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みなさん、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

私は4年半くらい前から物語ブログを始めたのですが、毎年個人的にお気に入りの小説ブログ様に自分て作った賞を勝手におくりたいと思いまして、こんな賞を作ってしまいました。名付けて…!

★☆自分的小説ブログ大賞☆★

生意気にすみません。賞品なんてありませんが…(苦笑)。

ちなみに、過去の受賞者・受賞作はこちら!

≫≫ Back Number
第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
第2回 自分的小説ブログ大賞 (2014) 河上朔『wonder wonderful』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-183.html
第3回 自分的小説ブログ大賞 (2015) 梅谷百『キミノ名ヲ。』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-381.html
第4回 自分的小説ブログ大賞 (2016) lime『KEEP OUT』『モザイクの月』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-398.html
第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017) 大海彩洋『清明の雪』『天の川で恋をして』
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-425.html

超個人的な賞を快く受け取ってくれた受賞者様に、ただただ感謝です><。


しかし、まだまだ他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!

そこで気が早いのですが、早速今年版の準備をして行こうと思っていまして、ここにその候補作を見つけ次第、勝手に更新&紹介させて頂こうかと思っています。(2018年はうっかりしていまして今の時期に候補作一覧UPになってしまいました。発表までもうしばらくお待ちくださいませ。もしかしたら、候補作が増えるかも!?) 最終的に年末、こちらでUPした候補作の中から、今年の大賞を選ぶ予定です。(惜しくも大賞を逃した作品は、来年度の候補作品としてそのまま残ります)

良ければみなさんも、ちょくちょくこちら覗いてみて下さいね☆
読むものをお探しの方のソムリエ的な役割ができたら嬉しいです。

候補作のブログ様で「気持ちは嬉しいけど、自分は遠慮したいかも…」という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ削除いたしますので、気にせず、言って下さいね^^


★ 第6回 自分的小説ブログ大賞 (2018)候補作一覧 ★

①お名前  :松原きのこ さん
 ブログ名 :『なついてくれてサンキューな』(休止中?)
 ブロアド :http://neboushitaze.blog.fc2.com/
 小説名  :『はぐれ者のおっさん』(短編小説)
 第1話  :http://neboushitaze.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
  選 評 :私が文部科学的な何か or 学校の先生だったら、夏休みの課題図書に推薦したいです☆

②お名前  :lime さん
 ブログ名 :『 小説ブログ「DOOR」 』
 ブロアド :http://yoyolime.blog83.fc2.com/
 小説名 :『凍える星』(中編小説)
あらすじ  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-669.html
 第1話  :http://yoyolime.blog83.fc2.com/blog-entry-671.html
  選 評 :小説ブログってこんなにレベルが高いんだ!私的「このミステリーがすごい!」作品☆

③お名前  :ヒロハルさん
 ブログ名 :『 三流自作小説劇場 』(休止中?)
 ブロアド :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
 小説名  :『それでも私を愛してくれますか』(長編小説/SF)
あらすじ  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-674.html
 第1話  :http://hiroharukohno.blog65.fc2.com/blog-entry-675.html
  選 評 :衝撃のラストに、あなたは『それでも私を愛してくれますか』。SF×恋愛小説の切なさがここに!!

④お名前  :ぐりーんすぷらうとさん
 ブログ名 :『修羅の門・刻 夢小説』
 ブロアド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/
 小説名  :『limeさんの絵につけた超SSS』(ショートショート)
 作品アド :http://hujoshiiroiro.blog.fc2.com/blog-entry-321.html
  選 評 :普段は夢小説を書かれているぐりさんが②でご紹介したlimeさんと物語×絵コラボ。熱望してたオリジナル作品も期待を裏切りません!

⑤お名前  :葉嶋ナノハさん
 ブログ名 :『はななぬか』
 ブロアド :http://hanananuka.sakura.ne.jp/index.html
あらすじ一覧 :http://hanananuka.sakura.ne.jp/syousetu-okiba.html
 小説名1 :『椅子カフェ堂』(長編小説/恋愛)
 第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0isucafedou-top.html
  選 評 :美味しい展開。満腹感の味わえる物語。嬉しい番外編は別腹でまだまだいける!椅子カフェ堂に恋をしたのは作中のお客さんだけではありません。一読者の私もです!
小説名2 :『ななおさん』(中編小説/恋愛)
第1話  :http://hanananuka.sakura.ne.jp/0nanaosan-top.html
選 評 :和菓子屋を営む壮介さんのもとに嫁いだ、ななおさん。わけあり『和』カップルの織り成す日常が優しい雰囲気で描かれています。これを読むと、いざ鎌倉着物デートしたくなります!なんと『ななおさん』は、アルファポリス様より書籍化!その関係で、現在冒頭数話と番外編のみUP。

⑥お名前  :空野みちさん
 ブログ名 :小説家になろう 『 空野みちさんのマイページ 』
 ブロアド :http://mypage.syosetu.com/25780/
あらすじ一覧 :http://ncode.syosetu.com/n5126g/
 小説名 :『 夏目さんと私』 (長編小説/恋愛)
 第1話  :http://ncode.syosetu.com/n5126g/1/
選 評 :登場人物が魅力的で名前も素敵!森見登美彦さん(より個人的に好き!)を彷彿させる『和』感覚で小粋な文章。丁寧に紡がれる物語に、ただただ、続きが待ち遠しい。なんていいところで~、くうっ!!

⑦お名前  :小池安雲(agumo)さん
 ブログ名 :『小説カラスト』(休止中?)
 ブロアド :http://karasuto.x.fc2.com/index.html
 小説名1 :『フレイム・イン』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/framein/top.html
 第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/framein/00.html
  選 評 :行動派で頑張り屋の秘書課OLが主人公。彼女の意中の人がデキる男でまた素敵。オフィスラブものってあまり興味がなかったのですが、安雲さんの描く物語はオフィスラブ+aって感じで面白い!個人的にドラマ化向きだと思うんですけど、どうでしょうテレビ局さん。
小説名2 :『ブーメラン・ラブ』(長編小説/恋愛)
あらすじ:http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/top.html
第1話  :http://karasuto.x.fc2.com/boomerang/1.html
選 評 :「フレイム・イン」で登場していた華英先輩が主人公。(話の時系列的にはこちらが先かな)彼女の社交術、学びたいです。でも、完璧女子じゃなくて恋愛下手なかわいい一面もあっていい。私の新たな憧れのヒロインになってくれました。

⑧お名前  :けいさん
 ブログ名 :『憩』
 ブロアド :http://meuniverse.blog10.fc2.com/
 小説名  :『セカンドチャンス』(中編小説/青春)
あらすじ:http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-274.html
 第1話  :http://meuniverse.blog10.fc2.com/blog-entry-275.html
  選 評 :突如謎の青年に誘拐されてしまった新社会人(代議士事務所勤め)の主人公・策。彼は誘拐犯と奇妙な逃避行?を通じて、自分の中のセカンドチャンスと向き合うことになる…。誘拐から生まれる友情が誰かの心の傷を癒すかもしれない。第1回分的小説ブログ大賞受賞作『夢叶』のスピンオフですが、これだけでも充分楽しめますよ!



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最近、続編ばかりでショートショートをあまり書けてません!なので、しばらくの間こちらをトップ記事に。良ければ、今宵はじめての方には1001夜本番前の前夜祭のような気分で、馴染みの常連さんには懐かしい1001夜同窓会のような気分で、こちらのショートショートをお楽しみ下さい。訪れたすべての方々に感謝を込めて。 

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↓↓【第321夜】 神様に愛されない ジャンル:友情 2018/02/14 01:40UP↓↓
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神様に愛された人間というのがいる。

才能にあふれ、まるで約束されたかのように表舞台に颯爽と登場し、人々の賛辞と脚光をあびる人間が…。

反対に、神様に愛されない人間というのもいる。

大した才能もないくせに、夢を追いかけ、神様に愛された人間の前で立ちつくすことしかできない憐れで滑稽な人間が…。

俺は一体どっちだったろう?  


    *


「あなたのピアノは完璧ね」

いつも正解を引き当てる。きっとあなたの性格が出ているのね、と先生はいった。あの頃、ジュニアのピアノコンク―ル入賞常連だった俺は先生のそんな言葉すら誉め言葉だと思っていた。笑える話だ。

「とてもコンクール向きだと思うわ」
「ありがとうございます、先生」
「でも、神様に…」

その先に続く先生の言葉をこの時の俺はまだ知らなかった。それが幸せだったのか、不幸だったのか、一人の少年に出会ったことで思い知ることになる。名前はユウキ。近所に越して来たばかりのはにかみやの少年で、ある日、俺のピアノの音につられてやってきた。

「お兄ちゃん、何してるの?」

うちの庭の窓ガラスにユウキはベタッと貼りついていた。普段はにかみやの少年がなぜか物々しく俺を凝視する。そのギャップに俺は笑ってしまった。

「ピアノを弾いてるんだよ」
「ピアノって、その黒いやつ?」
「そうだよ。いい音だろ?」
「うん、キラキラしてる」
「キラキラ?」

別にこの時の俺はモーツァルトの「きらきら星変奏曲」を弾いていたわけじゃない。でも、表現はつたなくてもユウキがまだ小さいなりに俺の演奏を誉めてくれたことはわかった。

「ありがとう、嬉しいよ。俺がつくった曲なんだ」
「え、お兄ちゃんがつくったの?」
「そうだよ」

コンクールの課題曲、自由曲は全部準備した。それこそ、ぬかりなく完璧に今回も。だから、この時の俺はちょっと息抜きをしていた。自分の中であふれる熱をもてあましていたのかもしれない。あの頃の俺は神童と呼ばれていたから。楽譜を開けば、正確なメロディが頭の中に流れ出す。どう演奏すればいいか作曲家たちは適格に教えてくれる。難解と呼ばれるバッハでさえ神童はその熱でのみこんでいた。

「すごい!僕もそれ、やりたい!!」

はじめて自分でつくった曲をほめられて、うかれていたのかもしれない。俺もしょせんはガキだった。ユウキとそんなに年もかわらないガキだったのだ。

「いいよ。教えてあげるよ。こっちにおいで」

俺は少年を手招いた。この時、不幸を手招いたとも知らずに…。

「おまえ、名前は?ちゃんときいたことなかったよな」
「ユウキだよ。お兄ちゃんは?」
「俺?俺は、そうだなあ。ハーメルンとか?」
「ハーメルンってお兄ちゃん、外国人だったの?髪は黒いし、目も青くないよ!?」
「日本人だって。ユウキが俺のピアノの音につられてやってきたからそう言ってみただけ。ハーメルンの笛吹きのピアノ版みたいなもんだろう。…って、あれはあんまいい話じゃなかったんだっけ?」

ユウキは、はにかんだ。

「だって、キラキラしてたから。今まできいた中で一番きれいだったから」

俺は嬉しくなり、ユウキの頭をくしゃくしゃと撫でた。すぐに俺たちは仲良くなった。でも、数時間後ユウキはそのはかりしれない才能で、あっさり神童ハーメルンを越えていった。

「わあー、ピアノってけっこう簡単なんだね!」

彼のあふれる熱に、俺は容赦なくのみこまれた。

この日から、俺はおかしくなった。楽譜を開いても頭の中にさっぱりメロディが流れてこなくなったのだ。作曲家たちはそろってそっぽを向き、何も語らなくなった。本当の神童の存在に気づき、そっちに行ってしまったのかもしれない。俺はあっけなくピアノを弾けなくなった。先生に相談すると、彼女はユウキを自分のレッスンに誘いだした。「ユウキくんは天才ね。きっと神様に愛された人間なんだわ」と彼女は目を輝かせ、俺に見向きもしなくなった。ユウキはコンクール入賞の常連と化し、プロの声がかかった。

「なんで?」

なんでユウキがそうなるの?俺じゃなくて。しかも神様に愛された人間ってなんですか、先生?ユウキは何もかも俺から奪っただけなんだよ。しょせんは俺の後釜でしかないじゃないか。そんなユウキが神様に愛されるって、

「おかしいだろう?」

きっとユウキがプロなんてそんな大舞台に立ったら、急に足が竦んじゃったりするんだ。演奏どころじゃなくなるんだ。すぐにあいつの化けの皮が剥がれる。

「お兄ちゃん、どうしてピアノを弾かなくなったの?」

お前のせいで弾けなくなったんだよ。

「お兄ちゃん、僕の演奏会に来てくれるよね?」

ああ。

「もちろん」

行って、この目でお前の無様な姿を見てやるさ。

「楽しみにしてるよ」

でも、ユウキは演奏会で大成功をおさめた。観客席で無様な姿をさらしたのは俺だった。


    *


神様に愛された人間というのがいる。

才能にあふれ、まるで約束されたかのように表舞台に颯爽と登場し、人々の賛辞と脚光をあびる人間が…。

反対に、神様に愛されない人間というのもいる。

大した才能もないくせに、夢を追いかけ、神様に愛された人間の前で立ちつくすことしかできない憐れで滑稽な人間が…。

俺は一体どっちだったろう?  


    *


時は経ち、大人になった俺のもとにユウキから一通の手紙が届いた。封を開けると、チケットだけが入っていた。

「あいつの日本公演のチケットなんていらねえよ。簡単に手に入らないプレミアものでも」

誰かに高く売りつけてやろうかと思ったが、結局行くことにしたのは自分の中で踏ん切りをつけたかったのかもしれない。俺はもうピアノに対して、音楽に対して、未練なんて何一つないこと。

「せいぜいお前は神様に愛されてればいいさ」

ユウキの日本公演は大盛況のようだった。会場となる大きなホールは満員で、外もチケットを手に入れられなかった人々で埋め尽くされていた。そんなやつらを尻目に会場に入り、自分の席を見つけ、ユウキのプログラムを確認して驚いた。なんだ、この統一感のないバラバラな曲目は。しいて言えば、難曲をただ並べているだけ。想像して、軽く胸やけを起こした。クラシックの名だたる作曲家たちが泣くぞ。こんなのを俺に聞かせたかったのかよ。でも、ユウキが俺を呼んだのは別にそれらを聞かせるためではなかった。

アンコールの一曲だけだった。

拍手の中、舞台に戻ってきたユウキは昔のまま、はにかんでいた。そのかわらない姿に少し苛立ちを覚えていると、彼は視線を彷徨わせ、一瞬俺と目を合わせたような気がした。そして、何かを呟く。それから椅子に座ると、文字通り髪を振り乱して弾き始めた。

「…なんだよ、これ」

彼のあふれる熱に、俺は容赦なくのみこまれた。

― お兄ちゃん、何してるの? ―
― ピアノを弾いてるんだよ。いい音だろ? ― 
― うん、キラキラしてる ―

お前は、何を弾いてるんだよ。

― ありがとう、嬉しいよ。俺のつくった曲なんだ ―

初めてピアノを教えた日にしかその曲は弾いてないはずだろう?なんで覚えてるんだよ!

― すごい!僕もそれ、やりたい!!―

やめてくれ。クラシックの名だたる作曲家たちが泣くぞ。

― だって、キラキラしてたから ―

 弾く直前、あいつは何かを呟いた。

『 今まできいた中で一番きれいだったから 』

俺は片手で目を覆った。苦笑した。いや、泣き笑いもいいところだった。確かに、俺は神様に愛されなかったのかもしれない。でも…、

「神様に愛された人間に、俺はこんなにも愛されていたんだな」

一体、自分は何をこだわっていたというのだろう。

― お兄ちゃん、どうしてピアノを弾かなくなったの? ―

もうどうでもよくなったよ、お前のおかげで。

演奏が終わったら、少年に会いに行こうと思った。
それからピアノの前にもう一度座って、自分の中のメロディに耳をすましてみよう。

いつかまたあいつを導くハーメルンになれるかもしれないから。



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
★ ドラマ『重版出来』
★ YURI on ICE『Yuri On Ice』

おそすぎかもしれませんが、今年もよろしくお願いいたします。今年、最初の物語はこれになったかーという感じです。なぜ、これになったのか。書きたいものは他にもたくさんあるはずなのに。物語の声に自分がさっぱり追い付けてません。

① 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
https://www.amazon.co.jp/%E8%9C%9C%E8%9C%82%E3%81%A8%E9%81%A0%E9%9B%B7-%E5%B9%BB%E5%86%AC%E8%88%8E%E5%8D%98%E8%A1%8C%E6%9C%AC-%E6%81%A9%E7%94%B0%E9%99%B8-ebook/dp/B01LPWS4X6/ref=sr_1_1?s=dvd&ie=UTF8&qid=1518714687&sr=8-1&keywords=%E8%9C%9C%E8%9C%82%E3%81%A8%E9%81%A0%E9%9B%B7
直木賞受賞、おめでとうございます!恩田ファンは嬉しいです。クラシック知識満載の感動作!

② ドラマ『重版出来』
https://www.amazon.co.jp/%E9%87%8D%E7%89%88%E5%87%BA%E6%9D%A5-DVD-BOX-%E9%BB%92%E6%9C%A8%E8%8F%AF/dp/B01GZPDB4A
一話完結ドラマ。その中で忘れられない物語があって。プロ漫画家になれず、何年も漫画家のアシスタントとして、もがき続ける男(ムロツヨシ)の前に新人漫画家(永山絢斗)が現れます。新人漫画家の才能に打ちのめされ、男はある事件を起こし…。終盤、編集者に駄作だと言われた男の漫画をはじめて認めてくれたのはその新人漫画家だとわかります。「なんでお前なんだよ!」と叫ぶムロさんが切ない。

③ YURI on ICE『Yuri On Ice』
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30288572
私の中でピアニストになった少年がアンコールで弾いた曲はこのイメージ。このピアノ曲、凄く好きです。恩田さんの『蜜蜂と遠雷』を読んでいた時、名だたる作曲家の名曲ではなく、ずっとこの曲が私の中でなぜか流れていました。(クラシック、詳しくなかっただけか)そう言えば、オリンピック団体のアイスダンスの演技にも使用されていて素敵だったな。


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-415.html

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       おやっさん、温泉事情を語る?(時をかけるおやっさん?12)
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「それとも、お兄さん。うちの湯殿じゃなくて大衆浴場に行ってくる?あそこなら広いし、湯船につかれるわ。さっぱりして、気分もだいぶ良くなると思うの。あ、大丈夫ですよ。お金は貸しますから。ごはんができるまでゆっくりしてくればいいわ」

蹊国(けいこく)は実は温泉大国としても有名なのだが、それは源泉の多い山間地域に限った話ではない。ここ人口密度の高い丘陵地である首都・成安(せいあん)にもいくつかの温泉がある。

貴族レベルにもなるとお金をかけて自宅まで源泉をひいていたりもするのだが(スゲーよな!)、お金のない俺たち平凡庶民は自宅の井戸水や近くの川で水浴び、行水するのが精一杯だった。

でも、いつの王の時代だったか、とにかく異様に顔の濃ゆい王様が「すべての道は温泉に繋がっている。温泉は我が国の文化だ!身分に関係なく、等しくみんなで楽しむべきである」といって大々的な工事を行い、庶民でも温泉を楽しめる施設を作ってくれた。それが大衆浴場である。

王様としては大衆浴場を庶民に無料提供したかったそうなのだが、さすがに臣下に止められたらしい。

「王様、庶民からお金をとって下さいね!大衆浴場の工事費どんだけかかったと思ってるんですか!?しっかり元をとって下さいよ!イイデスネ!!(…っていうか、すべての道が温泉に繋がってるっていうなら、道歩けばどこかしらの温泉には辿りつくんじゃね?わざわざ庶民のために大衆浴場なんて作る必要ないんじゃ…?)」

…まあ、そんなわけで庶民の懐事情を慮った優しい価格(有料)で大衆浴場は国が絶賛運営中だ。

裸の付き合いは友情を育むもの。しょうがない。ここは俺がこのキレイな男を大衆浴場まで連れて行ってやるとするか。俺の背中を流させてやってもいいぜ!そんなふうに気前よく俺が思っていると(アニキ風を吹かせたいだけ?)、キレイな男は首を横に振った。

「良ければ、この家の湯殿を貸して下さい」
「あら、いいの?お兄さん、お金は気にしなくていいのよ。それに、うちの湯殿は広くないのよ?」
「構いません、奥様」

男はそのキレイな顔で女房にとっておきの笑顔(キラースマイル)を見せる。…奥様…?今、こいつ俺の女房のことを奥様って呼ばなかったか!?心なしか女房は少し嬉しそうだ。

「あら、やだ。庶民の私はそんな奥様なんてガラじゃないのよ。八百屋のおかみさんがいいところ。だから、おかみさんって呼んでちょうだいな。じゃあ、お兄さん。うちの湯殿を使って。案内しますから」

おいおい、ちょっと待てよ。俺としては娘の淑玲だけでなく、この男と女房がうちの湯殿にふたりきりっていうのも不安なんだが…。





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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-415.html

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       おやっさん、宇宙を感じる?(時をかけるおやっさん?11)
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彼女はテキパキと指示を出す。

「まずはお兄さんの体をきれいにしないと。淑河は井戸から水を汲んで湯殿(といっても蹊国庶民の湯殿は、そう立派なものではない。浴槽だってあるわけではなく、体を拭いたり、手桶で水をかけたりするところ。人がひとり~ふたりくらいが入れる大きさの部屋)へ来て。淑玲は手巾をたくさん持ってきてね。それでお兄さんの体の汚れをおとさないと。あと、着がえも忘れずによろしく。テキトーに父様の服をぶんどって…いいえ、選んで持ってきてちょうだい。淑玲、それが終わったら店番を頼みますよ」

ん?今、女房のやつ「ぶんどって」って言わなかったか。…気のせいか?

