレ注意!!

★ 私が今後書く予定のもの?(声を忘れないためにメモらせて下さい)

●マタ・ハリ…美貌の女スパイ?踊り子?高級娼婦?

●ストレイテナー「Merodic Storm」「Braver」「シーグラス」「彩雲」「Lightning」「SIX DAY WONDER」の音楽にあいそうな物語を!
→後に【第322夜】  Merodic Storm へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-429.html

●entの音楽にあいそうな物語を!
●佐伯ユウスケ「ツヨサヨワサ」「行かないと」の音楽にあいそうな物語を!やっぱりスポーツモノだろうか。

●無名の英雄…元ネタ:BS歴史館「タイタニック100年目の真実」フレデリック・バレットの証言/乗員死亡率75%/乗客のために死を選んだ219人のボイラーマンたち

●一年に一回は戦争の物語を書かないと。
・島田叡…沖縄を最後まで救おうとした島守(県知事)。未だ遺体は見つからず、行方もわからないまま。
・東京裁判
・最後の華族たち
・陸軍中野学校(日本スパイ養成機関)
・インパール作戦
・ヒトラーの走る要塞

●眠れないの。怖い夢を見るから。眠らないの。幸せな夢を見るから。夢(生きていたころの記憶)にうなされる子供たちの世話をすることになった主人公。しばらく天国で神様のお手伝いをすることになった女の子(ユリ?)の微笑ましいシスター?生活。BGM:Chatmonchy「three sheep」

●君たちはすれ違ってばかりだな。目覚めると、事件が待っている。でも、犯人は探偵を待ってくれない。すべては茶番だ。いつまで君はそれを続ける気なんだい?僕はただ待っているだけですよ。探偵が本当に目覚めるのを―。タイトルは「スレチガイ探偵(仮)」 影響を受けた作品はドラマ『ミス・シャーロック』、アニメ『UN-GO』、モリエサトシ『親愛なるA嬢へのミステリー』、薫原好江『乱歩アナザー』、スティーヴンスン『ジキル博士とハイド氏』。あと、この時期に江戸川乱歩「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」を読んでいたからもしかしたらそのあたりの影響も受けているかも。BGM:LAMA『Blind Mind』

●タイトルに使えそうかも…。
「誘蛾灯(ゆうがとう)」 「此岸(しがん)」 「交い路(かよいじ)」 「件(くだん)」 「件の男、荷葉の女(くだんのおとこ、かようのおんな)」 「異国(とつくに)」 「デラシネ(根なし草)」

●「天泣」と「龍星群」の音楽にあうような物語を!

●蝦夷(えぞ)共和国…榎本武揚初代総裁(選挙により決定)/海律全書を武器に交戦団体権を主張、世界(米・仏)に認められた幻の独立国家をつくる/盟友黒田清隆による函館戦争降伏交渉、助命嘆願/獄中詩「君恩(国為)未だ報いず今日にあう」/生き残った方が葬儀委員長に。元ネタ:歴史列伝「榎本武揚」:御徒町の組長屋生まれの江戸っ子(下級武士の御家人で父は伊能忠長の弟子)→昌平坂学問所で学ぶ。得意科目は自然科学>儒学→学問吟味(今でいう国家公務員試験で甲乙丙の成績で丙)→ジョン万次郎について英語を学ぶ→長崎海軍伝習所→築地軍艦操練所→オランダ留学(機械工学・造船学・蒸気機関学・化学)海律全書(国際法)を基にした外交の必要性に気付く→海陽丸(全長=72.8M、乗務員=400人、最大排水量=2590、最大速度10ノット、大砲=35門で咸臨丸の4倍)海上戦では勝利していたが…。一冊の書が人と国の運命を大きく変えた。タイトルは「運命の書」、「幻の國」、「獄中詩」、まんま「Règles internationales et diplomatie de la mer」とか。でも本当は海律全書って上下の二冊っぽいな。

●近所の少年にピアノを教えたこと。それが俺の人生を大きく狂わせることになった。少年は音楽に愛され、ピアニストの道を一気に駆け上がっていく。主人公は少年の才能に打ちのめされ、音楽を捨ててしまう。時は経ち、成長した少年のコンサートに呼ばれた主人公はかつて彼にピアノを教えるきっかけとなった自作の曲をそこで耳にする…。神様に愛された人間に俺はこんなにも愛されていたんだな。一体、自分は何をこだわっていたというのだろう。もう何もかもどうでもよくなった。お前のおかげで。タイトルは「神様に愛されない」 影響を受けた作品は恩田陸「蜜蜂と遠雷」、ドラマ「重版出来」、自作「活路」(未)。BGM:「YURI on ICE」
→後に【第321夜】 神様に愛されない  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-426.html

●A Red Season Shade - Praising the Distance Conceptの音楽にあう物語を!

●正体不明のラジオDJがお届けする「その夢、叶えちまえラジオ」…とある男子校の昼の時間は一風変わっている。学生の叶えたい夢(一見無謀なもの)を集め、それをラジオDJ(正体不明)が知恵を凝らし、なんとか番組内で叶えるというもの。おバカな男子高生たちの青春モノ。影響を受けた作品:金城一紀「レボリューション№3」、白石 昌則, 東京農工大学の学生のみなさん「生協の白石さん」
ラジオで流す曲順(これがそのまま影響を受けた音楽)
1. the pillows - Instant Music (OP…ラジオ紹介と今回叶える夢の内容について→恋愛相談)
2. The pillows - Last Dinosaur (相談者が告白する相手の元まで走る 制限時間はこの曲の終了まで。その間、相談者のある夢を叶える)
3. the pillows-ONE LIFE【オルゴール】(ある奇跡が起こる)
4. the pillows-one life (ED…ラジオDJの正体が相談者にだけ明かされる)
そんなの、決まってんじゃん。両方だよ。
奇跡には2種類ある。人の手で起こせるものと人の手で起こせないもの。お前らの見たい奇跡はどっちだ。
the pillowsを流すなんて、きっとのこのラジオDJは無類の音楽好きか、隠れたアニメオタクに違いない。

●キリシタン迫害…元ネタ:遠藤周作「沈黙」そこでは宣教師のロドリゴの視点だったけど、できれば私は取り締まった井上筑後守(かつて信者だった)のような裁く側の視点で。いっこうに屈しない信者の脅威を描いてほしい。書けるようなら拷問場面(精神的、肉体的苦痛)とかも。それか長崎という土地柄と宗教について。タイトルは「棄教」

●RADWIMPSの音楽にあいそうな物語を!
・「光」
次はお前の番だ。一見、平凡に見える中学のクラスメートたち。実はそれぞれに秘密や問題(心の闇?)を抱えていた。クラスメート一人一人の独白リレー。前者の秘密を突き止めた者が次の語りべ。しかしそのあとの走者の標的となり、秘密をあばかれる。全員の秘密が明かされた時に悲劇が起こる。
・「ドリーマーズ・ハイ」
さあ、そろそろ本気を出すとしますか。最高傑作を書かないといけないからね。高校の演劇部が舞台の青春SF。ジョン・タイター×ミヒャエル・エンデ「モモ」の灰色の男。ジョン・タイターは時間旅行者であるが、時間泥棒でもあり、未来から私たちの時間を盗みにやって来た。そういう演劇の脚本をたまたま書いていた主人公のもとに本物のジョン・タイターが部活仲間になりすまして近づく。実は真実を描いていたその脚本。ジョン・タイターは演劇の制作を阻止しに来たのだった…とみせかけて、本当はある事情からそれを完成させたいらしい。私的ジョン・タイター誕生秘話、心優しい時間泥棒の物語になれば。長編でもう一つジョン・タイターをネタにした話があるのでかぶらないように注意。
・「叫べ」
部活をがんばる学生×青春モノ。榎田ユウリ「カブキブ!」や佐藤多佳子「一瞬の風になれ」みたいな。
・以下も物語が生まれそうな予感がする。忘れずに。
「オーダーメイド」・「夢番地」・「セプテンバーさん」・「me me she」・「いえない」・「ふたりごと(アコギVer)」・「カイコ」・「シザースタンド」・「シュプレヒコール」・「タユタ」・「トレモロ」・「ブレス」・「ものもらい」・「愛し」・「祈跡」・「最大公約数」・「白日」・「魔法鏡」・「夢見月に何想ふ」・「縷々」・「メルヘンとグレーテル」・「ラストバージン」・「リユニオン」・「やどかり」・「何十年後かに「君」と出会っていなかったアナタに向けた歌」・「音の葉」・「会心の一撃」・「揶揄」・「Darma Grand Prix」

●チャットモンチー「世界が終わる夜に」あいそうな物語を!
→後に【第305夜】 喪服にレモン、少女にはショートケーキを。  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-397.html
親友が死んだ。主人公はレモンとショートケーキを買って彼女を追悼することに。それは親友とのある思い出からだった。喪服にレモンは氷室冴子作品、喪服にショートケーキはドラマ「すいか」出てきたモチーフだったと思う、確か。

●Salyu「LIBERTY」にあう物語を!
①思春期の少年少女の痛い恋愛話…やっと私を見てくれた。初恋は美しい女の死体だった。オフィーリアの絵に魅せられた少年とそんな彼に恋し、彼のため死体になろうとする少女の話。最後にはなぜか立場が逆転。死体になるのは少年というオチ。タイトルは「オフィーリアの肖像」(←この時「ドリアン・グレイの肖像」を読んでいたから?)
②洋風ファンタジー戦記…っていっても読んだことあんまりないから書けるかなあ。前々から気になっているデルフィニア戦記、アルスラーン戦記、ロードス島戦記、風の大陸、ベルセルクあたり読めば勉強になるだろうか。あと、有名どころのファンタジー戦記ってなんだ?

●傭兵の生きざま?死にざま?の話…まぶたを閉じる瞬間、懐かしいカメラのシャッター音が聞こえたような気がした。(樹なつみ「OZ」のムトーみたいな人物で、ライ麦畑のような自然の風景を思い描けて、ラストが開口健「輝ける闇」みたいなイメージ?)BGM:Fightstar 「Mono」
→後に【第310夜】 AF ARMY(オートフォーカス アーミー)   へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-392.html

●愛する女を救えなかったガンマンの話。(「ハードボイルド少年」のマスターの話になるか?)BGM: 沖野俊太郎「A Rising Tide」
●現代版(近未来版)「天空の城ラピュタ」を追い求める飛行艇乗りの話。タイトルは「飛行艇乗りは夢をみる」BGM:沖野俊太郎「Cloud Age Symphony」

●宇多田ヒカル×SF
 ・「This is love」→日清食品「FREEDOM」OP映像(大友克洋)にあう私なりの物語を!
 ・「traveling」→宮澤賢治「銀河鉄道」のブラックコメディになるか?
 ・「DEEP RIVER」→もとになった遠藤周作「深い河」を読むべきか?(そう言えば、安藤裕子「六月十三日、強い雨。」も遠藤周作の小説「女の一生」がもとらしい。この音楽も物語を一本書きたいんだよね。これはやはり遠藤周作を読むべき?)

●青春アドベンチャー「大化の改新 青春記」みたいなノリの歴史×コメディを!

●手塚治虫「火の鳥」の構成(過去→現代←未来)を参考に物語を書いてみたい。長編になるだろうけど…。
●色々な作家が「ファウスト」を題材に書いてるから、私も書きたい(ヤマザキコレ「フラウ・ファウスト」など)

●シェークスピアが主人公の物語とか。オスカー・ワイルドが主人公の物語とか。

●サカナクション「グッドバイ」ピアノバージョンにあう物語を!
→後に【第307夜】 グッドバイ   へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-401.html

●「源氏物語」で何かと主人に振り回される不憫な従者・惟光が主人公の話。
●いつか氷室さんがあとがきで語っていた氷室冴子的「源氏物語」を書けないものだろうか。

●持田あき「スイートソロウ」みたいな世界観の話。

●名(迷)軍師たちの活躍…「戦術では勝っていたのに戦略で負けた」または「戦術では負けたのに戦略で勝った」みたいな話。タイトル候補は三つなので物語も三通り?BGM:サカナクション「新宝島」
①「難攻不落」…白鷺城or熊本城(日本で難攻不落と言われる城。大阪城は徳川家康に攻略されたので除外。ちなみに父的には白鷺城>熊本城らしい。理由は忘れたので後で聞こう)をモデルとした籠城戦攻略劇。
②「レンタル軍師」…戦国時代のような舞台設定。戦の協定(取り決め)でどこの国も軍師はある一族からレンタルしなくてはいけないと決まっている。
③「軍師兄弟」…①と②を足したもの。オチが軍師一族の兄弟喧嘩(または軍師一族の利益独占)に単に国々が巻き込まれ、長いこと戦の時代が続いているというもの。


●山崎豊子の話…元ネタ「NHKスペシャル作家 山崎豊子~戦争と人間を見つめて~」 
→後に【第301夜】 嵐を呼ぶ女 へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-383.html
① 恋人の戦死→ぶつかる対象の変化→戦争を見つめていく作家になるまでの過程を描く(女性的な面を押す?)
戦時中21歳の日記より「一月二十日 敵機来襲で、線路側の防空壕へ飛び込む。何とも云えぬ敵愾心がむらむらと湧き上がる。畜生、勝つまでは頑張るぞ」「私は凪よりも嵐を呼ぶ女だ。真正面から偽りなく彼とぶつかりたい。これほど迄に彼を愛しているのに、それを信じて貰えないほど恐ろしい苦しい事はない」「彼はついに発った。最後のお別れをする。ウン、泣きそうだ」「この無残、惨状、戦争は絶対いけないものなのだ。人類の不幸は戦争から始まるものだ」
② 彼女なりの理想をつめこんだ小説のラストに人物モデル(西山太吉・瀬島隆三・秋山眞一・紅谷寅夫など)までの生き方を変えた筆力・影響力を描く
小説執筆のための取材記:大地の子より→残留孤児証言「今まで誰にも言えなかった」、運命の人より→沖縄密約・西山太吉の抗議電話「三流小説以下」と賞賛「権力・社会・人間の相関関係を抉りだす作家の真骨頂、崇高な問題提起、大衆に浸透させる至芸」
③ ①と②を足したものを描く 
私の声:「愛する人を殺した戦争が憎い。ずっとそう思って生きてきた。でも、本当はそうではなかったのかもしれない。私はただ戦争が憎いのではない。あの時代に生きて何もできなかった無力な自分が憎いのだ」
※ちなみに、①②③のどれを書くにしても政治的思想の偏りはなしの方向でよろしく。


●新聞記者、福田定一が司馬遼太郎になるまでの話。「余談とはいえ、無駄話ではない」
・アプレ記者・金閣寺炎上(金閣寺放火事件)
→後に【第176夜】 或るアプレ記者の回想シリーズ へ  
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-207.html
◎今後の物語の流れ
ヨシダとフクダは金閣寺放火事件の犯人の動機をスクープする。しかし、その内容に検閲の恐れありと判断したオオタケの手により記事は大幅に修正され、金閣寺の真相(国家がらみの汚職?宗教タブー?)が世間に明るみに出ることはなかった。ヨシダは憤慨するもフクダは困ったように微笑むだけ。ヨシダはそのとき初めてフクダがアプレ記者として見定めたかったのは自分ではなく、オオタケであったことを知る。記事の修正に納得できないヨシダはオオタケを非難。「あいつがずっと新聞記者でありたいと言うなら俺は何もしなかったさ。でも、フクダはそうじゃない。あいつの夢をお前は知っているか?そのために、あいつをここでつぶすわけにはいかないんだよ」オオタケの口からフクダの夢を聞き、ヨシダは何も言えなくなるのだった。「アプレ記者とは何か?」ヨシダは自問する。無謀にも国家権力に挑もうとしたフクダ、それを阻止して親友と新聞社を守ろうとしたオオタケ。それぞれの信念で動いた彼ら。かたちは違えど、どちらもアプレ記者の姿と言えるのではないだろうか?そして今、彼らを見てきた自分はどうなりたいのか?ヨシダはフクダたちと同じ新聞社に入ることを決意。自分なりのアプレ記者をそこで目指すことに。ヨシダの入社も決まり、三人で祝い酒を酌み交わしていると、ふとフクダが自分の夢について語り出す。小説家として大成したいというフクダ。酔った勢いでヨシダとオオタケは彼の作家名を提案。フクダはそれを気に入る。実はこの時、後世に名を残す偉大な小説家が誕生していたのだった。
◎人物モデル…実在の人物を参考。でも、名前を借りたくらいで人物像・作中の行動などはフィクション。
ヨシダ:吉田時雄
(福田の口利き?で産経新聞入社した京大生。後の大阪新聞社社長)
フクダ:福田定一
(新世界新聞社→新日本新聞京都本社→産経新聞入社。後の小説家、司馬遼太郎)
オオタケ:大竹照彦
(新世界新聞社→新日本新聞京都本社→産経新聞入社。福田の同期。後のサンケイアイ社長)
スエツグ:末次攝子
(京都日日新聞入社。福田とは記者クラブ仲間。後の大阪府参与)
ワカギ:若木松一
(金閣寺放火事件当時西陣署員。警部見習。後の西陣署署長?)
◎要修正
・戦後の新聞社事情(大手新聞社は経営難と言うわけでもなかった?子会社を作ってGHQを欺いていたらしい)
・フクダの新聞社の移り変わりは書くべき?
・タイトル「或るアプレ記者の回想」変更。杉山小弥花「東京アプレゲール」みたいなレトロ感あってカッコいいの希望!
・フクダの眼鏡の描写がなかった!司馬さんっていったら、眼鏡とえくぼなのに…。
◎リクエスト
・できたら会話文を関西弁に。(大阪弁?京都弁?)
・三島由紀夫と水上勉がどこかにちらりとでも登場してくれると面白いと思うんだけどな。
◎噂と謎
ネット情報で司馬遼太郎著の金閣寺放火事件作品があるとのこと。(古書店で9万円とか)それって本当なのだろうか?だとしたら、アプレ記者の続きを書く前に読みたい!(値段、高すぎて無理なんだけど!)司馬さんの事件後の記者としての動きが知りたい。エッセイ「司馬遼太郎の考えたこと」にもノンフィクション「新聞記者 司馬遼太郎」にも記述なし。唯一あったのは水上勉「金閣炎上」だけど、慈海和尚の取材に行く途中に見つけた庫裡の黒板のメッセージのみ…。