「で、あなた…あなた、聞いてます!?」
「は、はい!」

俺は反応が遅れて、ついどもってしまった。

「あなたは淑玲が来るまで店番をしていて下さいな。その後、お料理をお願いします。もう晩御飯もまとめて作ってしまっていいんじゃないかしら?今日はお兄さんを入れた分、作って下さいね。彼はお腹を空かしてるから、多めでいいかもしれなわ。淑河をあとでそちらにいかせますから、人手は大丈夫ね」

女房は俺たちコント・ファミリーを見事に束ねていく。(っていうか、あれ?コント・ファミリーに女房は含まれてないのか…?)彼女は最後にもう一度、パンパンと手を叩いた。

「みんな、やることはわかったかしら? ゆー、こぴー?」
「「あい、こぴー!(了解)」」
「それじゃ、各自行動を開始してちょうだい!」
「「淑玲(淑河)、行きまーす!」」

一瞬、やりとりに宇宙空間を感じたが、それも気のせいだったのだろうか?瞬間的に、俺の魂だけがその空間を惑っただけか…?

「いかんいかん!だとしても、それがどうした!」

目の前に机がなかったので、俺は自分の頭をベシッと叩いたのだった。

いつの間にか、それぞれが仕事に取り掛かかっていた。淑河は井戸へ水を汲みに。淑玲は家へ手巾と着替えをとりに。…あれ。そう言えば、指示を出していた女房はどうするのだろう…?

「さあ、お兄さんは私と一緒に湯殿へ行きましょう。ついてきて下さいな。あなた、歩けるくらいの体力はあるんでしょう?淑玲を抱きしめていたくらいですもの」

キレイな男は軽く舌を出した。女房は自分の腰に手をあてる。

「あなたの体を拭く手伝いと怪我の手当は私がします。ごめんなさいね、淑玲じゃなくて。お兄さんはあの子をとても気に入ってくれているようだけど、一応嫁入り前の若い娘だから(とはいっても、まだどこにも嫁に行く予定もない。色恋などに興味がなかったりするけども)わかってちょうだい」

そうか。だから、俺の後の店番を淑玲にまかせたのか。このキレイな男から娘を一時的に離れさせるために…。女房なりに娘の身を案じたのだろう。




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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-415.html

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    おやっさん、イケメンについて考える?(時をかけるおやっさん?10)
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その微笑に、淑玲はっと我に返った。

「…だから何から助ければいいの、お兄さん?」
「………から」
「え?」

淑玲も俺も、その声は小さくて聞き取れなかった。キレイな男は辛そうに片手を伸ばす。淑玲がしっかりとそれを自分の両の掌で包み込んだ。男は安心したように静かに目を閉じる。

「……空腹から」
「「「「…え?」」」」
「僕を空腹から助け出して」

俺たち家族はそろって、ぽかんと口を開けた。頭上を「アーホー」と鳴く烏の声がする。えーっと、なんだ?空腹がどうしたって…?空腹は最高のスパイスってアレなんだっけ…?(←全然関係ない)

やがて、淑玲が呆れたように声を上げた。

「…確かに言ってたうちのどれでもなかったわ。もったいぶって、なんて無駄な前振り!!」

キレイな男が片目だけ開ける。

「そういう顔もカワイイね!」

カッとなった淑玲は男の手を地面にたたきつけようとした。男はひょいとそれをかわすと、勢い余った淑玲がドサッと男の胸に倒れ込んだ。

「ぎゃー!」

淑玲を抱きとめた男はなんだかとても嬉しそうだ。

「悪いんだけど、お腹がすいて力が出ないんだ。キミは、僕を助けてくれる?」
「お兄さん、力あるじゃない!今ぎゅーって、ぎゅーって!!ちゃっかり私を抱きしめてるじゃない!!」
「ちょっと、そこのイケメンアン○ンマン!妹に何してるの!?淑玲を離しなってば!」

淑河が慌てて駆けつけて、キレイな男から淑玲を引きはがした。

「ん?」

ちょっと待て。淑河の言う、イケメンアン○ンマンってなんだ!?息子よ、それはちょっとおかしいんじゃないか?果たしてアン○ンマンはイケメンなのか…?確かにヒーローだけど、彼は別にイケメンじゃないよね…?俺的には、しょく○んまんがそうなのはわかるんだが…。もしかして、ヒーローは誰でもイケメン枠、確定だったりするのか!?まさか…カレー○ンマンもイケメン枠、いけちゃう感じか!?

なぜか憐れむように、女房が俺の肩に手を置いた。

「はいはい、あなたはイケメンアン○ンマンに気をとられ(くいつき)すぎですよ。淑河はただお兄さんの『お腹がすいて力が出ない』の台詞がアン○ンマンのそれに似ていたから反応しただけですよ。あなた、私たちが今すべきことは何ですか?それを考えましょうね」
「うむ、そうだな。とりあえず俺的には、アン○ンマンとカレー○ンマンは外見はイケメンじゃない。だが、しかし中身はイケメン!そういうことにしといてやろう」
「…はいはい、もう何でもいいですよ」

女房はため息をついてから、パンパンと手を叩いた。

「淑河、淑玲、そして、あなた。うちのコント・ファミリー、聞いてちょうだい!その顔はキレイだけど、体が少々汚れているお兄さんをうちで介抱する準備をしましょう!」

我が家の最終兵器である彼女(女房)が出動したようだ。

「では、役割分担を決めますよ」


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-415.html

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       おやっさん、娘を試される?(時をかけるおやっさん?9)
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「悪くないね」

この時、俺はなんとなく淑玲がこのキレイな男に試されているのではないかと思った。どうしてそう思ったのか、自分でもよくわからんのだが…。

「で、キミは僕を助けてくれるの?」
「う~ん、それは…」

淑玲は一呼吸おいて、にっこりと笑ってからこう言った。

「それはあなた次第よ、お兄さん」

キレイな男は不思議そうに淑玲を見返した。しゃがみこんで、淑玲は男の顔を覗き込んだ。

「助けるって、どうすればいい?」

淑玲は何を言ってるのだろう?「どうすればいい?」って、どういうことだ。道端で倒れてたんだから、ただ介抱してあげればいい話じゃないのか…?

このキレイな男はそうは思わなかったらしい。何かを感じ取ったのか、その麗しい目を見開いた。

「聞き直すわね、お兄さん。私はあなたを何から助ければいいの?」

もしかしたら、淑玲はこの場だけの介抱がこの男にとって本当の助けにならないことを直感的に見抜いたのだろうか?だから、そんなふうに聞いているのだろうか?

キレイな男は声を上げて笑った。

「…『何から助ければいい』か。いきなり核心的なところをついてくるなあ。…でも、そうだね。キミはそういう子だったな」
「え?それはどういう…」
「ううん、なんでもないよ。こっちの話だから」

…なんだかよくわからん。淑玲もそうなのか小首を傾げている。男は続けた。

「それに『助けて』なんて簡単に使う人間に限って、自分の問題をきちんと見極めてなかったりする。悲劇のヒロインぶって、そう言ってるだけのやつもいれば、単に他人に面倒事を押し付けて丸投げしたいやつもいるしね」
「お兄さんは、違うの?」
「キミにはどう見える?」
「そのどれでもないと思う」
「どうしてそう思うの?」

淑玲は「失礼なことを言ったら、ごめんなさい」と前置きしてから、(俺は「おいおい、今更かよ!?」と思ったがね…)話し始めた。

「さっき、お兄さんがその話をするときに、…少しそういう人たちを見下しているような口ぶり…響きがあったから。自分は違うんだって思っているから、そう言ってしまったし、私にもそう聞こえたんじゃないかって…」
「なるほど。そうだね。僕はそう思っているところがあるかもしれない。それが声にあらわれていたかもしれないね」

キレイな男は面白そうに「それで?」と先を促した。淑玲は男が特に気にしてないことを知ると俄然勢いづいた。顔をぱっと輝かせる。

「それと、これは今お兄さんと話してて感じたんだけど、あなたの性格的に本当の答えはもったいぶって最後まで教えくれなさそうだから!!」

それを聞いた途端、キレイな男はぷっと吹き出し、笑い出した。

「あはは、キミは本当に面白いな!」
「え?」
「僕、そんなふうにズケズケ言われたのって初めてだよ!…あ、違ったかな。初めてではないのかも…。まあ、いいや。それより僕ってそんなやつに見えるんだ?」

さすがに調子にのりすぎて恥ずかしさを覚えたのか、淑玲は少し気まずそうに男から視線をそらした。

「…なんとなく…そう思った…だけ………です」
「ふうん。そうなんだ。なんとなく、ね?」

キレイな男が探るように、淑玲を見つめている。淑玲の顔がほんのり赤くなった。まるで桃みたいだ。その初々しい反応にちょっとほっとする。やっぱり娘なんだなと一安心だ。

「…僕はやっぱりキミがいいな」
「へ?」

キレイな男は意味ありげに微笑んだ。

「僕はキミに助けてもらいたい」



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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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       おやっさん、美男子に惑わされる?(時をかけるおやっさん?8)
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「ちょっとちょっと、そこのコント・ファミリー!」

突然、俺たち家族以外の声がした。

「僕を助ける気があるの?ないの?どっちなの?」
「「「「え?」」」」

…まさか、これは天の声か…?

「倒れている人の近くにいて何もしないで放置とか。しかもコントを始めちゃうとか。一体どんだけなの…?このキレイな顔で助けてもらえないなんて、僕の美貌が一番無駄でガッカリだよ」

いきなり目の前の死体(←生きてます)がもぞもぞと動き出した。俺は声にならない声を上げ、隣にいた女房に抱きついた。そして、動じてなさそうな愛娘・淑玲を前に押しやった。

「娘を楯にするなんてあんまりよ、父様!」
「すまんっ!!つい反射的に…」
「何それ!?ヒドイ!!」

悪気はないが、いたしかたないだろう…。

ぷんすか怒り出す淑玲を楯に、俺は死体(←生きてます)を見つめた。そいつは体を地面に横たえたまま顔だけこちらを向けると、「まだコント・ファミリーはコントを続けるの?」と、形のいい唇で微笑んだ。

やたらめったら顔はキレイなのだが、全体的にそいつは薄汚れていた。腰までの長い髪も乱れている。でも、それがかえってゾクッとするほどの色気を漂わせていた。何なの、この人!?

「うむ。女だったら、ときめいていたかもしれん…」

うっかりもらした言葉に、自分の禁断の扉が開きかけていることを知って焦った。「いかん!いかん!」と、ぶんぶんと頭を振って邪念を払う。それを見ていた女房が「あなた、バカなの?」とさらりと俺を諌めた。「でも、その気持ち…ちょっとわかるわ」と今度は女房がうっとりため息をもらす。その言葉に、彼女の禁断の扉が開きかけていることを知ってまた焦った。

「ぐぬぬ、俺と女房をダブルで惑わすとは…!」

ホント何なの、この人!?

「そんなに見つめられると照れるな」

俺たち夫婦のやりとりに、キレイな男は面白そうに目を細めた。狼狽えている俺を淑玲がその小さな背で守ろうとする。その男らしい振る舞いに、一瞬娘であることを忘れそうになった。

「無駄にキレイなお兄さんはここで何をしてるの?」

男を不審がるように、淑玲は続けた。

「私たちに助ける気があるのか聞いていたけど、あなたは助けてもらいたいの?」

キレイな男はただ微笑み返すだけ。なんだか胸の内が読めないやつだった。淑玲はやれやれと肩をすくめた。

「体が少し汚れているけど、具合が悪そうには見えないのよね。一応聞くけど、どこか痛む?苦しかったりする?」
「大丈夫。どこも痛くも苦しくもないよ。ねえ、キミ、親御さんよりも随分落ち着いてるね。冷静な子は嫌いじゃないな」
「無駄口きけるみたいだし、大丈夫そうね」
「あはは!無駄無駄ヒドイな、さっきから」

「ごめんなさい。つい本音がポロリ」
「あはは。またヒドイな。でも、カワイイ唇で『無駄』なんて言葉をあんまりいうものじゃないよ。せっかくのキミの魅力を下げてしまうから」

普通の若い娘なら美男子様にそんなことを言われた日にゃポッと顔を赤らめたり、メロメロと腰砕けになったり、逆に照れ隠しで怒りだしたりすると思うんだが、うちの娘はそのどれでもなかった。

「ありがとう、お兄さん。ちなみに、カワイイって言ってくれた唇は母様似。警戒心の強さは父様似なの」

と、笑顔で切り返した。普段の淑玲なら、何ともいえない微妙な顔で「何、言っちゃってるの?この人…」とドン引きするところだと思うんだが、さすがに初対面というのを考慮したのだろうか。笑顔で忠告にとどめた。キレイな男は興味深そうに淑玲を見やった。



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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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       おやっさん、見咎められる?(時をかけるおやっさん?7)
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「そんなことはないぞ。ちょっと遠目にそう見えただけだ…」

娘に指摘されたことが悔しくて、俺は慌てて取り繕った。

「それに道端で薄汚れて倒れている人間を見たら、そう思っちゃうじゃないか!?ほら、見ろ!淑河だってそいつを死体と怯えて、木の枝でつついてるぞ!!」

淑玲がそんな淑河を見て仰天した。

「ぎゃー!兄様、何をしてるの!?そんな木の枝でツンツンしちゃダメよ!この人は、まだ生きてるの!!無駄に倒れただけなのよ!!無駄死にしてないの!!」

俺は淑玲に聞こえないように、ボソッと呟いた。

「…お前もさっきから、大概ヒドイけどな。無駄が多いんだよ、無駄だけに」

「ぷふー」っと、俺は一人吹き出す。そんな俺を見咎めたのは、今度は女房だった。

「何をやってるんですか、あなた。淑玲に言われたことが悔しくて、淑河まで巻きこむなんて大人げないですよ」

どうせ俺は見た目は大人、頭脳は子供ですよ…。

「すみません」

俺はどうも女房に弱かった。これもホレた弱みなのか…。いや、彼女にうまく手綱を握られているからだろうか。よく考えが一人歩き(暴走?)する俺を女房はいつも諌めてくれる。でも、最後には「あらあら、まあまあ。あなたって人はもうしょうがないわねえ」と、おおらかに笑って許してくれるのだ。『そこそこ親父』の俺にしちゃ、随分とデキた女房なのさ。

「あなた、わかってくれればいいんですよ。淑河(は、たぶん気づいていないだろうけど一応きちんと)謝って下さいね」
「……はい」

しゅんと小さくなる俺を見て、淑玲が可笑しそうに笑った。

「大人げないなんて。父様、父親の面子丸つぶれなんじゃ…!?」

ちょっと待て!お前にだけは言われたくないんだが…!!もとはと言えば、淑玲!お前のせいなんだぞ!!(そのへん、わかってんのか!?)

「ダメよ、淑玲。父様にはもっと敬意を払いなさい。この家を守ってくれているのは誰?それは、あなたの目の前にいる父様なんですよ!」

今度は淑玲がしゅんとしぼんだ。

「はい、母様…」

根が素直な淑玲は「ごめんなさい、父様」と、すぐ俺に頭を下げた。別に喧嘩両成敗(?)ではないんだが、女房はきちんと淑玲も注意した。俺のことを父親として、一家の大黒柱として、たてるのも忘れなかった。ナイスアシストだぜ、女房!!俺はこっそり親指をグッと立てた。

…でも、そういうわけでもなかったのだろうか。

「ふふふ。少し淑玲の言う通りかもしれないわ。ちょっと父様、カッコ悪かったわねえ」

何気にツボにハマっていたのか、女房も、しばらくしてから、くすくすと笑いだした。

「がーん!!女房、お前まで!?(しかも、カッコ悪いとな!?)」

それを見て淑玲もいつもの調子を取り戻し、「でしょう、母様!!」と一緒に笑い出した。

おい、なんだ。この俺がじゃっかん可哀そうな展開は…!?オチそうなところを寸ですくってすくって…でも、最後にやっぱりオトすみたいな…?安心させておいて、最後は俺の期待をあっさり裏切る、みたいな。そうか、そうか。結局、オチ担当は俺っだったのか、みたいな…。

「ぐぬぬ…!」

愛娘に指摘(バカに)され、愛する女房にも納得(バカに)され、俺はますます父親としての威厳と貫禄を失う始末…!!頭を抱えて、俺は絶叫した。

「ありえーん!!認めーん!!許せーん!!」

そこを狙っていたのだろうか…。今まで黙りこくっていた淑河がいきなり口を開けた。そして、間の抜けた声で俺にこう言った。

「父親の面子丸つぶれ?そうなんだ。知らなかった。父様の顔って丸くてつぶれてるんだ?かわいそう…」

俺と女房と淑玲は目が点になった。…もしかして、この子、意味わかってない…?

「ええい、もう!淑河、お前は黙ってろ!!むしろ(頭が)かわいそうなのはお前だ!」





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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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       おやっさん、回想する?(時をかけるおやっさん?6)
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「どうして、僕が淑玲ちゃんのことを好きかだって?」
「うむ」
「おやっさんは僕が淑玲ちゃんを好きになった理由、きっかけを知りたいのかあ…」
「…まあ、そうなんだが」

お兄さんは不思議そうに俺を見返している。

あれ、俺なんか変なこと、言った…?娘を持つ父親としては、ごく真っ当な質問だよな?愛娘(?)の旦那になりそうな男に、「お嬢さんを僕に下さい」というだろう未来の息子(?)に、父親が一番訊ねそうなことじゃないのか?俺は自分のちょび髭を撫でながら、お兄さんの次の言葉を待った。

「…好きになった理由、きっかけねえ」

今度はお兄さんが何やら考え込んでいる。

その…お兄さん、あんたが本気だって言うんなら、俺としては、本当にうちの婿養子になってくれてもいいんだぞ?「おやっさん」から「義父様(とうさま)」に昇格してもいいんだぞ?

お兄さんはようやく口を開けた。

「う~ん、それは…」
「それは…?」

俺はごくりと唾を飲み込んだ。

「恩人だからかな」

とても意外な言葉だった。

「お、恩人!?」

俺が思わず聞き返すと、お兄さんは微笑んだ。

「そう、恩人!」

さっき空にはばたく鳥を眺めていた時と同じ、とても優しい顔をしていた。

「淑玲がお兄さんの恩人とな!?」

本当にそうなのだろうか。これまであいつがお兄さんに助けられることはあっても、その逆なんてことがあったのだろうか?これもまた俺が知らないだけか…?

「う~ん!?」

首をひねりまくる俺を愉快そうに眺めて、お兄さんが「おやっさん、首がもげちゃうよ。しょうがないなあ」と教えてくれた。

「淑玲家族(ファミリー)のみんなは忘れてしまっているかもしれないけど、みんなのおうちに最初に招いてくれたのってさ、きっかけは淑玲ちゃんなんだよ」
「え?そうだったけか!?」

あれ、最初にうちに招いたのって…お兄さんが腹を空かせてて俺が餌付けした時だよな。

「ちょっと待って、お兄さん!今、俺の記憶を少しプレイバックするから」
「え?(プレイバック機能搭載!?)」

記憶を少しだけ巻き戻してみよう…。俺がお兄さんと初めて会ったのは一体いつだったけ…?

はっきりとはわからんが、もう淑河や淑玲がそこそこ大きくなっていたような気がする…。性格と能力が正反対の双子だったが、それがよかったのか喧嘩をすることもなく仲良く育っていた。

淑河の天然具合と淑玲のデキの良さが目立ってくると「性別が逆なら、良かったのにね!」と他人様に言われることはしょっちゅうで、俺は「ハイハイ、ソウデスネー」とへらへら笑い返していたっけ?

でも内心は「おい、こら!お前ら、人んちの子供を好き勝手言いやがって。双子が聞いたら傷ついちゃうだろ!思ってもいいけど、口に出すなよ!そこはお口チャックだろ!大人のエチケットだろ!」とこっそり中指を立てていたような気がする。うむ、俺もまだまだ親(人)として未熟で、若かったのかもしれん…。

そんな時くらいだったかな。

「父様ー!母様ー!兄様―!」

たぶん、春のうららかな陽気だった気がする。外で淑玲の騒ぐ声がした。

「父様ー!母様ー!兄様―!来て来てー!!」

「こら、淑玲!近所迷惑になるから、騒ぐのはやめなさい!!」と俺が注意しようとすると、淑玲が大声で、

「大変!!無駄にキレイな人が、道端で無駄に倒れて、無駄死にかけてるー!!!」

というじゃないか!俺は慌てて外に飛び出した。

「淑玲、何を言ってるんだ!?死体に無駄無駄、連発したら失礼じゃないか!!祟られるだろう!?やめなさい!!」

淑玲は俺の台詞を聞いて、しばらくきょとんとしていたが、意味を理解すると「まだ死体じゃないんだけど。ねえ、父様の方がヒドくて失礼なんじゃ…?」と俺に冷たい目を向けた。




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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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       おやっさん、ミステリアスになる?(時をかけるおやっさん?5)
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俺は勇気(できれば100%)を出して、お兄さんに聞いてみることにした。

「おやっさん…?」
「………」

さあ、聞け!聞くんだ!!何を怯んでる、俺!お兄さんに向かって「いい加減、吐いちまいな(ネタはあがってるんだ)!」と刑事ドラマよろしく、渋くキメればいいだけだ!さあ、お兄さんの心を楽にさせてやれ!!それができるのは現場に居合わせた、ここにいる俺だけなんだ!!(?)

よくわからない使命感に燃え、俺は大きく息を吸い込んだ。お兄さんのキレイな瞳とぶつかる。

「おやっさん?」
「だがしかし、聞けーん!!」
「え?」
「…あ、しまった。声に出てた!!」

お兄さんは訝しげに俺を見た。「なんでもない、なんでもない」と、俺は笑ってごまかす。打って変わって、俺のあやしさが100%だった。

「どうしたの、おやっさん?何か気になることでも?」
「いや、そのー…」

俺が勝手に一人でモヤモヤした気持ちを抱えていると、お兄さんが「しょうがないなあ、おやっさんは」と可笑しそうに笑った。

「おやっさんの知りたいことを教えてあげようか」
「え?」

ふっと笑って、お兄さんはぐしゃぐしゃになっていた俺の髪を手櫛で直す。

「僕は淑玲ちゃんのこと、好きだよ」

え、今なんて…?

「心の声がダダ漏れだよ、おやっさんはー。これが聞きたかったんでしょう?」

お兄さん、エスパーかよ!?…ってそうじゃなくて!!

「マジか、お兄さん?…っていうか、マジなのか!?」

俺は驚きを隠せなかった。自分の娘のことを悪くいうつもりはないんだが…。特技→悪知恵、持ち味→可愛げのなさ、極めつけ→「石橋なんてたたかなくても端っこ歩けば特に問題ないじゃない?」の○休さん的行動派の淑玲だぞ!?ちなみに、外見は割と地味目でフツーだ。(←ヒドイ)

「うん、『マジか』だよ。『っていうか、マジなのか』だよ~。これ、『マジ』って3回くらい言った方が信じてもらえる感じ?」

お兄さんはケロッとそう言ってのける。マジか!(3回目)

「相当な物好きだな、お兄さん!!」
「へ?」
「金持ちの坊ちゃんも謎だが、お兄さんも謎だ!」
「あはは!おやっさん、自分の娘なのにヒドイなあ。淑玲ちゃん、怒っちゃうよ~」
「そんなことを言われても…」

こう見えて俺は自分の子供たちに厳しい評価をつける男なんだ!(自分にはかなり甘々だが)

にしても、お兄さんならもっといい女を好きになっても、全然良さそうなんだが…。そうだよ!だって、あれだけの美男子なんだ。女なんてヨリドリミドリ。選び放題のはずだろう?ヨユーで凄い美女をつかまえられるだろうにさ…。俺がお兄さんくらいの美男子だったら、ハーレムを作っちゃうぞ!

「もったいないなあ…」

もしかして、俺が気づいてないだけで淑玲は隠れた美少女だったりするのだろうか…?(←惜しい!化粧映えする子です)は!まさか俺が知らないだけで、現代の美女基準は割と地味目でフツーだったりする?

どっかの国の貴族が平安をうたっていた時代でおかめ顔がそう思われていたように!(まあ、『世界の美女1○○人』の基準だってよくわからない俺に言われたくないかもしれないが…)う~ん、その…なんだ。人の好みなんて、他人が口出しなんてできんか…。

「…謎だ。これはもう俺的七不思議の一つに認定だな」
「え?」
「なんでもないよ、お兄さん。俺の勝手な謎認定さ。ふっ、心を鷲掴んでくれたミステリーとでも言うべきかな」
「ナニソレ!?」
「ところでお兄さん」
「いやいやいや!さらっと流そうとしないで、おやっさん(残り六つとかも何気に超気になるんだけど!僕だけ!?)」

お兄さんが意外な食いつきを見せ、俺は「ふっふっふ」ともったいぶって笑う。

「それは話すと長くなるから、また今度な」
「えー?」

お兄さんは不満げに「ぶーぶー」言っている。甘いな、お兄さん。この物語のミステリアス担当が自分一人だなんて思うなよ~。いつもヨユーをかましているお兄さんと立場が逆転したような気がして、俺はたまらなく嬉しくなった。…おおっと、いけない、いけない。

「さて、話を戻さないとな!」

俺は気持ちを切り替えて、本題に入った。

「お兄さんは、どうしてうちの淑玲のことが好きなんだい?何かきっかけみたいなのが、あったのかね?」

ここは押さえとかなきゃいかんなと俺は腕組みをして、お兄さんを見つめた。娘の父親としての威厳と貫禄を見せねば!(ちなみに、「すでに遅いんじゃ…」という意見は却下なんで!)



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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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    パチモンお嬢様、自由に思いを馳せる!(それいけ!美芳10)
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「…べ、別に思い悩んでなんか!」

私は思わず顔をそむけた。お兄さんに心を見透かされたのが悔しかったから。それとその麗しい目に優しげに見つめられると、何とも気持ちがそわそわして、居心地が悪くなるからやめてほしい。超絶美形男は自覚があるのかないのかわからない。だから余計にタチが悪い。

「そう?僕の勘違いか。ごめん、ごめん。でも、何で顔が赤くなってるんだろうね、美芳ちゃん?」

お兄さんが妙な流し目をくれる。絶対、自覚してるわ、この人…。私のことなんて別に好きでもなんでもないくせに!ああ、嫌だ!嫌だ!!

見上げた空は快晴で束の間の自由を満喫するにはもったいないくらいのお天気だった。そこを気持ちよさそうに飛んでいく鳥の姿に目を奪われる。

「自由かあ…」

眩しそうに眺めていると、不意にお兄さんが言った。

「憧れる?美芳ちゃんの自由って、あーいう想像(イメージ)なのかな?」
「…そうかもしれない」

かごの中の鳥は青空に憧れるって言うじゃない?でもそれは私に限らず、誰しもちょっとくらいは感じてしまうものなんじゃないのかな。みんな自分という枠にとらわれていたり、生まれや環境に縛られていたりするところがあるんじゃないだろうか。広い空を羽ばたく鳥を見て、たいていの人は自由に思いを馳せるんじゃないだろうか?

「お兄さんは違うんですか?」

…ねえ、あなたもそうなんじゃないの?

「そうだねー、僕は…」

お兄さんが空を眺め、眩しそうに目を細めた。

「自分を鳥に重ねるより、僕はそうだなあ……ねえ、美芳ちゃん、知ってる?」
「え?」
「どこかの国のおとぎ話にね、こういうのがあるらしいんだ」

私はお兄さんを見つめた。…おとぎ話…?

「鳥の背中にのって大冒険に出る子どもの話」

知らなかったので、私は首を横に振った。お兄さんはふっと笑った。

「僕はね、自分自身を鳥に重ねるというよりも、そのおとぎ話みたいに鳥の背中に乗って空を飛びたいかなあ」
「なに、それ?」
「一緒に空に飛び込んでもらいたい。そう思っているのかもしれないな」


お兄さんは快晴の空に手をのばした。今の彼の台詞は私の質問に答えてくれたのだろうか?それとも応えてくれたのだろうか…?

「う~ん。よくわからないけど、お兄さんの自由は厄介そうだ…」
「ん?」
「そのおとぎ話の内容が具体的にどういうものか知らないから何とも言えないけど。お兄さんの性格からして、自分は楽して他人の自由に便乗しちゃおうともきこえるし、実は誰かの手助けを借りないと自分の自由は手に入れられないとも聞こえるし…。お兄さん自体が厄介というかなんというか…やっぱり謎な人だわ」

私の感想にお兄さんは「美芳ちゃんは、面白いなあ!」と声を上げて笑った。私は眉間にしわを寄せた。これでまた顔が厳つくなっているはずだ。


「ウケるな、その顔!」

お兄さんはお腹を抱えて笑ってくれた。私はさらに顔を厳つくしてみた。

「でも、お兄さんの誰かと一緒に空に飛びこみたいっていうのは、なかなかいい発想かもね!ひとりよりふたりの方がずっと楽しそう!」
「でしょう?」

私も快晴の空に手をのばした。

「そうね。別に自由と孤独がペアである必要はないんだわ。人それぞれ感じ方、考え方があっていいのよ。それこそ自由に!」

空はどこまでも高く遠い。届かないものだと知りつつも、私たちは手を伸ばしてしまう。近い未来、私は一緒に誰かと羽ばたくことがあるだろうか?

「はやく見つかるといいわね!」
「え?」
「お兄さんの鳥」
「…もう見つけたかも」




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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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    パチモンお嬢様、かわいい顔が台無しになる!(それいけ!美芳9)
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「そうですか。なら、自分が思うように、好きなように、自由に楽しく生きればいいわ!」

そう吐き捨てるようにお兄さんに言ってから、ふと気づく。…あれ?この人、今なんて言った…?

ー そうかもしれないね。僕はそうやって生きたかったから ー

それってどういう意味なのだろう?今まではそんなふうに生きてこられなかったということかしら?

「…お兄さん?」

私は改めてお兄さんを見つめた。お兄さんはすっかりいつもの調子だ。

「あはは、美芳ちゃんは面白いなあ。絶対僕がお世話になっている家のあの子と気が合うと思うんだよねー」
「は?」
「かけがえのない親友になるかどうかわからないけど、いい友達になりそうなのになあ」

一体なんの話をしているんだ、この人は…?

まあ、いいわ。それはまあ置いておくとして。

「そう言えば、さっき…」

ー キミは僕とよく似てるね…。環境的にも人間の型(タイプ)的にもね ー

…ってお兄さんは言っていたような気がする。

私に似ている環境、人間の型(タイプ)というなら、ちょっとまわりに束縛されている環境と言うことになる。となると、我慢できなかったお兄さんはそこから逃げ出してきたということだろうか?

「…お兄さんって」
「ん?」

この超絶美形男は別にふざけているわけでもなく、冗談の中にうまく本音をまぜこんで、おとしこんで私に語ってくれていたのだろうか?

「…素直じゃない」
「そう?僕ほど素直な人間もそうはいないと思うけど…」

お兄さんはそう言って、気持ちよさそうに「う~ん♪」と上半身だけ、伸びをした。

「…そうね」

今、素直にこの人は生きているとしたら、そう言えるのかもしれない。でも、もしどこからか逃げてきたっていうなら、それはかりそめの自由なんだろうな。今は束縛から少しだけ介抱されているだけなんじゃないかしら。きっと現実から逃げているだけであって、問題が解決したわけじゃない。それは決して自由をつかんだとは言えないんじゃないだろうか…。

「美芳ちゃん、眉間にしわがよってる。厳(いか)つい顔になってるよ。難しいことを考えてるな?悪い癖、悪い癖!」

お兄さんが私をちゃかす。わざと顔が厳ついまま私はお兄さんを睨んだ。


「あはは!かわいい顔をそんなふうにして台無しじゃないか~」

お兄さんのことだけを言ってるんじゃない。自分もそうなのに、同じことをしているのに、私は何を偉そうに…。

「美芳ちゃん?」

ちょくちょく現実から逃げて、私はこんなふうに庭の木に隠れている。ちょっとだけの息抜き。ちょっとだけの開放感。ちょっとだけの自由を満喫したりして。でも、本当は何も解決なんかしてないのにね…。

「キミが優しい子だってことを僕は知っているよ」
「え?」

お兄さんが私の頭をポンポンとする。

「僕のことでね、色々思い悩まなくていいんだ。自分のことを考えているようでツライだろう?その優しさだけで充分だよ。ありがとう」



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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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    パチモンお嬢様、超絶美形男に物申す!(それいけ!美芳8)
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「なるほどね~。マロング○ッセ的なものか!」
「…マ、マロ…!?」

…なんだ、その、ちょっと前衛的な名前は!?

「あはは!美芳ちゃん、『マロ』だとまた違った意味になっちゃうよ!?古風というか『お○ゃる』というか!」
「…はあ」

どうも私の及ばぬ知識のようで、お兄さんの話についていけない。割と流行には敏感な方だと自分で思っていたんだけど、お兄さんはもっと先を行く人なのかしら?(まさか蹊国のドン○西的な!?)

「…お兄さんって謎めいてるけど、もしかして貴族だったりします…?」

お兄さんは面白そうに私を見やった。

「ん?僕って貴族に見えるんだ?」
「え?」

いや、そんな疑問形で返されても…。質問したのは私よね?『たずね人』って私よね!?(←ちょっと意味が違う!)

「うんうん。やっぱりそう言うのって隠せないかなー。品の良さって、こうにじみでちゃうものっていうのかなー?あと、英知もほとばしっちゃってるのかもしれないしねー」
「……はあ」

お兄さんは困ったふうに(実際はそうでもなさそうだけど)一人で深く頷いている。ん?ってことは、なんだ…?

「そう言うってことは、やっぱりお兄さんは貴族なんですか!?」
「ううん。違う」

違うんかい!?

「じゃあ、私と一緒で庶民?」
「ううん。違う」

それも違うんかい!?

「えー?じゃあ、まさかの王族とかですか!?あはは~、さすがにそれはないですよねえ…」

っていうか、言っててバカらしくなってきた。王族がここで庶民のおやつなんか、たかりに来てた日にゃ国も終わるわ!!

「ううん。違う」
「全部違うんかい!?」

一応、流れ的にツッコんであげたけども。「美芳ちゃんは、いい子だよね~」とお兄さんはなんとも楽しそうだ。そして、にこやかにこう続けた。

「あ、でも、どうだろう?たぶんね。違うと思う、の方がいいかもしれないなー」

…今、何て言った?『違うと思う?』って…?

「なんだ、そりゃ!?」

ずいぶん振り回されてその答えとは…。もしや私が偽物(パチモン)お嬢様だから特に言う必要も価値もないとかそんなふうに思われてるのかしら?まあ、偽物お嬢様は本当のことなんですけど。そうなんですけど。

「私、けっこうなめられてんのかっていう…」

まあ、いいんですけど。そうくるならこっちもさらにツッコんで聞かせていただくだけですから。別に構いませんけど。

「お兄さん、それってどういう意味ですか?全部に対して『違うと思う』ってこと?それとも、どれか一部に対して『違うと思う』ってことですか?」
「…さあ、どういう意味だろうね?」

でたよ。まただよ。もう、なんなの。超絶美形男のこういうところ、本当どうなの?しぶとく聞いてみても、結局はダメとか。

「あきれた!」

私は大きなため息をついた。

「お兄さんはまるで自らすすんでミステリアスキャラ(謎多き人物)を演じているみたいだわ!それがちょっと鼻についてイヤ!ただ、かまってもらいたい子どもみたい!」

思っていることは顔にも口にもでてしまう私だって、ただの押さえの利かない子どもだろう。人のことなんてとても言えないのに…。言い出したらやめられない。とまらない。

「そうかもしれないね」

お兄さんはそう言って目を細めた。

「僕はそうやって生きたかったから」




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    パチモンお嬢様、逸品を披露する!(それいけ!美芳7)
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「…まあ、いいわ。私のあげたおやつでお兄さんが好きな子に餌付けしようが、しまいが。あげたらもうお兄さんのもの。私には関係ない、関係ない。好きにすればいいわ」

私は「そんなの私の知ったこっちゃない!」と超絶美形男を突き放す。

「心が広いなあ、美芳ちゃんは!これで僕とその子がうまく行ったらキミのおかげだね!」

なぜかもち上げられたし。

「とりあえず、私はお兄さんの健闘をテキトーに祈ってるわ…」

これでこの話はおしまいと、私は話の終着点(ケリ)をつけようと試みる。お兄さんはニヤニヤ顔だった。

「照れちゃって、まあまあ。テキトーだなんて言いつつも充分愛を感じるよ、美芳ちゃん!」

そんなのわざわざ拾わなくていい!テキトーに聞き流してちょうだい、お兄さん。

「はいはい、そんなに今日のおやつがほしいならあげるわよ。これが今日のおやつ!」

私は自分の服の袖に隠し持っていたおやつの包みを取り出した。

「おおー、神々しい!」

お兄さんは期待に胸を膨らませている。私は自慢気に胸をそらした。

「ほら、見て見て!今日のお菓子なんて、また素敵でしょう?きっとお兄さんの好きな子も気に入ってくれるはずだわ。アレよ、アレ!もうお兄さんにその子はイチコロ!イチコロ、コロリンよ!!」
「…イチコロ、コロリン…?」

なぜか自分で変な言葉を生み出していた。お兄さんがご丁寧にその部分を復唱してくれる。いちいち拾わないでよ。恥ずかしいな!それこそ聞き流してくれればいいのに。しかも改めて聞くと、どことなく『おむ○び、ころりん』っぽいし…?お兄さんの恋、なんだか転がり落ちて行きそうだ。

「イチコロ、コロリンかあ。そうかなあ?そう思う?」
「思う!思う!超思う!」

超テキトーに思っていますけども…。今日のおやつを嬉しそうに見つめるお兄さん。。でも、あることに気づいたらしい。


「あれ?でも、美芳ちゃんが言うほどかな。今日のおやつはずいぶんと普通(シンプル)じゃない?」

ふふふ。よくぞ聞いてくれました!

「最近はやたらと見た目が派手で凝ったものが多かったからね。我が家の目利き集団も(ちょっと目疲れしちゃったというか…)逆に、こういったものが流行るんじゃないかと予想してみました!」
「これ、なんだろう?タロイモかな?」
「そうよ!お兄さん、よくわかったわね!タロイモをね、一口くらいの大きさに切って、飴で薄く包んで固めているらしいの。だから、艶があってきれいでしょう?で、その上に金箔を少しだけ振りまいてるんだって。見た目が黒いタロイモに金箔の金色がはえて、なかなか素敵じゃない?」





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    パチモンお嬢様、応援する!(それいけ!美芳6)
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「別にうちのおやつに限らず、その子ってお菓子ならなんでもいい…いや、嬉しいんじゃないの?」

慌てて訂正するも、特に気にしてないお兄さんは異国風に「ノンノン」と人差し指を立て、それを横に振った。

「その子はね、自分で料理をするせいか妙に目と舌が肥えてるんだ。普通のお菓子じゃ、どうも興味がわかないみたいなんだよ」
「…はあ」
「見た目が凝ったものとか、味が抜群にいいものじゃないと!なんかこうグッとこないみたい!」
「…随分食通(グルメ)な子ねえ」

庶民(うちのお菓子を喜ぶっていうからには、たぶん庶民だろう)にして、その気質はいかがなものか…。

「美芳ちゃんの家のおやつって、まさしくそんな感じのお菓子が多いでしょう?」
「…確かにそうねえ」

うちはお金があるせいか、食べ物にはかけてはとことん贅沢だ。米の商いで交易しているのもあってか、蹊国の首都・成安他、地方の特産物や異国の有名で絶妙な逸品が手に入ったりする。まあ、それは食べ物(お菓子)に限らずなんだけども…。

「父様も母様もそっち方面に興味津々というか、好奇心旺盛というか。目新しいの好きだしね」

交易は商家の事業拡大の足掛かりになるから、父様も母様も常に目を配る。最先端の流行に乗り遅れないようにするための見栄もあるんじゃないか、と私は思ったりするんだけど…。

「丁寧に作られたお菓子の素材とか作り方とか考えるだけで、どうもワクワクしちゃうみたいなんだよね。自分も作ってみたいって、その子は思うみたいでさ」
「ふうん」

お兄さんは目に入れても痛くないとでもいうように、その女の子のかわいさについて語る。お兄さんがそんなに熱をあげる子がいるとは…。

「なんか意外!お兄さんって実は貢ぎ体質というか、尽くす型(タイプ)だったんですね。逆だと思ってた。いつも女の人から貢がれたり、尽くされたりするのかとばかり…」
「確かに僕はこの美しさゆえ、当然のように貢がれたり、尽くされたりしますが、好きな女の子にはね、愛情をこめて自ら贈り物だってするんですよ」
「贈り物って言っても、もらいものじゃない!(本当はうちのおやつ…)」

ここはツッコませてもらわないと!私の(家の)おかげだということを理解して(ついでに感謝して)もらわないとね…。そのへんをわかってくれたのか、くれてないのか、お兄さんは自分の胸に静かに手を置くと、思わせぶりに息を吐いた。

「本当は誰のものでも、そこに僕の愛があれば大丈夫だよ」

何が大丈夫なの!?っていうか、『僕の愛』薄っぺらいな!

「そんな愛情をささげられて、その女の子も迷惑なんじゃ…」

私は知らないその女の子に少し同情した。超絶美形男になびかないというだけで、尊敬に値する強者だという気がするけど、案外お兄さんみたいな型(タイプ)ってしつこくまとわりつくような気がするから。

頑張って…。影ながら、応援しているわ。




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    パチモンお嬢様、超絶美形男を残念に思う!(それいけ!美芳5)
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お兄さんは少し照れながら頭をかいた。

「ああ、あの子っていうのは僕が今、お世話になっている家の子のことなんだけど…」
「へー」

それって女の子かしら?だとしたら、お兄さんがお世話になっている女の子なんてたかがしれているんだけど…。きっと面食いのミーハー(死語?)で、いい男を見つけた日には、まわりの目なんか気にせず、「キャーキャー」やたら叫んでいるような子なんでしょう?私と気が合うのかしら?っていうか、そんな子に私が救えるのかとてつもなく疑問だわ。

「そのためにも僕は、今日もここでおやつをもらって帰らねば…!」

お兄さんは「うむ!」と一人気合を入れる。ん?何がどうしてうちのおやつにつながるんだかよくわからないんだけど…。

「お兄さん、ごめんなさい。ちょっと意味がよくわからないんだけど…。どゆこと?」
「ああ、ごめんごめん。僕が今、お世話になっている家の女の子はね、僕に全然興味がない子でさ」

へ?

「お兄さんに興味がないの…?」

なんで興味なく思われてるのに、お兄さん、そんなに嬉しそうにその子のことを話すのかしら?ますますもって意味がよくわからないんだけども…。私の「?」をお兄さんも察してくれたらしい。

「なぜか興味がないんだよ。面白いよね」

お、面白いのか、それは!?

「ほら、自慢じゃないけど、僕ってすごく顔がいいじゃないか」
「…はあ。自分でいうのもすごいですけど、まあ、そうですね…」

とりあえず、本当のことなので頷いとこうか。

「なのに、その女の子は全然こっちを見向きもしないんだよ!もう、びっくりだよね?驚きだよね?それがいっそ清々しくてさ~!」

うわー!驚異のM気質きちゃったよ、コレ!?

「そんなお兄さんに私がびっくりで驚きなんですが…!?」

じゃっかん引き気味の私に気づくこともなく、お兄さんは自分の世界(?)に酔いしれている様子。片手を頬にそえ、まつ毛を伏せ、深いため息をもらす。そう言う仕草が妙に香り立つわ、匂い立つわ。う~ん、艶めかしいというか…。こういうの本人は狙っているのか、そうじゃないのか…。

「だから、その女の子をかまいたくなるというか、いじめたくなるというか…ね?」

この超絶美男子の言ってることや話の流れは色々おかしい…(MをこじらせてSに走ったのか?)。もしかしたら、ちょっと残念な美男子部類に入るのかもしれない。これだから顔のいい人は得してるのか、損してるのか、わからないわ。

笑顔はひきつりつつも、ここは相槌で返す私。お兄さんは笑顔をたやさず、話を続けてくれる。

「そんなあの子がね、僕に対して唯一かわいらしい、ほっこりするような笑顔を向けてくれる時があるんだー」

そうですか。別にその子に嫌われてるわけじゃなかったのね。お兄さんは気づいてないかもしれないけど、その子にそう思われている可能性だって充分あるだろうし…。世の中のすべての女性がお兄さんにイチコロ(死語?)なんて、そんなおかしな話があってたまるか!と思いたい。

「僕が美芳ちゃんの家のおやつをもらって帰ると、とてもいい顔をして食べてくれるんだよ」

餌付けか!?