●反魂香(はんごんこう)にまつわる話(桜小路かのこ「ラストノーツ」第一話系?畠中恵「しゃばけ」系?)
●三途の川の住人とそこに訪れる旅人との交流(モデル:なんとなくムーミンとスナフキン?)BGM:白鳥マイカ「線」
→後に【第303夜】 リバーフィッシュ へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-391.html
●海でたき火をする男女(友人の結婚祝い用?)BGM:hitomi「君のとなり」
●椅子取りゲーム×恋愛(〃)
●タイムカプセル×恋愛SF(高野苺「orange」系?)気づかないだけで、本当はそこにいた。BGM:フルカワミキ「OVER YOU」
●過去世または転生もの・花魁または遊郭もの
→後に【第149夜】 過去世話(むかしばなし)  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-141.html
●新人小説家を取材するライターの話。タイトルは「活路」
●おばあちゃんの知恵袋的な料理話(「西の魔女が死んだ」系の話?)
●「さよなら渓谷」系の話(R18?)
→後に 『summer』 シリーズ へ 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-151.html
●スランプに陥った作曲家と女子高生との交流
→後に【第179夜】 音花  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-182.html

歴史人物(政治・経済・政策)は主に淑玲『宮廷浪漫』シリーズの参考資料にする予定
●高杉晋作(外国艦隊停戦3回の交渉→①日本古来の礼服②命狙われ参加できず③幕府に押し付け)
●伊達正宗(新田開発→給与を米の代わりに荒地2倍を→江戸へ/震災→入浜式製塩業)
●平賀源内(日本初東都薬品会の成功←運送着払い制/天狗小僧/源内焼←轆轤ではなく型を)
●保科正之(将軍の不遇の息子/明暦の大火/年金制度/社倉制)
●陸奥亮子(芸者→外交官夫人)、伊藤梅子(芸者→ファーストレディ)
●富貴楼お倉(柳田国男の待合政治論)
→後に【第193夜】 女傑(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ19/ファンタジー )  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-228.html
●パリ万国博覧会の話(徳川慶喜の弟の渡仏←「ふしぎの海のナディア」のようなボーイミーツガール?ちょいちょい渋沢栄一が登場。ぶかぶかのスーツ)
●渋沢栄一
(合本主義→パリ万博:銀行・株式会社・鉄道設立へ/海運業独占政商岩崎弥太郎との対立→屋形船の会合/道徳経済統一説/経済こそ最高の道徳であれ)
●井伊直虎(戦国の女当主/徳政令までの時間稼ぎ)
●ハンザ同盟(リューベックの経済自治都市/印章つきの同盟証明書→参加都市をお互いサポート/商人が議員となり、議場で政治を/バルト海~リューベック~ハンブルク~北海の間を航路と陸路うまく使って交易)
●毛沢東の失敗と文化大革命または周恩来
●藤原不比等/藤原良房(応手門の変の黒幕?)
●上杉鷹山
●卑弥呼の外交戦術(なぜ呉ではなく魏だったのか/倭国の位置を錯覚させる/卑弥呼は存在せず、姫巫女をヒミコ(個人名)と中国人が聞き間違えたか)
●邪馬台国論争(伊都国/卑弥呼姉妹説)
●樋口一葉(色恋沙汰と恋愛の違い/雪の日と『おしるこ』)
●琉球王国の外交戦術(演劇外交)
●ナポレオンの戴冠式を描いた画家 ジャック=ルイ・ダヴィッド
●ロマノフ朝崩壊
●エルタージュ美術館で飼われている猫(エカテリーナ妃の隠れ家に住む猫)タイトルは「隠れ家の猫」BGM:洋画「アメリ」サントラ
●ピョートル大帝
●水の都・サンクトペテルブルクが旧レニングラードと呼ばれていた時代の話(←元ネタ:押井守『ケルベロス 鋼鉄の猟犬』ラジオドラマ )
●ダヴィンチ
●二・二六事件
●『神はサイコロを振らない』論争
→後に【第155夜】 神はサイコロを振らない へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-180.html
●千里眼事件
●人質事件(外交官・黒田康作系の話?)
●あしながおじさん系の話
●ミステリーとか
→後に【第145夜】 手紙(『my last fight』シリーズ)へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-145.html
●ホラーとか
●女性主人公のハードボイルドってできないかな?
→後に『【第153夜】 All Alone With You』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-178.html
●ブロークン・アロー(暗号名)がらみ
●731部隊とその後の系譜
→後に『【第146夜】 ジェネラル・イシイ』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-172.html
●先生と生徒の恋愛モノ(「ひるなかの流星」系の話?)
→後に『【第302夜】 VS.たまごサンド』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-390.html
●ケネディ一家またはケネディ暗殺事件
●アラバマ大学事件(人種差別・軍隊)
●CIAとダラス兄弟
●日本国憲法草案と沖縄密約 リチャード・フィンの策略
●キューバ危機(ソ連との文書交渉→2通のうち1通のみ返事)
●カストロ(弁護士)とゲバラ(医者)
●紅茶(お茶)専門店の話
●女性記者またはジャーナリストの話(モデル:山本美香?)
●聖徳太子と秦一族
●闘茶
●清少納言と紫式部の全面対決

続編
●淑玲『宮廷浪漫』シリーズ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-25.html
●モダンガール事件手帖 続編 (三間坂視点?/三人称希望)
●巫女姫と風使いの少年 続編
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-299.html
●帰還者シリーズ 続編 (前PCバックアップを探せ→まさかの消滅…)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-71.html

●小学生の頃に書いたネタ帳?(リクエスト帳)より
神の子?不吉の子?と呼ばれる不思議な体を持った人間(両性具有)の話

他にもあったら、あとでまたここに追記しますね。


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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて4年半?くらい経ちました。2017年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません。特に今年は仕事に気力を奪われたり、体調を崩したり)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-404.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、発表時点にネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2017年、『 第5回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!)

大海彩洋さんの小説ブログ『コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』で完結済の小説『清明の雪』 と 『天の川で恋をして』です!!!

今回もなんと自分的小説ブログ大賞、2作品W受賞(しかも同じ著者!)になります。おめでとうございます~!!

なんでこんな異例の事態になったかと言うと…。

みなさんは物語を読まれるときに、一体どのような読み方をされていますか?私は好きな物語に出会うとその作家さんがお気に入りとなり、作家読みをしてしまうタイプ。だから、同じ著者で好きな物語が増え、自分的ブログ大賞で2作品選ぶ現象がおきてしまうのかも。

大海彩洋さんとの最初の出会いは『清明の雪』 。その頃、私はまだネット小説初心者で色々な小説ブログサイトを渡り歩いていました。ブロともさん経由でたどりつき、素敵なタイトルにひかれ、大海彩洋さんの物語を読み始めたのです。読んだ瞬間、ネット小説なのに紙の香りがすると思いました。上質なミステリー。

そんな大海彩洋さんのイメージがガラッと180度、変わります。それが青春&恋愛系の『天の川で恋をして』です。もう、さらっとこういうのも書いてしまうんだもんな!主に青春系の物語を書いている私のようなものの立場がないじゃないか(笑)。

作品の世界観、そのギャップをぜひ楽しんでほしくて、この二作品を選ばせてもらいました。(ひとつに決められなかったともいう)そうそう。『清明の雪』はある人物のシリーズでもあるので、長編好きにはたまりません。単独でももちろん楽しめますが、深みがより増すかと。上質なミステリーには、コーヒーが似合いますよね。良ければ、優雅な小説タイムを一緒に過ごしてみてはいがかな、ワトソン君?(なぜか最後はホームズ調)

ぜひみなさま、大海彩洋さんの『清明の雪』と『天の川で恋をして』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :大海彩洋さん
 ブログ名 :『 コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』
 ブロアド :http://oomisayo.blog.fc2.com/
 小説名1 :『清明の雪』(長編小説/ミステリー)
あらすじ  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E3%80%90%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%80%91%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E2%9D%841%E3%80%80%E5%8F%A4%E3%81%84%E5%AF%BA%E3%80%80%E9%BE%8D%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BA%95%E3%80%80%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%81%AE%E6%8E%9B%E8%BB%B8%20
 小説名2 :『天の川で恋をして』(短編小説/恋愛)
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-16.html 


今回は、大海彩洋さんの『清明の雪』と『天の川で恋をして』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


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第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-420.html

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    パチモンお嬢様、超絶美形男にたかられる! (それいけ!美芳2)
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「こんにちは、美芳(みいふぁん)ちゃん!」

超絶美形男はニッコリと私に微笑んだ。

「なんだー、お兄さんか…。驚かせないでよー」

見知った顔にホッとする。この人は最近商店街に出没し始めた謎の超絶美形男だ。『謎の』っていうのには理由がある。この人の名前や素性は一切不明(年齢もか!?)で、詳しいことは誰も知らないから。

パッと見(み)、その麗しい顔と色香で商店街の女という女を虜にし、もてあそぶような危険な男(単に女好きでチャラいとも言える)。でも、なぜか憎めない性格をしていて、彼の信者(ファン)は多いのよね。それも女だけでなく、男にも!(モテる男という憧れというかカリスマ性ゆえかしら?)商店街のみんなから「お兄さん」と呼ばれて親しまれている。

「何?また、たかりに来たの、お兄さん!」

私が胡乱な目を向けると、超絶美形男は肩をすくめた。

「たかりにきたなんてヒドイなあ、美芳ちゃん。それじゃ、お兄さんが悪い人…まるで極悪人みたいじゃないか?」
「違うの?」
「ガッツリ違うでしょう!」

超絶美形男は腕を組み、一人何度も頷いている。ガッツリ否定してくれてどうもありがとう。(悪い人は悪い人でも極悪人なんて随分スケールが大きくなっちゃったみたいだけど)でも、まだまだお兄さんには言いたいことがあるらしい。ビシッと人差し指をたてた。

「美芳ちゃん、お金はたかりに来てませんが、今日のおやつは、しっかりたかりに来ました!」
「ダメじゃん!」

私は容赦なくツッコんだ。

「モノは違えど、やっぱりたかりに来てるんじゃない!?」
「違いますぅー!」

お兄さんは不満そうに口を「3」(←こんな形)にとがらせた。いちいち言い方が癇に障るなあ…。

「美芳ちゃんは何、言っちゃってるのかなー?おやつなんてカワイイうちでしょー?」
「いやいやいや、カワイイうちとかそういう問題じゃないから!『何、言っちゃってるのかなー?』はお兄さんだから!」
「美芳ちゃんは偽物(パチモン)お嬢様をこじらせて、心がちょっとひねちゃったよねえ。変に人のアゲアシをとりたがるっていうかー」

こらこら、なんで私が悪いみたいになってるんだ…!?私はためいきをついた。

「お兄さんって見た目はすごく素敵なのに、中身はてんで子供ですよね。ホントお子様もいいところだわ」

私があきれたようにそう言うと、超絶美形男はおかしそうに笑った。

「うん、素晴らしい評価だね。誉めてくれているようで、けなしている。ひょいっと持ち上げているようで、ズドンと落とす。うんうん、浮き沈みの激しい美芳ちゃんらしいや」

この人もなかなか言ってくれるわ…。超絶美形男は続けた。

「まあ、君の言う通りなんだけどね。僕はお子様もいいところなんだ。そう、いつまでも少年の心を忘れない。さようなら、現実。こんにちは、ネ○ーランド!見た目は大人、頭脳は子供…いや、中二!」

…っていうか、それって…。

「ダメな大人の典型例だ!」

私が声を上げると、お兄さんは上手に片目をつむった。

「そんなダメな大人の典型例のお兄さんが本日も偽物(パチモン)お嬢様の悩みを聞きますよ?ささやかな幸せ(おいしいおやつ)のためにね!」

色々とテキトーで軽いノリがうりのお兄さんだけど、この人は私のことを決して「お嬢様」とは呼ばない。(よんだとしても、「〝偽物(パチモン)”お嬢様」だしね)そのへん、私としてはけっこう評価しているのだ。何よりも「お嬢様」と呼ばれるのが、私は嫌で嫌でたまらないから!

「今日はどうする、美芳ちゃん?キミの話を聞かなくて平気かな?」

それになんだかんだ言いつつも、私の「〝偽物(パチモン)”お嬢様」である日常の愚痴や鬱憤を吐き出すのを手助けしてくれる。そう、悪い人じゃないのはわかってるのよ。警備態勢がわりとしっかりしている我が家に、どうやって忍び込んでいるのかは、いまいちよくわからないけども…。




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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      【一覧】 『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
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★淑玲が主人公の本編『宮廷浪漫』シリーズはこちら。
蹊国(架空の国)で繰り広げられる頑張り屋の少女・淑玲のサクセスストーリー。
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★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①真夜中の逃避行(仮)はこちら。
花街で権力を握っている影達・梅恭・お蔵の青春時代の物語。
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★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②時をかけるおやっさん(仮) はこちら。
淑玲父とお兄さん(謎の美男子)の出会い回想記。
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★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③それいけ!美芳(仮) はこちら。
美芳が淑玲と親友になった話&淑河に恋したきっかけ談。
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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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         パチモンお嬢様、逃亡する! (それいけ!美芳1)
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心穏やかな昼下がり。

「お嬢様―!」

そう、心穏やかな昼下がり…のはずだったんだけどなあ。

「お嬢様―、お嬢様―!一体どこにいるんですかあー?」

でも、それは簡単に打ち破られた。誰かが大声で私を呼んでくれたからだ。

「お嬢様―!お嬢様ー!お嬢様―!!」

あ、間違えた。訂正しよう。誰かがしつこく(←強調!)大声で私を呼んでくれたからだ、…の方がよさそう。

「逃げないで出てきてくださーい、お嬢様ー!!」

ああ、うるさいなあ、もう!それで「はいはーい、ここでーす!」なんていう逃亡者がいるわけないでしょう!

「お嬢様―、どこにいるんですかあー!?お嬢様―!!」

私は隠れていた木から庭を見下ろした。うちで働く小間使いの少年がいなくなった私を心配して、どうやら探しに来てくれたらしい。

「お嬢様―!!いい加減に出てきて下さいよー!出て来てくれないと、俺が旦那様と奥様に叱られてしまいますー!!そんなのはイーヤダーーーー!!」

………あ、間違えた。訂正しよう。どうやら私というよりも彼は自分の心配をしているようだ。ええい、なんてやつなの!

「あいつの今日のおやつは抜きね!」

私はふんと鼻を鳴らした。うん、そうよ!決定、決定!!小間使いの少年の悲痛な叫びは続く。

「お嬢様あー、出てきて下さいってばー!俺、もう半べそですー!!そろそろ、あれですよ。これ、号泣に変わっちゃいますよ!!」

………なに、その前置き。あいつの情に訴える作戦は大分間違えているような…?

「俺、マジですから!あと、5秒以内に出てきてくれないと号泣しますから!そう、マジで号泣5秒前ですからーー!!」

ええー!?と、あやうく声を上げそうになり、私は急いで手で口を覆った。木の上にいるのをバレるわけにはいかない。

「本気と書いて『マジ』!!大真面目と書いて『大マジ』ですからーー!!5・4…」

もうなんなの、あいつは!泣き落とし(?)とみせかけて、ホントは脅迫してるんじゃないの…!?

「まだ出てこない気ですか!?もう!!偽物と書いて『パチモン』!!本物と書いて『マジモン』ですからーーー!!…3…」

…ったく、意味がわからん!私は大きなため息をついた。心穏やかな時間は一体どこへいったのやら…?

「…2・1…!!」

あー、はいはい。わかりました!今そっちに行くから。なんだかバカらしくなってきたしね…。私は観念して、上っていた木から下りようとした。

「おーい、お前!悪いが、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだ。こっちに来てくれー!」

その時、うちで働く年配の使用人が現れ、小間使いの少年は振り返った。

「今、俺はお嬢様を探さなくちゃいけないんですけど…」
「お嬢様が稽古事が嫌でいなくなるのはいつものことだろう?旦那様から急な仕事を任されたんだ。人手が足りん。だから、手伝え。お前はこっち要員だ!」
「えー!?何ソレ?しかも何要員だよー!?」

年配の使用人にはんば引きずられるように、少年はうちの中へ戻って行った。

「なんだったんだ、いったい…」

私は木の上から呟いた。一人取り残された感もあってか、少し拍子抜けしてしまう。

― お嬢様が稽古事が嫌でいなくなるのはいつものことだろう? ―

さっき年配の使用人が言っていた言葉を思い出して苦笑する。

「はいはい。そうですよ。私がいなくなることなんて、どうせいつものことよね…」

別にお稽古事が嫌なわけじゃない。色々知ることができて楽しいし、自分の成長やその上達っぷりに胸が張れるような気さえする…。

「でも、お稽古ごとなんて貴族のお嬢様がすることじゃない?」

私の家は蹊国の首都・成安で一番大きい米屋を営んでいる。家は裕福で大きいかもしれないけど、決して貴族ではない。一般庶民なのだ。

「そんな私が貴族のお嬢様のまねごとなんて、ちゃんちゃらおかしいわ」

私の暮らす蹊国(けいこく)は身分社会だ。上から順に「王族>貴族>庶民」というふうになっている。そこでは何よりも生まれが大きくモノを言うのだ。私みたいな庶民が何をしようとも高貴な血には決して勝てないし、届くわけがない。

「そもそも私自身、はり合う気なんてまるでないんだけど…」

庶民のくせにお金だけはある。だから貴族のお嬢様のような扱いをされる。まわりからチヤホヤされたり、持ち上げられたり…。そんな「偽物(パチモン)お嬢様」の私にはね、一つだけわかっていることがあるの…。

「お嬢様って、意外と生活が窮屈で不自由だ!」

お稽古事を毎日ぎっしり詰め込まれ、空き時間があまりない。休んだり、息抜きできたりする時間が全然ないのよ。だから、こんなふうに逃げるしかない。で、間抜けに木なんか登る羽目になる。

「それにお金ってあるにこしたことはないけど、持ちすぎるとロクなことがないと思うの」
「へえ。なんでなんで?」
「ごますってくるやつとか、こびへつらうやつとか、いちもつ秘めた野心家とか、やたらめったら近寄って来るしさ…。『いい話がある』って言って、人のお金をいいように使おうとするのよ!」
「ふむふむ」
「そういう人たちって最悪!うざいっていったらないわ!!」
「なるほどね。キミは意外に鋭く人を見ているなあ…」

私がひとり愚痴っていると、いつの間にか誰かの相槌が加わっていた。慌てて振り返ると、同じ木の上に超絶美形男が座っていた。


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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【一覧】  『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
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          それいけ!美芳(仮)  
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【内容】

私、美芳(みいふぁん)!蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)で一番大きい米屋の娘よ。でも、最近困っていることがあるの。家があまりに裕福な商家のせいか、まわりから「お嬢様!」と呼ばれるわ、持ち上げられるわ、生活が窮屈なことこの上ない。別に私は貴族のお嬢様じゃなくて、一般庶民なんですけど!?もう勘弁してほしいわ。…そんな毎日に嫌気がさしていた私の前に超自分調子(マイペース)人間があらわれた…!?

※本編よりも昔の話になります。


【登場人物紹介】

◎美芳(みいふぁん)
蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)で一番大きい米屋の娘。貴族ではないが、家が裕福なため、お嬢様と呼ばれることも。(しかし、本人はそれを嫌がっている)本来は明るく活発な性格だが、人付き合いが面倒であるため、商店街の女の子の集まりなどでは、本性を偽って大人しくしている模様。後に淑玲と親友になる。

◎お兄さん(名前不明)
美芳(みいふぁん)の暮らす商店街に最近現れた謎の青年。超絶美形男(美男子)。女好きの遊び人のようだが、お世話になっている家の女の子にどうやら入れ込んでいる様子。美芳の悩み相談や愚痴話ににつきあってくれたりする。年齢不詳。

◎淑玲(すうりん)
蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)に暮らす八百屋の娘。明るく元気なしっかり者。学問に興味があり、最近では読書に夢中。顔がそっくりの双子の兄・淑河がいる。本編の主人公。

マイペース更新で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

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                  目次
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【第319夜】 パチモンお嬢様、逃亡する!       (それいけ!美芳1)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-421.html
【第320夜】 パチモンお嬢様、超絶美形男にたかられる! (それいけ!美芳2)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-423.html


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  moumoon『Sunshine Girl』 × 『』 ★

① moumoon『Sunshine Girl』
https://www.youtube.com/watch?v=L-zdKB82Rc4
https://www.youtube.com/watch?v=c1-78DNI4aA

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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-415.html

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       おやっさん、問題に直面する? (時をかけるおやっさん4)
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名探偵のマネをして、ふざけてお兄さんを指差す。お兄さんは可笑しそうに腹を抱えて笑っていた。俺が憎めないのを知ってるからって笑いすぎだぞ、お兄さん。しばらくしてから、お兄さんは俺に向き直った。

「おやっさんは勘違いしているなあ。だから、一つ教えてあげないとね」
「ん?」
「僕はいらない本を積んで、淑河くんに『欲しかったら、好きな本を持って行っていいよ~』って言っただけなんだ」

…うむ、それのどこが『勘違い』になるんだ?俺の考えを読んだのかお兄さんはくすくすと笑った。

「毎回けっこうな量の本を積んでいるんだけどね。でも、そこから淑玲ちゃんにあげる本を選ぶのは僕じゃないんだよ」
「え?」
「僕じゃなくて、おやっさんの息子が選んでるんだ」

…は?今なんて…?俺の息子って、まさか…?

「もちろん淑河くんに決まってるじゃないか、おやっさん!」

…いやいやいや!「もちろん」って言われても信じられないよ、お兄さん。一体どういうことなんだ…!?

「淑河くんは熱心に本を選んでたよ。淑河くん、妹の淑玲ちゃんが大好きだからね。良いものを淑玲ちゃんに読ませたくて、一冊一冊きちんと開いて自分の目で中身を確認してるぽかったな」
「…一冊一冊きちんと開いて自分の目で中身を確認してる…?」

俺はオウム返しもいいところだった。そんなまさか…。特技→うっかり。持ち味→天然。極めつけ→ドジっ子の淑河だぞ!?そんなの、ありえーん!認めーん!許せーん!

「僕は思うんだけど、本を選ぶってことは、ある程度その本を読んで、内容を理解してなくちゃいけないよね。淑玲ちゃんのレベルに合うものを選ぶ力も必要だし。そうそう。たくさん数があったから、速読力もありそうだよね。淑玲ちゃんの手元に渡ってない分もチェックしていただろうから、彼女以上に本に触れていたとも言える。ねえ、おやっさんはどう思う?」

俺は驚きのあまり声がでなかった。

俺の息子がそんなに優秀なわけがない。

「能ある鷹は爪を隠しているのか、淑玲ちゃんに関わることだけ不思議と能力を発揮するのか、そのへんはまだよくわからないけど…」
「…………」
「う~ん、淑河くんも面白いよね。育て方次第だね」

さらっと息子(淑河)を分析、評価するお兄さんに戸惑う俺だった…。っていうか、お兄さん、もしや教育関係者か何かですか?タスケテ、先生!もう!うちの子たち、ワケワカンナイッ!!

育て方次第なんて同時に『おやっさん次第だよ』とも言われているような気がして困るんだが…!やめてくれ、お兄さん。俺自身、そんなデキのいい方じゃないんだ。並大抵。中の中。優良可なら限りなく可に近い良!かなしいかな、そこそこレベルの男なんだよ!俺はお兄さんにしがみついた。

「そこそこ親父を苛めないでくれよ、お兄さん…!」
「え、そこそこ親父…?(って何!?なんかのキャラクター?)」

「俺は別に淑河や淑玲にデキのよさなんて求めてねーんだ!デキが悪くても困るけど、うちを継げるだけのそこそこの器量があれば、それでもう充分なんだよー!!そこそこ万歳!!俺万歳なんだー!!(?)」
「うんうん、それがおやっさんの望みなんだよね。大丈夫だよ。大丈夫だよ。おやっさんの望みは(たぶん)叶うよ~」

半泣き状態の俺を「よーしよーし」と慰めてくれたのは、もちろんその場にいたお兄さんだった。(ついでに、「わしゃしゃしゃしゃ」と楽しそうに俺の頭を撫でていた)

「ううううう…!別に俺は高望みなんてしてねーんだ。器のちっちぇえ俺には平凡な幸せで満足なんだよ。それでお腹いっぱいのはずなんだ!……そ、そりゃ、淑玲の前に金持ちの坊ちゃんが現れたと聞いた時にゃ、目が眩んだりしたけども…!!」
「え?」
「でもでも、たいていの父親だったら娘がいいところに嫁いで苦労せずにやっていけると思ったら、気持ちが傾くだろう?欲張りになるだろう?悪魔の囁きにのっちゃうだろう!(?)」
「……金持ちの坊ちゃん……?」

この時、お兄さんの眉がぴくっと動いたのは、俺の気のせいだったのだろうか?

「…お兄さん…?」
「…そっかー。淑玲ちゃんにお金持ちの坊ちゃんかー」
「あ、あー…」
「それは、おめでたいネ!」

お兄さんは俺にニッコリと微笑んだ。そして、パチパチと祝福の拍手までしてくれた。さっきのはやっぱり俺の気のせいだったのだろうか?

「オメデタイ!オメデタイ!ねえ、おやっさん?」
「お、おう…」

でも、なんだろう。そのキレイな笑顔に少し凄味を感じるような…?お兄さんの後ろに何か不穏な空気が見え隠れしているような…?俺の野性的な勘が「オニイサン、チョット怒ッテルネ!コレ、モシカシテ、ヤキモチヨ。ヤキモチ、ヤイテルネ!」とそう告げている。

「いやいやいや、そんなお兄さん、まだその坊ちゃんとうちの淑玲がどうなるかなんてわからねえんだからさ」
「…ふうん。わからないんだ?」

お兄さんは変わらぬ笑顔で、俺に「で?」と話の続きを促す。あれ、お兄さん?今までの俺への優しさはどこへ行っちゃったんだい…?

とりあえず、知っていることは全部話した方がよさそう(身のため)だな…。俺はお兄さんの顔色をうかがいながら、自分の知っていることを話した。

「昨日さ、淑玲がその坊ちゃん家に行ったみたいなんだよ。かなりいい車で送り迎えしてもらったようでさ。まあ、それで俺はどこかの金持ちじゃないかと思ったわけなんだ」
「…で?(どんなやつだったの?)」

無言の圧力って言うのは聞いたことがあるが、もしかしたら、笑顔もそういう力があるんじゃないだろうか。笑顔の圧力…いや、脅迫か…?

「…そのー、俺は坊ちゃんの顔を見てないんだけど。えっと、淑河の話じゃ、けっこうカワイイ顔…」
「ふうん。淑玲ちゃんって意外と面食いなんだ(僕の顔には興味をしめさないのに…)」

しまった!

「いやいやいやいや!カワイイ顔って童顔って意味だよ、お兄さん!嫌だなあ。そんなお兄さんに顔で勝てるやつなんているわけないよ!」
「…そうかな?」
「ソウダヨ!」
「うん、実は僕もそう思ってるんだ!」

お兄さんは満面の笑みでこたえる。相変わらず、自分の見た目に関して、スゲー自信だな、オイ。

っていうか、危ねー危ねー。お兄さんのご立腹、なんとか回避だぜ!俺は汗を拭き拭き、大きく息を吐いてから続けた。

「今朝、淑玲にその坊ちゃんについて聞き出そうとしたんだが、無理だったんだ。あいつは『違う!』の一点張りで、さっさと野菜を積んだ大きな荷車を持って逃走しちまうしさ。だから、詳しいことは俺にもよくわからいんだよ!」

お兄さんはチラッと俺を見る。俺は選手宣誓をするようなスポーツマンの面持ちで、裁判の証言台で宣誓書を読み上げるような証人の気持ちで、お兄さんに「俺の知っていることは全部話しました!嘘なんてついてません!(正々堂々と誓うぞ、この野郎!)」と猛アピールした。

「ナルホドネー」

お兄さんは腕を組んで、何やら考えをめぐらせている。あれ、納得して頂けなかったのかな。後半、お兄さんの顔を誉めて持ち直したと思ったんだが…。

っていうか、お兄さんって本当にその坊ちゃんに対して、ヤキモチをやいているんだろうか?そんなに淑玲のことを思ってくれているのだろうか?

さっきも言ったかもしれないが、お兄さんが淑玲を大事にしてくれていることを俺は知っている。

女好きで遊び人のお兄さんはあいつ(淑玲)をからかいはしても、簡単に手を出さないでいてくれることを。見えないところで、あいつのために色々と手を貸してやっていたり、行動派のあいつがしでかした騒動(事件?)をフォローしてくれていたり…。

それが好意でも家族愛でも俺はどっちでもいいと思っていたんだが…。

実のところ、家族愛よりも、やや好意がまさっていたりするのかい?そのへん、ちょっと教えてくれよ、お兄さん。


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      おやっさん、ぶっちゃける? (時をかけるおやっさん3) 
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「おやっさん、どうする?まだ仕入れる?もう少しこの荷車にのりそうだけど」

お兄さんの言葉に、俺は首を振った。

「いや、もう充分だよ。野菜は新鮮さがウリだから、いつも今日売る分を考えて、毎日仕入れてるんだ」
「そうか。店に残ってるものもあるもんね」
「それもそうだが、天気とかで客足も左右されるからさ。そのへんも考慮しながらかな。だから、あんまり量を多く仕入れるのもよくないんだよ。売れ残って野菜をダメにしちゃうからさ」
「なるほどね。じゃあ、僕…ちょっと多く仕入れちゃったかな?」

「張り切りすぎちゃったね。ゴメンネ!」と謝るお兄さんに、俺は「そんなことないぞ。大丈夫さ」と笑って受け合った。

「どうせ売れ残ったとしても、うちの淑玲がその野菜を何かに使うと思うんだよな。あいつが今、何をやってるのか俺は知らないが、きっと野菜が必要なことなんだろう」

今朝、うちの野菜たちをあれだけ大きな荷車に積んで持って行ったわけだしな。これは勘だが、あいつは明日も同じことをするんじゃないか。今日だけってことではないような気がした。

「…っていうか、お兄さんはそれを見越して、荷車までもらって野菜を積んでたんじゃないのかい?」

俺がさっき淑玲の話題を仕掛けた時に、お兄さんの食いつきが随分と良かった。だから、淑玲が何をやろうとしているか、この人は知ってるんじゃないかと俺は思ったんだ。

お兄さんは「さあ、どうだろう?」と、あのやたらキレイな笑顔を見せるばかり。

「やれやれ」

女たらしで遊び人のこの人だが、実はうちの淑玲をとても大事にしてくれていることを俺は知っている。

「今日、俺が愚痴りかけたこと…淑玲が大きな荷車を勝手に持って行ったことだって、どうせ察しがついてるんだろう?だから、朝市に付き合ってくれたんだよな、お兄さん。あいつのフォローをしてくれたんだろう?」

あのとんだ悪知恵娘に、お兄さんが好意を持ってくれているのか、単に家族的な愛情を感じてくれているのか、そこまで俺はわからないがー。

…まあ、ぶっちゃけね。そんなの俺はどっちでもいいんだ。

「だから、ありがとうな、お兄さん。もし息子の淑河が家を継がなかったら、アンタが淑玲と一緒になって、うちを継いでくれるのもアリなんじゃないかと俺は思ってるよ」
「え?」
「ウン。お兄さんの婿養子、悪くないゾ!」