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    パチモンお嬢様、恋について考える!(それいけ!美芳4)
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「何か言いました?」
「いいや、何も言ってないよ。ウン、楽しみにしているね!」

お兄さんは変わらぬ台詞(?)と微笑みでこたえる。…そう?なら、いいんだけど。

「それより、美芳ちゃん。まだこのネタで何か考えてるでしょう?」
「え、わかりますか?」
「わかるよー。キミはすぐ顔にでるからね!」

自信満々のお兄さんが少し憎らしい。私はため息をついた。

「私、ちょっと思ったんですけど、さっきのお兄さんの台詞、私も同じところがあるかもしれないなあ」
「ん?」
「本気の恋を常々したいと思っているけど、そういうわけにもいかないってやつです」
「ああ、それかあ。正確には美芳ちゃんの深読みというか…。まあ、いいや。どうして?」

「だって、私の運命って決まっているもの」

口にすると実感として湧いてくるから、本当はあんまり言いたくないんだけどね。目の前にいるお兄さんなら、重く受け止めず、さらりと流してくれそうで、なかったことにもできそうだし…。まあ、話してみてもいいか、という気になったわ。

「うちのことを考えると、私はやっぱり父様の選んでくれた相手と結婚することになりそうなのよね」
「え?」
「私には上に姉様が一人いるから、まだこの家の後をどっちが継ぐかはわからないんだけど…。私も姉様も、きっと父様が選んでくれた相手と結婚することになると思うわ、この家のために」
「…そっか」
「そう考えると、本気の恋なんて。できたとしても…」

とても無意味に思えてくるのだ。

「たぶん私が家を継ぐ場合は羽振りの良くて頭の切れる商家の次男坊あたりを婿養子にもらおうと思ってるんじゃないかしら?」
「あはは、『羽振りの良くて頭の切れる商家の次男坊』なんて、妙に限定されてるね!」
「そうよ。現実的に考えて一番ありえそうじゃない?蹊国の首都・成安で一番の米屋よ。その娘の父親のプライドにかけても、そういう将来性のある男を狙っていてもおかしくないわ!」

私は自信をもって言った。言い切った、と言ってもいい。お兄さんは面白そうに私を見やった。

「で、たぶん家を私が継がない場合、父様は私を貴族の家にでも嫁に出そうとしてるのではないかしら?」

だって、このお稽古事の数々…。花嫁修業の一環と考えれば、おのずとその答えは見えてくるってものじゃない?

貴族の娘並みにこなして、まるで実際そうなれと言わんばかりじゃない?そうよ。父様は本気で思ってるんじゃないかしら?「偽物(パチモン)お嬢様」を「本物(マジモン)お嬢様」に!ってね。

「人脈を広げるために貴族と結婚!充分にありえるわ!」

先読みができるなんて、ある意味私が一番将来性がありそうだわ…、と思って見たり、みなかったり。

「キミは僕とよく似てるね…」
「え?」
「環境的にも人間の型(タイプ)的にもね」

ふとお兄さんが小さな声で呟いた。小さすぎてはっきりとそれは聞こえなかった。

「え?お兄さん、今なんて言ったんですか?」

お兄さんは私を労わるように、ただ優しく微笑んでいる。

「ううん、なんでもないよ」

なんだろう。同情でもされたのかしら?

自由人のお兄さんにそんなことを思われた日にゃ、なんか癪なんだけども…。

「だから、僕はキミをあの子に会わせたいんだよね。きっと救われると思う。それに絶対気が合うと思うんだ!」
「…はあ…?」

救われる?気が合う?一体、この人は何の話をしてるのだろう?…っていうか、あの子って誰だ!?

「あのー、もしもし、お兄さん?」

私がたずねようとすると、お兄さんは

「大丈夫。問題ないよ!僕にまかせて」

と満面の笑みで応えてくれる。超絶美形男のその華やかさ足るや~と言ったらなかった。私が今、登っている木は花の咲くものじゃないんだけど、彼の影響を受けてパッと雅な花でも咲かしてしまいそうだ。




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    パチモンお嬢様、女性代表になる! (それいけ!美芳3)
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私は気になって聞いてみた。

「お金をたかるでもなく、なんでおやつを欲しがるんですか?もしかして、それは口実で…お兄さん、実は私のことが好きだったりする…?だから、ここまで会いに来てくれるの?」

私の問いにお兄さんはポカンとした。そして、しばらくしてから、豪快にぷっと吹き出した。

「あはは、違う、違う!美芳ちゃんは、ド直球(ストレート)だなあ!」
「え、違うんですか?」
「違うよ~!これまたガッツリ違うね!」

速攻で全力で否定されてしまった。じゃっかん自分がフラれたような気がしないでもない。なんだか自意識過剰みたいでちょっと恥ずかしいけど、ずっとモヤモヤしっぱなしや勘違いを引きずっているよりはマシよね。引きずるのって、時間の無駄になってしまう時もあるし…。まあ、悪いとは言わないけど、私はそう思ったりする。でも、それは私がまだ本気で誰かを好きになったりしたことがないからだろうか?だから、そんなふうに思ってしまうのかしら…?

「…本気の恋かあ」

私は腕組みをして呟いた。

「美芳ちゃん、どうしたの、急に?」

お兄さんは、きょとんとする。

「お兄さんぐらいの超絶美形男になると本気の恋のひとつやふたつ、しているものなんですかね?」

私が真面目くさった顔で聞くと、お兄さんは頭をかいた。

「世間にいる超絶美形男がやたらめったら恋をしているか、恋に忙しいかはわからないけど。僕は…」
「僕は、何ですか?」

私はお兄さんの答えを待った。お兄さんは意味ありげに微笑んだ。

「常に恋はしていたいと思ってるかな?」

私はお兄さんのその台詞を聞いて「ふうん」と返す。この超絶美形男はズルいなあと思った。この人はこんなふうに曖昧に応えることがけっこう多いのよね。ん~。答えるんじゃなくて、あくまで応えるというか。人の期待にはしょうがないから、そこそこ応えようかな…というか。

「それって自分は常に恋をしているという意味でいいんですか?それとも、恋をしたいと常々思ってるけど、そうもいかないって意味ですか…?」

お兄さんはおかしそうに笑った。

「キミもなかなか面白いね」

ん、何ソレ?「キミも」の「も」ってなんだ!?

「美芳ちゃんはどう思う?」
「…どう思うって?それを今、私が聞いてるんですけど」

なに、なんなの、その人を試すような笑みは…?

「お兄さん、人の反応を見て楽しみたいだけなのが見え見えなんですけど…」

それ以上も、それ以下も私の質問に自分は答える気なんてないくせに嫌な感じだわ!この人は少し困るような質問をされると、こんなふうに逆に問い返すことも多いのよね。実はひねくれているんじゃないかしら?

「そんなことないよ、キミに少し興味があるだけ…」
「はあー?私のこと、別に好きでもなんでもないくせに?それで興味があるって、なんなの!?」

一体どういう神経してるんだ!?

「女性に対して失礼ですから、それ!女性代表として言ってやるわ!」

お兄さんは「女性代表かあ…」と、おかしそうにくすくすと笑っている。

「何よ!文句でもあるの!?」

と、私はキッと彼を睨んだ。それでもお兄さんは余裕そうな笑みを浮かべるだけ。

「まだ本気の恋もしたことがない、お子様に女性代表を語られてもね!」

なにィーーーーー!?

「説得力がないなあ~」と、お兄さんは私の頭をわしゃわしゃ撫でた。これじゃあ、子供扱いを通り越して、人外扱いだわ!ム○ゴロウ王国の動物たちの頭を撫で繰り回すのと変わらない。

私が頬を膨らますと、お兄さんが「怒らない、怒らない~」と両手でそれを挟み込み、プシューと空気を抜いた。

「まだまだキミはこれからじゃないか、美芳ちゃん!すぐに本気の恋なんてやって来て、毎日あたふたしちゃうよ」
「そうかしら?」
「そうだとも。だから、焦る必要はないんだ」

お兄さんが上手に片目をつむる。…まあ、そうねえ。お兄さんみたいな見た目が超絶美形なんて高望みはしないから、私にもそういうのがやってきてくれるといいけど…。

「そしたら、お兄さんにも報告するわね」
「うん、楽しみにしているよ」

お兄さんは微笑んでから、ぼそっと呟いた。

「感情の起伏が激しいキミがどんな男の子を好きになるかけっこう興味があるなあ。思われた男の子はなかなか大変だろうね」



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「世界が変わった 」

誰かのその一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。


    *


どうにかしたい。 望月(もちづき)くんのアレをどうにかしたい!

「真央(まお)、痛いんだけど…。私の髪、ひっぱりすぎじゃない?」

レイちゃんの言葉に我に返る。いかんいかん、今は親友の髪をうまく編みこんでかわいいヘアに仕上げている途中だった!

「ごめん、レイちゃん!」
「いいって、いいって。それより人の髪をいじってる時の真央ってすごい集中力なのに…。今、うわの空だったでしょう?なんかあった?」

さすが親友、私の異変にすぐ気づいたらしい。

「いや、たいしたことないかもしれないんだけど…」

きっと私が気になるだけなんだ。

「最近、うちのクラス、席替えしたじゃん。前の席の望月(もちづき)くんのことなんだけど…」
「え、もしやコイバナ?真央が恋愛相談!?」

早とちりしている親友を私は慌てて制した。

「違う違う。そういうんじゃないよ!」
「え、違うの?」
「ほら、前の席ってどうしても視界に入るでしょう?私、気になっちゃってさ」
「気になるって何が…?」
「望月くんの…そのアレが気になって」
「真央、あんたまさか?」

ごくり。

「望月くんのウザそうな髪をどうにかしたーーーーーーい!!」

放課後、高校の屋上で私の声が響き渡る。親友は被害を最小限におさえるため、自分の耳をふさいでいた。

「はいはい、髪いじりが好きなあんたはイロコイよりそっちだったな」

レイちゃんは耳から手をはなし、ため息をついた。私はムッとする。

「レイちゃん、ことは深刻なんだよ!私のストレスフリーな毎日を返してほしいんだから!」
「あー、前は野田(野球部男子)が真央の前の席だったもんな」
「うん、野田くんは素晴らしい後頭部だったよ!坊主頭があんなに似合う男子は中々いないよね!」
「…あんたのそれは髪フェチなの?頭部フェチなの?ただの変態なの?」

少し失礼な親友の発言はさておき、今は望月くんだ。彼の(ウザそうな髪の)おかげで、私の高校生活はストレスを感じない日はない。望月くんは男子にしては長髪で、肩にかかるくらいの黒髪をしている(前髪も目にかかっているようだ)。校則が比較的にゆるいうちの高校でそれは特に問題ないんだけど、いかんせん、彼にその髪型がとても似合っていないのだ。もう、私のこの手で切って差し上げたい!だって、あれじゃ、ただのもっさりしたアキバ系オタクだよ!?別にもっさりしたアキバ系のオタクが悪いわけではないんだけど…。

「きっとうちのおじいちゃんが望月くんを見たら、爽やかさが足りん!ってダメだしすると思う」
「真央のおじいちゃん、この街の立派な理容師だもんな」

そう。私のおじいちゃんはこの街の立派な理容師だ。

美容師じゃなくて理容師。理容師は床屋さんで働く人のことね。ほら、街を歩いていたら、ときどき見かけるでしょう?赤・白・青の三色の縞模様がくるくるまわってるやつ。あれはサインポールっていって床屋さんの目印。私の住んでいる街は関東圏内にあるとはいえ、都会と呼ぶにはほど遠いところ。特に有名でもなければ、観光名所なんてものもない。面白味のない街は若者離れがすすんでいく一方だ。ただ、さびれていく。すたれていく。でも、うちのおじいちゃんの床屋だけは違う。レイちゃんが立派な理容師と言ってくれるのにもきちんとした理由があった。

「なんたって゛世界が変わる床屋さん″だもんね」

親友の言葉に私はにっこりと微笑んだ。ちょっと胡散臭い宗教っぽいコピーだけど、これは決して嘘ではない。

たまたま映画撮影に来ていたある無名俳優が役柄に合わせるため、急きょ髪を切ることになり、近くにあったおじいちゃんの床屋にやってきた。おじいちゃんはその俳優さんの話を聞き、イメージを膨らませ、髪をカットした。それは俳優さんの新たな一面をひきだして今までにないハマり役、当たり役へと導いたのだ。目立たない脇役だったはずが、鬼気迫る演技と迫力に監督の心は動かされ、出番も倍増。その映画の重要人物となった。公開されると俳優さんの熱演が話題を呼び、映画は記録的ロングラン、興収を打ち出した。なんでもその年の映画賞を総なめにしたらしい。俳優さんは受賞コメントで『髪を切った日から、自分の世界が変わった!』とうちの床屋を紹介してくれたのだ。゛世界が変わる床屋さん″のいわれはそこからなんだよね。

「お客さんは芸能関係から政治家、スポーツ選手に会社経営者、それから受験生まで。真央ん家の客層、幅広いね!」
「みんな、うちにきて験を担ぎたいのかな?」
「ただ幸せになりたいんだよ」

レイちゃんはふっと笑った。

「世界が変わるなんて大袈裟かもしれないけど、私は真央に髪をいじってもらうだけで、いつもちょっと幸せになるよ。たぶん自信をもらえるからだな。あ、それと昔から変わらないあんたの夢もいいなと思う。尊敬するおじいちゃんの床屋を継ぎたいっていうのも。真央ならできるよ!日々、色々な髪型を研究して勉強熱心。ヘアアレンジだけじゃなくて私の髪もまた切ってね!」

嬉しくなって、私は親友を後ろから抱きしめた。

「レイちゃん、大好き!」
「こら!髪をいじってる途中だろう?」
「もうできました!」

親友に大きめのハンドミラーを渡して、できあがったヘアスタイルの解説をする。

「くせっ毛ロングのレイちゃんの髪をすばやくへアイロンでゆるふわのパーマをかけたようにしました。サイドを少し編みこんで、全体を一つに束ねて、ちょいナチュラルヘアの完成です♪目鼻立ちがはっきりしたクールビューティーなレイちゃんも似合うかわいいヘアを目指しました。ちなみに、一見ゆるふわでも、簡単にほどけません!さあ、本日の放課後ビフォーアフター、いかがでしょう?」
「うん、いい感じ♪よーし、気合い入った。今日もドラムをめっちゃたたいて、みんなをしびれさせてくるわ!文化祭も近いしね!」
「レイちゃん、カッコいい!」

親友は軽音部の女ドラマーなのだ。

「女子をほれさせてもなあ。…あ、話は戻すけど、真央の言ってた望月くんってモッチーのことじゃない?」
「モッチー?」
「望月カケル。それなら軽音部のモッチーだよ」
「そうなんだ。望月くんって下の名前、カケルっていうんだ。苗字が望月なのに、名前で欠けちゃうんだね」

ちょっと不憫だ。

「あんたが気になるのはそこ!?同じクラスなら名前はフルネームで覚えてあげて。っていうか、軽音部情報はいらなかったんかい!?」
「いるいる。軽音部なら、ウザそうな髪もなんか納得だな。ミュージシャンってそういう髪型の人、多いもんね。まねしてるのかも」
「う~ん。モッチーの場合、そういうのではないと思うんだけど…。コピーバンドじゃなくてオリジナルだし。あいつ、いい曲かくんだよな」
「ふうん。音楽のことはよくわからないけど、望月くんって瞳がきれいなんだよね。プリント受け取るとき、振り向きざまに一瞬見えたんだけど、あれは隠してたらもったいないよ!レイちゃん、同じ部活ならそれとなく伝えてあげて」
「そんなん言えるか!それとなく瞳がきれいだねとか超無理だわ!」
「レイちゃんはカッコいいから大丈夫だよ」
「私、どんなイケメンよ?…あ、ちなみにモッチー、しばらく部活を休んでるから会わないと思う。バンド内でもめごとでもあったのか、しょぼくれてるってきいた。うちの部、人数多いからたくさんバンドあるんだよね」
「レイちゃんとは別のバンドなんだ?」
「うん。だから、あまり接点なし。席が近くなった真央のほうが機会あるかもね」
「私、そんなにしゃべったことないんだよなあ。仲良くもないのに、いきなり髪を切らせて下さいなんていえないし。望月くんも積極的に話しをするタイプじゃなさそう」

レイちゃんはひらめいたように手をたたいた。

「そこは未来の゛世界が変わる床屋さん″の腕の見せどころじゃない?」
「え?」
「しょぼくれてるモッチーの世界を変えてきな!」

そう意味ありげに親友は笑った。


    *


どうにかしたい。 望月くんのアレをどうにかしたい!

「真央、痛いんだが…。わしの髪、ひっぱりすぎじゃないかね?」

おじいちゃんの言葉に我に返る。いかんいかん、今はお店が終わった後のおじいちゃんの髪をとかしている途中だった!

「ごめん、おじいちゃん!」
「いいって、いいって。それより人の髪をいじってる時の真央はすごい集中力なのにな…。今、うわの空だったか?学校でなんかあったかね?」

さすがおじいちゃん、私の異変にすぐ気づいたらしい。(…ん?っていうか、このやりとりなんかデジャブだ)

「最近、うちのクラス、席替えしたんだけど、前の席の望月くんって男の子の髪が気になっちゃって。こう肩にかかるくらいの黒髪なんだけど、なんかもっさりしてて、うざそうなんだよね。本人に全然似合ってないの!」
「ふむ。それは一大事だな」
「だよね!おじいちゃんならわかってくれると思ってた!」

櫛笥する手が止まっていた私に、おじいちゃんはたずねた。

「でも、真央はどうして似合ってないと思ったんだい?」
「望月くんの瞳が見えた時があってね、きれいだったんだー。あれ、長い髪に埋もれててもったいないよ!」

おじいちゃんは笑った。

「髪にかける真央の情熱は並々ならぬものがあるからなあ。おじいちゃんも見習わんとな。こうやって仕事終わりに髪をとかしてもらうのも、初心を忘れないためのわしの大切な時間だ。でも、真央、その情熱を一概に人に押しつけてはいけないよ。髪は人の心をあらわしているから」
「え?」
「その坊主だって、瞳を、心を、隠したい理由があるかもしれんぞ?」

…瞳を、心を、隠したい理由…?

「まあ、本人に話をきかんことにはわからんがね。でも、真央、理容師を目指すなら、その人に合った程よい距離をつかめるようにならんとな」
「おじいちゃんはあの俳優さんとの距離をつかんで髪をカットしたの?そうして世界を変えたんだ?」

おじいちゃんは声を上げて笑った。

「世界を変えたなんて、そんな大それたことはしとらんよ。わしはあの人の話を、ただ聞いただけさ」

そうやっていつも謙遜する。決して偉ぶらない。驕らない。人と同じ目線で立ち、ただ話を聞くだけ。その穏やかな物腰と優しさに、今までどれだけの人が救われただろう。

「程よい距離か。う~ん、難しいね」

私が腕を組んでうなっていると、おじいちゃんが鋭いところをついてきた。

「真央は母親との距離もうまくつまめてないからなあ。難しいかもしれん」
「おじいちゃんは優しいけど、時々人の痛いところを突くよね」

私が頬を膨らますと、おじいちゃんは困ったように笑った。

「また早苗から連絡が来ていたよ。ロサンゼルスに遊びに来なさいとな。ようやっと、あいつも余裕が持てるようになったんだろう」

私の母は世界で活躍するヘアメイクアーティストだ。その夢を叶えるために、昔、私をここに置いて行った。父親が誰かもわからない私を大切に育ててくれたのはおじいちゃんと亡くなったおばあちゃんだ。

「う~ん、そのうち遊びに行くよ」
「また、そのうちか。真央のそのうちは保留の意味だからな」

バレてる!?

「真央」

おじいちゃんは私に向き直り、はっきりと告げた。

「言いたいことの一つや二つ、早苗にぶつけてきなさい。お前は早苗にそうする権利があるんだから。思い切り今までの鬱憤をはらして来ればいいんだ。なんなら、あばれてきたっていいぞ」

おじいちゃんはお母さんのことになると、妙にアグレッシブになる。きっと母親に対してどうしていいかわからない私のかわりに、そうしてくれてるんだ。

「あはは!ありがとう、おじいちゃん。そうだね。そのうちそうしようかな」
「そのうちか」

おじいちゃんの言うとおり、私はまだ母親との距離をうまくつかめていない。もしかしたら、つかむ気がないのかもしれない。自分のことなのに、そのへんはよくわからない。まだ考えたくないのかもしれないや。

「今は目の前にいない人より、いる人の方が気になるよ!」
「…望月さんとこの坊主か」

おじいちゃんは聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟いた。

「あの坊主なら、案外ぶつかっていった方がいいかもしれんな」


    *


どうにかしたい。 望月くんのアレをどうにかしたい!……そう思っていたんだけど。

「望月くん、本当にごめんなさい!」

胸が痛い。まさかこうなるとは思わなかった。放課後、文化祭の準備中にペンキを運ぼうとしたら足元で作業していた望月くんに気づかず、ぶつかってペンキをかけてしまったのだ。

「しかも頭からぶっかけるなんて…どんなコントよ?」

隣にいたレイちゃんのツッコミに返す言葉もない。少し失礼な親友は笑いをかみ殺している。とにかく望月くんを水道まで連れて行って、髪についたペンキの汚れを洗い流す手伝いをした。

「どうしよう。ちゃんと全部おちるかな?」
「モッチー、大丈夫?…っていうか、真央!あんた、まさか確信犯じゃないよね?」
「ち、違うよ!!」

思いが募りに募り、あわよくば、髪を切れるんじゃないかと思ってわざと望月くんにペンキをぶっかけたとか、そんなんじゃないからね!念のため!!