お兄さんの素性は正直よく知らない。名前すら知らない。本人も多くを語らないし、たぶん俺に語ることはないだろう。そんな気がする。謎多き男だが、俺は優しい彼をなぜか人間的にとても信用をしているんだ。信頼しているんだ。何度も俺が「イイネ!」を連発していると、お兄さんはくすくすと笑った。

「ありがとう、おやっさん。みんなと家族になれるなんて僕はとても嬉しいけど、果たして淑玲ちゃんはどうかな?」
「ん?」
「きっと僕らなんか見向きもせず、どっかに飛んでいっちゃいそうじゃない?」

お兄さんは空を見上げ、優雅に飛ぶ鳥を眺めた。その横顔はなんとも美しく、優しかった。

…そうか。アンタは〝僕らなんか”と言ってしまえる人なんだな。淑玲を思って、そんな優しい顔ができるのか。あいつの可能性をどこまでも信じて、受け入れる覚悟があるんだな。

「だから、こっそり淑玲に学問の本を読ませていたのかい、お兄さん?」

俺は自慢じゃない(?)が、淑玲に本を買ってやったことは一度もない。昔から口が回る子だったから、これに変な知恵が備わっては困ると思い、むしろ遠ざけていたくらいだ。なのに、あいつはいつの間にか自分でそれを手に入れた。そして気付けば、年中読書ばかりする子になってしまった。気になって淑玲本人にどこでそれを手に入れたのか聞いてみると、

「淑河兄様が捨てられていた本を拾ってきてくれたの」

と不思議なことを言う。淑河に問いただしてみても、「そこに落ちていた」というだけで、よくわからない。奇妙なできごとに首をひねっていると、ある日、淑河が隣の薬屋からどっさり本を抱えて出てきた。

見咎めようかと思ったが、淑河に理由を聞いても要領を得ない気がしてやめた。俺は淑河にバレないように隠れ、薬屋の店主に話を聞いてみることにした。でも、店主の爺さんはポカンとして、本など別に淑河にあげていないと言うじゃないか。

「…ってことは、犯人はまさか!」

薬屋には店主とそこで間借りしているお兄さんが住んでいるだけ。俺は薬屋を出て、お兄さんが間借りしている二階の部屋を見上げた。すると、タイミングよく犯人が窓から顔出した。お兄さんは唇の前にそっと人差し指を立てた。一瞬のその仕草になぜか俺は見とれてしまい、お兄さんに問い詰めることができなくなってしまった。以来、お兄さんに聞く機会を今日まで逃してきたわけなんだが…。

「思い出してみると、あれだな。淑玲は別に俺に似たわけじゃなくて、お兄さんに似たのかもしれないよな」
「え?」
「あいつに悪知恵を植え付けた犯人はお兄さん、アンタだったのかー!?って話さ」


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      おやっさん、あっけにとられる? (時をかけるおやっさん2)
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今日の朝市はいつもと違っていた。

それは訪れていた人々、みんなが感じたことではないだろうか。そう、慌ただしい忙しない賑わいを見せる中、なぜか一際甲高い声…歓声もまじっていたからだ。

「きゃー!美男子のお兄さーん、こっちも寄ってってー!」
「お兄さん、うちの野菜もためしてちょうだい。良かったら、ついでに私もー!」
「お兄さん、こっちが先よ。もうためさなくていいから、この果物と私一緒にお持ち帰りで!」

その歓声は黄色というか…それを通りこして、クラクラと眩暈を覚える金色というか…いやいや、ギラギラと獲物を狙う銀色というか…う~ん、もう早い話、魅惑の桃色でいいじゃね?というか…。

「朝市ってこんなんだっけ?」

といった様子だった。若い娘から熟女、はたまた婆さんまでもがお兄さんに釘付け。その見つめるまなざしは熱いのなんのって、正直まわりの男性陣はあっけにとられていた。

でも、はっと我に返り、とりあえず自分の嫁や娘の手(手綱?)はしっかり握っておかないといかん!と危険を察知したようだ。これも男の自己防衛本能ってやつかな。

「お兄さーん、うちの野菜と果物、これだけ安くしてやるから。頼むよ、嫁と娘に手を出さないでくれ!」

といった具合に、お兄さんに頼み込む始末さ。…うむ。今日の朝市は、ちょっとしたカオスだったかもしれん。

「ふふふ、大漁、大漁!」

そんな中、当のお兄さんはホクホク顔で嬉しそうだった。声が弾んでいる。

「見て見て、おやっさん!この野菜の多さ!質の高さ!見惚れる輝かしさを!!」
「…驚いたよ、ホント。野菜というよりアンタにね…」

お兄さんは取引上手なのか、ここでも美男子が物を言わせたのか(?)、安値やタダ同然で野菜を仕入れていた。予定だった仕入れ量を何倍も上回っている。

「土が少しついてるのもあるけど、新鮮そのものだよね。洗えば問題ナーシ!さあ、おやっさん。荷車に積んだこの野菜たちを見てよ。いや~、絶景かな、絶景かな!」

お兄さんはいつの間にか朝市に来ていた人に大きな荷車までもらっていたらしい。楽しそうに口笛を吹きながら、それに野菜を積んでいたのだった。

「美男子最強だろ、コレ…」

思わず、俺は呟かずにはいられなかった。

なんだろう。この敗北感にも似た思いは…。野菜のプロと言っていい俺が、八百屋家業に生涯をかけるこの俺が難しいと感じる仕入れの仕事も、この人は華やかなその才能でサクッとやり遂げてしまうんだな。

「うむむ…」

じゃっかん苦い思いがこみ上げる。野菜一筋で生きてきた俺は一体なんだったんだろう。なんだか少し馬鹿らしくなるというか、面白くないというか…。う~ん、なんつうか…そのあれだな。自信がそげるな。俺が肩を落としていると、野菜を見ていたお兄さんが満足そうに笑って言った。

「ねえ、おやっさん!」
「ん?」
「この野菜たちがおやっさんの作ってくれる美味しいご飯につながるんだね!!」

いつもは美しさが際立つ、色気が香る、どこかすましたお兄さんの笑みも、今はなぜか少年のように初々しかった。にんまりと歯を見せて笑っている。初めて見たな、この人のこんな顔…。

「そんなに楽しかったかい、お兄さん?」

貴重なものを見たような気がして俺は目を見開いた。

「楽しかったよ~!いい野菜をいっぱい仕入れたし、朝市の人はみんな優しかったしね」
「そうかい」
「あ!でも、僕的に何より一番楽しみなのは…」
「…楽しみなのは?」
「今日の朝ご飯は何ってことかな。この野菜で作ってくれるんだろう?ねえ、おやっさん?」

お兄さんはどこまでもご機嫌で鼻歌を歌い出し、愛おしそうに野菜を撫でていた。それを見ていたら、俺は可笑しくなってしまった。

「ーったく、憎めねえなあ、お兄さんは!」

俺は声を上げて笑っていた。お兄さんが不思議そうに俺を見つめ返す。

「なあ、お兄さん。いつものやたらキレイな笑顔もいいけど、アンタはもっとそんなふうに元気に笑った方がいいよ」
「へ?」

お兄さんはこれまた子供のような無垢な瞳を俺に向ける。だもんで、見ているこっちが、くすぐったくなってしまった。

「いやいや、何でもない。お兄さんが楽しかったんなら俺も何よりさ」

俺は目をそらして、鼻の頭をかいた。


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      おやっさん、哀愁を漂わせる? (時をかけるおやっさん1)
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残された小さな荷車を引いて、とぼとぼと朝市に向かう。そんな俺の背中から哀愁が漂っていないか不安なところだ。

「淑玲のやつ、古典的な手を使いおって…!」

これというのも我が娘(こ)・淑玲に仕入れ用の大きな荷車を取られたからだ。俺は歯ぎしりをして、やり場のない怒りを抑えた。…淑玲め、父親になんてことを!日に日に悪知恵をつけおって、一体誰に似たというのだろう!?

「俺か?女房か?それとも双子の兄の淑河か!?」

家族を思い浮かべて、そう叫んでみたものの、俺は一つ一つ考えを消していった。

「う~ん。でも、淑河はないか?うっかり者で妙な知恵なんて働かないしな。女房も割とのんびりしていて、策を弄すタイプじゃないしなあ…」

俺は荷車を引く手をとめた。…え?…ってことはなんだ…?

「じゃあ、俺か!淑玲は、俺に似たのか?犯人(?)は俺なのかーっっ!?」

消去法で導かれた答えに、思わず俺は絶叫した。

「そんなの、ありえーん!認めーん!許せ―ん!」

淑玲ときたら、うちのかわいい野菜たちまで、ちゃっかり持って行きやがって!

「ぐぬぬ…。こりゃ後でお仕置き決定だー!!」

怒りに震える俺の肩に、ふと優しい手が触れた。

「朝っぱらから絶叫しちゃって。どうしたの、おやっさん?」
「うわっ、眩(まぶ)しっっ!!」

振り返ると、美男子がお天道様にも負けない目が眩むような笑顔を向けていた。

「お、お兄さんじゃないか!今日、曇りなのに一瞬晴れ間が見えたぞ…!?」

目をこすって、目の前の人物をよく観察する。そこにいるのは紛れもなく、この商店街で一番の美男子様だった。老若男女うっとり見惚れる顔の良さは、もう国宝級じゃなかろうかと俺は密かに思っている。

「あはは!嫌だなあ、おやっさん。まるで御来光だなんて!(←そこまで言ってない)そんなこと言われて僕も太陽もビックリだよ~」

お兄さんは隣の薬屋で間借りしていて、しょっちゅう、我が家に顔を出す。どうも貧乏一人暮らしで腹を空かせていたらしい。一度餌付けしたら、うちにご飯を食べに来るようになった。

「何コレ、超うまいんだけど!宮廷料理人にも負けてないんじゃない?」

そんなふうに俺の手料理を褒めてくれたもんだから、悪い気がしなくて「じゃあ、お兄さん。腹すかしたら、そのー、いつでもうちに食べに来ても…いいぞ?」とつい声をかけてしまった。

まあ、うちは4人家族で1人増えたところで作る手間なんてそう変わらないしな。特に問題ない。それに美男子っていうのは、いてくれるだけで目の保養になる。場だって華やぐしな。家族みんな、喜んで彼を歓迎したわけさ。(淑玲だけは「なんか胡散臭くない、あの人?」と微妙な顔をしていたが…)

それなりに恩義を感じているのか、お兄さんは気が向いたら、八百屋の店番もしてくれるようになった。美男子が店先にいるだけで商売繁盛。願ったり叶ったり(?)ってなもんで、ありがたいこった。そうそう。それと、お兄さんは俺の晩酌にも付き合ってくれるんだよ。小言や愚痴も嫌な顔せずに聞いてくれる、笑い飛ばしてくれる貴重な酒飲み仲間にもなってくれた。

顔のいい男はいけすかない野郎が多いと思っていたが、そんな俺の偏見をお兄さんは見事にぶち壊してくれた。うん。憎めない、なかなか良い奴なんだよな。俺はお兄さんのことをけっこう気に入っている。

「え、御来光!?そこまで俺は言ってないんだが…う~ん、まあ、いいや」
「あはは!いいんだ?」
「それより何だい、お兄さん。こんな時間にこんなところで会うなんてさ。びっくりしたよ。もしや朝帰りかい?」

俺の問いにお兄さんは変わらぬ笑顔で頷いた。自称・遊び人だから、下手にいいわけもしない。それがかえって清々しくもある。なんかある意味、お兄さんって潔い男なんだよな。

「色男はいいねえ!楽しそうだ!」

別に厭味ではなく、心からそう言うと、お兄さんは首を傾げた。

「おやっさんは、元気ないみたいだねー。さっきの絶叫といい、何かあった?」
「いや~、それがうちの淑玲がさ…」
「なになに、淑玲ちゃんがどうしたの?」
「そんな食いつくような面白い話じゃないんだけどなあ」

俺はため息をついた。もう親不孝もいいところなんだよ…と言いかけ、慌てて口を噤む。晩酌時ならまだしも、朝っぱらから愚痴をこぼすなんてよくないよな。いかん、いかん。俺は笑ってごまかした。

「なーに、大したことじゃないんだ」

そうだ。大したことじゃない。本当に大したことじゃないんだ。自分にもそう言い聞かせていると、お兄さんが「おやおや」と目を細めた。

「もしかして、おやっさんは今から朝市に行くの?」

急に話題が変わったもんだから、俺は戸惑った。

「…ああ、そうだが」

何でいきなり朝市の話になったんだ?不思議に思っていると、お兄さんは俺を見て優しく微笑んだ。

「じゃあ、今日は僕も付き合おうかな」
「え?」
「朝市に一緒に行こう。野菜の仕入れ、手伝うよ」

曇っていた心に、ふと晴れ間が差し込む。

「おやっさんの背中、なんか哀愁が漂ってて放っておけないんだよね」



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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【一覧】 『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-422.html
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          時をかけるおやっさん(仮)  
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【内容】

オッス!俺、淑玲父(すうりんパパ)。名前はまだ(作者が考えて)ない。隣りに住むお兄さんからは『おやっさん』と呼ばれている。これでも商店街で(割と)繁盛している八百屋の親父だ。今日も俺は家族のために仕事に精を出す…ハズだったのだが、娘の淑玲に朝市の仕入れで使う大事な荷車を奪われてしまった!そんな俺を助けてくれたのは、とんだイケメンヒーロー様で…!?


【登場人物紹介】

◎淑玲父(すうりんパパ)
「そんなのありえーん!!認めーん!!許せーん!!」
蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)にある商店街の八百屋の親父。本編の主人公・淑玲と淑河(しゅくが)の父親。デキがいいのか悪いのかよくわからない子供たち(双子の兄妹)に振り回されながら、奥さんに慰められたり、ダメだしされたりする日々を送っている。特技は思い込みと記憶をプレイバック(回想)すること。趣味は俺的七不思議集め。40代くらい。

◎お兄さん(名前不明)
「キミは、僕を助けてくれる?」
おやっさんの八百屋の隣に住む青年。国宝級の美男子(←おやっさん調べ)。女好きの遊び人だが、どうもおやっさんの娘の淑玲を気に入っている様子。そのせいか、何かとおやっさんのことも気にかけてくれる。年齢不詳。

マイペース更新で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

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                  目次
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【第315夜】 おやっさん、哀愁を漂わせる?  (時をかけるおやっさん1) 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-416.html
【第316夜】 おやっさん、あっけにとられる? (時をかけるおやっさん2)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-417.html
【第317夜】 おやっさん、ぶっちゃける?    (時をかけるおやっさん3)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-418.html
【第318夜】 おやっさん、問題に直面する?  (時をかけるおやっさん4)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-419.html


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  ASIAN KUNG-FU GENERATION『Re:Re:』 × 『』 ★

① ASIAN KUNG-FU GENERATION『Re:Re:』 
https://www.youtube.com/watch?v=Y9G20wV0KHE


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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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     逃げてばっかの次男曰く② (真夜中の逃避行3)
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帰ろうとする私を、兄の竹恭(ちっきょう)は無理やり妓楼へ引っ張って行きました。

竹恭の通っている妓女の部屋に案内されましたが、とても粗末な部屋でした。美しいとは言い難いケバイ化粧をした女、いつ干したのかどうかわからない布団が敷いてあるだけの部屋。花街一の妓楼が聞いてあきれる…。私は思わず吐き気がしました。生理的に受け付けなかったのかもしれません。

「あら、今日はふたりで来てくれたのかい?」
「こいつ、俺の弟なんだよ…」

妓女の膝に、竹恭は甘えるように頭をのせて、横たわりました。

「世話のかかる弟なんだ」
「あらあら。お兄さんがこんなんじゃ、弟さんも大変よねえ」

安い紅を塗った唇をにいっと歪ませて笑う女に、嫌悪感すら抱きました。

「どうした、梅恭?」
「ちょっと厠(かわや)に行ってきます」

私は立ち上がり、そのまま帰ろうと思っていた。でも、竹恭は見抜いていました。

「そのまま逃げんなよ、梅恭。お前、逃げてばっかの人生になるぞ?」

竹恭は人を煽るようなことを平気で言いました。人の傷ついた顔や血がのぼる姿を見るのがたまらなく好きだったのでしょう。

「逃げている人にそんなことを言われても困るだけですよ、兄様」

部屋を出る時、私は冷たくそう言い放ちました。

私が妓楼の廊下を歩いていると、窓辺でぼんやりと月を見上げる女の姿がありました。

先ほどの醜い妓女とは打って変わって、その女は化粧をしていないのに、はっとするほど美しい横顔をしていました。でも、それ以上に彼女が私を強くひきつけたのは、その瞳から静かに涙を流していたことー。

なぜか…それはとても胸が痛む光景でした。その時、私はある有名な漢詩を思い出したのです。そう、あれは確か…月を見上げ、故郷を懐かしむ詩…。

「あなたは、望郷の念にでもかられているのですか?」

私は彼女に声をかけていました。特に理由もなく、誰かに声をかけるなど、生まれて初めてのことでした。

彼女は振り返り、私の存在を認めると、涙を拭おうとすらせず、きれいな唇で漢詩を諳(そら)んじました。

「 床前明月光 (床前(しょうぜん)月光(げっこう)明らかなり)

 疑是地上霜 (疑(うたご)うらくは、これ地上の霜かと)

 挙頭明月望 (頭(こうべ)を挙げて明月(めいげつ)を望み)

 低頭思故郷 (頭を下げて故郷を思う) 」

それはまさに私が思い出した漢詩…。学のない妓楼の女がその漢詩を知っているとは思わず、私はとても驚きました。

「あなたは、漢詩を知っているんですか?」

彼女は静かに笑いました。

「妓楼にいる女は学(がく)がないから、漢詩を知らないとでも思ったのかい?」
「ええ」
「正直で失礼なお兄さんだ」

彼女はまた笑いましたが、やはり涙を拭おうとはしなかった。見てられなかった私は自分の手巾を彼女に貸すことにしました。

「あなたの涙は美しいですが、人の目にさらしていいものじゃない。もったいないですよ」

でも、彼女はそれを受け取らなかった。

「悪いけど、男の優しさなんていらないよ」

妓楼の女に自分の行為を拒否されるとは思わず、私は戸惑いました。そんな私を彼女は面白そうに見やってから、こう言いました。

「それに私は泣いてなんかない。自分のための涙ほど、見苦しいものはないからね。これは通りすがりの男の涙さ」
「え?」
「泣きたくても、泣ける場所がない。だから、自由にそうできる場所を探し求めている。ある意味、望郷の念にかられた淋しい男の涙さ」



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引用漢詩 李白「静夜思(せいやし)」
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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】
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【目次】 真夜中の逃避行(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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     逃げてばっかの次男曰く① (真夜中の逃避行2)
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    *

あの頃の私は今思うと、毎日ふてくれされていたのでしょう。

家でも外でも問題が山積みでしたから。それが嫌で私は部屋にこもり、本ばかり読んでいました。本は現実逃避の道具とはよく言ったもので、それを読むことで、なんとか自分を保っていたのだと思います。

― お前、変なやつだな ―

ようやく影達がいなくなり、「これでゆっくり本が読めるな」と喜んでいると、今度は私の兄が部屋にやって来ました。「勘弁してくれよ」とはこのことでした。

「なあなあ、梅恭。金、貸してくれよ~?」

私は「またか…」と、ため息をつきました。我が家は花街で金貸し業を営んでいます。兄の竹恭(ちっきょう)はこの家の長男、跡取り息子です。

「もう兄様に貸せる金なんてありませんよ」

…ですが、竹恭はうちの大事な金を裏で自分のモノのように使い放題、実に跡取りにふさわしくない行動ばかりしていました。

「あなたは我が家を潰す気ですか?兄様がこの家を継ぐ頃には借金しかありませんよ。金貸し業が金貸し業から金を借りるハメになっている…」

それを聞き、竹恭は笑いました。

「それいいな。金貸し業が金貸し業に潰される!うけるな、それ!面白いじゃないか。いいよいいよ~、俺はそれで。長男だからって、この家なんか継ぎたくねえもん。なあ、梅恭。お前は、一生花街で終わりたいの?この街で生きている限り、世間ってやつは俺らのことをゴミみたいに見下し続けるんだぜ?」

当時の花街は、とにかく治安が悪かった。

ガラの悪い奴やならず者、暗殺者の無法地帯に近かった。それでも花街の組合の長である影達(りゅうだ)の父親はよく頑張っていたと思います。けれど、まだまだ治安は悪かった。蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)の影の部分を一手に引き受けていたからでしょう。平気で人身売買をしていたし、賭博や博打は日常茶飯事。依頼があれば、金のために簡単に人を殺した。そういうやつらであふれていました。

― お前は、一生花街で終わりたいの?この街で生きている限り、世間ってやつは俺らのことをゴミみたいに見下し続けるんだぜ? ―

私の兄・竹恭(ちっきょう)は決してバカではありませんでした。(ちなみに、私は影達のことも別にバカだとは思っていません。彼はバカではなく、おバカなのだとは思いますけど…。または阿呆といいますか)私の兄はむしろ聡かったのかもしれません。花街の現状や自分の生まれなども含め、絶望するくらいに考える頭があったのですから。

人間は生まれですべてが決まってしまう。そう、この世ではすでに決まっているのです。

王族に生まれたものは天下を握れるし、庶民は国を支えるため、必死で地に這いつくばるしかなかった。貴族はその間でおいしい蜜を吸うばかり…。でも、花街の住民である私たちは、どこにも組み込まれることはなかったのです。金を手にしても、どこにも組み込まれることはない。

この国は王族、貴族、庶民…という3つの階層に分かれていたわけではなかった。『花街』という見えない最下層を作り上げてしまっていたのです。

「金、貸してくんないならいいや」
「え?」
「梅恭、ちょっと付き合えよ」

兄の竹恭(ちっきょう)は、金を出し渋る私を見て、気が変わったようでした。

「は?行くってどこにですか?」
「そんなの、いいところに決まってんじゃん!」
「『いいところ』なんて…」

そんなの私たちにはこの世のどこにもないでしょう?

それは、兄もわかっていたはずでした。でも、彼はそう言っていないと、やってられなかった。自分を保つことができなかったのだと思います。私が本に逃げるのと同じように、彼は一時的な享楽にふけることでしか現実とうまく折り合いをつけられなかったのでしょう。

私がずっと金遣いの荒い彼をとめることができなかったのも、結局のところ、彼に自分をみていたからかもしれません。やり方は違えど、私たちは同じことをしていた。兄も私を見てそう感じていたのでしょう。だから、やたらと私にかまっていました。

「お前は内に楽しさを見出すんじゃなくて、俺みたいに、外に見出せよ!」

…外に見出す?

彼はニヤリと笑い、私の腕をつかんで、強引に外に連れ出しました。私は兄の腕を振り払えなかった。着いた先は当時、花街で一番大きくて有名な妓楼でした。

「…え?外に見出せってこれですか…」

私はほとほと呆れましたよ。少し期待してしまった自分にも、とてもがっかりしました。


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       自称孤独な不良少年曰く (真夜中の逃避行1)
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あの頃の俺と言ったら、本当にどうしようもないやつだった。

喧嘩上等。いつもイライラして、人でも物でもお構いないなしに当たりちらしていたし、意味もなく大声を張り上げて喚いていたもんさ。医者送りにしたやつも多かったと思う。今はずいぶん丸くなったもんさ。当時の俺を知っているやつがこんな俺を見たら、きっと唖然とするか、「今なら殺(ヤ)れる!」と指をバキバキ鳴らして挑みにくるかもしれないね。それくらい世間と人様に多大なご迷惑をかけていたんだよ。いや~、どっかの国のどっか時代に生きてたら、「盗んだバ○クで走りだす」を地でやっていたと思うね。

「お前は何がそんなに不満なんだ!」

親父にいつもそう怒鳴られていたっけ。そんなこときかれても困るのは俺なんだけど…!だって、俺自身なんでそうしちまうのか、さっぱりわかんねえんだからな。暴力に走る原因なんて、これっぽっちも自分じゃわからなかったんだよ。

「そんなだからお前には友達も仲間も、まわりに誰もいないんだ!頭を冷やせ、バカ息子!!」
「うるせー、くそ親父!!」
「こら、影達(りゅうだ)どこに行くんだ!話はまだ終わってないぞ!!」
「友達作りに行くんだよ!!それで文句ねえだろ!」

当時、俺は一匹狼もいいところの孤独(?)な不良少年だった。家族(親父以外)はみんな腫れ物に触るように俺を扱っていたし、花街の組合の長(おさ)の息子・影達が街を歩いていたら、道を譲るのは当たり前。俺には「触れるな!近寄るな!関わるな!」ってなもんで、街中のやつにとにかくびびられ、恐れられていたわけよ。こんなだから、友達も仲間もそうやすやすとできるわけがなかった。

「だから、何度も言ったでしょう?影達(りゅうだ)のそれは単なる反抗期なんですよ」

なのに、幼なじみのこいつ、梅恭(ばいきょう)だけはなんか違った。

俺を見てもビビることもなければ、恐れることもなかった。自分の言いたいことをズケズケと言っていく。梅恭(ばいきょう)のいうことは正直俺には難しくてわからないことの方が圧倒的に多かったけど…。

ある時、気になって梅恭に聞いてみた。

「なあ、お前は俺が恐くねえの?」

本を読んでいた梅恭は、それから目を離すこともなく答えた。

「おバカなあなたの一体何を恐がれと…?」
「みんな俺を恐がってるぞ?お前はちげーの?」
「『みんな』って誰ですか?」
「え?『みんな』は『みんな』だよ」

梅恭はため息をついた。

「『みんな』なんていう曖昧な不特定多数に、私を入れないで下さいよ。私は私、『みんな』は『みんな』ですよ」
「…ふうん…」

よくわからん。

「よくわかんないけど、『みんな』とお前は違うってことでいいのか。お前、変なやつだな」

梅恭はパタンと本を閉じた。

「変なやつはそっちでしょう?いつも私の部屋に押しかけて、我物顔で居座られるこっちの身にもなって下さい。私は今、本が読みたいんですよ」
「なら、お前がうちに来いよ」
「嫌ですよ。用もないのに…」
「俺がお前に会いたいなら、お前も俺に会いたいはずだ!」
「…何ですか、そのウザい恋人ヅラは…!?悪いんですけど、私はただの幼なじみなので付き合いきれません。相手なら他をあたって下さい」

そんなことを言って、俺をうまいことあしらう。俺の記憶の中では、こいつから俺ん家にきたことは一度もない。ただの一度も、だ。

なあ、幼なじみなのに変な話だろ?



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【一覧】 『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
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          真夜中の逃避行(仮)  
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【内容】

今や蹊国(けいこく)の花街で権力を握っている影達・梅恭・お蔵の男女3人。しかし、彼らも10代の頃、花街の現状や自分の境遇にそれぞれ悩んでいた。あることをきっかけに出会った3人は花街を逃亡する計画を企てるが…。淑玲(すうりん)が主人公の本編よりも昔(親世代)の話になります。淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①真夜中の逃避行(仮)/中華風ファンタジー (?)

【登場人物紹介】

◎影達(りゅうだ)
「なあ、お前は俺が恐くねえの?…お前、変なやつだな」
自称・孤独(?)な不良少年。何かと暴力に走るため、街中の人々に恐れられている。梅恭とは幼なじみ。後に、 花街を取り仕切る組合の長(おさ)になる。

◎梅恭(ばいきょう)
「『みんな』なんていう曖昧な不特定多数に、私を入れないで下さいよ」
花街一の金貸し業の次男。影達とは幼なじみ。跡取りである長兄の放蕩ぶりに悩んでいる。後に、花街一の金貸し業を営むことになる。

◎お蔵(くら)
後に、 蹊国の首都・成安にある花街一の妓楼・富黄楼(ふうきろう)の楼主(女将)になる。妓女の待遇改善、格上げをはかり、彼女たちに教育を施した。『蹊国の女傑』の異名を持つ。


マイペース更新で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。


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             目次
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【第312夜】 自称孤独な不良少年曰く (真夜中の逃避行1)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-412.html
【第313夜】 逃げてばっかの次男曰く① (真夜中の逃避行2)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-413.html
【第314夜】 逃げてばっかの次男曰く② (真夜中の逃避行3)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-414.html




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  『異郷の風(TOGISM Versin)』 × 雪乃紗衣『彩雲国物語 隣の百合は白』 ★

アルファさんにUPしていたものをこちらにもどしました。(理由は『1001夜ショートショート』が過疎ってたから)…といっても、『1001夜ショートショート』では、初お目見えになるのでしょうか。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

① 東儀秀樹『異郷の風(TOGISM Versin)』
https://www.youtube.com/watch?v=o_NmxlqAdhk
書いている時に聞いている曲。お蔵さんと梅恭が出会う場面、ふと頭に流れてきたのがこれだったんですよね。

② 雪乃紗衣『彩雲国物語 隣の百合は白』
https://www.amazon.co.jp/dp/4044499152
時々「これって少女小説だったの!?」と驚く作品に出会いますが、これもそうでした。出てくる女性陣がカッコいい。確かちらっと花街が舞台になる番外編があって、これだったかと。個人的に彩雲国物語番外編で一番好きなの『黄梁の夢』です。本編だと『黒蝶は檻にとらわれる』かな。続きが超気になったもんな。


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『ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅ…』

限りなく昼に近い朝、私は自分のお腹の音で目が覚めた。

女子としてその目覚め方はどうよ?と思ったけど、人間生理現象には逆らえない。私は苦笑しながら、自分のお腹をよしよしこらこら、と軽く撫でた。

いけない。こんなことをしている場合じゃなかった。会社にいかないと…。

そう思い、起き上がろうとしてふと気づく。
そうだ。私はもう会社には行かなくていいんだ。だって、辞めたんだから…。

もう無理してあそこにいかなくていい。満員電車に押しつぶされなくていい。セイセイしたような、ホッとしたような、どこか後ろめたいような、なんとも言えない気持ちに一瞬とらわれてしまった。

いかん、いかん!と首を振る。

今は何も考える必要はなし!そうだ、そうだ!むしろ考えるな!(感じろ?)この点に関しましては、また改めて討議しましょう。そうしましょう。

人生の猶予期間。貯金はある。しばらくはなんとかなる。大丈夫さ。

少し開いた窓から、一人暮らしの部屋に気持ちのいい風が吹き込んだ。目の前の通りを歩く人々の笑い声が耳に優しい。私の住んでいる街、吉祥寺の穏やかな朝。カーテンの隙間から差し込む陽の光りにウトウトとまどろむ。

『ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅ…』

それを邪魔するかのように、またお腹が鳴ってくれた。うむ、君はなかなかしぶといですな。

『 しぶといですなじゃなくて、いい加減に起きてくれる?限りなく遅い朝っていうか、もう昼だよね。…ワタシ、腹ペコなんだけど… 』

誰かが私に訴えた。うつらうつら「あなたは誰?」と閉じた瞼ごしに問いかける。

『 ワタシは天使のような、悪魔のような…まあそれ系の人なんだけど…っていうか、覚えてないの?あんたがワタシを呼んだんじゃない?誘ったんじゃない!? 』

…私が呼んだ?…誘った…?

そーっと目を開けて、一人暮らしの1K部屋を見渡す。誰もいない。どうやら、頭の中で謎の得体のしれない人物と会話をしているようだ。

『 覚えてないの!?あんたが言ったのよ。頭の中をシェアさせてくれるって! 』

頭の中をシェア!?…え?シェアって、ルームシェアとかのシェア!?

天使のような、悪魔のような…まあそれ系のよくわからない人の台詞に私は目を瞬いた。全然記憶にない。ちなみに、そんな知り合いはいないし。知り合いたくもないし。お迎えが来たとか、新興宗教の勧誘とか、変な壺を買わされるとか、それがらみの人って普段から警戒しているくらいなんだけどな。

『 まあ、いいや。あとでゆっくりがっつり思い出してよ。んで、今日はどうすんの?あんた、どうせやることないんでしょう!?ここでお腹を空かして泣(鳴)いてることしかできないんでしょう? 』

…やることは、確かにない。けど、なんか失礼な言い方だな。

『間違ってないでしょう?なら、暇ってことよね?うふふ!しめしめ!』

謎の得体のしれない人物がニヤリと笑う気配がした。何、なんなの…?っていうか、あなた本当に私の頭の中に住み着いてるの?私の質問を無視して、天使のような、悪魔のような…まあそれ系の人はオカマのようなダミ声で私にささやいた。

『 それなら、ワタシにつきあって。一緒にこの街を、吉祥寺を食べてみない? 』



は?


吉祥寺を食べる……とな!?