「本当にごめんなさい、望月くん!!」

私は自分の持っていたタオルを渡し、頭を下げて何度も謝った。それしかできない。望月くんは力なく笑った。

「大丈夫だよ。…でも、一瞬、世界が変わったかと思った。ペンキの青に視界が染まったから」

あー、そんな意味で「世界が変わった」なんて言わせたくなかったのにっ!!

「ちょっと真央、『しょぼくれてるモッチーの世界を変えてきな!』って私も言ったけどさ、余計にしょぼくれさせてどーすんの?」

レイちゃんのさらなるツッコミに本当返す言葉もなかった。あー、ここにおじいちゃんがいたら、「…わしもそんな意味でぶつかれって言ったんじゃないんだがなあ…」って言われるに違いない。唯一、救いだったのは速攻水道に向かったおかげで、彼の髪についたペンキの汚れをどうにか洗い流せたことだ。

「目はペンキ入ってない?大丈夫!?」

心配する私に望月くんは安心させるようにほほ笑んだ。

「それは平気。髪に守られたっぽい…」

この時ばかりは彼のウザそうな髪に私は感謝した。ありがとう、望月くんの髪!鉄壁のガードだったよ!!

「良かったー。望月くんの瞳が無事で…」
「へ?」
「望月くん、瞳がきれいだから。良かったーと思って!」

ほっとする私に望月くんは言葉を失っていた。ちーちゃんが横から「真央、すげー。今さらっと言った!」と口を挟む。

「……深海(しんかい)は、俺の目を見たことあるんだ?」
「え?」
「こわくなかった?」

望月くんは何を言っているのだろう?あ、ちなみに深海(しんかい)は私の苗字ね。フルネームは深海真央(しんかいまお)。

「こわい?なんで?」

私が首をかしげていると、レイちゃんが「ちょっと失礼!」と望月くんに近づいて、彼のぬれた前髪にふれた。そして、顔をのぞきこむ。

「そういうことか」

親友はさして興味もなさそうに言った。望月くんはレイちゃんの手をはたく。

「もしかして望月くん、瞳の色が左右で違うことを気にしてるの?」

私が聞くと、彼は顔を伏せてしまった。望月くんは瞳の色が左右で違う。右は灰色がかった黒、左は濃い茶。たぶんオッド・アイというやつだろう。私はおじいちゃんの忠告を思い出した。

― 真央、理容師を目指すなら、その人に合った程よい距離をつかめるようにならんとな ―

「すごくきれいなのに…」

もしかしかたら踏み込みすぎたかもしれない。でも、もう遅い。失敗なら、ぶつかってペンキをかけてしまった時点でしている。こうなったら開き直るしかない。

「うん。やっぱりすごくきれいだよ」
「………」
「レイちゃんの次くらいに!」
「は?」

私の意外な台詞に、望月くんは顔を上げた。

「ぷっ。あはは、真央ナイス!悪いね、モッチー。私の次くらいにきれいだってさ」

横にいたレイちゃんは吹き出し、ぽかんとする望月くんの肩をたたいた。

「あのさ、モッチー。悪意や偏見、もしくは同情あたりを真央に期待しないほうがいいよ。真央の場合、あんたの瞳がきれいって本気で思ってるから。この子にはあんたがコンプレックスに感じてるとこも美点にしか見えないんだ。私も最初会ったとき、この外見のせいでみんなに変な目でみられたけど、真央だけ『キレイだね!カッコいいね!』って声をかけてくれた。『髪、いじらせて!もっとカッコよくするから。かわいくもできるよ!』って散々つきまとわれてさ…」
「レイちゃん、嫌々つきあってくれてたの!?」

だとしたら衝撃の事実だ。親友は安心させるように私の頭を撫でる。

「そんなわけないじゃん!真央のこと、大好きだし」

私は親友に思い切り抱き着いた。

「相思相愛だね、レイちゃん!」
「カップルかよ!?」

私たちのやりとりをみていた望月くんは呆れていたけど、やがて納得したようにレイちゃんに向き直る。

「そうか。お前、ハーフだもんな」

レイちゃんはふっと笑った。彼女の本名はレイチェル・エヴァンス。イギリス人のお父さんと日本人のお母さんをもったハーフだ。出会った時、レイちゃんは黒髪なのに、外国人の影を色濃く残した彫りの深い顔だちを気にしているようだった。

「そうだよ。ちなみに、真央に言わせたらハーフなんて『目鼻立ちはっきりとしたクールビューティー』程度の外見らしいし。下手に気負う必要ないって気づかされたわ」

レイちゃんはおかしそうに笑った。私の何気ない一言が親友を救っていたのだろうか?

「モッチー、あんたが軽音部を休んでるのも、その目が関係してるの?」

レイちゃんの問いに望月くんは顔をそむけた。どうやら図星のようだ。「白状しな」というレイちゃんの気迫に負け、望月くんは重い口を開く。

「…目をみられたんだ、バンドメンバーに。そうしたら次の日あいつらみんなして左右色違いのカラコンつけて俺の前にあらわれた」

そうだったんだ。

「それはモッチーをからかうために?それとも、目のことを気にしてるあんたとわかりあうために?」
「知らない。どっちにしろ気分が悪かった」
「だろうね」

望月くんの気持ちをレイちゃんも察したらしい。悪意や偏見、同情はその人を傷つけ、これ以上そうならないように心を深いところに隠そうとする。寄るな。触れるな。近づくな。

「そっか。みんな距離をつかむのが下手なのかもしれないね」

黙り込んでしまった二人に変わって私は自分の話をすることにした。

「私、おじいちゃんに言われたんだ。理容師になりたいなら、人との距離をつかめるようにならないといけないって。真央は母親との距離をうまくつかめてないから難しいかもって。私のお母さん、ロサンゼルスに住んでて遊びに来いって言ってるんだけど、私どうしていいかわからないんだよね。仕事を選んで、昔おじいちゃん家に私を置いて行った人とどう向き合えばいいかわからない。正直、自分自身が怒っているのか、悲しんでるのかもよくわからないんだ」
「……真央?」
「だってお母さん、愛情がないのかと思えば、誕生日やクリスマスには必ずプレゼントを送ってくるし、最近は遊びに来い来いうるさいし、どうも私が髪いじるの好きなの知ってるらしくて、外国のヘアカタログとかヘアメイクの本とかやたら送ってくるし。なんか半端に関わろうとするんだもん」
「なんか俺たち、みんなどっか半端だな」

望月くんが苦笑した。そうかもしれない。レイちゃんのハーフも。望月くんの瞳も。私とお母さんの関係も。

「でも、このままじゃ、やっぱりいけないのかもしれないね」
「深海?」
「おじいちゃんがね、言いたいことの一つや二つ、お母さんに会いに行ってぶつけてきなさいっていうの。どうかと思ってたんだけど、そうしてみようかな。今から」
「え、今から母親に会いに行くの!?」
「これからロサンゼルスに!?」

私の突然の決意にふたりは戸惑っていた。無理もない。私は首を横に振った。

「ううん。今から電話をかけようと思います。いいたいことができたから」
「なんだ、電話か―。良かったー。時々、真央、とんでもない行動派になるからさー」
「俺も焦った。あんまり話したことなかったけど、深海、意外に突拍子もないな!」

安堵するふたり。まだまだ話は終わらないんだけどね。私はあることを持ちかけた。

「たぶん留守電に残すことになると思う。お母さん、忙しい人だから。でね、私が電話をかけたら、望月くんもバンドメンバーとぶつかってきてほしいの。きちんと話し合ってきて」
「はあ!?」

素っ頓狂な声を上げる望月くん。そりゃ、そうだよね。よくわからない巻き添えをくらってるんだから。「いいじゃん、モッチー!」と、レイちゃんが指を鳴らす。

「そうしなよ。このまま、部活を休んで文化祭であんたがバンド演奏しないの、もったいないと思ってたんだー。もしバンドメンバーと話し合ってもうまくいかないようだったら、私があんたとバンド組むよ。今のバンドとかけもちになるけど、それでもいいならさ」

レイちゃんは人をのせるのがうまい。自分の価値を知っていて、相手にとって旨味のある話にもっていく。

「マジか!?」
「うん。あんたの曲、いいからね。他にモッチーとバンド組みたいやつ、絶対いると思うんだ。あんた、ギター&ヴォーカルだっけ?私がドラムで、あとベース見つけりゃ、なんとかなるでしょう!」

望月くんは即決した。

「話にのった。お前のドラムの腕、男顔負けだからな」

女子だけでなく、男子もドラムでしびれさせていたとは!

「レイちゃん、カッコいい!」
「真央は本当そればっか。カッコいいは男子に使ってあげて」
「そっか。えっと、覚悟を決めた望月くんもカッコいいよ!」
「なんか俺とってつけられたし…」
「私の次にカッコいいんだからしょうがないって。モッチー、あんたも中々悪くないと思うから。しょぼくれるなよ」
「しょぼくれてねーし。イケメン女子に励まされたくねーし」
「じゃあ、決まりね!」

私は笑ってケータイを取り出した。初めてお母さんに電話をかける。案の定、留守電だった。咳払いをして少しもったいつける。

「もしもし、お母さん。真央です。遊びに来いって言ってるけど、私に会いたいならお母さんが会いに来ればいいんじゃないかな?もうすぐ高校の文化祭なの。カッコいい友達のバンドのヘアメイクを担当するつもり。何気に私、メイクも勉強してたんだよね。別にお母さんの影響じゃないよ。それじゃ、文化祭で待ってるから!」


    *


「 世界が変わった 」

誰かのその一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。


    *


文化祭当日。バンド公演待ちの舞台裏。控室となっている教室で私はヘアメイクに燃えていた。

「結局、坊主のバンド仲間は坊主をからかってただけだったのか?」
「うん。望月くん、ちょっと落ち込んでたんだけど、その怒りをパワーにかえて、いい曲がかけたみたい。レイちゃんたちとバンド組んで、すぐ元気になっちゃった。あ、おじいちゃん、そこのアメピンとって」

なんと孫の晴れ舞台(裏方だけど)におじいちゃんが、床屋を休みにして、かけつけてくれた。

「はいよ。きっと坊主にとって今のバンド仲間に会うための必要な流れだったんだろう。人間つらい時こそ、底力がでるってもんさ。いいものができる。こりゃ、バンド演奏が楽しみだな。…それにしても、レイちゃん、えらいべっぴんさんになったな」
「ありがとうございます、真央のおじいちゃん。でも、きっとお孫さんの腕がいいからですよ。これも血筋ですね!」

おじいちゃんをうまく持ち上げるレイちゃん。

「そうかね、そうかね。そう思うかね。実はわしもそう思っているんだ。真央は中々センスがあってだな」

おじいちゃんも親バカならぬジジバカ振りを発揮している。

「お前、くちうま。本当イケメン女子だな」

レイちゃんの口の上手さにあきれる望月くん。なんだか最近、私の毎日はとても賑やかだ。

「モッチー、かまってもらえないからってしょぼくれんな。準備はできたの?」
「準備も何も衣装なんて制服のままじゃん!なあ、須賀(すが)やん?」

ベースは須賀くんという背の高い男の子。望月くんやレイちゃんには須賀やんと呼ばれている。ベースは募集をかけたら、須賀くんが速攻名乗り出てくれたらしい。ぱっと見、「自分、不器用なんで」って言いそうな寡黙な男子。でも、演奏は「全然不器用じゃねえ!」と望月くんとレイちゃんが口をそろえていた。「すごいやつ、きた!!」とも。

「衣装はみんなで話し合ったでしょうが!」

バンド演奏は校風もあってか自由に各バンド決めていいことになっている。最初は奇抜さやスタイリッシュさを狙っていこうと話し合っていたんだけど、うちで色々なへカタログをみてみんなで話し合っていたら、おじいちゃんが「10代の爽やかさをいかさんでどうする?それがお前らの今、最強の武器だぞ」とアドバイスしてくれた。望月くんのかいた曲も「ソーダ水の炭酸がシュワシュワはじける感じ」とレイちゃんが評してたので、爽やかさをうるのもありかもしれないと制服でいくことにした。

指定の茶のブレザーに緑と赤のチェックのパンツとスカート。ちょっとダサかわいいおしゃれ感を出したくて、みんなでおそろいの丸メガネをかけることにした。レイちゃんのヘアはゆるい三つ編み。地味めの髪型が美人度をよりひきたてている。須賀くんは丸メガネのおかげで堅そうな雰囲気が柔らいでちょっとかわいくなった。…望月くんはメガネをかけたところで前髪が長すぎて意味がないんだけどね。

「レイちゃんはウィッグつけて男装する案もあったけど、これでよかったかもね!やっぱカッコいい女ドラマーっぷりをみてもらいたいし」
「それ以上、イケメン女子になってどうするんだよ」
「ひがむな、しょぼくれ男子!」

言い合いになる望月くんとレイちゃん。仲がいいなあ。そこで須賀くんがまさかの好アシストをみせてくれた。

「……望月は髪を切ったほうがいいんじゃないか?」
「え?」
「爽やかな曲をかいたのに、お前が一番爽やかじゃない」
「本当それな!モッチー、本番前に真央に髪を切ってもらったほうがいいって。なんたって真央は未来の゛世界が変わる床屋さん″なんだから。ですよね、真央のおじいちゃん?」

レイちゃんが意味ありげに笑った。おじいちゃんが「まだわからんが、まあ候補かな」と片目をつむる。嬉しい!思わず涙ぐんでしまった。おじいちゃんは理容師になることには特に反対してないけど、私がお店を継ぐことに関しては決してふれなかったから。こんなに嬉しいことはない!!

「わかったよ!…深海、少しだけなら、俺の髪を切ってもいい」

なんで私が涙ぐんでいるかわからず、望月くんは困ってるようだった。彼もなんだかんだと優しい人だ。

「ありがとう!でも、時間がないから望月くんはおじいちゃんに髪を切ってもらったほうがいいよ。私、レイちゃんのメイクが残ってるし」

その時、教室のドアが突然開いた。

「やっと見つけた!!」

その人は荒い息で、ひたいの汗をぬぐう。なのに完璧なメイクが崩れていないのは職業柄だろうか。

「お、お母さん!?」
「さ、早苗!?」

私とおじいちゃんは同時に声を上げた。まさかお母さんが本当に帰ってくるとは…!

「話は聞かせてもらったわ。レイちゃんのメイクは私にまかせて。真央はそこの男の子を変身させなさい!」
「え、でも…」

お母さんはヒールの靴をカツカツ鳴らしながら、親友に近づき、にっこりと挨拶をする。

「あなたがレイちゃんね。娘がお世話になってます。いつもあの子に良くしてくれてありがとう!っていうか、あなたクールな美人ね。しかも、すっぴんでここまでキレイな子もいないわよ!?私、惚れちゃうかも!」

レイちゃんの長めのまつ毛が瞬く。

「絶対、真央のお母さんだ。顔も発言もそっくり!」

少し恥ずかしい。

「留守電にあったカッコいい友達っていうのはそこの背の高い子かしら。…あら、私好みの渋めな男の子ね」
「は?」

お母さんの勘違いに須賀くんは目をぱちくりさせている。私が留守電で友達の名前を明かさなかったせいで、須賀くんにとんだ被害を…!

「あら、須賀くんっていうの。真央のこと、よろしくね!お父さん、真央のカッコいい友達の髪をお願い。ツーブロックのオールバックとか、いいんじゃないかしら?床屋、休みにして来たんだからいいでしょう?手伝ってよ。真央の彼氏候補ですって!」
「なにー!?」

おじいちゃんまでとんだ勘違いに発展だ!唖然とする私をお母さんが叱り飛ばした。

「こら、真央、何してるの!出番までもうすぐなんでしょう?あんたはそのモサ男くんをなんとかしないと!!」
「は、はい!」
「…モサ男って俺か!?」

私はレイちゃんから離れ、望月くんの後ろについた。彼もひそかにダメージを受けているらしい。

「深海家3代の手でヘアカットやメイクをしてもらえるなんて。みんなが初よ。ラッキーね!」

もうお母さんが来てからのこの流れ、わけわかんないよ!でも、望月くんの髪をいじれるのは今しかない。気が変わらないうちに私は素早く彼に散髪ケープをつけた。

「大丈夫よ、望月くん。今日でモサ男は卒業だから!私にまかせて!」
「…お、おう」

私が持っている鋏(はさみ)は家庭で散髪できる市販のものだ。まだ理容師にはなれてないから、おじいちゃんが持つような立派な専用の鋏は持っていない。でも、今の私にはこれがあっている。これで充分だ。

リズミカルに踊る鋏。シャキシャキと心が弾む音。もさもさした長髪は嘘のよう。はらはら舞い散る花びらのよう。彼の新しいイメージに近づいていきますように。ちょっとだけでも幸せになってもらえたらいいな。彼の自信になってくれたら―。

「できた?」

切り終わると、鉄壁のガードとさよならした望月くんのきれいな瞳とぶつかった。瞬間、なぜか何も言えなくなる。かろうじて頷くと、みんなが集まってきた。

「お、望月が爽やかになった!」
「やっと若者らしくなったな、坊主。すっきりしたじゃないか!」
「あら、自然なマッシュが似合うじゃない。中々イケメンね!」
「まあ、カッコよさは私に劣るけどな。悪くないんじゃない?」

みんなの素直な感想に望月くんは照れくさそうだった。

「なんか首もとがスース―する」
「モッチーの感想はそれだけ?」

レイちゃんが腕で小突くと、望月くんは私を見てほほ笑んだ。

「少し世界が変わったかも」

誰かのその一言が聞きたかった。 ただ、それだけ。

「ありがとな、深海!」

……そう思っていたんだけど。胸が高鳴る。 

「あれ?」

私の世界が変わった、そんな気がした。






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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★ ストレイテナー『Merodic Storm』 × ラジオドラマ『黒ヤギは眠らない』 ★

更新がおろそかになっており、申し訳ありません。ふとストレイテナー『Merodic Storm』をきいたところ、青春モードスイッチが入り、このような物語ができあがりました。なので、タイトルもそれから。テナー、いいですね。色々な物語が生まれる予感!ちなみに、男の子のヘアは成田凌さんの髪型を参考にしました。なりたい男子の髪型っていったら、彼が思い浮かびました。

① ストレイテナー『Merodic Storm』
https://www.youtube.com/watch?v=MtoAJF-jQjE
メロディの美しさや疾走感、まさに『Merodic Storm』って感じの音楽です。聞いた瞬間、青春している少年少女たちが私の中で駆け出しました。彼らを追いかけていたら、思いのほか長めの短編になってしまいましたけど。物語で書けなかったモッチーたちのバンド演奏はこの曲のイメージです。

② ラジオドラマ『黒ヤギは眠らない』
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15436588
何気に朗読やラジオドラマ好きです。アマチュアの方?が創作しているラジオドラマの中で一番好きなのがコレ。主人公の女の子の声の透明感ハンパない(私もこんな声に生まれたかった!)。お話も素敵!優しい主人公たち。彼らのまわりにいるあたたかな家族や友人。面白い物語は脇役も光ってるなと思う。お気に入りです。


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お久しぶりです。

最近の私ですが、色々な作品を見まくっております。自分で書くのもいいけど、それ以上にたくさんの素敵な作品たちに出会えるのは嬉しいもの。私はそういうものを見つけられる目利きになりたいと常々思っております。ここをご覧になってくれた方の心を鷲づかんでくれることを願って。


★漫画『この音とまれ!』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%93%E3%81%AE%E9%9F%B3%E3%81%A8%E3%81%BE%E3%82%8C-1-%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC/dp/4088705459

お琴×高校生×青春モノ。ずっと前からひそかにハマっていて、個人的に「そろそろ映像化があってもいいと思うんだけど、まだかしら?」ランキング第一位漫画です。

絵はきれいだし、話も面白いし、何よりもお琴のイメージがきっと変わる!!(お琴といえば「さくらさくら」くらいしか知らなかった昔の自分…なんて損をしてたんだ!)漫画だからもちろん音を聞けるわけではありません。でも、作中の人物の表情で音がよくわかるんだよ。しかも、とてもいい顔で高校生たちがお琴をひくんだよ。その姿に魅せられるんだよ。

今まで自分の中の彼らのお琴のイメージがあったので、CD化されている彼らの音源を聞いていなかったんです。でも、評判が高くて気になり、今回聞いてみたところ、これこそ聞かなきゃ損だったー!!なんと作者さんの実家は琴一家で、こちらの作曲や演奏に協力してくださったそうです。良ければ、音楽と漫画の内容も少し知れるかもしれない以下をどうぞ!

龍星群
https://www.youtube.com/watch?v=Y_Db88Ef6FQ
久遠
https://www.youtube.com/watch?v=yegQRUhJkuM
天泣
https://www.youtube.com/watch?v=p6-HiUGSUXU

特に好きなのは「龍星群」と「天泣」で、これらの音楽にあいそうな物語をぜひ書いてみたい!



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↓↓【ネタバレ注意】自作物語のネタ帳(プロット?) 2016/01/23 04:25UP↓↓
=====================================

物語の更新ができていなくて、申し訳ありません。

何も書いてないですが、何もしていなかったわけでは決してないんです。色々な作品を見まくっていたら書きたいものがなんだか多くなってしまい、もう何が何やら…。

「物語創作法/好きな作家など」に書き足していた自作物語のネタ&リクエスト帳ですが、量がこれだけとても多くなってしまいました。なので単独でUPさせて下さい。ある意味、私にとってこれがプロットと言っていいのかもしれません。っていっても、他人から見れば意味不明な言葉の羅列だったりするかも…。(書き途中の物語のネタバレも思い切りしているので、ご注意を!)

「物語を書いてなくて何やってんじゃい?」と思った時は、たぶんここがこっそり更新されていると思います。


随時更新


★ 物語を書くときに、なんとなく私が自分自身にリクエストしている事など。

・物語の一番の盛り上がりはできればラストらへん希望!
→単に私の好み。「おおー!」と盛り上がって終了するのが好きなので。
・固い文章の物語の場合、会話文はさらっと軽いノリで。
→単に私の好み。重たくてもっさりするの苦手…。
・R指定にはならないように、よろしく!
→誰でも読めるようにしてほしい…。

!!以下、ネタバレ注意!!