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  菊池亜希子『みちくさ』 × RADWIMPS『セプテンバーさん』 ★

アルファさんにUPしていたものをこちらにもどしました。(理由は『1001夜ショートショート』が過疎ってたから)…といっても、『1001夜ショートショート』では、初お目見えになるのでしょうか。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

① 菊池亜希子『みちくさ』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%BF%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%95-%E8%8F%8A%E6%B1%A0-%E4%BA%9C%E5%B8%8C%E5%AD%90/dp/4093423822
好きなモデルさんの東京おすすめお散歩MAPです。一時期、これをもって東京めっちゃ歩いて、めっちゃパンばかり食べてました。菊池亜希子さんの私服もイラストも素敵なんです。

② RADWIMPS『セプテンバーさん』
https://www.youtube.com/watch?v=R_X9B0WlPic
途中からこの物語を書く時は、いつもこれを聞いていた気がする。もしかしたら、RADWIMPSで一番好きかもしれないな。



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最終更新
★「1001夜ショートショート」はいつの間にか開設4周年。なんだかんだと続けられているのがすごいです。これもみなさまのおかげ。本当にありがとうございます!今年はこちらで色々書きたいなあ。なんか声に自分が追いつけなくて、ひょこひょこ新しい物語は生まれてるのにみんなコールドスリープ状態。書き途中の物語もいっぱいあるのに中途半端で申し訳ないです。とりあえず、今日UPしたこの物語は絶対書き切らねば!私が今、一番書きたい物語なので。

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↓↓【第310夜】 AF ARMY ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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ぼやけていた。 世界はいつもぼやけていた。
俺はなぜか世界の輪郭をうまくとらえることができなかった。どうしてだろう。

でも、戦場で銃をかまえている時だけは違った。

目の前は一瞬にしてクリアになり、俺ははっきりと世界の輪郭をとらえることができた。銃をかまえれば、楽に照準を定め、敵の命を難なく奪うことができたのだ。傭兵として生きることができてよかったと思う。きっとこれが俺の天職だったのだろう。…でも、真っ当な人間がそんなことを聞いたら、嫌悪感や不快感をあらわにするんだろうな。俺を好き勝手に罵ったり、軽蔑したりするのだろう。

『 あなたはまだ自分がどんな人間なのかを知らない 』

いつか誰かにそんなことを言われた。 俺は思わず笑っちまったね。

なら、教えてくれよ。俺が本当はどんな人間なのかをさ。


    *


「こちらの民間軍事会社でアフガン戦闘区域を取材をすることになりました。戦場カメラマンのサワダ クミコです」

俺は笑顔を作ったまま、横にいた同僚の胸ぐらをつかんだ。

「…女が来るなんて聞いてないんだが?」

両手を上げつつも、米国人のケリーの態度はひらきなおっていた。

「言ったよ、俺は。お前と同じ日本人が取材に来るってさ。だから、お前にそいつの護衛をまかせるって。…アソー、お前こそ聞いてなかったのか?」

俺は怒気を強めた。

「それは聞いたが、女とは言ってなかった!」

だるそうに耳の穴に小指を突っ込んで、ケリーはため息をついた。

「言ったら、アソー、絶対断るだろう?女なんて気をつかって面倒くさいとかって」
「当たり前じゃないか!俺じゃなくても、みんな断る!」
「じゃあ、誰が彼女を見んの?お前、こんな戦場にひとり置き去りにするつもりか?」

今度は俺がため息をつく番だった。

「取材自体を最初から断ればよかっただろう!?」
「そうはいかない事情があるんだ。民間軍事会社なんて名ばかりのフリーの傭兵をただ預かってるうちみたいな組織は金がねえ。それに新聞社に貸しを作っといて損はないからな。話を聞いたら、来るやつは平和ボケした日本人でしかも女だっていうじゃないか。戦場なんか見せてみろ。怯んで速攻帰るだろうさ。短い期間でたんまりもらえる金はもらっとこうぜ。うちにはちょうどよく日本人がいるし、そいつにでも押し付けとけばいい。あ、これは俺の考えじゃないからな。上からの意見、お達しね」

がっくりと俺は肩を落とした。胸ぐらをつかんでいた手をケリーがはらう。

「まあ、お前が故郷を嫌ってるのは知ってるよ。でもさ、それがアソーの乱視の原因でもあるんじゃないの?」
「乱視じゃねえよ」

ケリーはひらひらと手を振った。

「そうだな。お前、銃の腕はハンパないもんな。百発百中。いや、千発千中もいいところだ」
「誉めてくれてどうも、ケリー」
「視覚を補うためにめちゃくちゃ体を鍛えたのも知ってる。肉弾戦もいけるしな」
「はいはい、どうも」
「なんなの、その研ぎ澄まされたカンは。野生動物か!?ってな。お前、どんだけ傭兵向きなんだよ。まあ、何よりもここが一番重要で肝心なんだが…」
「だから、誉めてくれてどう…」
「顔がこわくない!」
「は?」

俺は間の抜けた声を上げた。ケリーは俺の肩を強くつかむ。まるで獲物を逃がさないように―。

「俺らって見た目がおっかないやつ勢ぞろいだが、奇跡的にお前だけは別だ。喜べ、アソー!人あたりのよさには定評がある!いや、さすがNOとは言えない日本人!ウン、やっぱりお前が適任だ!!」
「全然誉めてねえー!しかもテキトーに納得して押し付けるな!!」

その時、話にひとり置き去りにされていた彼女の笑い声が響いた。


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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 樹なつみ『OZ』
★ 開口健『輝ける闇』
★ Fightstar『Mono (Album Version)』

いつか予告した物語です。本当はきちんと書き切ってショートショートとしてあげたかったんですけど、このままだと三か月以上ずっと「1001夜ショートショート」が未更新になってしまう。今あまり時間がなくてしっかりかけないのがかなしいな。この物語、少しずつ続きをUPしていきますね。もしかしたら、続きは新着ではなく、このままここにどんどん書いていくかもしれません。良ければ、チェックしてみて下さいませ。

最近タイトルは見たら話の内容を思い出せるものにしようと思ってます。そうしないと、私自身が以前書いた物語の内容を思い出せないということに気づき…。今回のこれは写真の用語らしいAF(オートフォーカスの略)と傭兵の意味がありそうなARMY(アーミー)と言う単語をただ並べただけです。カメラマンと傭兵が出てくるから、もうこれでいいや。でも、なんとかアーミーってタイトル、好きなんですよね。どうしてそう感じるんだろうと思ったら、たぶん浦沢直樹「パイナップルアーミー」の影響だと気付きました。

① 樹なつみ『OZ』 
https://www.amazon.co.jp/OZ-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E5%8F%8E%E9%8C%B2%E7%89%881-%E6%A8%B9-%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF/dp/4592188829/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1468722940&sr=1-3&keywords=oz+%E6%A8%B9%E3%81%AA%E3%81%A4%E3%81%BF
ミリタリー系の物語を書きたいと思わせてくれたSF少女漫画。こちらは漫画夜話(漫画を批評するTV番組)で「完璧すぎてつっこむところがない!」と言われた名作だそう。男も女も人外も?惚れる傭兵・ムトー(主人公)のカッコ良さがハンパない!それにあやかれるように私の物語の主人公も今回アソーと語尾の長めな似た名前になったんだと思います。樹なつみ作品はまだ全制覇してないのですが、全部読もうかな。

② 開口健『輝ける闇』
https://www.amazon.co.jp/%E8%BC%9D%E3%81%91%E3%82%8B%E9%97%87-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%96%8B%E9%AB%98-%E5%81%A5/dp/410112809X
これは小説なのか、ノンフィックションなのか…。ずいぶん昔に読みましたが、この本のラストの一文が強烈過ぎて忘れられません。なんか本当に闇が落ちてきた。

③ Fightstar『Mono (Album Version)』
https://www.youtube.com/watch?v=Le_sCwlQkcQ
この音楽がなかったら、生まれなかった物語。いやはや、この音楽の物語を引き寄せる吸引力は凄まじかった。ラストのシャウト、ヤバイな!洋楽なので歌詞の意味はよくわかりませんが(英語苦手なので)…。もし歌詞の意味を知っていたら、また私の物語の内容も違っていたのかもしれません。
Fightstar『Mono (EP Version) 』
https://www.youtube.com/watch?v=3FzgPdTbvAs
メロディ的にはAlbum Versionの方がすきですが、画像こちらの方が気に入ってます。



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↓↓【第309夜】 アライズ  ジャンル:サスペンス ↓↓
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大抵の人間は罪を犯したなど、実際、悪事に手を染めている時には気づかぬものだ。

少なくとも私はそうだった。いいわけになるかもしれないが、その時はそれしか方法がなかったのだから―。

一人娘は、死んだ妻と同じ病だった。心臓を患っていたのだ。

移植しか手がなかったが、もうドナーを待つ時間もない。

ただ、救いたかった。それだけだ。

死に行く運命にある娘を。 いや、本当は…。


    *


その患者が、警察病院に搬送されてきたのは深夜のことだった。

私がその病院の医師として勤務していたのは、どこかすがるような気持ちで命のおこぼれに預かろうとしていたからかもしれない。ドナー以外に、娘に心臓を与えてくれる者を見つけるために。たとえ、合法的でなくても。そもそもドナーの登録者は少ない。その中でまた彼らの心臓が適合するか、しないかはもう運と言ってもいい。

私は運や運命という言葉が嫌いだった。

人の手の及ばないところで作用する力に祈ることしかできない、頼ることしかできないその言葉が―。すべては最初から決まっている、逃れられない必然であると強制してくるその言葉が―。

しかし、娘をその言葉の呪いにかけてしまったのは私だったのかもしれない。

警察病院に搬送されてきた患者は年若いが、巨悪な犯罪者だった。助かる見込みはなく、脳死状態に陥った。関係者はこの犯罪者の罪を法で裁くよりも手早く闇に葬り去ることを望んでいた。罪が明るみになると、関係者にも大いに飛び火する罪状だったのだろう。時々、そういった犯罪者の中でも特にわけあり者がこの病院に担ぎ込まれてくる。

いくらおこぼれだといっても、犯罪者の心臓など嫌悪してしかるべきだ。

しかし、その心臓は生きていた。健康な心臓が私のすぐ目の前にあったのだ。日に日に弱っていく娘の姿がふと頭によぎった。

― お父さん ―

医者としての、人としての倫理など吹き飛んでいた。急いで娘の体に適合できるか検査した。時間との戦い、適合の運に私は勝利したのだ。

― お父さん、ありがとう ―

娘の元気な笑顔が目に浮かび、私は迷うことなくメスを握った。


    *


大抵の人間は罪を犯したなど、実際、悪事に手を染めている時には気づかぬものだ。

少なくとも私はそうだった。いいわけになるかもしれないが、その時はそれしか方法がなかったのだから―。

ただ、救いたかった。それだけだ。

死に行く運命にある娘を。いや、本当は一人取り残される孤独に押し潰されそうだった私を…。

私が罪を犯したことに気づいたのは、病院のベッドで目覚めた娘に果物ナイフで胸を刺された時だ。娘の笑顔は想像していた健やかで可愛らしいものではなかった。人を傷つけ、いたぶる愉悦と快楽に満ちていた。

「 生かしてくれてありがとう、お父さん」

私を父と呼ぶ少女に、娘の面影はどこにもなかった。

「バイバイ」

罪の意識が死に至る恐怖をもまさり、どす黒く私の胸を濡らしていた。




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki 『aLIEz』×アニメ『アルドノア・ゼロ』★  

① SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki『 aLIEz 』
この音楽を聞いて生まれた物語。
https://www.youtube.com/watch?v=24K4oZjv01I
あれ、もしかして、こっちだったのかな?歌詞、あんまりなかったような気がする。
MKAlieZ
https://www.youtube.com/watch?v=mwasD6vJVlw

②アニメ『アルドノア・ゼロ』
SFロボットアニメ。毎回、物語のヒキがいいんですよ。で、そこから上で紹介したEDに入る瞬間がカッコいい。海外ドラマや洋画みたいな雰囲気で。個人的には、2期より1期が好きです。ラストは衝撃かもしれないけど…。
PV
https://www.youtube.com/watch?v=AVg_lglQqfg



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最終更新
パスワード入力が必要と表示される長編はアルファポリス様限定公開ですので、ここでは閲覧できません。お手数ですが、アルファポリス様(無料)をご利用ください。予約投稿中の作品もあり。詳細は下記。
【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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↓↓【【第308夜】 一番遠い場所  ジャンル:青春 ↓↓
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君は好きな人と離れ離れになる。

例えば、そう…。

この世で一番遠い場所にその人が行ってしまう。

連絡もとれない。

会うことなんてとてもできない。

さあ、君たちは心を通わせられるだろうか?


    *


「…君は…いや、君たちは心を通わせる…通わせられる…通わせられ…られれる…?…あれ?ああ、もう!ここの台詞はあとでいいや。場面が切り替わるから、音響フェイドアウト。照明オン…」

高校の自習時間、自分の席で頭を抱えて呻っていると、後ろの席の新田くんに不意に呼ばれた。彼は私の肩に手を置き、人差し指を突き出す。振り向いた私のほっぺたが軽くつぶれる。ぷに。

「後ろって無防備だからいいなあ。これ、お約束だよね?」

新田くんはけっこう悪戯好きらしい。

「さっきから何を呻いてるの、本間さん?」

私はため息をついた。

「演劇部の脚本がうまくかけなくて…」
「本間さんって、演劇部なんだ?」

ぷに。ぷに。

「言ってなかったけ?そうなの。脚本担当なんです」
「へー、すごいじゃん!」

脚本を書いているというと、たいていみんなこんな反応だ。まあ、実際はウワベだけというか、カタチだけというか、単なる社交辞令で誉めてるわりにはたいして心がこもってなかったりする。でも、どうも新田くんは違うようだ。こっちが恥ずかしくなるくらい「すごい」を連呼してくれた。

「…いや~、それほどでもあるような、ないような?」

誉められるのに慣れていない私は頭をかいた。謙遜をしているのか、していないのか、よくわからない受け答えになってしまった。

「どんなのを書いてるの?」
「宇宙と地球で離れ離れに暮らす恋人の話。究極の遠距離恋愛を描きたいです」
「どっかできいたことのある話だな」

言われると思った。

「最近、CMでよく流れてるじゃん。長澤まさみと高橋一生のCMでさ。宇宙飛行士の奥さんの帰りを地球で待つ旦那さんの。あれが元ネタ。で、もっと切なくいじれないかなあっと…」
「クラスの女子が騒いでたやつかな?」
「そうそう。演劇部でも『あれ、いいね!』って話題になってさ。部長に言われたんだよね。『うちの脚本家様、次はあんな感じの恋愛を、究極の遠距離恋愛を四露死苦(よろしく)!』って。もう、言うのは簡単だよね!楽だよね!」

つい愚痴をこぼすと、新田くんは私の部長のマネがツボだったらしい。ぷっと吹き出した。

「あはは!さすが演劇部、なりきるなあ!部長さん、元ヤンなんだ」
「笑いごとじゃないよー。こっちは必死なんだよー。助けてよー」

どこかの猫型ロボットに助けを求めたくなっていると、新田くんが机の中をごそごそと探る。そして、何やら取り出した。

「なんだ、スマホかー」

私ががっかりしていると、新田くんが首を傾げた。

「何が出てくると思ったの?」
「…え?青いタヌキとか四次元につながるポケットとか…」
「あはは!ごめんね、ドラえもんじゃなくて。俺もさ、そのCMを見てみようかなと思って。自習で先生もいないし、スマホを出しても怒られないでしょう。本間さんの力になれるかもしれない」

私は新田くんの手を握りしめた。

「…ほ、本間さん!?」
「今、思ったけど、新田くんっていい人だね!」

授業中、デキの悪い私が先生にさされた時、答えを後ろからこっそり耳打ちしてくれる。何かと困っている私をいつも助けてくれる。拝みたくなってしまうような人柄。そう言えば、顔も妙に仏像の優しげな面差しと似ているような…。後ろの席のあなたは、なんて神々しいんだ!

「…はあ。席替えしてしばらくたつのに、いい人どまりか。ひどいなあ、本間さん」
「たまたま席が近くなって新田くんとよく話すようになったけど、こんなにいい人だったなんて!ここ、いい席だよ~。席替えの時、窓際を選んで正解!」

私がにんまりすると、新田くんが苦笑した。

「…たまたま、ねえ…」

うちのクラスの席替えは自分の好きな席が選べるけど、ちょっと変わっている。席替えの時、いったん全員が廊下に出て、まず先に女子だけが教室に入り、決められた女子の席の中から自分の好きな席を選ぶ。それから男子とチェンジして、男子も同じように、決められた男子の席の中から自分の好きな席を選ぶ。その後、廊下で待っている女子を呼んでご対面というか、新しいみんなの席のお披露目となるのだ。実は女子が席を選んでいる間、教室のドアが少し空いていることを、その隙間から男子がこっそりのぞきみしていることを女子は知らない。

「こんなに近い席なのに、一番遠い場所かもしれないなあ。心の距離がこう果てしなく遠いというか…」
「へ?」
「ううん、なんでもない」

彼はまた人差し指を突き出す。私のほっぺたが軽くつぶれる。

「俺の究極の遠距離恋愛の話です」

ぷに?







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★長澤まさみ&高橋一生CM『dTVふたりをつなぐ物語篇』×Bruno Mars『Talking to the Moon』★  

これが今年初めてのショートショートのUPになります。遅すぎかもですが、今年もよろしくお願いします。たまたま読書の息抜きで見た素敵CMに、うっかりハマり、気付けば物語が生まれていました。私のはふざけていますが。高校の演劇部が舞台の話はいずれまた書きたいな。

① 長澤まさみ&高橋一生CM『dTVふたりをつなぐ物語篇』
なんとなく新海誠作品の世界観に通じるようなCM。宇宙から地球を眺める長澤まさみさんの表情にぐっときます。そして、私の好きな高橋一生さん。彼はこういう役が似合うなあ。
CM
http://pc.video.dmkt-sp.jp/ft/s0004060#

② Bruno Mars『Talking to the Moon』 
CMの音楽もあっていて即入手。
https://www.youtube.com/watch?v=k0DbpCbGrsQ




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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

私は3年半くらい前から物語ブログを始めたのですが、毎年個人的にお気に入りの小説ブログ様に自分て作った賞を勝手におくりたいと思いまして、こんな賞を作ってしまいました。名付けて…!

★☆自分的小説ブログ大賞☆★

生意気にすみません。賞品なんてありませんが…(苦笑)。

ちなみに、過去の受賞者・受賞作はこちら!

≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html
第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-398.html

超個人的な賞を快く受け取ってくれた受賞者様に、ただただ感謝です><。


しかし、まだまだ他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!

そこで気が早いのですが、早速今年版の準備をして行こうと思っていまして、ここにその候補作を見つけ次第、勝手に更新&紹介させて頂こうかと思っています。最終的に年末、こちらでUPした候補作の中から、今年の大賞を選ぶ予定です。(惜しくも大賞を逃した作品は、来年度の候補作品としてそのまま残ります)

良ければみなさんも、ちょくちょくこちら覗いてみて下さいね☆
読むものをお探しの方のソムリエ的な役割ができたら嬉しいです。

候補作のブログ様で「気持ちは嬉しいけど、自分は遠慮したいかも…」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除いたしますので、気にせず、言って下さいね^^


★ 第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017)候補作一覧 ★

①お名前  :松原きのこ さん
 ブログ名 :『なついてくれてサンキューな』(休止中?)
 ブロアド :http://neboushitaze.blog.fc2.com/
 小説名  :『はぐれ者のおっさん』(短編小説)
 第1話  :http://neboushitaze.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
  選 評 :私が文部科学的な何か or 学校の先生だったら、夏休みの課題図書に推薦したいです☆

②お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『凍える星』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-669.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-671.html
  選 評 :小説ブログってこんなにレベルが高いんだ!私的「このミステリーがすごい!」作品☆

③お名前  :大海彩洋さん
 ブログ名 :『 コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』
 ブロアド :http://oomisayo.blog.fc2.com/
 小説名1 :『清明の雪』(長編小説/ミステリー)
あらすじ  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E3%80%90%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%80%91%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E2%9D%841%E3%80%80%E5%8F%A4%E3%81%84%E5%AF%BA%E3%80%80%E9%BE%8D%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BA%95%E3%80%80%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%81%AE%E6%8E%9B%E8%BB%B8%20
  選 評 :このミステリーの一番の謎はブログ小説なのに紙の香りがすることかもしれない!書籍化希望☆
 小説名2 :『天の川で恋をして』(短編小説/恋愛)
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-16.html
  選 評 :長編ミステリーを得意とする大海さんが短編×恋愛モノ!?と聞いたら、飛びつかないわけにはいかない。読んだ感想はもうこの一言しかありませんでした。「お見事!!」

④お名前  :ヒロハルさん
 ブログ名 :『 三流自作小説劇場 』(休止中?)
 ブロアド :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
 小説名  :『それでも私を愛してくれますか』(長編小説/SF)
あらすじ  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-674.html
 第1話  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-675.html
  選 評 :衝撃のラストに、あなたは『それでも私を愛してくれますか』。SF×恋愛小説の切なさがここに!!

⑤お名前  :ぐりーんすぷらうとさん
 ブログ名 :『修羅の門・刻 夢小説』
 ブロアド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/
 小説名  :『limeさんの絵につけた超SSS』(ショートショート)
 作品アド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
  選 評 :普段は夢小説を書かれているぐりさんが②でご紹介したlimeさんと物語×絵コラボ。熱望してたオリジナル作品も期待を裏切りません!

⑥お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい物語展開。満腹感の味わえる文章力。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!
小説名2 :『ななおさん』(中編小説/恋愛)
第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0nanaosan-top.html
選 評 :和菓子屋を営む壮介さんのもとに嫁いだ、ななおさん。わけあり『和』カップルの織り成す日常が優しい雰囲気で描かれています。これを読むと、いざ鎌倉着物デートしたくなります!なんと『ななおさん』は、アルファポリス様より書籍化!その関係で、現在冒頭数話と番外編のみUP。

⑦お名前  :空野みちさん
 ブログ名 :小説家になろう 『 空野みちさんのマイページ 』
 ブロアド :http://mypage.syosetu.com/25780/
あらすじ一覧 :http://ncode.syosetu.com/n5126g/
 小説名 :『 夏目さんと私』 (長編小説/恋愛)
 第1話  :http://ncode.syosetu.com/n5126g/1/
選 評 :登場人物が魅力的で名前も素敵!森見登美彦さん(より個人的に好き!)を彷彿させる『和』感覚で小粋な文章。丁寧に紡がれる物語に、ただただ、続きが待ち遠しい。なんていいところで~、くうっ!!

⑧お名前  :小池安雲(agumo)さん
 ブログ名 :『小説カラスト』(休止中?)
 ブロアド :http://karasuto.x.fc2.com/index.html
 小説名1 :『フレイム・イン』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/framein/top.html
 第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/framein/00.html
  選 評 :行動派で頑張り屋の秘書課OLが主人公。彼女の意中の人がデキる男でまた素敵。オフィスラブものってあまり興味がなかったのですが、安雲さんの描く物語はオフィスラブ+aって感じで面白い!個人的にドラマ化向きだと思うんですけど、どうでしょうテレビ局さん。
小説名2 :『ブーメラン・ラブ』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/top.html
第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/1.html
選 評 :「フレイム・イン」で登場していた華英先輩が主人公。(話の時系列的にはこちらが先かな)彼女の社交術、学びたいです。でも、完璧女子じゃなくて恋愛下手なかわいい一面もあっていい。私の新たな憧れの名ヒロインになってくれました。

⑨お名前  :けいさん
 ブログ名 :『憩』
 ブロアド :http://meuniverse.blog10.fc2.com/
 小説名  :『セカンドチャンス』(中編小説/青春)
あらすじ:http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-274.html
 第1話  :http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-275.html
  選 評 :突如謎の青年に誘拐されてしまった新社会人(代議士事務所勤め)の主人公・策。彼は誘拐犯と奇妙な逃避行?を通じて、自分の中のセカンドチャンスと向き合うことになる…。誘拐から生まれる友情が誰かの過去の傷を癒すかもしれない。第1回分的小説ブログ大賞受賞作『夢叶』のスピンオフですが、これだけでも充分楽しめますよ!



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お久しぶりです。
新年のご挨拶が遅れてしまい、すみません。今年もよろしくお願い致します!

最近の私ですが、色々な作品を見まくっております。なので、ぜひ新年最初はおススメ作品をご紹介させて下さい。なんかほとんどの自分の物語が書き途中のような気がしなくもないですが…。自分で書くのもいいけど、それ以上にたくさんの素敵な作品に出会えるのは嬉しいもの。私はそういう作品を見つけられる目利きになりたい。常々思っております。

今回は、一気にまとめて5作品。きっと、ここをご覧になってくれた方の心を鷲づかむハズ!


①ドラマ『民王』。
総理とバカ息子の体が入れかわってしまうドタバタ政治コメディ。毎回、面白すぎて吹き出してました。出演者のみなさん全員良かったですが、特に総理秘書役の高橋一生さんが最高でした。私的に「男性秘書役やらせるならこの人!」部門第1位です。(ちなみに、私的「女性秘書役やらせるならこの人!」部門第1位は小池栄子さん)今年の大河『直虎』の小野政次役といい、今年は高橋一生さんがヒットの予感です。
ドラマ『民王』公式サイト
http://www.tv-asahi.co.jp/tamiou/
ドラマ『民王』
http://7tv7dorama.blog.fc2.com/blog-entry-8591.html
第1話
http://www.acfun.cn/v/ac2050663
SP①
http://www.bilibili.com/video/av4375895/
SP②
http://www.bilibili.com/video/av4450502/
スピンオフ
http://www.bilibili.com/video/av4443575/


②アニメ『ユーリ!!! on ICE』
男子フィギュアスケートの話。初心者向け解説もあるので知識がなくても大丈夫。OPをみたら制作陣のフィギュア愛の本気を感じるとのこと。本当だ。なに、この美しいOP!シンプルなのに、ディズニーパレードを見ているような高揚感が。(歌ってたのディーン・フジオカさんだったんかい!)EDもまた違った美しさというかオシャレ感が。光りの使い方がいいなあ。話の内容はBL要素が少しあったかもしれませんが、あれはきっと師弟愛だと思えば大丈夫!
Yuri!!! on Ice OP映像 × 主人公のFS曲。
このピアノ、個人的に物語を一本書きたいな。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm29915147

③旅番組『ふるカフェ系ハルさんの休日』
ゆる~い古民家カフェ紹介番組。ちょい物語仕立て。古民家カフェ紹介ブログをやっている主人公ハル(渡部豪太さん)。日本全国にある古民家カフェを訪れ、その建築についてわかりやすく教えてくれます。あと、おいしいコーヒーやカフェごはんを食レポしてくれたり、その街に住んでいる人々(ご本人が登場!)のあたたかさにふれたり…。ちょっとカッコ悪いハルさんが笑えます!いいキャラだなあ。
『ふるカフェ系ハルさんの休日』HP
http://www4.nhk.or.jp/furucafe/
『ふるカフェ系ハルさんの休日』
http://nihonnotv.com/search/%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E7%B3%BB+


④漫画『さらば、佳き日』(茜田千)
ある街に仲睦まじい新婚夫婦がこしてきます。彼らには秘密があり、実は兄妹だったんです。兄妹の逃避行話。こういう禁忌設定ってどこか不快感や嫌悪感を抱いてしまいがち。でも、作者さんの力のおかげでそう感じさせない。ただただ切ないんですよ、もう。内容もそうですが、絵からして儚げ。今にもふたりが消えてしまいそうな感じで。彼らを見守る脇役たちにもスポットがあたる丁寧なつくり。未完なので、ふたりの今後がどうなるのかとても気になっています。
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%B0%E3%80%81%E4%BD%B3%E3%81%8D%E6%97%A5-1-COMICS-%E8%8C%9C%E7%94%B0%E5%8D%83/dp/4048656058


⑤小説『沈黙』(遠藤周作)
遠藤周作さんの本は前から読みたいと思っていました。私の好きなアーティストの多くが彼の影響を受けているからなんです。本当は『深い河』を読みたかったのですが、書店にこれしかなく…。どうもハリウッドで映画化されるから置いてあったみたい。古さを感じさせない読みやすい文章。でも、内容はとても重いです。宣教師ロドリゴ視点で描かれる江戸時代のキリシタン弾圧の物語。
遠藤周作『沈黙』
https://www.amazon.co.jp/%E6%B2%88%E9%BB%99-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%81%A0%E8%97%A4-%E5%91%A8%E4%BD%9C/dp/4101123152
映画『沈黙 -サイレンス-』日本版予告編
https://www.youtube.com/watch?v=j6e-c7d0ePs




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↓↓【第307夜】 グッドバイ  ジャンル:歴史 ↓↓
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人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう。

女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう。

幼い頃、病気のせいで右足が麻痺して動かなくなった。

学生の頃、乗っていたバスが事故にあい、腹部に重傷を負って子宮が使いものにならなくなった。

人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう。

女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう。

ねえ、どうして。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

私の人生は常に自分の決して答えが出ることのない『どうして』と向き合って行く日々だった。

家族は、こう言ってくれた。

『フリーダ、愛しているよ。それを忘れないで』

最初の絵を描いた。

キャンバスの前では素直になれた。

私は自分の運命を呪うことができた。

激しく、痛ましく。

それが私、フリーダ・カーロの画家としての個性になった。

絵は人々に高く評価され、私は賞賛された。

でも、それでいったいどうなったというのだろう。私は何を手に入れられたというのだろう。

自分が足りないものが堂々と明るみに、世間に、おもてに、出ただけだ。

人間として、女として、足りないものが―。

私は知っていた。

描く絵も、人の愛情も、決して私を救うことはできない。

私は私という深淵をのぞくことしかできないのだから。

本当の私はどこにいるのだろう。

人間としての私は?女としての私は?

いったいどこにいるのだろう。どうして、ここにいないのだろう。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

やがて壊死した右足を切断しなければならなくなった。

この苦痛はいったいどこまで続くのだろう。

私はどうして苦痛に耐え続けなければいけないのだろう。

描く絵は決して私を救うことができないはずなのに、どうして私は描き続けるのだろう。

人の愛情は決して私を救うことができないはずなのに、どうして私は求め続けるのだろう。

私は私という深淵をのぞくことしかできないのに―。

どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして…。

『どうして?』

それが人間という生き物だから?それが女という生き物だから?

…ああ、そうか。

たとえ、きちんとしていなくても私は人間なのだ。女なのだ。

新しい家族は、こう言ってくれた。

『フリーダ、愛しているよ。君自身もきっとね』

最後の絵を描いた。

キャンバスの前では素直になれた。

私は自分の運命を許すことができた。

優しく、愛おしく。

さようなら。

『人間として生まれたはずなのに、どうして私は人間としてきちんと生きられないのだろう』

そう問い続けた自分に。

さようなら。

『女として生まれたはずなのに、どうして私は女としてきちんと生きられないのだろう』

そう問い続けた自分に。

さようなら。

最後の絵に、思いを込める。

『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』





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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★サカナクション『グッドバイpiano arr.』×フリーダ・カーロ『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』★ 

これがおそらく今年最後のUPだと思います。他にも書きたいものがありましたが…。今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

たぶん一般の方だと思うんですけど、サカナクション『グッドバイ』をピアノアレンジしていて 、それをたまたま聞いたところ、ガツンとやられまして。このピアノにあうような物語を書きたいと強く思ったんです。実際、書けたかは謎ですが。 なんでフリーダ・カーロが出てきたのかもよくわかりませんが…。

① サカナクション『グッドバイ piano arr. 』
https://www.youtube.com/watch?v=lXAJABHC_ds
原曲よりもこっちのピアノVer.の方が私は好き気かも。なんかドラマチックで。いや、原曲もいいんですけどね。
ちなみに原曲はこちら。サカナクション『グッドバイ 』
https://www.youtube.com/watch?v=kt5-Al0CMuk

② フリーダ・カーロ『 ViVA LA ViDA (生命万歳)』
画家フリーダ・カーロの遺作。それまで狂気じみた痛々しいものが多かったのに、最後の最後にこれとかなんてカッコいいんだ、フリーダ!これもギャップ萌えというのでしょうか。だてに眉毛くっついてないですよ、フリーダ。 私が彼女を知ったのは本上まなみさんが芸術家を紹介するテレビ番組でした。毎回、取り上げる人物とナビする女優さんが違っていて面白かったんですよね、あの番組。好きだったんだけどなあ。タイトル名、なんだったけ。もう一度、見たい!


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↓↓【第306夜】 スカーフェイス  ジャンル:ハードボイルド ↓↓
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誰かが言った。

どんなにいい酒があっても飲まなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいい女がいても抱かなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいい銃があっても撃たなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。

誰かが言った。

どんなにいいマフィアがいても暗躍しなければ意味がないし、その価値もわからないだろう。


アンタは知ってるかい?