★ 私が今後書く予定のもの?(声を忘れないためにメモらせて下さい)

●マタ・ハリ…美貌の女スパイ?踊り子?高級娼婦?

●ストレイテナー「Merodic Storm」「Braver」「シーグラス」「彩雲」「Lightning」「SIX DAY WONDER」の音楽にあいそうな物語を!
→後に【第322夜】  Merodic Storm へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-429.html

●entの音楽にあいそうな物語を!
●佐伯ユウスケ「ツヨサヨワサ」「行かないと」の音楽にあいそうな物語を!やっぱりスポーツモノだろうか。

●無名の英雄…元ネタ:BS歴史館「タイタニック100年目の真実」フレデリック・バレットの証言/乗員死亡率75%/乗客のために死を選んだ219人のボイラーマンたち

●一年に一回は戦争の物語を書かないと。
・島田叡…沖縄を最後まで救おうとした島守(県知事)。未だ遺体は見つからず、行方もわからないまま。
・東京裁判
・最後の華族たち
・陸軍中野学校(日本スパイ養成機関)
・インパール作戦
・ヒトラーの走る要塞

●眠れないの。怖い夢を見るから。眠らないの。幸せな夢を見るから。夢(生きていたころの記憶)にうなされる子供たちの世話をすることになった主人公。しばらく天国で神様のお手伝いをすることになった女の子(ユリ?)の微笑ましいシスター?生活。BGM:Chatmonchy「three sheep」

●君たちはすれ違ってばかりだな。目覚めると、事件が待っている。でも、犯人は探偵を待ってくれない。すべては茶番だ。いつまで君はそれを続ける気なんだい?僕はただ待っているだけですよ。探偵が本当に目覚めるのを―。タイトルは「スレチガイ探偵(仮)」 影響を受けた作品はドラマ『ミス・シャーロック』、アニメ『UN-GO』、モリエサトシ『親愛なるA嬢へのミステリー』、薫原好江『乱歩アナザー』、スティーヴンスン『ジキル博士とハイド氏』。あと、この時期に江戸川乱歩「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」を読んでいたからもしかしたらそのあたりの影響も受けているかも。BGM:LAMA『Blind Mind』

●タイトルに使えそうかも…。
「誘蛾灯(ゆうがとう)」 「此岸(しがん)」 「交い路(かよいじ)」 「件(くだん)」 「件の男、荷葉の女(くだんのおとこ、かようのおんな)」 「異国(とつくに)」 「デラシネ(根なし草)」

●「天泣」と「龍星群」の音楽にあうような物語を!

●蝦夷(えぞ)共和国…榎本武揚初代総裁(選挙により決定)/海律全書を武器に交戦団体権を主張、世界(米・仏)に認められた幻の独立国家をつくる/盟友黒田清隆による函館戦争降伏交渉、助命嘆願/獄中詩「君恩(国為)未だ報いず今日にあう」/生き残った方が葬儀委員長に。元ネタ:歴史列伝「榎本武揚」:御徒町の組長屋生まれの江戸っ子(下級武士の御家人で父は伊能忠長の弟子)→昌平坂学問所で学ぶ。得意科目は自然科学>儒学→学問吟味(今でいう国家公務員試験で甲乙丙の成績で丙)→ジョン万次郎について英語を学ぶ→長崎海軍伝習所→築地軍艦操練所→オランダ留学(機械工学・造船学・蒸気機関学・化学)海律全書(国際法)を基にした外交の必要性に気付く→海陽丸(全長=72.8M、乗務員=400人、最大排水量=2590、最大速度10ノット、大砲=35門で咸臨丸の4倍)海上戦では勝利していたが…。一冊の書が人と国の運命を大きく変えた。タイトルは「運命の書」、「幻の國」、「獄中詩」、まんま「Règles internationales et diplomatie de la mer」とか。でも本当は海律全書って上下の二冊っぽいな。

●近所の少年にピアノを教えたこと。それが俺の人生を大きく狂わせることになった。少年は音楽に愛され、ピアニストの道を一気に駆け上がっていく。主人公は少年の才能に打ちのめされ、音楽を捨ててしまう。時は経ち、成長した少年のコンサートに呼ばれた主人公はかつて彼にピアノを教えるきっかけとなった自作の曲をそこで耳にする…。神様に愛された人間に俺はこんなにも愛されていたんだな。一体、自分は何をこだわっていたというのだろう。もう何もかもどうでもよくなった。お前のおかげで。タイトルは「神様に愛されない」 影響を受けた作品は恩田陸「蜜蜂と遠雷」、ドラマ「重版出来」、自作「活路」(未)。BGM:「YURI on ICE」
→後に【第321夜】 神様に愛されない  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-426.html

●A Red Season Shade - Praising the Distance Conceptの音楽にあう物語を!

●正体不明のラジオDJがお届けする「その夢、叶えちまえラジオ」…とある男子校の昼の時間は一風変わっている。学生の叶えたい夢(一見無謀なもの)を集め、それをラジオDJ(正体不明)が知恵を凝らし、なんとか番組内で叶えるというもの。おバカな男子高生たちの青春モノ。影響を受けた作品:金城一紀「レボリューション№3」、白石 昌則, 東京農工大学の学生のみなさん「生協の白石さん」
ラジオで流す曲順(これがそのまま影響を受けた音楽)
1. the pillows - Instant Music (OP…ラジオ紹介と今回叶える夢の内容について→恋愛相談)
2. The pillows - Last Dinosaur (相談者が告白する相手の元まで走る 制限時間はこの曲の終了まで。その間、相談者のある夢を叶える)
3. the pillows-ONE LIFE【オルゴール】(ある奇跡が起こる)
4. the pillows-one life (ED…ラジオDJの正体が相談者にだけ明かされる)
そんなの、決まってんじゃん。両方だよ。
奇跡には2種類ある。人の手で起こせるものと人の手で起こせないもの。お前らの見たい奇跡はどっちだ。
the pillowsを流すなんて、きっとのこのラジオDJは無類の音楽好きか、隠れたアニメオタクに違いない。

●キリシタン迫害…元ネタ:遠藤周作「沈黙」そこでは宣教師のロドリゴの視点だったけど、できれば私は取り締まった井上筑後守(かつて信者だった)のような裁く側の視点で。いっこうに屈しない信者の脅威を描いてほしい。書けるようなら拷問場面(精神的、肉体的苦痛)とかも。それか長崎という土地柄と宗教について。タイトルは「棄教」

●RADWIMPSの音楽にあいそうな物語を!
・「光」
次はお前の番だ。一見、平凡に見える中学のクラスメートたち。実はそれぞれに秘密や問題(心の闇?)を抱えていた。クラスメート一人一人の独白リレー。前者の秘密を突き止めた者が次の語りべ。しかしそのあとの走者の標的となり、秘密をあばかれる。全員の秘密が明かされた時に悲劇が起こる。
・「ドリーマーズ・ハイ」
さあ、そろそろ本気を出すとしますか。最高傑作を書かないといけないからね。高校の演劇部が舞台の青春SF。ジョン・タイター×ミヒャエル・エンデ「モモ」の灰色の男。ジョン・タイターは時間旅行者であるが、時間泥棒でもあり、未来から私たちの時間を盗みにやって来た。そういう演劇の脚本をたまたま書いていた主人公のもとに本物のジョン・タイターが部活仲間になりすまして近づく。実は真実を描いていたその脚本。ジョン・タイターは演劇の制作を阻止しに来たのだった…とみせかけて、本当はある事情からそれを完成させたいらしい。私的ジョン・タイター誕生秘話、心優しい時間泥棒の物語になれば。長編でもう一つジョン・タイターをネタにした話があるのでかぶらないように注意。
・「叫べ」
部活をがんばる学生×青春モノ。榎田ユウリ「カブキブ!」や佐藤多佳子「一瞬の風になれ」みたいな。
・以下も物語が生まれそうな予感がする。忘れずに。
「オーダーメイド」・「夢番地」・「セプテンバーさん」・「me me she」・「いえない」・「ふたりごと(アコギVer)」・「カイコ」・「シザースタンド」・「シュプレヒコール」・「タユタ」・「トレモロ」・「ブレス」・「ものもらい」・「愛し」・「祈跡」・「最大公約数」・「白日」・「魔法鏡」・「夢見月に何想ふ」・「縷々」・「メルヘンとグレーテル」・「ラストバージン」・「リユニオン」・「やどかり」・「何十年後かに「君」と出会っていなかったアナタに向けた歌」・「音の葉」・「会心の一撃」・「揶揄」・「Darma Grand Prix」

●チャットモンチー「世界が終わる夜に」あいそうな物語を!
→後に【第305夜】 喪服にレモン、少女にはショートケーキを。  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-397.html
親友が死んだ。主人公はレモンとショートケーキを買って彼女を追悼することに。それは親友とのある思い出からだった。喪服にレモンは氷室冴子作品、喪服にショートケーキはドラマ「すいか」出てきたモチーフだったと思う、確か。

●Salyu「LIBERTY」にあう物語を!
①思春期の少年少女の痛い恋愛話…やっと私を見てくれた。初恋は美しい女の死体だった。オフィーリアの絵に魅せられた少年とそんな彼に恋し、彼のため死体になろうとする少女の話。最後にはなぜか立場が逆転。死体になるのは少年というオチ。タイトルは「オフィーリアの肖像」(←この時「ドリアン・グレイの肖像」を読んでいたから?)
②洋風ファンタジー戦記…っていっても読んだことあんまりないから書けるかなあ。前々から気になっているデルフィニア戦記、アルスラーン戦記、ロードス島戦記、風の大陸、ベルセルクあたり読めば勉強になるだろうか。あと、有名どころのファンタジー戦記ってなんだ?

●傭兵の生きざま?死にざま?の話…まぶたを閉じる瞬間、懐かしいカメラのシャッター音が聞こえたような気がした。(樹なつみ「OZ」のムトーみたいな人物で、ライ麦畑のような自然の風景を思い描けて、ラストが開口健「輝ける闇」みたいなイメージ?)BGM:Fightstar 「Mono」
→後に【第310夜】 AF ARMY(オートフォーカス アーミー)   へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-392.html

●愛する女を救えなかったガンマンの話。(「ハードボイルド少年」のマスターの話になるか?)BGM: 沖野俊太郎「A Rising Tide」
●現代版(近未来版)「天空の城ラピュタ」を追い求める飛行艇乗りの話。タイトルは「飛行艇乗りは夢をみる」BGM:沖野俊太郎「Cloud Age Symphony」

●宇多田ヒカル×SF
 ・「This is love」→日清食品「FREEDOM」OP映像(大友克洋)にあう私なりの物語を!
 ・「traveling」→宮澤賢治「銀河鉄道」のブラックコメディになるか?
 ・「DEEP RIVER」→もとになった遠藤周作「深い河」を読むべきか?(そう言えば、安藤裕子「六月十三日、強い雨。」も遠藤周作の小説「女の一生」がもとらしい。この音楽も物語を一本書きたいんだよね。これはやはり遠藤周作を読むべき?)

●青春アドベンチャー「大化の改新 青春記」みたいなノリの歴史×コメディを!

●手塚治虫「火の鳥」の構成(過去→現代←未来)を参考に物語を書いてみたい。長編になるだろうけど…。
●色々な作家が「ファウスト」を題材に書いてるから、私も書きたい(ヤマザキコレ「フラウ・ファウスト」など)

●シェークスピアが主人公の物語とか。オスカー・ワイルドが主人公の物語とか。

●サカナクション「グッドバイ」ピアノバージョンにあう物語を!
→後に【第307夜】 グッドバイ   へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-401.html

●「源氏物語」で何かと主人に振り回される不憫な従者・惟光が主人公の話。
●いつか氷室さんがあとがきで語っていた氷室冴子的「源氏物語」を書けないものだろうか。

●持田あき「スイートソロウ」みたいな世界観の話。

●名(迷)軍師たちの活躍…「戦術では勝っていたのに戦略で負けた」または「戦術では負けたのに戦略で勝った」みたいな話。タイトル候補は三つなので物語も三通り?BGM:サカナクション「新宝島」
①「難攻不落」…白鷺城or熊本城(日本で難攻不落と言われる城。大阪城は徳川家康に攻略されたので除外。ちなみに父的には白鷺城>熊本城らしい。理由は忘れたので後で聞こう)をモデルとした籠城戦攻略劇。
②「レンタル軍師」…戦国時代のような舞台設定。戦の協定(取り決め)でどこの国も軍師はある一族からレンタルしなくてはいけないと決まっている。
③「軍師兄弟」…①と②を足したもの。オチが軍師一族の兄弟喧嘩(または軍師一族の利益独占)に単に国々が巻き込まれ、長いこと戦の時代が続いているというもの。


●山崎豊子の話…元ネタ「NHKスペシャル作家 山崎豊子~戦争と人間を見つめて~」 
→後に【第301夜】 嵐を呼ぶ女 へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-383.html
① 恋人の戦死→ぶつかる対象の変化→戦争を見つめていく作家になるまでの過程を描く(女性的な面を押す?)
戦時中21歳の日記より「一月二十日 敵機来襲で、線路側の防空壕へ飛び込む。何とも云えぬ敵愾心がむらむらと湧き上がる。畜生、勝つまでは頑張るぞ」「私は凪よりも嵐を呼ぶ女だ。真正面から偽りなく彼とぶつかりたい。これほど迄に彼を愛しているのに、それを信じて貰えないほど恐ろしい苦しい事はない」「彼はついに発った。最後のお別れをする。ウン、泣きそうだ」「この無残、惨状、戦争は絶対いけないものなのだ。人類の不幸は戦争から始まるものだ」
② 彼女なりの理想をつめこんだ小説のラストに人物モデル(西山太吉・瀬島隆三・秋山眞一・紅谷寅夫など)までの生き方を変えた筆力・影響力を描く
小説執筆のための取材記:大地の子より→残留孤児証言「今まで誰にも言えなかった」、運命の人より→沖縄密約・西山太吉の抗議電話「三流小説以下」と賞賛「権力・社会・人間の相関関係を抉りだす作家の真骨頂、崇高な問題提起、大衆に浸透させる至芸」
③ ①と②を足したものを描く 
私の声:「愛する人を殺した戦争が憎い。ずっとそう思って生きてきた。でも、本当はそうではなかったのかもしれない。私はただ戦争が憎いのではない。あの時代に生きて何もできなかった無力な自分が憎いのだ」
※ちなみに、①②③のどれを書くにしても政治的思想の偏りはなしの方向でよろしく。


●新聞記者、福田定一が司馬遼太郎になるまでの話。「余談とはいえ、無駄話ではない」
・アプレ記者・金閣寺炎上(金閣寺放火事件)
→後に【第176夜】 或るアプレ記者の回想シリーズ へ  
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-207.html
◎今後の物語の流れ
ヨシダとフクダは金閣寺放火事件の犯人の動機をスクープする。しかし、その内容に検閲の恐れありと判断したオオタケの手により記事は大幅に修正され、金閣寺の真相(国家がらみの汚職?宗教タブー?)が世間に明るみに出ることはなかった。ヨシダは憤慨するもフクダは困ったように微笑むだけ。ヨシダはそのとき初めてフクダがアプレ記者として見定めたかったのは自分ではなく、オオタケであったことを知る。記事の修正に納得できないヨシダはオオタケを非難。「あいつがずっと新聞記者でありたいと言うなら俺は何もしなかったさ。でも、フクダはそうじゃない。あいつの夢をお前は知っているか?そのために、あいつをここでつぶすわけにはいかないんだよ」オオタケの口からフクダの夢を聞き、ヨシダは何も言えなくなるのだった。「アプレ記者とは何か?」ヨシダは自問する。無謀にも国家権力に挑もうとしたフクダ、それを阻止して親友と新聞社を守ろうとしたオオタケ。それぞれの信念で動いた彼ら。かたちは違えど、どちらもアプレ記者の姿と言えるのではないだろうか?そして今、彼らを見てきた自分はどうなりたいのか?ヨシダはフクダたちと同じ新聞社に入ることを決意。自分なりのアプレ記者をそこで目指すことに。ヨシダの入社も決まり、三人で祝い酒を酌み交わしていると、ふとフクダが自分の夢について語り出す。小説家として大成したいというフクダ。酔った勢いでヨシダとオオタケは彼の作家名を提案。フクダはそれを気に入る。実はこの時、後世に名を残す偉大な小説家が誕生していたのだった。
◎人物モデル…実在の人物を参考。でも、名前を借りたくらいで人物像・作中の行動などはフィクション。
ヨシダ:吉田時雄
(福田の口利き?で産経新聞入社した京大生。後の大阪新聞社社長)
フクダ:福田定一
(新世界新聞社→新日本新聞京都本社→産経新聞入社。後の小説家、司馬遼太郎)
オオタケ:大竹照彦
(新世界新聞社→新日本新聞京都本社→産経新聞入社。福田の同期。後のサンケイアイ社長)
スエツグ:末次攝子
(京都日日新聞入社。福田とは記者クラブ仲間。後の大阪府参与)
ワカギ:若木松一
(金閣寺放火事件当時西陣署員。警部見習。後の西陣署署長?)
◎要修正
・戦後の新聞社事情(大手新聞社は経営難と言うわけでもなかった?子会社を作ってGHQを欺いていたらしい)
・フクダの新聞社の移り変わりは書くべき?
・タイトル「或るアプレ記者の回想」変更。杉山小弥花「東京アプレゲール」みたいなレトロ感あってカッコいいの希望!
・フクダの眼鏡の描写がなかった!司馬さんっていったら、眼鏡とえくぼなのに…。
◎リクエスト
・できたら会話文を関西弁に。(大阪弁?京都弁?)
・三島由紀夫と水上勉がどこかにちらりとでも登場してくれると面白いと思うんだけどな。
◎噂と謎
ネット情報で司馬遼太郎著の金閣寺放火事件作品があるとのこと。(古書店で9万円とか)それって本当なのだろうか?だとしたら、アプレ記者の続きを書く前に読みたい!(値段、高すぎて無理なんだけど!)司馬さんの事件後の記者としての動きが知りたい。エッセイ「司馬遼太郎の考えたこと」にもノンフィクション「新聞記者 司馬遼太郎」にも記述なし。唯一あったのは水上勉「金閣炎上」だけど、慈海和尚の取材に行く途中に見つけた庫裡の黒板のメッセージのみ…。


●反魂香(はんごんこう)にまつわる話(桜小路かのこ「ラストノーツ」第一話系?畠中恵「しゃばけ」系?)
●三途の川の住人とそこに訪れる旅人との交流(モデル:なんとなくムーミンとスナフキン?)BGM:白鳥マイカ「線」
→後に【第303夜】 リバーフィッシュ へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-391.html
●海でたき火をする男女(友人の結婚祝い用?)BGM:hitomi「君のとなり」
●椅子取りゲーム×恋愛(〃)
●タイムカプセル×恋愛SF(高野苺「orange」系?)気づかないだけで、本当はそこにいた。BGM:フルカワミキ「OVER YOU」
●過去世または転生もの・花魁または遊郭もの
→後に【第149夜】 過去世話(むかしばなし)  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-141.html
●新人小説家を取材するライターの話。タイトルは「活路」
●おばあちゃんの知恵袋的な料理話(「西の魔女が死んだ」系の話?)
●「さよなら渓谷」系の話(R18?)
→後に 『summer』 シリーズ へ 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-151.html
●スランプに陥った作曲家と女子高生との交流
→後に【第179夜】 音花  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-182.html

歴史人物(政治・経済・政策)は主に淑玲『宮廷浪漫』シリーズの参考資料にする予定
●高杉晋作(外国艦隊停戦3回の交渉→①日本古来の礼服②命狙われ参加できず③幕府に押し付け)
●伊達正宗(新田開発→給与を米の代わりに荒地2倍を→江戸へ/震災→入浜式製塩業)
●平賀源内(日本初東都薬品会の成功←運送着払い制/天狗小僧/源内焼←轆轤ではなく型を)
●保科正之(将軍の不遇の息子/明暦の大火/年金制度/社倉制)
●陸奥亮子(芸者→外交官夫人)、伊藤梅子(芸者→ファーストレディ)
●富貴楼お倉(柳田国男の待合政治論)
→後に【第193夜】 女傑(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ19/ファンタジー )  へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-228.html
●パリ万国博覧会の話(徳川慶喜の弟の渡仏←「ふしぎの海のナディア」のようなボーイミーツガール?ちょいちょい渋沢栄一が登場。ぶかぶかのスーツ)
●渋沢栄一
(合本主義→パリ万博:銀行・株式会社・鉄道設立へ/海運業独占政商岩崎弥太郎との対立→屋形船の会合/道徳経済統一説/経済こそ最高の道徳であれ)
●井伊直虎(戦国の女当主/徳政令までの時間稼ぎ)
●ハンザ同盟(リューベックの経済自治都市/印章つきの同盟証明書→参加都市をお互いサポート/商人が議員となり、議場で政治を/バルト海~リューベック~ハンブルク~北海の間を航路と陸路うまく使って交易)
●毛沢東の失敗と文化大革命または周恩来
●藤原不比等/藤原良房(応手門の変の黒幕?)
●上杉鷹山
●卑弥呼の外交戦術(なぜ呉ではなく魏だったのか/倭国の位置を錯覚させる/卑弥呼は存在せず、姫巫女をヒミコ(個人名)と中国人が聞き間違えたか)
●邪馬台国論争(伊都国/卑弥呼姉妹説)
●樋口一葉(色恋沙汰と恋愛の違い/雪の日と『おしるこ』)
●琉球王国の外交戦術(演劇外交)
●ナポレオンの戴冠式を描いた画家 ジャック=ルイ・ダヴィッド
●ロマノフ朝崩壊
●エルタージュ美術館で飼われている猫(エカテリーナ妃の隠れ家に住む猫)タイトルは「隠れ家の猫」BGM:洋画「アメリ」サントラ
●ピョートル大帝
●水の都・サンクトペテルブルクが旧レニングラードと呼ばれていた時代の話(←元ネタ:押井守『ケルベロス 鋼鉄の猟犬』ラジオドラマ )
●ダヴィンチ
●二・二六事件
●『神はサイコロを振らない』論争
→後に【第155夜】 神はサイコロを振らない へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-180.html
●千里眼事件
●人質事件(外交官・黒田康作系の話?)
●あしながおじさん系の話
●ミステリーとか
→後に【第145夜】 手紙(『my last fight』シリーズ)へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-145.html
●ホラーとか
●女性主人公のハードボイルドってできないかな?
→後に『【第153夜】 All Alone With You』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-178.html
●ブロークン・アロー(暗号名)がらみ
●731部隊とその後の系譜
→後に『【第146夜】 ジェネラル・イシイ』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-172.html
●先生と生徒の恋愛モノ(「ひるなかの流星」系の話?)
→後に『【第302夜】 VS.たまごサンド』へ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-390.html
●ケネディ一家またはケネディ暗殺事件
●アラバマ大学事件(人種差別・軍隊)
●CIAとダラス兄弟
●日本国憲法草案と沖縄密約 リチャード・フィンの策略
●キューバ危機(ソ連との文書交渉→2通のうち1通のみ返事)
●カストロ(弁護士)とゲバラ(医者)
●紅茶(お茶)専門店の話
●女性記者またはジャーナリストの話(モデル:山本美香?)
●聖徳太子と秦一族
●闘茶
●清少納言と紫式部の全面対決

続編
●淑玲『宮廷浪漫』シリーズ
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-25.html
●モダンガール事件手帖 続編 (三間坂視点?/三人称希望)
●巫女姫と風使いの少年 続編
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-299.html
●帰還者シリーズ 続編 (前PCバックアップを探せ→まさかの消滅…)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-71.html

●小学生の頃に書いたネタ帳?(リクエスト帳)より
神の子?不吉の子?と呼ばれる不思議な体を持った人間(両性具有)の話

他にもあったら、あとでまたここに追記しますね。


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みなさま、いつもご訪問ありがとうございます!

語りべのrurubu1001です。

おかげさまで、物語ブログをはじめて4年半?くらい経ちました。2017年もたくさんのご訪問、拍手、コメント等、本当にありがとうございました。(自分の物語UPでいっぱいいっぱいで、あまりこちらから訪問ができず、コメントも残せず、申し訳ありません。特に今年は仕事に気力を奪われたり、体調を崩したり)

そんな数少ない訪問の中で、毎年個人的にお気に入りのブログ様に自分で作った賞を勝手におくってしまう自分的小説ブログ大賞の発表です。(賞品なんてありませんが…。生意気にすみません。良ければご紹介をさせて下さい)

第5回 自分的小説ブログ大賞 (2017)候補作一覧
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-404.html

今年も本当に悩みましたよ…。悩んで悩んで決められないのもダメだと思い、候補作品の中から心を鬼?にして選びましたよ!(ちなみに、すでに書籍化されている作品でも自分的小説ブログ大賞では、発表時点にネットで全話読めればよし!ということになっておりますので!!)

心の準備はいいでしょうか…?

それでは、発表します!!

(良ければ、脳内でドラムロールのご準備を♪)

2017年、『 第5回 自分的小説ブログ大賞 』はっっ!!

(ドラムロール♪ + じゃじゃーん!!)

大海彩洋さんの小説ブログ『コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』で完結済の小説『清明の雪』 と 『天の川で恋をして』です!!!

今回もなんと自分的小説ブログ大賞、2作品W受賞(しかも同じ著者!)になります。おめでとうございます~!!

なんでこんな異例の事態になったかと言うと…。

みなさんは物語を読まれるときに、一体どのような読み方をされていますか?私は好きな物語に出会うとその作家さんがお気に入りとなり、作家読みをしてしまうタイプ。だから、同じ著者で好きな物語が増え、自分的ブログ大賞で2作品選ぶ現象がおきてしまうのかも。

大海彩洋さんとの最初の出会いは『清明の雪』 。その頃、私はまだネット小説初心者で色々な小説ブログサイトを渡り歩いていました。ブロともさん経由でたどりつき、素敵なタイトルにひかれ、大海彩洋さんの物語を読み始めたのです。読んだ瞬間、ネット小説なのに紙の香りがすると思いました。上質なミステリー。

そんな大海彩洋さんのイメージがガラッと180度、変わります。それが青春&恋愛系の『天の川で恋をして』です。もう、さらっとこういうのも書いてしまうんだもんな!主に青春系の物語を書いている私のようなものの立場がないじゃないか(笑)。

作品の世界観、そのギャップをぜひ楽しんでほしくて、この二作品を選ばせてもらいました。(ひとつに決められなかったともいう)そうそう。『清明の雪』はある人物のシリーズでもあるので、長編好きにはたまりません。単独でももちろん楽しめますが、深みがより増すかと。上質なミステリーには、コーヒーが似合いますよね。良ければ、優雅な小説タイムを一緒に過ごしてみてはいがかな、ワトソン君?(なぜか最後はホームズ調)

ぜひみなさま、大海彩洋さんの『清明の雪』と『天の川で恋をして』ご一読を~^^

↓↓ 詳細はこちら ↓↓

 お名前  :大海彩洋さん
 ブログ名 :『 コーヒーにスプーン一杯のミステリーを 』
 ブロアド :http://oomisayo.blog.fc2.com/
 小説名1 :『清明の雪』(長編小説/ミステリー)
あらすじ  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E3%80%90%E6%B8%85%E6%98%8E%E3%81%AE%E9%9B%AA%E3%80%91%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%81%AE%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%A8%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%98
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-1.html#%E2%9D%841%E3%80%80%E5%8F%A4%E3%81%84%E5%AF%BA%E3%80%80%E9%BE%8D%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BA%95%E3%80%80%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%81%AE%E6%8E%9B%E8%BB%B8%20
 小説名2 :『天の川で恋をして』(短編小説/恋愛)
 第1話  :http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-16.html 


今回は、大海彩洋さんの『清明の雪』と『天の川で恋をして』でしたが、他にも素敵な小説ブログはわんさかあります!(今回惜しくも大賞を逃した作品は来年度の候補作品として、そのまま残りますのでご安心下さい!今回選ぶことができず、本当に本当に、すみません。><!!)

これからも、みなさまのブログにぜひお邪魔させて下さい。

良ければ、今後も『1001夜ショートショート』をどうぞよろしくお願いします!


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第1回 自分的小説ブログ大賞 (2013) けい『夢叶』
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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-420.html

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    パチモンお嬢様、超絶美形男にたかられる! (それいけ!美芳2)
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「こんにちは、美芳(みいふぁん)ちゃん!」

超絶美形男はニッコリと私に微笑んだ。

「なんだー、お兄さんか…。驚かせないでよー」

見知った顔にホッとする。この人は最近商店街に出没し始めた謎の超絶美形男だ。『謎の』っていうのには理由がある。この人の名前や素性は一切不明(年齢もか!?)で、詳しいことは誰も知らないから。

パッと見(み)、その麗しい顔と色香で商店街の女という女を虜にし、もてあそぶような危険な男(単に女好きでチャラいとも言える)。でも、なぜか憎めない性格をしていて、彼の信者(ファン)は多いのよね。それも女だけでなく、男にも!(モテる男という憧れというかカリスマ性ゆえかしら?)商店街のみんなから「お兄さん」と呼ばれて親しまれている。

「何?また、たかりに来たの、お兄さん!」

私が胡乱な目を向けると、超絶美形男は肩をすくめた。

「たかりにきたなんてヒドイなあ、美芳ちゃん。それじゃ、お兄さんが悪い人…まるで極悪人みたいじゃないか?」
「違うの?」
「ガッツリ違うでしょう!」

超絶美形男は腕を組み、一人何度も頷いている。ガッツリ否定してくれてどうもありがとう。(悪い人は悪い人でも極悪人なんて随分スケールが大きくなっちゃったみたいだけど)でも、まだまだお兄さんには言いたいことがあるらしい。ビシッと人差し指をたてた。

「美芳ちゃん、お金はたかりに来てませんが、今日のおやつは、しっかりたかりに来ました!」
「ダメじゃん!」

私は容赦なくツッコんだ。

「モノは違えど、やっぱりたかりに来てるんじゃない!?」
「違いますぅー!」

お兄さんは不満そうに口を「3」(←こんな形)にとがらせた。いちいち言い方が癇に障るなあ…。

「美芳ちゃんは何、言っちゃってるのかなー?おやつなんてカワイイうちでしょー?」
「いやいやいや、カワイイうちとかそういう問題じゃないから!『何、言っちゃってるのかなー?』はお兄さんだから!」
「美芳ちゃんは偽物(パチモン)お嬢様をこじらせて、心がちょっとひねちゃったよねえ。変に人のアゲアシをとりたがるっていうかー」

こらこら、なんで私が悪いみたいになってるんだ…!?私はためいきをついた。

「お兄さんって見た目はすごく素敵なのに、中身はてんで子供ですよね。ホントお子様もいいところだわ」

私があきれたようにそう言うと、超絶美形男はおかしそうに笑った。

「うん、素晴らしい評価だね。誉めてくれているようで、けなしている。ひょいっと持ち上げているようで、ズドンと落とす。うんうん、浮き沈みの激しい美芳ちゃんらしいや」

この人もなかなか言ってくれるわ…。超絶美形男は続けた。

「まあ、君の言う通りなんだけどね。僕はお子様もいいところなんだ。そう、いつまでも少年の心を忘れない。さようなら、現実。こんにちは、ネ○ーランド!見た目は大人、頭脳は子供…いや、中二!」

…っていうか、それって…。

「ダメな大人の典型例だ!」

私が声を上げると、お兄さんは上手に片目をつむった。

「そんなダメな大人の典型例のお兄さんが本日も偽物(パチモン)お嬢様の悩みを聞きますよ?ささやかな幸せ(おいしいおやつ)のためにね!」

色々とテキトーで軽いノリがうりのお兄さんだけど、この人は私のことを決して「お嬢様」とは呼ばない。(よんだとしても、「〝偽物(パチモン)”お嬢様」だしね)そのへん、私としてはけっこう評価しているのだ。何よりも「お嬢様」と呼ばれるのが、私は嫌で嫌でたまらないから!

「今日はどうする、美芳ちゃん?キミの話を聞かなくて平気かな?」

それになんだかんだ言いつつも、私の「〝偽物(パチモン)”お嬢様」である日常の愚痴や鬱憤を吐き出すのを手助けしてくれる。そう、悪い人じゃないのはわかってるのよ。警備態勢がわりとしっかりしている我が家に、どうやって忍び込んでいるのかは、いまいちよくわからないけども…。




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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      【一覧】 『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
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★淑玲が主人公の本編『宮廷浪漫』シリーズはこちら。
蹊国(架空の国)で繰り広げられる頑張り屋の少女・淑玲のサクセスストーリー。
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★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編①真夜中の逃避行(仮)はこちら。
花街で権力を握っている影達・梅恭・お蔵の青春時代の物語。
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★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②時をかけるおやっさん(仮) はこちら。
淑玲父とお兄さん(謎の美男子)の出会い回想記。
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★『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③それいけ!美芳(仮) はこちら。
美芳が淑玲と親友になった話&淑河に恋したきっかけ談。
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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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         パチモンお嬢様、逃亡する! (それいけ!美芳1)
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心穏やかな昼下がり。

「お嬢様―!」

そう、心穏やかな昼下がり…のはずだったんだけどなあ。

「お嬢様―、お嬢様―!一体どこにいるんですかあー?」

でも、それは簡単に打ち破られた。誰かが大声で私を呼んでくれたからだ。

「お嬢様―!お嬢様ー!お嬢様―!!」

あ、間違えた。訂正しよう。誰かがしつこく(←強調!)大声で私を呼んでくれたからだ、…の方がよさそう。

「逃げないで出てきてくださーい、お嬢様ー!!」

ああ、うるさいなあ、もう!それで「はいはーい、ここでーす!」なんていう逃亡者がいるわけないでしょう!

「お嬢様―、どこにいるんですかあー!?お嬢様―!!」

私は隠れていた木から庭を見下ろした。うちで働く小間使いの少年がいなくなった私を心配して、どうやら探しに来てくれたらしい。

「お嬢様―!!いい加減に出てきて下さいよー!出て来てくれないと、俺が旦那様と奥様に叱られてしまいますー!!そんなのはイーヤダーーーー!!」

………あ、間違えた。訂正しよう。どうやら私というよりも彼は自分の心配をしているようだ。ええい、なんてやつなの!

「あいつの今日のおやつは抜きね!」

私はふんと鼻を鳴らした。うん、そうよ!決定、決定!!小間使いの少年の悲痛な叫びは続く。

「お嬢様あー、出てきて下さいってばー!俺、もう半べそですー!!そろそろ、あれですよ。これ、号泣に変わっちゃいますよ!!」

………なに、その前置き。あいつの情に訴える作戦は大分間違えているような…?

「俺、マジですから!あと、5秒以内に出てきてくれないと号泣しますから!そう、マジで号泣5秒前ですからーー!!」

ええー!?と、あやうく声を上げそうになり、私は急いで手で口を覆った。木の上にいるのをバレるわけにはいかない。

「本気と書いて『マジ』!!大真面目と書いて『大マジ』ですからーー!!5・4…」

もうなんなの、あいつは!泣き落とし(?)とみせかけて、ホントは脅迫してるんじゃないの…!?

「まだ出てこない気ですか!?もう!!偽物と書いて『パチモン』!!本物と書いて『マジモン』ですからーーー!!…3…」

…ったく、意味がわからん!私は大きなため息をついた。心穏やかな時間は一体どこへいったのやら…?

「…2・1…!!」

あー、はいはい。わかりました!今そっちに行くから。なんだかバカらしくなってきたしね…。私は観念して、上っていた木から下りようとした。

「おーい、お前!悪いが、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだ。こっちに来てくれー!」

その時、うちで働く年配の使用人が現れ、小間使いの少年は振り返った。

「今、俺はお嬢様を探さなくちゃいけないんですけど…」
「お嬢様が稽古事が嫌でいなくなるのはいつものことだろう?旦那様から急な仕事を任されたんだ。人手が足りん。だから、手伝え。お前はこっち要員だ!」
「えー!?何ソレ?しかも何要員だよー!?」

年配の使用人にはんば引きずられるように、少年はうちの中へ戻って行った。

「なんだったんだ、いったい…」

私は木の上から呟いた。一人取り残された感もあってか、少し拍子抜けしてしまう。

― お嬢様が稽古事が嫌でいなくなるのはいつものことだろう? ―

さっき年配の使用人が言っていた言葉を思い出して苦笑する。

「はいはい。そうですよ。私がいなくなることなんて、どうせいつものことよね…」

別にお稽古事が嫌なわけじゃない。色々知ることができて楽しいし、自分の成長やその上達っぷりに胸が張れるような気さえする…。

「でも、お稽古ごとなんて貴族のお嬢様がすることじゃない?」

私の家は蹊国の首都・成安で一番大きい米屋を営んでいる。家は裕福で大きいかもしれないけど、決して貴族ではない。一般庶民なのだ。

「そんな私が貴族のお嬢様のまねごとなんて、ちゃんちゃらおかしいわ」

私の暮らす蹊国(けいこく)は身分社会だ。上から順に「王族>貴族>庶民」というふうになっている。そこでは何よりも生まれが大きくモノを言うのだ。私みたいな庶民が何をしようとも高貴な血には決して勝てないし、届くわけがない。

「そもそも私自身、はり合う気なんてまるでないんだけど…」

庶民のくせにお金だけはある。だから貴族のお嬢様のような扱いをされる。まわりからチヤホヤされたり、持ち上げられたり…。そんな「偽物(パチモン)お嬢様」の私にはね、一つだけわかっていることがあるの…。

「お嬢様って、意外と生活が窮屈で不自由だ!」

お稽古事を毎日ぎっしり詰め込まれ、空き時間があまりない。休んだり、息抜きできたりする時間が全然ないのよ。だから、こんなふうに逃げるしかない。で、間抜けに木なんか登る羽目になる。

「それにお金ってあるにこしたことはないけど、持ちすぎるとロクなことがないと思うの」
「へえ。なんでなんで?」
「ごますってくるやつとか、こびへつらうやつとか、いちもつ秘めた野心家とか、やたらめったら近寄って来るしさ…。『いい話がある』って言って、人のお金をいいように使おうとするのよ!」
「ふむふむ」
「そういう人たちって最悪!うざいっていったらないわ!!」
「なるほどね。キミは意外に鋭く人を見ているなあ…」

私がひとり愚痴っていると、いつの間にか誰かの相槌が加わっていた。慌てて振り返ると、同じ木の上に超絶美形男が座っていた。


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【目次】 それいけ!美芳(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編③/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【一覧】  『宮廷浪漫』シリーズ 【関連】
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          それいけ!美芳(仮)  
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【内容】

私、美芳(みいふぁん)!蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)で一番大きい米屋の娘よ。でも、最近困っていることがあるの。家があまりに裕福な商家のせいか、まわりから「お嬢様!」と呼ばれるわ、持ち上げられるわ、生活が窮屈なことこの上ない。別に私は貴族のお嬢様じゃなくて、一般庶民なんですけど!?もう勘弁してほしいわ。…そんな毎日に嫌気がさしていた私の前に超自分調子(マイペース)人間があらわれた…!?

※本編よりも昔の話になります。


【登場人物紹介】

◎美芳(みいふぁん)
蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)で一番大きい米屋の娘。貴族ではないが、家が裕福なため、お嬢様と呼ばれることも。(しかし、本人はそれを嫌がっている)本来は明るく活発な性格だが、人付き合いが面倒であるため、商店街の女の子の集まりなどでは、本性を偽って大人しくしている模様。後に淑玲と親友になる。

◎お兄さん(名前不明)
美芳(みいふぁん)の暮らす商店街に最近現れた謎の青年。超絶美形男(美男子)。女好きの遊び人のようだが、お世話になっている家の女の子にどうやら入れ込んでいる様子。美芳の悩み相談や愚痴話ににつきあってくれたりする。年齢不詳。

◎淑玲(すうりん)
蹊国(けいこく)の首都・成安(せいあん)に暮らす八百屋の娘。明るく元気なしっかり者。学問に興味があり、最近では読書に夢中。顔がそっくりの双子の兄・淑河がいる。本編の主人公。

マイペース更新で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。

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                  目次
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【第319夜】 パチモンお嬢様、逃亡する! (それいけ!美芳1)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-421.html
【第320夜】 パチモンお嬢様、超絶美形男にたかられる! (それいけ!美芳2)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-423.html
【第323夜】 パチモンお嬢様、女性代表になる!(それいけ!美芳3)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-430.html
【第324夜】 パチモンお嬢様、恋について考える!(それいけ!美芳4)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-431.html
【第325夜】 パチモンお嬢様、超絶美形男を残念に思う!(それいけ!美芳5)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-432.html
【第326夜】 パチモンお嬢様、応援する!(それいけ!美芳6)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-433.html
【第327夜】 パチモンお嬢様、逸品を披露する!(それいけ!美芳7)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-434.html
【第328夜】 パチモンお嬢様、超絶美形男に物申す!(それいけ!美芳8)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-435.html
【第329夜】 パチモンお嬢様、かわいい顔が台無しになる!(それいけ!美芳9)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-436.html
【第330夜】 パチモンお嬢様、自由に思いを馳せる!(それいけ!美芳10)
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-437.html



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=影響を受けた作品のご紹介=
ここでは上の拙い物語がたぶん影響を受けたんじゃないかと思われる作品をご紹介します。 お時間や興味のある方はどうぞ~。

★  moumoon『Sunshine Girl』 × 『』 ★

① moumoon『Sunshine Girl』
https://www.youtube.com/watch?v=L-zdKB82Rc4
https://www.youtube.com/watch?v=c1-78DNI4aA

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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
http://short2story.blog.fc2.com/blog-entry-415.html

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       おやっさん、問題に直面する? (時をかけるおやっさん4)
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名探偵のマネをして、ふざけてお兄さんを指差す。お兄さんは可笑しそうに腹を抱えて笑っていた。俺が憎めないのを知ってるからって笑いすぎだぞ、お兄さん。しばらくしてから、お兄さんは俺に向き直った。

「おやっさんは勘違いしているなあ。だから、一つ教えてあげないとね」
「ん?」
「僕はいらない本を積んで、淑河くんに『欲しかったら、好きな本を持って行っていいよ~』って言っただけなんだ」

…うむ、それのどこが『勘違い』になるんだ?俺の考えを読んだのかお兄さんはくすくすと笑った。

「毎回けっこうな量の本を積んでいるんだけどね。でも、そこから淑玲ちゃんにあげる本を選ぶのは僕じゃないんだよ」
「え?」
「僕じゃなくて、おやっさんの息子が選んでるんだ」

…は?今なんて…?俺の息子って、まさか…?

「もちろん淑河くんに決まってるじゃないか、おやっさん!」

…いやいやいや!「もちろん」って言われても信じられないよ、お兄さん。一体どういうことなんだ…!?

「淑河くんは熱心に本を選んでたよ。淑河くん、妹の淑玲ちゃんが大好きだからね。良いものを淑玲ちゃんに読ませたくて、一冊一冊きちんと開いて自分の目で中身を確認してるぽかったな」
「…一冊一冊きちんと開いて自分の目で中身を確認してる…?」

俺はオウム返しもいいところだった。そんなまさか…。特技→うっかり。持ち味→天然。極めつけ→ドジっ子の淑河だぞ!?そんなの、ありえーん!認めーん!許せーん!