禁酒法時代に酒を売りまくり、女を買いまくり、銃を撃ちまくって暗躍したマフィアを―。

そいつの顔には傷があった。そう、深い深い傷さ。

一度見たら忘れられない、スカ―フェイス(向こう傷)ってやつだ。

でも、そいつは酒に溺れ、梅毒に犯され、あげくファミリーに裏切られ、銃弾に倒れた。

貧民街の孤児から暗黒街のトップまで成り上がり、すべて自分が支配している―。

そう思っていただろうに皮肉なもんだ。


…どうして、こんな話をするかって?

なーに、思ったのさ。

どんなにいい物語があっても語らなければ意味がないし、その価値もわからないだろうってね。

これは他の誰でもない俺の言葉さ。

最後に通りすがりのアンタに聞いてもらいたくなったんだよ。

スカ―フェイスと恐れられたマフィア、もうすぐ道端で野たれ死ぬ俺の話をさ。




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ TK from 凛として時雨 『Signal』 × アニメ『91Days』 ★ 

本当は違うハードボイルドの話を書きたかったのですが、ちょっとそれは時間がかかりそうで他のものになりました。人物モデルはアル・カポネですが、違うところもあるので半分フィクション感覚でお楽しみ下さい。

① TK from 凛として時雨 『Signal』
https://www.youtube.com/watch?v=uNjKYBnRbdE
これを聞きながら書きました。『91Days』の主題歌で賛否あったみたい。私は好きなんだけどな。


② アニメ『91Days』
https://www.youtube.com/watch?v=m5XGnMPR-0o
復讐するきっかけとなった手紙の差出人が明かされた時は、正直ちょっと「ん?」ってなったのですが(ごめんなさい。もっと意外な人物が良かったなと思ってしまって)、それ以外のところでは面白く見てたんですよね。もっとこんなオトナで渋い上質アニメやってくれればいいな。


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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて3年半?くらい経ちました。2016年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-384.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、ネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2016年、『 第4回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!(←古っ))

limeさんの小説ブログ『DOOR』で完結済の小説『KEEP OUT』シリーズ と 『モザイクの月』です!!!

今回は自分的小説ブログ大賞、初の2作品W受賞(しかも同じ著者!)になります。おめでとうございます~!!

なんでこんな異例の事態になったかと言うと…。

実はlimeさんはこれまで最終的に自分的小説ブログ大賞をとる作品といつも接戦を繰り広げてきた方なんです。毎年毎年、この時期になると、私をとんでもなく悩ませていたわけで(なーんて言い方はあれだけど^^)。読む作品読む作品、全部候補作。その後、最終候補作に入ってしまうから、ついには読むのがこわくなって、読むブレーキをかけてしまったくらい。

最初、私はてっきりプロの作家さんが内緒でネットに小説を公開しているのだろうと思いました。読んだ方ならわかると思いますが、小説の完成度がハンパないのです。ミステリー&サスペンス系が好きな方、もちろんそれ以外の方も、ぜひlimeさん作品にしびれて下さいませ。

今回は特に好きな2作品を選ばせて頂きました。キャラクターや物語の個人的な好みで言えば、『KEEP OUT』シリーズを押したい!でも、『KEEP OUT』シリーズの結末は人を選ぶかもしれない…(私は大好きな結末なのですが)。その点をふまえると、『モザイクの月』はみんな納得の結末というクオリティだと思うんです。なら『モザイクの月』でいいじゃんって言われそうだけど、『KEEP OUT』シリーズ、好きなんだよー!繊細な春樹と気が強い美沙のすれちがいコンビの切なさがたまらないんだよー!ごめんなさい、ひとつの作品にしぼれませんでした…><!!


ぜひみなさま、limeさんの『KEEP OUT』シリーズと『モザイクの月』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『KEEP OUT』シリーズ(長編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-304.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-305.html
 小説名 :『モザイクの月』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-813.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-814.html


今回は、limeさんの『KEEP OUT』シリーズと『モザイクの月』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html





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↓↓【第305夜】 喪服にレモン、少女にはショートケーキを。 ジャンル:友情 ↓↓
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お葬式をしよう、私たちのお葬式を―。


    *


喪服に袖を通す。鏡にうつる見慣れない自分の姿に一瞬立ち尽くした。
目の前にいるのは未だ少女の面影を残す、大人になりきれない自分だ―。

黒は女性を一番美しく見せると教えてくれた友人を思い出す。 

「誰かの受け売りだけどね」

そう笑って付け足したのは確か香澄(かすみ)だ。校則で決められた制服のスカート丈をいつも気にする、お洒落や流行に敏感な子だった。

「へー、それが本当なら喪服が一番女性を輝かせるのね」

シニカルな理子(りこ)がそう返すと、香澄はふくれた。

「なんでそうなるのよ。喪服なんていかにも不幸全開じゃない!」
「そう?私はある意味、素敵だと思うけど。人に助けを求めたり、情に訴えるにはもってこいというか…」
「理子はひねくれてる。そう思うでしょう、えっちゃん?」

香澄と理子が言い合いになると、いつも私の出番だった。

「う~ん。喪服だけじゃ暗いから何か持たせればいいんじゃない、アイテムとか?」

仲裁に入ると言うよりも、話題を微妙にをそらし、問題をうやむやにするのだ。

「は?アイテム!?…でも、喪服に赤いリボンのついたカチューシャでもすれば可愛くなるかな?」
「空飛ぶ魔女にでもなる気?『落ち込んだりもするけれど、私は元気です』って」

頷きかける香澄に、静かにつっこむ理子がおかしかった。私は笑って言った。

「でも、なんかの小説にあったよ。お葬式に喪服を着て、お供えの花がわりにレモンを持っていくの。そんな感じを目指せば?」
「喪服にレモンねえ…」
「確かに黒と黄色のコントラストがいいね!なかなかセンスあるじゃない、それ書いた人!」

自分が誉められたようで、なんだか少しこそばゆかった。

「―ったく、あいかわらず上から発言全開だなあ、香澄は」
「理子に言われたくないんですけど!」
「はあ!?」
「なによ!?」
「まあまあ、香澄も理子もおさえておさえて。あ、そうだ。そういえば、最近みた再放送のドラマで喪服を着たままショートケーキを食べてたのがあったな。死んだのが双子のお姉ちゃんの方で、お葬式と自分たちの誕生日が重なっちゃったから、妹が家族に隠れてこっそり泣きながらショートケーキを食べてた」

ふたりがしんみりとする。

「それ切ないな」
「うん、切ないね」

何気に心が優しい。彼女たちのそういうところも私は好きだった。不意に香澄が言った。

「こうなったら、やるっきゃないわ!」
「何を?」
「決まってるじゃない、お葬式よ、お葬式!」

突然の彼女の提案に、私と理子はぽかんとした。しばらくしてから、理子が眉を寄せた。

「…えっちゃん、最近私たちのまわりで誰か死んだっけ?」
「ううん。たぶん誰も死んでないから大丈夫だよ、理子。うちは曾おじいちゃんも未だ健在だし」
「それはよかった。…いや、よくないよ!あ、よくないのは曾おじいちゃんがご健在のことじゃなくて、目の前にいる香澄のトンデモ発言なんだけど…香澄、もしかして誰か殺したいのかな?」
「…え、まさか私たちに殺人の片棒を担がせようと…?」
「何、言ってるの、ふたりとも?私は誰も殺さないし、殺させないわよ!そういうことじゃなくて、私はね、お洒落にお葬式をしたいって言ってるの!」

私と理子は顔を見合わせた。…お洒落にお葬式…?

「わかるでしょう?」
「「いや、もっとわからないよ!!」」

私たちは声を合わせた。香澄は腕を組む。

「人が死ぬとかじゃなくて、理由はなんでもいいのよ。…そうね。例えば、そろそろ高校も卒業だし、私たちが少女でいられる時間にさようならをする…そのためのお葬式とか、どう?」
「少女でいられる時間にさようなら?なら、処女でも喪失してくれば?あっけなく少女を終了できるよ」
「普通に高校の卒業式じゃダメなのかな?」

理子と私の意見に香澄は首を横に振った。どうも処女喪失も学校の一大行事も彼女の美的センスにはそぐわないらしい。

「ダメ、全然お洒落じゃない!!喪服を着てレモンをそなえたいの!で、最後はショートケーキで献杯!!」
「…ショートケーキで献杯って」
「少女でいられた無垢な時間にみんなで別れを告げるの。高校を卒業したら、みんなバラバラになるんだし…何か思い出にできる、絶対に忘れないようなことをしておきたいじゃない」

最後の方が尻すぼみになる香澄の言葉に胸がちくりと痛んだ。高校を卒業したら、私は地元を離れて京都にある文系の大学へ進む予定だ。理子と香澄は地元に残るけど、理系の大学とファッション系の専門学校で進路が違う。

「もうしょうがないなあ。どうする、えっちゃん?」
「この流れはやるしかないんじゃない、理子?」

香澄の顔がぱっと輝いた。

「じゃあ、決定ね!いつにしようか?やっぱり卒業式の後かな?こっそり学校にお洒落アイテム持ち込まないとね!って、ちょっと聞いてるの?」
「「キイテル、キイテル(棒読み)」」
「喪服にレモン、少女にはショートケーキを。お葬式をしよう、私たちのお葬式を―」


    *


喪服に袖を通す。鏡にうつる見慣れない自分の姿に一瞬立ち尽くした。
目の前にいるのは未だ少女の面影を残す、大人になりきれない自分だ―。

「まさか一人で喪服を着ることになるとはね」

黒は女性を一番美しく見せると教えてくれた友人を思い出す。
でも、彼女たちはもういない。あの頃の少女たちはもうどこにもいないのだ。

「地震のせいで、きちんと卒業式もできなかったしな」

私は大学に通えるアパートを探すため、あの日たまたま京都に来ていた。地元で大きな地震や津波があり、彼女たちが巻き込まれ、亡くなったことを後で知ったのだ。処女喪失でも卒業式でもない、私の少女時代は彼女たちの死によって終わりを告げたように思う。

「さて、そろそろ行かなくちゃ。お葬式をしよう、私たちのお葬式を―」

あの時間は二度と戻ってこないから。あの時間が二度と戻ってこないなら。

お葬式をしよう、私たちのお葬式を―。
喪服にレモン、少女にはショートケーキを。

あのふたりなら、きっと「切ないね」って笑ってくれるだろう。






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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ チャットモンチー『世界が終わる夜に』
★ 氷室冴子『恋する女たち』
★ ドラマ『すいか』
★ 峰浪りょう『ヒメゴト~十九歳の制服~』

チャットモンチー『世界が終わる夜に』を聞いて生まれた物語です。久しぶりに聞いたら、色々な作品の喪服女子(?)を思い出し、こんな物語になってくれました。

① チャットモンチー『世界が終わる夜に』
https://www.youtube.com/watch?v=G59XstT19K8
チャットモンチーはこの歌が一番好きかも。あ、他にも『ハナノユメ』のオーディエンスがノリノリになってしまう感じや『恋愛スピリッツ』の切なさ全開で始まる楽器の入りも好き。過去にフェスで生で聞けてよかったな。っていうか、これ作曲したの10代だったんだ!
チャットモンチー 『「ハナノユメ」Live 』
https://www.youtube.com/watch?v=7atUby6fpdE&list=PLtQ5pz_Dlq3zyCAjBjganYI_yazBkqduu&index=2
チャットモンチー 『「恋愛スピリッツ」Music Video』
https://www.youtube.com/watch?v=w4rUnPYXReE&list=PLtQ5pz_Dlq3zyCAjBjganYI_yazBkqduu

② 氷室冴子『恋する女たち』
https://www.amazon.co.jp/%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E3%82%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B0%B7%E5%AE%A4%E5%86%B4%E5%AD%90-ebook/dp/B00I4H1M9E/ref=sr_1_fkmr0_1?s=books&ie=UTF8&qid=1482600541&sr=1-1-fkmr0&keywords=%E5%AE%A4%E5%86%B4%E5%AD%90%E3%80%8E%E6%81%8B%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A5%B3%E3%81%9F%E3%81%A1
絶版のため、本をなかなか手に入れられず、読めたときは嬉しかったー。でも、もう内容うろ覚えですが。たしか物語の中で友人のお葬式に献花がわりにレモンを持っていくというエピソードあって、それがとても素敵だなって。氷室さん本人のお葬式にも、レモンを持っていかれた読者さんが多かったそう。

③ ドラマ『すいか』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B-DVD-BOX-4%E6%9E%9A%E7%B5%84-%E5%B0%8F%E6%9E%97%E8%81%A1%E7%BE%8E/dp/B0000TXORW/ref=sr_1_cc_1?s=aps&ie=UTF8&qid=1482600697&sr=1-1-catcorr&keywords=%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%80%8E%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B
ドラマの中で売れない漫画家が双子の姉を偲んで、家の屋根裏で喪服を着たままショートケーキを食べるシーンがあったんです。フォークを使わずに手づかみでがぶりと食べる姿がなんだか切なくて。ちなみに、この時の喪服が魔女の宅急便のキキみたいなかんじで可愛いかった。


④ 峰浪りょう『ヒメゴト~十九歳の制服~』
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%92%E3%83%A1%E3%82%B4%E3%83%88%E3%80%9C%E5%8D%81%E4%B9%9D%E6%AD%B3%E3%81%AE%E5%88%B6%E6%9C%8D%E3%80%9C-1-%E3%83%93%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E5%B3%B0%E6%B5%AA-%E3%82%8A%E3%82%87%E3%81%86/dp/4091837778
衝撃的な作品。自分の性に思い悩む19歳の若者たち。痛くてヒリヒリするけど、最後は笑顔が待っています。成人式に着物は着物でも振袖ではなく、喪服を着ていく女の子がいて世間に中指たてるシーンがあるのですが、そこがお気にいり。



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パスワード入力が必要と表示される長編はアルファポリス様限定公開ですので、ここでは閲覧できません。お手数ですが、アルファポリス様(無料)をご利用ください。予約投稿中の作品もあり。詳細は下記。
【アルファポリス様限定公開】  長編作品紹介
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-256.html
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↓↓【第304夜】 多分、風。  ジャンル:家族 ↓↓
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ヴァージンロードの途中で、ウエディングドレスを着た花嫁はその身を翻した。


突然の出来事に、新郎は唖然、神父は茫然、招待客は騒然となった。


しかし、そんなことを気にしている場合ではない。


花嫁の瞳には、ただ一人しか映っていなかったのだ―。


彼女は、走る。 


走って走って、その人のもとへ向かう。 


ウエディングドレスの裾を持ち上げ、颯爽と駆けだす花嫁の姿は軽やかで、華やかで、とても美しかった。 


多分、風。 …いや、それよりも速かったかもしれない。


チャペルを出て、道行く人の目をひきながら、彼女は走った。


花嫁のことを心から愛してやまない人のもとへ―。


そして、叫んだ。


「待って!行かないで!私のことが大好きなら!!」


自分の思いを言葉に、風に、のせる―。


「ヴァージンロードの途中で『娘は誰にもやれん!こんなの歩いてられるか!』とか言って逃げないで!戻ってきて、お父さーん!!」




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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ サカナクション『多分、風。』 × CM『資生堂 ANESSA 走る、真木よう子』 ★ 

気付けば、7~11月とショートショートをさっぱりUPしていませんでした。「これじゃ、いかん!!」と思い、月末ギリギリで速攻ショートショートを書きましたよ。超短かくて、ごめんなさい。今、私は読書熱が高くて高くて…。たまりにたまっている本を誠意読破中です!あ、ネタ帳はこっそり更新中ですので。
【ネタバレ注意】自作物語のネタ帳(プロット?) 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-382.html


① サカナクション『多分、風。』
https://www.youtube.com/watch?v=8lx0vLTH_yg
私の中でサカナクションの音楽は「或るアプレ記者~」の創作方面に頭がいってしまいがちなんですが、この曲と「新宝島」はそうはそうならなかったみたいです。メロディがどこかサカナクション「ユリイカ」に似ているような気がするけど、これはこれで好きだ。

② CM『資生堂 ANESSA 走る、真木よう子』
CMhttps://www.youtube.com/watch?v=es1OFoOh7y4
メイキングhttps://www.youtube.com/watch?v=T2KaFqP09sk
私の書いた物語はちょっとふざけてますが、資生堂さん、次はこんな感じのCM、いかがでしょうか?ウエディングドレスを着て走る真木よう子さんを見てみたいです!日焼けどめじゃなくても、崩れないファンデーションとかでも、この内容ならいけるんじゃないでしょうか?お父さん役を平泉成さんあたりにお願いして…なーんて。


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