「僕は思うんだけど、本を選ぶってことは、ある程度その本を読んで、内容を理解してなくちゃいけないよね。淑玲ちゃんのレベルに合うものを選ぶ力も必要だし。そうそう。たくさん数があったから、速読力もありそうだよね。淑玲ちゃんの手元に渡ってない分もチェックしていただろうから、彼女以上に本に触れていたとも言える。ねえ、おやっさんはどう思う?」

俺は驚きのあまり声がでなかった。

俺の息子がそんなに優秀なわけがない。

「能ある鷹は爪を隠しているのか、淑玲ちゃんに関わることだけ不思議と能力を発揮するのか、そのへんはまだよくわからないけど…」
「…………」
「う~ん、淑河くんも面白いよね。育て方次第だね」

さらっと息子(淑河)を分析、評価するお兄さんに戸惑う俺だった…。っていうか、お兄さん、もしや教育関係者か何かですか?タスケテ、先生!もう!うちの子たち、ワケワカンナイッ!!

育て方次第なんて同時に『おやっさん次第だよ』とも言われているような気がして困るんだが…!やめてくれ、お兄さん。俺自身、そんなデキのいい方じゃないんだ。並大抵。中の中。優良可なら限りなく可に近い良!かなしいかな、そこそこレベルの男なんだよ!俺はお兄さんにしがみついた。

「そこそこ親父を苛めないでくれよ、お兄さん…!」
「え、そこそこ親父…?(って何!?なんかのキャラクター?)」

「俺は別に淑河や淑玲にデキのよさなんて求めてねーんだ!デキが悪くても困るけど、うちを継げるだけのそこそこの器量があれば、それでもう充分なんだよー!!そこそこ万歳!!俺万歳なんだー!!(?)」
「うんうん、それがおやっさんの望みなんだよね。大丈夫だよ。大丈夫だよ。おやっさんの望みは(たぶん)叶うよ~」

半泣き状態の俺を「よーしよーし」と慰めてくれたのは、もちろんその場にいたお兄さんだった。(ついでに、「わしゃしゃしゃしゃ」と楽しそうに俺の頭を撫でていた)

「ううううう…!別に俺は高望みなんてしてねーんだ。器のちっちぇえ俺には平凡な幸せで満足なんだよ。それでお腹いっぱいのはずなんだ!……そ、そりゃ、淑玲の前に金持ちの坊ちゃんが現れたと聞いた時にゃ、目が眩んだりしたけども…!!」
「え?」
「でもでも、たいていの父親だったら娘がいいところに嫁いで苦労せずにやっていけると思ったら、気持ちが傾くだろう?欲張りになるだろう?悪魔の囁きにのっちゃうだろう!(?)」
「……金持ちの坊ちゃん……?」

この時、お兄さんの眉がぴくっと動いたのは、俺の気のせいだったのだろうか?

「…お兄さん…?」
「…そっかー。淑玲ちゃんにお金持ちの坊ちゃんかー」
「あ、あー…」
「それは、おめでたいネ!」

お兄さんは俺にニッコリと微笑んだ。そして、パチパチと祝福の拍手までしてくれた。さっきのはやっぱり俺の気のせいだったのだろうか?

「オメデタイ!オメデタイ!ねえ、おやっさん?」
「お、おう…」

でも、なんだろう。そのキレイな笑顔に少し凄味を感じるような…?お兄さんの後ろに何か不穏な空気が見え隠れしているような…?俺の野性的な勘が「オニイサン、チョット怒ッテルネ!コレ、モシカシテ、ヤキモチヨ。ヤキモチ、ヤイテルネ!」とそう告げている。

「いやいやいや、そんなお兄さん、まだその坊ちゃんとうちの淑玲がどうなるかなんてわからねえんだからさ」
「…ふうん。わからないんだ?」

お兄さんは変わらぬ笑顔で、俺に「で?」と話の続きを促す。あれ、お兄さん?今までの俺への優しさはどこへ行っちゃったんだい…?

とりあえず、知っていることは全部話した方がよさそう(身のため)だな…。俺はお兄さんの顔色をうかがいながら、自分の知っていることを話した。

「昨日さ、淑玲がその坊ちゃん家に行ったみたいなんだよ。かなりいい車で送り迎えしてもらったようでさ。まあ、それで俺はどこかの金持ちじゃないかと思ったわけなんだ」
「…で?(どんなやつだったの?)」

無言の圧力って言うのは聞いたことがあるが、もしかしたら、笑顔もそういう力があるんじゃないだろうか。笑顔の圧力…いや、脅迫か…?

「…そのー、俺は坊ちゃんの顔を見てないんだけど。えっと、淑河の話じゃ、けっこうカワイイ顔…」
「ふうん。淑玲ちゃんって意外と面食いなんだ(僕の顔には興味をしめさないのに…)」

しまった!

「いやいやいやいや!カワイイ顔って童顔って意味だよ、お兄さん!嫌だなあ。そんなお兄さんに顔で勝てるやつなんているわけないよ!」
「…そうかな?」
「ソウダヨ!」
「うん、実は僕もそう思ってるんだ!」

お兄さんは満面の笑みでこたえる。相変わらず、自分の見た目に関して、スゲー自信だな、オイ。

っていうか、危ねー危ねー。お兄さんのご立腹、なんとか回避だぜ!俺は汗を拭き拭き、大きく息を吐いてから続けた。

「今朝、淑玲にその坊ちゃんについて聞き出そうとしたんだが、無理だったんだ。あいつは『違う!』の一点張りで、さっさと野菜を積んだ大きな荷車を持って逃走しちまうしさ。だから、詳しいことは俺にもよくわからいんだよ!」

お兄さんはチラッと俺を見る。俺は選手宣誓をするようなスポーツマンの面持ちで、裁判の証言台で宣誓書を読み上げるような証人の気持ちで、お兄さんに「俺の知っていることは全部話しました!嘘なんてついてません!(正々堂々と誓うぞ、この野郎!)」と猛アピールした。

「ナルホドネー」

お兄さんは腕を組んで、何やら考えをめぐらせている。あれ、納得して頂けなかったのかな。後半、お兄さんの顔を誉めて持ち直したと思ったんだが…。

っていうか、お兄さんって本当にその坊ちゃんに対して、ヤキモチをやいているんだろうか?そんなに淑玲のことを思ってくれているのだろうか?

さっきも言ったかもしれないが、お兄さんが淑玲を大事にしてくれていることを俺は知っている。

女好きで遊び人のお兄さんはあいつ(淑玲)をからかいはしても、簡単に手を出さないでいてくれることを。見えないところで、あいつのために色々と手を貸してやっていたり、行動派のあいつがしでかした騒動(事件?)をフォローしてくれていたり…。

それが好意でも家族愛でも俺はどっちでもいいと思っていたんだが…。

実のところ、家族愛よりも、やや好意がまさっていたりするのかい?そのへん、ちょっと教えてくれよ、お兄さん。


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      おやっさん、ぶっちゃける? (時をかけるおやっさん3) 
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「おやっさん、どうする?まだ仕入れる?もう少しこの荷車にのりそうだけど」

お兄さんの言葉に、俺は首を振った。

「いや、もう充分だよ。野菜は新鮮さがウリだから、いつも今日売る分を考えて、毎日仕入れてるんだ」
「そうか。店に残ってるものもあるもんね」
「それもそうだが、天気とかで客足も左右されるからさ。そのへんも考慮しながらかな。だから、あんまり量を多く仕入れるのもよくないんだよ。売れ残って野菜をダメにしちゃうからさ」
「なるほどね。じゃあ、僕…ちょっと多く仕入れちゃったかな?」

「張り切りすぎちゃったね。ゴメンネ!」と謝るお兄さんに、俺は「そんなことないぞ。大丈夫さ」と笑って受け合った。

「どうせ売れ残ったとしても、うちの淑玲がその野菜を何かに使うと思うんだよな。あいつが今、何をやってるのか俺は知らないが、きっと野菜が必要なことなんだろう」

今朝、うちの野菜たちをあれだけ大きな荷車に積んで持って行ったわけだしな。これは勘だが、あいつは明日も同じことをするんじゃないか。今日だけってことではないような気がした。

「…っていうか、お兄さんはそれを見越して、荷車までもらって野菜を積んでたんじゃないのかい?」

俺がさっき淑玲の話題を仕掛けた時に、お兄さんの食いつきが随分と良かった。だから、淑玲が何をやろうとしているか、この人は知ってるんじゃないかと俺は思ったんだ。

お兄さんは「さあ、どうだろう?」と、あのやたらキレイな笑顔を見せるばかり。

「やれやれ」

女たらしで遊び人のこの人だが、実はうちの淑玲をとても大事にしてくれていることを俺は知っている。

「今日、俺が愚痴りかけたこと…淑玲が大きな荷車を勝手に持って行ったことだって、どうせ察しがついてるんだろう?だから、朝市に付き合ってくれたんだよな、お兄さん。あいつのフォローをしてくれたんだろう?」

あのとんだ悪知恵娘に、お兄さんが好意を持ってくれているのか、単に家族的な愛情を感じてくれているのか、そこまで俺はわからないがー。

…まあ、ぶっちゃけね。そんなの俺はどっちでもいいんだ。

「だから、ありがとうな、お兄さん。もし息子の淑河が家を継がなかったら、アンタが淑玲と一緒になって、うちを継いでくれるのもアリなんじゃないかと俺は思ってるよ」
「え?」
「ウン。お兄さんの婿養子、悪くないゾ!」

お兄さんの素性は正直よく知らない。名前すら知らない。本人も多くを語らないし、たぶん俺に語ることはないだろう。そんな気がする。謎多き男だが、俺は優しい彼をなぜか人間的にとても信用をしているんだ。信頼しているんだ。何度も俺が「イイネ!」を連発していると、お兄さんはくすくすと笑った。

「ありがとう、おやっさん。みんなと家族になれるなんて僕はとても嬉しいけど、果たして淑玲ちゃんはどうかな?」
「ん?」
「きっと僕らなんか見向きもせず、どっかに飛んでいっちゃいそうじゃない?」

お兄さんは空を見上げ、優雅に飛ぶ鳥を眺めた。その横顔はなんとも美しく、優しかった。

…そうか。アンタは〝僕らなんか”と言ってしまえる人なんだな。淑玲を思って、そんな優しい顔ができるのか。あいつの可能性をどこまでも信じて、受け入れる覚悟があるんだな。

「だから、こっそり淑玲に学問の本を読ませていたのかい、お兄さん?」

俺は自慢じゃない(?)が、淑玲に本を買ってやったことは一度もない。昔から口が回る子だったから、これに変な知恵が備わっては困ると思い、むしろ遠ざけていたくらいだ。なのに、あいつはいつの間にか自分でそれを手に入れた。そして気付けば、年中読書ばかりする子になってしまった。気になって淑玲本人にどこでそれを手に入れたのか聞いてみると、

「淑河兄様が捨てられていた本を拾ってきてくれたの」

と不思議なことを言う。淑河に問いただしてみても、「そこに落ちていた」というだけで、よくわからない。奇妙なできごとに首をひねっていると、ある日、淑河が隣の薬屋からどっさり本を抱えて出てきた。

見咎めようかと思ったが、淑河に理由を聞いても要領を得ない気がしてやめた。俺は淑河にバレないように隠れ、薬屋の店主に話を聞いてみることにした。でも、店主の爺さんはポカンとして、本など別に淑河にあげていないと言うじゃないか。

「…ってことは、犯人はまさか!」

薬屋には店主とそこで間借りしているお兄さんが住んでいるだけ。俺は薬屋を出て、お兄さんが間借りしている二階の部屋を見上げた。すると、タイミングよく犯人が窓から顔出した。お兄さんは唇の前にそっと人差し指を立てた。一瞬のその仕草になぜか俺は見とれてしまい、お兄さんに問い詰めることができなくなってしまった。以来、お兄さんに聞く機会を今日まで逃してきたわけなんだが…。

「思い出してみると、あれだな。淑玲は別に俺に似たわけじゃなくて、お兄さんに似たのかもしれないよな」
「え?」
「あいつに悪知恵を植え付けた犯人はお兄さん、アンタだったのかー!?って話さ」


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      おやっさん、あっけにとられる? (時をかけるおやっさん2)
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今日の朝市はいつもと違っていた。

それは訪れていた人々、みんなが感じたことではないだろうか。そう、慌ただしい忙しない賑わいを見せる中、なぜか一際甲高い声…歓声もまじっていたからだ。

「きゃー!美男子のお兄さーん、こっちも寄ってってー!」
「お兄さん、うちの野菜もためしてちょうだい。良かったら、ついでに私もー!」
「お兄さん、こっちが先よ。もうためさなくていいから、この果物と私一緒にお持ち帰りで!」

その歓声は黄色というか…それを通りこして、クラクラと眩暈を覚える金色というか…いやいや、ギラギラと獲物を狙う銀色というか…う~ん、もう早い話、魅惑の桃色でいいじゃね?というか…。

「朝市ってこんなんだっけ?」

といった様子だった。若い娘から熟女、はたまた婆さんまでもがお兄さんに釘付け。その見つめるまなざしは熱いのなんのって、正直まわりの男性陣はあっけにとられていた。

でも、はっと我に返り、とりあえず自分の嫁や娘の手(手綱?)はしっかり握っておかないといかん!と危険を察知したようだ。これも男の自己防衛本能ってやつかな。

「お兄さーん、うちの野菜と果物、これだけ安くしてやるから。頼むよ、嫁と娘に手を出さないでくれ!」

といった具合に、お兄さんに頼み込む始末さ。…うむ。今日の朝市は、ちょっとしたカオスだったかもしれん。

「ふふふ、大漁、大漁!」

そんな中、当のお兄さんはホクホク顔で嬉しそうだった。声が弾んでいる。

「見て見て、おやっさん!この野菜の多さ!質の高さ!見惚れる輝かしさを!!」
「…驚いたよ、ホント。野菜というよりアンタにね…」

お兄さんは取引上手なのか、ここでも美男子が物を言わせたのか(?)、安値やタダ同然で野菜を仕入れていた。予定だった仕入れ量を何倍も上回っている。

「土が少しついてるのもあるけど、新鮮そのものだよね。洗えば問題ナーシ!さあ、おやっさん。荷車に積んだこの野菜たちを見てよ。いや~、絶景かな、絶景かな!」

お兄さんはいつの間にか朝市に来ていた人に大きな荷車までもらっていたらしい。楽しそうに口笛を吹きながら、それに野菜を積んでいたのだった。

「美男子最強だろ、コレ…」

思わず、俺は呟かずにはいられなかった。

なんだろう。この敗北感にも似た思いは…。野菜のプロと言っていい俺が、八百屋家業に生涯をかけるこの俺が難しいと感じる仕入れの仕事も、この人は華やかなその才能でサクッとやり遂げてしまうんだな。

「うむむ…」

じゃっかん苦い思いがこみ上げる。野菜一筋で生きてきた俺は一体なんだったんだろう。なんだか少し馬鹿らしくなるというか、面白くないというか…。う~ん、なんつうか…そのあれだな。自信がそげるな。俺が肩を落としていると、野菜を見ていたお兄さんが満足そうに笑って言った。

「ねえ、おやっさん!」
「ん?」
「この野菜たちがおやっさんの作ってくれる美味しいご飯につながるんだね!!」

いつもは美しさが際立つ、色気が香る、どこかすましたお兄さんの笑みも、今はなぜか少年のように初々しかった。にんまりと歯を見せて笑っている。初めて見たな、この人のこんな顔…。

「そんなに楽しかったかい、お兄さん?」

貴重なものを見たような気がして俺は目を見開いた。

「楽しかったよ~!いい野菜をいっぱい仕入れたし、朝市の人はみんな優しかったしね」
「そうかい」
「あ!でも、僕的に何より一番楽しみなのは…」
「…楽しみなのは?」
「今日の朝ご飯は何ってことかな。この野菜で作ってくれるんだろう?ねえ、おやっさん?」

お兄さんはどこまでもご機嫌で鼻歌を歌い出し、愛おしそうに野菜を撫でていた。それを見ていたら、俺は可笑しくなってしまった。

「ーったく、憎めねえなあ、お兄さんは!」

俺は声を上げて笑っていた。お兄さんが不思議そうに俺を見つめ返す。

「なあ、お兄さん。いつものやたらキレイな笑顔もいいけど、アンタはもっとそんなふうに元気に笑った方がいいよ」
「へ?」

お兄さんはこれまた子供のような無垢な瞳を俺に向ける。だもんで、見ているこっちが、くすぐったくなってしまった。

「いやいや、何でもない。お兄さんが楽しかったんなら俺も何よりさ」

俺は目をそらして、鼻の頭をかいた。


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【目次】 時をかけるおやっさん(淑玲『宮廷浪漫』シリーズ特別番外編②/中華風ファンタジー) 【作品紹介】 
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      おやっさん、哀愁を漂わせる? (時をかけるおやっさん1)
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残された小さな荷車を引いて、とぼとぼと朝市に向かう。そんな俺の背中から哀愁が漂っていないか不安なところだ。

「淑玲のやつ、古典的な手を使いおって…!」

これというのも我が娘(こ)・淑玲に仕入れ用の大きな荷車を取られたからだ。俺は歯ぎしりをして、やり場のない怒りを抑えた。…淑玲め、父親になんてことを!日に日に悪知恵をつけおって、一体誰に似たというのだろう!?

「俺か?女房か?それとも双子の兄の淑河か!?」

家族を思い浮かべて、そう叫んでみたものの、俺は一つ一つ考えを消していった。

「う~ん。でも、淑河はないか?うっかり者で妙な知恵なんて働かないしな。女房も割とのんびりしていて、策を弄すタイプじゃないしなあ…」

俺は荷車を引く手をとめた。…え?…ってことはなんだ…?

「じゃあ、俺か!淑玲は、俺に似たのか?犯人(?)は俺なのかーっっ!?」

消去法で導かれた答えに、思わず俺は絶叫した。

「そんなの、ありえーん!認めーん!許せ―ん!」

淑玲ときたら、うちのかわいい野菜たちまで、ちゃっかり持って行きやがって!

「ぐぬぬ…。こりゃ後でお仕置き決定だー!!」

怒りに震える俺の肩に、ふと優しい手が触れた。

「朝っぱらから絶叫しちゃって。どうしたの、おやっさん?」
「うわっ、眩(まぶ)しっっ!!」

振り返ると、美男子がお天道様にも負けない目が眩むような笑顔を向けていた。

「お、お兄さんじゃないか!今日、曇りなのに一瞬晴れ間が見えたぞ…!?」

目をこすって、目の前の人物をよく観察する。そこにいるのは紛れもなく、この商店街で一番の美男子様だった。老若男女うっとり見惚れる顔の良さは、もう国宝級じゃなかろうかと俺は密かに思っている。

「あはは!嫌だなあ、おやっさん。まるで御来光だなんて!(←そこまで言ってない)そんなこと言われて僕も太陽もビックリだよ~」

お兄さんは隣の薬屋で間借りしていて、しょっちゅう、我が家に顔を出す。どうも貧乏一人暮らしで腹を空かせていたらしい。一度餌付けしたら、うちにご飯を食べに来るようになった。

「何コレ、超うまいんだけど!宮廷料理人にも負けてないんじゃない?」

そんなふうに俺の手料理を褒めてくれたもんだから、悪い気がしなくて「じゃあ、お兄さん。腹すかしたら、そのー、いつでもうちに食べに来ても…いいぞ?」とつい声をかけてしまった。

まあ、うちは4人家族で1人増えたところで作る手間なんてそう変わらないしな。特に問題ない。それに美男子っていうのは、いてくれるだけで目の保養になる。場だって華やぐしな。家族みんな、喜んで彼を歓迎したわけさ。(淑玲だけは「なんか胡散臭くない、あの人?」と微妙な顔をしていたが…)

それなりに恩義を感じているのか、お兄さんは気が向いたら、八百屋の店番もしてくれるようになった。美男子が店先にいるだけで商売繁盛。願ったり叶ったり(?)ってなもんで、ありがたいこった。そうそう。それと、お兄さんは俺の晩酌にも付き合ってくれるんだよ。小言や愚痴も嫌な顔せずに聞いてくれる、笑い飛ばしてくれる貴重な酒飲み仲間にもなってくれた。

顔のいい男はいけすかない野郎が多いと思っていたが、そんな俺の偏見をお兄さんは見事にぶち壊してくれた。うん。憎めない、なかなか良い奴なんだよな。俺はお兄さんのことをけっこう気に入っている。

「え、御来光!?そこまで俺は言ってないんだが…う~ん、まあ、いいや」
「あはは!いいんだ?」
「それより何だい、お兄さん。こんな時間にこんなところで会うなんてさ。びっくりしたよ。もしや朝帰りかい?」

俺の問いにお兄さんは変わらぬ笑顔で頷いた。自称・遊び人だから、下手にいいわけもしない。それがかえって清々しくもある。なんかある意味、お兄さんって潔い男なんだよな。

「色男はいいねえ!楽しそうだ!」

別に厭味ではなく、心からそう言うと、お兄さんは首を傾げた。

「おやっさんは、元気ないみたいだねー。さっきの絶叫といい、何かあった?」
「いや~、それがうちの淑玲がさ…」
「なになに、淑玲ちゃんがどうしたの?」
「そんな食いつくような面白い話じゃないんだけどなあ」

俺はため息をついた。もう親不孝もいいところなんだよ…と言いかけ、慌てて口を噤む。晩酌時ならまだしも、朝っぱらから愚痴をこぼすなんてよくないよな。いかん、いかん。俺は笑ってごまかした。

「なーに、大したことじゃないんだ」

そうだ。大したことじゃない。本当に大したことじゃないんだ。自分にもそう言い聞かせていると、お兄さんが「おやおや」と目を細めた。

「もしかして、おやっさんは今から朝市に行くの?」

急に話題が変わったもんだから、俺は戸惑った。

「…ああ、そうだが」

何でいきなり朝市の話になったんだ?不思議に思っていると、お兄さんは俺を見て優しく微笑んだ。

「じゃあ、今日は僕も付き合おうかな」
「え?」
「朝市に一緒に行こう。野菜の仕入れ、手伝うよ」

曇っていた心に、ふと晴れ間が差し込む。

「おやっさんの背中、なんか哀愁が漂ってて放っておけないんだよね」



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